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日本語プログラムが創る多言語多文化共生学習の可能性 : - 留学生日本語授業「クラスゲスト」の応募動機に注目して -(II.基盤教育院における実践)

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日本語プログラムが創る多言語多文化共生学習の可能性

― 留学生日本語授業「クラスゲスト」の応募動機に注目して ―

杉原 由美

キーワード: 内なる国際化、多文化共生、日本語ボランティア、留学生、日本語授業、 共生化の過程

概要

本稿は、本学基盤教育院における留学生対象の日本語プログラムが行っている「クラス ゲスト(日本語クラスに参加する桜美林大学生ボランティア)」という制度を題材として、 学内における多言語多文化共生学習の可能性について論じるものである。日本社会に暮ら す外国人が増加し、留学生 30 万人受け入れ計画が示されている社会状況の中、外国から 来た人々とどのように共生していくかという課題の重要度は増している。本稿は、日本語 を用いて外国から来た人々と生産的な関係性を築いていく共生化の過程について、「クラ スゲスト」の応募動機に注目して論じる。 具体的には、2010 年秋学期における 111 名のクラスゲスト応募者の応募動機をデータ として分析と考察を行った。応募者の動機の記述を分類した結果、大まかにとらえて「留 学生と関わる」ことに意義を求めて応募した者がもっとも多く 6 割近くに上った。次いで、 「日本/日本語教育と学習」にかかわることに意義を求めて応募した者が 3 割弱であった。 そして、これらの動機について、分類した項目ごとに応募者の記述を参照しながら分析を 行い、多言語多文化共生という概念を中心として考察を行った。その結果、共生化の契機 と深化、葛藤の過程と克服、異なりの混ざり合いという共生化の過程の各段階が生じる可 能性がみられ、多言語多文化共生にむかう学習が生じる可能性が推察された。

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1.はじめに

日本社会に暮らす外国人が増加し定着している社会状況の中、外国から来た人々とどの ように共生していくかという課題の重要度は増している。日本語教育の領域でも、地域日 本語教育において「多文化共生」や「多言語多文化共生」についての議論が盛んに行われ ている状況にある。ところが、池田(2008)によると、2020 年までに留学生を 30 万人受 け入れる計画(1)も示されているにもかかわらず、大学コミュニティでの「多文化共生」 や「多言語多文化共生」については明確な認識も議論の展開もないという。池田はこの点 を問題視し、今後の多文化社会を担っていく構成員である大学生に対して、共生に向けた 意識改革の必要性を主張している(2)。確かに、外国から来た人々とどのように共生して いくかという課題について、これから社会にでていく大学生が考える機会を持つことは、 重要なことだと考えられる。 一方で、大学における留学生を対象とする日本語授業では、一般学生(3)にボランティ アとして参加してもらって、教室の中にオーセンティックな日本語でのコミュニケーショ ンの機会を設けることが広く行われており、桜美林大学でも行われている。桑戸(2004)は、 このような授業に参加した日本人大学生が「留学生と接することによって異文化に対する 理解を深めるともに日本についても改めて考える機会を得た」と報告している。では、留 学生の日本語授業に一般学生がボランティアとして参加し、そこで継続的に対面での交流 を行うことは、外国から来た人々とどのように共生していくかという課題について考える 機会となりうるだろうか。 「共生」とは、一般的に「違いを認めて共に生きる」という意味で用いられており(戴 2003)、本稿では、外国から来た人々とどのように「共生」していくかという課題について、 「多言語多文化共生」という表現を用いて考えていきたい。「多言語多文化共生」とは「構 成員ひとりひとりが言語的文化的に多様であることを前提に、相互の異なりを超えて新た な規範を創りだし共に生きること」とする。 「違いを認め合い」「異なりを超える」ためには、必ず「葛藤」がつきものである。そ の「葛藤」は、時に「マジョリティからマイノリティへの権力的な作用」も起こるほど、 強い緊張状態ともなりえ、「共生」は決して楽しいばかりのものではない(杉原 2010)。 しかし、その「葛藤」による居心地の悪さを受け止めること、そして権力的な作用が起こ るような関係性を変えていこうとする姿勢が、「共生」を推進する重要な要素となる。 こうした「葛藤」や「権力的な作用」に関わる事象として、大学における日本人学生と 留学生の接触について調査した工藤(2010)の研究では、国際化・国際交流・多文化/異 文化理解といった名の下に日本人(中心)と非日本人(周縁)の集団的差異や不平等が(再) 生産されているという指摘がされている。工藤(同上)は、国際化された授業や課外活動

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を通して、大学は皮相的・道具的で不自然な接触の機会を支援し続けることになっている と問題視している。この指摘を踏まえると、留学生の日本語授業に一般学生をボランティ アとして参加させる組織的なシステムを持つ日本語プログラムは、双方の接触によって日 本人(中心)と非日本人(周縁)の集団的差異や不平等が(再)生産されないか、またその ような関係性が生じるとしても変化する可能性があるのかといった点について、注意深く 見守る社会的な責任があると考えられる。 そこで、本稿では、桜美林大学で日本語授業のボランティアに参加を希望する一般学生 に注目し、まず第一歩として彼らの参加動機から「何に意義を感じて参加を希望するのか、 どのような経験を期待しているのか」を探る。その上で、多言語多文化共生にむけた学習 が起こる可能性があるかどうか検討したい。

