常温核融合の検証実験
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(2) 石塚宏度. 2. ぞれ 1.25,l0cmが使用された。 発生した熱量の 測定結果は以下のよ. う. であ. った。. 電極体積に比例する。 ②発生した過剰 熱は loW/cm3.Pd 電極で 120時間続き、 その全量は 4MJ/cm3.Pd に達 した。 この大きな過剰勲の 発生は核反応以覚考えられない。 ③燕出力は電気入力を 越え、 場合によっては 100% 以上の発生過剰もあ り得る。 の 熱発生の凄さは Pd 電極のかなりの 部分が溶解し、 一部は蒸発した。 過剰 熱 が何らかの核反応によって 発生したとすれば、 その 1 つは重水素同士の 核融合で あ り、 他には重水素と Pd 電極との間で 起こる Pd(d ,a) 等の核反応が 考えられる。 また ①過剰熱の発生は 電流密度に依存し. 発生した過剰 熱は ついてそれに 見合うだけの 中性子が発生しない 点に対しては 何らかの中 性子捕獲反応や 別種の核反応が 存在する可能性も. 考えられる。. 重水素の核融合反応は 加速器を使った 実験から次の 二つの反応が. 50% づつ 起こるという. 結果が得られている。 D@. +@. D--@. T@. +@. p@. +@. 4.02@. MeV. (. D@. +@. D@@. He@. +@. n@. +@. 3.25@. MeV. (2). Ⅰ. ). Fleischm ㎝ n 等はこの重水素の 核融合を検証するため T(T 「 ntium) および n(neutron)の 測定を行った。 n の発生は重水素の 核融合を直接的に 立証するものと 考えられている。 T は市販されている 重水の中に初めからあ る程度含まれているためそれ 以上の生成反応 が起こらないと 測定にかからないという 制約があ ① 5 階建の建物の 地下. 1. る。 測定結果を次に 要約する。. 階で行われた 重水電解中の 中性子測定は. 中性子線量率 討て 50 時間行われ、 バックバラウソ. ド. の 3. BF3カ ウ ソタ一内蔵 の. 倍の中性子を 検出した。. 検出効率で補正をすると 中性子発生率は 4Xlov/secと見積もられる。. ② T の測定は電解中の 重水を lml づっ 一定時間ごとに 採取し、 液体 シ ソチレータ一で 計 数した。 T の生成率は 4xlov/secと見積もられる。 ③電解セルを 冷却する水槽の. H,O と発生した中性子が H(n, WD の核反応を起こして ァ. 2.25MeV のⅠ線を放出する。 この 線を N 瓜 Tl) ァ線 検出 器 で測定した。 と報告している。 このような Fleischm ㎝ n 等の結果に対して、 いくつかの反論が 行われた。 下. 環境中に存在する ウラソ 系列の "Bi が放射する 2.20MeV の誤認. ではないか。. 対して、 Fleischmann等は中性子数の 少ない点については、 何か別種の 核反応の可能性を 示唆している。 Ⅰ線についてはその 後、 精度の高い Ge 検出器の測定 結 果を示して反論した。 Jones等は Pd あ るいは Tiを陰極にし、 Au を陽極にした 重水の電気分解を 行った。 中性 子測定の特徴は 液体 シ ソチレーターと。Liを含むガラス シ ソチレーターを 組み合わせ、 さ らに遅延同時計数法を 採用して、 バックバラウソ ド を減らし、 発生した 2.45MeV の中性 子の数 とェネ、 ルギーを同時に 測定したことであ る。 その結果は これらの指摘に. @@@@@. ァ. i. (b) 線の測定結果は、. 11 |. ぎる。. 1@@@@. 少なす. ノー. (a) 過剰 熱 に見合う中性子数は 10"∼ K0"/secと計算され、 測定された中性子数が.
