看護における「巻き込まれ」の概念分析 (研究ノート)
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(2) 牧野 耕次. 72. 面 が あ る 。 牧 野 ら は 、 「巻 き 込 ま れ 」 は わ が 国 に お い て. 分 析 は、 概 念 の 属 性 だ けで な く先 行 要 件 お よ び 帰 結 を提. 看 護 に お け る か か わ り(involvement)の. 否定 的な側面. 示 し、 文 脈 だ け で な く時 間 的 観点 も考 慮 す る ことが で き、. で 主 に 使 わ れ る こ と が 多 い と指 摘 して い る9)。 そ の 理 由 と し て 「巻 き 込 ま れ 」 の 受 動 的 な 語 感 を 挙 げ て い る 。 受. 「巻 き込 まれ 」 の 概 念 分 析 に適 して い る。 「巻 き込 ま れ」 の概 念 分 析 を行 う こ と は、 臨 床 的 お よ び学 術 的 に その 概. 動 的 で 自律 性 を 失 うイ メ ー ジを 惹 起 さ せ る語 感 を もっ. 念 を共 有 す る こ とへ の一 助 と な る。 ま た 、Rodgersの. 「巻 き 込 ま れ 」 は 、 専 門 職 で あ る 看 護 師 の 教 育 上 、 特 に. 念 分 析 法 を 用 い る こ とで 、 概 念 の属 性 だ けで な く、 そ の. 忌 避 さ れ る と 考 え られ る 。 さ ら に 、 看 護 師 が. 先 行 要 件 お よ び 帰 結 も明 らか に な るた め、 実 践 的 お よ び. 「巻 き 込 ま. れ」 を 否 定 的 な意 味 で 捉 え た場 合 、 患 者 との 距 離 を取 り. 概. 理 論 的 に も更 な る方 向 性 へ の示 唆 が得 られ る。. す ぎて 、 患 者 看 護 師 関 係 を に基 づ い た 患 者 理 解 が 困 難 に な る と 「巻 き 込 ま れ 」 を 否 定 的 に と ら え る 弊 害 も牧 野 ら は 指 摘 し て い る1)。 . 「巻 き 込 ま れ 」 は 国 外(英. mentの. 語 圏)に. お け るinvolve-. 訳 語 と し て も使 わ れ て い る 。 ま た 、 involvement. も 、 「巻 き 込 ま れ 」 同 様 、 看 護 師 へ の 警 告 と し て 使 わ れ. II.研 究 方 法 1.デ. ー タ収 集 方 法. 国 内 医学 論 文 情 報 の イ ンタ ー ネ ッ ト検 索 サ ー ビ ス 「医. も、 「巻 き 込 ま れ 」 の み が 使 用 さ れ る わ け で は な く、 「関. 中誌Web」 を 用 い て、 「患 者 看 護 師 関 係 」 「巻 き込 ま れ」 を キ ー ワー ドに、1983年 ∼2011年 の文 献 を検 索 した。 そ の結 果 、17文 献 が 得 られ た。 そ の17件 の うち、 看 護 学 生. 与 」7)「か か わ り」8)な ど の 語 も使 用 さ れ て い る 。 ま た 、. の 「巻 き込 ま れ 」 は除 外 した。 ま た、 引用 に看 護 にお け. て い る5)6)。. involvementの. し か し、involvementの. 訳語 の. 訳 語 と して 必 ず し. 「巻 き 込 ま れ 」9)が、 新 訳 版 で. 「か. か わ り」8)へ と 変 更 さ れ る 著 作 も み ら れ る な ど 、 わ が 国 で は 、 「巻 き 込 ま れ 」 とinvolvementの. 概念 にっ いて、. る 「巻 き込 ま れ 」 に関 す る記 述 が み られ た場 合 、 可 能 な 限 り引用 元 とな る文 献 も含 め た。 さ らに、 「巻 き込 ま れ」 を掲 載 して い る看 護 関 連 の 辞 典2件 を含 め た。 最 終 的 に. 混 乱 し た 状 況 が み られ る 。. 「巻 き込 まれ 」 の 概 念 に 関 す る記 述 の あ る33件 を分 析 対. わ ず か で は あ る が 、 「巻 き 込 ま れ 」 を 掲 載 し て い る 看 護 関 連 の 辞 典 も み ら れ る 。 「看 護 学 事 典 」 に お い て 、 岡. 象 と した。 2.分 析 方 法. 谷'°)は 「巻 き込 ま れ 」 の 訳 語 をover-involvementと. し、. 33件 の 分 析 対 象 文 献 か ら、 「巻 き込 ま れ」 概 念 の 先 行. 「人 と の 関 係 の 中 で 、 自 分 の 方 向 性 を 見 失 っ て 他 者 の 世. 要 件 ・属 性 ・帰 結 に関 す る記 述 を抜 粋 した。 抜 粋 した記. 界 に 引 き 込 ま れ る こ と 」 と し て い る 。 ま た 、 「巻 き 込 ま. 述 を 「巻 き込 ま れ 」 概 念 の 先 行 要 件 ・属 性 ・帰 結 に ま と め て、 質 的帰 納 的 に内 容 を分 析 し看 護 に お け る 「巻 き込. れ 」 に っ い て 、 「見 失 う 」 やover-involvementと. い う語. が 用 い ら れ 、 否 定 的 な 側 面 が 説 明 さ れ て い る が 、 「しか. ま れ 」 概 念 の 先 行 要 件 ・属 性 ・帰 結 を 抽 出 した。 ま た、. し、 巻 き 込 ま れ を 上 手 に 活 用 す る こ と で 現 実 的 な 関 係 を. 「巻 き込 まれ 」 の関 連 概 念 を あ げ、 「巻 き込 まれ 」 との 違 い を 吟 味 した。. 信 頼 関 係 へ と 発 展 さ せ る こ と が で き る 」1°)と 、 肯定 的 な 側 面 も記 載 さ れ て い る 。 「精 神 保 健 看 護 辞 典 」n)で は 「巻 き 込 ま れ 」 の 訳 語 と して 、involvementとover-involvementが. 採 用 さ れ 、 「他 者 と の 関 係 に お い て 、 主 体 性 を 意. 皿.研. 究結果. 識 的 、 無 意 識 的 に相 手 に合 わ せ て もの ご と を 感 じた り、. 分 析 の 結 果 、 抽 出 さ れ た 看 護 に お け る 「巻 き 込 ま れ 」. 行 動 し た り す る こ と」 と 説 明 さ れ て い る 。 「精 神 保 健 看. の 先 行 要 件 ・属 性 ・帰 結(図1)に. 