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( 図 2 記録部分の拡大図 ) この地域はニホンジカが数多く生息し スズタケの衰退やニホンジカの食害がみられる 隣接する国有林でシカの生息が 50 頭 /km 2 を超えている ( 静岡県, 2012) 年間降水量 3,000mm 以上 ( 藤村,1971) 降水量が多く 傾斜地で もともと土壌流

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UTMF トレイル・ランニング大会による連続踏圧の登山道への影響

富士山エコレンジャー 吉永耕一 吉永厚子 概要 須山口登山道で、2012 年 5 月 16 日にスズタケ衰退やニホンジカの食害確認のため、周囲の状況を 記録した。同年 5 月 20 日、須山口登山道での継続調査において登山道の著しい土壌侵食、植生損 傷に出会い、その状況を撮影した。ニホンジカの生息調査用のセンサー・カメラに約 750 名のラ ンナー通過が記録されていた。ランナー通過前後の登山道の状況を数カ所の地点で比較し、トレ イル・ランニング大会による連続踏圧の登山道への影響を記録した。また、UTMF 大会後、初めて の降雨後、また、台風や梅雨末期の大雨後の連続踏圧を受けた登山道の変化を記録した。 (グラフ 1 トレイル・ランニング大会とその前後の降雨。 旧スカイライン料金所付近の日雨量) 記録地点 主催者によれば、記録区間を含む水ヶ塚・子供の国区間(スタートから 68km~77km)は、富士山一 周(156km)の約半分の区間となる。記録地点は、富士山南面、スカイライン水ヶ塚駐車場南東側の 広葉樹林内。記録した区間は、スキー場から出る小径を通り、須山口登山道に合流し、登山道を 下った図 1、2 の赤線部分。(通過順 A→B→C→D→E→F→G→H→センサー・カメラ)。 (図 1 中央を下る点線が須山口登山道。登山道沿いの沢が西側の裾野市と東側の御殿場市の境界)

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(図 2 記録部分の拡大図) この地域はニホンジカが数多く生息し、スズタケの衰退やニホンジカの食害がみられる。隣接す る国有林でシカの生息が 50 頭/km2を超えている(静岡県, 2012)。年間降水量 3,000mm 以上(藤村,1971)。 降水量が多く、傾斜地で、もともと土壌流出の危険性がある。加えて、シカの採食によって下層 植生が減少し、土壌被覆の減少と雨滴衝撃の増大により、土壌流出による土砂災害が危惧されて いる。実際、記録地点の百数十 m 上部では、登山道ぞいの水道施設に土壌流出の影響がみられる (写真 1)。 (写真 1 C 地点の上部百数十 m の登山道。登山道西側からの流出土壌により給水配管が覆われて いる。登山道の路肩も小沢へ崩落している)

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トレイル・ランナーの通過数 ニホンジカ生息記録用センサー・カメラの設置地点は、記録区間の最終地点にあたる。 (上写真 センサー・カメラに撮影された通過ランナー) センサー・カメラには 645 名のランナーが記録されていた。5 月 18 日深夜午後 10 時台から 19 日朝 7 時台までの約 10 時間に撮影されたトレイル・ランナーの時間毎通過数は以下のとおり。 0 20 40 60 80 100 120 140 22 23 0 1 2 3 4 5 6 7 0 100 200 300 400 500 600 700 通過ランナー数 累積 (表 1 ランナー時間毎通過数と累計) (グラフ 2 トレイル・ランナー時間毎通過数と累計) 時間毎の通過量は増加傾向を示している。7 時台は最終ランナーが 7 時 48 分に通過しており、単 位時間あたりの通過数は最大となっている。 実通過数の推定 ランナーの通過に際し、センサー・カメラの遅れ(約 0.2 秒)などによって、通過するランナーを見 過ごすケースも発生したと考えられる。この見過ごし率を 15%程度と仮定すれば、この記録地点で は約 750 名前後のランナーが通過したと推定される(注*)。また、ランナー以外は 5 月 16 日の撮影 開始時からランナー通過まで 33 名、通過後から 20 日の撮影終了時まで 6 名であった。 時刻 通過ランナー数 累計 22 2 2 23 12 14 0 22 36 1 25 61 2 51 112 3 85 197 4 93 290 5 121 411 6 126 537 7 108 645

