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自閉症スペクトラム障害のカタトニアに対する電気けいれん療法

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特集● ECT の適応についての展望と rTMS の現況

症  例

Case report

自閉症スペクトラム障害のカタトニアに対する

電気けいれん療法

奥村 正紀  鮫島 達夫  竹田 美香  橋本知加子

寺下  稔  大石 光枝      

Electroconvulsive therapy for catatonia in autistic spectrum disorders

Masaki Okumura, Tatsuo Sameshima, Mika Takeda,

Chikako Hashimoto, Minoru Terashita, Mitsue Oishi

Oishi Memorial Hospital, 2-23-1 Nishiarai-honmachi, Adachi-ku, Tokyo 123-0845, Japan

Abstract:Electroconvulsive therapy (ECT) is established as a treatment of catatonia. Recent studies

have shown that catatonia can occur in patients with autistic spectrum disorder (ASD). ECT is indicat-ed when patients are unresponsive to other treatments and requirindicat-ed rapid improvement. In addition, maintenance ECT is often performed for recurrence prevention of catatonia. Here we describe a pa-tient with autism in her 40s who presented severe catatonia and for whom ECT was effective against catatonia and recurrence prevention.

Key words:Autistic spectrum disorder, Electroconvulsive therapy, Catatonia

はじめに

カタトニアは昏迷,興奮,カタレプシー,姿勢常 同,命令自動などの症状を呈する症候群である。 原因疾患としては気分障害,特に双極性障害が半 数以上を占めるといわれており1-3),ほかにも統 合失調症,器質性精神障害などがあげられる1-7) カタトニアに対する治療としては,重症度や病 因,患者の年齢に関わらず,ベンゾジアゼピン系 薬 物 や 電 気 け い れ ん 療 法(electroconvulsive therapy:ECT)の有効性が確立されている8-12) 近年,自閉症スペクトラム障害(autistic spec-trum disorder:ASD)でもカタトニアを呈する ことが認識されてきており,思春期から 20 歳代 前半の ASD 患者の 12 〜 17%が経過中にカタト ニアを呈するという研究結果も報告されてい る13, 14)。他の治療で効果が得られない場合に,ベ ンゾジアゼピン系薬物の投与や ECT により改善 が得られた症例も報告されてきている15) 今回われわれは,幼少時に ASD と診断され 40 歳代になって重度のカタトニアを呈し,ECT が 症状の改善およびその再燃予防に効果的であった 症例について報告する。なお,報告にあたって個 人情報を特定できないよう配慮した。

症  例

症例:42 歳,女性(身長:156cm,体重:63kg)。 既往歴:特記事項なし。 大石記念病院(〒 123-0845 足立区西新井本町 2-23-1)

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が目立つようになり,近医精神科クリニックへ通 院開始となった。また,このころより 2 〜 3 年に 1 回程度,亜昏迷を呈することもあったが,経過 観察や薬物調整で 2 〜 3 日のうちに改善してい た。 X 年(42 歳)10 月初旬,特に誘因となるよう なイベントはなかったが,発語が徐々に少なくな り,動作も緩慢となってきた。中旬には全く発語 がなくなり,リスペリドンが 2 mg/日から 6 mg/ 日に増量されたが改善はみられなかった。その後, 食事摂取も困難となり,11 月 12 日高熱のために 家族が救急要請し A 病院に搬送され,高ナトリ ウム血症,横紋筋融解症,腎機能障害で同院救命 センターに入院となった。同月 17 日,採血デー タが改善するも緘黙無動が継続し,カタレプシー も認めていたため緊張病性昏迷と診断され,ロラ ゼパム 1.5mg/日で開始となった。しかし改善を 認めず,同月 22 日当院精神科に転入院となった。 入院時の身体的な検査では特に異常所見は認め ず,脳波でも突発波や徐波の混入も認めなかっ た。入院時よりロラゼパムを増量し 9 mg/日ま で増量したところ,昏迷は徐々に改善し年末年始 には外泊も可能な状態にまで改善したが,日中の 眠気が強いとのことで X+1 年 1 月 4 日にロラゼ パムを 4.5mg/日まで減量した。同月中旬ごろか ら発語が少なくなり,四肢の緊張も強くなってき た。その後,嚥下障害も認め誤嚥性肺炎も発症し た。食事摂取も困難で,経管チューブよりロラゼ パム 9 mg/日を投与されたが改善みられず,母 と相談し ECT 導入とした。本人は昏迷を呈して おり,母にインフォームド・コンセントを行った。 家族同伴で友人と会ったりすることも可能で,日 常生活も問題なく送れていた。 しかし,X+1 年 11 月ごろ,養護学校時代の友 人との口論を機に再び表情が硬くなり,動作も緩 慢となり,疎通がとれなくなることも多くなって きた。ロラゼパムを 4 mg/日まで増量したが,12 月中旬には嚥下障害が出現し食事摂取も困難と なってきたため,カタトニアの再燃と考えられ, 同月 26 日に当院精神科 2 回目の入院となった。 入院時よりジアゼパム 30mg/日の静脈投与を継 続したが効果が得られず,X+2 年 1 月 10 日より 再度 ECT 導入となった(電極配置:両側性,出 力:80 〜 90%)。前回 ECT 施行時には 8 カ月で 再燃したため,徐々に治療間隔を空けて ECT を 行った(Fig. 1)。3 回施行後より食事摂取可能と なり,5 〜 6 回で会話や動作が以前と同様の状態 にまで改善がみられ,入院中に計 10 回施行した。 ロラゼパム 3 mg/日の内服を継続として 2 月 26 日に退院となり,その後,3 月に 2 回,4 月に 1 回, 入院して maintenance ECT を行った。家族の希 望もあり maintenance ECT を中断したが,その 後は環境変化などにより亜昏迷を呈することはあ るものの,ロラゼパム増量(4.5 〜 8 mg/日)や 短期間の入院で改善し,現在まで ECT が必要な 重度のカタトニアには至っていない。

