地 方 社 会 福 祉 財 政 の 研 究
(
上)
第
1
章
社会福祉の費用 と地方社会
福祉財政
第 1節 本研究の 目的 社会福祉 を一年間実施す るのに国全体でい くら の金 がかか るか,そ の総額 を 「社 会福祉 費用」(
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)
と呼ぶ ことにす る。 こ う した費用は性質を異にす るさまざまの多数の主体 に よる財政 活動 に よって生 み 出 され るもので あ る。 まず, 中央政府 としての「国」,それか ら地方 政府 として の 「地方公共団体」である。国はただ 一つの団体 であるが,地方公共団体はまことに多 種多様であ る。数だけか らい って も,4
7
の都道府 県,649の市,2,606の町村,23の特別区 (東京の 23区のこと),2,481の一部事務組合が1982年3月 31日現在で存在 している。 この うち前3者を 「普 通地方公共 団体」と呼び,団体数の合計は3,302団 体である。 後 の2着 は 「特別地方公共団体」 と呼 ばれ 合 計2,504団体 あ る。両 者 を合 わ せ て実 に 5,806もの地方公共団体があ ることになる。これ ら の さまざまな団体がそれぞれに財政活動を営 み, その結果 として社会福祉費用が生み出 され る。本 研究の 目的 は, この社会福祉費用が どのよ うな過 程で どの よ うな特徴を もって生み出されて きたか 杏,地方社 会福祉財政の分析 を通 じて明 らかにす ることにあ る。 第2
節 社会福祉費用 と地方民生費の位置 地方財政 を琴材にす る理 由の1つは費用 の推計 をめ く・る統 計上の問題 と,いま1
つは,社会福祉 費用の支 出主体 として地方財政が極めて重要 な位 置を占め る とい うことである。 まず最初に統計上 本研究は,昭和56年度文部省科学研究費補助金 (奨 励研究A)による資金援助を受けて行ったものである。坂
田
周
一
の問題 とは何かを示す ことに しよ う。 わが国には,現在,社会福祉の財政 お よび費用 に関 して3つの統計系列が発表 されている。 1つ は,大蔵省が発表 している F財政統計』であ り, これに よって国の当初予算,補正後予算お よび決 算の数字をつかむ ことがで きる。しか し,この『財 政統計』か らつかむ ことので きるのは 「生活保護 費」 とか 「社会福祉費」 といった大 きい項 目の計 数だけであ り,その内訳 は発表 されていない。 こ れを補 うのがやは り大蔵省が発表 してい る F財政 金融統計月報』 の各年の 「予算特集号」,お よび, 大蔵省, 自治省,会計検査院が共同で編集 してい る r国の予算 と決算』である。 ともか く, 1つ は 国家財政 の系列である。第2は自治省 が発表 して い る 『地方財政統計年報』 とこれに分析を加 えた 『地方財政 白書一地方財政の状況-』 か ら得 られ る地方財政の系列であ り,決算計数 のみを得 るこ とがで きる。以上の2つは財政の系列であるが, 第3
に費用の系列 として,社会保障制度審議会事 務局が発表 している r社会保障統計年報』の系列 がある。 この年報は毎年 「社会保障関係総費用」 を発表 してい る。 ところが,第3
の費用統計の計 算方法 には大 きな問題があって,社会福祉費用 の 計数 として用い るのには限界がある。す ぐあ とに, この3
つの系列 について数字の比較 を行 うことに す るが,その前 に,社会福祉費用 の統計数値は ど の よ うに把握 され るべ きかを考 えてお くことに し よ う。 図1- 1は,社会福祉財政の主体 を国,地方公 共 団体 及 び民 間 団体 の 3つ に大 き く分 けて,金 の流れを中心に3着の関係をみた ものであ る。 こ の図をみ ると,国,地方公共団体及 び民間団体そ れぞれの決算額を合計 して も,それは社会福祉総 費用を表わす ものではない ことがわ か るだろ う。 なぜ な ら, これ ら主体相互間に重複す る金 の流れ があ るか らであ る。 まず国か ら地方公共団体- は -33-図1-1社会福祉財政の主体間の関係 と社会福祉費用 国庫支 出金の流れがある (なお, この図では地方 交付税交付金な ど地方公共団体の一般財源 となる 金 の流れは省略 してある)。国庫支 出金 とは生活保 護 に対す る国 の 負担 金 な どの負担金や補助金で あ り,法令ない し予算に基づいて,国か ら地方公 共 団体 に支 出され 地方の特定財源 となるもので ある。地方の社会福祉財政 に関わ る国庫支 出金の 種類 と負担区分は,表1- 1に示す とうりであ る。 地方公共団体はこの国庫支 出金に他の財源を加 え て事業活動を行 うので,国 と地方の決算を合計す ると国庫支出金が2度た し算 され ることになる。 さらに地方公共団体の間 にも金の流れがあ る。都 道府県か ら市町村への支 出金がそれである。都道 府県 と市町村の決算を合計す ると都道府県支 出金 が
2
度た し算 され るので 『地方財政統計年報』で は この部分を控除 した ものが 「純計決算額」 とい う名前で発表 されている。 ちなみに,重複部分を 控除 しない都道府県 と市町村の合計を 「単純合計 額」 と呼んでいる。最後 に,民間団体に対 して も 国 と地方公共団体が民間団体の運営 を助成す るた め とか福祉の措置 を委託す ることに伴 う委託費な どの支 出を してい るか ら, この部分 も重複額 とな る。 したが って,社会福祉費用 とい うものは, (》 国の最終支出 -国の決算一地方公共団体及 び民間団体への 国庫支出金 ② 地方公共団体 の最終支 出 -地方純計決算 一民間団体-の地方支 出金 (卦 民間団体の最終支出 -民間団体の決算 の3つを合計 した ものでなければな らない。 いまは,誰が最終的に支 出をす るか とい うこと を中心 に考 えたけれ ども,視点をかえて誰が最終 的に負担をす るか とい うことで考 えることもで き る。 この場合はた し算の項が4つになる。す なわ ち, (訂 国の負担 ②′ 地方公共団体の負担 (卦′ 民間団体の負担 ④ 利用者 の負担 の4つをた し算 した ものが社会福祉費用である。 ところが,負担の面か ら費用を計算 しよ うとして も,(卦′の民間団体の負担 と④ の利用者の負担 につ いてはは っき りした統 計 が公 表 され て い ないの で,今の ところ支出の面で計算す る他 に道はない 状態である。また,支 出の面で も③ の民間団体の 決算に関す る統計がないので,国 と地方の決算統 計によって計算す る他に方法はない。 この場合に は,民間団体 に対す る国庫及 び地方の支出金 につ いては,それぞれ国 と地方が最終的 に支 出 した も の とみな して, ①'′ 国の最終支出 -国の決算一地方公共団体への国庫支 出金 ②′′ 地方公共団体の最終支出-地方純計決算 の2つをた し算す るか, または, (D′′′ 国の負担 -国の決算 134-表1-1 地方民生費関連の国庫支出金の種類 と負担区分 (昭和54年度) 事 項 区 分 根 拠 法 令 国 都道府県 市 町 村 生 活 保 護 費 補 助 金保 護 費 等 生 活 保 護 法 8/10 2/10 市及 び福祉事務所設置 町村2/10 法 施 行 事 務 費 老精 神 薄 弱 者 福 祉 法消 費 生 活 協 同 組 合身 体 障 害 者 福 祉 法人 福 祉 法 1/82-1/10/5 1/2-22/10/3 1/2-2/3 身体障 害 者 保 護 費 補 助 金 市及 び福祉事務所設置 町村 補 装 具 給 付 費 等 2/10 福 祉 事 務 所 費 5/10 5/10 5/10 診 査 巡 回 費 5/10 5/10 5/10 身体障害者体育振興費 老 人 福 祉 費 補 助 金老 人 ク ラ ブ 助 成 費 1/53-1/10/2 1/3-15/10/2 1/53-1/10/2 老人世帯家庭奉仕員費 81//130 21/1/30 1′3 老 人 保 護 費 補 助 金 市及び福祉事務所設置町村 老 人 福 祉 施 設 保 護 費 2/10 軽費老人ホーム事務費 1/3 2/3 2/3 法 施.行 事 務 費 81//120 21/1/20 1′2 精 神薄 弱 者 保 護 費補 助 金 市及 び福祉事務所設置 町村 精神 薄弱者施設運営費 2/10 福 祉 事 務 費 世 帯更 生 資 金 貸 付補 助 金 21//23 11//2 ●3 1/2 世帯更生運動推進費補助金 地 方 改 善 事 業 費 補 助 金 11//22 11//22 1/2 消 費生 活 協 同組 合貸 付 金 資金の貸付 に関す る法律 51//120 11/1/20 婦 人 保 護 費 補 助 金婦 人 相 談 所 費 等 売 春 防 止 法 5/10 保 護 施 設 運 営 費 災 害 救 助 費 災 害 救 助 法 50-988//11000% 50-121//1100%0 児 童 保 護 費 補 助 金収 容 施 設 措 置 費 児 童 福 祉 法 保 育 所 措 置 費児 童 相 談 所 費 一 時 保 護 所 費身 体 障 害 児 援 護 費結 核 児 童 療 養 費保 母 養 成 所 費法 施 行 事 務 費 保 母 修学 資 金 貸 与 費 季 節 保 育 所 運 営 費 111///12-8/2-82-88/83.111////11232100////12110001111///2-2/2-22-2213111/////.11321200////2111000 111/1//330 - き地 保 育 所 運 営 費 産 休 等 代 替 保 母 費 児 童 館 運 営 費 111///333 211///333 11//33 母 子 保 健 衛 生 費 補 助 金 母 子母 子 福 祉 資 金 貸 付 金福 祉 費 11//3-13-12/3//2 12 1//4-13-11/3//22 1/3 社会福祉施設整備費補助金 1/4-1/3 資料) 自治省財政局編 r地方財政の しくみ とその運営の実態J地方財務協会,1980年,188-89支 (訂 '′ 地 方 の負担 -地 方純 計決 算 一地 方公 共 団体 へ の国庫 支 出 金 の