2.日本語ボランティア「クラスゲスト」制度の概要

桜美林大学には、大学生の学生総数約 8600 名の約 6%にあたる約 500 名の留学生(短 期の交換留学生を含む)が在籍している。その中で、毎学期約 200 名弱(4)の留学生が日 本語授業を受講する。そして、留学生の日本語授業に参加し、共に日本語を用いた活動を 行ったり、日本語学習のパートナーとなったりするボランティア学生を「クラスゲスト」 と呼び、日本語プログラムが一括して募集を行っている。筆者は、2010 年 4 月の着任より、 この募集業務を担当している。毎学期初めの約 1 か月間、スクールバスや学内にポスター を、大学のホームページの学内情報サイトに掲示を出す。これらの掲示に関心を持った学 生は、掲示に添付されている詳しい説明を読んだ上で、アンケートに自分の空き時間と自 己 PR(参加動機や特技)を入力する。この情報を募集期間中毎週更新して(5)一覧表を作 成し、日本語授業担当教員は各自でその一覧表を参照して、個々にメールや電話連絡して 応募者に授業への参加を要請するという仕組みになっている。 応募者が参照する説明には「留学生対象の日本語の授業に参加することで友達や知り合 いを増やすことができる、授業には先生がいるので活動内容については心配無用、過去の 活動例(会話、発表へのコメントやディスカッション、1対1で一緒に調べ物をする、4 年生が就職活動の体験を話す等)、日本語で話す場であること、自分の外国語の練習目的 は困る、参加の形式は毎週継続的・時々・1 回だけ参加のタイプがある」ということが述 べられている。 2010 年度秋学期には 119 名の応募があった。その中で、応募者の空き時間が丁度クラ スゲストを必要としている日本語授業の開講時間と合致していたり、応募者の興味と合致 していたりといった条件を満たして実際に授業に参加した者は約 65 名であり、応募者の

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約半数が参加する状況といえる。また、119 名のうち、クラスゲストの経験者は 39 名で あった。

3.研究対象

研究対象は、2010 年度秋学期の日本語授業ボランティア参加希望の大学生のうち、「自 己 PR 欄(応募動機・特技など)」という欄に参加動機が記入されていた 111 名(6)である。 この 111 名の内訳は、性別では、女性 97 名、男性 14 名である。圧倒的に女性の参加希 望者が多い。所属学年は、1 年生 18 名、 2 年生 38 名、 3 年生 32 名、4 年生 22 名、 科目等 履修生 1 名であった。つまり、2 年生が最も多く、次いで 3 年生、4 年生、1 年生と続い ている。

4.分析

4-1.全体の分析結果 この 111 名の参加動機について、以下の方法で分類を行った。まず、参加動機と考えら れる言葉に下線を引き、それを短い言葉にして書き出した。2 つ以上の動機が記されてい る場合には文の構成から動機の優先順位が高いと考えられる順に、参加動機1(下線部分)・ 参加動機2(波線部分)のように書き出して表にまとめた。具体的には次のように行った。 表1 参加動機の分類作業 応募者の参加動機 参加動機 1 参加動機 2 キャンパス内でなかなか留学生と交流する機会がなく、少し残念 に思っています。そのためクラスゲストをして、留学生と交流し、 日本語の上達に少しでも貢献できるように頑張りたいです! 留学生と交流 日本語の上達に 貢献 春学期に GO プログラムに行き、外国人とコミュニケーションを 取る楽しさを知ったからです。この日本語クラスゲストを通して、 外国人留学生とコネクションを作り自分の成長にも繋げたいとも 思っています。 外国人留学生と コミュニケーシ ョン・コネクシ ョン キャンパス内でよく外国人を見るのですが、声をかけるのは抵抗 があるので、クラスゲストを通して国際交流が出来たらと思いま した。また、僕自身、話すのも好きですし、誰かの役に立てれば と思い応募しました! 国際交流 誰かの役に立つ 次に、表現が異なっていても、内容的に同じもしくは類似している動機の集合をつくる 作業を行った。例えば、表1の「留学生と交流」と「外国人留学生とコミュニケーション・