考  察

1.症例の経過

本症例は,幼少時に ASD と診断され亜昏迷を 繰り返していたが,42 歳時に重度のカタトニア

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を呈して当院に入院し,ECT を行った症例であ る。当院初回の退院後もカタトニアの再燃を認め 再入院し,maintenance ECT を行った。 初回入院時にロラゼパム 9 mg/日でカタトニ アの改善を認めたが,眠気が強く減量せざるを得 なかった。最初に使用し改善が得られたロラゼパ ム 9 mg/日を継続すれば,もしくは再燃後も 9 mg/日で改善が得られなかったのであれば,さら に高用量のロラゼパムの投与が行われていれば, ECT が必要な重度のカタトニアを呈することを 防げたのかもしれない。Mazzone らは ASD のカ タトニアに対してロラゼパム 24mg/日までの高 用量の使用を推奨しているが16),わが国での添 付文書上では適宜増減とは書いてあるものの,文 書上の使用量 3 mg をはるかに超えた用量であ る。また,誤嚥性肺炎も発症するなど迅速な改善 も必要であったため,ECT 導入とした。 ECT の施行方法に関しては,電極配置は両側 性で行い,有効なけいれんを得られていたためフ ルマゼニルの使用も必要はなかった。初回の ECT コースは 10 回で終了としたが,カタトニア 再燃後の 2 回目の ECT コースは徐々に治療間隔 を開け,退院後も maintenance ECT を 3 回行っ たことが効果的であったと思われた。しかし,重 度ではないものの亜昏迷の再燃を認めている。家 族の希望で 3 回のみで終了となってしまったが, Mazzone らが提唱しているような,1 〜 2 週間に 1 回の頻度で 6 カ月以上行うという maintenance ECT も,病状安定のためには必要であったのか もしれない。

2.ASD のカタトニア

ASD が経過中にカタトニアを呈することは以 前より報告されおり,思春期から 20 歳代前半の ASD 患者の 12 〜 17%が経過中にカタトニアを 呈するとも報告されている13, 14)。また,Wing ら は ASD と診断された初診患者 506 名のうち,30 名(6%)がカタトニアの診断基準を満たしたと 報告している13)。その特徴としては,9 歳以下の 発症はいない,10 歳代の発症が 30 名中の 23 名 (76%),知的レベルに関係なく発症すること,な どがあげられている。Wing らは ASD のカタト ニアの基本症状として, ①運動と言葉が緩慢になる ②活動の開始と完遂が困難になる ③他人からの身体的あるいは言語的促しに依存 することが増える ④受動性の増加と自発性の低下 Fig. 1.初回および 2 回目の ECT コースの経過 初回の ECT コースは週 3 回を 2 週,次に週 2 回を 2 週継続し,計 10 回で終了となった。 2 回目の ECT コースは徐々に間隔を開け,最初の週 3 回,次の 2 週間は週 2 回,その後 は週 1 回を 3 週間継続し退院とした。その後,2 週間の間隔を開けた maintenance ECT を 2 回,1 カ月の間隔を開けて 1 回行い,最終的には計 13 回の施行で終了とした。

