精巣特異的発現と多重プロモーター
著者
田村 眞理
精巣特異的発現と多重プロモーター
プロテインホスフアタ-ゼ2Cβ遺伝子の発現制御
(課題番号 08670133) 平成8年度∼平成9年度科学研究費補助金(基盤(C)) 研 究 成 果 報 告 書 平成10年3月20日研究代表者 田村 寅理
東北大学加齢医学研究所遺伝子情報研究分野 教授は し が き
研究組織
研究代表者 田村真理(東北大学加齢医学研究所 遺伝子情報研究分野 教授)研究経費
平成8年度 1、 200千円 平成9年度 1、 000千円 計 2、 200千円研究発表
(1)学会誌等1. Ohmishi, M., Nakagawara, K., Mori, M., Kobayashi, T・, Kato, S・, Sasahara, Y・,
Kusuda, K., Chida, N., Kobayashi, T., Yanagawa, Y., Hiraga, A・, Takeuchi, T・ &
Tamura S・ : Localization of the Mouse protein serine/threonine phosphatase 2Cβ gene to chromosome 17E 4-5. GenomlCS,呈2, (1996) 1341136.
2. Kobayashi, T., Yasui, A., Ohnishi, M., Kato, S・, Sasahara, Y・, Kusuda, K・, Chida,
N・, Yanagawa, Y・, Hiraga, A・ & Tamura・ S・ : Enhanced UV sensitivity of yeast cells
induced by over expression of Mg2+-dependent protein phosphatase α (type 2Cα)・ Mutation Res.,ま昼2, (1996) 213-217.
3. Watanabe, T., Ohnishi, M., Kobayashi, T., Ohishi, M・ &Tamura, S・ : Mouseprotein
phosphTtase 2CP (Ppmlb ) gene maps to the distalpart of mouse chromosome 17・
Genorrucs, 33, (1996) 145-146.
4. Yokoyama, N., Kobayashi, T., Tamur礼S・&Sugiya, H・
Purification and characterization of protein phosphatase 2C in rat parotid acinar cells : two
foms of Mg2+-activated histone phosphataseand phosphorylation by CAMP-dependent
protein kinase. Arch. Biochem. Biophys. 331, (1996) 118・
5. Fukuda, H., Shima, H., Vesonder, 良, F., Tokuda, H., Nishino, H., Katoh, S., Tamura, 且, Sugimura, T. & Nagao, M Inhibition of protein serine / threonine phosphatases by
fumonisin Bl, a mycotoxin.Biochem. Biophys. Res. Commun・ 22g, (1996) 160-165・
6. Takuma, T., Ichida, T., Yokoyama, N., Tamura, S.&Obinata,T・
Dephosphorylation of cofilin in parotid acinar cells・
J. Biochem. 12g, (1996) 35-41.
7. Sasahara, Y., Kobayashi, T., Onodera, H., Onoda, M・, Ohnishi, M・, Kato, S・,
Kusuda, K・, Shima, H・, Nagao, M・, Abe, H・, Yanagawa, Y・, Hiraga, A・ &Tamura・ S・
: Okadaic acid suppresses neuraldifferentiation-dependent expression of the neurofilament-L gene in P19 embryonalcarcinoma cells by posttranscriptionalmodification・ J・ Biol・
Chem. 2n, (1996) 25950-25957.
8. Kato, S., Kobayashi, T., Kusuda, K., Nishina, Y・, Nishimune, Y・, Yomogida, K・,
Yamamoto, M・, Sakagami, H・, Rondo, H・, Ohnishi, M・, Chida, N・, Yanagawa, Y・ &
Tamura. S. : Differentiation-dependent enhanced expression of protein phosphatase 2Cβ in germcells of mouse seminiferous tubules・ FEBS Lett・ 396, (1996) 293-297・
9・ Ching, Y・ P・, Kobayashi, T・, Tamura・ S・・&Hardie, D・ G・ : Specificityof
different isoforms of protein phosphatase-2Aand protein phosphatase-2C studied using site-directed mutagenesis of HMG-CoA reductase・ FEBS Lett・ 411, (1997) 265-268・
10. Kusuda, K., Kobayashi, T・, Ikeda, S・, 0lmishi, M・, Chida, N・, Yanagawa, Y・・
shineha, 良., Nishihira, T., Satomi, S・, Hiraga, A・ & Tamura・ S・
Mutational analysis of the domain s加cture of mouse protein phosphatase 2Cβ・ Biochem. J. in press.
lil Kobayashi, T・, Kusuda, K・, Ohnishi, M・・ Chida, N・&Tamura・ S・
Expression of Mouse Protein Phosphatase 2C in Eschericia coliand COS 7 Cells・
Methods Mol. Biol. in press.
(2)口頭発表
1 sasahara, Y., Kobayashi, T., Yanagawa, Y・ & Tamura. S,
Regulation of neural differentiation of P19 embryonal carcinoma cells by protein phosphatases
第6回国際細胞生物学会(平成8年1 2月1 1日)
2 小林孝安 田村真理
pp2Cによる細胞機能の制御
第70回日本生化学会ミニシンポジウム(平成9年9月24日) 3 Tamura, S.&Kobayashi, T.
