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JAIST Repository: 地域イノベーションシステムにおける国立大学 : 共同研究を介した産学官連携ネットワークの可視化(産官学連携(4),一般講演,第22回年次学術大会)

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Academic year: 2021

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JAIST Repository

https://dspace.jaist.ac.jp/ Title 地域イノベーションシステムにおける国立大学 : 共同 研究を介した産学官連携ネットワークの可視化(産官学 連携(4),一般講演,第22回年次学術大会) Author(s) 細野, 光章; 中山, 保夫; 小林, 信一 Citation 年次学術大会講演要旨集, 22: 808-811 Issue Date 2007-10-27

Type Conference Paper Text version publisher

URL http://hdl.handle.net/10119/7399

Rights

本著作物は研究・技術計画学会の許可のもとに掲載す るものです。This material is posted here with permission of the Japan Society for Science Policy and Research Management.

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2F17

地域イノベーションシステムにおける国立大学:

共同研究を介した産学官連携ネットワークの可視化

○細野光章(科学技術政策研究所/東京工業大学),中山保夫(科学技術政策研究所), 小林信一(筑波大学) 1. はじめに 地域イノベーションの創出のために、産学官連携による研究開発のネットワーク化もしくはクラスタ ー化の必要性が説かれ、その中核として地域の大学への期待が高まっている。他方で、日本全体の研究 資金配分を「選択と集中」することが議論され、地域の中小規模大学のあり方が問われるようになって きている。すなわち、世界的な研究競争に勝ち抜くために、研究資金を広く分散するのではなく、競争 的な方式で一部に集中する方向にシフトしようとする動きである。 日本におけるこのような研究資金配分の「選択と集中」の議論の背景には、米国における研究資金配 分に関する通念があるように思われる。その通念とは、米国の研究費助成は、連邦政府によって、研究 の卓越性に基づき、研究大学を中心に行われているというものである。しかしながら、この通念が妥当 なものであるのか、十分に吟味してから議論を進める必要があるように思われる。 図 1.1 に連邦政府の研究費助成を受けている大学数の推移を示したが、確かに米国において連邦の研 究費助成は、研究大学を中心に配分されているものの、研究大学以外にもその裾野が広がってきている。 また、米国には、研究活動の低調な州を対象に研究費助成を行う EPSCOR(Experimental Program to Stimulate Competitive Research Program)のようなプログラムがあり、また、卓越性に拠らない研究 資金配分制度として、議会が配分先を指定して研究資金配分を行う Earmark(図 1.2)がある。Earmark は 2000 年前後に急拡大を遂げている。 図 1.1 米国・連邦政府の研究 助成資金を受けている大学 数推移 ( NSF の デ ー タ よ り 作 成) 図 1.2 Earmark の推移(百万$) (J.D.Savage、AAAS の資 料をもとに作成) また、将来のための研究基盤整備においては、博士号授与公立大学に対し、多額の州・地方政府によ る資金投入が行われている(小林、2004)このように、米国の大学への研究資金に関する通念は必ずし も十分に検証されないまま、日本における研究資金配分の議論が進められているように思われる。 0 100 200 300 400 500 600 700 800 900 1000 1972 1973 1974 1975 1976 1977 1978 1979 1980 1981 1982 1983 1984 1985 1986 1987 1988 1989 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 Other institutions Research or doctorate-granting institutions 0 500 1,000 1,500 2,000 2,500 1980 1981 1982 1983 1984 1985 1986 1987 1988 1989 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 Savage Chronicle AAAS

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2. 地域イノベーションにおける国立大学 先に見たように米国の研究費助成が、連邦政府によって、研究の卓越性に基づき、研究大学に配分さ れていると言う通念は必ずしも妥当ではなく、多様な研究費助成が行われ、州・地方政府もその役割を 果たしている。翻って、日本において研究費助成の「選択と集中」の議論の中で、その取り巻く環境の 厳しさが増すと考えられる地方国立大学のあり方を考えてみたい。 確かに米国の州政府と日本の都道府県の役割は異なっており、地方国立大学の研究基盤形成のための 支援は困難であろう。また、国土の広さの違いから、産学官連携等に基づくイノベーションの創出にあ たり、民間企業等が大学の研究資源にアクセスする上で、その地理的近接性などを考慮する必要がない かもしれない。 しかしながら、日本ではどこにある企業でも、日本中どこの大学の研究資源も利用可能なのであろう か。本報告では、日本における研究費助成の「選択と集中」の議論のたたき台となることを期待し、国 立大学における「民間等との共同研究」(以後、「共同研究」という。)のデータベース(中山ら、2006) を利用し、日本における民間企業等の国立大学へのアクセシビリティを共同研究の実績をもとに、分析 した結果と可視化したネットワーク図を報告する。 図 2.1 は、1983 年から 2002 年度までの全共同研究を対象に、ある都道府県に所在する民間企業等が 同一の地方または都道府県の大学を相手先として実施した割合ごとに都道府県数を示したものである。 共同研究先大学が同一都道府県内の割合が 10%以下の県は福島と神奈川、10%超 20%以下は滋賀、奈 良、大阪、兵庫、埼玉、20%超 30%以下は東京、千葉である。このうち、福島県は県内国立大学の福島 大学に理工系学部がなく、また、それ以外の都府県は首都圏または近畿圏であり、同一都道府県にとど まらず周辺の道府県に研究相手先を求めることが容易であることが推測できる。一方、岩手、鹿児島、 秋田、徳島、北海道、島根に所在する企業の場合、共同研究相手先の 90%以上が同一同県内の大学であ る。 図 2.1 企業の共同研究相手先大学の所在地 割合別の都道府県数 図 2.2 企業の共同研究相手先大学 の所在地割合の推移 (東京を除く) 図 2.2 は、東京に所在する企業等を除いて、企業等の共同研究相手先大学の所在地割合を示したもの である。同一都道府県内の共同研究の件数の割合は 40%超で推移しており、同一県内での連携に頼らざ るを得ない企業等が存在していることを意味している。 このように、日本においては産学官連携等に基づくイノベーションの創出において、地域の民間企 0 5 10 15 20 0.0 -0.1 0.1 -0.2 0.2 -0.3 0.3 -0.4 0.4 -0.5 0.5 -0.6 0.6 -0.7 0.7 -0.8 0.8 -0.9 0.9 -1.0 都道府県内 地方内 都道府県数 0.0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 1.0 1983 1984 1985 1986 1987 1988 1989 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 同一道府県内 同一道府県を除く同一地方内 同一地方以外

