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サテライトシンポジウム報告「アメリカザリガニとの新しい関係」

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日本甲殻類学会 Symposium Report Carcinological Society of Japan Cancer 27: 135–137 (2018)

シンポジウム報告

サテライトシンポジウム報告「アメリカザリガニとの新しい関係」

Report on the satellite symposium“New relationship between people and an invasive crayfish

Procambarus clarkii in Japan”

中田和義

1

・芦刈治将

2

・砂川光朗

2

Kazuyoshi Nakata, Harumasa Ashikari and Mitsuaki Sunagawa

企画趣旨 アメリカザリガニ(Procambarus clarkii)は,北 米産の外来生物でありながらも,学校機関等では最 も親しみやすい生物の1つとして教材として利用さ れたり,あるいは観賞用の飼育生物等としても利用 されてきた.しかしながら,本種は近年,在来生態 系に最も悪影響を与える淡水甲殻類の1つであるこ とが指摘され始め,環境省と農林水産省が公表した 「生態系被害防止外来種リスト」では緊急対策外来 種に選定され,社会的な認識が変わりつつある. 本シンポジウムでは,アメリカザリガニについて の最新の科学的な知見を報告するとともに,今後の 対策を含めて,本種との新しいつきあい方を広く市 民に提言することを目的として一般公開の形式で開 催した. プログラム 日本甲殻類学会第55回大会 サテライトシンポジウムII「アメリカザリガニとの 新しい関係」 日時:2017年10月9日(月・祝)14 : 00–16 : 00 会場: ユートリヤ すみだ生涯学習センター 企画者: 中田和義(岡山大学)・芦刈治将・砂川光 朗(日本甲殻類学会) 司会 砂川光朗(日本甲殻類学会) 趣旨説明: 中田和義(岡山大学) 講演1: アメリカザリガニの生態をふまえての有効 な駆除手法 中田和義(岡山大学) 講演2: 水草を食害するアメリカザリガニへの対策 とその効果 林 紀男(千葉県立中央博物館) 講演3: 地域の自然環境の保全とアメリカザリガニ との付き合い方 ~伊豆沼・内沼での活動 から~ 藤本泰文(宮城県伊豆沼・内沼環境保全財 団) 講演4: 新しい脅威である水カビ病について 上村兼輔(東京大学) 休憩 話題提供: 都立公園におけるアメリカザリガニ防除 の取り組み 八木 愛(特定非営利活動法人生態工 房) 総合討論 司会 中田和義(岡山大学) シンポジウムの概要紹介 本シンポジウムは一般公開の形式を取った.開催 日間近となったがチラシ(図1)を作成し,日本甲 1 岡山大学大学院環境生命科学研究科 〒700–8530 岡山県岡山市北区津島中3–1–1 Graduate School of Environmental and Life Science, Okayama University, 3–1–1 Tsushima-naka, Okayama, Okayama 700–8530, Japan

E-mail: nakatak@cc.okayama-u.ac.jp

2 日本甲殻類学会会員

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Cancer 27 (2018) 中田和義・芦刈治将・砂川光朗 殻類学会員のみならず,一般市民の参加を呼びかけ た.シンポジウムの周知が遅れてしまったため,参 加者数が非常に少なくなることを懸念していたが, 当日は多数の一般市民を含む約70名の参加があり, 会場はほどよく埋まって熱気に包まれた.一般市民 によるアメリカザリガニに対する関心の高さを実感 した. 本シンポジウムでは,講演に先立ち,上述の企画 趣旨を中心に,企画責任者の中田が趣旨説明を行っ た.この中では,一般的には身近な水生生物として 認識されているアメリカザリガニが,環境省と農林 水産省が2015年に公表した「生態系被害防止外来 種リスト」では緊急対策外来種に選定されているこ とについて,その理由とともに紹介した. その後,プログラムに沿って,中田による講演を 皮切りに,林 紀男博士・藤本泰文博士・上村兼輔 氏による講演が続いた.休憩を挟んで,八木 愛氏 によって特定非営利活動法人生態工房による東京都 内におけるアメリカザリガニの駆除活動についての 話題提供があった.これらの講演および話題提供の 内容の詳細については,このあとの各演者によるシ ンポジウム報告を参照されたい. 八木氏による話題提供後には,総合討論が行われ た(図2).司会を務めた中田は,正直なところ「質 問はあまり出ないのではないか?」と予想していた のだが,蓋を開けてみると,シンポジウムの開催時 間を延長せざるを得ないほど,会場からは次々と質 問が続いた.質問の多くは,アメリカザリガニによ る在来生態系への被害に悩んでいる団体や一般市民 からであった.市民によるアメリカザリガニ問題へ の関心が,企画者の想像以上に高いことを実感し た. シンポジウム終了後は,有志が会場近郊の店に移 動して情報交換会を行った.情報交換会には,シン ポジウムの企画者・講演者を中心に,当日になって 参加を表明された方々を含めて13名の参加があり, アメリカザリガニ談義で大いに盛り上がった.本シ ンポジウムにもご参加いただいた,日本魚類学会外 来魚問題検討部会長の中井克樹博士(滋賀県立琵琶 湖博物館)には情報交換会にもご参加いただき,最 後には貴重なコメントをいただいた. 以上のように,本シンポジウムは,企画者の当初 の予想をはるかに超えて盛会となった.これは,学 会員のみならず,一般市民によるアメリカザリガニ に対する関心の高さに起因するものであろう.機会 があれば,いずれまた,本シンポジウムを発展させ たシンポジウムを開催できればと考えている. 図1. シンポジウムのチラシ(作成:咸 成南氏).2. シンポジウムの総合討論の様子.

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Cancer 27 (2018) アメリカザリガニとの新しい関係 謝 辞 本サテライトシンポジウム開催の機会を与えてく ださった朝倉 彰会長,ならびに猿渡敏郎大会実行 委員長をはじめとする大会運営委員会の皆様に深く お礼申し上げます.また,本シンポジウムの開催に 際してご協力いただいた川井唯史氏(日本甲殻類学 会)と竹中 毅氏(株式会社生物研究社)に深謝し ます.

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