Structureand function of protein phosphatase 2C
要旨
pp2Cβには, 3-末端でのスプライシングによる, 5種類のアイソフォー ムが存在する。これらのアイソフォームの内, PP2Cβ-3,-4及び-5は精 巣,腸管に特異的に発現することが判明していた。またcDNAの5'末端は 2種類あり(typeA及びB),typeAをコードするexonの上流には,全身で の発現を司るプロモーター(Pl)の存在が明らかになっていた。本研究で は, PP2Cβの臓器特異的な転写調節メカニズムを解明することを目的に, まず, pp2Cβ遺伝子転写産物の5-端領域の多様性の解析を行い,次に,同 額域をコードするゲノムDNAのクローニング,及び同クローン上に存在 し, PP2Cβの臓器特異的発現を制御すると考えられるプロモーター(P2)の 解析を行った。 まず, 5・-RACE法によりマウス精巣で発現しているPP2Cβ遺伝子の転写 産物について解析を行った。これにより,上記のtypeAをコードする e又on (e又on 1)及びtype Bをコードするexon (exon 3)の配列を含むmRNAの他に,新規のexon (exon 2)の配列を含む転写産物の存在を確認 した。続いて, exon1,2及び3を含むゲノムクローンをライブラリーから スクリーニングし,すでに明らかになっているexonl以外のexon2及び 3の構造を明らかにした。 Rr-PCR法によってexon2の発現の臓器特異性を検討した。臓器は精 巣,腸管,肝臓,腎臓,脳,心臓及び卵巣とP19EC細胞を使用した。 F-pcR産物を泳動後,サザン法による検討を行ったところ,約120bp, 220 bp及び300bpの3本のバンドが検出され,いずれも,精巣,腸管とP19 EC細胞で発現が見られたが,バンド間に若干の発現量の違いが見られたo
肝臓では約120bpのバンドのみが検出されその他の臓器ではいずれのバ
ンドも検出できなかった。今後,これらのバンドに対応する転写産物の塩基
配列等の詳細を検討する必要があるが,これらの結果より,既に明らかに なっているPlによって発現が制御されていると考えられるexon lの発現 が今回検討したすべての臓器で確認できることと勘案して, P2には臓器特異性があることが強く示唆された。
プライマー伸長法による検討で,転写開始点が複数あることが判明し,そ の内,もっともメジャーなものを+1とした。その転写開始点の上流域にお ける転写因子などの結合可能部位の検討では, TATA, CCAAT類似配列を認 めたが,いずれも転写開始点から離れすぎている印象があり,それらの機能 3的関与はさらなる詳細な検討が必要であると考えられた。その他に, SRYが 複数, C一mosの精巣以外での発現を制限していると考えられているNREの コンセンサスが認められ 性分化,精巣機能への関与が示唆された。 Exon2の上流域をルシフェラーゼレポーター遺伝子に組み込み,これを p19EC細胞にトランスフェクションし,この嶺域のプロモーター活性を検 討したところ,コントロールの約8-9倍の活性を認めた。この結果と, wIPCRのデータより, P2がPP2Cβの精巣を含む一部の臓器での臓器特
異的発現を担うプロモーターであることが強く示唆された。
今後は,今回明らかになったプロモーター(P2)の臓器特異性をより直接 的に証明するために,トランスジェニック・マウスなどの発生工学的な検討 が望まれる。また, P2とPP2Cβ-3,-4及び-5の臓器特異的発現との関連 の詳細な検討,さらに, PP2Cβゲノムの解析を進めていく必要がある。序論
細胞内タンパク質のリン酸化,脱リン酸化反応を司るプロテインキナ-ゼ
(pK)とプロテインホスフアタ-ゼが,様々な細胞機能の制御因子として機 能している実態が,最近急速に明らかにされつつある。プロテインホスフア タ-ゼはPKと同様多くの分子種が知られ,その中でセリン及びトレオニン 残基の脱リン酸化反応を触媒するホスフアタ-ゼ(PP)は,基質特異性,金 属イオン要求性,阻害剤への感受性などの酵素学的な性質により大きく4種 類(PP1,2A,2B及び2C)に分類される1'。これらの内, PP1,2A及び2B は触媒,調節サブユニットからなり,それらの触媒サブユニットは相互に 40%程度のアミノ酸配列の類似性が見られる。これに対し, PP2Cは単量 体で機能していると考えられ他のPPとの一次構造の類似性は低い。 PPl 及び2Aにはオカダ酸, PP2BにはシクロスポリンAのような特異的阻害剤 が見出されたことによって機能の解析が進み, PPl, PP2Aが細胞周期に2・ 3),またPP2Bが免疫機能にかかわる情報伝達経路の調節に関与しているこ と4)が明らかになった。これに対してPP2Cでは特異的な阻害剤が見つかっ ていないこともあって,近年まで他のPPに比べて機能面の解析が大幅に立 ち後れていたと言わざるを得ない。 然しながら,晴乳類でのPP2CのcDNAが単離されて以来,最近まで に,他の多くの生物種から, PP2Cのホモログの遺伝子が相次いで単離さ れ, PP2Cスーパーファミリーと呼ばれる多彩な構造を持つ群をなすことが 判明した5'。さらに,それらの分子遺伝学的な解析が進み, PP2Cの多岐にわ たる働きが明らかになりつつある。またごく最近, PP2CγのcDNAがヒ トの骨格筋から分離され6',ファミリーはさらに広がりを見せている。 pp2C及びそのホモログの機能としては,現在までに,晴乳類肝臓におけ る脂質代謝7',小脳におけるカルシウム情報伝達への関与8',出芽酵母では浸 透圧感知機能9', tRNAのスプライシングへの関与10',分裂酵母では熱 ショック11',浸透圧感知機能への関与12',シロイヌナズナでは種子形成,外 的ストレスなどへの応答にかかわるアブシジン酸の情報伝達系への関与13,14' などが明らかになっている。またC.elegansでは,普通, Ⅹクロモソ-ム の数により, ⅩⅩでは雌雄同体, Ⅹ0では雄のいずれかとなるが, FEM-1, FEM-2, FEM-3と呼ばれるタンパク質のいずれかが欠失すると雄性化せ ず,これらの内, FEM-2はPP2Cのホモログであり,そのフオスフアタ-ゼとしての機能が性別の決定に関与していると報告された15'。 FEM-2は性 5分化に関与するPP2Cとして多細胞生物で初めて同定されたものであり,同 様の機能を持つPP2Cが晴乳類にも存在する可能性を示唆する。 現在までのラット,マウスのPP2CのcDNAの単離と解析の結果, pp2Cには異なった遺伝子にコードされているαとβの2種類のアイソタイ プが存在することが明らかになり,さらにβには,単一のpre一mRNAから 3一端の選択的スプライシングによって生じる, 5種類のアイソフォーム, pp2Cβ-1,-2,-3, -4及び-5が存在することが判明している16'。これらの pp2Cβのアイソフォーム間には発現に臓器特異性が見られ β-1は諸臓器 に普遍的に発現し, β-2は脳と心筋のみに, β-3,-4及び-5は精巣と腸管
及び数種類の培養細胞(マウスメラノサイトやP19EC細胞)に発現してい
