• 検索結果がありません。

妊娠前の母親の欠食習慣と胎児期および小児期の発育 : 甲州プロジェクト 利用統計を見る

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "妊娠前の母親の欠食習慣と胎児期および小児期の発育 : 甲州プロジェクト 利用統計を見る"

Copied!
3
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

氏 名 藤井 まさ子 博士の専攻分野の名称 博 士 ( 医科学 ) 学 位 記 番 号 医工博甲 第326号 学 位 授 与 年 月 日 平成27年3月18日 学 位 授 与 の 要 件 学位規則第4条第1項該当 専 攻 名 人間環境医工学専攻(生体環境学コース) 学 位 論 文 題 名 妊娠前の母親の朝食欠食習慣と胎児期および小児期の発育:甲州 プロジェクト

(The effect of maternal skipping breakfast before pregnancy on fetal and childhood growth: Project Koshu)

論 文 審 査 委 員 委員長 教 授 平田 修司 委 員 准教授 奥田 靖彦 委 員 准教授 西郷 達彦

学位論文内容の要旨

(目的)

妊娠前の母親の朝食欠食がlight for date、低出生体重児、早産に影響するのかを検討すること、朝食 欠食する母親の児の出生時から9 歳までの BMI を縦断的に解析し、肥満を予測する指標である adiposity rebound に着目して母親の朝食欠食の影響を検討すること、加えて 5 歳児の肥満に対する妊娠前の母親の 朝食欠食についての影響を検討することを目的とした。 (方法) 1991 年 4 月から 2011 年 3 月までの 20 年間に甲州市(旧塩山市)において出生し、母親の妊娠届け出 時から追跡が可能であった児とその母3417 組(追跡率 96.1%)を解析対象とした。また児については 2003 年3 月までに出生した児を対象とし、9 歳までを縦断的な解析対象とした。light for date、低出生体重児、 早産への妊婦の欠食の影響は、前半の10 年間と後半 10 年間に分けてロジスティック回帰分析により検討し た。また、出生時、3 歳(3.5 歳)、5 歳(5.5 歳)、7 歳(7.5 歳:小学校 2 年生)、9 歳(9.5 歳:小学校 4 年生) 時点のBMI の軌跡について、喫煙の有無により層化して、欠食の影響を一般線型混合モデルにより検討し た。これに加え、5 歳児の過体重・非過体重別の間食の与え方および 5 歳児の食品群別の摂取頻度を χ2 検定により確認し、5 歳時点の過体重と母の欠食・喫煙状況、児の食習慣についてロジスティック回帰分析を 用いて検討した。 (結果)

妊娠前の母親の朝食欠食の影響は、light for date では、母の喫煙や妊娠前の母のBMI等で調整後も 関連はみられなかったが、低出生体重児では、調整後 OR1.3(95%信頼区間:0.9-1.8)、早産では OR1.4 (95%信頼区間:0.96-2.1)でリスクとなる傾向がみられた。また、20年間を10 年ごと解析した結果では、いず

(2)

れも同傾向であり時代的な影響は認められなかった。 児の BMI による成長の軌跡(trajectory)を、喫煙の有無により層化して欠食の影響を検討した結果、喫 煙も欠食もしていない母の児のBMI の軌跡は、3 歳から 5 歳にかけて下降し、その後緩やかに 7 歳に向け て上昇していた。しかし、朝食を欠食している母の児のBMI は、3 歳から 5 歳にかけてほとんど変わらず、7 歳に向けて上昇していた。一方、喫煙のみで朝食を摂取していた母の児では、3 歳時点の BMI は高い位置 で減少が止まったのに対し、喫煙と欠食が重なる母の児では、3 歳以降直線的に BMI が上昇していた。 5 歳時点の過体重についてロジスティック回帰分析を行った結果、児の食習慣で調整後も妊娠前の母親 の朝食欠食・喫煙が OR3.8(95%CI:1.7-8.8)、欠食・非喫煙が OR1.6(95%CI:1.0-2.5)、摂取・喫煙が OR1.0(95%CI:0.4-2.8)となった。 (考察) 母親の妊娠前の朝食欠食は、低出生体重児、早産のリスクとなる傾向はみられたが、低出生体重児に対 する喫煙のように、明らかに影響を及ぼしてはいなかった。これは、欠食している妊婦の BMI が、朝食を摂 取している妊婦と有意差はなく、エネルギー摂取における差はないことが影響していると考える。 子どもの成長に伴う BMI の軌跡は、平均的な体格の子どもでは出生直後から乳児期後半まで急速に増 加し、その後減少して5~6 歳で最低値となった後、大人になるまで増加し続ける。adiposity rebound は、 BMI が減少から増加に転じることをいい、早期に起こるほど肥満や2型糖尿病を起こしやすいことが報告さ れている。児のBMI の軌跡より adiposity rebound についてみると、喫煙も欠食もしていない母の児では 5 歳から7 歳の間で起こっていたが、朝食を欠食している場合は 5 歳以前に adiposity rebound が起こって いる可能性が示唆された。一方喫煙のみで朝食を摂取していたは母の児では7 歳まで adiposity rebound は見られなかったが、喫煙と欠食が重なる母の児では、adiposity rebound が 3 歳前後の極早期に起きてい ることがうかがえた。 また、5 歳時の過体重については、5 歳時点の児の食生活で調整後も、母の欠食と喫煙が重なる児だけで なく、欠食だけでも有意なリスクとなっていた。妊婦の朝食欠食は非妊婦に比較して、血漿中のグルコース、 アラニン、インスリンが低く、遊離脂肪酸、β-hydroxybutyrate が高くなるという報告があるが、朝食を欠食し ている母親の各食品群の摂取頻度が有意に低かったことから、たんぱく質、ミネラル・ビタミン類の栄養不足 が生じている可能性が示唆されたことに加え、朝食欠食により空腹時間が長時間継続するために、その間児 が十分な栄養素を補給できない可能性があることが考えられた。 (結論) 20 歳代、30 歳代における日本人女性の欠食者は 15~30%程度存在しており、妊娠期においても欠食し ている母親は存在する。しかし、欠食は本研究でも示す通り、次世代に肥満・生活習慣病のリスクを付加する 可能性もあることから、若年期・青年期を対象に栄養教育を実施していきたい。

