第4章 「宮崎市地震津波対策インフラ構想」
4-1 基本コンセプト ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・41 4-2 導入を目指すインフラの機能 ・・・・・・・・・・・・・・42 (1)全体構想 ・・・・・・・・・・・・・・・・・42 (2)地域別構想 ・・・・・・・・・・・・・・・・45 4-3 副次的・多重的な減災効果を考慮した津波対策について・・・60 (1)対策と効果のイメージ ・・・・・・・・・・・60 (2)シミュレーション結果の例 ・・・・・・・・・62 4-4 対策パターンの想定及び減災効果の想定について ・・・・・63 (1)対策の実施パターン ・・・・・・・・・・・・63 (2)実施パターンによる減災効果の予測 ・・・・・66 4-5 インフラ整備のイメージについて ・・・・・・・・・・・・73 (1)方向性のイメージ ・・・・・・・・・・・・・73 (2)イメージ・パース ・・・・・・・・・・・・・74 4-6 具体的な対策事業の検討について ・・・・・・・・・・・・75 4-7 構想の実現に向けて(今後の検討体制と課題) ・・・・・・75第4章 「宮崎市地震津波対策インフラ構想」
4-1 基本コンセプト 本市の地震津波対策インフラ整備にあたっては、検討会の提言を踏まえ、以下の基本 コンセプトを設定する。 (注) このネーミングは、本市固有の自然環境や景観を活かしながら、あるいは損なわないように、 ソフト対策と連携したハード対策を重層的に組み合わせ、“いち早く逃がす”ということを含め て、将来に向かって“人とまち”を守っていくという方向性を意図しており、本市が現在取り組 んでいる「40 万人スクラムプロジェクト」(40 万市民がスクラムを組んで力を結集し、まちづ くり・地域づくりを進めていく)の考え方にも通じる理念として表現したものである。 ≪基本コンセプト≫ 津波に対しては、避難(逃げる)を第一義としながらも、海岸線や河川等の水 際対策が必要となるが、本市の地震津波対策インフラについては、全体として、 いわゆる「緑の防波堤」など、できるだけ自然を活かした地震津波防災のあり方 を追求する。 なお、コンクリートなどによる構造物については、構造物そのものが美しく、 周辺の緑(自然・都市環境)に溶け込んでしっかり大地に根を下ろしている、と いう整備のあり方を目指す。 なお、本構想を総称して「安全・安心を未来につなぐ、緑と大地のスクラム構 想」とする。(注) (国土交通省HP:「緑の防潮堤」岩沼海岸植樹式実施状況 より) ◆図 14:緑の防波堤イメージ4-2 導入を目指すインフラの機能 (1)全体構想 検討会の提言を踏まえ、宮崎市としては以下の4つの機能導入を目指す。 これらの機能導入イメージ及び整備方針を次ページ以降に掲載する。 なお、「粘り強い構造」は壊れないということではなく、施設の機能が一定程度維持さ れるような構造という趣旨である。 ①早期避難のための環境を整備する ②津波の防御ラインを強化する ③救援・復旧・復興を支える道路機能を強化する ④災害対応力を高める ◆図15:港湾施設の「粘り強い構造」(国土交通省HPより) ◆写真9:海岸部に立地する重要施設 (宮崎港) 日向灘 ◆写真 10:海岸部に立地する重要施設 (大淀処理場) 日向灘 宮崎空港
全 体 構 想 図
◆図 16:全体構想図日
向
灘
大淀川
国道 10 号 国道 219 号清武川
加江田川
八重川 国 道 10 号 高岡町 田野町一ツ瀬川
佐土原町 宮崎西 IC 清武 IC東
九
州
自
動
車
道
石崎川 西都 IC宮崎自動車道