ることが明らかになった16)。また精巣におけるβ-3,-4及び-5の発現に関 しては,腔性幹細胞,腔性始原生殖細胞ではごく低レベルの発現しか見られ ないが,精巣の成熟にともなって著明に増加し,特にパキテン期の精母細胞 以降の生殖細胞で高発現していることが報告された17'。これらより,精巣に おいて,生殖細胞の細胞機能へのβ-3, -4及び-5の関与が示唆された。 pp2CβのmRNAには, 3-端の多様性だけでなく, 5'端にも多様性が存 在することが,寺沢ら18'とHouら19'によって報告されている(図1) 。寺薄 らによって見出された配列(typeA)とHouらによる配列(type B)は,openReading Frame (OFR)では全く同じで,その5-側非翻訳額域のみが 異なっている。 TypeAはPP2Cβの5種類のアイソフォームに共通に見出 されゲノムDNA上では,これをコードするエキソンの上流にハウスキー ピングタイプのプロモーター(Pl)があり,全身臓器での普遍的な発現に関 与していることが明らかにされている(大西ら,投稿中) 。一方, Houら が生殖細胞のcDNAlibraryからクローニングした, PP2Cβ-3の5.側非 翻訳領域(type B)は,上述のPP2Cβ-3, -4及び-5の臓器特異的発現のデ
ータと勘案すると,精巣を含む臓器に特異的に転写されている可能性が考え
られた。 以上の背景をふまえ,本研究では, PP2Cβの臓器特異的な転写調節のメ カニズムを明らかにする目的で, PP2Cβ遺伝子の転写産物の5'側の臓器特 異性について, 5--RACE按, RTLPCR法によって解析し,さらにPP2C βの臓器特異的発現にかかわると考えられる,新規プロモーターの解析を 行った。材料と方法
RNAの調製
RNA調製のために, 8-10週齢のICRマウス(日本クレア,東京)を使 用し,卵巣は雌から,その他の臓器は雄から摘出した。
組織や細胞からの全RNAの調製には, AcidGuanidinium
Thiocyanate-Phenol-Chloroform法を基礎とした, RNA ZOI B
(TEL-TEST, Friendswood, USA)を使用した。調製された全RNAからDNAを
除去するために, Message CleanKit (GenHunter, Brook止ne, USA)を使
用した。 Poly (A)十RNAは,全NAを01igotex-dT30 (宝酒造,京都)を
使用して精製した。
Rapid Amplification of 5'cDNA Ends (5--RACE)
GIBCO BRL 5- RACE System (Life Technologies, Rockville, USDを使 用した。 Firs卜strand cDNA合成はPP2C βのOpen Reading Frame
(ORF)の起点を+1として+375-+356のアンチ・センス・プライマー
GSPl (GTrCCTCAGGTmGAGuGT,図2A)を使用し, P19 EC細胞,
マウス精巣から抽出した全RNA各1pgより合成した。合成されたCDNA
の3-末端にTerminal Deoxynucleotidyl Transferase (TdT)を使用して,
oligo-dCアンカー配列を付加した。このoligo-dCアンカー配列中のプライ マーと+87-+71のアンチ・センス・プライマーGSP2
(cATACTGmCAGGCCATA,図2A)を使用して, Polymerase Chain Reactions (PCR)を行った。 PCRの条件は, 94℃-1分, 58℃-1分及び72℃
-1分を1サイクルとし, 30サイクル,反応を行った。 PCR反応生成物は,
original TA Cloning Kit (Invitrogen, San Diego, USA)にてクローニン
グした。
DNA塩基配列の決定
DNAの塩基配列はジデオキシ法(ダイターミネータ一法)に従い, DNA
sequencer (perkin Elmer, Model 373A)を用いて決定した。シークエンシ
ングは3■-5-, 5--3-の両方向から行った。
ゲノムDNAのクローニング
マウス・ゲノム・ライブラリーは, Stratagene社(IAJolla,USA)の
129SV種由来のものを用いた。このライブラリーを,寺沢らのcDNAの5'
非翻訳領域に設定したprobeを用いて,プラーク・ハイプリグイゼ-ション 法によってスクリーニングを行った。プローブはランダム・プライマー・ラ ベリング・キット(宝酒造)と[α-32p] dCrP (3000Ci/mmol) (Amersham,
uttle Chalfoont, UK)によって標識した。ファージDNAをHybondN+
(Amersham)にアルカリ・ブロッテイング後, 65℃で約12時間ハイプリ グイゼ-ションを行った。その後, 65℃の2×SSC及び0.1% SDSで15 分間の洗浄を2回繰り返し,オートラジオグラフィーを一晩行った。得られ た陽性のクローンを単離し, DNAを精製後, PGEM-7Zf(+)にサブクロー ニングし解析した。
ゲノムの制限酵素地図の作成
各種制限酵素は第一化学薬品(東京)から購入したものを使用した。 Hou らのcDNAと,今回5'-RACEで得られた塩基配列のゲノム・クローン上で の位置の確認は,それぞれオリゴ・プライマーを設計し,サザン・ハイプリ グイゼ-ション法により行った。なお,それらオリゴプローブの配列は,プ ローブ4は(CCTCAGTmCACGTAGTIAGGACA心,プローブ5は (AGjnGGGACCCCCCAAG刃とした(図4A) 。プライマー,プローブ用のオリゴヌクレオチドはグライナージャパン(東京)に合成を委託したもの
を使用した。Reverse Transcriptase Polymerase Chain Reaction (frr-PCR)紘
First-strand cDNA合成はSuperScript II (Life Technologies), 01igo
(dT)12-18 (LifeTechnologies)を使用し,全RNA 5 pgを鋳型に行った。内部
標準としてglyceraldehyde-3-phosphate dehydrogenase
(GAPDH)の5-プライマー(TGGCATrGTGGAAGGGCTCATGAC)と3-プライマー (ATGCCAGTGAGmCCCGTrCAGC)を使用した20'。 Exon2の臓器特異的発現を見るためにexon2内の5-プライマー (ccTCAGTCCmCACGTAGTmGGACA心とORF中の3-プライマー (AACGCAGACCATrCCCAGCACCG)を用い, PCRを行った。 PCR生成 物は泳動後, HybondN+にアルカリ・プロットし,ジゴキシゲニン・ラベ ルしたexon 3内のプローブ2 (ACCGCTGATTGCmGG)とexon 4内 のプローブ3
hbeling Kit (Boehringer Manheim, Mannheim, Germany)を,その検出 にはDIG Luminescent Detection Kit (Boehringer Manheim)を使用し た。 プライマー伸長法 転写開始点を決定するために,プライマー伸長法を用いた。 -90--73の アンチセンス・プライマー(mGGATGCCCATGGCAA,図4A)を使用 し,その5'末端を[γ-32p]ATP(6000Ci/mmol) (第一化学薬品,東京)で 標識した。マウス精巣Poly(A)'RNAIOpgを, 5 × 104cpmのプライマ
ーと混合し, SuperScript II (Life Technologies)にて伸長反応を行った。