2
つ をた し算 した もの が社 会福 祉 費用 とい うこ とにな る。 結 局 ,民 間 団体 の 自主 財 源 に よ る支 出 の部 分 が費用 か ら落 ち る計 算 に な る。 - 35-ところで,社 会 保障制度審議会事務局 が毎年 発 表 して い る 「社 会 保障 関係総 費用」 の中 に 「公 的 扶助 費」 と 「社会 福祉 費」 とい う計数 があ るが, 一般 には これ が 国全体 で一年間 に要 した社会福祉 の総費用 だ とい うよ うに理解 されて い る。 ところ が, い ままで考 えて きた よ うな計算方法 を用 いて 費用 を計算 してみ る と,両者 の間 にははなはだ し い くい違 いが あ らわれ,われわれ の計 算 に よる費 用 の額 の方 が は るかに多 いのであ る。具体的 に表 1- 2を用 いて計 算 してみ る こ とに しよ う。 表 1- 2は,地 方財政統計 の「民生費純計」 (也 方財政 の分 類 に よる 「社 会 福 祉 費
」+
「老 人福 祉 費」+
「児童福 祉 費」
十
「生活保護費」
+
「災害救助 費」 の こと) の1980年 度決算額 を中心 に して, こ れ に対応 す る国 の一般 会計主要 経費別 分煩 に よる 「生活保護費」 と 「社会福祉費」 と 「児童手 当国 庫負担金」 (蓑 1- 2の注 *をみ よ)の合計 を左側 に, また,右 側 に は社 会保障制度審議会 の分類 に よる 「公 的扶助 費」 と 「社会福祉費」 の合計 を示 した ものであ る (それ ぞれの統 計 の細 目の分類 に つ いては補表 1をみ よ)。さて,表1- 2のO と◎ は両統 計が 同 じ ものを計測 して い るので あれ ば本 来 同額 で なけれ ば な らないが違 ってい る。統 計 分 類上両統 計 には不 接合 が あ る とい うこ とであ る。 この問題 は, 第1
章補 説 で検 討す る ことに して, ここで は, こ うした問題 があ る こ とを前提 に した うえで,社会福祉 費用 の試算 を行 ってみ よ う。 ①′′ 国庫 の最 終 支 出 -国の決 算 一地方公共 団体 へ の国庫支 出金 -〇 一〇 -2,373,951百万 円一2,247,447百万 円 -126,504百万 円 ②′′ 地方 の最 終支 出-地方民 生費統計決 算 -0 -5,028,427百万 円 の合計5兆1,549億3千1百万 円 とな る。負担面 か ら計算すれ ば, (》′′′ 国の負担 -国の決 算 -0-2,373,951百万 円 ②′′′ 地方 の負担 -地 方民生費統 計決 算 一地方公共 団体 - の国庫支 出金-〇 一〇 -5,028,427百万 円-2,247,447百万 円 -2,780,980百万 円 の合計 で,や は り,5兆1,549億3千1百万 円 とな る。 い ま計算 した費用 の額 と表 1- 2の◎ の社 会 保 障 制 度 審 議 会 事 務 局 が 計 算 した 費 用 の額3兆 2,827億9千7百万 円 との間 に は約2兆 円に もの は るはなはだ しい開 きが あ る こ とにな る。 これ は 一体 ど うした こ とで あ ろ うか。 こ うした くいちが いが発生す る理 由の 1つ は, 社会保障制度審議会事務局 の費用統 計 は実際 に要 した費用 を集計 した もので はな く,「これだ けでや ったはず」とい う 「タテマ-の費用」 にな ってい る ことで あ るoつ ま り,
『社 会保障統 計年報J
の説 明 に よれ ば, 費用 の算 出につ いて 「社会保 険以外 の 数値 は, 国の一般会計決 算 また は予算 に よ り国の 支 出額 を抜 き出 し,それ に,それぞれ の費用毎 に 表ト 2 1980年度決算 による社会福祉財政及び費用に関する3つの統計系列の比較A (単位 :百万円) 国家財政統計1) 地方財政統計2) 社会福祉費用統計3) 一般会計主要経費別分類の生活保 護費+社会福祉費+児童手当国庫 負担金 ● 民 生 費 純 計 社会保障制度審議会の区分による公的扶助費+社会福祉費0
2,373,951 内訳O○生活保護費0社会福祉費児童手当国庫負担金1,●934750,9,3,7813676p41 国 庫 支 出 金◎
2,247,447 国 庫 負 担 ◎ 2,437,375 その他の財源◎
2,780,980 地 方 負 担◎
774,114 そ の 他●● 0 71-,308 注 * 児童手当国庫負担金は,国の予算の分類では 「社会保険費」に含められているが,児童手当は,地方の民生費にも,社会保 障制度審議会の区分による「社会福祉費」にも含められているので,ここでは対応関係を確保するため,国の財政の部分に 加えている。*
辛
「その他」とは,児童手当の事業主負担のことである。また,社会福祉費用統計の系列において,社会福祉施設の民間設置 者負担分は 「地方負担」に加えられている。 資料1)大蔵省主計局調査課編 r財政統計1 2)自治省編 r地方財政統計年報j 3)社会保障制度審議会事務局編 r社会保障統計年報J -36-地方公共団体 が対応 して支 出すべ き義務額 を加 え て算 出す る。 ・-・・補助金 の形式 でな く地方交付税 の算定基礎 にお りこまれてい る財源, あるいは地 方公共団体 の単独財源で実施す る社会保障関係の 費用 について は資料 が不十分であ るので,-・-算 入 していな
い
」(I)のであ り,全 くの 「クエマ-の費 用」 といわ ざるを得 ない。 いまの説 明では,個 々 の費用 を, 費用 -国の決算÷国の補助率 とい う割算 で求めて, これを集計 している とい う ことと同 じ意味であ る。 しか し,地方公共団体 は 一般 に国庫 の負担金 とこれに対す る義務的 ウラ負 担 だ けでは事業運営 に不足 し超過 の負担を行 って い ることは周知 の事実であ る。 また,国の補助 を 受 けないで独 自の財源で事業 を行 っているが, こ うした超過 負担や単独事業を含めた 「ホン トの費 用」は計算 されていないのであ る。 これに対 して, r地方財政統 計年報』の計数 は地方公共団体 か ら 報告 された決 算額 に基づ いて作成 された ものであ るか ら, こ うした超過負担や単独事業分を含む も のになって い る。単独事業 な どは各地方独 自の ニ ーズに応 えた り,国の施策 とな っていない ものを 先取 りして行 うものであ るが, これ らも社会福祉 活動である以上,当然費用 に含め るべ きもの と考 える。む しろ,含めなければ社会福祉費用 の真 の 姿 を とらえた ものにはな らないであろ う。 われわれ の推計に よる費用が超過 負担分や単独 事業分に よ って社会保障制度審議会事務局の推計 額 を上回 った ことは確かな ことであ る。 しか し, それに して も2兆円 も違 うものであるか ど うか, そ の額 に驚 くとい うのは率直 な感想であろ う。 こ の ことにつ いて考 え られ るのは,社会保障制度審 議会 の区分 に よる 「公的扶助」+
「社会福祉」の範 囲 と地方財 政統計に よる 「民生費」 の範囲が果 し て同 じもの か ど うか とい うことである。 もしも, 後者 の方 が前者 よ り広 い範 囲を カバ ーしてい るの であれは, われわれの推計 は過大 な推計を してい る ことにな る。 この ことは,補説 「社会福祉財政 統 計諸系列 の分頬 について」 で検討 しているが, 地方財政統 計 の 「民生費」 の細 目については,そ れが「社会福 祉費」
,
「老人福祉費」,
「児童福祉費」, 「生活保護 費」,
「災害救助費」 か ら成 ることはわ か るけれ ど も, これ ら5
つの分類が さらに どの よ うな細 目か ら構成 されているかは公表 されていな い。 このため,社会保障制度審議会 の比較的細か い経費分類に民生費を一つ一 つ対応 させ るこ とが 不可能 にな ってい る。 しか し,審議会 の 「公的扶 助」 と民生費の 「生活保護費」が完全 に対応す る ことは明 らかであるし,
「老人福祉費」,
「児童福祉 費」,
「災害救助費」 もそれぞれ審議会 の区分 に対 応 す る もの と考 え られ る。 なお,
「児童手 当」の費 用 は, 国の一般会計の分類では社会福祉費に含め られず社会保険費 に含め られているが,審議会 の 統 計では 「社会福祉」 に,地方財政統計では 「民 生費」 にそれぞれ含め られている。地方財政民生 費 の分頬でいまひ とつ内容のは っき りしない もの は 「社会福祉費」 である。 これは,生活保護,塞 人福祉,児童福祉,災害救助 に該 当 しない残 りの 福祉関係支 出であ り,身体障害者,精神薄弱者及 び社会福祉 の総務費 を主 な内容 と した もの で あ る。や は りこれ も審議会の区分 に よる「社会福祉」 の範囲 に入 るもの と考 えて よいだろ う。 こ うした 分類上 の問題 は さらに資料を得て分析 しなければ は っき りした ことがわか らないが,現段階では, 費用の差額分は地方の超過負担 と単 独事業 に よる もの と考 える他 はないのであ る。 いま計算 した費用は,各統 計系列 の対応関係が 明確 にな らない限 り全 くの試算 にす ぎないが,社 会保障制度審議会 の統計が 「タテマ-の費用」で あ る以上, これに よって地方 の社会福祉 財政 の位 置 を とらえる こ とがで きな いの もまた事実 で あ り,試 算 とはい え考 え方 の筋道 をたて るための参 考 とな るものであ る。そ こで, いま行 った費用推 計を表1- 3に まとめてみ よ う。 表1- 3をみ る と,社会福祉費用試算合計5兆1,
5
4
9
億3
千1
百万 円の うち,負担面 では,国庫負 担 が4
6.