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通過トレイル・ランナーの速度 同一ランナーは、通過速度に応じて 1 回、もしくは複数回、センサー・カメラに撮影(shot)されて いる。ランナーの通過が速いほど撮影回数は少ない。3 回以上の撮影は「歩き~早歩き」程度の 速さ(注**)を示している。グラフ 3 より分かるように、6 割強のランナーが「歩き~早歩き」(グラ フ 3 の 3 shots)の速度で通過した。通常のマラソン競技とは異なり、100 マイル規模で山岳地を走る トレイル・ランニングでは、全区間にわたり、走行速度を維持したまま通過できるランナーは、 ほんの一握りのようだ。大半のランナーは走行したり、歩行したりしていることが分かる。 1 Shot, 59, 9 % 2S hot, 182, 28% 3S hot, 404, 63% 0 20 40 60 80 100 120 140 22 23 0 1 2 3 4 5 6 7 3 shots 2 shots 1 shot (グラフ 3 通過総数の撮影回数内訳) (グラフ 4 時間毎通過数とその撮影回数内訳) 0 20 40 60 80 100 120 140 22 23 0 1 2 3 4 5 6 7 0 10 20 30 40 50 60 通過ランナー数 ストック使用者数 (グラフ 5 時間毎通過数とストック使用者数) (上写真 ストックを使ったランナー) センサー・カメラで撮影されたストック使用ランナーは、130 名を上回った。通過が遅くなるほど ストックを使用している(グラフ 5)。最終の午前 7 時台では、半数以上がストックを使用している。 時間毎の通過量増加とともに、ストック使用者の増加は、遅い時間帯の通過者ほど、疲労蓄積の ためストックを使用し、緩い下り傾斜のカメラ設置地点でも「歩き~早歩き」になりがちだった ということかもしれない。

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歩行による連続踏圧の影響 通過後の影響は、傾斜があるほど、土壌侵食と固結化、植生 損傷が激しい(左写真 B 地点(標高 1,360m))。傾斜地では踏圧の 影響が大きくなる傾向がある。斜面を登るときは、疲労が蓄 積すれば、走行というより歩行になりがちだ。この写真の急 傾斜地を、大半のランナーは歩いて登ったと思われる。歩行 であっても、これだけの連続踏圧の影響が出る。 通過したランナーの 6 割強は「歩き~早歩き」であり、歩行 でさえ連続踏圧の激しい影響が見られる。この結果から、今 回、須山口登山道でみられた連続踏圧による土壌侵食と固結 化、植生損傷などの影響は、走行したから起きたというより、 歩行にも起因する、歩行であっても起きると理解する必要が ある。走行か歩行かという区別より、どれだけの人数が通過 し、どれだけ連続踏圧の負荷が加わったかが重要だ。 環境省の登山道整備の技術指針に記述されている、歩行によ る連続踏圧に伴う植物・土壌の変化検証 (環境省九州地方事務所他「屋久島にふさわしい登山道 整備の技術指針」平成 18 年 3 月、12 頁)は、歩行による連続踏圧の影響を扱っている。これは、走 行か歩行かという区別より、どれだけの人数が通過し、どれだけ連続踏圧の負荷が加わったかが 重要ということを裏付けている。 注*: この記録地点(水ヶ塚~子供の国)を通過した約 750 名は、当トレイル・ランニング大会の中で も、富士山一周組み(UTMF)のみだ。子供の国から先の区間では、富士山半周組み(STY)の 1200 名の ランナーが加わる。主催者によれば、一周組み(UTMF)に、半周組み(STY)を加えた最終ゴールまで の時間内完走者は、1,602 名。従って、子供の国以降の区間では、少なくとも今回の記録地点の 2 倍強のランナーが通過した。連続踏圧の影響が単純に通過者数に比例するとすれば、子供の国よ り先の区間では、この記録区間(水ヶ塚~子供の国)の 2 倍を超える負荷があったことになる。今回、 報告するこの連続踏圧の影響記録は、トレイル・ランニング大会でも最小通過者数の連続踏圧に よる負荷となる。 注**: カメラは、熱センサーにより動体を検知後、自動撮影する。検知から最初の撮影までは 0.2 秒程度の遅れがある(メーカー公称値)。初回の撮影後、2 回目、3 回目の撮影間隔を 1 秒に設定し ている。大会前後に通過し撮影された同一スタッフは、撮影状況から歩行と思われ、3 回撮影さ れている。ランナーも 3 回(3 shots)撮影された場合、歩きから早歩き程度の速度とした。

