臨床研究保険と加入手続き
厚生労働省の「臨床研究に関する倫理指針」(以下「臨床研究倫理指針」という。)が平成 20 年 7 月 31 日付け厚生労 働省告示第 415 号において改正され、翌平成 21 年 4 月 1 日に施行されました。 また、同じく厚生労働省の「ヒト幹細胞を用いる臨床研究に関する指針」(以下「ヒト幹臨床研究指針」という。)も全面 的に見直され、平成 22 年厚生労働省告示第 380 号が、平成 22 年 11 月 1 日から施行(※)されました。 重要な改正点は、両指針で「臨床研究」及び「ヒト幹細胞等」の定義を明確にして、両指針が補償措置を求める 研究の範囲と、求める補償措置を明らかにした点でした。 現在、損害保険会社 3 社が、これに対応する「臨床研究保険」を開発し販売していますが、基本的な骨組みは同 じでも、引受対象とする臨床研究、担保範囲、免責規定など、その内容に大きな差があります。従って、臨床研 究保険の加入に際しては、個々の臨床研究毎に、保険料だけでなく、担保内容についても精査し吟味する必要が あります。弊社は、損害保険会社 3 社全ての代理店でもありますので、最適条件の選別と提案が可能です。以下、 「臨床研究保険と加入手続き」につき、概要をご覧ください。 (※)ヒト幹臨床研究指針は、直近で平成 25 年 10 月 1 日に改正施行(平成 25 年厚生労働省告示第 317 号)されまし たが、補償措置に関する規程に変更はありません。 -目 次- Ⅰ 治験、臨床研究にかかるルールの変遷 Ⅱ 臨床研究実施に際し遵守すべきルール 1.基本ルール 2.「臨床研究」(除く、ヒト幹細胞)のルールを規定する3つの規程 3.「ヒト幹細胞を用いる臨床研究」のルールを規定する3つの規程 Ⅲ「臨床研究倫理指針」と「ヒト幹臨床研究指針」で補償措置が義務化された範囲 1.「臨床研究倫理指針」で補償措置が必要となった「臨床研究」の範囲は? 2.「ヒト幹臨床研究指針」で補償措置が必要となった「臨床研究」の範囲は? 3.補償措置が必要な「臨床研究」の範囲図解 Ⅳ 補償措置の内容 1.補償のために「必要な措置」とは 2.「医法研補償のガイドライン」程度の補償内容とは 3.「臨床研究」、「ヒト幹細胞を用いる臨床研究」の場合も、3種類全ての補償の用意が必要か Ⅴ 臨床研究保険の概要 1.臨床研究保険の販売保険会社 2.臨床研究保険は、【賠償責任を担保する保険】+ 両指針で義務化された【補償責任を担保する保険】 3.医師賠償責任保険との調整 4.(独)医薬品医療機器総合機構の医薬品副作用被害救済制度との調整 5.賠償責任条項の概要 6.補償責任条項の概要 7.1臨床研究あたりの総支払限度額 Ⅵ 各社「臨床研究保険」の特色 1.引受対象とする臨床研究について 2.補償責任条項の担保範囲 3.保険期間又は保険責任期間と支払責任の関係 4.賠償責任条項の支払限度額と免責金額の適用方法 5.免責規定 6.契約方式、保険契約者 7.被保険者の範囲について Ⅶ 具体的加入手続き 平成 26 年 9 月 株式会社カイトーⅠ 治験、臨床研究にかかるルールの変遷
1961 年 2 月 (S36) 薬事法施行 1964 年 6 月 (S39) WMA ヘルシンキ宣言 人間を対象とする医学研究の倫理的原則 1997 年 4 月 (H9) GCP省令施行(厚生省令第 28 号)治験に「保険その他の必要な措置「義務化」 1999 年 3 月 (H11) 「医法研補償のガイドライン」公開 2002 年 7 月 (H14) 薬事法改正公布(医師主導治験が盛り込まれる) 2003 年 7 月 (H15) 前年公布の薬事法改正施行、同法 80 条の二に「自ら治験を行なう者」の規定追加 GCP改正「自ら治験を行なう者」の規定追加(2003 年 6 月 12 日付省令 106 号) ◎医師主導治験解禁 →『医師主導治験保険』発売 「臨床研究に関する倫理指針」施行 (厚生労働省告示 255 号) 2004 年 9 月 (H16) 医学雑誌編集者国際委員会「医学雑誌投稿統一規定」提唱、 事前にプロトコルの登録・公開義務 2005 年 (H17) UMIN、JAPIC、日本医師会臨床試験登録システム 運用開始 2008 年 9 月 (H20) 10 月 「ヒト幹細胞を用いる臨床研究に関する指針」施行(厚生労働省告示 425 号) ヘルシンキ宣言、WMA ソウル総会での修正追加 *損害を受けた被験者の治療 and/or 補償情報を研究計画書に明示 *全臨床研究は一般的にアクセスできるData Baseに登録義務 *個人情報守秘義務 *文書でのインフォームド・コンセント *研究計画書の倫理審査委員会事前審査 2009 年 4 月 (H21) 「臨床研究に関する倫理指針」大改定(厚生労働省告示 415 号) ◎臨床研究に「保険その他の必要な措置」の義務化 →『臨床研究保険』発売 GCP改定(厚生労働省告示 68 号) 11 月 「医法研補償のガイドライン」改定 *補償内容は同一プロトコルの下では一律 *健康人対象治験参考補償基準に「予防接種健康被害救済制度(一類疾病)」追加 2010 年 11 月 (H22) 「ヒト幹細胞を用いる臨床研究に関する指針」改定(厚生労働省告示 380 