(3) ①核反応は電極表面で. 3. 常温核融合の 検証実験. 起こっている。. ②電極への重水素吸蔵 のための予備電解は 不必要で、 中性子は直ちに 発生する。 ③中性子発生率は 4xK0"v/secであ る。 JOones等はこの核融合反応は 確率が低く 、 新しい ェネ、ルギー源にはなり 得ないと述べて いる。. き. 3. 横浜国立大学の 研究チームによる 中性子測定. つのグループからこのような 重水素の核融合を 示す実験結果が 発表されたため、 それ を検証すべく 世界中で数多くの 研究者や研究機関が 追実験を開始した。 我々横浜国立大学 2. の 研究者も直ちに 研究組織を作り 実験に着手した。 ". 重水の電気分解中に、 重水素の核融合が 起こり (1) 、 (2) の反応が 50% づつ 起こると 仮 走 すれば、 バックバラウソ ド を上回る中性子の 測定が可能であ ろうし、 何か別種の核反応 が起こっているならば、 それを確かめなくてはならないと 多くの研究者が 考えたのは当然 であ った。. き. 3. ] 実験室の環境. 中性子は宇宙線と 大気との核反応で 生成されるため 地上では無視できない 量が存在して いる。 その影響を減らすために、 地下室や地下深くまで 掘られた トソ ネル、 坑道などがし ばしば利用されている。 我々の実験装置は 立教大学原子力研究所の 洞窟 ( 地下約 30m) に 設置された。 地上に較べ中性子のバックバラウソ ド は約 1/30 であ る。 この地下の洞窟は 年 間を通して気温 15 土 n で,湿度65% ( 除湿 器 使用 ) を保持した。 実験装置にとって 多少湿度 が高い点を除 けぽ 、 良好な実験環境であ った。. 3. き. ・. 2. 実験 装 五の概要. 中性子検出 詰 は ReuterStokes 社製の五 e 比例計数管 3 本を使って構成した。 発生する高 速中性子の検出効率を 上げるためにパラフィ. ソ ブロックを用いて 減速する。 直径 18cm 、. 高さ 12cm のパラフィ ソ ブロックの中心に 3.5cm の中心 孔を 開けて電解セルを 置く。 中心 から 6.2cm の仕置に,He カウソタ一 な 3 本均等 (120度 毎 ) に配置した。 これらの配置はぬ 0f 中性子線源を 用いた検出効率の 詳細な実験結果に 基づく最良の 配置であ る。 この中性子検 出 器を 2 組用意した。 1 つ ( 検出 器 A) は電解実験に 伴う中性予測定に 、 他の 1 つ ( 検出 器 B) はバックバラウソ ド の測定に用いられた。 検出 器 A はさらにその 周囲をホウ酸入り の水タンクやホウ 酸入りのパラフィ ソ ブロックで遮蔽した。.
(4) 石塚宏度. 4. 5. 3.3 中性子測定の 結果. この洞窟内における 中性子バックバラ ウ ソ ド は検出 器 A で l5.6counts ル Ⅰであ った。 &Cf 中性子線源を 用いて校正した 検出 器 A の検出効率は 4.7% 、 バックバラウソ ド の等 価 中性子 源 強度換算 値は 0 , 092n/s であ った。 この性能はこの 時点では国内でも 屈指のも のであ った。 寛解セルは直径 4mm 、 長さ 9.5mm の Pd 棒を陰極に、 螺旋 状の Ni 線 ( 直径 1.5mm) を陽極にし、 電解質として LioD(0.lmol/dm3) を用いて重水の 電気分解 な 行った。 予備電解 100mA(76mA/cm2) を 20 日間行い、 21 日目に 5 分間、 30 日目に 1 時 間だ け 電解電流を 500mA (3㏄ mA/cm2) に増加した。 この 2 回の電流増加後 2.5 ∼ 3 日後 に バックバラウソ ド レベルに比べて 十 3<r に達する計数値を 得ている。 この値が統計的に 有意な差であ るか否かは判断し 難いところであ る。 それは 一 3<r 程度の計数値がその 前後 で測定されているからであ る。 仮にこの時の 測定値が重水素の 核融合で発生したとして 中 佳子の発生率を 求めてみるとおおよそ 4X10-v/sec となる。 あ らためて 3 グループの 中性子発生率を 示すと次のようになる。 Fleishmann. Jones 等 Y ,N .U .Group. 4x10. Vsec. :. 4X. :. 4 x 1O-v/sec以下. Ⅰ. 0 一 1/sec. われわれが観測した 中性子数は 27counts/sでこれはバックバラウソ ド 中性子数の平均 値 15.6counts/s の約 2 倍であ った。 しかし再現性のないこのような 現象を核融合に 伴 う 中性子発生と 考えることには 無理があ ろう。 なお測定システムに 関して言えば、 Jones レベルの中性子が 発生すれば楽に 測定し得る 優れた装置、 環境を作り上げたと 思っている。. き. 4.pd 生種の残留放射能の 測定 前述したごとく 重水素の核融合に 伴って発生する 中性子の数は Fleischmmn. 等の場合で. その発熱量から 推定すると 1010 ∼ 10"n/secという膨大な 量であ り、 直ちに検出可能であ る。 もしそれが防御なしに 電気分解セルから 外部に放射されたら 人体にとっても 危険であ った と. 思われる。 しかし未だかって 過剰熱の発生と 同時に多量の 中性子発生が 測定された例は. 無いのであ る。 過剰 熱 だけ、 或いは中性子だけが 測定されているのであ る。 またその中性 子 発生数は極端に 小さいものであ. る。 そこで我々の 検証実験は次の 段階すなわち 重水素の. 核融合ではない、 別種の核反応を 探る実検に移ったのであ る。 その核反応の 探索は当然 電 極を構成している 元素 Pd と重水素との 間で起こるものが 中心となる。 もしそれらの 核反 応があ ればその痕跡が Pd 電極内に残るはずであ る。 この残留する 未知の放射性同位元素 を 探るために高純度 Ge 検出 器 を用いた Pd 電極のⅠ 線 測定が行われた。.