清武 JCT 清武町 宮崎 IC 国道 269 号 田野 IC 清武南 IC 国道 220 号 この図は、『理想とする地震津波対策の基本的な方 向性』を取りまとめたものであり、具体の事業・整備区 間等を明示する主旨ではない。 また詳細については、費用対効果や実現性等を含 めて、今後関係機関等との協議・調整が必要であり、 確定したものではない。 県庁 市役所 津波浸水区域(L2)- 44 - ◆表9:インフラの機能・整備方針 記号 種別 機能 整備方針 垂直 水平 (1) 早期避難のた めの環境を整 備する 沿岸部・河川周辺部において、垂直 避難(高い所に逃げる)、水平避難 (遠くへ逃げる)を容易にするため のインフラ整備を目指す。 水平避難 海岸・港湾等 (防御ライン) (2) 津波の防御ラ インを強化す る 海岸、河川、港湾等でL1津波を防 御するとともに、L1超えの津波に 対しては、可能な限り「粘り強い構 造」(機能確保)への対応も含めた インフラ整備を目指す。 河川 (防御ライン) 高速道路 (復旧・復興軸) 道 路 (3) 救援・復旧・ 復興を支える 道路機能を強 化する 高速道路を軸に、その他の主要幹線 道路と連携して、L2地震・津波に 対しては一定の破損等を想定しつ つ、「人・物が移動できる機能の確 保」を目標として、早期救援・復旧・ 復興、あるいは早期啓開を可能とす る道路ネットワークの構築を目指 す。 国・県・市道 (ネットワーク) 橋梁 スマート インターチェンジ 避難 ①重要公共施設 (4) 災害対応力を 高める ①港湾、空港、下水処理場、浄水場、 大規模公園など、交通結節や生活 環境、大規模集客などの機能を有 する公共施設等について、被災し ても早期機能回復を可能とする整 備を目指す。 ②考えられる最大クラスの地震に対 し、指揮命令、情報の収集・発信、 救援・救護、避難など「広域的に 人命を守る」ため、行政機能、医 療・保健機能、避難機能等の強化 を目指す。 ③被災した際の受援、救援・救護等、 後方支援機能の強化を目指す。 ②中枢機能 ②拠点機能 (合併町域) ③後方支援機能
(2)地域別構想 ①地域レベルのインフラ機能 前述の市全体のインフラ機能を踏まえ、地域レベルの視点で導入するインフラ機能 を以下のとおりとする。 ◆表10:市全体のインフラ機能と地域別のインフラ機能の関係 市全体のインフラ機能 地域レベルのインフラ機能 (1)早期避難のための環境を整備する Ⅰ:早く安全に避難できる (2)津波の防御ラインを強化する Ⅱ:背後地を守る (3)救援・復旧・復興を支える道路機能 を強化する Ⅲ:救援・復旧・復興を支える (4)災害対応力を高める Ⅳ:重要公共施設の防災機能を高める Ⅴ:可燃物を流出させない Ⅵ:防災拠点機能を高める Ⅶ:防災中枢機能を高める Ⅷ:後方支援機能を高める ◆写真11:道路の機能強化について【道路の早期啓開】 (国土交通省資料:同省HPより) ◆写真12:道路の機能強化について【盛土構造道路の防災:減災効果】 (国土交通省資料:同省HPより)
②地域レベルのインフラ整備方針 前述のインフラ機能を踏まえ、地域レベルの視点でのインフラの整備方針を以下のとおりとする。 ◆表11:地域レベルのインフラの整備方針 導入機能 整備方針 L1・L2共通対策 L1対策 L2対策 Ⅰ.早く・安全に避難できる ○早期情報提供体制構築のための情報 通信機能の拡充 ○避難環境向上のための ・既存建築物を活用した避難施設の整 備(外付け階段等)≪垂直避難環境 の向上≫ ・面的な市街地整備≪水平・垂直避難 環境の向上≫ ・都市計画道路その他の幹線避難路の 整備≪水平避難環境の向上≫ ・盛土構造等の道路への避難階段等の 整備≪垂直避難環境の向上≫ ・住民目線の避難路等の整備≪水平・ 垂直避難環境の向上≫ ○避難路等確保のための地震動・液状 化による上下水道施設(管路施設等) の破損・浮き上がり等の防止対策の 実施 など ― ○避難環境向上のための ・難環が困難な地区の新規避難施設の 整備(垂直避難環境の向上) 新規避難施設については、可能 な限り日常利用が可能な多目 的な施設整備を目指す。 ・津波浸水深の低減や津波到達時間の 遅延等を目指した、幹線道路や主要 河川堤防などの嵩上げ等 ・海岸部のスポーツ・レクリエーショ ンスポット及び集客施設等における 「緑の防波堤」と連携した「いのち の丘」の整備 など ※「いのちの丘」とは、部分的な盛土(場 合によっては工作物等)により、緊急避 難スペースとして整備する高台である。
