継ぎ足歩行テストの構成概念妥当性
全文
(2) 144. 理学療法学 第 45 巻第 3 号. gait time;以下,TGT)と,所要時間とミス・ステッ. 性,予測妥当性が該当する。本研究報告では,この継ぎ. プ数から算出する継ぎ足歩行指数(以下,TGI)の 2 種. 足歩行テストの妥当性を外的側面のうち 2 つの視点から. 類のテストは,測定の際に系統誤差が混入しないことが. 検討することとした。その 1 つは年齢,性別との関連性. 18). 。続いて我々は,同テストの測定誤. である。継ぎ足歩行テストが運動能力の評価方法である. 差の範囲を求めることを目的として,「最小可検変化量. ならば,加齢ならびに性差による影響を受けるはずであ. (minimal detectable change;以下,MDC) 」を算出し. る。このことより年齢・性差による弁別妥当性(dis-. た。結果として,TGT で 3.5 秒以内,TGI で 4.3 以内の. criminant validity)を検討すべきと考えた。2 つ目の視. 測定値の変化は測定誤差によるもので,同値より大きな. 点は転倒との関連性,特にその予測妥当性(predictive. 変化は「真の変化」と判断されることが明らかとなっ. validity)である。予測妥当性とは本来,そのテストが,. 明らかとなった. た. 19). 。. そのテスト実施後に変化などをどれだけ適切に予測する 25). 。継ぎ足歩行テストが特に運動. そこで本研究では,我々が絶対信頼性を検討した継ぎ. かを示すものである. 足歩行テストにおける高齢者の動的バランスの評価方法. 能力が比較的高い高齢者の動的バランス能力の評価方法. としての妥当性を検討する。評価・テストの妥当性の検. であるならば,転倒との関連性,特に将来の転倒を予測. 討 方 法 と い え ば 従 来 ま で は 内 容 妥 当 性(content. できるという予測妥当性を考慮すべきと考えた。. validity) ,基準関連妥当性(criterion-related validity) , 構成概念妥当性(construct validity)が並立的に位置づ. 方 法. けられ(三位一体観,trinitarian view) ,それらのうち. 1.妥当性概念の整理と研究デザイン. いずれか 1 つ以上の妥当性を示せば妥当性が検証された. 本研究では高齢者の動的バランス能力の評価方法とし. 20)21). が,近年,構成概. ての継ぎ足歩行の妥当性を新しい妥当性観にもとづいて. 念妥当性にすべての妥当性が収斂するという新しい妥当. 検討するに際して,妥当性の外的側面を 2 つの視点から. とする考え方が一般的であった 22). 。この新しい妥当性観に. 検討することとした。その 1 つは年齢・性差による弁別. おける妥当性は,多種多様な側面から複数の方法で独立. 妥当性であり,これについては横断研究により検討し. に集められた証拠で説明されるものでなければならず,. た。2 つ目の視点は転倒の予測妥当性である。またテス. 妥当性の証拠を集める側面(aspect)として,内容的側. トと予測されるアウトカム(転倒)との間に因果関係を. 面,本質的側面,構造的側面,一般化可能性の側面,外. 想定する場合,そこには関連の時間性. 性観が主流になりつつある. 的側面,結果的側面の 6 つがあるとされている. 20‒22). 。. 新しい妥当性観に立脚すると,筆者はこれまで継ぎ足歩. 26). が保証されな. ければならない。以上のことから本研究では転倒の予測 妥当性の検討においてコホート・デザインを採用した。. 行テストのバランス能力評価方法としての妥当性を,前 述した 6 つの側面のうち 2 つの側面から検討してきた。. 2.対象. 1 つは内容的側面である。この内容的側面とは測定指標. 対象は栃木県大田原市の広報により募集され自らの意. が構成概念を十分に代表しているかという側面である。. 志で,同市が主催する介護予防事業のボランティア養成. 継ぎ足歩行は前額面,矢状面からみて支持基底面が狭小. 