(3)

論文審査結果の要旨

近年、胎児期ならびに乳幼児期の低栄養状態が、成人になってからの生活習慣病の発症に関連する という DOHaD 仮説が提唱されている。これまでにも妊娠中の母親の喫煙や欠食が、出生後の児の肥 満に関連することが明らかにされてきた。しかしながら、妊娠中の母親の欠食と出生後の児の成長の 軌跡 (trajectory) を経時的に解析した先行研究はほとんどない。幼児期にはいったん減少した BMI が増加に転ずる (adipose rebound、AR) が、この AR が生じる年齢が低いほど成人期に肥満になる 可能性が高く、また、成人期の 2 型糖尿病発症の危険因子となるので、その早期発現についての研 究は成人の肥満の発症予防の観点から重要である。この点、出生後の食事等と AR の関連についての 先行研究はみられるが、妊娠中の母親の朝食欠食との関連を解析した研究は報告されていない。本論 文は、26 年間にわたる甲州市 (旧塩山市) における出生コホートについての研究により、妊娠中の 母親の欠食ならびに喫煙と出生後の児の 9 歳までの成長の trajectory との関連を明らかにしよう としたものである。

本研究によって、まず、母親の朝食欠食と light for gestational age infant (出生体重が当該 在胎週数の平均値の 10 パーセンタイル未満、LFD)、低出生体重児 (2500 g 未満) ならびに早産と の間に有意な関連がないことが示された。つづいて、妊娠中の喫煙の有無で対象者を区分し、母親の 欠食の有無と成長の trajectory との関連を検討した結果、喫煙 (-) 欠食 (-) 群では AR が 5 か ら 7 歳の間に生じていた。これに対して、喫煙 (-) 欠食 (+) 群では、AR が 3 から 5 歳の間に生 じていた。さらに、喫煙 (+) 欠食 (-) 群では BMI の減少幅が少なく、喫煙 (-) 欠食 (+) 群では、 AR が 3 歳以前に生じているものと考えられた。さらに、5 歳時点での過体重に、母親の朝食欠食が 有意に関連していることが明らかにされた。 以上の成績から、妊娠中の母親の朝食欠食は、喫煙とならんで、しかも喫煙とは独立して、出生後 の児の成長の trajectory に影響をおよぼすことがはじめて明らかにされた。この影響が生じるメカ ニズムについては不明な点が少なくないが、欠食により十分な栄養素が摂取されない結果、胎児が低 栄養状態に晒されたことがこのメカニズムに強く関与しているものと考えられた。 20 〜 30 代の本邦女性の欠食率は 15 〜 30 % とも報告されており、妊娠中にも欠食している女 性が少なからず存在しているものと考えられている。そうした社会的背景を勘案したとき、本研究が 妊娠中の母親の朝食欠食と出生後の児の発育との関連を科学的に明らかにした意義は大きいもので あると考えられた。とくに、次世代の肥満や糖尿病の発症リスクを軽減するという観点から、食事摂 取についての妊婦に対する教育ならびに妊娠前の女性に対する教育が極めて重要であることを明ら かにしたこと、さらに、それらの教育における指導内容の基礎となる知見を明らかにした点で、本論 文は本学大学院人間環境医工学専攻生体環境学コースの 博 士 論文として相応しいものであると認 められた。

参照

関連したドキュメント

この数日前に、K児の母から「最近、家でも参観曰の様子を見ていても、あまり話をし

 音楽は古くから親しまれ,私たちの生活に密着したも

(5) 子世帯 小学生以下の子ども(胎児を含む。)とその親を含む世帯員で構成され る世帯のことをいう。. (6) 親世帯

 尿路結石症のうち小児期に発生するものは比較的少

世界的流行である以上、何をもって感染終息と判断するのか、現時点では予測がつかないと思われます。時限的、特例的措置とされても、かなりの長期間にわたり

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しない こと。動物実験(ウサギ)で催奇形性及び胚・胎児死亡 が報告されている 1) 。また、動物実験(ウサギ

ユース :児童養護施設や里親家庭 で育った若者たちの国を超えた交 流と協働のためのプログラム ケアギバー: 里親や施設スタッフ

 しかしながら、東北地方太平洋沖地震により、当社設備が大きな 影響を受けたことで、これまでの事業運営の抜本的な見直しが不