号) ◎被験者に生じた健康被害の補償のための「必要な措置」義務化 →『ヒト幹臨床研究保険』発売 2012 年 12 月 GCP改定(厚生労働省告示 161 号) GCPガイダンスの適用を開始 2013 年 10 月 (H25) 「ヒト幹細胞を用いる臨床研究に関する指針」改定(厚生労働省告示第 317 号) *一部の ES 細胞研究が条件付きで実施可能 *ヒト幹細胞等の調整・保管に関する研究を指針の対象に追加 ヘルシンキ宣言、WMAフォルタレザ総会での改訂 *研究に関与した弱者集団の保護を一層高めること *損害を受けた被験者が適切な補償と治療を受けられるようにすること *バイオバンクなどにおける研究試料の再利用に関するインフォームド・コンセント *被験者に対する研究結果の通知、試験中に有益であると証明された医学的措置へのアクセスを 保証する条項を事前に策定するよう、研究後の取り決めの拡大 *研究倫理委員会の権限強化 11月 「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(薬事法改正)」成立 「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」成立、ともに2013年11月27日付で公布され、 1年以内に施行される。 ※未承認の細胞加工物を用いる研究について、被験者の健康被害の補償を義務化Ⅱ 臨床研究実施に際し遵守すべきルール
1.基本ルール 1964 年 6 月、世界医師会総会「ヘルシンキ宣言」:ヒトを対象とした医学研究の倫理的原則 2013 年 10 月、ブラジルのフォルタレザ総会で General Principles 15 に「被験者に対する適切な補償と 治療が確保されなければならない」と明記された。 2.「臨床研究」(除く、ヒト幹細胞)のルールを規定する3つの規程 (1)「臨床研究に関する倫理指針」【平成 20 年厚生労働省告示第 415 号】、平成 21 年 4 月 1 日施行 厚生労働省医政局長通達、医政発第 0731001 号 (2)「臨床研究に関する倫理指針質疑応答集(Q&A)の改正について」平成 21 年 6 月 12 日実施 厚生労働省医政局研究開発振興課長通達、医政研発第 0612001 号 (3)「医法研補償のガイドライン」医薬品企業法務研究会提供、平成 11 年 3 月 16 日公開 3.「ヒト幹細胞を用いる臨床研究」の新ルールを規定する3つの規程 (1)「ヒト幹細胞を用いる臨床研究に関する指針」【平成 25 年厚生労働省告示第 317 号】、 平成 25 年 10 月 1 日施行、厚生労働省医政局長通達、医政発 0930 第 1 号 (2)「ヒト幹細胞を用いる臨床研究に関する指針 Q&A」平成 23 年 2 月 14 日実施、厚生労働省医政局研究開 発振興課長通知。(平成 25 年 10 月改正を反映した Q&A は、平成 25 年 11 月現在、未だ発表されていません。) (3)「医法研補償のガイドライン」医薬品企業法務研究会提供、平成 11 年 3 月 16 日公開Ⅲ 「臨床研究倫理指針」と「ヒト幹臨床研究指針」で補償措置が義務化された範囲
1.「臨床研究倫理指針」で補償措置が必要となった「臨床研究」の範囲は? 「臨床研究倫理指針」で「臨床研究」の定義と「研究者等の責務等」によれば、以下の通りです。 先ず、「臨床研究」の定義は、 医療に於ける疾病の予防方法、診断方法及び治療方法の改善、疾病原因及び病態の理解 並びに患者の生活の質の向上を目的として実施される次に掲げる医学系研究であって、 人を対象とするものをいう。 ①介入を伴う研究で、医薬品又は医療機器を用いた予防、診断又は治療方法に関する研究 ②介入を伴う①以外の研究 ③介入を伴わず、試料等を用いた「観察研究」。疫学研究を含まない。 (注)「介入研究」とは、予防・診断・治療・看護ケア及びリハビリ等で次の行為に該当するものをいう。 ①通常の診療を超えた医療行為で研究目的で実施するもの ②被験者集団を2群以上のグループに分け、異なる治療方法等に関する作為又は無作為の割付を行い、 その効果等を比較研究するもの 次に、「研究者等の責務等」のルールとして、研究者等は、上記「臨床研究」の定義の中で①に規定する研究 (但し、体外診断を目的とした研究を除く)を実施する場合は、被験者に生じた健康被害の補償のために「保 険その他の必要な措置」を講じておかなければならなくなりました。この義務がある者は「研究者等」であ り、「研究者等」とは、「研究責任者、臨床研究機関の長その他の臨床研究に携わる者」と定義されているの で、具体的には研究責任者に「必要な措置」を講ずることを求めていると思われます。2.「ヒト幹臨床研究指針」で補償措置が必要となった「臨床研究」の範囲は? 「ヒト幹臨床研究指針」の適用範囲(第1章第3及び第4)である「病気やけがで損傷した臓器や組織の再生 を目的とする臨床研究で、「ヒト幹細胞等」を、疾病の治療を目的として人の体内に移植または投与する臨床 研究及び臨床研究への使用の目的で「ヒト幹細胞等」を調製または保管する研究」にあっては、第2章第1 の3(研究責任者の責務等)の(6)⑯に被験者に生じた健康被害の補償のための「必要な措置」を義務化 しました。