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『 広 島 平 和 科 学 』38 (2016) pp.15-39 ISSN 0386-3565 Hiroshima Peace Science 38 (2016)
戦 争 体 験 継 承 が 平 和 意 識 の 形 成 に 及 ぼ す 影 響
- 中 学 生 に 対 す る 平 和 意 識 調 査 の 時 系 列 的 分 析 -
村 上 登 司 文
京 都 教 育 大 学
広 島 大 学 平 和 科 学 研 究 セ ン タ ー 客 員 研 究 員
The Influence that Wartime Experience Gave to Peace
Awareness: Chronological Analysis of the Attitude Surveys of
Junior High School Students on War and Peace
Toshifumi MURAKAMI
Kyoto University of Education
Affiliated Researcher, Institute for Peace Science, Hiroshima University
Abstract
World War II, which ended more than 70 years ago, became the past event in 2015. Japanese people reflected on World War II and have developed a democratic society. Because the number of older people from the wartime generation has decreased, it is becoming very difficult to pass wartime experiences directly on to the younger generation. The attitude survey conducted in 2016 clarifies the kind of peace consciousness junior high school students have. I compare the survey results of a survey taken in 2016 with those taken in 1997 and 2006. This comparison elucidates junior high school students’ peace consciousness, what they have learned about wartime experiences, and their participation in peace building. This paper analyzes the differences in attitudes between 1997 and 2016 and
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describes the survey results in the following order: 1) How students recognize the situation concerning peace and war, 2) Passing on the experiences of World War II, 3) Visits to peace museums, and 4) Methods of peace building. The attitudes of students who replied to the three surveys in the past 20 years seem to be oriented toward pacifism. There has not been a major change in their attitude. As for agents telling students about World War II, the biggest agent was school teachers in the 2006 survey, but in the 2016 survey the main agent was television. Peace education by schoolteachers and television in Japan has resulted in a generation of antiwar and peace-oriented junior high school students. We can conclude that peace education in Japan has achieved the function of political socialization. Under the Constitution of Japan, which assumes pacifism as one of its ideals, junior high students have been taught to think of pacifism. It should be the current responsibility of schools and the mass media to support peace-oriented students’ attitudes and their wish to contribute to peace building.
1 . 研 究 目 的 日 本 の 平 和 教 育 の 社 会 的 機 能 の 一 つ と し て 、文 化 的 伝 達 機 能 が あ る( 村 上 2009、 p.398)。日 本 の 学 校 教 育 や 平 和 博 物 館 や マ ス メ デ ィ ア に よ る 平 和 教 育 は 、 戦 争 を 否 定 す る 題 材 の 伝 達 を 主 に 行 っ て き た 。 伝 達 に よ り 過 去 の 戦 争 体 験 を 日 本 人 の 集 団 意 識 の 中 に 、 集 団 的 記 憶 と し て 活 性 化 し た 状 態 で 保 存 し 続 け て き た と い え よ う 。 け れ ど も 、 1990 年 代 以 降 、 マ ス メ デ ィ ア や 家 庭 を 通 じ て 子 ど も た ち が 見 聞 す る 戦 争 体 験 の 情 報 量 は 減 少 し つ つ あ り 、 人 々 が 持 つ 戦 争 の 集 合 的 記 憶 が 薄 く な っ て 、 戦 争 体 験 の 「 風 化 」 が 進 ん で い る 。 日 本 の 過 去 の 戦 争 に つ い て 伝 え る 「 文 化 的 伝 達 機 能 」は 、2000 年 代 に 入 っ て さ ら に 低 下 し て い る と い え よ う 。 2015 年 に は 、 第 二 次 世 界 大 戦 が 70 年 以 上 前 の 出 来 事 に な っ た 。 日 本 は 第 二 次 世 界 大 戦 の 反 省 に 立 っ て 社 会 を 発 展 さ せ て き た が 、 戦 争 体 験 世 代 が 少 な く な り 戦 争 体 験 を 直 接 的 に 伝 え る こ と が 非 常 に 難 し く な っ て い る 。 現 在 は 、 家 庭 や 学 校 で 戦 争 体 験 を 伝 え る 平 和 教 育 は 曲 が り 角 に あ る と い え 、 平 和 教 育 に お け る 対 応 が 必 要 と さ れ る 。 戦 後 の 日 本 で 、 戦 争 題 材 に つ い て マ ス メ デ ィ ア を 含 め た 広 義 の 教 育 は 、 日 本 人 一 般 に 反 戦 的 で 平 和 志 向 的 な 態 度 を 形 成 し て き た 。 第 二 次 世 界 大 戦 の 戦 争 被 害 に つ い て の 集 合 的 記 憶 は 、 日 本 人 の 多 く に 強 い 戦 争 忌 避 感 を 生 じ さ せ 、 戦 争 抑 止 の 機 能 を 果 た し て き た 。 こ う し た 平 和 教 育 は 、 反 核 平 和 主 義 的 意 識 の 形 成 と 保 持 と い う「 政 治 的 社 会 化 機 能 」を 果 た し( 村 上 | 16 |
- 17 - 2009、p.398)、平 和 憲 法 の 存 続 や 非 核 三 原 則 の 遵 守 に 影 響 を 及 ぼ し 、 防 衛 費 の 増 大 や 自 衛 隊 の 拡 大 に 、 あ る 程 度 の 歯 止 め を か け る 政 治 的 役 割 を 果 た し て き た と い え よ う 。2015 年 に 18 歳 選 挙 権 が 認 め ら れ 、国 会 で 憲 法 改 正 の 論 議 が 進 む 中 で 、中 学 生 の 戦 争 観 は ど の よ う な 影 響 を 受 け て い る の で あ ろ う か 。 中 学 生 は 、 地 域 か ら 国 や 世 界 へ と 社 会 的 な 興 味 や 関 心 が 広 が る 発 達 段 階 に あ り 、 彼 ら が 戦 争 と 平 和 形 成 に つ い て ど の よ う な 社 会 意 識 を 持 っ て い る か は 、 大 人 た ち の 社 会 意 識 の 反 映 で あ り 、 ま た 未 来 の 日 本 社 会 の 世 論 の 変 化 を 予 測 さ せ る も の で あ る 。 2016 年 初 め に 行 っ た 平 和 意 識 調 査 で は 戦 後 71 年 目 の 中 学 生 達 が 、ど の よ う な 平 和 意 識 を 持 っ て い る か を 明 ら か に す る こ と を 、調 査 の 目 的 と す る 。2016 年 に 行 っ た 調 査 結 果 と 、1997 年 と 2016 年 に 行 っ た 調 査 結 果 と を 比 較 す る こ と に よ り 、 戦 後 50 年 目 か ら 70 年 目 ま で の 20 年 の 間 に 、 中 学 生 の 平 和 意 識 が ど の よ う に 変 化 し た か を 分 析 す る 。 下 記 の 分 析 に お い て は 、 次 の 順 番 で 考 察 す る 。 ① 世 界 と 日 本 に つ い て の 平 和 認 識 と そ の 理 由 、 ② 生 徒 が 戦 争 を ど う 見 て い る か 、 ③ 第 二 次 世 界 大 戦 の 戦 争 体 験 の 継 承 、④ 平 和 博 物 館 へ の 訪 問 、⑤ 平 和 形 成 の 方 法 に つ い て 、な ど で あ る 。