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コネクション」と「国際交流」は同一内容と捉え、その動機の内容を代表するラベルをつ けた。この場合のラベルは「留学生との交流」とした。 更に、「留学生との交流」「留学生サポート」「(自分の過去の)留学経験共有」というラ ベルを一括りにして、「留学生と関わる」という上位カテゴリーを設けた。 このようにして、参加動機を以下の 3 つのカテゴリーに分類した。 ①「留学生と関わる」 (「留学生との交流」「留学生サポート」「(自分の過去の)留学経験共有」を含む) ②「日本/日本語教育と学習」 (「日本語教育を経験する」「日本語学習サポート」「日本・日本語を教える、伝える」 を含む) ③「その他」 (「リピート」「大学生活の意義付け」「個人接触・友達」「教育経験」「英語」を含む) 以上の 3 つのカテゴリーについて、各個人の「第一番目の動機(参加動機1)」に注目 してグラフ化したものが図1である。 図1を説明したい。111 名の応募者の第一動機 に注目したところ、まず「留学生と関わる」カ テゴリー、すなわち「留学生との交流」「留学 生サポート」「(自分の過去の)留学経験共有」 を行うことに意義を求めて動機とした者が約 59%(66 名)で最も多かった。次いで「日本/ 日本語教育と学習」カテゴリー、すなわち「日 本語教育を経験する」「日本語学習サポート」「日 本・日本語を教える、伝える」ことに意義を求 めて動機としたものが約 27%(30 名)であった。その他の少数の、前回参加したから引 き続きという「リピート」、「大学生活の意義付け」「個人接触・友達」「教育経験」「英語」 といった動機は 14%(15 名)であった。 次に、第一番目、第二番目といった優 先順位に関わらず、動機として挙げた 延べ人数を示したグラフが図 2 である。 図 2 には、一人の応募者が「留学生と 関わる」と「日本/ 日本語教育と学習」 の 2 つのカテゴリーについて動機とし て触れている場合、両方の棒グラフに 人数が含まれている。 留学生と 関わる 66名 日本/日本語 教育と学習 30名 その他 15名 図 1 第一動機のカテゴリー別の割合 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 留学生と 関わる79名 日本/日本語教育41名 その他 19名 図2 動機のカテゴリー別の延べ人数

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図 2 でも図 1 と同じく、「留学生と関わる」という対象者への関心を動機としている者 が最も多く、次いで「日本/日本語教育と学習」という行為への関心を動機としている者 が多い。以下、順に詳しく分析を述べる。 4-2.「留学生と関わる」という動機 「留学生と関わる」ことに意義を求めて動機とした者は、3 つの動機カテゴリーの中で 最も多かった。このカテゴリー内での「留学生との交流」「留学生サポート」「(自分の過 去の)留学経験共有」を行うことについて、動機として記載している応募者の延べ人数を グラフ化したものが図 3 である。つまり、図 3 には、一人の応募者が「留学生との交流」 と「留学生サポート」の両方を動機として挙げている場合は、どちらの棒グラフにも人数 が含まれている。 <留学生との交流> 動機とした者が最も多かった「留学生との交流」について、まず説明する。この中には、 「異文化」「国際」「外国人」「いろいろな国の人」という表現(「留学生」に内容的に類似し ていると捉えた)、「コミュニケーション」「友達になる」「学びあう」といった表現(「交流」 に類似していると捉えた)が含まれている。以下に、応募者の動機の記載原文を引用しな がら、説明していく。なお、下線は、各議論の根拠となる部分に筆者が引いたものである。 なぜ「留学生との交流」をしたいのかという背景については、各個人で異なるものの、 大きく2つの特徴がみられる。1つは、「キャンパス内でなかなか留学生と交流する機会 がなく、少し残念に思っています。そのためクラスゲストをして、留学生と交流し(略)」 (動機 01)、「キャンパス内でよく外国人を見るのですが、声をかけるのは抵抗があるので、 クラスゲストを通して国際交流が出来たら」(動機 02)、「国際色豊かな桜美林大学に入学 したからにはさまざまな人と触れあってみたい」(動機 03)という記述にみられるように、 「桜美林大学には留学生が多い」が「個人的に留学生と交流する機会はなかなかない」と いう状況である。 0 10 20 30 40 50 60 70 留学生と の交流 58名 留学生 サポート 25名 留学経 験共有 9名 図3 「留学生と関わる」動機の内訳