講座と体力測定に参加した 493 名の地域在住健常成人. 化した歩行様式である。広い支持基底面は安定性の条件. (年齢 62.6 ± 16.2 歳,女性 367 名,男性 126 名)である。. の 1 つである. 23). ての先行研究. 10)12)13). 。また過去の転倒歴との関係性につい もあり,支持基底面を狭小化し. 対象の除外基準は,5 m の自立歩行が不可能な者,要介 護認定を受けた者,評価方法の説明を理解できない者と. た歩行である継ぎ足歩行は動的バランスの評価方法とし. した。対象には,本研究の目的および測定内容を説明し,. ての構成概念の内容的側面において充分な妥当性を有し. 参加の同意を得た。また,本研究内容は,大田原市個人. ていると考えられる。. 情報保護条例を遵守するとともに,国際医療福祉大学倫. 2 つ目の側面は一般化可能性の側面である。これは信. 理審査委員会の承認を得た(承認番号:06-48)。. 頼性の概念を含むもので,新しい妥当性観において信頼 性は妥当性の証拠の一部をなしており,妥当性の必要条 件となっている. 21)24). 。継ぎ足歩行テストの信頼性につ. いては前述したとおりである. 18)19). 。. 3.手順 継ぎ足歩行テストとして,対象には,床面に引いた長 さ 5 m,幅 50 mm のテープ上を,踵の低い靴か素足で,. 今回 3 つ目の側面として,継ぎ足歩行テストの妥当性. 一側のつま先に対側の踵を接触させながら歩行させた。. を外的側面から検討する。外的側面とは外的変数との間. また,つま先と踵を接触させるとともに,テープ上から. に理論から予想されるパターンの関係がみられるかとい. 足部を逸脱させないように,可能な限り速く歩くよう,. う側面である。これは伝統的妥当性観の基準関連妥当. 対象に指示した。検者は臨床経験 7 年を有する理学療法. 性,そしてそのサブタイプとされることが多い弁別妥当. 士とした。5 m の継ぎ足歩行の所要時間を TGT とし,.
(3) 継ぎ足歩行テストの構成概念妥当性. 145. 1/10 秒単位で測定した。測定は 2 回行い,最速値を採. 転倒予測に対する各因子の影響度を検討するため,転. 用した。加えて,本研究では,Liu らの方法に準じて,. 倒の有無を従属変数,各運動能力テスト結果を独立変数. 直線を足部の一部でも踏めばよしとし,足部を完全に直. とし,尤度比による変数減少法を用いた多重ロジス. 線上に接地できない場合をミス・ステップと定義し,前. ティック回帰分析を行った。事前に転倒経験の有無別の. 述の TGT にミス・ステップ数を 2 倍したものを加えて,. 各運動能力テストの結果について t 検定を行うととも. 17). 。上記の TGT,TGI は先行研究によ. に,Pearson の積率相関係数を用いて多重共線性の問題. り系統誤差の混入が少なく測定誤差の範囲が明らかと. がないことを確認した。多重ロジスティック回帰分析の. TGI を算出した. なった継ぎ足歩行テストである. 18)19). 。. 適合度は Hosmer-Lemeshow の検定および判別的中率. 転倒および動的バランス評価方法としての継ぎ足歩行. より判断した。また回帰分析の結果よりオッズ比を求め. テストへの影響因子として,下肢筋力,動的バランス能. るとともに,有意とされた変数に関しては,ROC 曲線. 力が考えられる。このため測定環境を選ばずに実施可能. を作成してカットオフ値を算出した。また,統計解析に. なために,同介護予防事業で採用されている下肢筋力,. は SPSS(バージョン 24,IBM)を使用し,有意水準は. 動的バランス能力の評価である 30 秒椅子立ち上がりテ. 5% とした。. 27). スト(30-sec chair stand test;以下,CS-30) ,Timed 28)29). up and go test(以下,TUG). を測定した。CS-30. 結 果. は両手を胸の前で組んだ椅座位を開始肢位とし,膝関節. 1.