1
%
に対 して,地方負担 は5
3.
9%
と地方が 国を上回って負担 していることがわか る。他方,支 出面 では,国はわずか2.
5%
の最終支 出 しか してお らず,地方の最終支出が9
7.
5
%
と費用のほ とん どを 占めてい る。 この ことは,社会福祉 費用 の正確 な 統計が得 られ ない現在,地方民生費 はそれを推 し はか るための重要 なデータにな ってい る とい うこ とであ る。他方,社会福祉事業 の運営 に関 してい えば,支 出面 の数字が示す とお り, そのほ とん ど が地方公共団体の財政的関与 に よって行われてい-37-表1-3 1980年度決算による社会福祉費用の試算 (単位 :百万 円.%) 負 担 面 社会福祉費用の合 計 支 出 面 国庫負担1) 地方負担2) 国の最終支出3) 地方の最終支出4) 決 算 額 2,373,951 2,780,980 5,154,931 ・126,504 5,028,427 注 1)国庫負担 -国の一般会計歳 出の生活保護費+社会福祉IL'i+児童手当国庫負担金 2)地方負担 -地方民生費決算純計-国庫支出金(地方交付税等の国の一般財源措置を除 く) 3)国の最終支出-国庫負担(注1)-国庫支出金 4)地方の巌終支出=地方民生費決算純計 る とい うことであ り,地方財政 の動向が,社会福 祉事業の動向を左右す る状況にあ るともいえる。 負担面でみた とお り,国を上回 って地方が負担 を していることを考 えると,負担,支 出両面 におい て地方公共団体 は社会福祉事業 に深 くかかわ りこ れを支 えているのであ って,地方 の社会福祉財政 を分析す る意義 は極 め て大 きい もの と考 え られ る。 第 1章 注 1)社会保障制度審議会事務局編 r社会保障統計年 報」1982年版,45頁
第
1
章補説
社会福祉財政統計諸系列の
分煩について
本文で述べた とお り,社会福祉財政 及び費用に 関す る統計の系列には, 1) 国の財政統 計 2) 地方財政統計 3) 社会福祉 費用統計 の3つがある。 これ らの系列が把握 している 「社 会福祉」 とい うものは どの よ うな内容 の ものであ るかを,1980年度決算係数を用 いて比較 してお こ う。 これを ま とめた ものが補表1
である。補表1
は,社会福祉費用統計 の分類 につ いては公表 され ている順序 に したが ってそのまま上か ら下-記入 し,国の財政統 計の分校 と地方民生費の分掛 ま公 表 されてい る際 の順序ではな く社会福祉費用の分 短 に対応 す る と思わ れ る形 で配 置 してそ れぞれ 1980年度 の決算筋 を記入 した ものであ る. さて,補表1をみてまず気づ くことは, 3系列 とも分類項 目の名前 が全 部 違 って い る こ とで あ る。第2
は,系列によって分校が畑 かい もの大 き い ものがあ ることである。国の財政統計の場合 は, 補蓑 1の項 目について さ らに補表 2- 1お よび補 表2- 2に示す細 目の分頬 の決算金額が公表 され てお り最 も細 か い。社会福祉費用統 計の場合 は補 表1
の各区分が どの よ うな施策を含むか とい うこ とが補表3の よ うに発表 されてい るが金額 は示 さ れていない。地方財政統 計 の分頬 は最 も粗 く補表 1以上 の ことはわか らない。第3に,名前 がわず かに違 うだけでほ とん ど似 ているものであ る場合 には,金額が一致すれば同 じもの と確定で きるわ けだが, これ もまたそれぞれ に違 っている。 国の 決算 と,費用統 計の国庫 負担 の欄 の金額は一致す べ きものであ る。 ところが, 国の決算 による生活 保護費 は9,403億6千4百 万 円であ るのに対 して, 費用統計の公的扶助 (生活保護) の国庫負担決算 は9,415臆 7千6百万 円 と違 ってお り,どの よ うな 計算が な されているのかは積 算 レベルにまでお り て調べ ないか ぎ り,公表 資料 だけか らはつ きとめ る ことがで きない。 国の決算統計 と費用統計 の国 庫 負担 決算額が完全 に一 致す るのは,「児童扶養手 当給付諸費」対 「児童扶 養手 当」 と 「国立更生援 護所費」対 「国立更生援 護琉 関」 の2組だけであ り,他 はすべて名前 は似 て いて も金額が違 ってい るか ら同 じものではない こ とになる.つ ま り積算 レベルの内容が違 ってい るわ けであ る。 国の財政 統 計の場合 は,社会福祉施設 の建設整備 に要 す る 金 は,施策分野毎の予算 に含 めないで 「社会福祉 施設整備費」 として一本 に ま とめ られてい るが, 費用統計の場合 はこれを各分野区分毎 に加 えてい るので この ことが金額に差 が 出る一因であ る。民 - 38-補表
1 1
98
0
年度 決算 による社 会福祉財政 統計3
系 列の比較 (単位 :百万円) 国家財政統計 (一般会計主要経費別分疑) 社 会 保 障 官¥ 用 統 計 (実収入) 地方財政統計 (民生焚決算純汁) 経 1号 名 決 算 額 区 分 国庫負担 地方負担 合 計 目 的 別 決 算 嘗再 Ⅰ生活保護flli 940,3641公的扶助(生活保護) 941,576 237,329 1,178,955 Ⅰ生活保護'itf I,270,883 ⅠⅠ社会福祉'LIf 1,353,816ⅠⅠ社 会福祉 1,495,799 536,735 2.103,842'ⅠⅠL生活保護以外の民生tlf 3,757,544 1身体障害者保護fY 39,465 321老人福祉精神薄弱者福祉身体障害者福祉 204,46,62.763442389 282,10.6,655089116 263,86,82,298150592 1社会保障 1,003,587 2老人福祉Tf 483,284 234老人福祉プ児童福祉代災讃救助'L1III 1,1,095.652,5,795421742 うち老人医療'LIl 300,934 4老人医療 303,298 152,831 456,129 3LFl童保護貿 4i謂'Fl童扶義手当素LII 話付 5母子福祉FII1 6国立更生援護所でi 7社会福祉諮iff 89特別児童扶禿手当等給付婦人探護宮代守 10社会福祉施設整旅館 41124.763,46,16,2,1,3,2,665836493586031318792031 111116789540231心身降雪L児童福祉リ母子衛生学校給食等国立更生援護機児童手当その他の社会福祉災害救助母子福祉ヱ竜扶発手当Fl等対策fL5-1 411409,274,724,6,4,9,3.9,6,837266252434765877190126708875 1337,24,39,14,9,8,1,304027318794038111950574 51111448,43.46,8116,5.3,8,9,3,665383339108132740926448778001●
*
児童手当事業主負担分71.308百万円を含む。 資料)国の決算については,大蔵省,自治乱 会計検査院編 r国の予算と決算1982年版]会計検査調査会,他は表1-2と同じ資料 を用いた。 生 費 の場 合 も建 設 整 備 費 は そ れ ぞ れ 目的 分 類 毎 に 分 け て加 え られ て い る。 ま た, 国 の財 政 統 計 で は 在 宅 福 祉 関 連 の金 は 「社 会 福 祉 諸 費」 に ま とめ ら れ て い るが , 費 用 統 計 で は これ も分 野 毎 に 分 け て 加 えて い る もの と思 わ れ る。 第4に, 3つ の統 計 系 列 が意 味 して い る社 会 福 祉 の範 囲 が そ れ ぞ れ 異 な る とい うこ とが わ か る。 補表1
か ら, 費 用 統 計 の 「社 会 福 祉 」 に は含 まれ るが 国 の財 政 統 計 の 「社 会 福 祉 費 」 に含 まれ な い こ とが は っ き り分 か るの は, 「学 校 給 食 等 」と 「児 童 手 当」 で あ るが , これ を 除 い た 場 合 費 用 統 計 の 「社 会 福 祉 」 は1
兆3,
91
7
億2
千7
百 万 円 とな る。 しか し, これ で もな お, 国 の財 政 統 計 の 「社 会 福 祉 費」 1
兆3,
5
3
8
億1
千6百 万 円 を3
7
9
億1
千1