護 辞 典 」11)では 、 「巻 き 込 ま れ 」 が 否 定 的 な 意 味 で の 使 用. 行 う 。 次 に 、 「巻 き 込 ま れ 」 の 関 連 概 念 に っ い て 説 明 を. が多 い と説 明 され て い るが、 患 者 の主 体 性 を保 ち なが ら、. 行 う。. 看 護 の 専 門 性 を 発 揮 す る に は、 ほ ど良 い 程 度 の. 「巻 き 込. 1.看. つ い て、 順 に説 明 を. 護 に お け る 「巻 き 込 ま れ 」 の 先 行 要 件. ま れ 」 が 必 要 で あ る と も説 明 さ れ て い る 。 両 辞 典 と も に. . 否 定 的 な 側 面 が 主 に説 明 さ れ 、 肯 定 的 な 側 面 に っ い て は 、. 約 】 【看 護 師 の 能 力 】 【患 者 の 感 情 】 【患 者 の 状 況 】. わ ず か に 言 及 す る 程 度 の 説 明 が 行 わ れ て い る 点 は 同 じで. 「巻 き込 ま れ 」 の 先 行 要 件 と し て 【看 護 師 の 管 理 的 制. 【患 者 の 意 志 】 【家 族 の 混 乱 】 の6カ. テ ゴ リーが 抽 出 さ. あ るが 、 訳 語 に違 いが 見 られ る。. れ た。. 以 上 の よ う に、 臨 床 看 護 師 か ら研 究 者 に 至 る ま で 、. 看 護 師 側 の 要 件 と し て は 、 看 護 業 務 内 容13)・余 裕 の な. 「巻 き 込 ま れ 」 と い う概 念 が 共 有 さ れ な い ま ま 、 使 用 さ. さ14)15)・ 他 の 患 者 へ の 対 応 を 中 断 し な け れ ば な らな い状. れ て い る 現 状 が み られ る 。 し た が っ て 、 本 研 究 で は 、 文. 況1)15)な ど 、 【看 護 師 の 管 理 的 制 約 】 が 、 看 護 師 の. 脈 や状 況 に よ って、 概 念 の意 味す る と こ ろが変 わ る. き込 ま れ」 へ とっ な が って い た。 ま た、 臨床 経 験 の 少 な. 「巻 き 込 ま れ 」 に 対 し て 、 文 脈 依 存 的 な 語 に 適 したRodg-. さ1)14)16)・看 護 師 自 身 の 能 力13)・ 患 者 が 表 出 す る 感 情 の. ers12)の 方 法 を 用 い て 概 念 分 析 を 行 う。 Rodgers12)の. 意 味 を 理 解 して い な い15)・患 者 を 十 分 に 把 握 で き な い15)・. 概念. 「巻.
(3) 看護 における 「 巻 き込 ま れ」 の概 念 分 析. 73. 先行要件. 属性. 帰結. 看護師の管理的制約. 看 護 師 に 陰性 感 情 が 起 こ る. 状況の肯定的変化. 看 護 師 の能 力. 患者 との 距 離 が保 て な くな る. 看 護 師 自身 の 振 り返 り. 患者の感情. 患者 に 共感 す る. 患者の感情表出. 患 者 の症 状. 看護師の対応困難. 患者の意志. 看護師の消耗感. 家族の苦悩. 図1.巻 き 込 ま れ の 概 念 分 析 結 果 自 分 一 人 で 対 応 し て し ま お う と思 う'5)、か か わ れ る か ど. り3°)、 患 者 に 振 り 回 さ れ た り14)33)、コ ン トロ ー ル さ れ た. う か の 査 定13)な ど 、 【看 護 師 の 能 力 】 の 限 界 も 「巻 き 込. り す る3°)など. ま れ 」 に つ な が っ て い た 。 一 方 で 、 「巻 き 込 ま れ 」 を 振. 状 況 が起 こ って い た 。. 【患 者 と の 距 離 感 が 保 て な く な る 】2°)22)3°). り 返 り1)、 経 験 を 積 み1)【 看 護 師 の 能 力 】 が 向 上 す る こ. さ ら に 、 否 定 的 な 看 護 師 の 感 情 だ け で は な く、 看 護 師. と で 、 患 者 の ペ ー ス で か か わ り患 者 を 理 解 す る こ と が で. は 患 者 の 世 界 ・苦 悩 ・苦 痛 な ど を 共 有 し14)22)2A)、 その気. き る よ う に な る な ど 「巻 き 込 ま れ 」 を 活 用 す る よ う に な っ. 持 ち に 寄 り 添 う27)こと で 、 患 者 と の 同 調22)一体 感16)を 感. て い た1)。. じ て い た 。 こ れ ら 、 看 護 師 の 肯 定 的 な 経 験 を 【患 者 に 共. 患 者 側 の 要 件 で は 、 気 分 変 動17)・ 怒 り1)18)19)・攻 撃 1)17)20)21)・ イ ラ イ ラ'5)17)・ 興 奮20)・不 安15)18)・悩 み22)・悲 嘆. 感 す る 】 と した 。. 22)など 【患 者 の 否 定 的 な 感 情 】15)18)23)24)25)に よ り. 、 看護師. 3.看 . 護 に お け る 「巻 き 込 ま れ 」 の 帰 結. 「巻 き 込 ま れ 」 の 帰 結 と し て. 【看 護 師 の 対 応 困 難 】. は 患 者 に 巻 き 込 ま れ て い た 。 次 に 、 症 状1)21)26)・身 体 機. 【看 護 師 の バ ー ン ア ウ ト】 【看 護 師 自 身 の 振 り 返 り 】. 能 低 下15)'9)27)・ 苦 痛 が 取 り 除 か れ な い'5)・ ヒ ス テ リ ー 発. 【看 護 師 の 成 長 】 【患 者 の 感 情 表 出 】 【状 況 の 肯 定 的 な. 作25)28)・心 気 的 な 訴 え23)25)28)・ 手 洗 いが止 め られ ない こ. 変 化 】 の6カ. と29)・問 題30)・ 希 死 念 慮31)・ 自 殺 企 図31)な ど 【患 者 の 状. . テ ゴ リーが 抽 出 さ れ た。. 況 】 で も 、 看 護 師 の 「巻 き 込 ま れ 」 が 起 き て い た 。 さ ら. 者 と 自 分 の 感 情 を 整 理 し た り14)する な ど 【看 護 師 自 身 の. に 、 様 々 な 要 求14)・ 患 者 の 期 待22)・ 無 視 す る よ う な 態 度 15)・拒 否15)22)・納 得 し な い 態 度15)19)・苦 情15)・ 繰 り 返 さ れ. 振 り 返 り】'5)3')を行 っ て い た 。 