弁別妥当性. の完全伸展位の立位と着座の繰り返しを 30 秒間に最大. 二元配置分散分析の結果,TGT,TGI ともに交互作. 努力下で行わせた遂行回数を記録した。TUG の測定に. 用 は な く, そ れ ぞ れ 2 水 準 と も 主 効 果 が 認 め ら れ た. は椅子と椅子から 3 m 離した地点にコーンを置いた歩. (p<0.05) 。本研究では年齢階層,性別を統合した運動能. 行路を設置した。椅座位を開始肢位として合図により立. 力テスト結果の解釈は困難であると考え,TGT,TGI. ち上がり,コーンを回ってまた椅子に着座するまでの所. ともに年齢階層,性別の各水準ごとに一元配置分散分析. 要時間を 1/10 秒単位で測定した。測定は 2 回行い最速. による単純主効果検定を実施した。その結果,女性につ. 値を採用した。. いては,TGT,TGI のいずれも全年齢階層間に有意差. これらの測定後,複数年度事業である介護予防事業体. を 認 め た(p<0.05)。 対 し て 男 性 に つ い て は,TGT,. 力測定参加者 232 名を 2 年間追跡調査し,1 年後,2 年. TGI のいずれも 65 歳以下と他の 2 つの年齢階層間に有. 後にそれぞれの過去 1 年間の転倒の有無を想起法にて聴. 意差を認めた(p<0.05)が,その他の階層間では有意差. 取した。転倒は「歩行や動作時に,意図せずにつまずい. を 認 め な か っ た。 男 女 と も 0.14 以 上 と な る 大 き な. たり,すべったりして,床・地面もしくはそれより低い 位置に手やおしりなどの体の一部がついたすべての場 合」とし. 30). ,同定義を説明した後に「この 1 年間で転. んでしまったことはありますか」と聴取した。. 2 (large)効果量(η )が得られた(表 1)。. 性差については,TGT,TGI のいずれも,全年齢階 層について男性が女性よりも有意に低値を示した (p<0.05) 。. 4.統計解析手法. 2.予測妥当性. 継ぎ足歩行テストの弁別妥当性としての年齢階層・性. 複数年度事業である介護予防事業体力測定参加者 232. 別の検討は,得られた各テスト値を男女別に 64 歳以下,. 名を対象に,運動能力評価後の転倒経験の追跡調査を. 前期高齢者(65 ∼ 74 歳),後期高齢者(75 歳以上)の. 行った。1 年間の転倒経験に対して TGT,TGI は有意. 3 つの年齢階層に分け,各階層別の測定値を比較した。. な独立変数として抽出されなかったため,さらに 1 年間. 統計解析手法として,まず各変数の正規性を Shapiro-. 調査したところ女性 66 名(74.7 ± 6.2 歳)が追跡できた。. Wilk 検定を用いて確認した。年齢階層と性を水準とし. そのうち,2 年間の調査期間のうち少なくとも 1 回以上. た二元配置分散分析および一元配置分散分析を用い,主. の転倒経験を有する者として 28 名(75.9 ± 7.1 歳)が. 効果が認められた場合,下位検定として Scheffe 法を用. 調査できた。. いた。また性差については,各年齢階層別に対応のない. 継ぎ足歩行テストの年齢に対する弁別妥当性が認めら. 2. t 検定を用いた。効果量については η および Cohen の. れたことから,転倒経験に対する独立変数に年齢を加. d を算出した。標本効果量の判定には水本らの基準にし. え,転倒経験の有無別の各運動能力テストの結果につい. たがい,小さな(small),中くらい(medium) ,大きな. て t 検定を行った。結果として年齢による転倒歴の有無. 2. (large)効果量を η についてはそれぞれ 0.01,0.06,0.14,. による TGT,年齢,CS-30,TUG ついては有意差を認. Cohen の d に つ い て は そ れ ぞ れ 0.20,0.50,0.80 と し. めなかったが,TGI では有意差を認めた(p<0.05,表 2) 。. た. 31). 。. また各変数間の相関係数より TGT と TGI 間に高い相関.
