・ケモノの認識と行動 ・防除柵、電気柵のポイント ・ケモノとの攻防 事務局長 服部 義和 河和田東部美しい山里の会(鯖江市) 農作物野生鳥獣被害対策アドバイザー
猪鹿追詰「いじかおいつめ」 対馬藩 総力を挙げて猪鹿対策に取り組む。 陶山訥庵(すやまとつあん)が中心となり、島を9区域に分け、柵を作って 9年かけて1区域ごとに全滅させた。約8万頭を殲滅、猪はいなくなった。
ケモノの認識
(江戸時代の被害と対策) 江戸時代 元禄13年~宝永6年 (1700~1709年) 猪飢饉「いのししけかち」 八戸藩(1749年) 青森県 --大豆栽培による焼畑や馬産によるオオカミの駆除が影響してイノシシが増加 農作物被害による餓死者3000人・・・。 シシ垣「猪垣、鹿垣、猪鹿垣」 山と里の間に設置 害獣の侵入を防ぐ目的で、里や農地を囲うように垣を設置。木や竹、石積、 土積、自然の地形を利用した物などがあり、山側に溝を掘ったものもある。 ところどころに人が通るため木戸を設け、捕獲の落とし穴も作られている。 江戸時代 中期から各地で本格化 (勝山市北谷町小原に石積現存) 人口 71,352人(1749年) 65,613人(1755年) 乍恐書付願上「谷口組大庄屋勤用録」 当村猪鹿はおびただしく徘徊仕り、諸作喰荒し、難儀迷惑仕り候に付、三州 (三河国)嘉茂郡明賀村の五兵衛と申す狩人、当七月より諸作取入候迄、相 頼み威し申度存じたてまつり候間願申し上げ候。威鉄砲願聞届分引渡目録。 池田町史より 享和二年七月 (1802年)なぜ、ケモノはいなくなったのか(江戸・明治・大正・昭和) 乱獲、感染症、人の活動によって奥山に追いやられた 薪炭林:クヌギ・コナラ・シイ・カシ ⇒ 燃料、腐葉土、ドングリ 人工林:スギ・ヒノキ ⇒ 建築資材、農業資材、生活資材、燃料 竹 林:マダケ・ハチク・モウソウチク ⇒ 筍、住宅・生活資材 ケモノには「エサが減り、危険な環境、退避」
ケモノの認識
なぜ、ケモノは増えたのか・・・それは エネルギーの変革=薪炭から石油に代わる ・薪炭林は放棄され、ドングリが増える 食料の収量増、輸入増 ・24年度タケノコの消費量、輸入の割合は84%(林野庁) 狩猟(捕獲)圧力の低下 ・ピークは昭和51年(53万人)、平成22年(16万人) ケモノには「山にエサは増え、安全な所が広がる」イノシシの認識
イノシシの餌場動向 堅果類(クヌギ・コナラ・シイ・カシ) 竹林 竹林 竹林 杉(植林) 杉(植林) 里のエサ=稲・根菜・果樹・果菜⇔植物根・牧草・残渣・雑食(昆虫・爬虫類) イノシシ餌場動向 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 奥山のイノシシ 植物根(デンプン質)・雑食 ドングリ 積雪期(雑食) イノシシ オス タケノコ・植物根 ジャガイモ等 昆虫等 稲 ドングリ 二番穂 交尾期 イノシシ メス タケノコ 出産期 授乳期 根菜 稲 ドングリ 二番穂 交尾期 仔の親離時期 オスは一才で親離れ メスは一才半で親離れケモノが生きるために・・・
「食べ物」
=
エネルギー
「棲み処」
=
安全な環境
「水・塩」
=
生命維持
ケモノに負けないために・・・
「食べ物」
=
餌を減らす
「棲み処」
=
危険な環境
・取られないように守る(防御) ・恐怖や危険を感じる(攻撃)イノシシの痕跡
• 足跡はVサイン
・副帝はブレーキ役、柔らかい地面か下り坂に残る• イノシシのヌタ場
・ヌタ場は、掘り跡に雨水が溜まってもできる• イノシシの糞