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もう1つは、「春学期に GO プログラムに行き、外国人とコミュニケーションを取る楽 しさを知ったからです」(動機 04)、「秋学期のバディプログラムに参加して留学生との交 流がとても楽しかったので(略)」(動機 05)、「私は中国への留学を機に国際交流に強く 興味を持つようになりました」(動機 06)といった、留学や桜美林大学内での他プログラ ムの経験をもとに、新たなネットワークに参加しようという姿勢である。GO プログラム とは 1・2 年次の学生が4~ 5 ヶ月間留学する制度で、バディプログラムとは交換留学生 の来日直後に 2 週間程度サポートをする制度である。 桜美林大学は、建学の精神として世界で通用する人材育成を掲げて留学制度が充実して おり、留学生の受け入れも盛んに行われている。こういった風土が、上記の動機に反映さ れていると考えられる。また「留学生との交流」を動機として挙げている人の一部に、交 流を経験することによって「自分の成長につなげたい」「交流からいろいろと刺激をもらう」 「視野を広げたい」といった自己成長を期待する記載が、特に共通してみられることも特 徴である。 <留学生サポート> 次に多かった「留学生サポート」は、例えば「留学生らに日本に来てよかったと思って もらえるようサポートができたらと願っています」(動機 06 の続き)、「日本語や日本につ いて勉強している留学生のみなさんの力になれれば、と思います」(動機 07)というもの である。ここには、「留学生の学習」の「力になりたい」「お手伝いしたい」といった記載 も含まれている。 この「留学生サポート」は、後の 4-3.で説明する「日本語学習サポート」(「日本/ 日 本語教育と学習」のカテゴリー)とは似ているが区別してある。具体的には「留学生の学 習のサポートがしたい」というように対象者に重点がある場合は「留学生サポート」と捉 え、「外国人の方とたくさん会話をして日本語を覚える手助けがしたい」というように学 習内容が日本語に限定されて重点がおかれている場合は「日本語学習サポート」と捉えた。 <留学経験共有> 「(自分の過去の)留学経験共有」を行うことに意義を求めて動機とした者は、少数な がらも特徴がはっきりしている。この動機には、自分が過去の留学時にもった「悩み、気 持ち、大変さ」をもとに、留学生の「気持ちを理解」したり、「生活全般での心の支え」 になったり「相談にのる」という記述が含まれている。 例えば、「留学生が多く在籍するのに彼らと関わる機会になかなか参加できず、そうい った環境を探していました。私自身海外での留学経験があるので異文化の悩みなどを相談 に乗れる存在になりたいと思い応募しました」(動機 08)、「以前(中国の)○○大学へ留 学していました。留学時、中国人と交流するのに大変苦労したので、クラスゲストとして 留学生の力になればと思い応募しました」(動機 09)というものである。この動機は、動

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機 09 の波線部分が一例を示しているように、「留学生サポート」と共起していることが多 いという特徴がある。同じ留学経験でも、先述した、GO プログラムで留学して楽しかっ たから帰国後も留学生と交流したいという類の動機とは異なった視点で、自己の留学経験 を共有することに意義を感じているといえるだろう。 4-3.「日本/日本語教育と学習」という動機 次いで多かった「日本/日本語教育と学習」というカテゴリーは、「日本・日本語伝導」「日 本語教育経験」「日本語学習サポート」「(自己の)日本・日本語再発見」に意義を求めて いる動機群である。これらについて、動機として触れている延べ人数をグラフ化したもの が図 4 である。図 4 でも、一人の応募者が「日本語教育経験」「日本語学習サポート」の 両方を動機として挙げている場合には、両方の棒グラフに人数が含まれている。 <日本・日本語伝導> まず、最も多かった「日本・日本語伝導」に意義を求める動機について説明する。ここ には「日本」「日本語」「日本の文化」を「教える」「伝える」「知って欲しい」という記載 が含まれている。 例えば「日本語を教えたいと思ったからです。また、日本語だけでなく、日本の文化や 歴史なども教えたいと思ったからです」(動機 10)、「GO プログラムで留学しようと思っ ているので、海外の人に日本の事を伝えられるようになりたかったから」(動機 11)、「他 国の人に日本を知ってもらいたい・伝えたい気持ちが強くなり、日本に関心を持つ人の手 助けをしたい」(動機 12)、といった言葉が見られる。(波線部分は「留学生サポート」の 動機と捉えた。) クラスゲスト募集の掲示では「日本語を教える」ということは一切求められていないに もかかわらず、「日本・日本語を教えたい」ということは、各人によって何かしらの具体 的な背景や経験があって、このような気持ちが芽生えたのだろう。応募者の内にこのよう な動機を持つ者がいることは想像できる。 0 2 4 6 8 10 12 14 日本・日本語 伝導 15名 日本語教育 経験 14名 日本語学習 サポート 8名 日本・日本語 再発見 6名 図4 「日本/日本語教育と学習」という動機の内訳

