16. WMC リソーシズ社 (WMC Resources Limited)
1.企業概要 本社 豪州・メルボルン 主要事業 〔鉱種〕 非鉄金属鉱山・製錬、化学肥料 〔Cu,Ni,Au,酸化ウラン〕 従業員数 4,863 人(2004 年末、契約社員を含む) 決算日 12 月末日主要関連会社 ・WMC (Olympic Dam Corporation)Pty :100% (WMC オリンピック・ダム社) ・WMC International Ltd: 100 %(WMC インターナショナル社)
・Western Mining Corp Ltd: 100 %(ウエスタン・マイニング社)
2.財務状況 〔mAus$ (mUS $)〕
年度 2004 2003 2002
売上高 Net sales revenue〔①〕 3,828 (2,982) 3,001 (2,251) 1,456 (824) 当期損益 Net income〔②〕 1,327 (1,034) 246 (185) (-44) (-25) 利益率〔③=②/①〕 34.7% 8.2% -3.0% 資産 Total assets 8,163 (6,359) 7,560 (5,670) 7,348 (4,160) 流動資産 Current assets 1,354 (1,055) 1,178 (884) 1,199 (679) 負債 Total liabilities 3,054 (2,379) 3,611 (2,708) 3,741 (2,118) 流動負債 Current liabilities 680 (530) 898 (674) 2,032 (1,151) 株主資本 Shareholder’s Equity 5,109 (3,980) 3,950 (2,963) 3,607 (2,042) 探鉱費 Exploration Spending Totals※ 52.0 (38.5) 34.1 (21.1) 29.4 (15.6)
※探鉱費は Major Company Exploration Profile (Metals Economics Group 2005)による。
3.主要鉱産物の生産・開発状況 〔※鉱山名(所在国,権益比率):生産量は権益分〕
年度 2004 2003 2002 ‘04 年の世界シェア ニッケル鉱(kt) Mout Keith, Agnew 115.7 117.7 106.4 8.8%(第 3 位) ニッケル地金(kt)Kalgoorlie, Kwinana 62.5 61.4 65.1 4.0% (第 5 位)
銅鉱(kt) Olympic Dam 1.6%(第 14 位)
銅地金(kt)1 Olympic Dam 224.7 160.1 178.1
酸化ウラン U3O8(t)Olympic Dam 4,404 3,203 2,890 9.3%(第 3 位)
4.沿革
WMC Resources Limited(以下“WMC”とする)の前身 Western Mining Corporation Ltd は、当初、 豪州における金鉱床の探査・採掘を目的として設立された、後に事業範囲を拡大、活動をグローバ ル化して世界 19 カ国で非鉄金属、工業原料、化学肥料を生産してきた。
2005 年 6 月、WMC は、同じ豪州 Melbourne に本社を置く BHP Billiton により総額 9.2 bAus $(7.3 bUS$)で買収された。それまでの社史概略は次のとおりである。
1933 年・Western Mining Corporation Ltd は、Melbourne を拠点とする Gold Mines of Australia 社の 金資産再編に際して設立され、設立当初は西豪州(西豪州)の金鉱床を対象として鉱業活 動を行っていた。
1960 年・西豪州 Darling Range でボーキサイト資源を確認した。 1960 年・Three Springs Talc 鉱山の権益 50%を取得した。
1961 年・Alcoa(米国)との J/V で Alcoa of Australia(当時の権益 20%)を設立してボーキサイトの生 産を開始した。
1966 年・Kambalda においてニッケル鉱床を発見した。
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1967 年・カナダへ向けて最初のニッケル精鉱を出荷した。
1970 年・4 月、社名を Westminer Investments Pty Ltd として、Melbourne に登記した。 ・Kwinana ニッケル精錬所建設し、ニッケル地金を生産。
1972 年・Kalgoorlie ニッケル製錬所を建設し、ニッケル・マットを生産。 ・西豪州で Yeelirrie ウラン鉱山を発見した。