伸長産物は, RNase処理後, 6%(V/v)アクリルアミド, 7M尿素ゲルで 電気泳動した。サイズマーカーとして, BcaBESTDideoxy Sequencing 氾t(宝酒造)のM13mp18ssDNAを,同キットでシークエンス反応を行っ たものを使用した。
細胞培養
本実験では, 37℃,5%(V/v)CO2存在下, 10%(V/v)牛胎児血清を含むα-MEM (GIBCO BRL, Gaithersburg, USA)培地で培養したマウスP19腔
性腫癌細胞(p19 EC細胞)を使用した。
プロモーター活性の測定
図8Aのように, PP2CβゲノムDNAクローンのexon2とその5'側を
含む3種類のfragments ( 5.6 kbp, 3.8 kbp及び1.7 kbp)を,レポーター遺
伝子としてルシフェラーゼ遺伝子が組み込まれたpGL2-Basic Vector (promega, Madison, USA)にサブクローニングした。陽性コントロールに
は, RSV promoterがpGL2-BasicVectorに組み込まれている, PRSVL を使用した。 P19EC細胞へのトランスフエクション効率を補正するため
に, chloramphenicol acetyltransferase (CAT)遺伝子を内部標準として,
ともにトランスフェクションした。トランスフェクションはChen-okayama法21'に従って行った。 6cmプレート1枚当たり,ルシフェラー ゼ・レポーター・プラスミド9pg, RSV-CATコントロール用プラスミド 1pgを用いた。トランスフェクション後,培養細胞を二等分し,半量を用い てピッカジーン発光キット(東洋インキ,東京)によって,ルシフェラーゼ活 性を測定した。残りの半量についてはCATアッセイ22'を行い,ルシフェラ 9
結果 精巣におけるPP2Cβ遺伝子転写産物の5-側の多様性 5--RACE法を用いて, PP2Cβの多様なアイソフォームが発現している マウス精巣における, PP2Cβ遺伝子の転写産物についての解析を行った。 同法によって得られたcDNAクローンの,塩基配列の決定を行った結果, GSP2プライマーからORFを含むexonの5-側非翻訳領域14bpまで は,いずれのクローンにも共通で,その5-側には,寺沢らが発表した塩基 配列を持つもの(typeA)と, Houらが発表したcDNAの塩基配列を持つ もの(typeB)とに分けられた(図1) 。 TypeBのクローンはいずれも, Houらの発表したcDNAの最も5-側の8塩基(図1D,2B)の代わりに, 32塩基の別の配列を有し,さらに,その5-側には最長のクローンで, 38 bpの配列を認めた(図2C) 0
ゲノムDNAのクローニングと制限酵素地図作成
Houらの示したcDNAと5--RACEによって得られたクローンとでは, それらの最も5■側で塩基配列が異なっていたので,ゲノム上でのそれらの配 列の有無を確認するために,ゲノムDNAライブラリーのスクリーニングを 行い,同領域を含むゲノムDNAをクローニングした。 マウス・ゲノム・ライブラリーからの190万個のクローンのスクリーニン グを, typeA領域のプローブ(プローブ1,図4A)で行った。その結果得 られたゲノムDNAクローンの解析により,全長約1.7kbpの嶺域の制限酵 素地図が作成された(図3) 。さらに,図4Aに示したtypeB内のプロー ブ2,またRACEで新たに確認された配列内のプローブ4を用いて,サザ ン・ブロッテイング解析を行ったところ,ゲノム・クローン内に,それらの 配列を含むexonの位置が確認された。これらの結果に基づいて,寺沢らに よって報告されたtypeAのexonをexon 1,今回の5'-RACEで得られた 嶺域をexon2, Houらによって示されたtypeB領域をexon3,その3' 側に続くORFの開始点を含む領域をexon4と名づけた(図3,4A) 。 次に, exon3のexon-intronの境界を明らかにするために,この領域 を含むゲノムDNAクローンのシークエンシングを行った(図4B) 。その 結果得られた塩基配列は, 5--RACEの際に得た配列(図2B)を含んでいた が, Houらが示したcDNAの5-側8塩基は含まれていなかった。 Exon3のexon - intronの境界の塩基配列は,一般的なexon - intron境界のコン
センサス配列の通りであった(図4B) 。 Exon 2の臓器特異的発現の検討 RT-PCR法にて, exon2の臓器特異的発現の検討を行った。 5-プライマ ーをexon2内に,また, 3■プライマーをexon4内(図4A)に設定し,マ ウスの7臓器(精巣,腸管,肝臓,腎臓,脳,心臓,卵巣)とP19EC細胞 から抽出した全RNAを用いて, RT-PCRを行った(図5A) 。この際,同 時に,同試料を用いてGAPDHについてRr-PCRを行い, RNAの逆転写 反応が正常に行われたことを確認した(図5D) 0 PCR生成産物を泳動した ところ, 8種類のRNAのうち精巣でのみ, 220bp付近と120bp付近に 2本のバンドがはっきりと検出されたが,他のサンプルでは,全体にsmear 状に見えた(図5A) 。この泳動ゲルをサザン・ブロッテイングし, exon3 内のプローブ2 (図4A)でハイプリグイゼ-ションを行ったところ,精巣 で強く,また腸管及びp19EC細胞でやや薄く, 220bpのバンドが検出さ れたが他の臓器ではバンドは検出されなかった(図5B) 。今回RT.PCRに 用いた両プライマーの間の長さは215bpであり,このバンドはexon2-exon3-exon4 と続く転写産物に対応すると推定された(図5E-2) 。 次に, ORFが始まるATG配列から3-側に19bpのプローブ3で,同じ メンブランをハイプリグイゼ-ションしたところ, 220bp及び120bpの他 に約300bpの,計3本のバンドが,精巣で強く検出された(図5C) 。腸 管でも,これらに対応する3本のバンドが検出されたが, 300bpのバンド はごく弱く,またP19EC細胞では, 120bpのバンドに比べて, 220bp 及び300bpのバンドはごく弱く検出された。肝臓では,プローブ2では検 出できなかった120bpのバンドのみが検出された。
転写開始点の決定と転写因子結合可能部位の検討
exon2上流にプロモーター領域が含まれるか否かについて検討するため に,まず,ブイマ-伸長法による転写開始点の決定を試みた(図6) 。マウ ス精巣から精製したpoly(A)'RNAをテンプレートとして用い,プライマー をexon 3内(TITGGATGCCCATGGCAA,図4A)に設定した。主な転写 開始点と考えられる,最もシグナルの強いバンド(+1)の他にも, +4, +6及び+8の3ヶ所にシグナルを認め,転写開始点が複数あることが示唆され
た。 さらに, exon2の周辺に存在する可能性がある,転写を制御する様々な因子の結合可能部位を調べるために,主たる転写開始点から約700 bp上流 までと,約500bp下流までの塩基配列を決定した。実際に転写因子が結合 する際の配列には,発表されているコンセンサス配列から多少のゆらぎがあ ることを考慮し, 1-2bp程度のゆらぎも許容することとして,この領域 の塩基配列と結合の可能性のある転写因子を表示した(図7) 。 転写開始点の上流約一55付近に, TATA-1ikeの配列が見られ さら に, -390,-445付近に, TATAbox23)が確認された。また, -130付近に, CCAAT-likeの配列が見られ, -605付近に, CCAATbox23)の存在が見ら