ま た. 「巻 き 込 ま れ 」 に よ り 、 思 い を 先 輩 に 話 し た り14)、患. 「巻 き 込 ま れ 」 を 体. る 訴 え15)23)28)31)な ど 【患 者 の 意 志 】 と 向 き 合 う こ と で も. 験 し 、 深 く学 ぶ27)【看 護 師 の 成 長 】14)が み ら れ て い た 。 一方 で 、 看 護 師 が 職 務 を 遂 行 で き な く な っ た り30)、患 者. 「巻 き 込 ま れ 」 が 起 き て い た 。 最 後 に 、 妻32)や 夫33)な ど. へ の ア プ ロ ー チ が 途 切 れ た り22)、何 を し た ら よ い の か わ. 【家 族 の 混 乱 】33)が先 行 要 件 と な っ て い た 。 2.看 . 護 に お け る 「巻 き 込 ま れ 」 の 属 性. か ら な く な っ た り15)、患 者 を 避 け た り22)、防 衛 的 な っ た り す る19)など 【患 者 と の 対 応 困 難 】32)33)もみ ら れ て い た 。. 「巻 き 込 ま れ 」 の 属 性 と し て 【看 護 師 に 陰 性 感 情 が 起. ま た 、 喪 失 感16)・ 自 責 感22)・疲 労 感19)・ 空 虚 感19)・ 無 益. こ る 】 【患 者 と の 距 離 感 が 保 て な く な る 】 【患 者 に 共 感. 感22)19)・消 耗 感19)を 抱 い た り 、 エ ネ ル ギ ー を 吸 い 取 ら れ. す る 】 の3カ. た と 感 じ た り す る17)など 、 【看 護 師 の バ ー ン ア ウ ト】25). テ ゴ リーが 抽 出 さ れ た。. 看 護 師 は 、 上 記 の 先 行 要 件 に よ り、 ど う して も患 者 に. に も至 っ て い た 。 患 者 が 泣 い た り1)、 看 護 師 が 話 を 聴 い. 添 え な い 感 情31)や 、 怒 り13)15)19)・ 不 安13)・ 憂 う つ22)・負 担 18)・役 割 に っ い て の 葛 藤13)'7)22)・ 戸 惑 い'3)'5)17)32)な どの否. た り す る1)な ど 【患 者 の 感 情 表 出 】1)が 促 さ れ て い た 。. 定 的 な 感 情13)19)や逆 転 移10)を 引 き 起 こ し 、 そ れ ら に 対 し. た り22)、患 者 が 暴 力 を 自 制 し た り す る17)な ど 【状 況 の 肯. て 感 情 を コ ン トロ ー ル で き な く な っ て い た 。 こ れ ら、 看. 定 的 な 変 化 】 も 見 られ て い た 。. ま た 、 看 護 師 が 方 向 性 を 見 い だ し た り27)、役 割 を 果 た せ. 護 師 の 感 情 的 な 反 応 を 【看 護 師 に 陰 性 感 情 が 起 こ る 】 と. 4.「. した。. . 巻 き込 まれ 」 の 関連 概 念. ま た 、 看 護 師 は 、 中 立 に な れ な か っ た り32)、患 者 の 世. る 。 逆 転 移 は、 特 定 の 患 者 に理 由 の な い 感 情 を 抱 い た り、. 界 に 取 り 込 ま れ そ う に な っ た り21)、患 者 を 幼 児 扱 い し た. 患 者 に 特 定 の 感 情 を 抱 い た りす る こ と で あ る 。 岡 谷10)は、. 「巻 き込 ま れ 」 の 関 連 概 念 と し て 、 逆 転 移 が 挙 げ られ.
(4) 牧野 耕次. 74. 「巻 き 込 む 側 ・巻 き 込 ま れ る 側 双 方 に お い て 、 精 神 分 析. 「巻 き込 まれ 」 の 概 念 に 関 す る混 乱 した状 況 にお い て 、. 的 に は 転 移 ・逆 転 移 が 存 在 す る 」 と述 べ て い る 。 「巻 き. 以 上 の よ うな 「巻 き込 まれ 」 の否 定 的 な側 面 は、 大 半 の. 込 ま れ 」 は、 学 術 的 な用 語 とい うよ り は、 も と もと主 観. 看 護 師 の と らえ 方 で あ る。. 性 を 含 ん だ 臨 床 体 験 に根 ざ した用 語 で あ る。 一 方 、 逆 転 「分 析 」 と い う語 に も あ らわ れ て い る. 一 方 で 【看 護 師 の 能 力 】 の 向上 に よ り、 患 者 の ペ ー ス で か か わ る こ とで 患 者 を 理 解 す る こ とが で き る よ う に な. とお り、 客 観 性 を重 視 した精 神 分 析 理 論 にお け る学 術 的. る な ど、 「巻 き込 まれ 」 を 活 用 す る よ うに な って い た 。. 移 は、 精 神 分 析 の. な用 語 で あ る。. この よ うな 「巻 き込 まれ 」 の肯 定 的 な側 面 に対 応 す る属. 次 に 、 両 価 的 な 意 味 を も ち 、 「巻 き 込 ま れ 」 が 訳 語 と. 性 は 【患 者 に共 感 す る】 で あ る と考 え られ る。. し て 使 わ れ るinvolvementも. これ ら 「巻 き込 まれ 」 の 否 定 的 な側 面 と肯 定 的 な側 面. involvementは. 関 連 概 念 と し て 挙 げ ら れ る。. 、 「巻 き 込 ま れ 」 と 同 様 、 教 育 に お い て. を っ な ぐに は 、 帰 結 にお け る 【看 護 師 自身 の 振 り返 り】. 警 告 の 対 象 と さ れ る 一 方 で 、Travelbee 7), Peplou34),. が 重 要 と な る。 「巻 き込 ま れ 」 は 、 看 護 師 個 人 の主 観 的. Watson35), . な体 験 で あ る。 牧 野1)は 、 精 神 科 の 経 験 の 浅 い 看護 師 は、. Benner 6)な ど 、 わ が 国 に お い て も 著 名 な 看. 意 図 せ ず に 「巻 き込 ま れ」 に陥 るが、 そ の 「巻 き込 まれ」. 護 理 論 家 に よ り肯 定 的 に 評 価 さ れ て い る 。involvement も 両 価 的 側 面 が あ り、 「巻 き 込 ま れ 」 と 同 義 の よ う で あ. を振 り返 る こ とで 、 主 体 的 に 「巻 き込 ま れ 」 を 活 用 し、. る 。 し か し、 わ が 国 に お け る 「巻 き 込 ま れ 」 よ り も 、. 