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また「日本・日本語を教えたい」という動機に加えて、「留学生にネイティブの感覚や 正確な日本語を伝えたいから」(動機 13)と日本語使用について自己の正統性を表象する 記載もある。他にも「日本語の丁寧さ、美しさを実感し、日本をもっと知っていただきた い…!」(動機 14)、「私はカナダに行った時(略)日本語を教えてあげることは楽しい! と強く思いました。なのでまた外国人に日本語、そして素敵な文化も教えてあげたいです」 (動機 15)というように、優劣の評価を生み出すような形容詞を用いた記載(波線部分)や、 行為者が受け手より上位にあるという話し手の認識を示す「てあげる」という表現を用い た記載もみられた。これらの日本語と日本文化についての自己の優位性を自明のものとす る認識については、考察で詳しく検討する。 <日本語教育経験> 次に、2 番目に多かった「日本語教育経験」について説明したい。この動機には、例え ば「将来は日本語の教師を志望しており、経験にしたい」(動機 16)、「私は日本語教育を 副専攻していて、ゼミでも日本語について学んでいるので、学んだ知識とかを活かしたり、 留学生が実際にどうやって勉強しているのかを知りたい」(動機 17)というようなものが 見られる。また地域ボランティアや、GO プログラムの留学先でボランティアで行った「日 本語教育経験をいかしたい」という表現も見られる。桜美林大学では、日本語教育がリベ ラル・アーツ学群の主専攻・副専攻として置かれているため、日本語教育を経験すること に意義を見出す者がいることは納得できる。この「日本語教育経験」の動機は、先の「日 本・日本語伝導」の動機と、応募者の誰も共起していないことは興味深い。 <日本語学習サポート>と<日本・日本語再発見> 「日本語学習サポート」は、「日本語習得」「日本語の上達」「日本語を覚える」「日本語 や文化を勉強する」ことの「手助け」「力になりたい」「貢献」という動機である。この動 機は、先の2つの動機が、自分自身の満足を追求するものであるのに対して、相手の立場 からの視点という点で異なる。 「日本・日本語再発見」は、主にクラスゲスト経験者が「自分が知らなかった日本につ いて知ることができた」(動機 18)、「日本語の面白さ等を学んだ」(動機 19)ことを動機 として再度の参加を希望している際に挙げている。 4-4.その他の動機 その他の少数の動機について説明する。ここには、前回参加したから引き続き参加した いという「リピート」、「大学生活の意義付け」「個人接触・友達」「教育経験」「英語」な どを含めた。図 5 では、1 名のみ挙げていた「言語に興味がある」「友人が参加していた から」等の動機は除き、複数名が動機として挙げていた事柄のみとりあげている。

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<大学生活の意義付け> まず、「大学生活の意義付け」を動機としていた 6 名は、ほとんどが 4 年生で「最後の 学期なので、有意義に過ごしたい」(動機 20)、「留学生がたくさんいる大学に入学したの にまだ一度も留学生と関わったことがないので」(動機 21)、「卒業要件を満たしてしまっ ているため、学生のうちに、同年代の人たちと国際交流などできればと考え」(動機 22) という動機である。(波線部分は「留学生との交流」の動機と捉えた。)ここにも、「桜美 林大学」=「留学生数が多く、留学生と関わることができる場」という意識が見られる。 <リピート> 「リピート」を動機とする 6 名は、例えば「春学期も参加していたので、引き続き今学 期も応募しました」(動機 23)というものであり、「楽しかった」「よかった」という感想 がある場合も含めた。 ただし、「春学期にもやらせて頂いて、外国の方と関わることに喜びを覚えました」(動 機 24)、「これまでクラスゲストを経験して自分がどのようにしたら相手にわかりやすく 伝わるのか考えることがゲストとして最も重要なことだと分かった。最後の学生生活もっ と留学生と交流したいと思っています」(動機 25)という場合には、波線部分に注目して「留 学生との交流」が動機と捉え、「リピート」には含めなかった。言い換えると、クラスゲ スト経験者はこの研究対象者の中に 36 名いるが、30 名は「以前参加して○○だったから、 また参加したい」という〇〇部分の内容的な動機を明示していたのに対して、6 名は「以 前参加したから」という形式的な動機のみ表示していたというわけである。 <個人接触・友達>と<教育経験> 「個人接触・友達」を動機としていた 4 名は、「友達を増やしたい」(動機 26)、「触れ 合うなかで一人一人のものの考え方や個性を感じながら一緒に学んでいけたら」(動機 27)、「誰かの役に立ちたい」(動機 28)というように、「留学生」という枠ではなく個人 に焦点をあてていた。 「教育経験」は、「将来、人に教える仕事に就きたいので少しでもそういう機会がある 0 1 2 3 4 5 6 7 大学生活 意義付け 6名 リピート6名 友達 4名個人接触 教育経験3名 英語3名 図5 その他の動機の内訳

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なら参加したいです」(動機 29)、「塾講師のアルバイトをしようと考えていますが、人に 何かを教えるという経験を(略)したことがほとんどありません。人にわかりやすく教え られるようになりたい」(動機 30)という類の動機で、3 名が挙げていた。 <英語> 最後に、3 名が動機としていた「英語」について述べる。興味深いことに、クラスゲス トの募集で掲示されている説明では、「外国語を練習したいからクラスゲストをするとい うのは困ります。(略)みなさんもできるだけ日本語で話してください。難しいことをわ かりやすい日本語に言い換える能力のほうが大切です」と明示されており、「英語」につ いて一言も触れていないが、英語に触れている応募者は多い。例えば「日本語クラスゲス トをすることで、留学生と交流をもち(略)噛み砕いた日本語でも理解が及ばないときは、 簡単な英語でも説明できる」(動機 31)という記載や、逆に「英語が苦手だけど海外から の学生とは友達になりたい」(動機 32)というものである。前者の場合「英語」を「特技 として記載している」と捉え、「英語」を動機としては捉えなかった。そして両者とも、 波線部分を「留学生との交流」の動機として捉えた。 では、「英語」を動機としている場合はどのような記載かというと、「外国の方と英語を 使ってかかわる仕事に就きたいと思っています。そのために、少しでも多くの外国の方と 触れ合う機会を求めています」(動機 33)というように、「英語」を使うことが参加動機 として強く打ち出されている場合である。また、「英語が大好きです!留学生の力になり たいです!ぜひ協力させてください」(動機 34)というような記載もある。(波線部分は、 それぞれ「留学生との交流」「留学生サポート」の動機として捉えた。) また、この「英語」という動機に関連して、「春学期もクラスゲストを体験してとても 楽しく、自分にとっても良い経験になりました。秋学期ぜひ参加したいです。前回は中国 人生徒のクラスだったので、今回は英語圏のクラスも体験してみたいです。」(波線部分か ら「リピート」に含めた)(動機 35)という記載もあった。