れた。その他に,複数のSp124・25), CCAAT/enhancer binding protein
beta (CEBP) 26, 27)及びsex-determining region of Y gene product (SRの
28・29)の結合配列が認められた。また, C-mosの精巣以外の臓器での転写を
阻害する因子として報告されているnegative regulatory element (NRE)
のbox 1, 2及び3 30・31)がexon2を挟む様に存在していた。 プロモーター活性の測定 Exon2上流域にプロモーター活性があるか否かを,ルシフェラーゼ活性
測定によって検討した。転写開始点より下流域を含む3種類の長さの5'近
接額域を,ルシフェラーゼ・レポーター遺伝子に結合したプラスミド(図 8A)をP19EC細胞へトランスフェクションし,活性を測定した。これら のプラスミドの活性は,陰性コントロールのpGL2-BasicVectorで見られ る活性を1とした時の比活性で図に示す(図8B) 。組み込んだ3種のプラ スミドでは,いずれも, pGL2-BasicVectorの約8 - 9倍の活性が見られ た。このことから, exon2の上流にはプロモーター活性があることが確認 された。 13考察 本研究では,まず, pp2Cβ遺伝子転写産物の5-端の多様性と臓器特異性 の解析を行った。さらに,その結果に基づいて,ゲノム上にその存在が予想 されたPP2Cβの臓器特異的発現を制御すると考えられる新規プロモーター の同定を行った。 E又on 3の5'側最末端における塩基配列の相違 今回の5--RACEによる転写産物の解析及びゲノムDNAの解析により, typeBの5-側非翻訳領域のゲノム上での位置が明らかになったが, exon3 として同定された同配列とHouらの発表した塩基配列では, 5-側最末端で 相違が見られた。この原因の一つの可能性として, 1つのexonの途中でス プライシングが起こる場合を考慮したが,その場合, exon内であっても
splice acceptor siteとしてexon - intron境界のコンセンサスが守られる
ことが多いとされるが32),今回の相違部にはそのコンセンサス配列は認めら れない。これより,この相違がexon3内でのスプライシングによって生じ たとは考え難く,原因の解明にはさらに解析が必要である。 Exon 2を含む3種類のRr-PCR産物 今回の実験で,新たにexon3の上流にはexon2が存在することが明ら かになり, 5'-RACE法の結果より, exonlを転写しない転写産物(図 5E)の存在が強く示唆された。図5B及びCで見られた約300bp, 220bp 及び120bpのバンドに対応するRT-PCR産物は,そのバンドのサイズ及び 各exon内に設定したプローブによるサザン法の結果より, 220bpのバン ドはexon2-3-4-と転写される産物(図5E-2)であること, 120bpの バンドはexon3内のプローブではhybridizeしないこととそのサイズから exon3をスキップしてexon 2からexon4へと続く産物(図5E-3)であ ることが推定された。また,約300bpのバンドは, exon3よりやや大き い,未同定のexon (図5E-4)が, exon2とexon4の間に存在すること を示す可能性がある。しかしfnLPCR産物を泳動した図5-Aではそのバンド
がほとんど確認できないのに対し,図5-Cでは約220bpのバンドと比肩す るはど強くシグナルが観察された。この300bpのバンドを含め,これらの 転写産物の詳柵については,それぞれ塩基配列を確認し,新たな塩基配列が
pp2Cβの5■側の多様性と臓器特異性 pp2Cβの5-側のスプライシングはヴァリエーションに富んでいることが 今回の実験により示唆され,それがPP2Cβの機能の広がりを示唆するもの と考えられる。 pp2Cβ遺伝子で見られたような5-側非翻訳領域での選択的スプライシン グは, TATA-binding protein遺伝子など多くの遺伝子で報告され33',転写 されるexonの選択により数種類のmNAを生成することが知られてい る。これらの5'側でのスプライシングは,多くの場合,その遺伝子のある特 定の臓器での発現を担うものとして同定され,同時にその臓器特異的な転写 を制御するプロモーターも確認されることが多い。 また,この様な5-末端のスプライシングによる多様な転写産物の存在は今 まで,多臓器間での多様性34'の他に,同一臓器の場合でも,血球系35'や神経 系36),精巣などで多く報告されてきた。特に精巣では,一つの遺伝子から転 写されるmRNAの多様性を報告しているものは多い33・37・38,39)。これら精巣で の5-側のヴァリエーションに特徴的なのは,これらの多くは5-非翻訳領域 の相違にとどまり,使われたプロモーターが異なっていても,翻訳された産 物は同じことが多い点である40)。この様な精巣における非翻訳嶺域のスプラ イシングのヴァリエーションの意義は今までのところ不明であるが,体内で 唯一meiosisの行われる臓器として,精子形成の段階に応じた使い分けや, posトtranscriptional regulationの受け方の転写産物間での違いなどが提起 されている33)。また,精巣の同一細胞内でも,使われたプロモーターによっ て細胞内局在が異なる例を報告しているものもある38)。精子細胞では,
RNA polymerase II transcription machinaryの機能の元進による,プロモ
ーターの転写制御のstringencyの低下が,転写産物のヴァリエーションを 生んでいるとする報告もあり,精巣での転写の環境が他の臓器と比較して特 殊であることが示唆されている41)。 pp2Cβにおいては, Houらの同定した新たな5-側非翻訳領域はgerm cellcDNAlibraryをスクリーニングして得たものであり,この領域を含む 産物が精巣で発現していることを示す。従って, PP2Cβでも上述のような 機構により,精巣内に多くの種類のmRNAが見られるとも考えられるが, exon 2を含む転写産物の臓器特異性を検討した結果,精巣だけではなく, 腸管,肝臓でも発現が見られた。臓器間,転写産物間での転写産物の量の比 較には,より定量的な解析が必要ではあるが,今回のデータより,すでに明 15
らかになっているexon lの上流域のubiquitousな発現を制御するプロモー ター(Pl)とは別に,精巣を含む一部の臓器での転写を制御するプロモータ ー(p2)の存在が示唆された。文献的には,精巣だけでの発現を制御してい るプロモーターとして報告されているもの33,40)の他に,今回のような,精巣 とその他の一部の臓器での転写制御を一つのプロモーターで行っている遺伝 子の報告39・42)も散見できる。 今回の実験では,臓器特異性の検討はRT-PCRで行った。 Plにより発現 が制御されていると考えられるexon lとexon4内のプライマー間でかけ たRT-PCRでは,今回検討されたすべての臓器での発現が確認された(未 発表データ)が, exon2とexon4間では今回示された精巣,腸管及び肝 臓での発現を見るだけだったことより, ubiquitousと考えられるPlに対 して,臓器特異性のあるプロモーターとしてP2を同定した。この新規のプ ロモーターの活性の解析には, e又on 2の発現が確認されていた精巣などの 細胞での検討が最も好ましいと考えられたが, germ cenの培養系の入手が 困難であることなどより, PP2Cβ-3,-4及び-5の発現が予め確認されて いたP19EC細胞でプロモーター活性の有無についての検討を行った。今 回, P2のプロモーター活性は証明されたが,より直接的にプロモーター活