患 者 の ペ ー ス で か か わ る こ とで 患 者 を理 解 す る よ う に な. involvementは. る と指 摘 して い る。 す な わ ち、 「巻 き込 ま れ 」 の否 定 的. 肯 定 的 に 評 価 さ れ て い る と言 え る。 そ の 対. な側 面 で あ る 【看 護 師 に陰 性 感 情 が起 こ る】 【患 者 と の. す る著 名 な 看 護 理 論 家 に よ る肯 定 的 な評 価 な どが 挙 げ ら. 距 離 感 が保 て な くな る】 に対 す る 【看 護 師 自身 の 振 り返. れ る 。 ま た 、 「関 与 」 「か か わ り 」 な ど 、involvementは. り】 に よ り、 【看 護 師 の 成 長 】 が 起 こ り、 肯 定 的 な側 面 の 「巻 き込 ま れ」 で あ る 【患者 に共 感 す る】 よ う にな り、. 理 由 と し て 、 「巻 き 込 ま れ 」 の 語 感 やinvolvementに. 能 動 的 な 側 面 を 持 っ て い る こ と も 理 由 と し て 挙 げ られ る。 「巻 き 込 ま れ 」 の 関 連 概. そ の帰 結 と して 【患 者 の 感 情 表 出】 【状 況 の肯 定 的 な変. 念 と 考 え ら れ る 。 な ぜ な ら、 「巻 き 込 ま れ 」 の 過 剰 な 程. 化 】 が 起 こ る と い うよ う に、 「巻 き込 ま れ」 の 否 定 的 な. 度 を 表 すover-involvementが. 時 に 「巻 き込 ま れ 」 の 訳 語. 側 面 か ら肯 定 的 な 側 面 へ の 移 行 が 、 【看 護 師 自身 の 振 り. と し て 使 用 さ れ て い る た め で あ る1°)36)。 過 剰 な意 味 を 示. 返 り】 に よ り起 こ る と い う一 つ の モ デ ル が 示 唆 され る。 この モ デ ル か ら、 教 育 的 に 「巻 き込 ま れ」 が警 告 の 対 象. 最 後 に 、over-involvementも. す 接 頭 語 のover一 が 示 す 通 り、 over-involvementに. は、. 肯 定 的 な 側 面 は 含 ま れ て い な い こ と が 、 「巻 き 込 ま れ 」. と な る こ とや 、 経 験 を 積 ん だ 看 護 師 が 「巻 き込 まれ 」 を. との 違 い で あ る。. 肯 定 的 に捉 え て い る こ とが 理 解 で き る。 2.「 巻 き込 まれ 」 に 関 す る 時 間 的3つ の 観 点. N.考. 察. 1.「 巻 き込 ま れ 」 の 先 行 要 件 ・属 性 ・帰 結 の 関 連 性 お. 本 研 究 結 果 に お け る先 行 要 件 ・属 性 ・帰 結 は、 次 の 時 間 的3つ の 観 点 か ら と らえ る こ とが で きる と考 え られ る。 す な わ ち、 患 者 と の1場 面 に お け る 「巻 き込 ま れ 」、 看. よ び 両 価 性 に関 す る混 乱. 護 師 と受 け持 ち 患 者 な ど患 者 看 護 師 関係 の 展 開 にお け る. 本 研 究 結 果 で あ る 「巻 き込 ま れ」 の 先 行 要 件 は、 看 護. 「巻 き込 ま れ」、 看 護 師 の キ ャ リアに お け る 「巻 き込 まれ」 で あ る。 患 者 との1場 面 に お け る 「巻 き込 まれ 」 は、 時. 師側 の 要 件 と患 者 側 の要 件 に分 か れ て い た 。 看 護 師 側 の 先 行 要 件 で あ る 【看 護 師 の 管 理 的 制 約 】 【看 護 師 の 能 力 】 の 限 界 お よ び、 患 者 側 の先 行 要 件 で あ る 【患 者 の感. 間 的3つ の観 点 の 中 で 一 番 短 く、 患 者 との か か わ り に お いて 、 そ の 場面 だ け で起 こ りえ る 「巻 き込 まれ 」 で あ る。. 情 】 【患 者 の 状 況 】 【患 者 の意 志 】 【家 族 の 混 乱 】 に よ. 看 護 師 と受 け 持 ち 患 者 な ど患 者 看 護 師 関係 の 発 展 にお け. り、 看 護 師 は状 況 を コ ン トロ ー ル す る こ と、 す なわ ち主. る 「巻 き込 ま れ 」 は、 複 数 のか か わ りの場 面 が 積 み 重 な. 体 性 を も って 専 門職 と して看 護 を行 う こ とが で きな くな っ て い る と考 え られ る。 この よ うな看 護 師 の 「巻 き込 まれ」. り形 成 さ れ る患 者 看 護 師 関 係 の展 開 過 程 で起 こ る 「巻 き 込 ま れ」 で あ る。 看 護 師 の キ ャ リア に お け る 「巻 き込 ま. に対 応 す るの は、 本 研 究 結 果 の 「巻 き込 まれ 」 の 属 性 で. れ」 は、 「巻 き込 ま れ」 の否 定 的 な側 面 か ら肯 定 的 な 側. あ る 【看 護 師 に陰 性 感 情 が 起 こ る】 【患 者 との 距 離 感 が. 面 へ の移 行 が 【看 護 師 自身 の振 り返 り】 に よ り起 こ る と い う前 述 した モ デ ル に該 当 す る。 看 護 師 の キ ャ リア に お. 保 て な くな る】 で あ る と考 え られ る。 以 上 の よ う な 「巻 き込 ま れ 」 の 帰 結 と して、 【看 護 師 の対 応 困 難 】 【看 護. け る 「巻 き込 ま れ」 で は、意 図 的 に主 体 性 を もちな が ら、. 師 の バ ー ン ア ウ ト】 が 対 応 して い る。 時 間 の 経 過 と して は、 この よ う な 「巻 き込 ま れ」 に よ り、 【看 護 師 の対 応. 患 者 の主 体 性 も尊 重 し 「巻 き込 ま れ」 を活 用 す る と い う. 困難 】 が み られ 、 そ の よ うな経 験 が 繰 り返 さ れ る こ とで 、. ま た 、 【看 護 師 自身 の 振 り返 り】 が行 わ れ な い 場 合 は、. 【看 護 師 のバ ー ン ア ウ ト】 が 起 こ って い る と考 え られ る。. よ うに 、 技 術 的 に 「巻 き込 ま れ 」 が と らえ られ て い る。 技 術 的 に 「巻 き込 まれ 」 を活 用 す る ま で に は至 らず 、 先.
