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令和の時代に求められる女性中心のケアと研究

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Academic year: 2021

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巻 頭 言

令和の時代に求められる女性中心のケアと研究

Women-centered care and research required

by a midwife in the era of Reiwa

武 田 江里子(Eriko TAKEDA)

* (日本助産学会編集委員) 令和の時代になりました。令和は皆さまもご存知の ように万葉集の文言から引用されており,「人々が美 しく心を寄せ合う中で文化が生まれ育つ」という意味 があり,一人一人の日本人が明日への希望とともに, それぞれの花を大きく咲かせることができる日本であ りたいという願いを込めていると発表されています。 2018年2月には,分娩時ケアに関する新しいガイド ラインとして WHO recommendation intrapartum care for a positive childbirth experienceが発刊されました。 WHOは,これまでにも「正常な出産の自然な過程を 妨害するには,そのための確固とした理由がなければ ならない」という基本姿勢のもといくつかの勧告やガ イドラインを出しています。1985 年には,欧米の保 健機構が共同して「出産科学技術に関する勧告」を作 成し,医療技術の濫用に警鐘を鳴らしています。1996 年には今回の新ガイドラインの前身である「WHO の 59ヵ条お産のケア実践ガイド」が出されました。この ような努力とともに妊産婦死亡を減少させてきた医療 の進歩ですが,その医療やケアの質については問われ 続けているとも言えます。 また,2018年9月には国立成育医療研究センターか ら「出産後1年未満の母親,2年間で92人自殺」という 衝撃的な報告がありました。医療の進歩で妊産婦死亡 が減少しても,産後の死亡,それも自殺による死亡が これだけ多いというのは本末転倒ではないでしょう か。国による産後ケア事業が開始され,産後のケアを 充実させるのはとても大切なことです。しかし,産後 は妊娠から出産,もしくはその前の状況にも大きく影 響されます。産後のみではなく,その前からの継続し たケアが重要です。肯定的な出産体験はその後のス ムーズな育児につながることは周知のことです。助産 師は,産後ケアも担いますが,「出産」に関わる医療職 として肯定的な出産につながるケアを行うという大き な役割も担っています。一人一人が希望に満ちて生活 していくことを目指す令和の時代に,何が私たち助産 師に求められているのか,改めて考えていく必要があ るのではないでしょうか。 1996年のWHOの59ヵ条では,出産を安全に終わら せることをアウトカムとし,そのための出発点として リスク要因の把握があげられています。そして,リス クを査定するには研究が必要であることも述べられて います。2018 年の新ガイドラインでは,アウトカム は「肯定的な出産体験」です。肯定的な出産体験のた めには一人一人に応じたテーラーメイドなケアがカギ とされ,健全な妊婦のための世界的なケアの基準を確 立することで,不必要な医療介入を減らすことや妊婦 自身の意思決定への参画など女性中心の視点が盛り込 まれています。 女性一人一人の花を大きく咲かせるために,私たち 助産師には女性,特に妊娠・出産・育児期の女性一人 一人が希望に満ちて生活できるようなケアや研究を 行っていくことが,今後ますます求められているので はないかと思います。本学会は,「助産師は,母子保健 医療の高度化・母子保健問題の多様化の中でその役割  2019年6月30日公開

浜松医科大学大学院医学系研究科看護学専攻助産学分野(Hamamatsu University School of Medicine Graduate School of Midwifery)

日本助産学会誌 J. Jpn. Acad. Midwif., Vol. 33, No. 1, 1-2, 2019 https:// doi.org /10.3418/ jjam.foreword-33-1

(2)

や業務を進展させ明確にする必要があるとし,そのた めには学術的交見の場を持ち,その成果を結集して質 の高いケアを提供できるようにする専門職である」とし ています。質の高いケアというのは,女性中心のケア と家族中心のケアであり,それが女性の自己決定へと つながり,「肯定的な出産体験」となるケアと言えます。 産む性である女性を中心に据えた,質の高いケアを エビデンスのもと具体的に示すことが求められている と思います。 NHK NEWS WEB(2018).知ってほしい“産後のうつ” ~92人自殺の衝撃~https://www3.nhk.or.jp/news/ web_tokushu /2018_0914.html(アクセス2019.5.20) WHO Care in normal birth : a practical guide(1996)/

戸田律子訳(1997).WHO の 59ヵ条 お産のケア 実践ガイドライン.東京:農文協.

WHO recommendation intrapartum care for a positive childbirth experience(2018). https://www.who. int / reproductivehealth / publications / intrapartum-care-guidelines / en /(アクセス2019.5.20)

参照

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