・糞を見ることで、何を食べているのか確認• 泥跡、擦り付け跡
・イノシシの通り道には、泥跡や擦り付け跡がある• 駆け上がる爪痕
・跳び上がるのではなく、駆け上がるので爪痕が残る上り 固い地面 下り 柔らかい地面 イノシシの痕跡
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イノシシの行動
• 臆病で警戒心が強い
・いたるところで、安全を確認する。(天敵がいないか) ・不安があれば、何度でも確認する。(変化は不安)• 慣れると大胆
・人に慣れると、すぐそばにも居る。(昼も里で活動) ・安全なエサ場での行動は、縦横無尽。• 水は平気
・河川は普通に使う。(泳いだり、渡ったりする) ・石の下にはエサがある。(エサ場でもある)イノシシの生態と行動 ・1mを飛び越える能力はあるが、普段は跳ばず 柵などは潜り込みが得意、逃げる時は跳ぶ ・常に身を隠す、山からの出口は草薮から ・草薮から、次の草むら(田んぼ)に隠れる ・警戒心は強く、姿を見せない。身を隠せられる 藪の中なら、人のそばでも居る ・雄は満1歳を過ぎて単独行動、雌は1,5~2歳 で性成熟、12月~2月頃が交尾期、春出産 ・年1産、春に4~5頭出産、授乳期は約1カ月 ・群れはメスと仔、オスは単独か2~3頭の群れ ・雑食で、根菜・昆虫・果実とほとんど食べる ・一日中エサ探し、豊富にエサがあれば大食漢
ニホンジカの生態と行動 ・2m以上を飛び越えられるが、普段は跳ばず 柵などは潜り込みが優先、逃げる時は跳ぶ。 ・数㎞から数十㎞を移動する能力があり、季節的 移動で積雪地の影響を避けることができる。 ・交尾期以外はなわばりを持たず、群れで行動 するため、エサ場によっては大集団にもなる。 ・群れは、母子グループとオス群れに別れて生活 交尾期にオスが縄張を形成、メス群れを入れる ・初産齢は2歳だが、栄養状態が良ければ1歳で 妊娠。年1産1仔、5~6月に出産。 ・草食で、ほとんどの植物を食べる。反芻する。 ・メスでも1日5㎏以上の植物を食べる。
シカは山林被害から
・下層植生の衰退 ・樹木の皮剥ぎ ・土壌流出 ・糞による水質汚染 シカの足跡 シカの苗食害 下層植生被害逃げる、隠れる (クマなど捕食者を除く) ・危険を察したら、戦うより逃げるが勝ち ・嗅ぐ、聞く、見ることで気配を感じとる 《ケモノの行動は、単純な行動しかしない 行動を複雑に解釈しているのは人間》
環境確認のため、常に探索行動をとる
エサを探す ・行動はエサ探しが主、エサ場は覚えている ・イノシシが土を掘ることは、エサ探し行為 子孫を残す ・秋のエサにより、お産の出来る体力が付く ・出産期は、授乳期を過ぎてエサのある時期ケモノの防護柵
• 物理柵
トタン波板、ネット、ワイヤーメッシュなど ・ケモノの行動、進入を遮る道具 ・目隠しをして、中のエサを見えなくする• 心理柵
電気さく ・ケモノに恐怖を教える道具 ・電気の流れを理解して、ケモノが触るように設置・エサをケモノに渡さない
・ケモノを山から出さない
管理をしなければ、怖くない物理柵、何でもする
電気柵に触れると強いショックを与えます。 動物は、柵は危険【柵に近づくと危ない】と学習しますので、近寄らなくなります。 電気さくの電源と電気の流れ 電気の流れ 乾電池 バッテリー ソーラー バッテリー AC100V 直流変換 (アダプター) AC100V 本器電源の種類 ポイント ・電線にケモノの鼻付近が触れる ・地面(アース)に触れている ・本器にアースがしっかりつながる