百 万 円上 回 るか ら,費用統 計 の 「社 会 福 祉 」の 範 囲 は , 財 政 統 計 の 「社 会 福 祉 費 」 の範 囲 よ りも広 い もの と考 え られ る。 以上, 4点 指 摘 した が , 最 後 に, 地 方 財 政 民 生 費 の 分 類 は あ ま りに も粗 す ぎて, 系 列 相 互 間 の対 応 関 係 を検 討 し よ うに も, デ ー タ 自体 が そ れ を 阻 ん で い る こ とが 挙 げ られ る。 民 生 費 に つ い て これ 以 上 の細 目分 類 を得 るた め に は, 自治 省 の財 政 統 計 担 当 部 局 に は必 らず 存 在 す る と思 わ れ る積 算 基 準 を参 照 す るか, 個 々 の地 方 公 共 団 体 の決 算 書 を み る他 は な い が ,現 段 階 で は いず れ も困 難 で あ る。 これ まで み て きた よ うに , 現 在 わ が 国 に存 在 し て い る社 会 福 祉 財 政 お よび費 用 を め ぐ る3つ の統 計 系 列 は そ れ ぞ れ 独 自の概 念 と分 頬 基 準 に よ って 作 成 され て お り, 同 じ く 「社 会 福 祉 」 とい い な が ら, そ れ ぞ れ が み て い る もの は重 な る部 分 が ほ と ん どで は あ る もの の, 周 辺 部 分 につ い て は違 った もの に な って い る.・この よ うに, 相 互 に矛 盾 す る-3
9-統 計系列 を用 いて第
1
章 で述べた方法 に よる費用 の推 計 は現段 階 で は不 可 能 と結 論 せ ざ るを得 な い。 しか しなが ら, 現代 の社 会福祉 は,民生費 で みて5
兆 円に ものぼ る費用規模 を もつ ほ どに巨大 な もの とな ってお り, これ に正確 な分析 を加 え, その進 むべ き方 向を研 究す るため には,国,地方, 費用 を通 じた無 矛盾 的 な統 計 の作成 が不可欠と思 われ る。 なお,第1
章 で提示 した社会福祉費用 の推計方 法 は, いいか え るな らは国 と地方 の社会福祉費 の 二純計 (決算額 か ら重複額 を控 除 した もの) を求 め 補表2-1 一般会計生活保護費1980年度決算 保 保 指 法 る ことといえる。 この点 につ いて,実 は 『地方財 政 白書』では,
「民生費 の国 と地方 の純 計」とい う 計数 を発表 して い る。補表4がそれで あ り, これ は, 1981年度決 算 につ いてみた ものであ る。 しか しなが ら, この純計 の計 算 は,われわれが対 象 に してい る 「生活保護」 と 「社会福祉」 の範 囲をは るか に超 え る ものであ るO なぜ な ら,補表4
の国 の一般 会計歳 出の欄 をみ る と8兆2,889億 円 とな ってい る。 これ に対 して1981年度 の国の一般 会計 主要経 費分類 に よる 「社 会保障関係費」 の決算額 は8兆8,237億 円であ る。この経費 は「生活保護費」 (単位 :千円 ) 故 出 予 井 硯 毛貞 事 項 歳出予算額 歳出予算現額 支出済歳出額 翌年度繰越額 不 用玩窪孟姦真読
合 (% ) 謹 責 939,114,561 939,114,561 923.172.786 護 施 設 事 務 費監 査 敬 負 読 置 13,611,804 13,611,804 13,611,804 導 費 1,660,765 1,660,765 1,660,765 施 行 事 務 費 1,924,366 1,924,366 1,918,489 計 956,311,496 956,311,496 940,363,844 補表2-2 一般会計社会福祉費1980年度決算 事 項 老 人 障 童 老 老 老 体 身 児 人 人 人 宿 医 福 保 老 ︰ 保 害 保 児 童 祉 療 祉 護 欝 護 - 15,941,775 5,877 - 15,947,652 8 0 0 9 0 0 日 日 日 99 98 (単位 :千円 ) 歳出子 井硯 告 穴 歳出予算碩 歳出予算現杭 支出済歳出額 翌年度繰越額 不 用 額 呈認 孟 姦 芸競 合 (%) 費 490.896,331 490.896,331 費 300,933,649 300,933,6 4 9 費 4,406,515 4,406,515 費 185,556,167 185,556,1 6 7 費 39,465,496 39,465.496 費 485,769,318 485,769,318 費 468,076,854 468,017,0 19 483,283,60 7 300,933,649 4,406,515 177,943,443 39,465,496 471,836,451 454,502,617 措 置 費 466,9 14,251 466,874,5 27 453,360,650 法 施 行 事 務 費 等 児 童 福 祉 事 業 費 児 童 相 談 所 費 等 保 母 養 成 所 費 等 特 別 保 育 事 業 費 そ の 他 母 子 保 健 衛 生 対 策 費 身 体 障 害 児 等 対 策 費 児 童 健 全 育 成 対 策 費 1,162,603 8,297,450 1,228,703 754,876 4,189,366 2.124,505 4,733.360 2,731,696 1.929.958 1,142,492 8,142,025 1,228,7 0 3 754,876 4,127,7 1 3 2,030,7 3 3 4,
874,324 2,805,992 1,929,958 児 童 扶 養 手 当 給 付 諸 費 149,058,857 150,989,042 特別児童扶養手当等給付諸費 63,584,076 65,953,891 婦 人 保 護 費 2,221,056 2,221,056 社 会 福 祉 諸 費 24.845,355 24.845,355 社 会 福 祉 施 設 整 備 費 122,196,216 138,886,416 母 子 福 祉 費 3,950,000 3,95(),000 国 立 更 生 援 護 所 費 6.176,
876 6,
878,3 7 7 1,141,967 7,758,965 1,228,703 709,555 3,881,820 1,938.887 4,874,324 2,805,992 1,894,552 146.664,851 4,250,9
0
9
63,582,812 2,349,091 2,192,160 24,310,676 112,493,123
24,618,980 3,599,955 6,386.877 418,047 7.612,723 7,612,723 13,932,866 13,514,401 13,513,876 525 383,059 45,320 245,393 91,846 35.406 73,281 21,987 28,895 534,678 1,774,313 350,045 73.452 計 1,388,163,581 1,409,855,2821,353,816,010 31,637.027 24,402,244 - 40-8 0 0 5 0 7 7 7 95
0 3 45
0 0 8 7 6 8 7 0 1 2 6 9 0 0 9 0 9 9 9 99
0 9 99
0 0 9 9 9 9 9 8 9 9 9 1 1 1 1 1 1補表3 社会福祉費用統計の分類区分細 目 区 分 内 容 Ⅰ公的扶助 1生活保護 生活保護の費用暮生活保護施設運営及 び整備の費用 ⅠⅠ社会福祉 2身体障害者福祉 身体障害者保護更生の費用■身体障害者更生援護施設運営及 び整備の費用, 身体障害者職業訓練及 び雇用促進の費用暮 3精神薄弱者福祉 精神薄弱者保護更生の費用暮精神薄弱者援護施設運営及び整備 の費用 4老人福祉 老人福祉の費用■老人福祉施設運営及び整備の費用 5老人医療 老人医療の費用' 6児童福祉 児童保護措置 の費用暮所の運営及び整備の費用,保母修学資金貸与費,へ き地保育所及 び季節保児童福祉施設,児童相談所,一時保護所及 び保母養成 育所の運営の費用 7心身障害児等対策 育成医療'障害児施設,重症心身障害児施設の運営及び整備 の費用,特別児童扶養手療育の給付●補装具の支給の費用,肢体不 自由児施設,重症心身 当の費用●心身障害者扶養共済運営の費用 8児童扶養手当 児童扶養手当の費用' 9児童手当 児童手当の費用 ● 10母子衛生 母子保健衛生対策の費用●母子保健施設整備の費用 11母子福祉 母子福祉貸付金◆母子福祉施設整備の費用 ◆ 12学校給食等 安保護及び準要保護児童生従の学校給食及び就学援助 (学用品,通学費等 の支給を含むo)特殊教育学校就学奨励等の費用 13国立更生援護機関 国立視力障害 セ ンター,国立身体障害者更生指導所,国立保養所,国立ろうあ老更生指導所,国立教護院,国立精神薄弱児施設の運営及 び整備の費 用 14災害救助 災害致助, 日本赤十字社災害政助設備整備,災害弔慰金,災害援護貸付金 の費用 (厚生省関係のみ) 15その他の社会福祉 社会事業学校 の運営及 び施設整備,社会福祉施設職員退職手当共済事業補助,社会福祉事業振興会事務費補助, ボ ランテ ィアセンター助成費補助, 民生委員手帳等作成,- き地保健福祉館,地方改善◆世帯更生,寡婦福祉貸 *印は,事業費のほか事務費を含む 資料)社会保障制度審議会事務局 r社会保障統計年報J 捕表 4 1981年度決算にみる国,地方の 「民生費」の状況 (単位 :隠 円,浴) 歳 出国 小円細目 ー
