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未利用エネルギー活用技術学習教具の開発-石油給湯器の排熱による発電-

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Academic year: 2021

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未利用エネルギー活用技術学習教具の開発

―石油給湯器の排熱による発電―

但馬 文昭*, 平野 芹萌**

Development of an

educational tool

for learning technology

exploiting

unutilized energy

―Power generation by the exhaust heat of an oil-fired hot water heater―

Fumiaki TAJIMA and Serimo HIRANO

Abstract― We have developed an educational tool for demonstrating power generation technology exploiting unutilized energy, the exhaust heat energy. The power generation unit used in the tool is composed of three elements, in which a thermoelectric conversion element is sandwiched between a high temperature plate and a low temperature one. The high temperature plate is heated by 60℃ -combustion gas discharged from an oil-fired hot water heater and the low one is cooled by an ice box. We have shown that an electromotive force generated by the thermoelectric conversion element turned on a light emitting diode and that the exhaust heat energy, i.e. the unutilized energy could be still usable.

Key Words― Thermoelectric conversion element, Exhaust heat, Unutilized energy

1.緒言 東日本大震災後,原子力発電の停止等により電力の 安定供給が問題となり,火力発電への依存度の増大を 余儀なくされ,二酸化炭素排出量が増加した.これを 抑制するため,新エネルギーの技術開発やその普及政 策が推し進められてきた.また,さらなる省エネルギ ー技術の必要性は明白であり,未利用エネルギーの有 効活用技術開発が国の重要な政策の一つとして,平成 25年度から推し進められている. 未利用エネルギーは,石油代替エネルギー供給目標 の達成のために促進を図ることが特に必要な新エネル ギーの普及促進を目的として,1997 年に「新エネルギ ー利用等の促進に関する特別措置法」(新エネ法)が制 定され,その後 2006 年新エネルギーの概念の範囲の見 直しが行われた際に「未利用エネルギー」がその中に 位置づけられた[1]. 未利用エネルギーの具体例としては,生活排水や 中・水・下水処理水の熱,清掃工場の排熱,変電所の --- * 現 横浜国立大学教育学部 ** 現 神奈川県藤沢市立大鋸小学校 や地下街の冷暖房排熱,雪氷熱などが挙げられており, 熱エネルギーであることから「未利用熱」とも文献[2] では表記されている. 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)では 2015 年度から 2022 年度にかけて「未利用熱エネルギ ーの革新的活用技術研究開発」[3]を進める中で,熱の 3R(熱の使用量を減らす技術,熱を再利用する技術, 熱を変換して利用する技術)を推進している.排熱発 電は熱を変換して利用する技術に位置付けられている. これは二酸化炭素排出量の抑制だけでなく,排熱を抑 制することでも温暖化対策に寄与するものである. 新エネルギーについては,環境への負荷を軽減し, 持続可能な社会の構築のためには重要であり,学校教 育でも取り上げられることが多い.しかし,「未利用エ ネルギー」という用語には一般的にあまりなじみがな く,学校教育においてはほとんど取り上げられていな い. 工場等で排出される熱エネルギーはもとより,家庭 で日常的に便利に使用されている,例えば,給湯器等 から利用されずに捨てられている熱エネルギーをとり あげ,未利用エネルギーについて学校教育において学

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72 習する取り組みには意義がある.その際,日常生活で 使用されている給湯器などから排出される未利用エネ ルギーにより発電ができることを,教具等を用いて演 示できれば教育効果も高められると考えられる. 排熱などの未利用エネルギーを利用した発電教具と して,ここでは熱電変換素子を用いた小型で比較的容 易に作成できるものを考える.熱電変換素子を用いた 発電は,温度差発電の範疇に属する.温度差発電に関 する研究で,温泉を利用した小型で容易に製作可能な 例を示したもの[4]や,中学生を対象とした教具の開発 事例[5]がある.しかし,実際に家庭で利用されている 機器等から排出され,捨てられている未利用エネルギ ーを利用した発電教具開発等の事例はない. そこで,本論文では,実際に家庭で利用されている 石油給湯器を用いて熱電変換素子を使用した排熱発電 教具を開発することを目的とする. 2.排熱発電教具の構成 2.1 熱電変換素子について 本研究では,「ペルチェ素子」の商品名で販売されて いるものを用いた.図1に使用した熱電変換素子を示 す.これは,P 型と N 型の熱電半導体を銅電極にはん だ付けした構造で,N型からP 型へ直流電流を流すと, 表の接合面から熱を吸収して裏の接合面へ熱が移動す る.逆に,P 型から N 型に電流を流すと,熱の移動は 逆になる.この熱の移動をペルチェ効果と言い,この ような半導体素子のことを熱電変換素子という.この 素子は逆にその表裏に温度差を与ええると,ゼーベッ ク効果により起電力を発生できる.本教具ではこの効 果を利用して排熱による発電教具を作製する. 2.2 排熱による発電教具の概要 使用した石油給湯器(N社製 OTQ-C4703AY)は, 従来の給湯器とは異なり,熱効率約95%の高効率タイ プで,二酸化炭素の排出量が大幅に削減されている. このため,従来は灯油燃焼後の排気温度が 200℃程度 であったものが,60℃程度までに抑えられている. 開発した排熱発電教具の概要を図2に示す.給湯器 の側面には,図3のような排気口があり,その近傍に, 銅版(板厚2 mm)とアルミ箱で8個の熱電変換素子 を挟んで固定する.このとき,銅板とアルミ箱を締め 付けるネジには,温度差による熱伝導を抑えるため樹 脂製のものを使用した. 排気口からは 60℃程度の灯油燃焼後のガスが排出 され,排気口近傍の銅板を熱する.アルミ箱には今回 図1 熱電変換素子(1 辺 3 cm) 図3 排気口 図2 排熱発電教具の模式図(側面図) 排気口 石油 給湯器 銅版 (高温側) ア ル ミ 箱 (低温側) 排気 熱電変換素子 (2×4 = 8 個) 排 熱 発 電 ユ ニ ッ ト