Ⅱ.背後地を守る ― ○津波防御機能強化のための ・L1津波高の見直しを反映した海 岸・河川など、水際施設の構造強化 ・L1超えを考慮した海岸・河川など、 水際施設の「粘り強い構造」化等 上記いずれも、可能な限り周辺 景観・環境との調和を目指す。 ・特に海岸部における景観に配慮した 「緑の防波堤」等の整備 ○津波遡上阻止のための、河川水門の 新設・操作自動化・遠隔操作化・耐 震化・耐液状化等による津波遡上の 阻止 など ― Ⅲ.救援・復旧・復興を支える ○災害時道路ネットワーク確保のため の地震動・液状化による上下水道施 設(管路施設等)の破損・浮き上が り等の防止対策 など ― ○災害時道路ネットワーク確保のため の ・救援・復旧・復興上重要な幹線道路 の未整備区間等の整備 ・早期啓開を可能とする幹線道路の嵩 上げ・構造強化等 ・主要河川に架かる主要幹線道路橋梁 の耐震化・耐液状化・耐浪化の検討 及び対策の実施 など
Ⅳ.重要公共施設の防災機能を高め る ○災害発生時の公衆衛生の維持、日常 生活上の負担軽減のための上下水道 施設(下水処理場、浄水場、管路施 設等)の耐震化・耐液状化・耐浪化 の検討及び対策 ○交通結節機能確保のための空港・鉄 道施設の防災・避難機能の強化≪緊 急輸送機能の確保≫ など ○津波防御機能強化のための、L1津 波高の見直し及びL1超えを考慮し た宮崎港(宮崎臨海公園含む)水際 施設の「粘り強い構造」化≪緊急輸 送機能の確保≫ など ○被災時の公衆衛生維持のための下水 処理場における緊急時消毒機能等の 確保 ○港湾、公園利用者等の避難環境の向 上のための「緑の防波堤」と連携し た「いのちの丘」等の整備 など ※「いのちの丘」とは、部分的な盛土(場 合によっては工作物等)により、緊急避 難スペースとして整備する高台である。 Ⅴ.可燃物を流出させない ○市街地火災防止のための石油等の可 燃物貯蔵施設に関する耐震・耐液状 化・耐浪化の検討及び対策の実施 (特にL2浸水域内の集積施設等) ― ― Ⅵ.防災拠点機能を高める ○災害発生時の指揮・命令機能の強化 等のための行政庁舎の耐震化や非常 用電源・情報通信設備等の整備 ○避難・救援機能強化のための避難施 設となる公共施設の耐震化等 など ― ―
Ⅶ.防災中枢機能を高める ○災害発生時の指揮・命令機能、情報 収集・発信機能、救援・救護機能等 の強化のための、国・県・市の各種 庁舎の耐震化や非常用電源・情報通 信設備等の整備 ○避難・救援機能強化のための避難施 設となる公共施設等の耐震化等 など ― ― Ⅷ.後方支援機能を高める ○後方支援機能の強化のための ・高速道路インターチェンジ周辺等に おける後方支援機能(救援・救護、 備蓄等)の整備 ・救援・復旧・復興上重要な幹線道路 の未整備区間等の整備 など ― ―
③対策の基本的な進め方 対策には、短期的に取組める(取組むべき)ものと、中・長期の時間を要するものが想定されるが、基本的には以下のような進め方 を目標とする。(※は、あくまでも現段階の想定) 概ね10年以内※ 概ね20年以内※ 20年超※ なお、地域別構想図を次ページ以降に掲載する。 水際施設の防災・減災機能の強化/「緑の防波堤」の整備等 Ⅱ.背後地を守る 幹線道路・主要橋梁・上下水道施設の防災・減災機能の強化/道路未整備区間の整備等 Ⅲ.救援・復旧・復興を支える 可燃物貯蔵施設の防災機能の強化等 Ⅴ.可燃物を流出させない 避難施設・避難路・避難階段の整備/上下水道施設の防災・ Ⅰ.早く・安全に避難できる 減災機能の強化/事業中の道路・市街地整備の推進等 行政庁舎・避難施設(公共施設)等の防災機能の強化/道路未整備区間の整備/救援・救護機能の強化等 Ⅵ.防災拠点機能を高める Ⅶ.防災中枢機能を高める Ⅷ.後方支援機能を高める Ⅳ.重要公共施設の防災機能を高める 上下水道施設の防災・減災機能の強化/港湾・空港・公園等の防災・減災・避難機能の強化等 Ⅰ.早く・安全に避難できる 幹線道路・水際施設・上下水道施設の防災・減災機能の強化/道路未整備区間の整備/「いのちの丘」の整備等
③地域別構想
◆図 17-2:地域別構想図(L2:A1 地区) ◆図 17-1:地域別構想図(L1:A1 地区)