(4) 146. 理学療法学 第 45 巻第 3 号. 表 1 年齢階層別の各継ぎ足歩行テスト成績 64 歳以下 TGT[秒]. TGI. 女性. 15.3 ± 4.3. 男性. 12.5 ± 3.3. 女性. 15.7 ± 4.7. 男性. 前期高齢者 (65 ∼ 74 歳). d §. 18.8 ± 6.4 *§. 0.71. 20.6 ± 7.3 *§. 0.71. 後期高齢者 (75 歳以上). 0.49. 15.8 ± 5.4 *. §. 12.7 ± 3.5. d. 0.54. 16.8 ± 5.7 *. 21.8 ± 8.5 *†§ 16.5 ± 4.3 * 24.6 ± 10.8 *†§ 18.7 ± 5.3 *. d 0.68. 0.60. η2 0.15 0.18 0.17 0.27. *:64 歳以下群との間に有意差あり(p<0.05) † :前期高齢者群との間に有意差あり(p<0.05) § :男女間に有意差あり(p<0.05). 表 2 転倒経験の有無別の各運動能力テストの結果 転倒群(n=28). 非転倒群(n=38). p. 年齢[歳]. 75.9 ± 7.1. 73.8 ± 5.3. 0.19. TGT[秒]. 23.2 ± 9.2. 19.9 ± 5.7. 0.10. TGI. 26.3 ± 11.8. 21.2 ± 6.6. 0.03. CS-30[回]. 27.6 ± 9.3. 29.8 ± 9.6. 0.43. TUG[秒]. 8.0 ± 2.0. 7.7 ± 1.3. 0.47. 表 3 各変数間の相関関係 年齢. TGT. TGI. CS-30. 年齢[歳] TGT[秒]. 0.41. TGI. 0.45. 0.95. ‒ 0.34. ‒ 0.18. ‒ 0.16. 0.33. 0.36. 0.41. CS-30[回] TUG[秒]. ‒ 0.34. 表 4 2 年間の転倒への影響因子の抽出. TGI. 偏回帰係数. 有意確率. オッズ比. 95%信頼区間. 0.067. 0.048. 1.06. 1.01 ‒ 1.142. 2. モデル χ 検定:p<0.05,Hosmer-Lemeshow の検定:p=0.31,判別的中率:67.2%. 関係が認められたが,その他の変数間に著しい直線関係 は存在しなかったことが確認できた(表 3)。このため 継ぎ足歩行テストとして TGI を選択し,尤度比による 変数減少法を用いた多重ロジスティック回帰分析を実施 した。その結果,TGI が選択されオッズ比 1.06 が得ら れ た。Hosmer-Lemeshow の 検 定 の 結 果 は p=0.31, 判 別的中率は 67.2%であった(表 4)。算出された ROC 曲 線 か ら,TGI の カ ッ ト オ フ 値 と し て 24.0 が 得 ら れ, ROC 曲線の曲線下面積(area under the curve;以下, AUC)は 0.63(漸近有意確率 0.08),感度 0.79(95%信 頼区間,以下同,0.66 ‒ 0.92),特異度 0.54(0.50 ‒ 0.58), 陽 性 的 中 率 0.70(0.56 ‒ 0.84) , 陰 性 的 中 率 0.65(0.46 ‒ 0.84)であった(図 1) 。 図 1 TGI の ROC 曲線.