性の臓器特異性を証明するためにはトランスジェニックマウスなどの発生工
学的な手法や, lln vl'votransfectionなどを用いた解析が必要となろう。 新しく同定されたプロモーター(P2)の特徴 今回の実験で新たに臓器特異性を持つプロモーターとしてexon2の上流域が同定された。その特徴を見ると,まず転写開始点が,メジャーなもの以
外にも複数存在することが挙げられる。その塩基配列の決定から, TATA box23)に類似した配列が,最もメジャーな転写開始点から約55bp上流にみ られ その他に約390bp以上上流に2ヶ所見出された。一般に機能してい るTATA配列は転写開始点から25 bp程度上流に観察されることが多い43)0 またCCAAT類似配列23)が-130付近と-600付近に存在していたが, TATA, CCAATのいずれも転写開始点から離れすぎている印象があり, sp124・25) , cEBP26・27)と共に,実際に機能しているかどうかについては,さら に詳細な検討が必要である。 これらの特徴をubiqutousな発現を制御するPlプロモーターと比較する と, Plでは転写開始点の上流1601までにTATAboxは認められず,複数 のGCbox ,非標準的な位置のCCAATboxが観察されるなどハウスキーピングタイプの遺伝子に近いと考えられ(大西ら,投稿中) , plとP2とは異 なる特徴を有していた。
p2ではこれらの他に,分化の途中で男性化を決定するのに機能を発揮す
るとされるSRY28・ 29)の結合の可能性のある部位が複数見出され,さらに, C-mosの発現を, germ cell以外の細胞では制限する働きを持つとされる NREが結合するBox 1 - 3のすべてのコンセンサス配列30,31)が確認され た。これらより,このexon2の上流のプロモーターに制御されるPP2Cβ は,性の分化や精巣での機能にかかわる可能性が示唆された。 pp2Cβではすでに,その3-側のスプライシングによるアイソフォームで あるPP2Cβ-3 ,-4及び-5の発現が,精巣の成熟に伴って増加することが 示されている17)。また, PP2Cβ-3,14及び-5の3'側共通領域が,精巣, 腸管及び肝臓でのみ選択的に発現していることは確認されており(未発表デ ータ) ,今回のexon2の発現臓器よりこれらのアイソフォーム発現へのP2 の関与が強く示唆される。今後はPlの解析と併せて, 3'側の個々のアイソ フォームにおけるプロモーターの使い分けと臓器特異性, 5'の選択的スプラ イシングとの関連の詳細を明確にして行くことが必要となる。 精巣,肝臓,腸管における発現の一元的説明の可能性 5--RACEでは精巣からubiquitousなPlを使ったと考えられるtypeA の転写産物も得られており,精巣では,今回明らかになった臓器特異的プロ モーターとubiquitousなプロモーターの両方が使われていることが示唆さ れた。これらのプロモーターの使い分けとPP2Cβの機能の検討には,精巣
内でそれぞれの発現の局在などを詳細に同定する必要があるが,ここでは今
回新たに同定されたプロモーターの精巣,肝臓,腸管での発現で共通に考え られるPP2Cβの機能について文献的な考察を試みる。 晴乳類ではコレステロール,イソプレノイドなどの合成にかかわるHMG-coA reductaseを, AMP-activated protein kinase (AMPK)がリン酸化することにより, inactivateすることが示唆されている7,44'。これはATPが減 り,相対的にAMPが増えるような状況下では, ATPを大量に消費するコレ ステロールの合成などを停止するという,代謝ストレスへの対応と考えられ ており7・45), AMP/ATP比が上昇するフルクト-ス投与下でも同様にAMPK の活性が上昇する。また,酵母のSNFlなど,このAMPKと類似した構 追,機能を持つものが種を越えて報告されている46・47・48'。 sNFlはグルコー ス枯渇時に,他の炭素源を代謝基質とするために必要な遺伝子群の転写誘導 17
に関与する可能性が指摘され46), AMPKも同様にグルコース枯渇時に誘導さ れることが示唆された49)0 pp2Cは,これらの機能を持つAMPKを脱リン酸 化することによりinactivateすることがラットの肝細胞で示され7・45),ま た, Splnacea oleraceaL.で同定され AMPKやSNFlと高い相同性を有 するPKI。もPP2Cによってinactivateされることが最近報告された50'oこ れらの報告から,晴乳類の肝細胞,酵母,一部の植物で, PP2Cがグルコー スやATP枯渇など,栄養代謝ストレスへ関与していることが強く示唆され た。 さて,ほとんどの晴乳類の精液中に存在する糖の大半は,グルコースでは なく,フルクト-スであることが知られている51)。このフルクト-スを代謝 するケトへキソキナ-ゼは主に肝臓に存在するが,小腸52), spermatozoa 中にも存在することが報告されている51)。また,フルクト-スは小腸の brushborderにある細胞から吸収されるが,この際にフルクト-スの運搬 を担うタンパク質としてGIJJT5が報告され,これが小腸のbrushborder だけではなく,生殖細胞でも発現していることが示された53)。これらより, 精巣と腸管,さらに肝臓でのプロモーターの発現は,フルクト-スの利用を 含めた栄養代謝機構との関連で,一元的にその機能特異性を論じ得る可能性 がある。 pp2Cβゲノム全体の構造と今後の展望 今回, PP2Cβの臓器特性を持つプロモーターが同定された。この他に ち, exonlもexon2も転写せずexon3以降へと続く,ゲノム上未同定で あるexonの存在が5'-RACEから推定され(未発表データ),今後,この exonの検討が進展すれば,さらなる5'側転写産物のヴァリエーションと第 3のプロモーターの存在の可能性が考えられる。 現在までにPP2CβのゲノムDNAクローンはexonlからexon3までを 含むクローンとexon4からexon8までを含むクローンが取られそれぞ れのexon-intron構造が解析されているが, 3'側のアイソフォームに対応 するexonのすべてを確認するには至っていない。これまでの成果からの推 定で, 70kbp以上に及ぶと考えられるPP2Cβゲノム全体の構造の解析が 急がれる。
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Figure legends
Figure 1. Schematic representation of the PP2C6 CDNA 5- non-co°ing
regions and their nucletotide sequences.
A, The ORF starts at the hooked arrow site. Symbols for
structures:団, ORF;田, 5・ non-co°ing region common to both types A and B; Egand因, two distinct types of untranslated region. B,