1975 年・南豪州(South Australia 州)で Olympic Dam 銅・ウラン鉱床を発見した。
1979 年・BP Australia Holdings Ltd(英国)との J/V(当時の権益 49%)で Olympic Dam 銅・ウラン鉱 床開発に着手した。
・6 月 Western Mining Corp. Holdings Ltd と社名を変更した。 1980 年・Queensland 州リン酸塩鉱床の権益を取得した。
1985 年・Hi-Fert Pty Ltd の権益を取得して、化学肥料事業に参入した。
1986 年・Teck Corp.(カナダ)及び MG 社(Metallgesellschaft AG:独)とコンソーシアムを組み、経営の 悪化していた Cominco Ltd(カナダ)の権益を取得して世界的な鉛・亜鉛生産者グループを 形成した。 1988 年・Olympic Dam 銅・ウラン鉱山生産を開始。 1990 年代・MG 社の経営破綻に伴い、Teck Corp.(カナダ)及び MG 社との資本提携関係を解消。 1993 年・Olympic Dam 鉱山の BP 権益取得。 1995 年・Alcoa と WMC のボーキサイト・アルミナ・アルミナ化学工業資産の整理・統合による AWAC 社の設立。 ・11 月には社名を現在の“WMC Resources Limited”に変更した。 1996~98 年・石油・天然ガス資源を含む不採算部門を売却した。 1998 年・Mondo Minerals の設立によるタルク資産の統合した。 2001 年・11 月、WMC はアルミ事業と非鉄金属等事業を分社化することを発表。 ・12 月、Alumina Ltd.と WMC Resources Ltd.に分社した。 ・金鉱山を WMC 社の戦略に合わないと判断し、全て売却し金事業から撤退した。また、タル ク事業からも撤退した。 2003 年・11 月、WMC のカナダ子会社が Comaplex Minerals と合併し、カナダ子会社の権益がこの 会社に移った。 ・モザンビーク南部の世界最大級のイルメナイト埋蔵量が有ると推定される Corridor Sands heavy minerals project の権益の 90%を取得した。
2004 年・10 月、Xstrata(スイス)が WMC の発行済み株式全体を 1 株当たり A$7.85 で買収すると提 案して買収劇が始まり、WMC がこれを拒否した。
・11 月に Xstrata は WMC に対し市場外で敵対的買収を行うと発表し、その後株価は 7.20Aus$まで引き上げていた。
2005 年・3 月、BHP Billiton が WMC の買収劇に突如参入し、Xstrata の価格を上回る 7.85Aus$を 提示して WMC 経営陣はこれを受け入れる旨表明した。 ・6 月 3 日を最終期限として WMC 株主に対し、この公開買付に応じるよう呼び掛け、この期 限までに WMC 発行済株式の 72.99%を買付け、この逆転買収に成功し、最終的には 8 月 2 日に 100%の買付を終了した。WMC は、同じ豪州 Melbourne に本社を置く BHP Billiton により総額 9.2 bAus$(7.3 bUS$)で買収された。 5.事業内容 世界第 3 位の鉱石生産量(2004 年)を誇るニッケルを軸に、銅、ウランおよび化学肥料を対象に事 業を展開してきた。2004 年の部門別売上高は次のとおりである。 2004 年の部門別売上高 (単位:mAus$)
銅・ウラン ニッケル 化学肥料 その他 合計 1,178 2,175 486 -10 3,829 (1) ニッケル 西豪州の Agnew(Leinster)、Mt.Keith といった各オペレーションにおいて複数の鉱床に権益を保 有してニッケル精鉱を生産しているほか、同じく西豪州にある Kalgoorlie 製錬所、Kwinana 精錬所に おいてそれぞれニッケル・マット、ニッケル地金を生産してきた。1967 年 6 月に生産開始以来、2000 年にはニッケル生産累計 2,000 kt の大台に達した。 2004 年 主要権益保有ニッケル鉱山の埋蔵量と生産量 オペレーション名 権益(%) 鉱量(mt) 品位 Ni(%) 採掘タイプ 生産量(kt) Mount Keith(マウント・キース,豪) 100 289.0 0.51 OP 43.1 Agnew(Leinster)(アグニュー,豪) 100 19.6 1.9 UG 44.6 2004 年主要権益保有製錬所による地金生産 オペレーション名 権益(%) マット生産量2(kt) 地金生産量(kt) Kalgoorlie smelter(カルグーリー,豪州) 100 97.8 - Kwinana refinery(キウイナナ,豪州) 100 - 62.5 ・Mount Keith ニッケル鉱床 1968 年に発見され、1993 年に WMC が権益 100%を取得、1994 年に生産を開始した。 