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Ⅰ. UTMF トレイル・ランニング大会前後での登山道状況 須山口登山道の西約 2km に位置する、静岡県サイポス・レーダーの大淵(道)観測点(旧スカイライ ン料金所、標高 1,450m)は、比較的距離は近く、ほぼ同標高。微地形的には、気象条件が同じとは いえないが、須山口登山道の記録区間の降雨の目安として、大淵(道)観測点の降雨量を参考にした。 UTMF トレイル・ランニング大会の連続踏圧(2012 年 5 月 19 日)以前では、5 月 2 日に 141mm の降雨 があった。5 月 15 日には 33mm の降雨があったが、5 月 16 日(連続踏圧 3 日前)ニホンジカ調査時は、 ぬかるみなど降雨の影響は見られなかった。連続踏圧の前々日に 10mm の降雨があった。ランナー の通過時には、センサー・カメラの記録からも降雨は記録されていない。 (グラフ 6 旧スカイライン料金所付近の日雨量とモニタリング。白矢印が今回のモニタリング) (図 3 記録地点 A:下り傾斜、B:登り傾斜、C:下り傾斜、D:下り傾斜、E:ほぼ平坦、F:下り傾斜、 G:下り傾斜、H:ほぼ平坦、H の南東側赤矢印の先端部、登山道の南側がセンサー・カメラ設置 点)

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A 地点(標高 1,365m) スキー場のシカ対策ネットから降りてくる緩い傾斜地。この小径は、通常の利用頻度は低いと思 われる。踏圧による土壌侵食と固結化(踏み固め)、植生損傷がみられる。 (写真 2 進行方向に対し振り返って撮影。植生損傷とともに土壌侵食がみられる) B 地点(標高 1,360m) 登りの傾斜地は土壌侵食と固結化、植生損傷が激しい。傾斜地では踏圧の影響が大きい。急斜面 を登ることとなり、歩行となりがちになると思われる。歩行時の連続踏圧の影響を示している。 (写真 3 登り斜面。最も激しい連続踏圧の影響のひとつ)

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C 地点 標高 1,370m スキー場からの小径が須山口登山道と合流する直前で、小径を外れ近道している。植生部分を通 ったため、植生が破損している。コース設定上の問題かもしれない。 (写真 4 2012 年 5 月 16 日 トレイル・ランニング通過前。本来、右の小径は真っ直ぐ手前方向へ 登り、須山口登山道に合流する) (写真 5 2012 年 5 月 20 日 トレイル・ランニング通過後。ランナーの踏み跡は、登山道との合流 点より数 m 手前で近道している。近道により植生損傷。写真中央部の樹木の着生植物も剥がれて いる)

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D 地点 標高 1,345m 通過後、踏み跡が明瞭になり、土壌固結化、植生損傷がみられる。登山道に倒れていた生木(直径 約 7cm 程度)が根本から切断されていた。D 地点手前でも斜傾木 1 本が切断されていた。日中の通 行では、さほど障害はないと思われる。夜間走行のため、障害と判断し切断か。生木なので、倒 れる以前の状態に戻し固定するなど対応方法はあったかもしれない。2009 年 11 月に開催された富 嶽周回トレイル・ランニングの際も、コース上の生木が 2 本切断されていた(活動報告 09-17)。 (写真 6 2012,年 5 月 16 日トレイル・ランニング通過前 ) (写真 7 2012 年 5 月 20 日 トレイル・ランニング通過後。土壌の固結化、植生損傷がみられる)

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E 地点 標高 1,340m D 地点よりさらに下った比較的平坦地。トレイル・ランニング通過前後で比較すると、通過後、 踏み跡が明瞭になっている。土壌固結化、植生損傷がみられるが、傾斜地に比較すると程度は軽 い。主催者による環境調査が行われた地点の一つと思われる。大会実施翌日には、調査位置を示 す標識が撤去されていた。その後の経過調査は行われないようだ。 (写真 8 2012 年 5 月 16 日 トレイル・ランニング通過前。画面中央左に環境調査標識) (写真 9 2012 年 5 月 20 日 トレイル・ランニング通過後。調査標識は撤去されていた)

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F 地点 標高 1,335m

緩い傾斜地。トレイル・ランニング通過前後で比較すると、通過後、踏み跡が明瞭になっている。 土壌の固結化、植生損傷がみられる。

(写真 10 2012 年 5 月 16 日 トレイル・ランニング通過前)

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G 地点 標高 1,325m 傾斜地。トレイル・ランニング通過前後で比較すると、通過後、踏み跡が明瞭になっている。土 壌の侵食、固結化、植生損傷がみられる。一瞥でも、平坦地に比較して連続踏圧の影響の大きさ が分かる。 (写真 12 2012 年 5 月 16 日 トレイル・ランニング通過前) (写真 13 2012 年 5 月 20 日 トレイル・ランニング通過後)

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H 地点 標高 1,295m

平坦地。通過前後で比較すると、遠目に見ると、傾斜地ほどの連続踏圧の影響はない。しかしな がら、近づくと、土壌の固結化、植生損傷がみられる。

(写真 14 2012 年 5 月 16 日 トレイル・ランニング通過前)