(5) 看護 における 「 巻 き込 ま れ」 の概 念 分 析. 75. 行 要 件 な どの 状 況 が そ ろ え ば否 定 的 な 側 面 の 「巻 き込 ま れ」 を 繰 り返 す 傾 向 に あ る と考 え られ る。. い る。 客 観 性 を 重 視 す る精 神 分 析 に お い て、 精 神 分 析 家. 3.「 巻 き込 ま れ」 の 程 度 にお け る混 乱. 治 療 の妨 げ とな る。 す なわ ち、 客 観 的 な治 療 に、 精 神 分. 主 に 否 定 的 な側 面 で 「巻 き込 ま れ」 の 概 念 が 使 用 され る場 合 、 「巻 き込 ま れ す ぎ」 や過 剰 な 「巻 き込 ま れ 」 を. 析 家 の主 観 が 入 り込 む こ とで 客 観 性 が脅 か され る こ と を. 意 味 して い る場 合 が 多 い と推 察 され る。 す な わ ち、 「巻. 客 観 性 を担 保 す るた め に、 上 級 の分 析 家 に よ る教 育 分 析. の未 解 決 の 葛 藤 を ク ライ ア ン トに重 ね合 わせ る逆 転 移 は、. 問 題 視 して い る と も考 え られ る。 そ こで、 精 神 分 析 家 は、. き込 ま れ 」 の 否 定 的 な側 面 の属 性 で あ る 【看 護 師 に陰 性. (訓 練 分 析)を. 感 情 が 起 こ る】 【患 者 と の距 離 感 が 保 て な くな る】 こ と. 護 で は、24時 間 患 者 と向 き合 い訴 え の窓 口 とな る こ とが. に よ り、 患 者 の 世 界 に 引 き込 ま れ る程 度 が 過 剰 に な る と い う こ とで あ る。 患 者 の世 界 に 引 き込 ま れ る程 度 が 過 剰. 多 い。 ま た、 時 に 「自分 の方 向性 を見 失 って他 者 の 世 界 に 引 き込 ま れ る」 「巻 き込 まれ 」 を 経 験 し、 そ の経 験 を. で な けれ ば 、 患者 の世 界 を体 験 的 に理 解 し 【患 者 に共 感. 振 り返 る こ とで 、 「巻 き込 まれ 」 を 活 用 し、 自分 を 見 失. す る】 (「巻 き込 ま れ」 の 肯 定 的 側 面)こ. わず に患 者 の世 界 に引 き込 まれ 、 患 者 を理 解 し援 助 す る こ と もで き るよ う にな る と考 え られ る。 この よ う に逆 転. と が可 能 で あ. る。 「巻 き込 ま れ 」 が、 実 際 は 「巻 き込 まれ す ぎ」 や 過 剰 な 「巻 き込 まれ 」 を意 味 して い る とい う推 察 の 根 拠 と して は、 「巻 き込 まれ 」 の訳 語 に、over-involvementが 使 わ れ て い る'°)36)こ と が 挙 げ られ る。involvementの. 訳. 受 け る こ とを 重 要 視 して き た 。 一 方 、 看. 移 と 「巻 き込 ま れ 」 の 概 念 に お い て は、 学 問 的 背 景 や 客 観 性 と中 立 性 の と らえ 方 が 異 な っ て い る と考 え られ る。 精 神 分 析 で は 、 客 観 性 や 中 立 性 を重 視 して きた 背 景 が あ. 語 が 「巻 き込 まれ 」 で あ って も、 「か か わ り」 や 「関与 」. る。 看 護 は、 客 観 性 や 中 立 性 を軽 視 して い る訳 で は な い. で あ って も、 そ のinvolvementに. 「過 剰 な 」 と い う否 定. が 、 そ の実 践 中 は客 観 性 や 中 立 性 を保 っ こ とが 非 常 に難. 的 な 意 味 を 含 ん だ接 頭 語 が 付 され た単 語 が 、 「巻 き込 ま れ 」 の訳 語 と して使 わ れ て い る。involvementの 訳 語 の 一 っ に 「巻 き込 ま れ」 が あ る に もか か わ らず 、 「巻 き込. しい。24時 間患 者 の 訴 え に直 面 し、 コー ル され れ ば 必 ず 対 応 し、 体 に触 れ本 人 に苦 痛 を与 え る治 療 の補 助 を 行 い、. ま れ 」 の 訳 語 がover-involvementで. あ る とい うの は、 非. 寄 り添 い続 け て きた 。 この よ うな看 護 の歴 史 の 中 で 、 看. 常 に奇 妙 で 、 混 乱 を招 くの は 当然 で あ る。 元 来 「巻 き込 ま れ」 自体 が 、 主 観 的 な個 人 の 臨床 体 験 に根 ざ した もの. 護 師 は当 然 、 「巻 き込 ま れ 」 を 引 き起 こ して 、 時 に 対 応. で あ り共 有 が 困 難 で 、 そ の程 度 の共 有 は さ らに困 難 で あ. 治 療 が行 え な くな り苦 痛 を抱 え た ま ま の患 者 や 家 族 に も. 困 難 に 陥 った り、 燃 え 尽 き た りす る な ど、 苦 痛 を 経 験 し て きた 。 そ の 体 験 を振 り返 り、 「巻 き込 ま れ 」 を活 用 す. る。 した が って 、 定 義 さ れず 、 体 験 を概 念 で 共 有 され て. る こ とで、 客 観 性 や 中 立 性 と は異 な った次 元 で 、 患 者 の. い な い 「巻 き込 ま れ す ぎ」 や 過 剰 な 「巻 き込 ま れ 」 を 、. 経 験 世 界 を理 解 し、 援 助 に お け る専 門性 を 発 展 させ て き た と考 え られ る。 逆 転 移 と い う概 念 の背 景 に は、 客 観 性. 受 動 的 で 自律 性 を失 うイ メ ー ジを惹 起 させ る否 定 的 な語 感 を もっ 「巻 き込 まれ 」 と い う用 語 で 慣 用 的 に集 約 して 表 現 して い るの だ と考 え られ る。 した が っ て、 「巻 き込. や 中立 性 を担 保 す る治 療 環 境 の設 定 や教 育 分 析 な ど非 常 に高 度 な専 門 性 が 存 在 す る。 同 様 に、 治 療 環 境 を 固 定 的. ま れ」 の 程 度 にお け る混 乱 を避 け るに は、 前 述 の 「巻 き 込 ま れ 」 の 否 定 的 な側 面 と 「巻 き込 ま れ す ぎ」 や 過 剰 な 「巻 き込 まれ 」 の 関 係 を 理 解 す る こ と が重 要 で あ る。 ま た、 患 者 の 体 験 世 界 を理 解 し 【患 者 に共 感 す る】 ことが 可 能 な 「巻 き込 まれ 」 も程 度 が過 剰 で はな い レベ ルで 存 在 して い る こ と を理 解 す る こ と も重 要 で あ る。 以 上 の 「巻 き込 ま れ 」 とinvolvement、 over-involvementに. お け る概 念 の 考 察 を踏 ま え 、 程 度 を 縦 軸 に、 受. 動 性 と能 動 性 を 横 軸 に そ の混 乱 を整 理 し、 「巻 き込 ま れ」 と関連 用 語 との 関 係 図 と して 図2に 示 した 。 4.「 巻 き込 ま れ」 と逆 転 移 につ いて 逆 転 移 は、 精 神 分 析 の実 践 で も使 用 され て い る、 精 神 分 析 理 論 に よ り明 確 に規 定 さ れ た用 語 で あ る。 精 神 分 析 理 論 は、 元 来 、 心 的 エ ネ ル ギ ー を 想 定 す る37)など、 客 観 性 に基 づ く科 学 を指 向 して い る。 精 神 分 析 の 実 践 に お い て は、 ク ラ イ ア ン トが 楽 な姿 勢 で 自由 連 想 が で き る よ う カ ウチ を 使 用 し、 分 析 家 と の物 理 的 距離 を 一 定 に し、 心 理 的 に は中 立 にす る な ど、 客 観 性 を 保 っ 工 夫 が な され て. 図2.「巻 き込 まれ 」 と 関連 用 語 と の 関係.