そ う し た 分 析 に よ り 、平 和 教 育 の 文 化 的 伝 達 機 能 と 、 政 治 的 社 会 化 機 能 の 実 態 を 示 し 、 今 後 の 方 向 性 を 明 ら か に し た い 。 2 . 中 学 生 の 平 和 意 識 の 分 析 ( 1 ) 調 査 方 法 2016 年 調 査 の 実 施 時 期 は 、 2016 年 の 1 月 か ら 3 月 に か け て で あ る 。 調 査 方 法 は 各 中 学 校 に 調 査 を 依 頼 し 、 承 諾 を 得 た 中 学 校 に 質 問 紙 票( 巻 末 資 料 1)を 送 付 し 、 第 2 学 年 の 生 徒 に 対 し て 集 合 法 に よ り 調 査 を 実 施 し て も ら っ た 。 表 1 に 示 す よ う に 、 2016 調 査 で 調 査 対 象 と し た の は 、 東 京 都 区 部 、 京 都 市 、 広 島 市 、 那 覇 市 ( 以 下 、 調 査 地 を 東 京 、 京 都 、 広 島 、 那 覇 と 表 記 す る ) に あ る 合 計 18 の 公 立 中 学 校 2 年 生 の 生 徒 で あ る 1。 有 効 サ ン プ ル 数 は 1248 名 で 、 性 別 で は 男 子 640 名 と 女 子 607 名 で や や 男 子 が 多 い 。 調 査 地 別 に サ ン プ ル 数 を 見 る と 東 京 が 多 く 、 次 に 京 都 と 広 島 が ほ ぼ 同 数 、 そ し て 那 覇 の 順 で あ る 。2016 年 調 査 と 同 様 の 調 査 を 1997 年 、 2006 年 に 行 っ た ( 以 下 、1997 調 査 、 2006 調 査 、 2016 調 査 と 記 す ) 。 2016 調 査 の 実 施 校 18 校 の 中 で 、 2006 調 査 で も 実 施 校 で あ っ た 学 校 は 13 校 ( 72%) で あ る 。 ま た 、2006 調 査 の 実 施 校 18 校 の 中 で 、 1997 調 査 で も 実 施 校 で あ っ た 学 校 は 8 校 (44%) で あ っ た 。 1 調 査 地 と し て 3 回 の 調 査 で 選 ん だ 4 都 市 は 、 平 和 教 育 に 関 し て 次 の よ う な 特 性 を 持 つ 。ま ず 、広 島 は 第 二 次 世 界 大 戦 中 に 原 爆 被 爆 に あ い 、 那 覇 は 沖 縄 地 上 戦 で 大 き な 戦 争 被 害 を 受 け 、 両 都 市 共 に 平 和 教 育 が 盛 ん な 土 地 柄 で あ る 。 京 都 は 戦 争 中 に 大 き な 空 襲 を 受 け ず 現 在 は 古 い 歴 史 の あ る 観 光 都 市 で あ る 。東 京 は 戦 時 中 に 大 空 襲 を 受 け た が 、日 本 の 首 都 と し て 発 展 し て い る 。 | 17 |
- 18 - 表 1 各 調 査 の 地 域 別 サ ン プ ル 数 ( 数 字 は 人 数 ) 1997調 査 2006調 査 2016調 査 調 査 地 実施校 全 体 (%) 実施校 全 体 (%) 実 施 校 男 子 女 子 全 体 (%) 東 京 京 都 広 島 那 覇 4 4 7 3 242(20.9) 275(23.7) 470(40.6) 171(14.7) 5 3 5 5 383(26.4) 294(20.3) 375(25.9) 397(27.4) 5 4 5 4 191 152 169 128 182 157 139 129 373(29.9) 309(24.8) 308(24.7) 258(20.7) 計 18 1,158(100) 18 1,449(100) 18 640 607 1,248(100) 注 :2016 調 査 の 全 体 合 計 に お い て は 、 性 別 の 不 明 な 者 の 1 名 が 含 ま れ る2。 表 2 世 界 は 今 平 和 と 思 う か ( 数 字 は % ) 回 答 2006調 査 2016調 査 は い い い え 12.3 (178) 87.7(1,267) 15.3 (190) 84.7(1,054) 計 ( 回 答 数 ) 100 (1,445) 100 (1,244) (2) 世 界 と 日 本 に つ い て の 平 和 認 識 と そ の 理 由 平 和 と 戦 争 へ の 関 心 2016 調 査 に お い て 、中 学 2 年 生 に 対 し て 平 和 と 戦 争 に つ い て の 関 心 を 聞 い た 。 ま ず 、〈 平 和 〉に つ い て ふ だ ん 考 え た こ と が あ る か の 質 問 で は 、あ る(「 よ く あ る 」 +「 た ま に あ る 」)と 答 え た の が 回 答 し た 生 徒 の 69.7% で 、な い(「 ほ と ん ど な い 」 +「 な い 」)が 30.0% で あ っ た 。〈 戦 争 〉 に つ い て ふ だ ん 考 え た こ と が あ る か の 質 問 で は 、あ る(「 よ く あ る 」+「 た ま に あ る 」)と 答 え た の が 回 答 生 徒 の 66.1% で 、 な い(「 ほ と ん ど な い 」+「 な い 」)が 33.6 % で あ る 。 こ の よ う に 2016 調 査 で は 、 〈 平 和 〉 に つ い て の 方 が 戦 争 に つ い て よ り も 、考 え た こ と が あ る と す る 割 合 が 3.6 ポ イ ン ト 高 い 。 2 1997調 査 の 有 効 回 答 1,158名 の 内 、 男 子 5 86名 、女 子 568名( 性 別 不 明 4名 )で あ っ た 。 10 年 前 の 2006 調 査 で は 、 〈 平 和 〉 に つ い て ふ だ ん 考 え た こ と が あ る 生 徒 が 66.5% で 、〈 戦 争 〉に つ い て ふ だ ん 考 え た こ と が あ る の が 68.6% で 、 〈 戦 争 〉 に つ い て 考 え た こ と が あ る と 答 え た 方 が 、2.1 ポ イ ン ト 高 か っ た 。過 去 10 年 の 間 に 、平 和 、 戦 争 の ど ち ら を 考 え る か 生 徒 の 多 数 派 は 、 戦 争 に つ い て か ら 平 和 に つ い て へ と 5.7 ポ イ ン ト( 3.6+ 2.1)の 変 化 が あ っ た 。 世 界 が 平 和 か 生 徒 に 現 在 の 世 界 を 平 和 で あ る と 考 え て い る か ど う か を 聞 い た( 表 2)。世 界 は 今「 平 和 」と 思 う か の 質 問 に 、2016 調 査 で 「いいえ」と答えた生徒が 84.7%あり、圧倒 的に世界は平和でないと思っている回答生徒が 多い。ただし、「いいえ」と答えた生徒は、2006 2006調 査 の 有 効 回 答 1,449名 の 内 、男 子 746 名 、 女 子700名 ( 性 別 不 明 3名 ) で あ っ た 。 | 18 |
- 19 - 調査と比べてわずかに減っている(マイナス3.0 ポイント。以下、調査間で比較した場合は-3.0P の形式で記す)。 では、なぜ生徒達は世界が平和でないと思っ ているのであろうか。世界が平和でないと答え た生徒のみを対象に、その理由を聞いた。表3 に よると、生徒の回答で最も多いのが「戦 争 が 起 こ っ て い る 国 が あ る か ら 」(+9.0P)、次 に「 世 界 中 で 事 件 や 事 故 が 多 い か ら 」、そ し て「 貧 し い 国 が あ る か ら 」を 世 界 が 平 和 で な い 理 由 と し て 選 択 し て い る 。 上 位 3 つ の 順 位 は 、2006 調 査 と 2016 調 査 で 変 わ ら な い 。 日本が平和か 表 4 で 示 す よ う に 、 「 日 本 は 今 平 和 と 思 う か 」の 質 問 に 、2016 調 査 で「 はい」と 答えたのは59.0%(+17.0P)と大きく増え、「い いえ」と答えたのが 41.0%(-17.0P)である。 このことから、過去10 年の間に、回答生徒の多 数派が、日本は平和でないと思うから、日本は平 和である、へと移行していることがわかる。 では、どうして中学生達は日本を平和と思う ようになったのであろうか。日本が平和である と答えた生徒のみを対象に、彼らが平和である と思う理由を聞いた。 表3 世界が平和でない理由 (複数回答、数 字 は % ) 回 答 2006調 査 2016調 査 戦争が起こっている国があるから 世界中で事件や事故が多いから 貧しい国があるから 武器があるから 一人一人が大切にされていない国があるから 環境破壊が進んでいるから その他 78.6① 70.0② 63.0③ 48.1 49.0 50.1④ 6.3 87.6△ 73.3 65.7 53.1△ 50.9 48.1 8.7 %の合計(設問への回答人数) 365.1(1,265) 387.4(1,054) 注1:①~④は%の選択率における順位を示す。 注2:△または▼は二つの調査結果を比較して 5 ポイント以上の増加または減少の変化が あることを示す。以下同じ。 表4 日 本 は 今 平 和 と 思 う か ( 数 字 は % ) 回 答 2006調 査 2016調 査 は い い い え 42.0(608) 58.0(838) 59.0(735)△ 41.0(510)▼ 計 ( 回 答 数 ) 100(1,449) 100(1,245) | 19 |