(5) 常温核融合の 検証実検 5. 4.. ]. 5. 高純度 Ge 検出 器 (H.P.Ge 検出 器 ) の概要. Pd 電極の測定は 20keV. ∼ 2.5Mev. 範囲の X, T 線を 1 つめ 検出 器 で同時に測定できるこ と、 ェ ネルギ一分解能も 優れていることが 必要であ る。 このような条件を 満足させるもの が H.P,Ge 検出 器 であ る 0 今回使用した ORTEC 社製の GMX 一 l5185 一 P の主な仕様は 次 の とおりであ る。. ① "Co の 1.33MeV ァ 線に対して、 相対効率 15% 、 半値金巾 1.85keV であ る。 ② 鹿 (0.5mm) の 窓と、 ㏄の不惑 層 (p") がイオ ソ 注入 法で 0 3 件 m と薄いため 低 エネ、 ・. ルギ一の X 線まで測定が 可能であ る。. ③有感体積は 約 80cc であ り、 その Int Ⅱnsic photo ぴ曲 E 田 ciency は約 3.3% と見積もら れる。 これは入射した 1.33MeV の 線のうち光電ピークとして 計数される割合を 示 ァ. している。 ④ Preamp の FET が㏄ 一 C 卍st 杣と 共にカプセルに 封入され液体窒素温度まで 冷却され. ているため無雑音が 小さい。 ⑤検出 器 バイアスが一腔 ooV と高く電荷の 収集をほぼ完全にしている。 等の特長を持っている。. 5. 4.2. BaCkG. 「. ound. ァ 線の低減. Fig.1 に工学部大学院棟 308 測定 重の BackGround. の. 下. 線スペクトルを 示す。. (A) は検出器を遮蔽せず、 そのまま部屋に 置いて測定したものであ. る。 周辺に置かれた. 鉛の X 線や K 一 40 , U 系列、 Th 系列などに属する 移しい数のⅠ 線 ピークが観測されている。 これらの下級 は No.14 の Cs 一 137. ( 核分裂生成物. 一 核実験による. ). を除いて全て 天然に存. 在するものであ る。 (B) は Pblocm で Ge 検出器を遮蔽 し 更に Pb と Ge 検出器の間に Cu 板 l0mm を挿入したものであ る。 Cu 板は Pb から出る 72keV,75keV の X 線を遮蔽するためで あ る o A,B 共に測定時間は 4 日間 (345,600s)であ る 0 ァ線のピークに 付けた番号は Fig.2 と共通のものであ る。 主なピークのエネルギー 値や核種名は Fig.2 を参照されたい。 エネルギー値によって 異なるけれども、 低いエネルギー 範囲 (20keV ∼ 0 5MeV) で 1/100 ∼ 1/40 に、 また高いエネルギー 範囲 (0.5MeV ∼ 2.3MeV) では 1/40 ∼ 1/20 に 曳ckGround の 線が低減化されている。 ・. ァ. S4.3 Pd 電極の測定結果 横浜国立大学工学都エネルギー 工学の大田研究室で 行った Pd を陰極にした 重水の電気 分解において、 いくつかの サソブ ルに 1% ∼ 数 拷の過剰熱の 発生が観測された。 この時 使 用. した Pd. 電極. 推 1)の. ガソマ線 測定の一例を Fig.2 に示す。 測定範囲は 22keV ∼ 2.3MeV で. あ り、 測定時間は 3 日間であ る。 Fig.2 に現れている 主なⅠ線のピークは K 一 40 , G 一 137 以 外は全て天然に 存在する放射性核種であ. る. ウラソ 系列、 トリウム系列などの 壊変系列に属.