◆図 17-4:地域別構想図(L2:A2 地区) ◆図 17-3:地域別構想図(L1:A2 地区)
◆図 17-5:地域別構想図(L1:B1 地区)
◆図 17-7:地域別構想図(L1:B1 地区、D1 地区)
◆図 17-9:地域別構想図(L1:C1 地区、C2 地区)
◆図 17-11:地域別構想図(L1:C3 地区)
◆図 17-13:地域別構想図(L1:C4 地区)
◆図 17-15:地域別構想図(L1:D2 地区)
4-3 副次的・多重的な減災効果を考慮した津波対策について (1)対策と効果のイメージ L1・L2対策とその効果については、以下の図に示すような対策及び効果が想定 されるが、L1対策のL2津波に対する効果を検証するシミュレーション結果を次ペ ージに示す。 なお、シミュレーションの実施条件は以下のとおりである。 ◆表 12:L1対策のL2津波に対する効果検証シミュレーションの実施条件 ◆図 18:L1・L2対策・効果のイメージ L1 L1超え 粘り強い L1対策=津波防御(第一線) L2 L2に対する津波減衰効果(第一線) ※浸水域・深の低減、到達時間の遅延による避難時間の確保 浮遊物の下方流下 津波減衰効果 (第二線) 道路嵩上げ L2対策=道路機能確保 寄せ波 引き波 法面等の強化 ≪L1対策領域≫ ≪L2対策領域≫ (L1対策によるL2に対する副次的効果)
海 側
陸 側
▼平均海面 津波防御 (第二線) 構造化 想定シミュレーション実施条件 ●潮位:朔望平均満潮位 ●河川水量:平水位、または宮崎沿岸の朔望平均満潮位 ●地盤高:地震による地盤沈下を考慮(80 ㎝) ●構造物の取り扱い 構造物種類 条件 護岸 揺れや液状化による被害無し。越流しても破壊されない。 堤防 揺れや液状化による被害無し。地盤沈下以外の高さ変動なし。 越流しても破壊されない。 防波堤 揺れや液状化による被害無し。越流しても破壊されない。 道路・鉄道 地形として取り扱う。 水門等 常時閉鎖。 建築物 建物の代わりに津波が遡上する時の摩擦(粗度)を設定。(2)シミュレーション結果の例 右 図 は 、 現 在 の 水 際 の L1施設の構造を強化し、“L 2津波に対しても壊れない構 造とした”と仮定して、本市 が行ったL2津波のシミュレ ーション結果であり、L1対 策を着実に実施すれば、L2 津波に対しても何らかの減災 効果が期待できる結果となっ ており、その概要を以下に示 す。 上段は現在の県想定のL2 津波の再現、中段は上記条件 に基づくシミュレーション、 下段は上段と中断の差分を図 化したものである。 下段の図は、青系統は浸水 深が軽減された区域を、赤系 統は浸水深が増大した区域を 表している。 効果①【浸水深低減】 図 中 、 陸 域 の 大 部 分 が 青 系統となり、浸水しなくなる 区域も含め、浸水深が軽減さ れる区域が大幅に拡大する結 果となっている。 ただし、一部区域について は、逆に浸水深が増大し、悪 影響を受ける区域があること に留意する必要がある。 ◆図 19-1:L1対策のL2津波に対する 効果イメージ(その1)
下図A~Fは、前ページ各図のポイントを表しているが、浸水深は数十センチ 単位で軽減される結果となっており、Dポイントでは 90 ㎝も軽減されることを示し ている。 効果②【津波到達時間の遅延】 津波到達時間は、数分から数十分単位で軽減される結果となっており、Eポイント では36分も到達時間が遅れることを示している。 【留意事項】 このシミュレーションは、現有施設の構造強化を行なった場合の減災効果を分かり易く示すた めのものであり、『L1対策を着実に実施することにより、L2津波に対しても何らか...の減災効 果が期待できる』ということを示したものである。 なお、現在の技術では施設・構造物等が破壊されないことを保証することは難しく、また、経済 面や政策面等を含めた実現性は考慮していない。 ◆図 19-3:L1対策のL2津波に対する効果イメージ(その3) ◆図 19-2:L1対策のL2津波に対する効果イメージ(その2)