- 20 - 表5 日本が平和である理由 (複数回答、数 字 は % ) 回 答 2006調 査 2016調 査 戦争がないから 安心して暮らせるから 生活に使うものや食料が豊富だから 他の国より平和だから 自由だから 争いや事件が少ないから その他 81.6① 43.8③ 63.7② 38.8④ 35.3 13.5 3.1 81.9 63.6△ 57.5▼ 53.5△ 29.0▼ 22.3△ 2.1 %の合計(設問への回答人数) 279.8(608) 309.9(731) 表6 日本が平和でない理由 (複数回答、数 字 は % ) 回 答 2006調 査 2016調 査 犯罪や事件があるから いじめがあるから さまざまな差別があるから 大きな事故があるから 貧 困 や 経 済 格 差 が あ る か ら 環境破壊が進んでいるから 自衛隊を海外に(イラクに※)派遣しているから その他 89.2① 36.3④ 41.0② 32.9 - 39.4③ 28.5 9.6 82.5▼ 69.2△ 44.1 43.5△ 36.3 36.1 26.7 10.1 %の合計(設問への回答人数) 276.9(834) 348.5(510) 注:※は2006 年の調査における選択肢である。 表 5 によると、日本を平和であるとする理由 として多いのは「戦争がないから」であり、二つ の調査ともに81%と変わらない。2016 調査で大 きく増えた選択肢は順に、「安心して暮らせるか ら」(+19.8P)であり、「他の国より平和だから」 (+14.9P)、「争いや事件が少ないから」(+8.8P) である。外国の治安状況の情報に生徒が触れる 機会が増え、そうした情報による国内外の比較 によって日本が安心で安全な国であると、生徒 の理解が広がったことが理由にあると思われる。 次に、日本が平和でないと生徒達が考える理 由を見る。日本が平和でないと答えた生徒のみ を対象に、その理由を聞いた。表 6 によると、 2016 調査で「犯罪や事件があるから」が 82.5% と、治安の問題を、日本が平和でない理由にあげ る割合が最も高い。平和でない次の理由として 「いじめがあるから」が選択され、36.3%から 68.9%(+32.6P)と大幅に増えている。これは過 去10 年の間で、〈いじめ〉を重要な「平和の問 題」として生徒達が認識するようになっている ことを示している。その次に増えたのが「大きな 事故があるから」(+10.6P)である。これは、2011 年の東日本大震災による福島原子力発電所の事 故の影響を受けていると思われる。2016 調査で | 20 |
- 21 - 初めて選択肢に入れた「貧困や経済格差がある から」を答えたのは36.3%であった。 ( 3 ) 戦 争 を ど う 見 て い る か 正 義 の 戦 争 論 国際 社会に は、戦争の 中には侵 略戦争 のよ うに悪い 戦争と、国を守 るよい戦 争とを 区別 して、正義の 戦争を 認め る考え方 がある 。こ の「正義 の戦争論 」につ いて、生 徒達はど の ように思 ってき たので あ ろうか。表7 に示す ように、正 義の戦 争論へ の反対(「反 対」+ 「少し反 対」)と答 えた 生徒は、1997 調査で は57.3%、2006 調査では 54.2%(-3.1P)、 2016 調査で 52.3%(-1.9P)であり、3 調査 共に過半 数の生 徒が反 対 である 。つま り、正 義 の 戦 争 論 は 日 本 の 中 学 生 達 に 支 持 さ れ て いない 。「 どちら ともい えない 」が約3 割で ある。経 年的な 変化で は、過去20 年の間に、 正 義 の 戦 争 論 に 反 対 す る 生 徒 は 少 し ず つ 減 り、20 年間で 5.0 ポイント下がった。特に 2006 調査では、前回の 1997 調査と比較して、 「反対」が6.4 ポイント減って、「どちらと もいえな い」と答 える生 徒が32.7%に増えた (+4.2P)。 性 別 で 経 年 的 に 見 る と 、 正 義 の 戦 争 論 へ の 反 対(「 少 し 反 対 」+「 反 対 」)は 、 女 子 は 男 子 よ り 、1997 調 査 で 14.0 ポ イ ン ト 多 く 、2006 調 査 で 7.2 ポ イ ン ト 多 く 、 2016 調 査 で 4.8 ポ イ ン ト 多 い 。正 義 の 戦 争 論 に つ い て は 、 女 子 の 方 が 一 貫 し て 反 対 が 多 い が 、過 去 20 年 間 で 男 女 差 が 3 分 の 1 に な っ て い る 。 戦 争 放 棄 次に、生徒達は日本の戦争放棄については、ど のように思っているのであろうか。日本では平 和主義の憲法の下で、学校教育においても、子ど もたちに戦争に反対する態度を育成してきたと いわれる。3 回の調査では、生徒達に「日本はど のような戦争も行うべきではないと思いますか」 と質問した。表8 で経年的に見ると、どのような 戦争も行うべきでないと思う(「思う」+「少し 思う」)は、1997 調査で 85.0%、2006 調査で 86.3%、2016 調査で 84.2%と、いずれも 85%前 後と非常に高く、戦争放棄の気持ちが強いこと がわかる。そして、思わない(「あまり思わない」 +「思わない」)は10%程度である。20 年間の 経 年 変 化 と し て は 、 「 思 う 」 全 体 の 中 で 「 思 う 」 が 4.9 ポ イ ン ト 減 っ て 、 「 少 し 思 う 」 が 5.1 ポ イ ン ト 増 え て い る 。 「 思 表7 国を守るよい戦争(正義の戦争)があるという意見について( 数 字 は % ) 回 答 1997調 査 2006調 査 2016調 査 賛成 少し賛成 少し反対 反対 どちらともいえない 7.0 7.2 10.3 47.0 28.5 4.8 8.3 13.8 40.4▼ 32.7 4.3 10.6 13.7 38.6 32.8 計 ( 回 答 数 ) 100(1,152) 100(1,442) 100(1,245) 注:質問文は「戦争の中には侵略戦争のように悪い戦争と、国を守るよい戦争 (正義の戦争)があるという意見を、あなたはどう思いますか。」 | 21 |
- 22 - 表8 日本はどのような戦争も行うべきではないか ( 数 字 は % ) 回 答 1997調 査 2006調 査 2016調 査 思う 少し思う あまり思わない 思わない どちらともいえない 81.3 3.7 2.8 7.7 4.5 79.0 7.3 2.3 6.0 5.4 75.4 8.8 3.8 5.0 7.1 計 ( 回 答 数 ) 100(1,156) 100(1,443) 100(1,245) 注:質問文は「日本はどのような戦争も行うべきではないと思いますか」 わ な い 」が わ ず か に 減 っ て 、「 ど ち ら と も い え な い 」 が 少 し ず つ 増 え て い る (20 年 間 で+2.6P) 。 性 別 で 経 年 的 に 見 る と 、 日 本 は ど の よ う な 戦 争 も 行 う べ き で な い と 思 う ( 「 思 う 」 + 「 少 し 思 う 」 ) は 、1997 年 調 査 で 女 子 は 男 子 よ り 14.0 ポ イ ン ト と か な り 多 く 、2006 調 査 で 7.2 ポ イ ン ト 多 く 、 2016 調 査 で 4.8 ポ イ ン ト 多 い 。戦 争 放 棄 に 関 し て も 女 子 の 方 が 一 貫 し て 、 ど の よ う な 戦 争 も 行 う べ き で な い と 思 う 割 合 が 多 い が 、過 去 20 年 間 で 男 女 差 は 3 分 の 1 に 減 っ て い る 。 上 記 の 3 回 の 調 査 結 果 か ら 、 回 答 生 徒 に お い て 、 正 義 の 戦 争 論 を 支 持 す る の は 15% 以 下 に す ぎ ず 、 日 本 は 今 後 ど の よ う な 戦 争 も 行 う べ き で な い と 思 う の は 85 % 以 上 も い る 。 戦 争 に つ い て の 平 和 主 義 を 、正 義 の 戦 争 論 を 支 持 せ ず 、か つ い か な る 戦 争 を も 行 う べ き で は な い と す る 考 え 方 で あ る と す る な ら ば 、3 回 の 調 査 か ら 、 中 学 生 の 多 く が 現 在 ま で 一 貫 し て 平 和 主 3 日 本 で は 解 釈 改 憲 の 下 で 、 自 衛 隊 の な し 崩 し 的 海 外 派 兵 が 行 わ れ て い る 。 今 後 も し 集 団 的 自 衛 権 が 行 使 さ れ れ ば 、 日 本 の 中 学 生 が 現 在 持 っ て い る「 正 義 の 戦 争 論 」へ の 反 義 的 な 考 え を 持 っ て い る と い え よ う 。 平 和 主 義 的 な 考 え は 過 去 20 年 の 間 に 大 き な 変 化 は な い 。だ が 、同 時 に 正 義 の 戦 争 論 反 対 と 戦 争 放 棄 の 考 え が 弱 く な る 予 兆 が あ る こ と が 示 さ れ て い る 。つ ま り 、正 義 の 戦 争 論 に 対 し て 中 学 生 の 反 対 が わ ず か に 減 少 し 、 戦 争 放 棄 へ の 確 信 が わ ず か に 低 下 し て い る3。 2006 調 査 と 2016 調 査 で 調 査 地 別 に 比 較 す る と 、 正 義 の 戦 争 論 へ の 意 見 に 対 し て は 、那 覇 が 最 も 反 対 の 割 合 が 大 き い が 、 「 反 対 」 の 生 徒 が 5.7 ポ イ ン ト 減 っ て い る 。戦 争 放 棄( 日 本 は 今 後 戦 争 を す べ き で な い と 思 う か ) の 考 え に つ い て は 、2006 年 と 2016 年 の 調 査 共 に 全 調 査 地 で 8 割 以 上 が 支 持 し て い る 。た だ し 、東 京 で は 戦 争 放 棄 に つ い て 「 思 う 」 の 生 徒 が 8.5 ポ イ ン ト 低 下 し て い る 。 (4) 第 二 次 世 界 大 戦 の 戦 争 体 験 の 継 承 戦争体験を伝えるエイジェント 日本においては、子どもたちの平和意識育成 対 や 、「 戦 争 放 棄 」と い っ た「 平 和 主 義 的 態 度 」が 、安 易 に 軍 事 力 の 行 使 を 認 め る 方 向 に 近 づ い て い く こ と が 予 想 さ れ る( 村 上2013、 p.55) 。 | 22 |