5.考察

考察では、以上の分析で提示してきた動機を参照しながら、多言語多文化共生にむかう 学習の起こる可能性について検討する。考察の視点は、「1.はじめに」で示した「構成 員ひとりひとりが言語的文化的に多様であることを前提に、相互の異なりを超えて新たな 規範を創りだし共に生きること」である「多言語多文化共生」という概念である。この概 念をより具体的に捉えるために、大学における日本人学生と留学生の接触について、国際 化・国際交流・多文化/ 異文化理解といった名の下に日本人(中心)と非日本人(周縁)

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の集団的差異や不平等が(再)生産されているという工藤(2010)の指摘と、共生概念を 具体的なプロセスとして捉えている杉原(2010)の「共生化する過程」という視点を踏ま えて検討を行う。 <共生化の契機> まず、桜美林大学の風土として、留学制度が充実しており、留学生の受け入れも盛んに 行われていることが、クラスゲスト応募者の動機に反映されていた(動機 01 ~ 06、08、 09)。この風土が、「共生化の契機」(杉原 2010)を用意していると考えられる。共生化の 契機は、「留学生」「外国人」「日本人」というように、他者と異なる自己が意識される共 生化の第一段階である。 <共生化の深化> そして、共生化が深化していくためには「異なる者との協働」を行うことが必要となる。 この「異なる者との協働」については、分析で述べたように「留学生との交流」を動機と している人の一部に、「自己成長」を期待する志向性、つまり自らが変化することをいと わない志向性が見られる点に、協働が起こる期待が持てる。 <葛藤の過程> 「異なる者との協働」とは、ただ楽しい営みではありえず、「葛藤」の苦しみを伴う過 程である。この「葛藤」に関して、2つのタイプの動機が関係していると考えられる。 1つは、「日本・日本語の伝導」に意義を求める動機である。これには、「日本」「日本語」 「日本の文化」を「教える」「伝える」「知って欲しい」という意識(動機 10 ~ 12)と、「正 確な日本語を伝えたい」「素敵な文化を教えてあげたい」という意識(動機 13 ~ 15)が 見られた。 一見、「日本語を教えたい」という表現は、「日本語教育を経験したい」(動機 16、17) という「日本語教育経験」に意義を求める表現と同じ意味を持つように見える。しかしな がら、2 つの表現には大きな違いがある。確かに日本語教育では「日本語を教える」行為 が中心的な課題になることが多いが、日本語教育とは「日本語を教える」周辺にある事象 を総合的に含む営みであり、とりわけ定住外国人が増えた 1990 年代から「教える側(= 日本人、日本語母語話者)/ 教わる側(=外国人、日本語非母語話者)」という関係性には 問題があるという認識が、広く共有されつつある。また、第二次世界大戦中に行われた日 本語教育への反省を鑑みても、「日本語を教える」というナイーブな表現には問題性が含 まれている。 更に、言語と力関係に関する議論(野呂・山下 2001 など)を踏まえれば、「正確な日本 語」は想像物であり、第二言語学習では「ネイティブの言語」を目指す必要はないのであ る。このような表現で日本語使用について自己の正統性を示したり、日本語の「丁寧さ、 美しさ」や「素敵な」文化を「教えてあげる」という自己の優位性を自明のものとして捉