ここでも研究責任者に「必要な措置」を講ずることを求めています。 (注)対象となる「ヒト幹細胞等」とは、「ヒト幹臨床研究指針」第1章第5に定義があり、次のとおりです。 (1)「ヒト幹細胞」及びこれを豊富に含む細胞集団 「ヒト幹細胞」とは、自己複製能及び多分化能を有するヒト細胞をいい、別に厚生労働省医政局長が 定める細則に規定するヒト体性幹細胞、ヒト ES 細胞(※)及びヒト iPS 細胞を含む。 (2)上記(1)を調製して得られた細胞及び血球 (3)「ヒト分化細胞」(「採取時に既に分化しているヒト細胞」をいう。)を調製して得られた細胞及び血球 (※)ヒト ES 細胞については、細則の定めにより、「ヒト ES 細胞の樹立及び分配に関する指針」(平成 21 年文部 科学省告示第 156 号、平成 21 年 8 月 21 日実施)、および「ヒト ES 細胞の使用に関する指針」(平成 22 年文部 科学省告示第 87 号、平成 22 年 5 月 20 日実施)における「ヒト ES 細胞の臨床利用に関する考え方」が示され るまでは、ヒト ES 細胞を用いる臨床研究は実施しないことになっている。ただし一部の「ヒト ES 細胞」(次 の①、②)を用いた臨床研究を実施することが可能である。 ①文部科学省の関連指針における「ヒト ES 細胞の臨床利用に関する考え方」が示された後に、新規に樹 立する「ヒト ES 細胞」 ②「ヒト ES 細胞の樹立及び分配に関する指針」(平成 21 年文部科学省告示第 156 号)と同様の基準で、外 国で樹立された「ヒト ES 細胞」 3.補償措置が必要な「臨床研究」の範囲を図解すると、下図の青字部分 臨床研究(除く、ヒト幹細胞)の範囲 [臨床研究倫理指針] H21 年 4 月 1 日施行 「必要な措置」構築義務者は「研究者等」 ヒト幹細胞を用いる臨床研究の範囲 [ヒト幹臨床研究指針] H25 年 10 月 1 日施行 「必要な措置」構築義務者は「研究責任者」 介入 研究 ①医薬品又は医療機器を用いた 予防・診断・治療方法に関する 介入を伴う研究 1.病気やけがで損傷した臓器や組織の再生を目的 とし、ヒト幹細胞等を人の体内に移植又は投与 する臨床研究、及び臨床研究への使用の目的で ヒト幹細胞等を調製または保管する研究であ ること。 2.「新規のヒト幹細胞」を用いる臨床研究の場合 は、次の①②③全てに適合するものに限ること ①重篤でQOLを著しく損なう疾患であること ②可能な他の治療と比較して優れていること ③この治療の利益が不利益を上回ること ②上記①以外の介入を伴う研究 *医薬品・医療機器を用いない研究 *疾病原因・病態の理解等を目的とする研究 観察 研究 ③介入を伴わず、試料等を用いた「観察研究」。 疫学研究を含まない。 体外診断を 目的とする研究 治験のルール 薬事法と GCP
Ⅳ 補償措置の内容
1.補償のために「必要な措置」とは 「臨床研究倫理指針」で義務化された「保険その他の必要な措置」及び「ヒト幹臨床研究指針」で義務化され た「必要な措置」の内容については、それぞれ、両指針の質疑応答集である「臨床研究に関する倫理指針質 疑応答集(Q&A)の改正について」(平成 21 年 6 月 12 日実施)の Q2-4,A2-4 及び「ヒト幹細胞を用いる臨 床研究に関する指針 Q&A」(平成 23 年 2 月 14 日実施)の Q2-4,A2-4 に『医薬品企業法務研究会(医法研) が平成 11 年 3 月 16 日に公開した「医法研補償のガイドライン」程度の補償内容であれば問題ない』と規 定しており、両指針で義務化された「保険その他の必要な措置」と「必要な措置」の間に実質的差異はなく 補償内容が「医法研補償のガイドライン」程度を充足すれば、必ずしも保険加入によらずとも、臨床研究実 施機関の補償規程に基づく医療の提供や自己ファンドによる補償等も必要な措置に該当します。 2.「医法研補償のガイドライン」程度の補償内容とは (1)「医法研補償のガイドライン」とは、薬事法と「医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令」平成9年 4月1日施行、平成9年厚生労働省令第28号(以下「GCP 省令」という。)によって、治験に関して義務化 された補償措置の内容について、医薬品業界が平成11年に自発的に纏めたガイドラインです。 「GCP 省令」の最新版は、平成 21 年 4 月 1 日施行の GCP 省令(厚生労働省令第 68 号)の運用を定め た、厚生労働省医薬食品局審査管理課長通達『「医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令」の運用に ついて』平成24 年 4 月 1 日施行、薬食審査発 1024 第 1 号参照 (2)治験に起因して生じた被験者の健康被害(含む死亡)について、過失に基づく法的責任を負担した場合の 損害賠償責任は当然の事として、「医法研補償のガイドライン」では、法的責任がなくとも、治験と健 康被害の間の因果関係に合理的な可能性があり、少なくとも因果関係を否定できない場合(因果関係が否 定される場合を除く)も、本ガイドラインに従って補償するという補償の原則を述べています。 < 過失あり > < 過失なし > 法律上の 損害賠償責任あり 治験と健康被害の間の因果関係 合理的可能性あり、因果関係否定できない 因果関係否定できる 補償責任あり 補償責任なし ~過失とは~ 「予見可能性」があるにもかかわらず、「結果回避義務」が尽くされなかった場合、過失があると判断されます。 予見可能性⇒被験者の健康被害という結果の発生をあらかじめ認識できた、または一般的な注意をもってすれば 認識できたはずであるということ。 結果回避義務⇒結果が予見できる場合に、その結果を避けるための注意をもってあたるべき義務。 (3)「医法研補償のガイドライン」では、治験の場合の補償の内容を「医療費」「医療手当」及び「補償金」 の3種として、被験者が健康人の場合と患者を対象とする場合に分けて、補償基準、補償ルールを示し ています。 3.「臨床研究」、「ヒト幹細胞を用いる臨床研究」の場合も、3種類全ての補償の用意が必要か (1)両指針の質疑応答集にこの点につき解説があり、『両指針が求める補償内容は、基本的には一定水準を超 える健康被害(死亡又は後遺障害)について救済する「補償金」である』と述べています。 また、『抗がん剤、免疫抑制剤、血液製剤、その他保険が手配できない場合は、次善策として「医療費」、 「医療手当」を用いることも適当であり、更に「医療費」、「医療手当」の支給も困難な場合は、その理由 につき倫理審査委員会の審査を受けた上で被験者の同意を得ることが必要である』と規定しています。 ↓ (2)臨床研究保険の担保する補償の範囲は死亡・後遺障害に対する「補償金」のみです。
Ⅴ 臨床研究保険の概要
1.臨床研究保険の販売保険会社 臨床研究保険は、現時点で、次の 3 社が販売しています。 損害保険ジャパン日本興亜株式会社(以下「損保ジャパン日本興亜」といいます。) 東京海上日動火災保険株式会社(以下「東京海上日動」といいます。) 三井住友海上火災保険株式会社(以下「三井住友海上」といいます。) ※本紙では、上記 3 保険会社の保険商品を網羅的にご説明いたしますが、保険会社によって保険約款等で使用す る用語が異なる場合があります。あらかじめご了承ください。 2.臨床研究保険は、【賠償責任を担保する保険】+
両指針で義務化された【補償責任を担保する保険】
Ⅳの2の(2)の図との関係で考えると < 過失あり >< 過失なし > 法律上の 損害賠償責任あり 臨床研究と健康被害の間の因果関係 合理的可能性あり、因果関係否定できない 因果関係否定できる 医法研補償のガイドライン程度の補償責任あり 補償責任なし ↓ ↓ 【賠償責任を担保する保険】 賠償責任条項 【補償責任を担保する保険】 補償責任条項臨床研究保険
3.医師賠償責任保険との調整 医療行為に起因する患者の健康被害に対する法律上の賠償責任を担保する「医師賠償責任保険」が臨床研究 保険の賠償責任条項と競合します。現在、多くの医師が、既に「医師賠償責任保険」に加入しています。そ こで、臨床研究保険では、医師賠償責任保険の担保範囲である「医療行為に起因する法律上の賠償責任」を 免責としています。 結果として、医師賠償責任保険と臨床研究保険で担保する範囲は概ね次の図のようになります。 そこで、臨床研究の実施に際して、当該臨床研究に携わる医師は、臨床研究保険に加入するとともに医師賠 償責任保険にも加入している事を確認して下さい。 賠償 or 補償 健康被害の原因 賠償責任 (過失あり) 補償責任 (過失なし) 臨 床 研 究 リ ス ク 医療行為に起因する健康被害 医師賠償責任保険 臨床研究保険(※) (補償責任条項) 医療行為以外に起因する健康被害 ・試験薬の副作用 ・プロトコルに起因する身体障害 ・同意取得時の説明に起因する身体障害 等 臨床研究保険 (賠償責任条項) 臨床研究保険(※) (補償責任条項) 通常診療リスク (医療行為に起因する健康被害) 医師賠償責任保険 補償責任は発生しない (※)補償責任条項の担保範囲は保険会社により異なります。詳細は「Ⅵ 2.補償責任条項の担保範囲」 をご参照ください。4.(独)医薬品医療機器総合機構の医薬品副作用被害救済制度との調整 既承認薬(市販薬)を承認の範囲で使用した場合に発生した副作用は、医薬品副作用被害救済制度により救済 される可能性があり、臨床研究保険の補償責任条項と競合します。この場合、臨床研究保険に加入しなくと も補償の措置が講じられていると考えてよいかという問題については次のように考えます。 (1)「臨床研究倫理指針」の Q&A(医政研発第0612001号)の Q2-12,A2-12 にあるように、承認薬を 承認の範囲で使用する場合は臨床研究の場合でも救済制度の対象になります。 (2)しかしながら、承認薬を使用しても、適応外使用のみならず、添付文書記載の注意事項等を遵守して いない場合等、承認された範囲を超える場合には支給の対象にならない恐れがあります。 (3)なお、この救済制度では、被害者が機構に給付を請求した後、厚生労働省の判定部会での審議結果を 基に支給の可否が判断される事後審査で、支給対象にならないことがあります。 (4)このような条件下で、保険加入無くとも医薬品副作用被害救済制度で救済されると考えて「必要な措 置」済みと判断するかは、両指針の規定によれば倫理審査委員会と臨床研究機関の長の責任において 遂行することになりますが、この決断は難しいことです。 (5)更に、保険会社の臨床研究保険に加入しないと、Ⅴの3の図で医療行為を除く臨床研究リスクで賠償 責任を負担した場合には No Cover で救済されることがありません。 (6)従って、実務的には、研究において使用する薬品は承認の範囲内で使用すること、原則的には医薬品 副作用被害救済制度の給付を受けることが可能であること、同制度の給付を受けた場合には保険で補 償対象とする必要がないことを保険会社に十分説明し、そのリスク相当の保険料を安くした臨床研究 保険に加入することをお勧めします。 5.賠償責任条項の概要 賠償責任条項では、被保険者が実施した臨床研究に起因して、保険期間又は保険責任期間中に、被験者に身 体障害が発生し、被保険者が損害賠償請求を受けたことにより法律上の賠償責任を負担することによって被 る損害に対し保険金を支払います。 (1) 保険金支払いの対象となる損害は、各保険会社の約款に規定がありますが、一般的には、下記項目の 損害で、免責金額を控除した後、支払限度額を限度に支払います。 ① 法律上の損害賠償金(標準的には、治療費、休業損害、逸失利益、慰謝料、葬祭費) ② 応急手当等緊急措置費用 ③ 権利保全費用・損害防止軽減費用 ④ 訴訟費用・弁護士報酬等の争訟費用 ⑤ 保険会社の求めに応じるための所定の協力費用 (2) 標準支払限度額・免責金額(この金額は、増額・減額を検討できます。) 賠償区分 支払限度額 免責金額(自己負担額) 身体賠償のみ 1名あたり 1億円 1事故・1研究あたり 3億円 ○○万円 (研究ごとに異なります。) 6.補償責任条項の概要 補償責任条項では、被保険者が実施した臨床研究に起因して(損保ジャパン日本興亜の場合は、「被保険者が実施した臨 床研究において使用した試験薬等に起因して」)、保険期間又は保険責任期間中に、被験者の身体障害が発見された場合 に、被保険者が、インフォームドコンセントの手続きにおいて被験者に交付した説明文書に記載した健康被 害補償条項(「医法研補償のガイドライン」を参考に補償基準を定めます。)に基づく補償責任を負担することによって被 る損害に対し保険金を支払います。 (1)お支払いする補償保険金は、「医法研補償のガイドライン」に定める補償のうち「補償金」のみで、「医 療費」と「医療手当」は支払対象外です。
(2)被験者が健常人の場合と患者を対象とする場合に分けて、補償基準が異なります。 ① 健常人を被験者とする臨床研究の場合 政府労災基準の、死亡に対し死亡補償保険金、後遺障害 1 級~14 級に対し後遺障害補償保険金を 支払います。1名あたりの標準支払限度額は、次の(3)①のとおりです。 ② 患者を被験者とする臨床研究の場合 医薬品副作用被害救済制度基準の、死亡に対し死亡補償保険金、後遺障害 1 級~2級に対し後遺障 害補償保険金を支払います。1名あたりの標準支払限度額は、次の(3)②のとおりです。 (3)補償責任条項の一般的な支払限度額 (この金額は、増額・減額を検討できます。) ①健常人を対象とする場合の1名あたりの一般的な支払限度額(等級は政府労災基準) 健康被害の程度 三井住友海上 損保ジャパン日本興亜 東京海上日動 死亡 生計維持者 3,400万円 4,000万円 上記 以外 3,400万円 1,800万円 後遺障害 1 級 4,800万円 2,200万円 2 級 4,200万円 2,000万円 3 級 3,700万円 1,800万円 4 級 3,200万円 1,500万円 5 級 2,800万円 1,300万円 6 級 2,400万円 1,100万円 7 級 2,000万円 900万円 8 級 1,600万円 800万円 9 級 1,300万円 600万円 10 級 1,000万円 500万円 11 級 700万円 350万円 12 級 500万円 250万円 13 級 300万円 150万円 14 級 200万円 100万円 ②患者を対象とする場合の1名あたりの一般的な支払限度額(等級は医薬品副作用被害救済制度基準) 健康被害の程度 3社共通 死亡 生計維持者 2,000万円 上記 以外 700万円 後遺障害 1 級 生計維持者 3,000万円 上記 以外 2,000万円 2 級 生計維持者 2,400万円 上記 以外 1,600万円 ③1研究あたりの一般的な支払限度額 3億円 ④補償保険金には免責金額(自己負担額)はありません。 7.1臨床研究あたりの総支払限度額 臨床研究保険では、賠償責任条項と補償責任条項の保険金の合計額に適用される、保険期間又は保険責任期 間中の「総支払限度額」を設定します。 一般的な総支払限度額は3億円です。(この金額は、増額・減額を検討できます。)
Ⅵ 各社「臨床研究保険」の特色