Kalgoorlie の北 450km(Kalgoorlie は Perth の東北東約 550 km)に位置する。なお、精鉱生産量の 半分(年間最大ニッケル含有量 14 kt)を Outokumpu 社(フィンランド)の子会社に供給する売鉱契約 を結んでいる。この契約は、売鉱が 140 k t に達するまで続き、2005 年第 1 四半期まで続くものと 予想されている。 ・Agnew(Leinster)ニッケル鉱床 1971 年に発見され、1978 年に生産を開始した。その後、86 年に操業を停止したが、88 年 12 月 に WMC が買収し、89 年に生産を再開した。Kalgoorlie の北 375km に位置し、現在操業中の鉱床 は坑内掘の Perseverance と露天掘の Harmony の 2 鉱山である。 ・Kambalda 地域 WMC がニッケル事業を開始する契機となった地域であり、1966 年の同地域におけるニッケル 鉱床発見が、豪州のニッケル・ブームの先駆けとなった。しかし、2000 年から Kambalda 地域の鉱 山の売却を開始し、現在 WMC が同地域に保有するのは選鉱場のみで、鉱石は売鉱の形をとって いる。Kalgoorlie 製錬所は、WMC の各オペレーションで生産される精鉱のほか、他社から買鉱す るニッケル精鉱を原料としてニッケル・マット(含有量:Ni 66~74%、Cu 3~5%)を生産し、Kwinana 精錬所などに供給している。なお、ニッケル・マットの 5,850 t は Outokumpu 社に供給する長期契 約を結んでいる。2002 年 2 月に硫酸工場で火災が発生し、9 月までフル操業が出来なかった。 Kwinana 精錬所は Perth の南 30 km に位置する。Kalgoorlie 製錬所からニッケル・マットの供給を 受けており、Sherritt-Gordon Ammonia leach process(シェリット・ゴードン・アンモニア浸出法)によりニッケ ル地金を生産している。2001 年の年間生産量は世界第 4 位であった。同製錬所では、生産能力 を 67kt/年への拡張工事は 01 年に完成した。03 年 9 月、ボイラーの修理で Kwinana 製錬所が停 止したため、この年のメタル生産量は 02 年に比べて 6%低下して 61,417t となった。 2 マット中のニッケル量を示す。
(2) 銅・ウラン Olympic Dam 鉱山(南豪州)に権益を保有する。同鉱山の山元には選鉱プラント、溶媒抽出を含 む湿式処理プラント、銅製錬所、貴金属精錬所があり、一大オペレーションが形成されており、下表 の鉱石生産量は製錬所の生産量を示した。同鉱山のマインライフは 50 年以上で、現在の確認資源 埋蔵量は銅が世界第 4 位、金世界第 4 位そしてウランは世界最大で世界の確認埋蔵量の 3 分の 1 以上を占めている。 2004 年主要権益保有鉱山の埋蔵量と生産量 オペレーション名 権益 (%) 鉱量 (mt) 品位 採掘タイプ 生産量(kt, Au:t) 1.5 % Cu 225 Cu 0.5 kg/t U3O8 4.4 U3O8 Olympic Dam(オリンピック・ダム, 豪) 100 761 0.5 g/t Au UG 2.7 Au
Olympic Dam 鉱山は Adelaide の北西 560km に位置するウラン、銅の大規模鉱山で、多くの不連 続な鉱体が地表面積 4~5 km2、深さ 350~1000 m の範囲に点在している。 1988 年に生産が開始された当初、年間生産能力は銅地金 45 kt、酸化ウラン 1,200 t であったが、 89~95 年に実施された拡張工事により、銅地金 85 kt、酸化ウラン 1,700 t まで生産能力を拡大され た。さらに 97 年 1 月~99 年間に実施された拡張工事により年間生産能力は、銅地金 200 kt、酸化 ウラン 4,300 t となった。 2004 年には、粗鉱生産量 8,900 kt にて、銅 224,731t(前年比 40%増)、酸化ウラン 4,404 t(同 37% 増)を生産したが、これはそれぞれ世界第 17 位及び 第 3 位に相当する。 ウラニウムの新しい溶媒抽出工場が 03 年の前半建設・稼動し、銅の溶媒抽出工場は 12 月に完成 し 2004 年第 1 四半期に稼動を開始した。 現在 2005 年末に鉱石の採掘・処理能力を 10.5mt/年、その後更に 12.3mt/年に増強する計画で、 これにより最終的に銅 500 kt、酸化ウラン 15 kt 及び金 15.5t の年間生産を目指している。 (3)金