4-4 対策パターンの想定及び減災効果の想定について (1)対策の実施パターン 宮崎市における対策の実施パターンについては、以下のパターンが考えられる。 ◆表 13:想定されるパターン(L1対策を主体として) 区分 概要 パターン1(現状強化型) 水際の現状施設の強化及びL1越えを想定した「粘 り強い構造化」等〔未対策区間有り〕 パターン2(現状発展型) 水際施設強化の連続性確保(緑の防波堤含む)及び L1越えを想定した「粘り強い構造化」等〔未対策 区間無し〕 パターン3(未来安心型) パターン2+救援・復旧・復興のための道路整備等 パターン4(未来発展型) パターン3+最新技術の反映(宮崎港 湾内防御な ど) パターンの考え方は、以下のとおり。 ①パターン1は現状施設の「粘り強い構造化」等による構造強化 ②パターン2はパターン1の連続化(未整備区間の解消) ③パターン3はパターン2に加え、救援・復旧・復興のための道路機能の確保 ④パターン4はパターン3に加え、宮崎市における津波災害最大の要因ともいう べき宮崎港からの津波の侵入そのものを防ぐことを調査・研究し、今後の地震 津波対策に反映する。 なお、パターン4は将来の技術革新などを見据えて、その時点で得られる最新技術 や知見等について、パターン3までの対策に反映し、効果やコストパフォーマンス等 の向上に反映させていく主旨であり、宮崎港の湾内防御は一つの象徴的な事例として 提案するものである。 新技術としては、国土交通省において新たな津波防御施設としての「直立浮上式防 波堤」(近畿地方整備局:和歌山下津港)等、実証実験を含めた検討がなされている ところであるが、これらの新技術については、今後も維持管理面も含めた多面的な検 討・検証が待たれることから、これらの情報把握に努めながら、当面、本構想の目指 すところについては、パターン3に目標を置くものとする。 各パターンのイメージは図20のとおり。
◆図 20:対策の実施パターン図 ■パターン1 ■パターン2 宮崎県想定浸水区域 宮崎県想定浸水区域 水際の現状施設の強化及びL1越えを想定 した「粘り強い構造化」〔未対策区間有り〕 パターン1+水際施設強化の連続性確保(緑 の防波堤含む)及びL1越えを想定した「粘 り強い構造化」〔未対策区間無し〕
■パターン3 ■パターン4 宮崎県想定浸水区域 宮崎県想定浸水区域 パターン2+救援・復旧・復興のための道路 整備 パターン3+最新技術の反映(宮崎港 湾内 防御など)
(2)実施パターンによる減災効果の予測 ①シミュレーション結果 実施パターン別の大淀川河口周辺における浸水域・浸水深の低減効果のシミュレーション結果を図 20-1以下に示す。図中の「差 分」欄の青系統の着色が対策による効果が認められる地域である。なお、本市シミュレーションは、4-3と同様に効果を分かり易 く示すため、整備されたインフラがL2津波 .............. で . 破壊されない条件設定としていることに留意 .................... が必要である。 現在のL2津波想定(①) 対策後(②) 差分(②-①) ◆図 21‐1:パターン1(A-1,A-2 地区) 対策の効果が顕著な区域 ※青系統の着色が対策の 効果が認められるエリア
現在のL2津波想定(①) 対策後(②) 差分(②-①)
◆図 21‐2:パターン2(A-1,A-2 地区) 対策の効果が顕著な区域
※青系統の着色が対策の 効果が認められるエリア
現在のL2津波想定(①) 対策後(②) 差分(②-①)
◆図 21‐3:パターン3(A-1,A-2 地区) 対策の効果が顕著な区域
※青系統の着色が対策の 効果が認められるエリア
現在のL2津波想定(①) 対策後(②) 差分(②-①)
◆図 21‐4:パターン4(A-1,A-2 地区) 対策の効果が顕著な区域
※青系統の着色が対策の 効果が認められるエリア