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える姿勢は、日本語クラス内で日本語母語話者と非母語話者の力関係を立ち上がらせる可 能性(杉原 2010)や、日本人(中心)と非日本人(周縁)の集団的差異や不平等を(再) 生産する危険性(工藤 2010)がある。 よって、以上のような意識については放置するのではなく、是正することが必要だろう。 クラゲストの募集の時に「日本語を教えることを求めている」というメッセージを与えて いないか省察し、誤解を与えないように改善することも必要である。また、将来教職につ く者が動機として「教える機会」を求めている点(動機 29、30)も注意を要する。「教える」 姿勢ではなく、対等な立場で「わかりやすい伝え方」や「共に学ぶ姿勢」を経験する機会 としてもらいたいと考える。 一方で、共生化の過程という視点から見れば、共生化は、楽しいことばかりで進むので はなく、時に権力的な作用を含みながらも、参加者間の関係性を変化させていく過程であ る。この視点から考えれば、日本人(中心)と非日本人(周縁)の集団的差異や不平等の (再)生産も、生じて当然のプロセスであり、むしろ乗り越えることの可能性や方策に注 目することが重要となる。 この乗り越える方策については次の<葛藤の克服(関係性の転換)>項で述べるが、その 前に日本人(中心)と非日本人(周縁)という視点ではとりこぼしてしまう、外国人の中 に中心と周縁が生じる点について触れておきたい。この点に「英語を使う」という動機(動 機 33 ~ 35)が関わっていると考えられる。「前回は中国人のクラスだったから、今回は 英語圏のクラスを」(動機 35)というのは一見公平な興味に見えるが、アジアからの留学 生よりも英語圏の留学生と関わりあいたいという印象が感じられる。留学生=英語使用機 会(7)と矮小化する視点では、英語圏からの留学生が「中心」に、それ以外の出身者は「周 縁」になってしまうことに注意を払う必要がある。 <葛藤の克服(関係性の転換)> 時に権力的な作用を含みながらも参加者間の関係性を変化させていく葛藤の克服につい ては、クラスゲストが参加するクラス内で起こるダイナミクスに期待したい。「(自分の過 去の)留学経験共有」を行うことに意義を求める動機(動機 08、09)をもつ者たちは、 自分が過去の留学時にもった「悩み、気持ち、大変さ」をもとに、留学生の「気持ちを理 解」したり、「生活全般での心の支え」になったり「相談にのる」という、葛藤が起こる 事態を共有しようとする姿勢がみられる。こうした姿勢が広がることに期待したい。 また、クラス外の要因となるが、分析で述べたように「日本・日本語伝導」の動機と「日 本語教育経験」の動機は、応募者の誰も共起していない点にも注目できよう。つまり、「日 本語教育」科目の履修によって、こうした意識の改革が行われる可能性があるのではない だろうか。具体的には、日本語教育科目を受講する中で、第二次世界大戦中に行われた日 本語教育の歴史から反省的に学んだり、「教える側(=日本人)/教わる側(=外国人)」と

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いう関係性の問題を学ぶ機会を得るかもしれない。 <異なりの混ざり合い> 以上のような葛藤の共生化の過程が進めば、互いの異なる点を維持しながらも異なる者 が理解しあって混ざることになる。この点については、「これまでクラスゲストを経験し て自分がどのようにしたら相手にわかりやすく伝わるのか考えることがゲストとして最も 重要なことだと分かった。」という言葉(動機 25)に可能性がよみとれる。クラスゲスト の経験が、言語的文化的な背景が異なる個人対個人で向かい合って互いの言いたいことを 伝えあう道を探ることの重要性に気づかせてくれるなら、それは多言語多文化共生にむけ た学習が起こっているのだといえるだろう。

6.まとめと今後の課題

本稿では、桜美林大学で日本語授業のボランティアに参加を希望する一般学生に注目し、 彼らの参加動機から「何に意義を感じて参加を希望するのか、どのような経験を期待して いるのか」を探った。そして、応募者の応募動機の記述を分析し考察した結果、共生化の 契機と深化、葛藤の過程と克服、異なりの混ざり合いという共生化の過程の各段階が生じ る可能性がみられ、多言語多文化共生にむけた学習が起こる可能性が推察された。 本稿の分析と考察を通じて、クラゲスト制度についていくつかの改善の糸口(8)を見出 したので、以下に主なもののみ記す。 <「日本語を教える」ことを求めているという誤解を与えないこと> クラゲストの募集の時に「日本語を教える」ことを求めているというメッセージを与え ていないか省察し、誤解を与えないようにすることが必要である。現時点までに行ったこ ととしては、募集の際に大学ホームページに掲示する「日本語クラスゲストの説明」の文 言を見直した。具体的には、これまでのクラスゲストが行った活動内容の紹介について、「会 話の相手」を「会話をする」に変更し、「ドラマの聞き取りの手伝い」を「ドラマを一緒に 見て内容を確認する」に、「漢字クラスで毛筆の手本を書く」を「漢字クラスで毛筆で字 を書く」に変更した。この変更は、クラスゲストが「支援する側」「手本となる側」「教え る側」であり、留学生が「支援される側」「手本を示される側」「教わる側」であるという 非対称的な関係性を連想させないための対処である。今後とも、こうした言説に注意を払 っていく必要がある。 <「留学生と関わるメリット」についての新たな視点を提示すること> 2011 年 8 月に桜美林大学のホームページが一新され、「桜美林の教育」のコーナーの「世 界と向きあう」の「国際色豊かなキャンパス」の中に、新たに「クラスゲスト」の欄が設