sequence of the ORF and itsflanking region. Numbering begins at the start site of the ORF. The fourteen bases (-1 t0 -14) are common to both types Aand B. C, Sequence of type A reported by Terasawa et
aP8). This region starts at -15,flankingwith the sequence presented in
(B)and is assigned as exon 1. D, Sequence of type B published by
Hou et a119). This regionalsoflankswith (B). The underlined 8 bases
were not found in the genomic clone of PP2C応.
Figure 2. Schematic representation of the 5LRACE productsand their
nucleotide sequences.
A, Relative structure of the 5--RACE products are depicted・
symbols used a,。 as f。n.ws周周and国, same as the figure l凋,
filled box is attached to the団in figure 1 (This filled box represents
the 32 bases newly discovered in the 5LRACE products and the
genomic clone instead of the underlined 8 bases presented in figure
lD.);国, this region was found in the 5--RACE products. B, Sequence
of type B assigned as exon 3. The underlined 32 bases (I) are
discrepant region between the report by Hou et al19'.and the genomic clone. C, Sequence of出region. This region starts at -117,flanking
with the sequence presented in (B) and is a part of e又on 2・
Figure 3. Restriction map of the PP2C6 genomic DNA fragment
containing exons 1, 2 and 3.
position of the three exons are presented as fined boxes.
Figure 4. Schematic drawing of the structure of PP2Cβ gene, positions of probesand primers, and sequence of flankin region of exon 3・
A, Schematic representation of the arrangement of exons 1 to 4・
The genomic region between exon 3 and 4 presentedwith dotted box
is not yet cloned. Positions of prわbes and primers used are shown・
Direction of the arrow heads show the direction of the oligonucleotide
primers. B, The 5'and 3Tflanking sequences of exon 3・ Sequence of
the exon is presented with capital letters.
Figure 5. RT-PCR and Southern blot analysis・
A, RT-PCR analysis of mNA signals・ Primers were set between
exons 2 and 4 (Fig. 4A). The number of lanes corresponds to the organ used: M, marker; 1, testis; 2, intestine; 3, liver; 4, kidney; 5, brain; 6,
heart; 7, ovary; 8, P19 EC cells. B, Southern blot analysiswith probe
2. C, Southern blot analysis with probe 3・ D, RT-PCRwith GAPDH primers as the internal standard・ E, Schematic representation of the proposed 5'Splicing patterns in relation to the gene structure・ The
dotted boxes are not confirmed in the gene. Pattern no. 2 would
generate the 220 bp band seen in the panel A・Also・ the 120 bp band is
predicted to be a product of pattern no・ 3・ For the 300 bp band, a new
exon, yet to be confirmed, is presumed as in pattern no・ 4・
Figure 6. Primer extension analysis of PP2CLi mRNA start sites・ primer extension assy was performed with poly(A)'RNA from mouse testis. The primer extended DNA products were separted on a sequence gel alongside a sequencing ladder as a size marker・ The most major site is indicated with an arrow and the number indicates its
location when the translation initiation site is designated as +1 ・
Figure 7. Sequence of 5'and 3'flanking regions of exon 2・
The dotted underline shows the exon 2with the maJ'or
transcription start site as +1. The underlined sequences are putative
binding sites of transcription factors.