- 23 - 表9 第二次大戦継承のエイジェント (複数回答、数 字 は % ) 回 答 東 京 京 都 広 島 那 覇 2016調 査 2006調 査 テレビ 先生 祖父母(曾祖父母) イ ン タ ー ネ ッ ト 被爆者 新聞 父や母 被爆者以外の戦争体験者 『 ひ ろ し ま 平 和 ノ ー ト 』 その他4 82.4 46.6 37.4 34.4 10.6 19.8 26.3 13.6 1.6 8.1 74.7 61.4 33.4 37.0 21.4 23.7 18.8 10.7 3.6 5.2 76.5 58.6 33.2 31.6 58.3 24.8 20.2 17.9 40.1 3.6 77.2 59.8 42.9 41.7 26.4 31.9 16.9 32.7 0.8 5.9 77.9△ 56.0▼ 36.5 35.9 28.4△ 24.5 21.0 17.9 11.5 5.8 55.0② 77.0① 37.8③ - 21.4 25.9 18.6 17.7 - 6.9 % の 合 計 ( 設 問 へ の 回 答 人 数 ) 280.8 (369) 289.9 (308) 364.8 (307) 336.2 (254) 315.4 (1,238) 260.3 (1,439) 注 : 各 選 択 肢 に お い て 、 調 査 地 間 で 最 も 多 く 回 答 し て い る % を 文 字 囲 し て い る 。 の基盤は戦争体験の継承にあるが、伝えるエイ ジェントはどのように変化しているのであろう か。表9 に見るように、第二次大戦の様子を聞い たエイジェントについて、2006 調査で最も多く 選択されたのは学校の教師(先生)であったが、 2016 調査ではそれが 2 位になった(-21.0P)。 2016 調査で、エイジェントとして最も多いのが テレビの77.9%であった(+22.9P)。戦争体験 継承のエイジェントの主役は、過去10 年の間に 先生からテレビ に移行し ている。その一 方で 2016 調査では、祖父母・曾祖父母から話を聞い たが 37.8%(-1.3P)や、父母から話を聞いた が18.6%(+2.4P)などの割合は、前回の 2006 調査より10 年が経過したのにかかわらず、減少 が少ない。一方で、2016 調査で新しく選択肢に 4 表 9に お い て 、「 そ の 他 」 に 書 か れ た 具 体 例 と し て 、東 京 のA中 学 校 で は 、『 は だ し の ゲ ン 』が4つ あ っ た 。街 中 で 話 し を 聞 い た と す る 回 答 が あ り 、広 島 で は「 公 園 に い た お じ 入れたインターネットは 35.9%あり、新聞より も10 ポイントも高くなっている。 調 査 地 別 に エ イ ジ ェ ン ト の 違 い を 見 る と 、広 島 は 被 爆 者 か ら 聞 い た 割 合 が 多 く 、 2016 調 査 で は 58.3% と 突 出 し て い る 。広 島 市 教 育 委 員 会 が 2013 年 度 か ら 、広 島 市 内 の 全 小 中 学 生 に 配 布 を 始 め た 『 ひ ろ し ま 平 和 ノ ー ト 』 の 回 答 が 40.1% と 高 く な っ て い る の が 特 徴 で あ る 。一 方 の 那 覇 は 、 祖 父 母 ・ 曾 祖 父 母 か ら の 話(42.9% )、戦 争 体 験 者( 被 爆 者 以 外 )か ら(32.7% )、 ま た 新 聞(31.9% )の 割 合 が 4 調 査 地 の 中 で 最 も 高 い 。親 族 や 戦 争 体 験 者 、ま た 新 聞 を 通 じ て 地 域 で あ っ た 沖 縄 戦 の 様 子 に つ い て 聞 い て い る 様 子 が う か が え る 。 さ ん が 、話 し か け て き て 話 を 聞 い た 。」那 覇 で は「 バ ス で 知 り 合 っ た お 爺 さ ん 」が 記 述 さ れ て い る 。 - 23 - 表9 第二次大戦継承のエイジェント (複数回答、数 字 は % ) 回 答 東 京 京 都 広 島 那 覇 2016調 査 2006調 査 テレビ 先生 祖父母(曾祖父母) イ ン タ ー ネ ッ ト 被爆者 新聞 父や母 被爆者以外の戦争体験者 『 ひ ろ し ま 平 和 ノ ー ト 』 その他4 82.4 46.6 37.4 34.4 10.6 19.8 26.3 13.6 1.6 8.1 74.7 61.4 33.4 37.0 21.4 23.7 18.8 10.7 3.6 5.2 76.5 58.6 33.2 31.6 58.3 24.8 20.2 17.9 40.1 3.6 77.2 59.8 42.9 41.7 26.4 31.9 16.9 32.7 0.8 5.9 77.9△ 56.0▼ 36.5 35.9 28.4△ 24.5 21.0 17.9 11.5 5.8 55.0② 77.0① 37.8③ - 21.4 25.9 18.6 17.7 - 6.9 % の 合 計 ( 設 問 へ の 回 答 人 数 ) 280.8 (369) 289.9 (308) 364.8 (307) 336.2 (254) 315.4 (1,238) 260.3 (1,439) 注 : 各 選 択 肢 に お い て 、 調 査 地 間 で 最 も 多 く 回 答 し て い る % を 文 字 囲 し て い る 。 の基盤は戦争体験の継承にあるが、伝えるエイ ジェントはどのように変化しているのであろう か。表9 に見るように、第二次大戦の様子を聞い たエイジェントについて、2006 調査で最も多く 選択されたのは学校の教師(先生)であったが、 2016 調査ではそれが 2 位になった(-21.0P)。 2016 調査で、エイジェントとして最も多いのが テレビの77.9%であった(+22.9P)。戦争体験 継承のエイジェントの主役は、過去10 年の間に 先生からテレビ に移行し ている。その一 方で 2016 調査では、祖父母・曾祖父母から話を聞い たが 37.8%(-1.3P)や、父母から話を聞いた が18.6%(+2.4P)などの割合は、前回の 2006 調査より10 年が経過したのにかかわらず、減少 が少ない。一方で、2016 調査で新しく選択肢に 4 表 9に お い て 、「 そ の 他 」 に 書 か れ た 具 体 例 と し て 、東 京 のA中 学 校 で は 、『 は だ し の ゲ ン 』が4つ あ っ た 。街 中 で 話 し を 聞 い た と す る 回 答 が あ り 、広 島 で は「 公 園 に い た お じ 入れたインターネットは 35.9%あり、新聞より も10 ポイントも高くなっている。 調 査 地 別 に エ イ ジ ェ ン ト の 違 い を 見 る と 、広 島 は 被 爆 者 か ら 聞 い た 割 合 が 多 く 、 2016 調 査 で は 58.3% と 突 出 し て い る 。広 島 市 教 育 委 員 会 が 2013 年 度 か ら 、広 島 市 内 の 全 小 中 学 生 に 配 布 を 始 め た 『 ひ ろ し ま 平 和 ノ ー ト 』 の 回 答 が 40.1% と 高 く な っ て い る の が 特 徴 で あ る 。一 方 の 那 覇 は 、 祖 父 母 ・ 曾 祖 父 母 か ら の 話(42.9% )、戦 争 体 験 者( 被 爆 者 以 外 )か ら(32.7% )、 ま た 新 聞(31.9% )の 割 合 が 4 調 査 地 の 中 で 最 も 高 い 。親 族 や 戦 争 体 験 者 、ま た 新 聞 を 通 じ て 地 域 で あ っ た 沖 縄 戦 の 様 子 に つ い て 聞 い て い る 様 子 が う か が え る 。 さ ん が 、話 し か け て き て 話 を 聞 い た 。」那 覇 で は「 バ ス で 知 り 合 っ た お 爺 さ ん 」が 記 述 さ れ て い る 。 | 23 |
- 23 - 表 10 戦 争 体 験 者 か ら 直 接 体 験 を 聞 く 難 し さ に つ い て の 意 見 ( 数 字 は % ) 回 答 東 京 京 都 広 島 那 覇 2016調 査 戦争体験者がいなくなると、戦争がまた起こるのではと心配だ 難 し い が 戦 争 体 験 を 継 承 し た 方 が よ い 戦 争 体 験 者 が 少 な く な る の は 仕 方 が な い 日 本 で 長 く 平 和 が 続 い た の で よ か っ た 特 に 何 も 思 わ な い 戦 争 体 験 の 継 承 は 必 要 な い そ の 他 32.9① 26.9 11.6 12.4 12.4 2.0 1.7 33.3① 29.0 14.1 7.7 11.4 3.4 1.0 25.8 34.4① 14.0 12.4 10.4 1.3 1.7 42.0① 26.8 10.4 12.1 6.1 2.2 0.4 33.0 29.3 12.6 11.2 10.4 2.2 1.3 計 ( 回 答 数 ) 100 (346) 100 (297) 100 (299) 100 (231) 100 (1,173) 注:質 問 文 は「 戦 争 を よ く 記 憶 し て い る 者 が 80 歳 以 上 と 高 齢 化 し 、戦 争 体 験 を 直 接 聞 く こ と が 難 し く な り ま し た 。 下 の 中 か ら 、 あ な た の 気 持 ち に 最 も 近 い も の を 、 一 つ だ け 〇 を し て く だ さ い 。 」 戦 争 体 験 の 継 承 戦 争 体 験 者 が 高 齢 化 し 、 直 接 体 験 を 聞 く こ と が 難 し く な っ た こ と に つ い て 、 中 学 生 の 気 持 ち を 聞 い た ( 表 10) 。生 徒 か ら の 回 答 が 多 い 順 に 「 戦 争 体 験 者 が い な く な る と 、 戦 争 が ま た 起 こ る の で は と 心 配 だ 」(33.0% )、「 難 し い が 戦 争 体 験 を 継 承 し た 方 が よ い 」(29.3% )、「 戦 争 体 験 者 が 少 な く な る の は 仕 方 が な い 」(12.6 % )と 回 答 さ れ た 。「 難 し い が 継 承 し た 方 が よ い 」と 、戦 争 体 験 継 承 の 必 要 性 を 認 め て い る の が 約 3 割 の 生 徒 で あ る 。一 方 で 、 こ の 問 に 対 し て 「 特 に 何 も 思 わ な い 」 (10.4% ) が 1 割 、 そ し て 非 回 答 ( NA) が 、 サ ン プ ル 生 徒 の 6.0% (75 名 )い た 。 調 査 地 別 に 見 る と 、「 戦 争 体 験 者 が い な く な る と 、 戦 争 が ま た 起 こ る の で は と 心 配 だ 」 の 危 機 意 識 を 最 も 強 く 持 つ の が 那 覇 の 生 徒 で あ る(42.0% )。那 覇 の 生 徒 は 、 祖 父 母 や 体 験 者 か ら 話 を 聞 い た 割 合 が 高 か っ た ( 表 9 参 照 ) 。 他 方 、 「 難 し い が 戦 争 体 験 を 継 承 し た 方 が よ い 」 が 最 も 多 い の は 、 被 爆 地 広 島 に 住 む 生 徒 達 で あ り (34.4% )、こ れ は 広 島 で 行 わ れ て い る 平 和 教 育 の 影 響 を 受 け て い る と 思 わ れ る 。 男 女 別 に 見 る と 、「 体 験 者 が い な く な る と 戦 争 が 起 こ る の が 心 配 だ 」 と 答 え る 女 子 生 徒 が 41.8% お り 、男 子 の 24.8% と 比 べ る と 、17 ポ イ ン ト も 高 い 。