(5) 継ぎ足歩行テストの構成概念妥当性. 147. 際,本研究の対象は運動能力テストにおいても,下肢筋. 考 察. 力を反映する CS-30 については中谷らが報告している年 27). 曖昧な構成概念を扱う心理学のみならず理学療法学,. 齢階級別評価からも各年齢階層の高位に属している. 特に理学療法評価方法を検討する場合でも妥当性は重要. また TUG においても平均 6.6 ± 1.6 秒(n=469)であり,. な概念である。妥当性の検討方法については,近年,多. 自立歩行の目安とされる 10 秒を上回っている。以上の. 様な側面からの説明により構成概念妥当性として検討す. ことから,本研究で十分な妥当性が確認された TGI は,. るという考え方が主流となりつつある。その妥当性を説. 運動能力が保持されている高齢者の,比較的遠い将来の. 明する多様な側面として,6 つの側面が挙げられている。. 転倒を予測できるという点で,臨床応用価値は高いと考. 本研究では継ぎ足歩行テストについて,新しい妥当性観. えられる。. に立脚し,妥当性の証拠を集める 6 つの側面のうち,弁. 本研究の限界として,将来の転倒を予測する説明因子. 別妥当性と予測妥当性を含む外的側面から検討し,同テ. としての継ぎ足歩行テストのオッズ比および AUC の小. ストのフィールドテストとしての応用可能性を検討する. ささが挙げられる。これは内的因子のみならず外的因子. ことを目的とした。. など複数の因子が報告されている将来の転倒を,ひとつ. 本研究結果より,TGT,TGI いずれにおいても男女. の因子で説明することの限界を示している。また転倒予. それぞれの年齢階層間で十分な効果量のもと,有意差が. 測妥当性を検討するうえでの追跡率の低さも研究の限界. 認められた。さらに TGT,TGI いずれにおいても女性. として挙げられる。今回の追跡調査は栃木県大田原市の. の若年層(64 歳以下)と前・後期高齢者間について,. 介護予防事業・体力測定参加者を対象に実施した。参加. 臨床的に意義のある最小変化量(minimal clinical im-. 者は同事業に自らの意思で参加するため,複数年連続で. 32). 。. を示すそれらテストの測. の参加率は低くなってしまったことが追跡率の低さに影. 定誤差以上の差が認められた。また,3 つの年齢階層す. 響していると考えられる。このため,本研究で追跡調査. べてにおいて性差が認められた(p<0.05)。しかし,効. が可能であった 66 名は,介護予防に対して特に高い意. 果量は中等度(medium)であり,測定誤差以上の差が. 識を有していることが推測されると同時に,継ぎ足歩行. 認められたのは後期高齢者(75 歳以上)のみであった。. テストの将来の転倒に対する検出力を実際よりも高くし. これらのことから,TGT,TGI いずれの継ぎ足歩行テ. てしまった可能性がある。今後はより大規模な調査が必. ストも,年齢階層および性別についてある程度の弁別妥. 要となってくるであろう。. portant difference; MCID). 当性が確認できた。特に年齢が低くバランス能力が高い 若年層(64 歳以下)を前・後期高齢者から明確に区別. 結 論. できることが明らかとなった。. 我々は高齢者のバランス能力の評価方法としての有用. 次に各継ぎ足歩行テストの予測妥当性を検討した。単. 性を検討してきた継ぎ足歩行テストの妥当性を,新しい. 変量解析およびロジスティック回帰分析の結果,TGI. 妥当性観における外的側面において同テストの弁別妥当. は将来の転倒を予測する有意な因子であることが明らか. 性と予測妥当性を検討した。結果として,継ぎ足歩行テ. となった。加えて得られたカットオフ値 24.0 が今回得. スト,特に所要時間とミス・ステップから産出される. られた単変量解析における転倒群 26.3 ± 11.8 と非転倒. TGI は,より運動能力の高い高齢者のバランス能力,特. 群 21.2 ± 6.6(表 2)を区分するものであり,加えて予. にその比較的長期的な将来の転倒を予測できる評価方法. 測妥当性を検討するうえで重要な陽性的中率,陰性的中. としての充分な妥当性が確認できた。. 率についても一定以上のレベルで得られたことから,こ のカットオフ値は十分な妥当性を有していると判断で きる。. 利益相反 本研究において開示すべき利益相反はない。. 以上のことから,継ぎ足歩行テスト,特に 5 m の継 ぎ足歩行の所要時間とミス・ステップから算出される. 謝辞:本研究をすすめるにあたり,栃木県大田原市高齢. TGI は加齢および性による身体機能の低下を反映して. 者幸福課地域支援係のみなさまにご協力を頂戴したこと. おり,加えて将来 2 年間の転倒を予測しうることが明ら. に感謝いたします。. かとなった。妥当性検討の 6 つの側面のうち,内容的側 面,一般化可能性の側面に加え,外的側面においても TGI は高齢者のバランス能力評価方法として充分な(構 成概念)妥当性を確かめることができた。 加えて,今回の研究の対象は介護予防事業に自ら参加 意志を表し実践できる比較的能動的な参加者である。実. 文 献 1)田崎義昭,斎藤佳雄:ベッドサイドの神経の診かた(第 16 版).坂井文彦(改訂),南山堂,東京,2004,pp. 58‒59. 2)松澤 正,江口勝彦:理学療法評価学(第 3 版) .金原出版, 東京,2012,pp. 157‒158. 3)Dargent-Molina P, Favier F, et al.: Fall-related factors.