販売会社 3 社の「臨床研究保険」の基本的な骨組みは、上記Ⅴ「臨床研究保険の概要」記載のとおりでありま すが、各社の保険約款(保険会社と保険契約者の約束を記載した文書)と契約規定を精査すると、(1)引受対象とする 臨床研究、(2)補償責任条項の担保範囲、(3)保険期間又は保険責任期間と支払責任の関係、(4)賠償責任 条項の支払限度額と免責金額の適用方法、(5)免責規定、(6)契約方式、保険契約者、(7)被保険者の範囲 等において大きな差異が存在します。以下、順次これらの差異を説明します。 1.引受対象とする臨床研究について 臨床研究保険は保険会社にとっても高度な専門性を要する保険です。引受条件(補償内容、保険料)は、個々 の研究毎に保険会社が審査のうえ決定します。 研究内容について保険会社が「リスクが高い」と判断したり、未知の要素が多く「リスクが見えない」と判 断した場合、引受対象とならない(謝絶)可能性もあります。このため、臨床研究保険を手配する際には、 研究内容とそのリスクについて保険会社に十分な情報を提供することが肝要です。 ㈱カイトーでは、臨床研究保険の専任スタッフが、研究実施計画書等に基づき、ご研究にかかるリスクを精 査のうえ複数の保険会社に解説し、ご研究内容に応じた最適条件(補償内容、保険料)を引き出します。 2.補償責任条項の担保範囲 補償責任条項の担保範囲は保険会社により異なります。 損保ジャパン日本興亜は、補償責任条項の担保範囲を「試験薬等に起因する.........被験者の健康被害に対する補償 責任」と定義付け、担保範囲を制限しております。 また東京海上日動は、「臨床研究に起因する.........被験者の健康被害に対する補償責任」を担保することとしていま すが、「医療行為に起因する損害」は免責となっております。 各社の担保範囲を整理すると、下表のとおりです。 保険会社 健康被害に対する 過失および因果関係の有無 損保ジャパン日本興亜 東京海上日動 三井住友海上 過失あり (賠償責任) 医療行為上の過失 医師賠償責任保険 医師賠償責任保険 医師賠償責任保険 医療行為以外の過失 賠償責任条項 臨床研究保険 賠償責任条項 臨床研究保険 賠償責任条項 臨床研究保険 過失なし (補償責任) 臨床研究との 因果関係あり または 因果関係を 否定できない 医療行為に起因 カバーされません (保険の対象外) カバーされません (免責) 臨床研究保険 補償責任条項 試験薬等に起因 補償責任条項 臨床研究保険 補償責任条項 臨床研究保険 補償責任条項 臨床研究保険 上記以外 または 原因が判別できない カバーされません (保険の対象外) 臨床研究保険 補償責任条項 臨床研究保険 補償責任条項 因果関係が否定できる 補償責任は 発生しない 補償責任は 発生しない 補償責任は 発生しない ※試験薬等とは:損保ジャパン日本興亜の約款において、試験薬等とは「臨床研究において使用される試験薬、医薬 品およびこれらの対照薬(偽薬を含む)ならびに医療機器をいう」と定義されています。またヒト幹 細胞を用いる臨床研究においては、試験薬等の定義に「ヒト幹細胞」を含みます3.保険期間、保険責任期間と支払責任の関係 (1)3 社の標準的な約款では、保険期間と保険責任期間の定義が異なります。使用する薬剤の遅効性等によ り、臨床研究期間の終了後に被験者の身体障害が発生することも考えられますので、保険設計にあたっ て重要なポイントです。 ①損保ジャパン日本興亜、三井住友海上 図のように、保険責任期間は『臨床研究開始時から臨床研究終了後1年間』となっています。 「臨床研究期間」=「保険期間」 「テールカバー期間」 (1年間) 「保険責任期間」 テールカバーが不要な場合は、別途特約を付帯することで臨床研究終了後のリスクを補償の対象から外すこ とも可能です。また、臨床研究の内容によってはテールカバー期間を2年に延長することも可能です。 ②東京海上日動 標準的には、保険期間=臨床研究期間=保険責任期間となり、テールカバーはありません。 「臨床研究期間」 「保険期間」=「保険責任期間」 臨床研究終了後のテールカバーが必要な場合は、下図のように、あらかじめ臨床研究期間にテールカバーに 相当する期間を加えて、保険期間として設定することも可能です。 「臨床研究期間」 「テールカバー期間」 (1年間) 「保険期間」=「保険責任期間」 (2)上記の「保険責任期間」と被験者の身体障害の発生又は発見、及び損害賠償請求・補償請求の時期との 関係で支払責任が決まります。この部分も、3 社の取扱いが異なります。 ①損保ジャパン日本興亜の場合 「臨床研究期間」=「保険期間」 「テールカバー期間」 (1年間) 「保険責任期間」 ②三井住友海上の場合 「臨床研究期間」=「保険期間」 「テールカバー期間」 (1年間) 「保険責任期間」 (※)賠償責任については、保険期間中に発生した身体障害は同期間終了後 3 年以内、テールカバー期間中に発生した身体障害は 同期間終了後 3 年以内の損害賠償請求まで保険の対象となります。補償責任については、保険期間中に発生した身体 障害は同期間終了後 1 年以内、テールカバー期間中に発生した身体障害は同期間終了後 3 年以内に身体障害を発見した場 合に保険の対象となります。ただし、それぞれの期間中に身体障害発生のおそれを知り、その事実をそれぞれの期間 中に保険会社に通知した場合に限ります。 身体障害の発生(保険責任期間中) 損害賠償請求・補償請求 (保険責任期間終了後最大3年以内(※)) 身体障害の発生(保険責任期間中) 損害賠償請求・補償請求(保険責任期間中)