こ の こ と か ら 、 女 子 の 方 が 戦 争 を 心 配 す る 傾 向 が 強 い と 言 え る 。 今 後 も 戦 争 体 験 が 継 承 さ れ る た め に は 、 受 け 継 ぐ 次 世 代 の「 当 事 者 意 識 」が 求 め ら れ る 。戦 争 体 験 が 風 化 す る の に 対 し 、何 も し な い 傍 観 者 で は な く 、 無 関 心 を 決 め 込 む の で も な く 、戦 争 体 験 継 承 を「 他 人 ご と で は な く 自 分 ご と 」 と し て 当 事 者 意 識 を 生 徒 達 が 持 ち う る の か が 、 平 和 教 育 に お い て 重 要 事 項 と な る 。 「 日 本 の 戦 争 体 験 を 伝 え る 」 こ と に つ い て 、生 徒 に 自 由 に 書 い て も ら っ た 。記 述 し た 生 徒 の 多 数 は 、 戦 争 体 験 を 継 承 す る - 23 - 表 10 戦 争 体 験 者 か ら 直 接 体 験 を 聞 く 難 し さ に つ い て の 意 見 ( 数 字 は % ) 回 答 東 京 京 都 広 島 那 覇 2016調 査 戦争体験者がいなくなると、戦争がまた起こるのではと心配だ 難 し い が 戦 争 体 験 を 継 承 し た 方 が よ い 戦 争 体 験 者 が 少 な く な る の は 仕 方 が な い 日 本 で 長 く 平 和 が 続 い た の で よ か っ た 特 に 何 も 思 わ な い 戦 争 体 験 の 継 承 は 必 要 な い そ の 他 32.9① 26.9 11.6 12.4 12.4 2.0 1.7 33.3① 29.0 14.1 7.7 11.4 3.4 1.0 25.8 34.4① 14.0 12.4 10.4 1.3 1.7 42.0① 26.8 10.4 12.1 6.1 2.2 0.4 33.0 29.3 12.6 11.2 10.4 2.2 1.3 計 ( 回 答 数 ) 100 (346) 100 (297) 100 (299) 100 (231) 100 (1,173) 注:質 問 文 は「 戦 争 を よ く 記 憶 し て い る 者 が 80 歳 以 上 と 高 齢 化 し 、戦 争 体 験 を 直 接 聞 く こ と が 難 し く な り ま し た 。 下 の 中 か ら 、 あ な た の 気 持 ち に 最 も 近 い も の を 、 一 つ だ け 〇 を し て く だ さ い 。 」 戦 争 体 験 の 継 承 戦 争 体 験 者 が 高 齢 化 し 、 直 接 体 験 を 聞 く こ と が 難 し く な っ た こ と に つ い て 、 中 学 生 の 気 持 ち を 聞 い た ( 表 10) 。生 徒 か ら の 回 答 が 多 い 順 に 「 戦 争 体 験 者 が い な く な る と 、 戦 争 が ま た 起 こ る の で は と 心 配 だ 」(33.0% )、「 難 し い が 戦 争 体 験 を 継 承 し た 方 が よ い 」(29.3% )、「 戦 争 体 験 者 が 少 な く な る の は 仕 方 が な い 」(12.6 % )と 回 答 さ れ た 。「 難 し い が 継 承 し た 方 が よ い 」と 、戦 争 体 験 継 承 の 必 要 性 を 認 め て い る の が 約 3 割 の 生 徒 で あ る 。一 方 で 、 こ の 問 に 対 し て 「 特 に 何 も 思 わ な い 」 (10.4% ) が 1 割 、 そ し て 非 回 答 ( NA) が 、 サ ン プ ル 生 徒 の 6.0% (75 名 )い た 。 調 査 地 別 に 見 る と 、「 戦 争 体 験 者 が い な く な る と 、 戦 争 が ま た 起 こ る の で は と 心 配 だ 」 の 危 機 意 識 を 最 も 強 く 持 つ の が 那 覇 の 生 徒 で あ る(42.0% )。那 覇 の 生 徒 は 、 祖 父 母 や 体 験 者 か ら 話 を 聞 い た 割 合 が 高 か っ た ( 表 9 参 照 ) 。 他 方 、 「 難 し い が 戦 争 体 験 を 継 承 し た 方 が よ い 」 が 最 も 多 い の は 、 被 爆 地 広 島 に 住 む 生 徒 達 で あ り (34.4% )、こ れ は 広 島 で 行 わ れ て い る 平 和 教 育 の 影 響 を 受 け て い る と 思 わ れ る 。 男 女 別 に 見 る と 、「 体 験 者 が い な く な る と 戦 争 が 起 こ る の が 心 配 だ 」 と 答 え る 女 子 生 徒 が 41.8% お り 、男 子 の 24.8% と 比 べ る と 、17 ポ イ ン ト も 高 い 。こ の こ と か ら 、 女 子 の 方 が 戦 争 を 心 配 す る 傾 向 が 強 い と 言 え る 。 今 後 も 戦 争 体 験 が 継 承 さ れ る た め に は 、 受 け 継 ぐ 次 世 代 の「 当 事 者 意 識 」が 求 め ら れ る 。戦 争 体 験 が 風 化 す る の に 対 し 、何 も し な い 傍 観 者 で は な く 、 無 関 心 を 決 め 込 む の で も な く 、戦 争 体 験 継 承 を「 他 人 ご と で は な く 自 分 ご と 」 と し て 当 事 者 意 識 を 生 徒 達 が 持 ち う る の か が 、 平 和 教 育 に お い て 重 要 事 項 と な る 。 「 日 本 の 戦 争 体 験 を 伝 え る 」 こ と に つ い て 、生 徒 に 自 由 に 書 い て も ら っ た 。記 述 し た 生 徒 の 多 数 は 、 戦 争 体 験 を 継 承 す る | 24 |
- 25 - こ と に 賛 成 の 記 述 を し て い る 。例 え ば 、平 和 教 育 研 究 の 意 図 に 沿 っ た 記 述 と し て 、 「 戦 争 体 験 を 伝 え る こ と は 年 々 難 し く な っ て い る と 思 い ま す 。な ぜ な ら 、体 験 さ れ た 方 が 高 齢 者 に な っ て い る か ら で す 。 だ か ら こ そ 、今 の 若 い 世 代 の 私 た ち が 今 、体 験 さ れ た 方 の お 話 し を 聞 い て 日 本 の 戦 争 体 験 を 聞 き 、 そ れ を ど ん ど ん 広 め て い く こ と が 大 切 だ と 考 え ま す 。( 東 京 )」と 記 し て い る 者 が い た 。ま た 、生 徒 の 中 に は 、 「 僕 が 今 自 分 が で き る こ と に つ い て し っ か り と し た 考 え を 持 ち 、 経 験 者 か ら 戦 争 体 験 を 聞 い た り 、 本 を 読 ん で 調 べ た り す る こ と が 大 切 だ と 思 う 。 こ の 戦 争 に つ い て 伝 え る 事 は 絶 対 に し な け れ ば い け な い と 思 う 。( 那 覇 )」と 真 剣 に 考 え て い る 者 が い た 。 戦 争 体 験 の 継 承 に つ い て は 、「 日 本 の 戦 争 被 害 だ け で な く 、 日 本 が 朝 鮮 や 他 の 国 々 に 戦 争 中 に 行 っ た こ と も 伝 え る 必 要 が あ る 」 と 日 本 が 行 っ た 戦 争 の 被 害 と 加 害 の 両 面 を 伝 え る 必 要 性 を 述 べ て い る 者 も い た 。ま た 、戦 争 体 験 を 継 承 す る こ と を 他 人 事 と 思 う 自 分 を 反 省 し て 、「 戦 争 体 験 を し た 人 が 減 っ て い る の で 、 身 近 な と こ ろ か ら 聞 け ず 他 人 事 の よ う に 思 っ て し ま い が ち で す 。 私 も 祖 父 に 聞 く 前 は 他 人 事 の よ う に 思 っ て い た の で み ん な が イ メ ー ジ で き る く ら い 知 る た め に 伝 え て い く こ と は 大 切 だ と 思 い ま す 。( 京 都 )」と 記 す も の も い た 。那 覇 で は 、体 験 者 か ら 積 極 的 に 話 を 聞 こ う と し て 、「 私 は 沖 縄 に 住 ん で い る の で 、 沖 縄 の こ と を も っ と 知 り た い と 思 う 。お じ い ち ゃ ん と か か ら 、詳 し く 聞 い て そ れ を ほ か の 人 に も 伝 え た い と 思 う 。 ( 那 覇 ) 」 と 記 し て い る 者 が い た 。 そ れ に 対 し て 、 記 述 の 割 合 は 非 常 に 少 な い が 、 戦 争 体 験 の 継 承 に 批 判 的 な 意 見 が あ る 。 戦 争 体 験 継 承 の 効 果 に 懐 疑 的 な 意 見 と し て 、「 そ れ [ 戦 争 体 験 : 筆 者 注 ] を 知 っ て も 、 別 の 戦 争 を し て い る 国 を 止 め る こ と は で き な い 。( 広 島 )」「 戦 争 体 験 を 人 々 に 伝 え て も 、 こ の 先 戦 争 が な く な る こ と は 、 難 し い と 思 う 。(東 京 ) 」 と い う 記 述 が あ っ た 。さ ら に 、世 界 の 現 状 に 対 し て 、「 日 本 以 外 の 国 で も 、今 戦 争 を し て い る 国 は た く さ ん あ る 。だ が 、そ の 人 々 に 戦 争 体 験 を 伝 え た っ て 政 府 は 戦 争 を や め な い と 思 う 。( 東 京 ) 」 生 徒 の 中 に は 、 過 去 を 振 り 返 る こ と に 疑 問 を 示 す 「 戦 争 を 起 こ さ な い よ う に 伝 え る こ と も 大 切 だ け れ ど 、 過 ぎ た こ と を 何 回 も 掘 り 返 す の は 良 く な い と 思 う 。( 広 島 )」と い う 意 見 が あ っ た 。 沖 縄 戦 の む ご い 話 し に つ い て 「 戦 争 体 験 者 か ら 、話 を 聞 く と 、戦 争 の む ご さ と か わ か る か ら 、 誰 も や り た く な い と 思 う け ど 、十 年 後 と か は 、直 で 聞 け な い と 思 う か ら 、ど う な る か 、わ か ら ん 。( 那 覇 ) 」 と 迷 い を 示 す 生 徒 が い た 。 戦 争 体 験 の 継 承 と し て 「 良 い と 思 う 方 法 」 を 生 徒 に 聞 い た ( 表 11) 。 選 択 肢 の 中 か ら 三 つ を 選 択 し て も ら っ た 結 果 、「 戦 争 体 験 者( 被 爆 者 な ど )の 話 を 聞 く 」が 最 も 多 く 、60.1% と 高 か っ た 。次 が「 平 和 資 料 館 の 見 学 に 行 く 」で あ っ た 。「 父 母 や 祖 父 母 な ど 家 族 か ら 話 を 聞 く 」は 、23.4% と 生 徒 の 4 分 の 1 以 下 に す ぎ な い 。 中 学 生 の 身 辺 に 、 戦 争 体 験 を 伝 え 教 え る 親 族 が 少 な く な っ て い る こ と を 、 生 徒 自 身 も 自 覚 し て い る の で あ ろ う 。 | 25 |