合
)、F④計) 地 方⑧ 国から地方に対する 他 出 地方から◎ 国に対する 支 出⑳ -④-C 地 方国 .地方を通t国 ①-㊨-⑤ 総 領=る純計領㊨-⑤+ 総領中地方の占める 割 合 国の純計㊦÷⑥
地方に対に占めるする支出の 割 合◎÷④ 注・「厚生保険特別会計」のうち 「児童手当勘定」 - 「児童手当国雄負担金」 梁料)自治編 r地方財政白割 1983年版, pp226-227より抜すいO と 「社会福 祉 費」 と 「社 会 保険 費」 と 「保健 衛 生 白書』 の国 と地 方 の純 計 に用 い られ て い る 「民 生 対 策費」 と 「失業 対策 費」 の合 計額 で あ るか ら, 費 」の範 囲 は社 会 保険 を含 む よ り広 い もので あ る。 地 方 の 「衛 生 費」 に相 当す る 「保 健 衛生対策 費」 か とい って,地 方公 共 団 体 が,年 金 等 の社 会保 険 4,168億 円 を 控 除す れ ば 8兆4,069億 円 とな り補 表 事 務 な行 っ七 い るか とい うとそ うで は ない のだ か4
の数値 とは ぼ一致 す る。 この よ うに 『地 方 財 政 ら,補 表4の国 と地方 の民 生 費 純計 額 を社 会 福 祉 -41-費用 とす る こ とに は大 きな問題 が残 る こ とにな る。 ともか く,現在 わが国には 「タテマ-の社会福 祉費用」を示す統 計はあ って も
,
「其 の社会福祉費 用」 を推計す るた めに整備 された統 計は存在 しな いのであ る。 (補説終 り)第
2
章
民生費規模 の拡大経路
第1
節 民生費 の配分パ ターンの変化 全 ての地方公共 団体 の民生費決算の合計額か ら 地方公共 団体相互 間での重複額 を控 除 した ものを 民生費純 計 と呼んでいる。表2- 1は, この民生 費純 計の推移 を1965年度 か ら1981年度 まで逐年毎 に示 した ものであ る。表2- 1には,関連 指標 と して, 国内総支 出(
GDE)
の名 目額 と地 方普通 会計歳 出総額 の推移 をかかげ,合わせて, これ ら 3系列 の1965年度 を100とした指 数 の推移 を示 し ているO また,指 数につ いては観察 を容易 にす る 表2-1 民生費の規模及び関連指標 ため図2- 1を作成 した。 さて,表2- 1の観察 に移 る ことに しよ う01965 年度 の民生費純計は3,083億 9千4百万 円であ った。 これは,同年度 のGDE
の0.9%,地方歳 出純計 の 7.1%に当 る。以後,増加 を続 けて16年後の1981年 度 には5兆4,392億5千2百万 円 となっている。これ は,1965年度 の民生費純 計の17.6倍であ る。また,GDE
比 は2.1%-,歳 出構成比 は11.1%へそれぞ れ上昇 してお り,民生費 の拡大が,単 に経済成長 に歩調 を合わせて増大 した とい うこと以上 に,「分 け前」 の拡大があ った とい うことを意味す る。観 察期間 を通 じて,
GDE
の成長 は7.6倍であ るのに 対 して地方歳 出統計 は1
1
.
3
倍 とGDE
を上 回 る伸 びをみせ てい るのであ るか ら,経済成長率を こえ て地方財政-金が流れたわ けであ り,民生費統計 は17.5倍 と地方歳 出以上 に伸 びてい るのであ るか ら,経済成長率を超 えて地方財政へ流れた金が, さらに加速度的 に民生費部門-流れて きた ことに なる。 パ イの分 け前 を増す には図2- 2に示 した 3つ の タイプがあ る.1つは,パ イの大 きさが変わ ら ない場 合で, この時 は切 り方 の角度 を変 えて増や 年 度 国内総支出(
GDE
)1) 地方財政歳出純計決算2) 地方民生費純計決算3) 金額(億円) 指1965年-1数00 金額(百万円) 指1965年-1数00 金宅頁(百万円) 指1965年-1数00 1965 336,425 100.0 4,365,140 100.0 308,394 100.0 1966 395,504 117.6 5,026,177 115.1 358,320 116.2 1967 462,881 137.6 5,725,497 131.2 423,775 137.4 1968 548,436 163.0 6,729,574 154.2 503,007 163.1 1969 650.214 193.3 8,033,912 184.0 592,919 192..3 1970 752,381 223.6 9,814,878 224.8 758,681 246.0 1971 828,188 246.2 ll,909,529 272.8 929,257 301.3 1972 963,712 286.5 14,618,283 334.9 1,274,384 413.2 1973 1,166,721 346.8 17,473,883 400.3 1,736,061 562.9 1974 1,383.398 411.2 22.887,888 524.3 2,389,788 774.9 1975 1.519,491 451.7 25,654,468 587.7 2,835,656 919.5 1976 1.704,309 506.6 28.907,036 662.2 3.269,612 1,060.2 1977 1.888,639 561.4 33,362,119 764.3 3,736,689 1,211.7 1978 2.065,838 614.1 38,346,995 878.5 4,256,644 1,380.3 1979 2,218,786 659.5 42,077,946 964.0 4,665,535 1,512.8 1980 2,408.337 715.9 45,780,784 1.048.8 5,028,427 1,630.5 1981 2,542,782 755.8 49.165,293 1,126.3 5,439,252 1,763.7 資料 1)経済企画庁 r国民経済計算年報]昭和58(1983)年版 よ り 2), 3) 自治省編 r地方財政 白書]各年版 よ り -42-図2-1 国内総支出(GDE),地方歳出及 び民生費の指数(1965年度-100)の推移 800 700 600 500 400 300 200 1 00 000 900 1 1 1 1 1 1 1 1 1 800 700 600 500 400 300 200 100 0 196666 67 68 69 70 7172 73 74 75 76 77 78 79 80 81年 度 表2-1よ り作成 図2-2 分 け前増加 の3タイプ 蕎 ′り 蕎 斜両 1. ゼ ロ - サ ム型 2.パイの論理型 3.ベ ースア ップ型 (パ イ一定, 配分率増 加) (パ イ増 加,配分 率一定) (パ イ増 加,配分率増 加 )
-4
3-す他 に道はない。 しか し, この方法では,ある人 の分け前が増 えた分だけ他の人の分け前が減 るか ら不満が出る。「ゼ ロ-サ ム状況」とい うのが この ことである。 2つめは,パイを切 る角度はそのま まに して,パ イ 自体を大 きくす る方法である。 こ れだ と分け前の割合 は変わ らないけれ ども実物量 は増 えるので不満 は緩和 され る。「パ イの論理」と い うのが この ことであ る。 この方法は,パイが成 長段階 にあ る問 は矛盾 が潜在 化 して い るけれ ど も,パ イの成長 が止 まった ときには 「ゼ p-サ ム 状況」となる。「パイの論理」は単純 な規則である か ら真剣 に優先順位が検討 されな くなる憤向を も つため,パイの成長が止 った段階での矛盾 は特 に 大 きく混乱が起 こ りやすい。 3つめは,パ イとそ の配分率 も同時 に増大す る道である。た とえてい えば,定期昇給 を確保 した うえで,さらにベース・ ア ップを図 るとい うちとである. このベース ・ア ップ率を どうす るか とい う点で優先順位が考慮 さ れて行 くことになる。 この よ うに分類 を してみ る と, いまみた よ うに民生費は1965年度か ら81年度 の間 にGDE比 が0.9%か ら2.1%へ, また歳 出構 成比 が7.1%か ら11.1%-それぞれ上昇 してい る か ら,GDEの分け前 としてみて も,歳 出の分け 前 としてみて も 「ベ ース ・ア ップ型」の拡大を遂 げた ことになる。 しか し, これは観察の全期間 に ついていえることであ って,期間を区切 って観察 すれば,必ず しも一つのパ ターンだけで分け前の 拡大を果た したのではない ことがわか る。 図2- 1の指数 の動 きをみ ると,1965年度か ら 69年度 までは,GDE,地方歳 出,民生費 ともに 歩並 をそろえて同一歩調 で増加 している。つ ま り, この時期は 「パ イの論理型」 の拡張を展開 した と い うことであ る。 この ことは, この時期 には民生 費のGDE比 も歳 出構成比 もほ とん ど変化 しなか った とい うことであ る。表2- 2はその比率を示 した ものであ るが,1965年度か ら69年度 までは, 地 方歳 出のGDE比 は12.5%前後 で安定 して お り,民生費のGDE比 も0.9%,歳 出構成比 も7.4 %前後で安定 していることがわか る。70年度以降 になると