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けられた(9)。この欄では、留学生のうち「アジア諸国からの学生」を冒頭に挙げて存在 をアピールし、クラスゲストへの参加を「留学生たちと直接コミュニケーションを行う貴 重な学習機会」と位置付けている。そして、クラスゲストにとってのより具体的な学習内 容として、以下の文言を示した。 活動を通して、普段何気なく用いている日本語でありながら「日本語母語話者間とは異 なるやりとり」を体験し、新しい視点を得るといった他では得られない学びを実感する ことができます。そして、今後、ますます多言語多文化を背景とする隣人が増えること が予想される日本社会において、「日本語非母語話者と日本語を用いてどのようにつき あっていくか」を考えることは、クラスゲスト一人ひとりにとって大きな財産となるで しょう。 この文言が、一般学生の視点を、異なる言語的文化的背景を持つ者との接触がもたらす 豊かな学びに注目させる作用を持つことに期待している。このように、クラスゲストにつ いての啓発を促すことができる機会を今後もつくっていく必要がある。 研究上の今後の課題としては、「実際に授業に参加したクラスゲストが、どのように参加し、 どのような学びを得ているのか」を検討したいと考えている。具体的には、筆者の担当する 日本語授業に参加したクラスゲスト数名の記入したコメントシートなどから質的な視点で学 びを捉え、クラスゲストの多言語多文化共生学習の可能性について、更に追究していきたい。 参考文献 池田玲子(2008)「協働学習としての対話的問題提起学習‐大学コミュニティでの多文化共生のために」 『ことばの教育を実践する・探求する 活動型日本語教育の広がり』凡人社 pp.60-79 工藤和宏(2010)「日本人中心主義の功罪-大学生の異文化接触と大学の『文化際化』への示唆」『異文 化間教育学会第 31 回大会発表抄録』pp.166-167 桑戸孝子(2004)「留学生と日本人学生とのインターアクションを取り入れた日本語クラスの試み」『長 崎総合科学大学紀要第 45 巻第 1 号』pp.81-91 杉原由美(2010)『日本語学習のエスノメソドロジー-言語的共生化の過程分析』勁草書房 戴エイカ(2003)「『多文化共生』とその可能性」大阪市立大学『人権問題権研究』3 pp.41-52 野呂香代子・山下仁編著(2001)『正しさへの問い-批判的社会言語学の試み-』三元社 付記:本稿は、杉原由美(2011)「日本語プログラムが創る多言語多文化共生学習の可能性 ―留学生日 本語授業のボランティア一般大学生の学びとは」『異文化間教育学会第 32 回大会発表抄録』pp.60-61 の一部に大幅な加筆修正を加えたものである。

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(1) 安倍、福田内閣の下で行われた 2007 年から 2008 年の教育再生会議及び懇談会の最終案で決定され、 2010 年には民主党政権の新成長戦略の一つとして閣議決定した。 (2) この共生に向けた意識改革の具体的な手立てとして、池田(2008)は「協働の学びの場創出」につ いて論じている。 (3) グローバル化に伴い、学生の言語的文化的な背景の多様化がすすんでいるため、「留学生」と「日 本人学生」という表現のみで学生の属性を表すことはできない。そこで、本稿で用いる「一般学生」 という表現は、いわゆる「留学生」枠以外の、もしくは日本語の授業を受講する必要がないと自分 が考えている学生を表すことにする。この「一般学生」のマジョリティは、日本国籍を持ち、日本 語を母語、日本文化を母文化として育った、いわゆる「日本人学生」である。 (4) 2011 年 3 月の東日本大地震の直後は、約 120 名程度に減少した。 (5) この情報更新には、情報システム部のサポートを受けている。 (6) 本稿では、対象者を大学生に限定し、大学院生(1 名)のデータは除外した。 (7) 実際に、初めて日本語を学習する入門レベルの学生には「英語」に自信をもつクラスゲストが役立つ 場合もある。しかし、日本で毎日日本語クラスを受講すればじきに日本語を話せるようになり、日本語 が話せるのにクラスで英語を話すことが習慣化して、かえって日本語学習の妨げになることもある。 (8) これらの改善の視点は、本稿の分析・考察を通じて示唆を得た他に、日本語プログラムの教員間で の有形無形のやり取りから示唆を得ている側面もある。また、日本語プログラムのコーディネータ ーである池田智子氏と齋藤伸子氏との協議を経る過程で、改善のための視点や文言がより豊かな経 験知の付加されたものになり得ていることを記しておく。 (9) http://www.obirin.ac.jp/jf_oberlin_education/face_world/international_flavor/class_guest.html

図 2 でも図 1 と同じく、「留学生と関わる」という対象者への関心を動機としている者 が最も多く、次いで「日本 / 日本語教育と学習」という行為への関心を動機としている者 が多い。以下、順に詳しく分析を述べる。 4-2.「留学生と関わる」という動機 「留学生と関わる」ことに意義を求めて動機とした者は、3 つの動機カテゴリーの中で 最も多かった。このカテゴリー内での「留学生との交流」「留学生サポート」「(自分の過 去の)留学経験共有」を行うことについて、動機として記載している応募者の延べ人数を グラフ化した

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