③東京海上日動の場合 「臨床研究期間」 「テールカバー期間」 (1年間) 「保険期間」=「保険責任期間」 (※)保険契約上は損害賠償請求・補償請求の期間についての定めはありません。ただし、損害賠償請求・補償請求につい ては民法の時効のルールが適用されます。 民法第 724 条(不法行為による損害賠償請求権の期間の制限) 不法行為による損害賠償の請求権は、被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から 3 年間行使しない ときは、時効によって消滅する。不法行為の時から 20 年を経過したときも、同様とする。 4.賠償責任条項の支払限度額と免責金額の適用方法 (1)Ⅴ「臨床研究保険の概要」の5「賠償責任条項の概要」で説明したように、賠償責任条項の保険金支払い対象と なる損害は、概ね、下記5項目です。 ①法律上の損害賠償金(標準的には、治療費、休業損害、逸失利益、慰謝料、葬祭費) ②応急手当等緊急措置費用 ③権利保全費用・損害防止軽減費用 ④訴訟費用・弁護士報酬等の争訟費用 ⑤保険会社の求めに応じるための所定の協力費用 (2)上記5項目の損害につき、支払い保険金の計算は、会社別に次のように異なっています。 損保ジャパン日本興亜 三井住友海上 {(①+②+③+④+⑤)の合計額(-)免責金額} を支払限度額を限度に支払う。 東京海上日動 { *②、③、④、⑤の損害は、原則免責金額を適用しないで全額支払う。 (①)の金額(-)免責金額} を支払限度額を限度に支払う。 *但し、④は、①の損害 A が1事故支払限度額 B を超えるときは{④の金額×B÷A}を支払う。 身体障害の発生(保険責任期間中) 損害賠償請求・補償請求の期間については約款上定めがない(※)
5.免責規定 各社の免責規定(保険金を支払わない場合)が異なります。 研究責任者又は臨床研究機関の長は、保険付保を検討するとき、当該臨床研究において不都合な免責条項が ないか十分検討する必要があります。 (株)カイトーでは、臨床研究実施計画書を担当者数人で精読し、当該臨床研究に不都合な免責規定がない か協議し、ケースによっては、保険会社に免責規定の削除、修正を申し入れ、担保条件を整理いたします。 その上で、3 社に保険料の見積もり依頼を致します。 次の表は、各社の主な免責条項です。参考にしてください。 各社の主な免責条項一覧表 記 号 主な免責条項 免責設定保険会社数 賠償責任条項 補償責任条項 ア 保険契約者、被保険者の故意及び故意・重過失による法令違反 3 社 3 社 イ 被験者の故意 2 3 ウ 約定による加重責任 3 2 エ 生計を共にする親族に対する責任 2 2 オ 同居の親族に対する責任 1 1 カ 被保険者の使用人の業務に従事中の身体障害 3 3 キ 被保険者の使用人が被験者となる対価を受けている場合の身体障害 1 - ク 戦争、地震、原子力危険 3 3 ケ 実施計画書から(著しく)逸脱したことに起因する身体障害 3 3 コ 臨床研究の開始前または終了後の医療行為もしくは医薬品使用 1 1 サ 臨床研究の中止・終了後に使用された試験薬等または行われた行為に起因する損害 1 1 シ 試験薬等の所期の効能不発揮 3 3 ス プラセボ投与による治療上の利益不提供 1 1 セ 新生児の先天的異常 2 2 ソ 妊娠、胎児、卵子等の異常 3 3 タ ヒト細胞白血病ウイルス、多発性リンパ部性病変ウイルス 1 1 チ 後天性免疫不全症候群(AIDS)に起因する身体障害 2 2 ツ 抗がん剤、免疫抑制剤に起因する損害 2 3 テ 血液製剤に起因する損害 - 1 ト 市販の医薬品・医療機器の欠陥に起因する身体障害 1 1 ナ 日本国外で発生した身体障害 3 3 ニ 日本国外で実施される臨床研究 3 3 ヌ 保険契約時に発生していることを被保険者が知っていた身体障害 1 2 ネ インフォームド・コンセントを得ていない場合または倫理審査委員会を経ていない臨床研究 1 1 ノ 石綿に起因する損害、汚染危険 3 3 ハ 医療行為に起因する身体障害 3 1 ヒ 避妊・流産防止・陣痛促進・排卵誘発を目的とする研究 2 2 フ ジエチルスチルベストロール(DES)製剤、トリアゾラム、L-トリプ トファン、体内移植用シリコーン、クロラムフェニコール系製剤によ る血液障害、アミノグリコサイド系製剤による聴力障害、キノホルム によるスモン、血糖降下剤による低血糖障害、筋肉注射による筋拘縮 症 2 2 へ 試験薬等に起因し、臨床研究開始前に発生していた事故と同一原因による事故 2 2 ホ 試験薬等の製造・販売業者に提起されていた訴訟と同一の事由による事故 1 1 マ 医薬品副作用被害救済基金の給付を受けた被験者 (2社はこの免責特約を付すことが出来る。1社は特に規定なし) ― 1 等