(6) 148. 理学療法学 第 45 巻第 3 号. and risk of hip fracture: the EPIDOS prospective study. Lancet. 1996; 348: 145‒149. 4)岡田真平,上岡洋晴,他:農村在住高齢者の移動能力・バ ランス能力とその関連事項に関する考察.身体教育医学研 究.2001; 2: 13‒20. 5)Wrisley DM, Marchetti GF, et al.: Reliability, internal consisitency, and validity of data obtained with the functional gait assessment. Phys Ther. 2004; 84(10): 906‒ 918. 6)金 憲経,吉田英世,他:高齢者の転倒関連恐怖感と身体 機能─転倒外来受診者について─.日本老年医学会雑誌. 2001; 38: 805‒811. 7)金 憲経,吉田英世,他:地域高齢者の転倒予防を目指 す介入プログラムとその成果.理学療法京都.2002; 31: 26‒32. 8)上岡洋晴,岡田真平,他:転倒恐怖者の移動能力と生活状 況に関する研究.身体教育医学研究.2003; 4; 21‒26. 9)征矢野あや子,岡田佳澄,他:生きがい型介護予防支援事 業利用者の移動能力,転倒恐怖と外出状況.身体教育医学 研究.2005; 6: 49‒55. 10)Nevitt MC, Cummings SR, et al.: Risk factors for recurrent nonsyncopal falls: a prospective study. JAMA. 1989; 261(18): 2663‒2668. 11)Kerschan-Schindl K, Uher E, et al.: A neuromuscular test battery for osteoporotic women. Am J Phys Med. 2001; 80(5): 351‒357. 12)Chu LW, Pei CKW, et al.: Risk factors for falls in hospitalized older medical patients. J Gerontol Med Sci. 1999; 54A(1): M38‒M43. 13)Gunter KB, White KN, et al.: Functional mobility discriminates nonfallers from one-time and frequent fallers. J Gerontol Med Sci. 2000; 55A(11): M672‒M676. 14)Bean JF, Kiely DK, et al.: The relationship between leg power and physical performance in mobility-limited older people. J Am Geriatr Soc. 2002; 50: 461‒467. 15)Nelson ME, Fiatarone MA, et al.: Effects of high-intensity strength training on multiple risk factors for osteoporotic fractures. JAMA. 1994; 272(24): 1909‒1914. 16)Fiatarone MA, Marks EC, et al.: High-intensity strength training in nonagenarians: effects on skeletal muscle. JAMA. 1990; 263(22): 3029‒3034. 17)Liu C-S, Hsu H-M, et al.: Clinical and molecular events in. patients with Machado-Joseph disease under lamotrigine therapy. Acta Neurol Scand. 2005; 111: 385‒390. 18)下井俊典,谷 浩明:Bland-Altman 分析を用いた継ぎ足 歩行テストの検者内・検者間信頼性の検討.理学療法科 学.2008; 23(5): 625‒631. 19)下井俊典,谷 浩明:最小可検変化量を用いた継ぎ足歩 行テストの絶対信頼性の検討.理学療法科学.2008; 23(5): 625‒631. 20)メシック S:教育測定学(上).池田 央,柳井晴夫,他(監 訳),みくに出版,東京,1992,pp. 19‒145. 21)平井洋子:測定の妥当性からみた尺度構成─得点の解釈を 保証できますか.心理学研究法の新しいかたち.吉田寿夫 (編),誠信書房,東京,2006,pp. 21‒49. 22)村山 航:妥当性 概念の歴史的変遷と心理測定学的観点 からの考察.教育心理学年報.2012; 51: 118‒130. 23)中村隆一,齋藤 宏,他:基礎運動学(第 6 版補訂).医 歯薬出版,東京,2012,pp. 157‒158. 24)Kane MT: An argument-based approach to validity. Psychol Bull. 1992; 112: 527‒535. 25)清水裕子:測定における妥当性の理解のために─言語テス トの基本概念として─.立命館言語文化研究.2005; 16(4): 241‒254. 26)ロスマン KJ:ロスマンの疫学 科学的思考への誘い.矢 野栄二,橋本英樹(監訳) ,篠原出版新社,東京,2004, pp. 19‒37. 27)中谷敏昭,灘本雅一,他:日本人高齢者の下肢筋力を簡便 に評価する 30 秒椅子立ち上がりテストの妥当性.体育学 研究.2002; 47(5): 451‒461. 28)Shumway-Cook A, Brauer S, et al.: Predicting the probability for falls in community-dwelling older adults using the Timed Up & Go Test. Phys Ther. 2000; 80(9): 896‒903. 29)島田裕之,古名丈人,他:高齢者を対象とした地域保健活 動における Timed Up & Go Test の有用性.理学療法学. 2006; 33(3): 105‒111. 30)大高洋平,里宇明元:エビデンスに基づいた転倒予防. Jpn J Rehabil Med.2006; 43(2): 96‒104. 31)水本 篤,竹内 理:研究論文における効果量の報告の ために─基本的概念と注意点─.英語教育研究.2008; 31: 57‒66. 32)下井俊典:評価の絶対信頼性.理学療法科学.2011; 26(3): 451‒461..