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登山道への影響 1)土壌への影響 固結化(踏み固め) 連続踏圧により土壌表層に不透水層ができ、土壌表面の流亡による土壌侵食のきっかけとなる。 今後、影響が大きい傾斜地では、登山道を継続的にモニタリングし、登山道の保全対策を検討す る必要がある。 (写真 16 B 地点。傾斜地。土壌の侵食、固結化、植生損傷が最も激しかった地点のひとつ) (写真 17 G 地点。傾斜地。土壌の侵食、固結化、植生損傷)

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2)植生への影響 植生損傷

見た目にも、連続踏圧による植生損傷箇所が多数みられた。歩くための登山道とはいえ、植被が あれば、土壌侵食への耐性は高まる。踏み跡幅を広げないようにしたい。

(写真 18 G 地点の下。植生が踏み固められている)

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3)ストック痕 登山道の各所でストック痕が目立った。センサー・カメラには、少なくとも 130 名を上回るストッ ク使用ランナーが記録されている。 (写真 20 G 地点。ストック痕の周辺部まで土壌、植生に影響する。走りながらストックを使うと 歩行時と比べて衝撃が大きくなるのかもしれない) 比較地点以外での登山道への影響 センサー・カメラ地点(標高 1,285m)より下方の須山口登山道でも、土壌固結化や植生破損が見られ た。確認した須山口登山道 1,090m 地点まで、連続踏圧の跡が見た目にも明瞭だ。 標高 1,150m 登山道。連続踏圧による植生損傷と思われる。2012 年 6 月 2 日撮影)

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UTMF トレイル・ランニング大会による登山道への影響 まとめ 記録した区間では、750 人規模の連続踏圧による変化が見た目にも明らかだ。傾斜が強まるほど、 自然環境への負荷は大きくなるようにみえる。特に傾斜地の登りに影響が顕著。これは登りにな ると、ランナーの歩幅が狭くなり、単位面積あたりの踏み込み回数が増加することも一因と思わ れる。 周辺は、ニホンジカの生息密度が高く、隣接する国有林では生息密度が極めて高い。増加するシ カの食害により林床植生の衰退が指摘されている(静岡県「特定鳥獣管理計画(ニホンジカ)(第 3 期)」2012)。近年シカの高密度地域では、シカの採食による森林下層植生の衰退が遠因と考えられ る土壌侵食が生じている。(常田「自然公園におけるシカ問題: 世界遺産をシカが喰う」2006、柳 ほか「ニホンジカによる森林土壌の改変: 保全生態学研究 13(2008)」、内田ほか「兵庫県本州部の落 葉広葉樹林におけるニホンジカによる土壌侵食被害の現状:兵庫県におけるニホンジカによる森林 生態系被害の把握と保全技術」2012)。 生息密度が高い富士山地域は、ニホンジカの食害により、いわば、面的に土壌侵食が懸念される。 シカの高密度地域にある西臼塚や須山口登山歩道、高鉢ハイキング歩道では、最近、土壌侵食に よる登山道荒廃が起こっている。登山道、ハイキング歩道の過剰利用よる土壌侵食に起因すると いうことも否定出来ない。登山道上であっても、過度の踏圧による植生損傷は、土壌被覆の減少 と雨滴衝撃を増大させる。連続踏圧による土壌表層の不透水化は、表層部の流亡を起こし、結果 的に土壌侵食を進める可能性がある。こうした森林環境への負荷の積み重ねが大規模な土壌流失 につながりかねない。富士山の森林を災害に強い状態で維持・保全する観点からも、シカの高密 度地域における連続踏圧による登山道、ハイキング歩道の負荷増大は、注意深く見守る必要があ る。 また、夜間、長時間(今回ここでは 9 時間を超える)のトレイル・ランニング活動(ヘッドランプの 光、騒音など)は、周囲に生息する野生動物に対し、深刻な影響を与えていると思われる。特に 5 月は、野生動物の出産、野鳥の産卵時期にあたる。こうした野生動物への影響もモニタリングし たい。 映像資料 記録エリアの映像。 1. A 地点から C 地点まで(トレイル・ランニング後 2012 年 5 月 20 日) 2. C 地点からセンサー・カメラまで(トレイル・ランニング前 2012 年 5 月 16 日) 3. C 地点からセンサー・カメラまで(トレイル・ランニング後 2012 年 5 月 20 日) 4. トレイル・ランニング通過前後の比較 1 (C 地点から D 地点周辺) 5. トレイル・ランニング通過前後の比較 2 (E 地点付近) 6. センサー・カメラによるランナーの通過記録(2012 年 5 月 16 日から 2012 年 5 月 20 日)