- 26 - 表 11 戦 争 体 験 の 継 承 と し て 良 い と 思 う 方 法 ( 三 つ ま で を 選 択 、 数 字 は % ) 回 答 東 京 京 都 広 島 那 覇 2016調 査 戦 争 体 験 者 ( 被 爆 者 な ど ) の 話 を 聞 く 平 和 資 料 館 の 見 学 に 行 く テ レ ビ で 戦 争 体 験 についての番組があればそれを見る 本 を 読 む 戦 争 遺 跡 の 見 学 に 行 く 父 母 や 祖 父 母 な ど 家 族 か ら 話 を 聞 く インターネットで探して、戦 争 体 験 の 証 言 ビ デ オ を見る そ の 他 52.2 30.3 55.1 40.4 33.4 26.1 19.7 1.1 60.0 48.0 44.3 33.0 34.7 22.7 18.0 0.7 64.5 66.4 41.2 27.2 27.6 17.3 23.3 1.3 66.3 58.4 37.9 30.9 30.9 28.0 25.1 0.8 60.1 49.5 45.4 33.3 31.8 23.4 21.3 1.0 % の 合 計 ( 設 問 へ の 回 答 人 数 ) 258.3 (356) 261.4 (300) 268.8 (301) 278.3 (243) 265.8 (1,200) 注 1: 質 問 文 は 、 「 あ な た は 、 戦 争 体 験 の 継 承 の 方 法 と し て ど の よ う な 方 法 が 良 い と 思 い ま す か 。 良 い と 思 う 方 法 を 下 か ら 選 ん で 、 三 つ ま で 〇 を し て く だ さ い 。 」 注 2: 各 選 択 肢 に お い て 、 調 査 地 間 で 最 も 多 く 回 答 し て い る % を 文 字 囲 し て い る 。 そ れ で も 、調 査 地 別 に 見 て い く と 、那 覇 で は「 戦 争 体 験 者 か ら 話 を 聞 く 」が 最 も 多 く 、ま た「 父 母 や 祖 父 母 な ど 家 族 か ら 話 を き く 」 が 28.0% と 他 と 比 べ て 人 か ら 聞 く 学 習 方 法 が 高 い 。「 平 和 資 料 館 の 見 学 に 行 く 」が 最 も 多 い の は 広 島 の 生 徒 で あ る 。東 京 の 生 徒 は 、「 テ レ ビ で 戦 争 体 験 に つ い て の 番 組 が あ れ ば そ れ を 見 る 」 や 「 本 を 読 む 」を 多 く 選 択 し て お り 、間 接 的 な 学 習 方 法 の 選 択 肢 を 選 ん で い る 。 戦 後 70 年 が 過 ぎ る 中 で 、若 者 が リ ア ル に 感 じ る 戦 争 は 、1950 年 代 に は 朝 鮮 戦 争 、 60 年 代 と 70 年 代 は ベ ト ナ ム 戦 争 に 変 わ り 、1990 年 代 に は 湾 岸 戦 争 、そ し て 2000 年 代 に 入 っ て イ ラ ク 戦 争 へ と 変 化 し て い っ た 。2010 年 代 の 現 在 は 、東 シ ナ 海 や 南 シ ナ 海 で の 領 土 を め ぐ る 覇 権 争 い に 関 心 が 移 っ て い る 。 中 学 生 に と っ て 今 起 き て い る 紛 争 や 戦 争 が 大 き な 関 心 事 で あ り 、 70 年 以 上 前 と な っ た 第 二 次 世 界 大 戦 に 関 し て は 、 中 学 生 の 当 事 者 意 識 を 引 き 出 す に は か な り の 工 夫 が 必 要 で あ る 。 平 和 や 戦 争 に つ い て 学 習 し た い 内 容 を 生 徒 に 三 つ ま で 聞 い た ( 表 12) 。 回 答 で は 、 「 世 界 で 起 こ っ て い る 今 の 戦 争 や 紛 争 」が 最 も 多 く 、生 徒 の 第 一 の 関 心 事 が 現 在 の 世 界 の 戦 争 や 紛 争 で あ る こ と が 分 か る 。 従 来 の 平 和 教 育 の 学 習 内 容 で あ る 、 「 日 本 が 過 去 に 行 っ た 戦 争 」 の 回 答 が 2 番 目 で 、「 日 本 の 戦 争 被 害 」(25.7% )が 4 番 目 で あ る 。「 日 本 国 憲 法 に お け る 平 和 主 義 」 (26.6% ) は 3 番 目 で あ り 、 憲 法 論 議 が 盛 ん に な る 政 治 状 況 の 中 で 、 中 学 生 に も 日 本 国 憲 法 に つ い て 考 え る 機 会 を 保 障 す る こ と が 重 要 に な っ て い る 。「 沖 縄 の 在 日 米 軍 基 地 」を あ げ た の は 、全 体 で は 18.5%( 7 番 目 )だ が 、調 査 地 別 に 那 覇 の 生 徒 に 限 っ て み る と 34.3% ( 3 番 目 ) に | 26 |
- 27 - 表 12 平 和 や 戦 争 に つ い て の 学 習 で 学 び た い こ と ( 三 つ ま で を 選 択 、 数 字 は % ) 回 答 2016調 査 世 界 で 起 こ っ て い る 今 の 戦 争 や 紛 争 日 本 が 過 去 に 行 っ た 戦 争 日 本 国 憲 法 に お け る 平 和 主 義 日 本 の 戦 争 被 害 ( 原 爆 や 都 市 へ の 空 襲 や 地 上 戦 な ど ) 自 分 た ち の 周 り の い じ め 社 会 で 起 こ っ て い る 暴 力 事 件 沖 縄 の 在 日 米 軍 基 地 自 衛 隊 の 海 外 派 遣 日 本 に よ る ア ジ ア へ の 侵 略 戦 争 そ の 他 64.3 53.1 26.6 25.7 25.3 19.7 18.5 15.4 14.3 1.7 % の 合 計 ( 設 問 へ の 回 答 人 数 ) 264.6(1223) 表 13 被 爆 体 験 を 世 界 の 人 々 に 伝 え る こ と は 大 切 か ( 数 字 は % ) 回 答 1997調 査 2006調 査 2016調 査 思 う 少 し 思 う あ ま り 思 わ な い 思 わ な い ど ち ら と も い え な い 66.6 16.8 5.2 5.4 6.0 66.7 21.8△ 5.2 2.6 3.7 73.4△ 18.7 3.8 1.4 2.7 計 ( 回 答 数 ) 100(1,157) 100(1,445) 100(1,248) 注 : 質 問 文 は 、 「 あ な た は 広 島 や 長 崎 の 被 爆 体 験 を 世 界 の 人 々 に 伝 え る こ と を 大 切 と 思 い ま す か 。 」 大 き く 上 昇 し 、 次 世 代 の 沖 縄 県 民 の 在 日 米 軍 基 地 に 対 す る 課 題 意 識 は 高 い と い え る 。 被 爆 体 験 の 世 界 の 人 々 へ の 継 承 広 島 と 長 崎 へ の 原 爆 投 下 は 世 界 史 的 事 件 と い え る が 、 中 学 生 達 は 被 爆 体 験 を 世 界 の 人 々 に 伝 え る こ と に つ い て ど の よ う に 思 っ て い る の で あ ろ う か 。表 13 で 示 す よ う に 、 被 爆 体 験 を 世 界 の 人 々 に 伝 え る の が 大 切 と 思 う(「 思 う 」+「 少 し 思 う 」) 生 徒 は 、1997 調 査 で は 83.4% あ り 、2006 調 査 で は 88.5%( +5.1P)、2016 調 査 で は 92.1%( +3.6P)と な り 、過 去 20 年 間 で 8.7 ポ イ ン ト 増 加 し て い る 。2016 年 に は 回 答 生 徒 の 9 割 以 上 と ほ と ん ど が 、 被 爆 体 験 を 世 界 の 人 々 に 伝 え る こ と が 大 切 だ と 思 っ て い る 。 日 本 の 中 学 生 全 般 に お い て も 、 被 爆 体 験 継 承 の 重 要 性 が 広 く 浸 透 し て い る と 思 わ れ る 。 | 27 |
- 28 - 表 14 第 二 次 世 界 大 戦 で 被 害 が 最 も 大 き い 国 は 日 本 と 思 う ( 数 字 は % ) 回 答 東 京 京 都 広 島 那 覇 2016調 査 思 う 思 わ な い わ か ら な い 24.9 18.5 56.6 21.0 23.9 55.0 22.4 30.5 47.1 31.0 19.8 49.2 24.6 23.1 52.3 計 ( 回 答 数 ) 100(373) 100(309) 100(308) 100(258) 100(1,248) 注 : 質 問 文 は 「 第 二 次 世 界 大 戦 で 被 害 が 最 も 大 き い 国 は 「 日 本 」 だ と 思 い ま す か 。 」 自 由 記 述 に お い て 、 被 爆 体 験 の 継 承 に つ い て は 、 広 島 の 生 徒 が い く つ か の 改 善 点 を 示 し て い る 。 生 徒 の 主 体 的 取 り 組 み と し て 、「 伝 え る に は 継 承 し て い か な く て は い け な い の で 、 少 し で も 被 爆 者 の 話 を 聞 い て み た り し て い き た い 。」、日 本 の 戦 争 加 害 に つ い て 、 「 戦 争 体 験 を 伝 え る な ら 、原 爆 の こ と だ け で な く 、日 本 が 敵 国 に 何 を し た の か 、そ し て 第 二 次 世 界 大 戦 は 、 決 し て 日 本 が 正 義 で は な か っ た こ と を 伝 え て い か な け れ ば な ら な い 。」