(7) 継ぎ足歩行テストの構成概念妥当性. 〈Abstract〉. The Content Validity of Tandem Gait Tests: Validation Based New Validity. Toshinori SHIMOI, PT, PhD International University of Health and Welfare. Purpose: We sought to investigate the predictive and prospective validity of tandem gait tests to assess dynamic balance. Methods: Overall, 493 community-dwelling people, including 367 women and 126 men (mean age, 62.6 years), were instructed to walk heel-to-toe on a line of 50 mm width tape. Tandem gait time (TGT), defined as the expended timing of 5-m tandem gait, was measured, and tandem gait index (TGI), calculated as TGT plus twofold of number of misstep(s). Age-related differences between three age groups were analyzed: <65 years, 65‒74 years, and >75 years. Multiple logistic regression analysis was performed using falls in the future two years as a dependent variable, and each of the physical examination items as independent variables. Results: No significant differences in TGT or TGI were seen between any age groups in men, except in the <65 years group vs the >75 years group. There were significant in differences in TGT and TGI in women across all age groups. Men had significantly greater TGT and TGI scores than women in all age groups. TGI was identified as the only independent factors predicting prospective patients at risk of falls with multiple logistic regression analysis. The cut-off value for TGI was determined to be 24.0 (odds ratio, 1.06). Conclusions: Based on these results, TGI has sex- and age-related predictive validity and prospective validity in elderly patients. Key Words: Tandem gait, Fall, Validity, Construct validity, Predictive validity. 149.
(8)
関連したドキュメント
pirn rotating at high speed was analysed and considered by using parameters as numbers of revolutions and pirn surface conditions The results obtained from this analysis were
方法 理論的妥当性および先行研究の結果に基づいて,日常生活動作を構成する7動作領域より
Results of logistic regression analyses for individual labels revealed that the degree of environmental interest, energy reduction efforts, and inclination to change power
For the risk process in Theorem 3, we conducted a simulation study to demonstrate the relationships between the non-ruin probability, the initial capital and the revenue coefficient
The simplest model developed here depends on only three independent parameters: the number of ordered mutations necessary for a cell to become cancerous, the fraction of the
In particular, we consider a reverse Lee decomposition for the deformation gra- dient and we choose an appropriate state space in which one of the variables, characterizing the
Reynolds, “Sharp conditions for boundedness in linear discrete Volterra equations,” Journal of Difference Equations and Applications, vol.. Kolmanovskii, “Asymptotic properties of
The oscillations of the diffusion coefficient along the edges of a metric graph induce internal singularities in the global system which, together with the high complexity of