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Ⅱ. 連続踏圧を受けた登山道の初降雨後の状況(2012 年 6 月 2 日の記録) (グラフ 7 旧スカイライン料金所付近の日雨量とモニタリング。白矢印が今回のモニタリング) トレイル・ランニングによる連続踏圧(2012 年 05 月 18 日~19 日)以来、5 月 29 日に 40mm のまとま った雨が降った。 G 地点(標高 1,325m) 連続踏圧後、初めてのまとまった降雨による変化を、下り傾斜の G 地点でみた。まとまった降雨 により、土壌や枯葉、小枝が流され、裸地化された流水経路が確認できるようになった。この流 水経路は、通過前には確認できなかった。 (写真 22 2012 年 5 月 16 日。 連続踏圧前。登山道は枯葉・枝などで覆われている。見た目では、 雨水の流水経路は確認できない)

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(写真 23 2012 年 5 月 20 日 ランナー通過後。踏みつけにより土壌表層が固結し、蹴り上げによ って表面土壌が破散している。植被も減少し裸地が見えている)

(写真 24 2012 年 6 月 2 日 まとまった降雨により土壌や枯葉、小枝が流されている。下り斜面

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(写真 25 G 地点斜面の下方、ほぼ平坦になる所。2012 年 6 月 2 日 降水後、流水経路となり、斜 面上を流れた土壌をふくむ流水は、勾配が緩やかになる所で登山道から外れ、左側の更に低い涸 れ沢方向へ流れている。涸れ沢では、土壌が堆積している) (写真 26 G 地点。2012 年 6 月 2 日 新たなニホンジカの足あとが見られる。ニホンジカの通行が 増えると、さらなる踏圧が表層土壌に加わる) 同様な変化は F 地点でも見られた。斜面上の登山道では、同じような連続踏圧後の経過がみられ る。

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Ⅲ. 連続踏圧を受けた登山道の台風 4 号の大雨後の状況(2012 年 6 月 27 日の記録) 大淵(道)観測点(旧スカイライン料金所、標高 1,450m)では、トレイル・ランニングの連続踏圧(2012 年 5 月 19 日)以降、6 月 26 日まで 489mm の降雨があった。 (グラフ 8 旧スカイライン料金所付近の日雨量とモニタリング。白矢印が今回のモニタリング) 台風の強風による倒木、倒木、落葉・落枝 台風 4 号通過の 6 月 19 日、大淵(道)観測点では 181mm の日雨量を記録している。須山口登山道で は、少なくとも、この観測値と同程度の降水量があったと推測される。須山口登山道(標高 1,090m 地点)では、6 本の樹木が登山道を塞いでいた。強風による落葉・落枝が増え、部分的に土壌表面 を覆った。部分的には、この落葉・落枝により土壌への雨滴直撃が緩和される可能性がある。 (写真 27 左: 標高 1,220m 地点。20 数本のハンノキ類が風倒根返りし、登山道を塞いでいる) (写真 28 右: 標高 1,090m 地点。強風によって幹の途中から折れたシナノキ) 連続踏圧を受けた登山道の変化

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UTMF トレイル・ランニング大会の連続踏圧による踏みつけ(5 月 19 日)と、以降のまとまった降水 や台風 4 号の大雨や強風により、登山道に見た目にも分かる影響があった。連続踏圧の踏みつけ によって不安定化していた登山道沿いの樹木が倒れた。倒木のあった付近は、ニホンジカによる 強度の食害があり、踏みつけによる下層植物の衰退も土壌流出の遠因となっているかもしれない。 また、連続踏圧により根が損傷し、根の土壌把握力が弱まり、隙間を生じ不安定になった可能性 がある。連続踏圧による土壌固結、その後の降水による土壌流出や表層水流入により根回りの隙 間が拡大(根がさらに露出)し、台風 4 号の強風の影響で倒れたのかもしれない。 (写真 29 標高 1,100m 地点。6 月 2 日撮影。連続踏圧後。登山道に接する樹木(アオダモ類)の根は 露出。踏みつけによる根の損傷がみられる。また、根回りには、隙間(◯印)ができ不安定化) (写真 30 同地点。2012 年 6 月 27 日撮影。台風 4 号通過後この樹木は倒れた)

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(写真 31 5 月 16 日 連続踏圧前) (写真 32 5 月 20 日 連続踏圧後)

(写真 33 6 月 2 日 踏圧跡が流水経路) (写真 34 6 月 27 日 降水で土壌侵食が進む)

下り傾斜の G 地点では、降雨後、流水経路となった傾斜地では、まとまった降水で更に表層土壌 の流失が進んだ。拡大してみれば、土壌流出、土壌侵食が明確に認められる。また、強風による 落葉・落枝が増え、部分的に土壌表面を覆った。