St Ives、Agnew の各鉱山(以上、西豪州)のほか、Norseman 社を通じて Norseman 地域の複数の鉱山に 権益を保有していたが、2001 年 11 月に St Ives 及び Agnew 鉱山を Gold Fields(南ア)に売却、Norseman 地域の権益を Croesusu Mining(豪州)に売却した。現在は Olympic 鉱山にて生産し、2004 年の生産量は 2.8 t(前年比 3%増)であった。
6.探鉱活動
(1)概要
WMC の探鉱部門は、豪 Perth 及び米 Denver に統括事務所を設置し、ペルーLima、中国・北京、 昆明に地域事務所を置いている。
同社は、探鉱は固定費比率が低いため、柔軟な対応が可能であり、グリーンフィールドからの探鉱を 積極的に行うことを指向している。ニッケルを主体に銅、金及び PGM を探鉱対象としている。2004 年 の探鉱予算ベースではニッケルを対象にした予算が 75%、2005 年は 84%と上昇している。
(2)最近の動向
2005 年の探鉱費は 29.1 mUS$であり、Grass Roots 12.7mUS$(44%)、Late Stage & F/S 8.2(28%)、 Mine Site 8.2mUS$(28%)とバランスの取れた配分となっている。対象国は豪州が 22.7mUS$(78%)と集 中し、アフリカ(ボツワナ、ナミビア、タンザニア、チュニジア、ザンビアなど)3.8mUS$(13%)、米国 1.1mUS$(4%)等となっている。
西豪州では最近開発した地下深部まで探査可能な電磁探査法を利用して、Leinster-Mt Keith ニ ッケル・ベルトの鉱山周辺探鉱を行った結果、有望鉱脈発見の可能性があり、2005 年には有望鉱区 (Sir Gawain prospect、Goliath Deeps 、North Cliffs 及び Leinster の Perseverance 鉱山周辺)につ いて掘削試験を行う予定である。
同じく西豪州では硫化ニッケル鉱の探鉱を初期段階から掘削試験段階まで幅広い活動を行って いる。これらは WMC 独自に行っているものとジュニア探鉱会社との J/V で行っているものとがある。 Mt Keith 鉱山の東北東 180km の Collurabbie では Falcon Minerals NL 社との 70:30 の J/V と同時 に WMC 独自で広範な地域の探鉱を行っているが、J/V 地区内で 600m に亘り大きなニッケル・銅・ PGM 鉱床を発見した。
2000 年、WMC は 西豪州 Leonora の北東 800km にある West Musgrave で Babel-Nebo ニッケ ル・銅・PGM 鉱床を発見したが、この鉱床の規模を確認するために合計 125 本の掘削試験を行った。 この結果、ニッケル 1,000kt、同じく銅(PGM・コバルトを伴う)1,000 kt 規模の埋蔵量が確認された。こ のプロジェクトの経済性を評価するための品位などの金属調査を実施する予定になっている。また Babel 地区では地下深部での埋蔵量確認のための掘削試験と、本地域全般に亘る電磁方式探鉱の 結果異常反応が認められた地点の掘削試験が 2005 年初めに計画されている。 (中国) 2004 年には中国最大のニッケル製造業者である金川集団公司と折半の合弁を組んで、甘粛省及 び中国西部を中心としてニッケル硫化物の探査を行った。目標は西北西の傾斜ベルトに沿ってニッ ケル・銅・PGM の資源探査であり、2005 年初めには空中電磁探査によって、鉱脈の分布確認を行う 予定。 (アフリカ) 2004 年に Albidon 社と、ボツワナ、タンザニア及びマラウイの 45,000km2に及ぶ地域の初期グリー ンフィールド探鉱を行う契約を締結した。この地域には大規模なニッケル・銅・PGM の鉱床の可能性 があり、2005 年には試錐調査を行う計画である。 (北米、中南米) 米国及びカナダにてニッケル・銅・PGM の鉱床探鉱活動を継続するとともに、メキシコ南部及びペ ルー北部で銅・金鉱床の初期探鉱活動を行う予定である。 2005 年の探鉱予算状況: WMC Resources 〔29.1mUS$〕
(出典:Major Company Exploration Profile (Metals Economics Group 2005) Grass Roots, 12.7 Late Stage & F/S, 8.2 Mine Site, 8.2 WMC 2005: ス テ ー ジ別 カナダ, 0.2 米国, 1.1 アフリカ, 3.8 その他地 域, 0.8 中南米, 0.5 豪州, 22.7 W M C 2 0 0 5 : 地域別 Cu, 1.9 Ni, 24.6 Others, 2.6 WMC 2 005: 鉱種別