6.契約方式、保険契約者 弊社では、「臨床研究倫理指針」が改定施行された平成 21 年 4 月 1 日以降、平成 26 年 8 月までに、約 700 件以上の引合を受け取扱いましたが、保険料見積もりにおいて 3 社の較差が大きく、ケースによっては、最 小保険料と最大保険料の較差が10倍以上という案件もありました。 従って、各保険会社のリスク判断が殆ど同等になるまでは、1保険会社との包括契約は保険契約者・被保険 者のデメリットとなると判断し、現状では、原則として臨床研究実施計画毎に、3 社の保険料見積もりを取 り、より良い引受条件と適切な保険料を追及し取扱ってまいります。 弊社が扱う契約は、3 社とも臨床研究毎の個別契約方式を原則とします。 保険契約者は、保険契約の当事者として保険会社と保険契約を締結し保険料支払義務を負う者ですが、通常、 研究責任者、病院長または病院が保険契約者となります。 7.被保険者の範囲について (1)標準約款のままでは、保険会社により範囲が異なる 3 社の約款では、被保険者の範囲が十分でない場合があります。被保険者とは、保険事故発生の場合に保険 金支払いを請求できる者のことでありますから、保険契約上極めて重要な保険契約関係者であります。弊社 扱いの契約では、次の表のように被保険者の漏れがないように範囲を吟味して保険契約を締結しております。 損保ジャパン日本興亜 臨床研究に関する追加条項第3章第2条で、「記名被保険者、追加被保険者、臨床研究に 従事するすべての臨床研究機関および研究者等」と規定しています。 「研究者等」は同3章第1条④で『倫理指針第1の3(用語の定義)(11)に規定する「研 究責任者、臨床研究機関の長その他臨床研究に携わる者」をいいます。』とあるので、約 款上で被保険者に漏れはありません。 東京海上日動 臨床研究特別約款及び臨床研究による健康被害の補償責任に関する特約条項には被保険 者の範囲に関する条文がありません。 ㈱カイトーが取扱う契約では、下記内容の「追加被保険者特約条項」を添付し、被保険 者を漏れなくカバーしています。 『追加被保険者特約条項 第1条この保険契約の被保険者には、保険証券記載の被保険 者のほか次の者を含みます。「○○に関する研究計画書に記載の臨床研究機関、臨床研究 機関の長、研究責任者、臨床研究分担医師およびその他臨床研究に携わる者」』 三井住友海上 治験賠償責任特約条項及び治験補償責任特約条項には被保険者の範囲に関する条文があ りません。 ㈱カイトーが取扱う契約では、保険証券に「記名被保険者のほか、臨床研究機関、研究 責任者および臨床研究機関の長、その他臨床研究に携わる者も被保険者とします。」とい う特約を添付し、被保険者を漏れなくカバーしています。 (2)製薬会社・医療機器メーカーの賠償リスク 製薬会社・医療機器メーカー(以下「メーカー」という。)は、一般的に、自社製品の欠陥に起因する賠償事故に備 えて PL 保険に加入していることが多いと思われます。ただし、研究で使用する医薬品・医療機器が未承認で あったり、承認済みでも承認の範囲を越えて使用する場合、当該 PL 保険ではカバーされない場合があります。 臨床研究保険では、被保険者の範囲にメーカーを含めることで、メーカーの賠償リスクを拡大カバーするこ とが可能です。メーカーを被保険者に含める場合、保険会社による引受可否判断と追加保険料が発生するこ とがありますので、必要に応じて個別にご相談ください。
Ⅶ 具体的加入手続き
1.臨床研究ごとに保険契約を締結いたします。 2.最初にご準備いただくのは、次の3つです。①②③を(株)カイトーにご提出ください。 ①臨床研究実施計画書 ②被験者への説明文書 ③医薬品の添付文書等参考資料 です。 3.上記書類をご提出頂いた後は、下図の流れに沿って手続きを進めます。<ご契約手続きの流れ図> ご契約者 保険代理店 保険会社 研究責任者 病院長 病院 等 (株)カイトー 損保ジャパン日本興亜 東京海上日動 三井住友海上 引受保険会社 <お問い合わせ先> 株式会社カイトー 臨床研究保険営業部 〒160-0023 東京都新宿区西新宿7-2-6 西新宿K-1ビル8階 TEL:03-3369-8811 FAX:03-3369-3120 担当:逸見(ヘンミ)、大沢(オオサワ)、兼松(カネマツ)、黒田(クロダ)、下賀(シモガ) ※引受保険会社のお問い合わせ先電話番号等は、ご契約時にお渡しする書面をご参照ください。 本紙の保険に関する記載については、その概要のみをご紹介しております。保険の内容はご契約時に個別にご案内申し上げま す。詳細につきましては保険約款にてご確認ください。なお、商品名称や補償内容等は引受保険会社により異なり、補償内容 によっては引受保険会社が限られる場合がございます。詳細は各社の保険約款によりますので、ご不明な点がありましたら弊 社または引受保険会社におたずねください。ご契約に際しては必ず「重要事項説明書」および「保険約款」をご確認ください。 ①臨床研究実施計画書 被験者への説明文書 医薬品の添付文書 等ご提出 ②臨床研究の内容を確認 免責削除等担保条件を整理 保険料見積依頼 ③保険会社の 引受可否判断 保険料見積 (約 3 週間) ⑤保険料見積結果のご連絡 カイトー代理店のリコメンデーション ④保険会社の引受可否判断、保険料見積 ⑥採用案の決定 ⑦引受保険会社へ連絡 ⑧保険契約申込書 ⑨保険料請求書 ご郵送または持参 ⑩保険契約申込書の提出 ⑪保険料請求書に基づき保険料の振込み ⑫入金確認 ⑬保険契約申込書の内容確認後 提出 ⑭保険証券 郵送 ※ご契約後1か月を経過しても保険証券が届かない場合は、引受保険会社へお問い合わせください。 ・SJNK14-07669 (2014/9/1) ・14-T-03060 (平成26 年8 月作成) ・B14-101542 (使用期限:2015/8/12)