地盤被害調査
Investigation of Geotechnical Disaster
○山田雅一
1 *Masaichi Yamada
1Abstract: This paper reports a brief outline of the liquefaction damage due to the 2016 Kumamoto Earthquake, and the earthquake
damage to various retaining wall in Mashiki town.
1. はじめに
地盤・インフラ調査グループでは平成 28 年熊本地震被害 調査の一環として,熊本地震による地盤災害に着目し,地盤 災害と建物被害の関係を把握する目的で,平成28 年 6 月 2 日~6 月 4 日(1 次調査)と 11 月 3 日~11 月 7 日(2 次調査) に液状化による地盤変状や建物等の被害と宅地地盤等にお ける擁壁の被害状況について広域調査を行った.調査範囲は, 上益城郡益城町,上益城郡嘉島町,熊本市西区,南区,東区 とその周辺の玉名市,八代市および宇土市の8 市区町である. 本報告は,熊本平野の低地における液状化の被害状況と, 本調査の範囲内で擁壁の被害が顕著であった上益城郡益城 町における宅地地盤擁壁の被害状況の概要について述べる.2. 液状化被害の概要
2.1 調査概要
調査方法は目視観察による現地踏査である.液状化被害が 局所的に集中した熊本市南区と西区周辺及び上益城郡嘉島 町と,噴砂の確認された沿岸部における液状化発生地点では 噴砂(液状化の痕跡)を採取して,粒度特性を調べた.2.2 液状化の特徴
熊本平野における液状化の特徴をまとめると以下の通り である. (1) 熊本平野の低地において広範囲で局所的な地点に液状 化が発生した. (2) 液状化発生地点の地形は,埋立地,干拓地,盛土地,旧 河道の人工改変地,自然堤防および氾濫平野であった. (3) 住宅などの小規模建築物に傾斜・沈下の液状化被害が多 く見られた.2.3 住宅の被害状況
JR 鹿児島本線に沿った熊本市南区近見から南高江におい て,帯状に液状化発生地点が分布し,住宅などの小規模建物 の沈下傾斜や地盤沈下などの液状化被害が確認された.また, 電柱や塀の沈下・傾斜(Fig.1)も多く見られた.この地点の 地形は,自然堤防であり,自然堤防を形成・発達させた河川 が存在していたことが考えられる.建物の被害状況は,2011 1:日大理工・教員・建築Fig.1(a) Large settlement of
a utility pole Fig.1(b) Liquefaction damage around a small building
Fig.2 Largely tilted small building
Fig.3 Tilt and settlement of a small building
平成 28 年度 日本大学理工学部 学術講演会予稿集
3
S1-2
年東北地方太平洋沖地震における東京湾岸の液状化被害1)と 同様に,建物が隣接する場合(Fig.2)は,多くの傾斜は両者 の上部が近づく方向に発生していた.一方,道路を挟んだ建 物(Fig.3)では,道路と反対側に傾斜する傾向が見られた.
3. 擁壁被害の概要
3.1 調査概要
調査した擁壁は,上益城郡益城町内の宅地地盤における 459 件の擁壁である.調査方法は目視観察による現地踏査で あり,本調査結果を基に空中写真2)(国土地理院)とGoogle Earth の画像で擁壁の被害状況を整理・分析した.調査地点で 確認された擁壁は,空石積み・練石積み擁壁(以下石積み), コンクリートブロック擁壁(以下BL),間知ブロック(以下 間知BL)擁壁,鉄筋コンクリート(以下 RC)擁壁,増積み 擁壁,二段擁壁の6 種類である.3.2 擁壁被害の特徴
不適格擁壁に分類される,石積み擁壁,BL 擁壁,増積み 擁壁,二段擁壁と水抜き穴(排水設備)の無い擁壁は全体の 約半数(49%)であった.本地震による被害が確認された擁壁 は,全体の62%であり,その被害のほとんどは不適格擁壁に 集中していた.不適格擁壁の被害状況をFig.4 と Fig.5 に示す.Fig.4 は高 さ約2.5m の空石積み擁壁である.Fig.4(a)は 2012 年 1 月撮 影(Google Earth 画像)の地震前の写真で,Fig.4(b)は 2016
年6 月撮影(本調査)の地震後の写真である.擁壁は完全に
崩壊していることが分かる.また,この擁壁は前震で崩壊し
ていたことが,4 月 15 日撮影の空中写真(国土地理院)から
分かっている.高さが低い石積み擁壁では,はらみ出し等の 変状が見られた.Fig.5 は増積み擁壁であり,Fig.5(a)は 2011 年12 月撮影(Google Earth)の地震前の写真で, Fig.5(b)は 2016
年6 月撮影(本調査)の地震後の写真である.増積み擁壁の 被害状況の特徴は,増積みした上部のコンクリートブロック が傾斜,倒壊するケースがほとんどであった. 不適格な擁壁でないRC 擁壁と間知 BL 擁壁の被害状況の 一例をFig.6 に示す.Fig.6(a)は比較的新しい造成地における RC 擁壁であるが,擁壁の打ち継ぎ部で破断している.破断 箇所は,盛土の端部付近の左右両側で発生していた.Fig.6(b) は,高さ約1.8m の間知 BL 擁壁で,擁壁の隅角部に大きなク ラック(最大幅10cm)が生じている.Fig.6(c)は,高さ約 4.5m の間知BL 擁壁で,これも擁壁の隅角部の上部にクラックが 生じている. これら擁壁の被害パターンは,これまでの地震による被害 パターン3)と同様であることが確認された. 【参考文献】 1)日本建築学会:2011 年東北地方太平洋沖地震災害調査速報,2011. 2)国土地理院:http://www.gsi.go.jp/BOUSAI/H27-kumamoto-earthquake-index.html 3)日本建築学会:小規模建築物基礎設計指針,pp.198-203,2008.
Fig.4 Damage example of masonry retaining wall
Fig.5 Damage example of increasing retaining wall
Fig.6 Damage example of eligible retaining wall Post-quake situation Pre-quake situation
Pre-quake situation Post-quake situation
(
C)
Reinforced concrete retaining wall Concrete retaining wall
Concrete retaining wall