①避難に時間を要する区域の解消効果 避難に時間を要すると予測される区域がどの程度解消するか、対策パターン 別に本市が行ったシミュレーションに基づく試算を以下に示す。 避難に時間を要すると予測される区域は約 1,700 ha と推定されるが、対策に より約 280 ha から約 630ha の区域の避難環境が向上する結果となっている。 なお、表中▲は対策の実施により、逆にマイナスの影響(浸水域の拡大 )が 新たに発生することを示しており、津波対策については、この区域に対する対 策を一体的に検討する必要があることに留意する必要がある。 ◆表 14:津波対策による避難環境の向上効果の想定(単位:ha) 【 参 考 】 地 区 区 分 地 区 名 地 区 区 分 地 区 名 A - 1 宮 崎 港 周 辺 C-2 石崎川河口周辺 A - 2 宮 崎 空 港 周 辺 C-3 南バイパス周辺 B - 1 阿 波 岐 原 C-4 清武川・加江田川周辺 B - 2 青 島 D - 1 青 島 漁 港 ・ 白 浜 周 辺 C-1 一ツ瀬川河口周辺 D - 2 内 海 以 南 対策前 対策後 被害軽 対策前 対策後 被害軽 の想定 の想定 減効果 の想定 の想定 減効果 A-1 297 293 4 297 292 5 A-2 289 216 73 289 218 71 B-1 78 119 ▲ 41 78 115 ▲ 37 B-2 19 19 0 19 19 0 C-1 345 222 123 345 209 136 C-2 74 82 ▲ 8 74 54 20 C-3 347 223 124 347 202 145 C-4 228 227 1 228 226 2 D-1 0 0 0 0 0 0 D-2 10 10 0 10 10 0 合計 1,687 1,411 276 1,687 1,345 342 A-1 297 190 107 297 58 239 A-2 289 177 112 289 177 112 B-1 78 113 ▲35 78 111 ▲33 B-2 19 19 0 19 19 0 C-1 345 262 83 345 214 131 C-2 74 54 20 74 55 19 C-3 347 189 158 347 190 157 C-4 228 226 2 228 226 2 D-1 0 0 0 0 0 0 D-2 10 10 0 10 10 0 合計 1,687 1,240 447 1,687 1,060 627 パターン 種別 パターン 種別 地区 区分 パターン Ⅰ パターン Ⅱ パターン Ⅲ パターン Ⅳ 避難困難エリア面積 避難困難エリア面積 1 2 3 4 避 難 に 時 間 を 要 す る 区 域 面 積 避 難 に 時 間 を 要 す る 区 域 面 積
②人的避難環境の向上効果 国土交通省の「津波浸水想定の手引き(H24.10)」などによると、津波浸水 深が 0.3mを超えると、避難行動がとれなくなるとされていることから、 P29 に示した避難に時間を要すると予測される区域について、対策により浸水深が 0.3m 未満に軽減され、避難のし易さが向上する居住者がどの程度増加するの かについて、対策パターン別に本市が行ったシミュレーションに基づく試算を 以下に示す。 現状では、住民約 11,400 人が避難に時間を要する区域に居住すると予測さ れるが、対策の実施により、約 4,700 人から約 9,300 人の避難環境が向上する 効果が期待される結果となっている。(対策レベルはL1、津波想定はL2) なお、予測の対象が住民..であることから、基本的に夜間に発生する津波を想........... 定.したものであり、昼間に発生した場合には、地区によってはこの 予測と大き く異なる結果になることがあることに留意すべきである。 ◆表 15:津波対策による避難環境の向上効果の想定(単位:人) 対策前 対策後 被害軽 対策前 対策後 被害軽 の想定 の想定 減効果 の想定 の想定 減効果 A-1 6,656 5,024 1,632 6,656 4,541 2,115 A-2 3,522 1,029 2,493 3,522 933 2,589 B-1 0 0 0 0 0 0 B-2 0 0 0 0 0 0 C-1 506 117 389 506 206 300 C-2 6 6 0 6 6 C-3 390 242 148 390 255 135 C-4 328 324 4 328 324 4 D-1 0 0 0 0 0 0 D-2 0 0 0 0 0 0 合計 11,408 6,742 4,666 11,408 6,259 5,149 A-1 6,656 1,266 5,390 6,656 445 6,211 A-2 3,522 814 2,708 3,522 814 2,708 B-1 0 0 0 0 0 0 B-2 0 0 0 0 0 0 C-1 506 213 293 506 234 272 C-2 6 0 6 6 0 6 C-3 390 256 134 390 256 134 C-4 328 324 4 328 324 4 D-1 0 0 0 0 0 0 D-2 0 0 0 0 0 0 合計 11,408 2,873 8,535 11,408 2,073 9,335 パターン 種別 地区 区分 避難困難エリア内居住者 パターン Ⅰ パターン Ⅲ パターン 種別 パターン Ⅱ パターン Ⅳ 避難困難エリア内居住者 2 1 3 4 避 難 に 時 間 を 要 す る 区 域 内 居 住 者 避 難 に 時 間 を 要 す る 区 域 内 居 住 者 ( 出 典 : H22 国 勢 調 査 人 口 )
③建物被害の軽減効果(木造建築物) 国土交通省の「東日本大震災による 津波被災現況調査結果〔第1次報告〕」 (平成 23 年 8 月)によると、津波浸水深が 2m を超えると、建物が全壊(流 出)する割合が大幅に高くなるとさ れていることから、浸水深 2m を超える木 造建物は全壊すると仮定し、その棟数が 前述のパターン別の対策によってどの 程度軽減されるかについて、本市の 対策パターン別のシミュレーションに基づ く試算を以下に示す 。(対策レベルはL1、津波想定はL2) 木造建築物に限って言えば、現状では約 8,200 棟が全壊すると想定されるが、 対策の実施により、約 4,100 棟から約 4,900 棟の被害軽減効果が期待される結 果となった。 なお、これは津波の被害想定であり、地震(揺れ)による被害は含まれない ことに留意する必要がある。 ◆表 16:津波対策による木造家屋の被害軽減効果の想定(単位:棟) 対策前 対策後 被害軽 対策前 対策後 被害軽 の想定 の想定 減効果 の想定 の想定 減効果 A-1 2,674 460 2,214 2,674 465 2,209 A-2 2,448 757 1,691 2,448 428 2,020 B-1 24 24 0 24 24 0 B-2 370 368 2 370 368 2 C-1 64 27 37 64 25 39 C-2 6 6 0 6 4 2 C-3 61 23 38 61 17 44 C-4 846 718 128 846 695 151 D-1 891 853 38 891 857 34 D-2 815 799 16 815 729 86 合計 8,199 4,035 4,164 8,199 3,612 4,587 A-1 2,674 68 2,606 2,674 2 2,672 A-2 2,448 524 1,924 2,448 579 1,869 B-1 24 23 1 24 22 2 B-2 370 368 2 370 368 2 C-1 64 25 39 64 25 39 C-2 6 4 2 6 4 2 C-3 61 18 43 61 19 42 C-4 846 692 154 846 694 152 D-1 891 858 33 891 858 33 D-2 815 727 88 815 730 85 合計 8,199 3,307 4,892 8,199 3,301 4,898 パターン Ⅲ パターン Ⅳ パターン 種別 地区 区分 パターン 種別 パターン Ⅰ パターン Ⅱ 木造建物全壊・大規模半壊 木造建物全壊・大規模半壊 2 1 3 4 【 参 考 】 地 区 区 分 地 区 名 地 区 区 分 地 区 名 A - 1 宮 崎 港 周 辺 C-2 石崎川河口周辺 A - 2 宮 崎 空 港 周 辺 C-3 南バイパス周辺 B - 1 阿 波 岐 原 C-4 清武川・加江田川周辺 B - 2 青 島 D - 1 青 島 漁 港 ・ 白 浜 周 辺 C-1 一ツ瀬川河口周辺 D - 2 内 海 以 南 ( 出 典 : H20 都 市 計 画 基 礎 調 査 )