3
着 の増加 のテンポが乱れて くる。 いち 早 くス ピー ドを上 げたのは民生費であ り70年度 に は他の系列か ら抜 き出た伸 びをみせた。1965年度 を100とした3系列の指数はGDE-223.6,地方 表2-2 民生費の対GDE比 と地方歳出構成比 年 度 地方歳出の対GDE比 対GDE民 生 費 の比 地方歳出に占 る 割 合 1965 13.0 0.9 7.1 1966 12.7 0.9 7.1 1967 12.4 0.9 7.4 1968 12.3 0.9 7.5 1969 12.4 0.9 7.4 1970 13.0 1.0 7.7 1971 14.4 1.1 .7.8 1972 15.2 1.3 8.7 1973 15.0 1.5 9.9 1974 16.5 1.7 10.4 1975 16.9 1.9 ll.1 1976 17.0 1.9 ll.3 1977 17.7 2.0 ll.2 1978 18.6 2.1 ll.1 1979 19.0 2.1 ll.1 1980 19.0 2.1 ll.0 1981 19.3 2.1 ll.1 歳 出-224.8であるのに対 して民生費-246.0とな っている。 この結果,1970年度の民生費のGDE 比 は1.0%-,地方歳出構成比は7.7%-それぞれ シフ トした。つ ま り民生費 は70年度にそれ までの 「パイの論理型」か ら 「ベ ース ・ア ップ型」 の拡 張へ転 じた とい うことであ る。 これに対 して,也 方歳出の方は一年遅れの1
9
71年度 にGDEの指数 (246.2)を上回 る指数 (272.8)とな りGDEに 対 して 「ベース ・ア ップ塑」 の拡張- と移行 しG DEに対 して加速度的な増 加 をみせは じめたが, 民生費 はさらにその地方歳 出に対 して も加速度的 な増加 をみせは じめたか ら,2段構 えの「ペース・ ア ップ型」 の増大傾向 とな り, く・ん ぐん他の系列 の指数を引 きはな して行 った。1976年度 の指数は GDE-506.6,地方歳 出-662.2に対 して民生費 は1,060.2であ るか ら民生 費 の増加がいかに- イ ス ビー ドであったかがわか るだろ う。76年度 の民 生費のGDE比 は1.9%,地方歳出構成比 は11.3% へそれぞれ70年度か ら数 えてわずか6年 の間に飛 躍的な拡大を とげている。 ところが,76年度を越 えて77年度になる と民生 費 の拡張パ ター ンに明 らか な変化 が発 生 して い る。つ ま り,77年度以降民生費が地方歳 出の伸 び 以上に伸 びるとい う拡張パ ターンが停止 して,地 -44-方歳 出の伸 び と歩調を合わせた 「パイの論理型」 の拡張パ ターンに転 じ, このパ ターンが
81
年度 ま で継続 してい るのである。 このため,表2- 2に 明 らかな とお り地方歳 出に占め る民生費の割合は7
7
年度以降11.
1
%
の水準を維持 している。 さて,以上,1
9
6
5
年度か ら81
年度 までの民生費 の拡張をあ とず けたが,拡張パ ターンの組み合せ によって3つ の時期に分け られ るよ うである。図2- 3
は この ことをまとめた ものであ る。図2-3
は金の流 れ について一つの仮定を置 いている。 図2- 3
にはGDEが一番上に位置 している。つ ま り,下か ら積み上げてい くのでほな くて,金 は 上か ら下へ流れて行 くと仮定す るのである。す る と,GDEか ら民生費へ金が流れて行 く過程で2 つの配分段階 を経 由す ることになる。すなわち, 第1配分段階 GDEの地方歳 出-の配分 第2
配分段階 地方歳 出の民生費-の配分 の2
段階で あ る。表2- 3
は, この2
つの配分段 階での配分 の状況をまとめた もの とみ ることもで きる。 さて,図2- 2は,GDEの下の各部門の 変化は基本的 には経済成長に依存 していることを 示す。つ ま り,一番下 にある民生費が どうな って 行 くかは究極的にはGDEの成長 に依存 している とい うことである。 しか しなが ら,経済成長 か ら 受 ける影響は各段階の配分のタイプが ど うなって いるかによって異なることに注意 しなければな ら ない。 2つの段階の配分構造がすべて 「パイの論 理型」であるときだけ,一番下にある民生費はG DEの成長率 と同 じ速 さで変化す る。経済成長が とまれば民生費 も増加す ることがで きない。完全 な経済成長依存 とはこの ことを意味す る。 これに 対 して2つの段階の どれかが 「ペース・ア ップ型」 か又は 「ゼ ロ-サム型」であるな らばその段階で 配分を受ける部門は経済成長率を超 えて増加す る ことがで きる。低経済成長 となったか ら民生費 も 伸 びることがで きない と考 えるのは早計であるこ とがわかるだろ う。 こ うした,配分タイプの組み合せを考 えると図2- 3
に示す よ うに1
9
6
5
年度か ら81
年度 までの民 生費の拡大は3
つの時期 に分けられ る。第 1期は1
9
6
5
年度か ら6
9
年度 までであ り,第1
,第2の配 分段階 とも 「パ イの論理型」で拡張を達成す る完 全 な経済成長依存型であ った。第2期 は1
9
7
0
年度 か ら7
6
年度 までであ り,第1
,第2
の配分段階 と も 「ペース ・ア ップ型」 の拡張を続 け,経済成長 に対 して2
重の意味で加速度的な増加を民生費は 達成 したのである。第3
期は1
9
7
7
年度か ら81
年度 までの時期であ り,第1配分段階は 「ベース ・ア 図2
-3
配分パターンの組み合わせによる時期区分 第 1 期 第 2 期 第 3 期 1965-1969年度 1970-1976年度 1977-1981年度 -45-表 2- 3 3系列の対前年度伸び率と弾性値 (%) 年 度 ①G D E対 前 年②地方歳出度 伸 び③民 生率 要望 ④-② ÷(地方歳出G D E》 弾 性 値⑤-(民 生卦÷①
北
民生宮歳出弾性値⑥-③÷②‡の地方 1966 17.6 15.I 16.2 0.86 0.92 1.07 1967 17.0 13.9 18.3 0.82 1.07 1.31 1968 18.5 17.5 18.7 0.95 1.01 1.07 l669 18.6 19.4 17.9 1.04 0.96 0.92 1970 15.7 22.2 28.0 1.41 1.78 1.26 1971 10.1 21.3 22.5 2.12 2.23 1.05 1972 16.4 22ー7 37.1 1.39 2.27 1.63 1973 21.1 19.5 36.2 0.93 1.72 1.85 1974 18.6 31.0 37.7 1.67 2.03 1.22 1975 9.8 12.1ー 18.7 1.23 1.90 1.54 1976 12.2 12.7 15.3 1.04 1.26 1.21 1977 10.8 15.4 14.3 1.42 1.32 0.93 1978 9.4 14.9 13.9 1.59 1.48 0.93 1979 7.4 9.7 9.6 1.31 1.30 0.99 1980 8.5 8.8 7_8 1,03 0.91 0.88 1981 5.6 7.4 8.2 1.32 1.46 1.ll ップ型」であるのに対 し第2
配分段階は 「パイの 論理型」 となっている。つ ま り,民生費は地方歳 出の伸 び と同 じ速 さで増加 している。 けれ ども地 方歳出がGDEの増加率を超 えて増加 しているの で結果的に民生費 もGDEの増加率を越 えて増加 す ることになっている。 この時期区分の決定は, 地方歳 出のGDE弾性値,民生費の地方歳出弾性 値を検討 して行 った。その数値は蓑 2- 3の右半 分に示す とお りである。弾性値 とは2つの系列の 対前年度伸 び率の比を とった ものであ り,一方の 系列が1%増加 した とき他方の系列は何%伸 びる か とい うことを意味す る。弾性値が1近傍の値を 示す場合は 「パ イの論理型」の配分が行われてい ることを示 し,1