(6) 石塚宏度. 6. 11. 13. (B)@ Shield@@0@(Pb:10cm ,Cu:10mm). Fig. l. 4000 3000@[@Channel@]. 2000. 1000. 0. Back. Ground. の. 下. 線スペクトル. する核種のものであ る。 Pd 電極を測定したこのスペクトルからは 新たなガンマ 線 ビーク は 1 本も観測されなかった。 電極材料の Pd と陽子 (P) や重水素 (d) との核反応 (注 , ) の 可能性を考えた 時、 比較的半減期の 長い ,。, Rh ( 半減期 :3.3y) や "彼h( 半減期 :2.gy) は Pd 電極に残留し 測定される筈であ る。 ㎝ 3) しかしこれらのピークが 測定にかからなかっ たことはこれらの 核反応が存在しないことを 意味している。 また重水素の 核融合で発生し た 膨大な量の中性子が 電極内で捕獲されて 電極覚にほとんど 出てこないという 可能性は Pd の熱中性子の 全吸収断面積が 8.0b 虹n という小さい 確率でしか 起 こらないことを 考慮す るとほぼ完全に 否定される。 仮に℡ Pd(n, 「 ),。,Pd の中性子捕獲反応 (4.8barn) で℡ Pd ( 半減期 :17d) が生成していれ ば この核種が 虔 崩壊 (EC) の捺に放射する 20keV,23keV の特性 X 線が測定される 筈であ る。 しかしこのような 特性 X 線は見つかっていない。 以上 の 実験事実の考察から 過剰な熱発生に 見合う何らかの 核反応は存在しないと 考えるべきで あ る。 ( 注 l) R 一 46 と名付げられた 直径 2mm, 長さ 13mm の Pd ロッド。 表面に 10 um , の Ni メッ キ。 電解条件は弱電解として lomA/cm2 の 定 電流電解を 1 週間行い、 次いで本電解として 5W の 定 電力電解を 1200 時間行った。 この電解実験の 結果は過剰 熱 が発生しその 最大値は 5W の 6% にあ たる 0 28W となった。 また 1200 時間の熱収支の 平均は 103% となった。 な お陽極は螺旋 状の Pt 線であ る。 ・.
(7) o﹁. 。. o﹁. 。 ⅠⅩⅠ. 。. 由卍 口コ0、. or 寸. しノ. 7. 常温核融合の 検証実験.
(8) 石塚宏度. 8 (注. 2) Pd の同位体. ( 存在地 ). と予想される 核反応は以下の 通りであ. ,Tpd(l1%), ,"Pd(22.2%) ,Tpd(D,a)l0 ,Rh , ,upd(d,ff)l%h , ,Tpd(p,. る。. ,。乍d(l.0%),. (注. ㏄ )l%h. 3) l0RRhが放射する. ァ線. :127.2keV(73%),198.0keV (71%),. 475.lkeV (95%) ,。欠 h が放射する ァ線 : 475,lkeV(95%),631.lkeV(56%), 697.5ke Ⅴ 44%)@ , 766.8keV 34%) ,. 1046keV(34%) き. 5. おわりに 横浜国大と立教 原所 において中性子計測と Pd 電極の残留放射能の 測定を担当したが、. 重水素の核融合や 他の核反応の. 兆候を見いだすことはできなかった。 S.E.Jones等の実験. 装置を東大宇宙線研究所地下観測所 れた日米の共同研究. ( 岐阜県神岡町 ) の 低 バックバラウソ. (1991)でも核融合につたがるような. ド. 巨大水槽に入. 中性子発生のはっきりした 証拠. は描めなかったのであ る。 この 9 年間に、 一体何が起こり、 ど う 展開していったのであ ろうか。 その全貌が明らか になるには今しばらくの 時間が必要かと 思われる。 なお、 中性子測定について 多くの便宜とご 指導を頂いた 立教大学原子力研究所、 白石文 矢 先生、 高見味漬先生およびスタッフの 方々にこの場をお 借りして深く 感謝致します。. 参考文献 1) 常温核融合. F. D. ピート 著 , 青木 薫訳 吉岡書店 2)@ M . Fleishmann@ &@S Pons , J , Electroanal Chemi ,,261 , 301@ (1989) 3)@ S , E , Jones@ et , al, Nature@ , 338@ , 737@ (1989) ・. 4) 教育研究特別経費 (1989): 5) アイソト一. プ 便覧. 改訂 3 版. ・. 「常温核融合の 基礎的研究」報告書. 丸善.
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