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G 地点連続踏圧後の拡大写真 (写真 35 G 地点拡大 2012 年 5 月 20 日 トレイル・ランニングの連続踏圧により◯印の木片の大 半が地中に埋れている) (写真 36 G 地点拡大 2012 年 6 月 27 日。◯印の木片が露出。中央部の連続踏圧跡がえぐれている。 雨滴が土壌に染みこまず、表層水となって流れ、表層土壌が流出したことが分かる) G 地点と同様な表層土壌流失、土壌侵食が以下の各地点で共通して見られた。 F 地点 標高 1,335m 傾斜地の踏みつけ跡

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(写真 37 6 月 2 日踏みつけ跡が流水経路化) (写真 38 6 月 27 日降水後更に表層土壌流失)

標高 1,100m 傾斜地の踏みつけ跡

(写真 39 6 月 2 日踏みつけ跡が流水経路化) (写真 40 6 月 27 日降水後更に表層土壌流失)

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(写真 41 6 月 2 日。連続踏圧により土壌固結がみられる登山道。連続踏圧後、雨水により画面右 上から左下へ流水経路がみられる)

(写真 42 6 月 27 日。まとまった降水により、更に表層土壌が流失し、多くの細根が露出したこと

が分かる)

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大淵(道)観測点(旧スカイライン料金所、標高 1,450m)では、トレイル・ランニングの連続踏圧(2012 年 5 月 19 日)以降、累計 1,181mm の降雨があった(2012 年 7 月 25 日現在)。日雨量 181mm を記録した台 風 4 号通過以降では、747mm の降水があった。中でも梅雨末期の 7 月 11 日から三日間で 470mm の 大雨を記録した。この降水量は、昨年 9 月 21 日に浜松市に上陸し、静岡県各地に被害をもたらし た台風 15 号の同観測点での三日間の雨量 508mm の 9 割強に相当する。須山口登山道では、少なく とも、この観測値と同程度の降水量があったと推測される。 (グラフ 9 旧スカイライン料金所付近の日雨量とモニタリング。白矢印が今回のモニタリング) 連続踏圧を受けた登山道の変化 750 人規模の連続踏圧により土壌固結、植生損傷がみられた踏みつけ跡は、以後の降雨により、直 接、雨滴が土壌表面を侵食し、土壌の固結化を進めた。その結果、斜面上の踏みつけ跡は、雨水 経路となり、表面土壌が流失(土壌侵食)し続けている。場所によっては、深刻な土砂流失を示すと される土人形も見られるようになった。 (写真 43 G 地点。赤丸部分に深刻な土砂流失を示す「土人形」がみられる) 各比較地点で、傾斜などの差によって程度の差はあるが、連続踏圧による踏みつけ跡では、同様

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な土壌流失がみられた。年間降水量 3,000mm を超えるとされる記録地周辺の富士山南東面の森林 帯では、連続踏圧の影響は直接的に土壌固結や植生破損の形で現れるばかりでなく、むしろ、そ の後の降水により、土壌流出や土壌侵食など甚大な影響に拡大することを理解する必要がある。 A 地点 (写真 44 A 地点。2012 年 6 月 20 日撮影。トレイル・ランニング 750 人規模の連続踏圧で激しい土 壌侵食、植生損傷が起きた) (写真 45 同地点。7 月 25 日 トレイル・ランニング後の降水により土壌流失が発生。上部ではス ズタケの根が露出し、赤丸内では倒木が流失土壌によって半分程度埋まっていることが分かる) 対照的に、750 人規模のランナーが通過しなかった須山口登山道では、シカ道が横断している場所

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を除き、台風 4 号と梅雨末期の大雨後も、ほとんど、見た目に分かる変化はない。これは、植生 が損傷されずに保持され、加えて、永年の落葉落枝が蓄積し表層土壌を覆って表層土壌を保護し ているからと考えられる。従って、年降水量が多く、傾斜地や既に登山道の侵食、荒廃が見られ る場所では、土砂流出を防ぐため、歩くための登山道といえども、今回見られた約 750 名という 過度の連続踏圧は止め、可能な限り植生や落葉落枝を保持することによって、土壌流出、土壌侵 食を防ぐ必要がある。 (写真 46 C 地点の直上、標高 1,370m 地点。ここは 750 人規模の連続踏圧は無かった。7 月 25 日撮 影。) (写真 47 大雨による土壌流で出てきた UTMF 大会の未回収マーキング) Ⅴ. 須山口登山道周辺の土砂流出