、ア メ リ カ が 原 爆 投 下 を 正 当 化 す る こ と に 対 し て 、 「 ア メ リ カ で は 原 爆 を 落 と し た の は 正 解 だ っ た と 思 っ て い る 人 が 多 数 い る 。 そ の 人 た ち に も 原 爆 の こ と を 知 っ て も ら い た い 」 と 海 外 で の 継 承 の 必 要 性 を 述 べ る 。 戦 争 被 害 の 国 日 本 で 継 承 さ れ て き た 戦 争 体 験 は 、 市 民 の 戦 争 被 害 体 験 が 中 心 で あ り 、広 島・長 崎 で の 被 爆 、都 市 空 襲 、沖 縄 戦 、学 童 疎 開 、 勤 労 動 員 、な ど の 体 験 が 伝 え ら れ る 。日 本 軍 兵 士 の 国 外 で の 戦 争 体 験 が 伝 え ら れ る こ と は 少 な く 、 ア ジ ア 太 平 洋 戦 争 で の 日 本 に よ る 戦 争 加 害 が 教 え ら れ る こ と は 稀 で あ る 。 第 二 次 世 界 大 戦 で 、 最 も 人 的 被 害 が 大 き か っ た 国 は ソ 連 で あ り 、 ま た ド イ ツ の 戦 争 被 害 も 大 き い 。ア ジ ア 太 平 洋 で は 、中 国 の 人 的 被 害 が 大 き い 。中 学 生 に 、第 二 次 世 界 大 戦 で 被 害 が 最 も 大 き い 国 が 日 本 と 思 う か 、 に つ い て 質 問 し た ( 表 14) 。 被 害 が 最 も 多 い と 「 思 う 」 生 徒 が 24.6% 、 「 思 わ な い 」が 23.1% で ほ ぼ 4 分 の 1 ず つ で あ る 。そ の 他 の 半 数 以 上 が「 わ か ら な い 」 と 答 え て い る 。 調 査 地 別 で 見 る と 、ま ず 広 島 の 生 徒 は 、 「 思 わ な い 」 が 30.5% と 最 も 多 い 。 広 島 の 平 和 教 育 実 践 で は 、 原 爆 の 被 爆 体 験 だ け を 教 え て い て は 世 界 の 人 々 の 支 持 を 得 ら れ ず 、 核 廃 絶 を 世 界 に 訴 え る の は 日 本 の 加 害 も 同 時 に 教 え る べ き と 考 え る 教 員 が 多 い 。 次 に 沖 縄 で は 、 生 徒 の 31.0% が 被 害 が 最 も 大 き い 国 が 日 本 と「 思 う 」と 答 え て い る 。 そ れ は 、 住 民 の 4 人 に 1 人 が 沖 縄 地 上 戦 で 亡 く な り 、 そ う し た 戦 争 の 悲 惨 な 体 験 が 生 徒 に 伝 え ら れ て い る 影 響 と い え よ う 。 そ の 他 の 東 京 と 京 都 の 生 徒 で は 、広 島 や 那 覇 と 比 べ て「 わ か ら な い 」 と 答 え る 生 徒 が 多 い 。 (5) 平 和 博 物 館 へ の 訪 問 現 在 日 本 各 地 に 60 館 以 上 の 平 和 博 物 館 が あ り 、 そ れ ら は 地 域 の 平 和 教 育 セ ン タ ー の 役 割 を 果 た し て い る 。 広 島 と 長 崎 と 沖 縄 に は 大 規 模 な 平 和 博 物 館 が あ り 、 | 28 |
- 29 - 表15 調査地別に見た平和博物館訪問率 (複数回答、数字は%) 東京 京都 広島 那覇 全体 1997調査での訪問率 24.9 59.9 93.8 99.4 72.2 2006調査での訪問率 27.6 51.7 96.2 96.4 69.1 2016調査での訪問率 (訪問あり生徒数/サンプル数) 27.3 (102/373) 37.2 (115/309) 97.7 (301/308) 97.2 (251/258) 61.6 (769/1,248) 東京大空襲・戦災資料センター 川崎市平和館 第五福竜丸展示館 しょうけい館 8.3 1.9 2.1 0.5 1.3 1.0 0.3 - 2.6 1.6 0.6 1.0 0.8 - - - 3.6 1.2 0.9 0.4 立命館大学国際平和ミュージアム 舞鶴引揚記念館 大阪国際平和センター 0.3 0.3 1.3 6.8 3.6 1.9 1.0 0.6 1.3 0.4 0.4 - 2.1 1.2 1.2 広島平和記念資料館 長崎原爆資料館 大久野島毒ガス資料館 10.2 4.6 0.5 26.5 2.6 0.3 95.5 18.5 4.2 6.6 69.4 - 34.5 20.9 1.3 沖縄県立平和祈念資料館 ひめゆり平和祈念資料館 対馬丸祈念館 1.9 4.3 1.3 3.2 2.6 0.3 1.9 2.6 1.0 78.3 69.4 53.9 18.0 16.9 11.9 その他 N.A. 1.1 72.7 1.0 62.8 1.0 2.3 - 2.7 0.8 38.4 注 1: 訪 問 率 = 訪 問 あ り 生 徒 数 / 各 サ ン プ ル 数 ×100 注 2: 文 字 囲 い は 、 各 調 査 地 で 2 番 目 ま で の 訪 問 率 で あ る こ と を 示 す。 他 府 県 か ら 多 く の 修 学 旅 行 生 が 訪 問 し て い る 。 表 15 に 示 す よ う に 、調 査 地 に よ っ て 生 徒 達 が 平 和 博 物 館 へ 行 く 割 合( 訪 問 率 )が 大 き く 異 な っ て い る 。訪 問 率 は 、平 和 博 物 館 の 訪 問 経 験 が あ る 生 徒 数 が 各 サ ン プ ル 数 に 対 し て 占 め る 割 合 に よ り 算 出 し た 。 表 15 の 上 部 は 、各 調 査 地 の 中 学 生 が 訪 問 し た 割 合 を 調 査 別 に 示 し た も の で あ る 。 い ず れ の 調 査 で も 、 平 和 博 物 館 へ の 訪 問 率 が 高 い の は 広 島 と 那 覇 で あ る 。 次 が 京 都 と 東 京 で あ る が 、京 都 に つ い て は 2016 調 査 で 訪 問 率 が 大 き く 下 が っ て い る 。 こ れ は 広 島 へ の 修 学 旅 行 が 減 っ た た め と 思 わ れ る 。 2016 調 査 で は 、 分 析 対 象 の 1248 名 の 内 で 769 名 が 「 訪 問 あ り 」 で 、 訪 問 率 は 61.6% で あ る 。 残 り の 479 名 ( 38.4% ) が い ず れ の 平 和 博 物 館 に も 行 っ た こ と が な く 、「 訪 問 な し 」 で あ る 。2016 調 査 を 調 査 地 別 に 詳 し く 見 る と 、 広 島 は 訪 問 率 が 高 い が 、 こ れ は 地 元 の 広 島 平 和 記 念 資 料 館 に 行 く 率 が 95.5% と 高 い こ と に よ る 。 沖 縄 に つ い て は 、 複 数 の 平 和 博 物 館 に 多 く 訪 問 し て い る 。那 覇 の 生 徒 の 場 合 は 、県 内 の 沖 縄 県 立 平 和 祈 念 資 料 館(78.3% )や - 29 - 表15 調査地別に見た平和博物館訪問率 (複数回答、数字は%) 東京 京都 広島 那覇 全体 1997調査での訪問率 24.9 59.9 93.8 99.4 72.2 2006調査での訪問率 27.6 51.7 96.2 96.4 69.1 2016調査での訪問率 (訪問あり生徒数/サンプル数) 27.3 (102/373) 37.2 (115/309) 97.7 (301/308) 97.2 (251/258) 61.6 (769/1,248) 東京大空襲・戦災資料センター 川崎市平和館 第五福竜丸展示館 しょうけい館 8.3 1.9 2.1 0.5 1.3 1.0 0.3 - 2.6 1.6 0.6 1.0 0.8 - - - 3.6 1.2 0.9 0.4 立命館大学国際平和ミュージアム 舞鶴引揚記念館 大阪国際平和センター 0.3 0.3 1.3 6.8 3.6 1.9 1.0 0.6 1.3 0.4 0.4 - 2.1 1.2 1.2 広島平和記念資料館 長崎原爆資料館 大久野島毒ガス資料館 10.2 4.6 0.5 26.5 2.6 0.3 95.5 18.5 4.2 6.6 69.4 - 34.5 20.9 1.3 沖縄県立平和祈念資料館 ひめゆり平和祈念資料館 対馬丸祈念館 1.9 4.3 1.3 3.2 2.6 0.3 1.9 2.6 1.0 78.3 69.4 53.9 18.0 16.9 11.9 その他 N.A. 1.1 72.7 1.0 62.8 1.0 2.3 - 2.7 0.8 38.4 注 1: 訪 問 率 = 訪 問 あ り 生 徒 数 / 各 サ ン プ ル 数 ×100 注 2: 文 字 囲 い は 、 各 調 査 地 で 2 番 目 ま で の 訪 問 率 で あ る こ と を 示 す。 他 府 県 か ら 多 く の 修 学 旅 行 生 が 訪 問 し て い る 。 表 15 に 示 す よ う に 、調 査 地 に よ っ て 生 徒 達 が 平 和 博 物 館 へ 行 く 割 合( 訪 問 率 )が 大 き く 異 な っ て い る 。訪 問 率 は 、平 和 博 物 館 の 訪 問 経 験 が あ る 生 徒 数 が 各 サ ン プ ル 数 に 対 し て 占 め る 割 合 に よ り 算 出 し た 。 表 15 の 上 部 は 、各 調 査 地 の 中 学 生 が 訪 問 し た 割 合 を 調 査 別 に 示 し た も の で あ る 。 い ず れ の 調 査 で も 、 平 和 博 物 館 へ の 訪 問 率 が 高 い の は 広 島 と 那 覇 で あ る 。 次 が 京 都 と 東 京 で あ る が 、京 都 に つ い て は 2016 調 査 で 訪 問 率 が 大 き く 下 が っ て い る 。 こ れ は 広 島 へ の 修 学 旅 行 が 減 っ た た め と 思 わ れ る 。 2016 調 査 で は 、 分 析 対 象 の 1248 名 の 内 で 769 名 が 「 訪 問 あ り 」 で 、 訪 問 率 は 61.6% で あ る 。 残 り の 479 名 ( 38.4% ) が い ず れ の 平 和 博 物 館 に も 行 っ た こ と が な く 、「 訪 問 な し 」 で あ る 。2016 調 査 を 調 査 地 別 に 詳 し く 見 る と 、 広 島 は 訪 問 率 が 高 い が 、 こ れ は 地 元 の 広 島 平 和 記 念 資 料 館 に 行 く 率 が 95.5% と 高 い こ と に よ る 。 沖 縄 に つ い て は 、 複 数 の 平 和 博 物 館 に 多 く 訪 問 し て い る 。那 覇 の 生 徒 の 場 合 は 、県 内 の 沖 縄 県 立 平 和 祈 念 資 料 館(78.3% )や | 29 |