(6) 牧野 耕次. 76. に設 定 す る こ とが 困 難 な た め に、 実 践 に お け る客 観 性 や. わが 国 看 護 の 全 て の領 域 に浸 透 して い る とは言 いが た い。. 中 立 性 を 一 定 に保 っ こ とが 非 常 に 難 しい 看 護 に お い て は 、. 新 た な 概 念 と理 論 的 枠 組 み を、 「巻 き込 ま れ 」 の よ う な. 「巻 き 込 ま れ 」 と い う 概 念 や 技 術 を 発 展 さ せ る 途 上 に あ. 慣 用 的 な使 用 の 影 響 を 受 け る こ とな く導 入 で き る と い う. る と考 え ら れ る 。. 機 会 に す る こ と も可 能 で あ る と考 え る。. 5.「. 本 研 究 で は、 「巻 き込 ま れ 」 の 属 性 と して 【看 護 師 に. 巻 き込 ま れ 」 の 概 念 に お け る更 な る 発 展 へ の 影 響. や仮 説 の 特 定. 陰 性 感 情 が 起 こ る】 と い う結 果 が 得 られ た 。 「巻 き込 む. 以 上 考 察 して き た と お り、 看 護 に お け る 「巻 き 込 ま れ 」. 側 ・巻 き込 まれ る側 双方 にお い て、精 神 分析 的 に は転 移 ・. の 概 念 に 対 す る 理 解 は 、 複 数 の 側 面 が 関 連 し合 い 複 雑 で. 逆 転 移 が 存 在 す る」 と言 わ れ て い る1°)。 【看 護 師 に陰 性. 混 乱 し た 状 況 に あ る 。 【看 護 師 に 陰 性 感 情 が 起 こ る 】. 感 情 が起 こ る】 の は、 陰 性 の逆 転 移 で あ る と考 え られ る. 【患 者 と の 距 離 感 が 保 て な く な る 】 と い う 「巻 き 込 ま れ 」. が 、本 研 究結 果 にお い て は、陽 性 の逆 転 移 が み られ な か っ. の 否 定 的 な 側 面 か ら 【患 者 に 共 感 す る 】 と い う 肯 定 的 な. た。 これ は、 対 象 に な っ た文 献 が 主 に、 「巻 き込 ま れ 」. 側面 への移行が. に関 す る問題 に っ い て 検 討 して い る こ とに よ る と考 え ら. 【看 護 師 自 身 の 振 り返 り 】 に よ り起 こ る. と い う 仮 説 は 、 「巻 き 込 ま れ 」 の 概 念 や 技 術 を 発 展 さ せ. れ る。 ま た、 「巻 き込 ま れ 」 を肯 定 的 に と らえ た場 合 、. る上 で 重 要 な モ デ ル と な る 。 専 門 性 が 失 わ れ 、 燃 え 尽 き. 患 者 に感 情 移 入 し 【患 者 に共 感 す る】 こ と に よ り生 じる. た り、 傷 つ い た り す る 可 能 性 の あ る 「巻 き 込 ま れ 」 の 概. 感 情 も肯 定 的 に と らえ られ る た め、 陽性 の逆 転 移 が 問 題. 念 を 理 解 ・共 有 す る こ と な く 、 警 告 す る の み で は 、 「巻. に な りに くい と考 え られ る。 患者 に恋 愛 感 情 を抱 くな ど、. き込 ま れ 」 を 技 術 的 に 活 用 す る こ と は 困 難 で あ る 。 時 に. 明 確 な 陽性 の 逆 転 移 は、 病 棟 の ル ー ル に反 す るた め 、 わ が 国 で は文 献 に 取 りあ げ に くい こ とが考 え られ る。. 巻 き込 ま れ す ぎ る こ と は 看 護 師 と し て 避 け られ な い も の で あ り 、 慣 用 的 に 「巻 き 込 ま れ 」 と い う 用 語 が 使 わ れ て い る 臨 床 実 践 で は 、 「巻 き 込 ま れ 」 の 概 念 を 理 解 し 、 そ. V.結. の 体 験 を 振 り 返 る 教 育 が 必 要 で あ る。 . 「巻 き 込 ま れ 」 の 概 念 は 前 述 し た 通 り 、 複 数 の 側 面 が. 語. 1.看. 護 基 礎 教 育 に お い て 、 「巻 き 込 ま れ 」 が 先 行 要 件 ・. 関連 し合 い 複 雑 で 混 乱 した状 況 に あ るた め 、 学 術 的 な用. 属 性 ・帰 結 お よ び 関 連 概 念 か ら、 共 有 で き る 知 識 と し. 語 と し て の 限 界 も あ る と 考 え ら れ る。 そ こ で 、 関 連 概 念. て理 解 さ れ る こ とが 期 待 され る。. で あ るinvolvementを. 「巻 き 込 ま れ 」 の 代 替 語 と す る こ. と に つ い て 、 検 討 す る 。involvementに. 2.さ. は 、 「巻 き 込 ま. れ 」 の 他 に 、 「関 与 」 「か か わ り」 と い う 肯 定 的 に も と ら え る こ と が で き る 訳 語 が あ る 。 そ の た め 、 意 味 と して は. ら に 、 継 続 教 育 に お い て 、 「巻 き 込 ま れ 」 が 、 そ. の 体 験 を 振 り 返 る こ と か ら理 解 さ れ 、 技 術 と して 活 用 さ れ る よ う に な る こ と が 期 待 さ れ る。 3.看. 護 に お け る 「巻 き 込 ま れ 」 と い う用 語 の 概 念 的 な. 否 定 的 な 側 面 を 持 ち な が ら、 「巻 き 込 ま れ 」 よ り も、in-. 限 界 を 補 い 、 そ の 概 念 を 包 括 す る 代 替 語 と し てin-. volvementの. volvementが. 方 が 肯 定 的 側 面 と そ の両 価 性 を理 解 す る こ. と が 容 易 で あ る 。 ま た 、involvementに な)とunder-(過. 少 な)と. は、 over-(過. 提 案 され た。. 剰. い う接 頭 語 を 付 す こ と で 、. 明 確 に そ の 程 度 を 示 す こ と が 可 能 で あ る 。 「巻 き込 ま れ 」. 謝 辞. の 過 少 な 状 況 を 表 し、 か っ 、 「巻 き 込 ま れ 」 と 関 連 づ け. 本 研 究 に ご助言 い た だ い た皆 様 に深 く感 謝 い た します。. る こ と が で き る 端 的 な 表 現 の 日本 語 の 用 語 は な い 。 そ の. な お、 本 研 究 は、 平 成24年 度 科 学 研 究 費 補 助 金 基 盤 研 究. た め 、involvementに. (C)(課. お い てunder-(過. 少 な)と. い う接. 頭 語 を 使 用 で き る こ と は非 常 に便 利 で あ る。 さ らに 、 Benner38)はinvolvementを. 題 番 号:24593500)を. 受 け て行 った 研 究 の 一 部. で あ る。. 熟 練 看 護 師 の技 術 と して と ら. え て い る 。 否 定 的 な 「巻 き 込 ま れ 」 の 体 験 を 振 り返 る こ と で 、 「巻 き込 ま れ 」 を 技 術 的 に 活 用 す る こ と が で き る と い う モ デ ル もinvolvementに. 適 用 で き る可 能 性 が あ る。. 文 献 1)牧. 野 耕 次:精. 神 科 看 護 に お け る 看 護 師 の 「巻 き 込 ま. 逆 転 移 と い う概 念 は、 精 神 分 析 理 論 に明 確 に 規 定 さ れ 、. . れ 」 体 験 の 構 成 要 素 と そ の 関 連 要 因,人. 実 践 で 活 用 さ れ て い る 。 同 様 に 、involvementもTravel-. . 究,2,41-51,2005.. bee 7), Peplou34), Watson35), . 2)知. Benner 6)な ど 、 わ が 国 に. 識 裕 子:【BPD患. 間看護学研. 者 を 支 え る 「い い じ ゃ な い か 」. お い て も 著 名 な 看 護 理 論 家 に よ り、 肯 定 的 に 評 価 さ れ て. . 的 考 え 方 】BPD患. い る た め 、 今 後 、 明 確 に 概 念 を 規 定 し、 実 践 に お け る 技. . 思 考 で 究 極 の 自 分 磨 き 巻 き 込 ま れ た っ て い い じ ゃ. 術 的 活 用 の 可 能 性 に向 け て、 さ らな る理 論 構 築 が 期 待 さ. な い か,精. れ る。 し か し、involvementは. 3)勝. 英 単 語 で あ るた め、 まだ 、. 眞. 者 へ の 私 の か か わ り方 プ ラ ス. 神 科 看 護,36(6),18-22,2009.. 久 美 子,北. 出 千 春,上. 平. 悦 子:相. 手 の感情.