4-5 インフラ整備のイメージ (1)方向性のイメージ これまでの検討結果を踏まえ、現実的な理想形としてのパターン 3をベースと して、宮崎市における地震津波対策イン フラ整備の方向性のイメージを以下に示 す。 凡例 設定ライン (L1に対して) (L2に対して) 第1防御ライン 第1減衰ライン ― 第2減衰ライン (副次的効果) 津波避難施設(逃げる) いのちの丘(L2対策) 津波防護施設(守る) 粘り強い構造化 景観に配慮した「緑の防波堤」など 水門(新設) 道路施設(救援・復旧・復興) 機能強化 凡例 設定ライン (L1に対して) (L2に対して) 第1防御ライン 第1減衰ライン ― 第2減衰ライン (副次的効果) 津波避難施設(逃げる) いのちの丘(L2対策) 津波防護施設(守る) 粘り強い構造化 景観に配慮した「緑の防波堤」など 水門(新設) 道路施設(救援・復旧・復興) 機能強化 ●L1対策に求められる効果⇒津波防御 ●L1対策によって期待されるL2に対する効果⇒津波減災(副次的効果)
インフラ整備の方向性(イメージ)
安全な場所への避難に時間を 要すると予測される区域 避難に10分以上要する区域 避難目標ライン(浸水ライン) 安全な場所への避難に時間を 要すると予測される区域 避難に10分以上要する区域 避難目標ライン(浸水ライン) 避難に10分以上要する区域 避難目標ライン(浸水ライン) 本図はあくまでも対策のイメージ であり、具体の事業・整備区間等 を明示する主旨ではない。 また、詳細については、費用対 効果や実現性等を含めて、今後関 係機関等との協議・調整が必要で あり、確定したものではない。 ◆図 22:インフラ整備のイメージ図 本 図 はあくまでも対 策 のイメージ であり、具 体 の事 業 ・整 備 区 間 等 を 明 示 する主 旨 ではない。 また、詳 細 については、費 用 対 効 果 や実 現 性 等 を含 めて、今 後 関 係 機 関 等 と の 協 議 ・ 調 整 が 必 要 で あ り、確 定 したものではない。(2)イメージ・パース (参考) 宮崎市における地震津波対策インフラ整備のイメージ・パースを以下に示す。
産業地・集落地・農地エリア
市街地エリア
早期啓開のための 道路機能強化 盛土等道路への 避難階段設置 避難施設 の整備 海岸部における 「緑の防波堤」の整備 「いのちの丘」の整備 海岸施設の 「粘り強い構造」化 河川堤防の盛土や 「粘り強い構造」化 橋梁の津波対策等 津波避難ビルの指定 (ソフト対策) 避難施設の 防災機能強化 ◆図 23:インフラ整備のイメージ・パース4-6 具体的な対策事業の検討について 具体的な対策事業については、検討会の提言を踏まえ、今後関係機関等と多 面的な検討を進めていくこととする。 4-7 構想の実現に向けて(今後の検討体制と課題) 構想の実現にあたっては、国・県等の関係機関相互の連携が何よりも重要に なることから、これら関係機関による協議組織を立ち上げるなど、情報の共有、 問題・課題の把握に努めるとともに、地震津波からの人命・財産の保護上、現 在の法令、制度的枠組みで対応できないような対策については、協議に参加し ていただく国・県とともに、その意見を国の政策担当部局等に強く訴えていく ことを含めて、効果的・効率的なインフラ構想の実現に向けて取り組んでいく ことを目指す。 なお、インフラ整備にあたり、都市計画との整合性を図る必要があるケース も想定されるが、その際には災害危険度に応じた土地利用のあり方など、長期 的な検討課題があることに留意する。 ◆写真 13:津波対策の先行事例 ○青島地区避難階段設置(国土交通省施工) ○小中学校外付け避難階段設置(宮崎市施工) 非 常 用 電 源 設 備 ( 地 下 ⇒ 地 上 へ ) ○宮崎市役所非常用電源設備の整備