Figure 8. Analysis of promoter activity・
ligated to the luciferase reporter plasmid・ B, Relative activities of luciferase reporter plasmid transfected to P19 EC cells. The relative activities were calculated against the activity of pGL2-basic vector, the
negative control.
A scheme of PP2Cri CDNA 5'non-coding region レククククク∼ 備$b
F
抽斗涼薄暮
B EEBg common Region
-14 -10
m gn免【コ脱
+1 10 20 30 40 50 60
AmT TITIt33ATA ZM Mコ虻A Am TtXm芸は皿
70 fX) m Am岱Gロ虻G... C 匠≡ヨ TypeA(exonl) -100 -90 -80 -70 脳XXにTGImCr ∝芸G礼訊き由G ∝コⅩ芯は=文言α刃∝刃∝コG -60 -50 -40 -30 -20 -15 TtXコはヨ∝ヨ∝℃孤:臥脚コエコでTCI!m m D - TypeB(exon3) -90 -80 -70 卿お肌虻でび腿此Ⅰ'IG -60 -50 -40 -30 -20 -15 Am瓜ⅡⅩコG WTTCでⅨⅩ氾∝Ⅹ訂C CCITItT
A scheme of PP2CB CDNA 5'non-coding regions and 5'lRACE products ・-.淵 備$b
F
…調
一■--- i RACE GSP2 JFRACE GSPl ー90 -80 -70 I TmTtm CmT (コ拡GAAだⅠ-IG B - TypeB(exon3) -116 -110 -100 α訂qX: AAAAmTC A ー60 -50 -40 -30 -20 -15 Am皿ⅡXTG G弧⊇AGだⅠ'ICでⅡⅩ抑IC m C 荘司 38bp,exon2 -154 -144 -134 -117 pilCm TCm ZmTmTG弧CAG Fi9ure 20 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 EcoRH0.5EcoR 劔劔劔劔 b EcoRl2.1J(pnl2.8Sael4.5EcoRL6.8BamHHO.1 劔劔劔BamHHl.OPstH5.25 Ps 友ト 綉 v襯 姪"縟dw 僮6.6 3 d 鳴 ツ 7 ニツ縉7 テ B 劔.7 仙dlll 劔劔剴 キ 貳テB Hl'nd Hl 9・3 Kpn 1 15.5 ■ exon 2
A
I
probe 1
■一一■一 probe4 probe2 PrObe5 probe3
< primer for prLmer extension
RT-PCR 5'prlmer > < RT-PCR 3l pnmer
B exon3
exon - intron Junctions
gcatagtcct tgtcgtttca gGIq工が払2mTCAK ∝訂Ⅶ虹コ1G ∝讃皿ユ丈にだr
ccAAAmtX世良AI・Ⅰ(詔虹G鬼没郎虻姐G O打はコ∝払G甜rKmG脳¶コエT
TCItgtgggta CaattCtCtt
M1 2 3 4 5 6 7 8M
+244
4- 75
exon 1 exon 2 exon 3
(RACE・l ) (type B)
exon4 (ORE starls)
l-\/E7m
A G C T ak嶋 -160+ '′1' J* 1■■`一 匹ヨ・_ ▲ 雷 l f l 曹 ・ 軒 ∴ ∴ . . / . . . : ; . ∵ 6 0 「 . 馴 F
E3m 2 5.-Ftm rum
-705 -700 -690 -680 -670
G姐IT CItm CIqm mA Ttm
ー660 -650 -640 -630 -620 -610
cwegTAAAALW AM AmTW ∝ヨ弧QCI∝汀BaC基匹!茎CT
sw mAr
-600 -590 -580 -570 -560 -550
cI弧臥m竺匹_⊆TIm TGm CX脚∝n
cBP CN
-540 -530 -520 -510 -500 -490
GrnAW摘GA GITt33AC2uC Am C四mで脚IC
-480 -47 0 -4 60 -450 -440 -43 0 TEhAm脈瓦亡脚娼打-TEAWTI- αエコごⅡ染G旦那∝汀 m q正好 _420 -410 -400 -390 -380 -370 緬丈豆乳CⅡmG GEAGItm皿TTTTCXT Bm AAAAm +・十・ -360 -350 -340 -330 -320 -310
GMa M・IlA Amm m里_塁空TTTC2m Ⅶ灯Ⅱコ弧コ::
≦訳y -300 -290 -280 -270 -260 -250 脚C Bm m AEIM Zmm Cm _240 -230 -220 -210 -200 -190 TZm脚汀∝刃It3m Tm任元感虻G A脳G -180 -170 -160 -150 -140 -130 BCEXmi ∝些0コ拡惣G⊆堅塁⊆T GrIC甜弧GCmCr Cコ灰正芳 _12。警1。 Sbl _1.. m-3_,。 _8㌍r 1誓. ∝脚だmlG mlC A脱A ¶訂G圃塁空でiCiCIgにBC SZU -60 -50 -40 -30 -20 -10
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弧- lib HRE-2
1 10 20 30 40 50 60 TCXコn℃弧打 ÅヨⅠ脳にA BdjV3GiTIGIi Aコヨ虻汀は=汀
70 80 90 100 110 120
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130 140 150 160 170 180
A乱打WIG m支払A 《芸G榔皿■IG ¶maG Cm TTm
190 200 210 220 230 240 脳Ⅹ工に弧執∝講G TCXm mび岨C血刀1T ∝コCH別記G 24RE-1 250 260 270 280 290 300 皿にCrIG汀A脳訊G刑丘G ∝訊弧言AL脚m 《Ⅹコ孤 310 320 330 340 350 360 瓜且∝m m打で留脚AG ∝孤はⅩ汀〟Ⅹ打払はⅡ: 370 380 390 400 410 420 cxm Ttコ,IC弧::AC WぷmG ∝湖はG ¶コqM 430 440 450 460 470 480
A HindIH2.7Sacl4.5 f(pnl6.6 HI'ndLH8・3
(
/ )
ノ exon 2 _ pLUC-1.7k PLUC-3・8k PLUC-5・6kcontrol PLUC-1 ・7k PLUC-3・8k PLUC-5・6k
plasmid Figure 8 B ( a l e 3 S h e J I ! q J t 2 ) A t ! ^ ! 7 3 t Z a ^ ! t e P J 8 6 4 2 0