(7) 看護 における 「 巻 き込 ま れ」 の概 念 分 析. 77. . に 巻 き 込 ま れ る こ と に 関 す る看 護 師 の 認 識,日. . 護 学 会 論 文 集:看. 4)牧. 野 耕 次,比. . involvementの. . 2004.. 護 管 理,36, . 嘉 勇 人,甘 概 念,人. 本看. 39-41,2006.. 佐京子. 他:看. 護 にお ける. 間 看 護 学 研 究,1,51-59,. 1971,長. 谷 川 浩,藤. 部 俊 子(監. 148,医. ョイ ス ・ ト ラ. 間 対 人 間 の 看 護,pp.215-218,. 訳),バ. ト リ シ ア ・ベ ナ ー(著),:ベ. 訳 版) . 村 真 澄,上. ベ ナ ー(著):ベ. 見 潤,藤. ト リシア ・. ナ ー看 護 論 達 人 ナ ー スの 卓 越 性 学 書 院,1992.. 本 洋 子,片. 編 集),岡. 護 学 事 典,「 巻 き 込 ま れ 」,pp638,日. 19)濱. 田 穂:薬. 谷 本看. 川薫総編集委員. 神 保 健 看 護 辞 典,「 巻 き 込 ま れ 」,pp316,オ. 18(1), 20)乙. 黒 仁 美:入. の 不 穏 時 の 看 護 介 入 に お け る 構 成 要 素,日. 21)冨. 川 明 子:精. 神 科 に 勤 務 す る 看 護 師 が 患 者 に 「脅 か. さ れ た 」 と 感 じ る 体 験,日. 22)渡. ー. (Eds): Concept Development in Nursing: Foundations, Techniques, and Applications, pp. 77102, Saunders, Philadelphia, 2000. 児 が ん 患 者 一看 護 婦 関 係 に お け る 看 護. 婦 の 心 理 的 な 距 離 感 の 構 成 因 子 と意 味,看. 護 研 究,. 179-188, 1998. 橋 み ち 子:看. 邊 知 佳 子:看. 護 者 が 不 妊 症 患 者 と関 わ る中 で 感 じ 本 助 産 学 会 誌,20(1),69-78,. 野 優 子:精. 神科病床機 能分化 に. 関 連 し た 看 護 師 の ス ト レ ス,日. 香 織,中. 本 精 神 科 看 護 学 会 誌,. 24)勝. 村 望,矢. 130-131, 2009.. 眞 久 美 子,北. 本精神. 科 看 護 学 会,52(1),2009. 沼 千 晶,辛. 平 悦 子:相. 手 の 感 情 に巻. き込 ま れ る こ と に関 す る看 護 師 の認 識. 25)山. 日本 看 護 学. 護 管 理,36,39-41,2006.. 崎 登 志 子,齋. 二 美 子,岩. 田 真 澄:精. 神科 病棟 にお. け る看 護 師 の 職 場 環 境 ス トレ ッサ ー とス ト レス反 応 本 看 護 研 究 学 会 雑 誌,25(4),. 73-84, 2002. 26)三. 好 広 伸:人. 格 障 害 患 者 の 看 護,日. 永 真 由 美,岡. 崎 寿 美 子:難. 本精神 科看護学. 病 看 護 領 域 にお け る エ. キ ス パ ー トナ ー ス の 看 護 の 実 際 に 基 づ く看 護 診 断, 千 里 金 欄 大 学 紀 要,125-132,2008. 28)石. 川 恵 美 子,島. 美 樹,佐. 々木裕子. 他:精. 神 科 に勤. 務 す る 看 護 師 の ス ト レ ス に っ い て の 意 識 調 査,福. 29)齋. 二 美 子,石. 田 真 知 子:強. 迫神経症患者 の強迫的確. 他:患. 者 に対 し. 30)難. 波 貴 代,北. (1), . 山 秋 雄,三. 縄久代. 31)北. か わ り,日. 人 看 護II,38,. 365-367, 2008.. 他:高. 齢者虐 待 に. 本 保 健 福 祉 学 会 誌,13. 7-18, 2006.. 情 の 分 析,日. 本 看 護 学 会 論 文 集:成. 北大学. 医 療 技 術 短 期 大 学 部 紀 要,12(1),1-9,2003.. お け る介 入 モ デ ル の 開 発,日 島奈津 子. 島. 農 医 学48(1),2006.. 肯 定 で きな い感 情 を抱 い た場 面 に お け る看 護 師 の感. キ ヨ 子,平. 出 千 春,上. 認 行 動 に 関 わ る 看 護 師 の 感 情 と対 処 行 動,東 護 師 の語 りを 通 した成 長. に っ い て の 検 討 ベ ナ ー 看 護 論 を 用 い て,日. 田 理 絵,泉. 本 精 神 保 健 看 護 学 会 誌,. 72-81, 2008.. 27)岩. 16)山. 本精神科. 看 護 学 会 誌51(2),207-211,2008.. 会,51(2),2008.. 田 博 美,菅. 本 精 神 保 健 看 護 学 会 誌,. 院 治 療 を 受 け て い る統 合 失 調 症 患 者 へ. 12) Rodgers, B. L.: Concept analysis: an evolutionary view. In: Rodgers, B. L. & Knafl, K. A.. 川 未 来,小. 護 婦 の メ ンタ. 10-19, 2009.. ム 社,2010.. 31(2), . 他:看. 護 研 究,31(5),39-45,. 物 依 存 症 者 へ の 看 護 に お け る無 力 感 の 意. と の 関 連 に っ い て,日. 神 保 健 看 護 辞 典 編 集 委 員 会 編,瀧. 木 千 衣:小. 平 久美. 味 看 護 師 の 語 り よ り,日. 会 論 文 集:看. 護 協 会 出 版,2003.. 15)窪. 応 に苦 慮 し. 1998.. 52(1), 泉 和 子(訳),バ. 藤 隆 子 ・小 玉 香 津 子 ・菱 沼 典 子(総. 恵 子:看. 18)細. 23)南. 初 心 者 か ら 達 人 へ.141-. と パ ワ ー.pp.116-117.医. 14)小. 木 純 子:対. 奈 川 県 立 こ ど も医 療 セ ンタ ー. ル ヘ ル ス に 関 す る調 査,看. る 困 難 や 葛 藤,日. 学 書 院,2005.. 部 俊 子,井. 13)鈴. 藤 富 美 子,植. 2006.. ナ ー 看 護 論(新. 長:精. 地 由 紀 子,斉. 17(1), . 医 学 書 院,1974.. 11)精. 17)福. た 被 虐 待 児 の 一 例,神. Philadelphia,. 枝 知 子(訳),ジ. ベ ル ビ ー(著):人. 10)見. 種 と の 関 連 性 の 検 討,日. 看 護 研 究 集 録,29,60-62,2006.. pp145-147, F. A. Davis Company,. 9)井. 験 年 数,職. 本 看 護 管 理 学 会 誌,10(2),40-47,2007.. 5) Milligan-Hecox, J. R., England, M. & Artinian, B. M. , Context of involvement . B. M. Artinian & M . M . Conger , Eds , The Intersystem Model; Integrating Theory and Practice. ( 2 nd ed), 49, Sage Publications, 1997. 6) Benner, P.: From Novice to Expert; Excellence and Power in Clinical Nursing Practice. pp. 163-166, Addison-Wesley Publishing Company, Menlo Park, 1984. 7) Travelbee, J.: Interpersonal Aspect of Nursing.. 8)井. 直 感 と病 院,経. 由 希:う. っ 状 態 に よ る希 死 念 慮 の 強 い患 者 へ の か 本 精 神 科 看 護 学 会 誌,51(2),436-440,. 2008. 松知子. 他:臨. 床看 護師 の. 32)多. 崎 恵 子,稲. 垣 美 智 子:糖. 尿 病 教 育 に お け る患 者 一.