- 30 - ひ め ゆ り 平 和 祈 念 資 料 館(69.4% )に 行 く 割 合 が 高 い 。ま た 、九 州 修 学 旅 行 に 行 く 影 響 で 、 長 崎 原 爆 資 料 館 に 69.4% が 訪 問 し て い る 。京 都 の 場 合 は 、広 島 平 和 記 念 資 料 館 へ の 訪 問 率 は 26.5% で あ る 。 京 都 市 内 に あ る 立 命 館 大 学 国 際 平 和 ミ ュ ー ジ ア ム を 訪 れ た 生 徒 は 6.8% に す ぎ な い 。東 京 で は 、平 和 博 物 館 を 訪 問 し た 生 徒 は 、広 島 平 和 記 念 資 料 館 が 10.2% で あ り 、 東 京 都 江 東 区 に あ る 東 京 大 空 襲 ・ 戦 災 資 料 セ ン タ ー を 訪 問 し た の が 8.3% で あ る 。 (6) 平 和 形 成 の 方 法 に つ い て 平 和 形 成 へ の 貢 献 意 欲 生 徒 達 は 平 和 な 社 会 を 形 成 す る こ と に つ い て ど の よ う に 思 っ て い る の で あ ろ う か 。表16 に見るように、2016 調査で社会が「平 和であるために何かしたい」と思っている生徒 は74.7%(+3.2P)あり、生徒達の平和への貢献 意識はかなり高いといえよう。 では、生徒達は社会が平和であるために何を したいと思っているのだろうか。2016 調査で「は い」と答えた生徒のみを対象に、したいと思う活 動内容を複数回答で聞いた。表17 によると最も 多いのが、「わからないけど、何かしたい」で64.2 %(+4.1P)である。「他の人と仲良く力を合わ せ、いじめをなくす」が37.3%(+8.2P)で 2 番 目に入っている。このことから、〈いじめ〉を平 和形成の課題として重視する生徒が増えたこと がわかる。続いて「貧しい国への援助活動に協力 する」が35.8%(-4.4P)となっている。 社会が平和であるために何もしたくないと思 う生徒達は、なぜそのように思うのであろうか。 何かしたいと思っているかに「いいえ」と答えた 生徒のみを対象に、その理由を聞いた。表18 に よれば、2016 調査で最も多いのが「何をしてい いのかわからない」65.7%(+5.2P)である。「自 分一人でしても意味がない」が5.4 ポイント増え 表16 社会が平和であるために何かしたいと思っているか(数字は%) 回 答 2006調 査 2016調 査 は い い い え 71.5(1,036) 28.5 (413) 74.7(931) 25.3(315) 計 ( 回 答 数 ) 100 (1,449) 100(1,246) 表17 平和のためにしたいと思っていること (複数回答、数 字 は % ) 回 答 2006調 査 2016調 査 わからないけど、何かしたい 他の人と仲良く力を合わせ、いじめをなくす 貧しい国への援助活動に協力する 自然保護に協力する 平和の大切さを人々に訴える 平和運動に参加する その他 60.1① 29.1④ 40.2② 31.8③ 23.2 13.8 3.5 64.2 37.3△ 35.8 25.6▼ 23.0 14.3 3.2 %の合計(設問への回答人数) 202.1(1,033) 203.4(931) | 30 |
- 31 - 表18 平和のために何もしたくない理由 (複数回答、数 字 は % ) 回 答 2006調 査 2016調 査 何をしていいのかわからない 考えたことがない 自分一人でしても意味(効果)がない 面倒なので、かかわりたくない 大人がやるべきこと 今平和だから必要がない その他 60.5① 47.9② 32.4③ 23.0 13.6 10.9 5.8 65.7△ 38.4▼ 37.8△ 22.9 10.8 7.6 5.7 %の合計(設問への回答人数) 194.4(413) 188.9(315) ている。上記の結果から、平和のために何かした いと思っていても思っていなくても、何をして いいのかわからないとの回答が最も多く、さら にこの回答が過去10 年間の間に増えていること が示された。 国 同 士 が 起 こ す 戦 争 に 対 し て 無 力 感 を 記 す 生 徒 が い る 。 調 査 に つ い て の 自 由 記 述 で 、平 和 形 成 に 対 し て「 最 初 は 戦 争 が 悪 い と か き れ い な こ と を 言 っ て い た け ど 実 際[ 自 分 は ]何 も や っ て な い し 、何 も で き な い と 思 っ た 。( 東 京 )」や 、「 私 に は 力 が な く 、戦 争 が 起 き て い る 国 が あ っ て も 、 直 接 そ こ で 支 援 し よ う と す る 勇 気 が な い 。 そ し て 、少 し 人 事[ ひ と ご と ]の よ う に 思 う 自 分 が い る 。( 那 覇 )」が あ っ た 。反 対 に 課 題 へ の 前 向 き な 記 述 と し て 、「 私 た ち は 、 戦 争 に つ い て 知 ら な い こ と が 多 い け ど 、 そ れ を 自 分 た ち の 意 思 で 調 べ た り し て 、平 和 な 世 界 に 近 づ け た い と 思 っ た 。こ れ か ら 先 、 戦 争 を 知 ら な い 小 さ い 子 た ち に も 戦 争 が ダ メ だ と い う こ と を 伝 え た い と 思 っ た 。 ( 那 覇 ) 」 が あ っ た 。 平 和 形 成 す る た め の 学 習 課 題 生 徒 達 の 平 和 社 会 形 成 へ の 貢 献 意 欲 が 高 い こ と 、 ま た 平 和 社 会 形 成 の 活 動 内 容 に つ い て 上 に 示 し た 。そ れ で は 、生 徒 達 は 平 和 社 会 形 成 に 必 要 な 学 習 課 題 が 何 と 思 っ て い る の で あ ろ う か 。つまり、生徒達は何 を<学習すれば>平和な社会をつくることがで きると考えているのであろうか(表 19)。調査 では、平和な社会をつくるために学習する必要 がある内容(学習題材)を三つ選択してもらった。 8 つの選択肢の内、最も多かったのが「生命の大 切さ」で60.5%ある。続いて「戦争体験の継承」 (44.7%)がきている。 平 和 形 成 に 努 力 し た 人 や 団 体 2016 調 査 で は 平 和 の 形 成 に 努 力 し た 人 や 団 体 に つ い て 知 っ て い る(「 知 っ て い る 」+「 少 し 知 っ て い る 」)と 答 え た 生 徒 (290 名 :23.4% : 無 回 答 を 除 く ) に 対 し て 、 そ の 具 体 名 を 調 査 票 に 記 入 し て も ら っ た 。 そ の 項 目 へ の 有 効 記 入 者 数 は 232 名 で 、 そ れ は 回 答 生 徒 全 体 の 18.5% に あ た っ て い る 。他 方 、2006 調 査 で は 知 っ て い る と 答 え た 生 徒(335 名 :23.4% )の 内 、 | 31 |
- 32 - 表19 平和な社会をつくるために学習する必要があるもの(三つまでを選択、数 字 は % ) 題 材 2016調 査 生 命 の 大 切 さ 戦 争 体 験 の 継 承 偏 見 や 差 別 な ど の 人 権 問 題 いじめ問題 意見の違いを話し合いによって解決する方法(非暴力的方法) 広島や長崎の原爆被爆 国際連合の活動 近 隣 諸 国 と の 友 好 な 関 係 その他 60.5 44.7 41.6 32.7 24.2 24.0 23.2 19.4 1.2 %の合計(設問への回答人数) 271.5(1,207) 表 20 平 和 な 社 会 を つ く る た め に 努 力 し た 人 や 平 和 運 動 団 体 の 名 前 ( 数 字 は 人 数) 2006 調 査 2016 調 査 個 人 名 マ ザ ー ・ テ レ サ (22) 、 黒 柳 徹 子 ( 14) 、 ガ ン ジ ー(14)、杉 原 千 畝( 6)、マ ー タ イ( 3)、 オ ー ド リ ・ ヘ ッ プ バ ー ン (3) マ ザ ー ・ テ レ サ(21)、マ マ ラ・ユ ス フ ザ イ(15)、杉 原 千 畝( 15)、ガ ン ジ ー( 14)、 リ ン カ ー ン (4)、オ ー ド リ ・ ヘ ッ プ バ ー ン (3) 、 キ ン グ 牧 師 (3)、 黒 柳 徹 子 ( 3) 団 体 名 ユ ニ セ フ(70)( ユ ニ セ フ 募 金 の 9 も 含 む )、 国 際 連 合 (20)、 NGO( 13)と NPO( 13)、 国 境 な き 医 師 団(11)、赤 十 字 協 会( 8)、WHO (8)、全 国 水 平 社( 8)、募 金 や 寄 付 活 動( 7)、 赤 い 羽 根 募 金 (5) 、 青 年 海 外 協 力 隊 ( 4) 、 JICA( 3) 、 米 軍 基 地 の 反 対 運 動 ( 3) ユ ニ セ フ (49) ( ユ ニ セ フ 募 金 の 4 も 含 む ) 、NGO・ NPO( 13) 、 青 年 海 外 協 力 隊 (11) 、 国 境 な き 医 師 団 ( 10) 、 赤 十 字 協 会(5)、募 金 や 寄 付 活 動( 5)、国 際 連 合 (4) 、 JICA( 3) 具 体 名 の 有 効 記 入 者 数 は270名 で 、そ れ は 回 答 生 徒 全 体 の18.6% に あ た り 、 2016調 査 と 全 く 同 じ 割 合 で あ る ( 村 上2009、pp .343-345) 。 表20で 、具 体 的 な 記 入 名 を 見 て い こ う 。 個 人 名 で は 、2006調 査 と 比 較 し て 2016調 査 で 増 え た 記 述 は 、17歳 で 2013年 に ノ ー ベ ル 平 和 賞 を 受 賞 し た マ ラ ラ ・ ユ ス フ ザ イ と 、 ユ ダ ヤ 人 に ビ ザ を 発 行 し た 杉 原 千 畝 で あ る 。団 体 名 に つ い て は 、青 年 海 外 協 力 隊 の 記 述 が 増 加 し て い る 。 テ レ ビ 報 道 な ど の 影 響 も あ り 、 青 年 海 外 協 力 隊 に 関 心 を 持 つ 生 徒 が 増 え て い る 。 反 対 に 減 っ た の が ユ ニ セ フ や 国 際 連 合 と 全 国 水 平 社 で あ る 。 | 32 |