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水ヶ塚から下の須山口登山道周辺では、従来から土壌侵食・流出が進み崩壊地が発生している。 (図 6 水ヶ塚から下の須山口登山道。A~H は連続踏圧の影響観測地点) 1. 台風や梅雨末期の大雨以前の土壌侵食・流失 登山道沿いで土壌侵食による崩壊地 2 ヶ所と土壌流出が拡大している所があった。標高 1,235m の 第 1 崩壊地では、既に迂回の登山道が新設されている。今後崩壊が広がれば、新設の登山道に影 響がでるかもしれない。標高 1,210m の第 2 崩壊地は、危険表示のロープは張られているが、土木 的な対処はされていない。崩落する可能性があるので、来訪者への注意喚起が必要。崩壊地や土 壌流失地点では、今後、侵食や流失影響を最小限にするためモニタリングする必要がある。 (写真 48 標高 1,235m の第 1 崩壊箇所、西側に新たな迂回登山道がつくられている)

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(写真 49 標高 1,210m の崩壊地。10 数 m 程切れ落ちている。すぐ脇の登山道には、連続踏圧による 植生損傷もみられ、このままだと崩落するおそれがある) (写真 50 標高 1,100m の登山道。第 3 崩壊地付近の土壌流失地。右が谷側。登山道が崩れ始めてい る。ここにも連続踏圧の影響がある) 土壌侵食・流失により登山道ぞいの涸れ沢(降雨時に水が流れる小川)は、大量に土壌が堆積してい る。この水系で、土壌流失が多いことを示唆している。傾斜地と多量の降雨に加えて、ニホンジ カによる下層植生の減少が遠因となった土壌流失の可能性がある。

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2. 台風通過による土壌侵食・流失 須山口登山道沿いでは、台風のまとまった降水による土砂流出がみられた。特に標高 1,100m 付近 の第 3 崩壊地では土砂流出が拡大していた(写真 51 参照)。なお、大規模な崩落が懸念される標高 1,210m と標高 1,235m の第 1,第 2 崩壊地は、見た目には大きな変化は無かった。 (写真 51 標高 1,100m 付近の登山道。左側の斜面からの比較的ゆっくりと土砂流出が拡大。いわゆ る風倒根がえりとは異なるタイプの倒木) (写真 52 標高 1,225m 付近の涸れ沢。川床の登山道。流出土壌が堆積した枯れ沢へ一気に地表水が 集まり急流となり川岸のスズタケを崩落させたと思われる)

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3. 梅雨末期の大雨による土壌侵食・流失 大淵(道)観測点(旧スカイライン料金所、標高 1,450m)では、梅雨末期の 7 月 11 日から三日間で 470mm の大雨を記録した。 (写真 53 UTMF 連続踏圧後、初めて降雨があった後。標高 1,240m の登山道ぞいの涸れ沢。第 1 崩 壊地の直ぐ上。流出した土壌が川底に堆積している。また、河岸の樹木の根が露出している。降 雨後は、かなりの水量になるのかもしれない) (写真 54 梅雨末期の大雨後 7 月 25 日撮影。上の写真と同じ場所。大雨時には斜面からの地表水 を集め一気に出水し、川岸を侵食するようだ。川岸に育つ樹木の根の露出が広がった。今後の降 水で倒れるかもしれない)

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(写真 55 標高 1,235m の第 1 崩壊地。2012 年 6 月 2 日撮影。崩壊した登山道の西側に新しい歩道が 設置され通行可能) (写真 56 同地点。7 月 25 日撮影。手前の電気柵の根本が崩落し宙ぶらりん状態になった。正面崩 落部分東側の岩が崩落) この第 1 崩壊地では、現在、西側に新たな迂回路が作られ、登山道の通行は可能になっている。 しかし、大雨の度に岩の崩落や沢岸の崩壊がみられる。今後、迂回路にも影響が出てくるかもし れない。

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登山道は第 1 崩壊地の直ぐ下でハシゴを使って涸れ沢へ下る。登山道は、涸れ沢の川底を利用し ている(第 2 渡渉北端点~第 2 渡渉南端点)。東岸のヒノキ植林地で土砂崩れが発生し、ヒノキが崩 落。この植林地は整備がいきとどいておらず、また、ニホンジカの食害が数多くみられる。この 土砂崩れの遠因には、植林地の未整備やニホンジカの食害も関係しているかもしれない。 (写真 57 第 1 崩壊地の直下。登山道が正面のハシゴを使い涸れ沢の川底へ下る地点。梅雨末期の 大雨の前 2012 年 6 月 27 日撮影。対岸はヒノキの植林地) (写真 58 同地点。梅雨末期の大雨の後 7 月 25 日撮影。左岸の樹齢約 50 年の大きなヒノキ 1 本が 崩落し、川底の登山道を覆う。倒木は切断処理され、登山道の通行には影響ない)