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症例はカタレプシーも認め,カタトニアの典型的 な症状を呈していた。 ASD のカタトニアの原因としては,急激な生 活状況の変化などのストレスが誘因となって引き 起こされる,気分障害などの精神疾患が合併す る,ASD 自体がカタトニアを呈する,などと考 えられている13, 16, 19-21)。ASD の患者では気分症状 の評価が困難であり,カタトニアを呈する精神疾 患が合併していても気づかれないことも多い。本 症例でもカタトニアの誘因となるような急激な生 活状況の変化などはなく,数年ごとに亜昏迷を呈 していたことから,気分障害の合併も否定できな い。また ASD とカタトニアは緘黙,反響言語,反 復性の常同的な行動などの共通の症状を認め,ど ちらも GABA の機能障害の存在が示唆されてお り,そのためにベンゾジアゼピン系薬物や ECT で効果が得られると考えられている16, 19, 22, 23) カタトニアと ASD の GABA 受容体の研究が, single photon emission computed tomography (SPECT)によって行われている。ベンゾジアゼ ピン受容体測定用リガンドである123I Iomazenil を用いた研究では,カタトニアと ASD ともに大 脳皮質での GABA 受容体の減少が報告されてお り,両者が病態的に近いことを示唆している23, 24) また両者は共通して 15q15-q21 の遺伝的関連性が 疑われている25, 26)。この領域は GABA 受容体を エンコードしているともいわれており,ベンゾジ アゼピン系薬物と ECT の治療効果と関連してい るのではないかと考えられている。 トニアの改善が認められればロラゼパムによる治 療を開始する。ロラゼパムは 1 日 24mg までの高 用量を投与し,6 〜 12 カ月継続する。ロラゼパ ムのチャレンジテストで反応がない,あるいは高 用量のロラゼパム投与で効果が不十分であった場 合には ECT が推奨される。ASD のカタトニアに 対する ECT の特徴として,①両側性の電極配 置,②ロラゼパムを併用することが多い,③フル マゼニルを使用することが多い,④ 3 〜 5 日,連 続で ECT を施行することもある,⑤再発予防の ために maintenance ECT を 1 〜 2 週間に 1 回の 頻度で 6 カ月以上行う,などをあげている。また, Dhossche や DeJong らも ASD のカタトニアに対 する ECT について,Mazzone と同様の内容を述 べている19, 21) しかし,ASD のカタトニアに対する ECT につ いてはいくつかの注意すべき点もある。まず, ASD の患者はてんかんの合併や脳波異常も多い。 詳細な病歴聴取や脳波を含めた術前評価が必要で ある。高用量のベンゾジアゼピン使用によりけい れん閾値が上昇しており,ECT 施行前にフルマ ゼニルを投与することも多いとのことであるが, フルマゼニル使用により刺激直後のけいれんが遷 延したり,遅発性のけいれんが起こるリスクも念 頭に置いておかなければならない。けいれん閾値 を上げる静脈麻酔薬を減量する目的で,ここ最近 報告されている超短時間作用型の麻薬性鎮痛薬で あるレミフェンタニルを併用する方法なども検討 される36) また,前述のように ASD の患者がカタトニア を発症するのは 10 歳代が多いことからも,未成

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年の患者が対象となることも多く,家族へのイン フォームド・コンセントも詳細に行うべきである。 長期間の maintenance ECT が必要となることも あり,その点も含めてリスクとベネフィットを説 明しておかなければならない。未成年の患者に ECT を行うことへの懸念の一つは,発達中の脳 が通電やけいれん発作によって損傷を被るのでは ないかということである。アメリカでは未成年に 対する ECT の施行を法的に制限している州も存 在している。Cohen らは ECT を行った 10 人の 青年の認知機能を長期間追跡調査したところ,認 知機能にはっきりとした障害は認められなかった と報告している37)。また,ECT を行った青年と 対照群の長期予後調査では,学業成績および社会 機能において有意な差を見出せなかったとの報告 もある38)。Cohen らは青年に対する ECT の利用 を決定するうえでの倫理的問題を詳細に検討した 結果,この年齢層で ECT 利用を控えるべき倫理 的理由は見つからなかったとも述べている37)

おわりに

ASD のカタトニアの ECT は一致した見解が 得られておらず,児童思春期の患者が対象となる ことなどもあって議論の余地は多い。しかし,カ タトニアは致死的な状態に至ることもあり,他の 治療で効果が得られず迅速な改善が求められる場 合には,ECT も治療の選択肢の一つとして必要 と思われる。施行前には身体的な評価も十分に行 われなければならず,施行方法や継続方法につい ても検討していかなければならない。 今回の論文は 2015 年日本精神神経学会総会シンポ ジウムの発表内容をまとめたものである。 文  献

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In-Fig. 2.Mazzone による ASD のカタトニアに対する治療指針

ロラゼパムチャレンジテストで効果が得られれば 24mg/ 日まで増量する。効果が得られ なかったり不十分であれば,両側性の電極配置で ECT を行うことを推奨している。 (Mazzone, 2014 16)

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受理日:2016 年 2 月 18 日

【要約】 電気けいれん療法(electroconvulsive therapy:ECT)はカタトニアに対する治療として有

効性が確立されている。近年,自閉症スペクトラム障害(autistic spectrum disorder:ASD)がカ タトニアを呈すると報告されており,他の治療で効果が得られず迅速な改善が求められる場合には, ECT を施行されることも少なくない。また再燃予防の維持療法として maintenance ECT が行われる こともある。今回われわれは,幼少時に自閉症と診断され 40 歳代になって重度のカタトニアを呈し, ECT が症状の改善およびその再燃予防に効果的であった症例を経験したので,若干の考察を加えて 報告する。

参照

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