以上の値を示す場合は「ベ ース・ ア ップ型」 の配分が行われているとい うことであ る。 さて,第1
期 は 「パイの論理型」の拡張であっ たが, この時期 は表2- 3に示す よ うにGDEは 毎年18%程度の伸 びをみせ る高度経済成長の最中 であったか ら,民生費 も同 じよ うに18%程度で伸 びることがで きた。 これに対 して第3期 も同 じよ うに 「パイの論理型」であるといって も,GDE の成長 自体 が,78年度9.4%,79年度7.4%,80年 度8.5%,81年度5.6%と次第に低下を続 けている のであるか ら,む しろ 「ゼ ロ-サ ム型」に近づ き つつあ るといえる。現在の ところは地方財政の膨 張傾向のために,低経済成長の影響を ワン ・ク ッ シ ョンおいて緩和 された形で受けているが,低経 済成長 の継続の中で地方財政が 「ベース ・ア ップ 型」の膨張慣向は とり続けることにも自ず と限界 が くると考 えられ る。その段階で民生費の配分は 「ゼ ロ-サム状況」に置かれ 極めて困難 な状況 を迎 えることになるだろ う。 第2節 「福祉見直 し論」 と民生費 前節で,民生費規模の拡大を3
つの時期 に分け てあ とずけたが,第1期か ら第2期への転換期, つ ま り60年代か ら70年代へのかわ りめには地域社 会における在宅福祉サ ービスへの ニー ドが広 く認 識 され,地方公共団体が国に先がけて この問題 に 対応 して行 った とい う経過があった。一方,第2
期か ら第3期への転換期,つ ま り1970年代中期 に は こ うしたサービスの拡張を抑制す る動 きがみ ら れた。1973年は一方で 「福祉元年」 といわれ社会 保障施策の著 るしい拡充が行われたが,同年秋の 石油危機によって翌74年は戦後最大の不況の年 と な り翌75年度の都道府県実質収支 は978臆 円の赤 -46-字 とな った。47都道府県 の うち27の都道府県が赤 字 とな り,また,赤字団体 の総数 は242,赤字団体 の赤字総額 は2,033億5千 3百万 円であ った。そ の 級 ,都道府 県 の実質収支 の赤字 は
7
8
年 度 まで続 い て い る。 こ うした 「地方財政危機」 のなかで登場 した のが 「福 祉見直 し論」 であ る。 その突放 は, 1975年7月 に行わ れた 日本生産性本部 主催 の軽井 沢 トップマ ネ ージ メソ ト ・セ ミナ ーにおけ る神奈 川 県知事長 洲 一二 の講演 「変革期 の 自治体 と企 業 一 福 祉政 策 の あ り方 を考 え る-」1)に よ って与 え られた。 この講演 は低経済成長下 におけ る福祉政 策 の優 先 順 位 の あ り方 を議 論 した もので あ った が, これを き っかけに して,各方 面 か らさまざま な 「福祉見直 し論」が展 開 された。2)なかで も, 財 政 的 観点 か らは地 方 公 共 団体 に よ る単 独 事 業 が 「バ ラマキ福 祉」として批判 され るよ うにな った。 そ の代表 的 な もの は,第17次 地 方 制 度 調 査 会 が 1975年7月 に行 った 「地 方財政 の硬直化 を是正す るために とるべ き方策 を中心 とした地方行財政 の あ り方 に関す る答 申」 におけ る単 独事業批判で あ る。 この答 申の関連部分 を抜す いすれば次 の とお りであ る。 最近,地方公共団体独自の社会福祉施策 として行わ れているもの としては,老人医療費の公費負担の適用 範囲の拡大,乳幼児医療 ・心身障害者医療等に対す る 医療費の公費負担の創設,国の制度に基づ く各種手当 に対する上乗せ,寝た きり老人介護手当の支給,予備 保母設置費補助,生活保護世帯の夏季 ・年末一時金の 支給等が挙げ られ,これ らに要する経費は,昭和49年 度で2,200億 円にのぼるもの と見込 まれている。 このよ うな施策を地方公共団体が実施す ることに ついては,地域社会の福祉水準の向上に資す るもの と してこれを評価す る意見 もあるが,全国的に同一の水 準を維持すべ き社会福祉施策については,国の制度 と して運営 され,逐年その拡充が図 られているところで あるので,それ以上の水準で実施す る地方独 自の施策 については,当該地方公共団体 自らの負担においてこ れを実施すべ きものであ り,その財源を国に期待す る ようなことは厳に供 しむべ きである。この場合に留意 すべ きことは,社会福祉施策は多大の財源を要す る分 野であるばか りでな く,一度選択 して実行に移 した施 策は長期にわた って継続 し,その水準を引き下げるこ とが困難な性格を持つ ものであ り,これが財政硬直化 の一因 となることである。従って,地方独 自の施策を 実施す る場合には,長期的な視野から安定的かつ継続 的に責任を持ち得 る財政的見通 しの下 に,必要 に応 じ,他の経費の圧縮若 しくは振替えを行い,又は超過 課税を行 う等によ り自らの責任で新たに所要財源の 調達を図る等慎重に行 う必要がある。 なお,都道府県の独自の施策で市町村の負担を伴 う ものにあっては,その実施に当たって,これ らの市町 村の財政に及ぼす影響 について も十分配慮す る必要 がある。 前節 でみた よ うに,地方歳 出の民生 費- の配分 は,1977年度 にそれ まで 「ベ ース ・ア ップ型」 で あ った ものが,突如 「パ イの論理型」 に変 ってい るけれ ども, この変化 は, こ うした 「福祉見直 し 論」 の広範 な展開 と,それ に よる福祉 抑制 の結果 と考 え られ る。 そ こで, ここでは,70年代 におけ る地方歳 出の膨張 が果た して民生費 の拡張 に よっ て もた らされた ものであ るのか ど うか をみてお く こ とに した い。 この こ とを検討す る一 つの手だて は,地方歳 出 の合計 の基準年度 か ら比較年度 まで の増加 に対 し て各経費 の増 加が どの程度の寄与を したかを計算す る方法である。そ こで,第1期 の最終年 度 であ る19 69年度を基準年度 とし, 第2期 の最終年 度を比較 年 度 としていまのべた増 加の状況を計 算 したのが表 2-4の③ 欄 であ る。 この7年 間で地方歳 出合計 は20兆8,731億 円増 加 している。表2- 4の(卦欄 に 記 入 してあ る比率 は,歳 出合計の増 加額 を100とし て 目的別 に分較 された各経 費の増 加額 が何% を 占 め るかを表わす ものである。この比率 の こ とを限界 寄 与率 と呼ぶ。 そ こで, 問題は この限界寄与 率の 大 き さを どの よ うに評 価 す るか とい うこ とに な る。 この値 がマ イナスであればマイナ スの寄与 を し, プ ラスであれ は プ ラスの寄与 を した とい うこ とは明 らかで あ るか ら,表2- 3の③ 欄 をみれば, す べての経費が歳 出合計 の増加 に対 して プ ラスの 寄与 を した ことがわ か る。 したが って, プ ラスか マ イナスか とい うことで は な くて, プ ラスの寄与 の程度 について何 らかの判 断基準 を導 入 しなけれ ば これを評価す る ことがで きない。 そ こで, ここ で は,歳 出合計 の増加 に対 して各経費 の増加 が等 - 47-表2-4 地方 目的別歳 出の1969年度 決算 と1976年度 決算 の比 較 と分析 (単位 :危Fq,%) 区 分 (D1969年度 の 目的 (塾1976年度 の 目的 ③ =② -① =⑥ +⑤ ① ● ⑤ 別歳 出祝 .構 成比 別 歳 出街 .構 成 比 増加 額 .構 成比 増 加額A∫ 増 加 額Bt.構 成比
総