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(写真 59 前写真の数十 m 下流。梅雨末期の大雨の前 6 月 27 日撮影。ヒノキ植林地の裾を巻く涸 れ沢が、登山道として利用されている。両岸のスズタケが張り出し、歩行が困難だった) (写真 60 同地点。梅雨末期の大雨後 7 月 25 日撮影。ゴルフ場側の右岸の崩落とともに、左岸の 樹齢約 50 年のヒノキ 2 本が崩落し、川底を一部塞いだ。倒木は処理され、登山道の通行には影響 ない。この崩落周辺では、涸れ沢の川底には、周辺斜面からの土壌が堆積している。以前は、川 底の岩石・溶岩が露出し、比較的歩きにくかった。梅雨末期の大雨後は、岩石・溶岩を多量に堆 積した土壌が覆っている)

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(写真 61 前写真のさらに数十 m 下流。地図の第 2 渡渉南端点。梅雨末期の大雨の前 6 月 27 日撮 影。涸れ沢の川底を通っていた登山道は段差もなく、スムーズに岸に上がれた) (写真 62 同地点。梅雨末期の大雨後 7 月 25 日。川岸が流され、腰までの段差ができる。段差が 大きく、川底から上がる登山道の通行が一苦労。この状態だと、下を見ながら歩いてくると、そ のまま直進し、道迷いが発生しやすくなる) 標高 1,200m の第 2 崩壊地付近は、見た目には大きな変化はなかった。

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標高 1、100m の第 3 崩壊地では、まとまった降水の度に土砂流出が続いている。ゆっくりとした変 化だが、付近では同様な土砂流出があちこちで見られる。須山口登山道はこの土砂流出が続く斜 面を横断している。 (写真 63 標高 1,100m 地点。台風 4 号通過後の 2012 年 6 月 27 日撮影。シカ道に沿って土砂流出。 左側からの土砂流出で登山道が不明瞭となっている) (写真 64 同地点。梅雨末期の大雨後の 7 月 25 日撮影。シカ道に沿って土砂流出が拡大) 須山口登山道は、このような崩壊地や涸れ沢の川底を通っている。大雨時の通行など来訪者への 十分な周知や登山道の安全対策が必要。

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須山口登山道でのニホンジカ食害やスズタケの枯れ調査時 (2012 年 5 月)に、750 人規模のトレイル・ ランナーによる夜間の連続踏圧跡に遭遇した。その後の登山道の状態を 3 ヶ月に渡ってモニタリ ングしてきた。 モニタリングによる確認事項 ①UTMF がコースの一部として利用した須山口登山道周辺は、傾斜のある地形で、降雨も多い。 もともと自然条件から、土砂流出、崩壊が多い。 ②付近にはニホンジカが数多く生息している。森林内の下層植生の食害や踏みつけによる土 壌侵食が面的にひろがり、植林地の未整備とともに土砂災害の発生の遠因となっている可能 性が高い。 ③750 人規模の連続踏圧により、通過した登山道では、土壌固結、植生損傷がみられる。また、 以後の降雨により、雨滴が土壌表面を直接叩き、土壌の固結化を進めている。その結果、斜 面上の踏みつけ跡は、雨水経路となり、表面土壌が流失し続ける。 ④表面土壌の流出により、斜面は侵食され、樹木の根本を侵食し、急斜面では、縦侵食によ り更に深く掘れる箇所ができ(土壌侵食)、通行困難になる。一方、流出した土砂は、涸れ沢に 堆積し、底が浅くなった涸れ沢は、台風や梅雨末期の大雨時に、一気に急流となり、川岸を 侵食し、沢沿いの林地や崖で崩落など土砂災害を引き起こす一因となっている。また、連続 踏圧の影響とその後の降水による影響拡大は、①②による影響をさらに加速させる。 ⑤連続踏圧の影響は、走行、歩行の区別にかかわらず発生し、連続踏圧の回数、すなわち通 過人数の増加により、その深刻さを増す。 ④UTMF 大会主催者は、自然環境への配慮を謳っている。しかし、実際の運営においては、こ の須山口登山道区間に限っても、歩道を外れ近道のコース設定をし、連続踏圧により樹木の 根を損傷し倒し、真夜中の通行の妨げになるとして樹木を安易に多数切断している。 お願い UTMF 主催者は、大規模な連続踏圧が毎年加えられると、さらなる土壌侵食・流失が予想され、場 合によっては、崩落・崩壊の引き金となることを理解してほしい。また、森林や植生の土砂災害 保全機能の大切さを理解してほしい。UTMF での須山口登山歩道、同下山歩道、富士山自然休養林 のハイキング・コースなど同様な環境にある歩道利用を自粛していただくようお願いしたい。 また、関係行政におかれては、富士山憲章の趣旨や防災の観点から、大規模連続踏圧の影響が出 るスポーツ・イベント、野外活動やツアーによる須山口登山歩道、同下山歩道、富士山自然休養 林のハイキング・コースなど同様な環境にある歩道利用を規制していただくようお願いしたい。 以上

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