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73 の排熱発電実験では氷を入れることで銅板とアルミ箱 の間に温度差を発生させ,熱電変換素子に温度差を与 え,ゼーベック効果により起電力を発生させる.排気 温度が従来のような給湯器で 200℃程度であれば水道 水や河川水等でも十分な温度差をつくれるが,今回使 用する石油給湯器では排気温度 60℃とかなり低温で あるため,アルミ箱に氷を入れて発光ダイオードを点 灯できる温度差を発生させる. 1個の熱電変換素子では,温度差が60℃程度の場合 起電力が0.5~0.7 V 程度であるため,8個直列に接続 し,発光ダイオードを点灯できるようにした. 直列 に接続した8個の熱電変換素子で発生した起電力は抵 抗(図では省略)を介して発光ダイオードに供給され, 発光ダイオードが点灯すれば,排熱による発電が確認 できる. 3.結果と考察 3.1 熱電変換素子の温度差と起電力 図4に作成した排熱発電ユニットの温度差と起電 力の関係(無負荷)の実験結果を示す.これより, 温度差 60℃程度で 5V 程度の起電力が得られ,発光 ダイオードの点灯も十分可能であることがわかる. 図5,6に石油給湯器の排気口近傍に排熱発電ユ ニットを取り付けた様子を示す.排気口から出され る排気を妨げず,かつ排熱により銅版とアルミ箱の 間に十分な温度差が得られるように離しすぎない 程度の距離(10 mm)を保つように取り付けている. 3.2 石油給湯器の排熱による発電実験 屋外に設置されている石油給湯器を稼働させて 排熱発電ユニットによる発電実験を行った結果の様子 を図7に示す.赤色発光ダイオードが点灯している様 図4 温度差と起電力の関係 40 60 80 2 4 6 8 温度差(℃) 起 電 力 ( V ) 図5 石油給湯器の排気口近傍に取 り付けた排熱発電ユニット(側面) 図6 石油給湯器の排気口近傍に取り 付けた排熱発電ユニット(正面)

(4)

74 子がわかる.赤色発光ダイオードは,2 V 程度以上の 起電力があれば点灯させることができる. 図8には,給湯器を稼働させてから 11 分程度経過 するまでの排熱発電ユニットにより発電された起電力 の変化の様子を示す.これより,起電力が2 V 程度と 3 V 程度の間を上下していることがわかる.これは, 給湯器からの排気温度が高温時と低温時の間で変化し ているためで,本実験で使用した給湯器がそのような 動作をして湯温を調整するように設計されているため と思われる.本実験では,赤色発光ダイオードは,常 時点灯できるが,青色や白色発光ダイオードでは,起 電力が2 V 程度の時は点灯が難しいと考えられる. 今回は,石油給湯器の排気温度が60℃程度と低温で あるため,熱電変換素子の低温部に氷を用いたが,通 常の給湯器で排気温が200℃程度以上である場合や, 積雪地域や低温の河川水等が利用できる地域で,屋外 に設置されている給湯器であれば,氷を使用するまで もなく,容易に排熱による発電実験ができる. 以上から,石油給湯器から排出され,捨てられていた 未利用エネルギー(排熱)により発電し,発光ダイオ ードを点灯させる教具を開発し,実際に未利用エネル ギーが利用できることを視覚的に示すことができるこ とを明らかにした.未利用エネルギーは新エネルギー に位置付けられているが,知名度は低い.しかし,利 用できる可能性が残っているにもかかわらず捨てられ ているという現実に目を向けさせるきっかけを学校教 育の中で与えることには教育的意義がある.本教具は そのような場面で学習効果を高める可能性を持ってい ると考えられる. 4.結言 身近な石油給湯器を用いた排熱発電教具を開発 し,発光ダイオードを点灯させて分かり易く示すこ とにより,新エネルギーの一つに位置付けられてい る未利用エネルギーについて学校教育の中で理解 させることができる可能性を示した. 物質的なごみは目に見える形で存在するため,問 題として分かり易いが,未利用エネルギーは目に見 えない形で捨てられているため,気づかせることが 容易でない.本教具がそのような場面で効果的に利 用できると考えている. 参考文献 [1]資源エネルギー庁:エネルギー白書 2007(2007) [2]資源エネルギー庁:エネルギー白書 2016(2016) [3](国立研究開発法人)新エネルギー・産業技術総合 開発機構,未利用熱エネルギーの革新的活用技術 研究開発,http://www.nedo.go.jp/activities/ ZZJP_100097.html [4]武藤佳恭:熱海温泉での温度差発電, 日本熱電学会 誌, 第7巻, 第3号, pp.11-14(2011) [5] 山本利一, 角和博, 池上康之: 温度差を利用した エネルギー学習教具の開発, 佐賀大学理工学部附属 海洋熱エネルギー変換実験施設 [ほか],OTEC / 佐 賀大学理工学部附属海洋熱エネルギー変換実験施 設, 佐賀大学理工学部編 Vol.15, pp.9-12(2010) 図7 石油給湯器からの排熱による 発電と発光ダイオードの点灯実験 図8 給湯器稼働実験時の起電力の変化 0 5 10 0 2 4 経過時間(分) 起 電 力 (V )

参照

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