(8) 牧野 耕次. 78. 家 族 関 係 に 対 す る 看 護 師 の 認 識 の 変 化,金. 沢大学っ. National. League. for. New. る ま 保 健 学 会 誌,26(1),103-106,2002.. 1988.稲. 33)千. 人 間 科 学 と ヒ ュ ー マ ン ケ ア,pp93,医. 崎 美 登 子,峰. 岸 秀 子:が. ん 患 者 ・配 偶 者 へ の 予 期. 的 悲 嘆 ケ ア プ ロ グ ラム に お け るが ん 看 護 専 門 看 護 師. 1992.. の 調 整 と実 践,日. 36)橋. 本 が ん 看 護 学 会 誌,18(1),2004.. 34) Peplau, H. E. Professional closeness, as a special kind of involvement with a patient, client, or family group. Nursing Forum, 8 ( 4 ), 342360,専. 門 職 業 人 と し て の 《し た し み 》 患 者 や そ. の 家 族 と の 特 殊 な か か わ り あ い,総. 35). 合 看 護,5(3),. 岡 文 昭,稲. Nursing,. 本 愛:「. 岡 光 子(訳),ワ. York,. ト ソ ン看 護 論 学 書 院,. 情 緒 的 巻 き 込 ま れ 」 に 関 す る研 究 共 感. 性 と の 関 連 か ら,武. 庫 川 女 子 大 学 発 達 臨床 心 理 学 研. 究 所 紀 要,16,238-247,2001. 37)加. 藤 敏,神. 庭 重 信,中. 医 学 事 典,精. 谷 陽二. 神 分 析,pp601,弘. 38)Benner, . P., Sutphen, . 66-81. 1970.. 野ZITO真. 佐 子(訳),ベ. Watson , J . Nursing: Human Science and Human Care; The Theory of Nursing. pp64-67,. 262-276,医. 学 書 院,2011.. 他(編):現 文 堂,2011.. M.&Leonard, ナー. 代 精神. V.,早. ナ ー ス を 育 て る, pp..
(9) 看護 における 「 巻 き込 ま れ」 の概 念 分 析. 79. (Summary) Background. Makikomare. bivalent. aspect,. either. in nursing. whose. English. "involvement". whose. concept. Purpose. This. tual. or. is used research. analysis. of. has. translation being. is aimed. to conduct. makikomare. varies. according. tions. by. using. the. which. is appropriate. to the. whose of Beth analysis. and. shared.. to contexts. method. am-. can be. "overinvolvement". without. meaning. an. concep-. lyzed. the. three. countertransference involvement. Rodgers. makikomare. extracted and. of. articles were. prerequisites,. of the. concept. .. The. its. relevant. which ana-. attributes. concepts. also. Results Following categories were extracted: managerial constraints of a nurse, nurse's ability, emotion. of a patient,. of a patient, as. six. makikomare; difficulty patient,. three. situations and. categories negative. in keeping and. categories. of a patient,. confusion. of family. of. prerequisites. emotion. of. an appropriate. empathizing of attributes. with. a nurse, distance a patient. of makikomare;. ing,. and. the memof the from as and. category. ambivalence. stages and. ,. ,. and. as relevant was. of over-. concepts. examined. of. by. of prerequisites, of makikomare. of temporal. relevant. the. attriin nurs-. perspective,. concepts. their. for removing. It is expected that from its prerequisites,. sequences,. and relevant. knowledge. and. in both nursing. ment". con-. nursing. education.. the. Key Words volvement. and. made. education The. concept. of the. term. for its conceptual. makikomare,. is uncon-. and from. as an alternative. meaning. compensates. makikomare attributes,. concepts. experience. basic. was proposed. includes and. and. confusion.. Conclusion derstood. ing. of a patient, as six categories . In addition. involvement. specified. consequences. three. skill. with a patient, reflection , nurse's. in nursing.. and. ceptual. between was. butes,. ,. Each. degrees,. of makikomare. difference. dealing nurse's. expression. were. Discussion. examined.. a. emotional. situa-. of contextual. in ,. positive change of situations consequences of makikomare. conceptual L.. of makikomare. and. consequences. makikomare. cases. concept. inductively,. were. bers. growth,. relevance Thirty. mentioned. will. difficulty burnout. and. words. Methods. and. nurse's nurse's. concept. shared. used and. of as a continu-. of "involveterm. which. - makikomare limitations. analysis,. in-.
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