【心理柵】
電気柵の効果 ゲッターシステム 末松電子製作所は ゲッターシステム 末松電子製作所
畑
や
田
圃
高さの問題例(地面の凸凹)
定規を使って高さを確認する
×
○
×
アスファルト コンクリート テスターで測る
足は、土の上がアースの条件
電気さく 設置場所の注意点(アースが効かない)×
×
×
道路際を開ける作付 40㎝以上、土の部分 砂利・砕石 △ ○アース棒の設置ポイント
アース棒は広範囲で、10cm以上の深さにアース線ごと埋める
パイプに通して立て 草刈機で切らない
ケモノ目線での、電気柵設置のおさらい
1 設置場所の問題・・・・ケモノが探る位置と高さ ・ケモノの行動を理解してケモノ目線で設置 ・斜面や水路など、複雑な地形より平坦な所に張る ・地面の凸凹にあわせて、探る高さに柵線を張る 2 テスター(検電器)の問題・・ケモノの足位置で測る ・コンクリート、アスファルト、砕石の電圧を確認 ・検電器アース棒は、地面に置いて測る方が正確 ・漏電の原因となる物を取り除く 3 電気の流れの問題・・・・・アース(地面)は重要 ・アース棒アース線は、すべて土の中に埋める ・草刈り機などでアース線を切らない工夫 設置したら即通電、電気が流れていない線は教えない尾花町イノシシ対策の変遷
・平成12年、山中でイノシシの痕跡を確認 ・被害は、平成14年頃から里に出始める ・山際の畑は、個人で波板や有刺鉄線で囲う ・田んぼは、担い手農家が電気柵を個人で設置 ・平成15年、市に獣害対策の予算はない ・平成16年、豪雨水害により復旧作業優先 個人の対策により、囲われた所を避けて ノシシの行動範囲はさらに拡大 ・平成17年、河和田地区区長会が市に要望 ・市に対策担当専任、被害状況調査など本格化 ・当時、先進地の滋賀県の情報など研修会開催・イノシシ被害は、農家の問題ではないのか ・集落ぐるみで、非農家に協力してもらえるか ・電気柵は草刈が大変だと聞いている
集落ぐるみで、集落を囲う山際の電気柵設置
被害意識の共有ができず、慎重意見が多い 平成17年度 尾花町は見送り 尾花町 60戸 ・農家組合 10戸 ・家庭菜園 32戸 ・非農家 18戸 平成17年度 各集落で協議に入る 尾花町は協議委員会(9名)で 集落ぐるみ対策を話し合う平成18年度 尾花町総会に諮る 集落ぐるみの設置に向けて(山際約3km) ・15戸前後で四つの班がある ・公平になるように5~600mに区分け ・設置ルートと点検管理を各班に任せる ・撤去と保管も各班に任せる ・昔の田んぼ跡 ・用水路の道 草が少なく 平坦な所が意外と多い 集落ぐるみの電気柵設置 設置する山際の状況
隣の集落から進んで、行動範囲を拡大してきた 集落の人が気にしない場所からイノシシが出没 ・地籍が入りくんでいて、管理の困難な場所 ・民家が無く、人が行かない場所 ・田んぼは、担い手農家に任せてある場所 手入れしない山林 放棄農道 河和田東部美しい山里の会
人が来ることで、にぎやかに
今までの放棄野菜がエサに
イノシシが住みにくい環境になってきました
・人の行動によって、イノシシの獣道が変化していく ・管理していくことでイノシシの知識が増えてきた ・イノシシの出口が解ったことで管理が楽になった ・電気柵に触るイノシシはウリ坊ぐらいになってきた ・3~4年で里を知らないイノシシばかりになる 集落ぐるみ(継続的な対策) ・電気柵設置と点検管理が集落の行事となった ・出没がないことで、農作物が多種に戻った ・誰も行かなかった山際や林内が綺麗になってきた