務 費 8,億円529 10.%6 27.危円399 9.%5 18,鮭円871 9.%0 13,鯨円826 5.億円045 6.%4 衛 生 費 4.539 5.6 19.315 6.7 14.776 7.1 7.359 7,418 9.5 労 働 費 1,435 1.8 3,073 1.1 1,638 0.8 2,326 -688 -0.9 農 林 水 産 業 費 7,203 9.0 21,660 7.5 14.457 6.9 ll,677 2,780 3.5 商 工 費 3,376 4.2 10.852 3.8 7,475 3.6 5,473 2,002 2.6 土 木 費 19,720 24.5 55,228 19.1 35,508 17.0 31.970 3,538 4.5 消 防 質 1.192 1.5 5,001 1.7 3,809 1.8 1,933 1,877 2.4 警 察 費 3,271 4.1 ll,688 4.0 8,417 4.0 5,302 3,115 4.0 教 育 費 19,867 24ー7 -76,418 26.4 56,550 27.1 32,208 24,342 31.0 その他 (含公債 費) 5,277 6.6 25,739 8.9 20,462 9.8 8,556 ll,906 15.2 合 計 (T) 80,339 100.0 289,070 100.0 208.731 100.0 130,242 78,489 100.0 注 * ①の増加額A.は,歳出合計が,GDEの成長 と同 じ速 さで成長 した と仮定 して,1969年度の 目的別歳出構成比が保存 された 場合の増加額である。なお,1969年度のGDEは,65兆214位円.1976年度のGDEは170兆4.309億であるから,1969年度を100 とした1976年度 のGDEの指数は262.12であ る。したが って,地方歳出がGDEと同 じ伸 びをした場合の1976年度の金額は21兆 580庶円であるが,現実には28兆9,070億円であるか ら, 7 資料) 自治省編 r地方財政 白書J各年版 より作成 しく寄与を した状態 とい うものを考 えて,その状 態を基準に寄与率を評価す ることに しよ う。等 し く寄与 を した状態 とは,すべての経費の限界寄与 率が等 しくなる状態 と定義す ることもで きるだろ うが,絶対的に こうい う状態でなければな らない とい うものがあ るわけではな く,分析者の判断に 属す る問題であ る。そ こで, ここでは,第1
期 の 配分パ ターンであ る「パイの論理」がそのまま1976 年度 まで継続す る状態を等 しく寄与を した状態 と 仮 りに考 えることに しよ う。つま り,基準年の各 経費の配分状態を前提 として,配分率は不変のま まにパ イの総体だけが大 きくなった状態が等 しく 寄与を した状態 とす るのである。 とす ると,限界 寄与率が基準年 の経費の構成比 よ りも大 きいとき はプラスの寄与 の中で も特 に大 きい寄与を した も の と判定で きる。表2- 4の(丑欄の1969年度の構 成比 と③欄の増加額の構成比 (限界寄与率)を比 較すれば限界寄与率 の方 が大 き くな ってい るの は,まず民生費,それに衛生費,消防費,教育費, その他 (含公債費)の5
つである。 これ らの経費 は歳 出合計の増加 に対 して普通以上の プラスの寄 与を した ことになる。 これに対 して,限界寄与率 の方が小 さくな っているのは総務費,労働費,良 林水産業費,商工費,土木費の5
つであ り, これ らの経費は歳出合計の増加にプラスの寄与を した けれ どもその程度 は普通以下であることになる。 兆8.489億円が膨張 した分 とい うことになる。 警察費はほ とん ど比率の変化がみ られず,普通 に プラスの寄与を した ことになる。 以上,限界寄与率をよ りどころに して各経費の 増加 と歳出合計の増加 とを対応ずけたが,それに よれば確かに民生費は歳 出の増加要因 として とり わけ大 きく作用 した ことが明 らかになった。 とこ ろが,今の分析はよ く考 えてみ ると,GDEの成 長率を超 えた地方歳出の加速度的 な膨張 を前提に した うえでの分析になっている。しか し,
「福祉見 直 し論」 な どの主張の基底 には,地方歳 出が適正 規模を超 えて膨張 しこれに地方歳入が追 いつかな くな ってい る とい う認識 があ る もの と考 え られ る。 とす ると, いま行 った分析は地方歳 出の増加 とい うことだけを とらえた ものであ って,膨張 と い うことを とらえた ものではない。そ こで次に分 析の角度を少 しかえてみ ることに しよ う。 さて,歳 出膨張 といって も全然増加 していけな い とい うことではな く,膨張に至 らない程度の増 加は許 され るであろ う。 こ うした増加の水準が ど のよ うなものであるかはいわば価値判断の問題で あって一義的な解が得 られ るものではないだろ う けれ ども,それでは議論が進 まないので, ここで は,歳出規模がGDEの伸 び と同 じ伸 びで増加す る場合を適切 な増加の水準 と考 えて,それを超 え て増加 した ら膨張 と考 えることにしよ う。 このこ とを説明 したのが図2- 4である。図2- 4には -48-図
2
-4
歳出膨張に対する各経費の寄与の説明図※ シャ ドーをかけた部分は経空きEiの増加分であるO
〈説明)
比較時の経費Eitは Eit-Eio+Ai+Bi であるが, Bi>0の時経費Eiは歳出膨張要因であ り, Bi-0の時経費Eiは歳出膨張に対 してニュ ー トラル, Bi<0の時経費Eiは歳出膨張要因ではない とみなす。 3つの円がかいてあるが,一番内側の円が基準時 の歳 出合計 (T。),中の円が
GDE
と同 じ伸 びを し た場合の歳 出合計(
T
g),外側の円が比較時の実際 の歳出合計(
T
t)をそれぞれ示 している。E
l。とい うのはあ る経費Elの基準時 におけ る大 きさで あ る。この経費 は比較時には増加 してE
ltとな るが, 図2- 4
で は この増 加分 をAlとB
lの2
つ に分 けてある。増加額 Alは,GDE
の伸 びの範囲内で の増加分で あ る。歳出合計がTg
-T
。の範囲で増 加す る時 は定義 に よ り膨 張 で はな いのであ るか ら,すべての経費E
.の増加分がTg
-T
。の範 囲内 で増加 して いるのであれほ どの経費 も歳出の膨張 要因ではない ことになる。 したがって, この図で は便宜上・A,の大 きさをA・-% (T
g-T
o)と記入 してあるけれ どもAが この大 きさを超 えて増加 し た として もAl≧(Tg-T。)であるな らばそれは優 先順位を反 映 した構成比 の上昇であ って当該経費 が歳出膨張要因であるとはいえないのである。た だ し,実際 には経費の増加額E,
r E
l。が増加額Al に属す るかB
lに属す るかを判定す ることは不可 能であるので・ここではA1
-
% (Tg-To)として・ 基準時の経 費E
lの構成比 の分だけを割 り当てて い るのであ る。 したが って,便宜的な措置 とな ら ざるを得 な いけれ ども,経費Elの増加額がAlを 超 えて増加 しているとすれば,その経費は歳 出膨 張要因であった ことを判定す ることがで きる。 こ のA.とB
lを計 算 した のが表2- 4
の④ 欄 と⑤ 欄 の数字である。④欄 のAlはいま述べた よ うに 各経費がGDE
の伸 び と同 じ速 さで増加 した とし た場合 の増加額 であ る。1
9
6
9
年度 を基準 として1
9
7
6
年度のGDE
の大 きさをみ ると2.
6
21
2
倍 にな ってい るか ら,A1
-2.
6
21
2×E
10-E
l。として計算 されている。G)欄のBlは,経費Elの比較年度 の 値E
lt
と基準年 度 の値E
.。との差 か らAlを控 除 した ものである(
B
l
-El
t
-E
i
。
-A
l).したが って, このB
lが プラスの値 となれば当該経 費 は膨張要 因 と判定 され る。そ こで表2- 4
の⑤欄をみ ると Blがマイナスの値 にな っているの は労働費だ け であ り,他の経費はすべてプラスの値 を示 し膨張 要因であった といえる。膨張額が最 も大 きいのは 教 育 費 で2
兆4,
3
4
2
億 円,次 い で 民 生 費 の1
兆7,
1
5
5
億 円 となってお り,この2
つで歳 出膨張額合 計7
兆8,
4
8
9
億 円の5
2.
9%
を占める。 こうして計算 してみ ると,1
9
7
5
年 以降における 地方財政危機 の中で民生費が歳出膨張要因 として 批判 されたの も故な きことではなか った とも考 え られな くはないのである。 しか しなが ら, 当時の 社会福祉の状態 は高度成長 のひずみ に よる新たな ニーズの発生に こた えた り,積み残 されて きた ニ ーズ-対応 した りす る正 当な課題をかかえていた- 4
9
-ので あ って, こ うした民 生費 の増 加 が どの よ うな 内容 の変化 を伴 い なが ら実 現 した のか を検 討 しな い か ぎ り, わ れわ れ の理 解 は なお不 十 分 といわ ざ るを得 ない。 第2章 注 1)長洲一二 「変革期の 自治体 と企業一福祉政策の あ り方を考 える-」(「週刊東洋経済」1975年8 月2日号所収) 2)「福祉見直 し論」の さまざまな論調は,全国社 会福祉協議 会編 Tこれ か らの社 会福祉 施策