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業等が大学の研究資源にアクセスする場合、その地理的近接性、言い換えれば、都道府県のような地域 性を無視することができないのである。イノベーションの時代において国や地方自治体の公的セクター は、すべての国民、企業が均しく知的基盤にアクセスできる条件を提供する役割を担っており、国立大 学法人は国の代理として、それを実現すべき立場にある。上記の分析結果は、そのような知的基盤の提 供が一部の大規模国立大学のみで実現できるものではなく、地方の中小規模国立大学にも責任があるこ とを示している。 3. 共同研究の地域内連携とそのネットワーク 日本においては産学官連携等に基づくイノベーションの創出において、地域の民間企業等が大学の研 究資源にアクセスする場合、都道府県のような地域性を無視することができないが、地域によりそのあ り方が異なっていることが推測される。日本を北海道、東北(青森、茨城、山形、宮城、福島)、北関 東(茨城、栃木、群馬、新潟、長野)、南関東(埼玉、千葉、東京、神奈川、山梨)、中部(富山、石川、 岐阜、静岡、愛知、三重)、近畿(福井、滋賀、京都、大阪、兵庫、奈良、和歌山)、中国・四国(鳥取、 島根、岡山、広島、山口、徳島、香川、高知、愛媛)、九州・沖縄(福岡、佐賀、長崎、熊本、大分、 宮崎、鹿児島、沖縄)の 8 地域に区分し、各地域における地域内連携比率(当該地域に所在する大学と 民間企業等との連携比率)及び同一都道府県内比率(当該都道府県に所在する大学と民間企業等との連 携比率)を分析した。ここでは、東北及び九州地方を取り上げる(図 3.1)。 図 3.1 地域内連携比率の推移 (左:東北、右:九州・沖縄) 0.0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 1.0 1984 1986 1988 1990 1992 1994 1996 1998 2000 2002 地域内研究連携率 年度 民間企業・県 民間企業・地方 民間機関等・県 民間機関等・地方 0.0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 1.0 1984 1986 1988 1990 1992 1994 1996 1998 2000 2002 地域 内研 究 連 携率 年度 民間企業・県 民間企業・地方 民間機関等・県 民間機関等・地方 東北、九州・沖縄地方ともに、1990 年前後までは共同研究件数が相対的に少ないこともあり、同一地 域内連携及び同一都道府県内連携比率も変動が激しいが、1990 年代に入り安定する。公的機関を含む民 間企業等との連携比率では両地域共に 90%前後で推移しているのに対し、民間企業のみとの連携比率を みると、東北地方では 75%前後、九州・沖縄地方では 60%前後で推移している。すなわち、地域間連 携において、東北地方では公的機関の役割が高く、地域的連携と言っても地域により特色があることが 分かる。 次に、東北、九州・沖縄地方を対象に、2002 年度に当該地域に所在する民間企業等が共同研究を介し て形成したネットワークを、ネットワーク分析ソフト Pajek を用いて可視化したのが、図 3.2 である。 東北地域では、(財)いわて産業振興センター、(財)さんりく基金(財)、21あおもり産業総合支援 センターなどの公的セクターがネットワークのハブとなっている、一方、九州・沖縄地方では九州電力 がハブとなっている。また、両地域共に、大規模大学である東北大学、九州大学の存在感は相対的に薄 い。 このように共同研究を介した産学官の地域間連携率はかなり高く、また、地域により各地域において 仲介者的な役割を担っている機関も異なることが明らかになった。これは、地域イノベーションの推進 において地域の民間企業の国立大学という知識基盤へのアクセスに限定性があり、加えて、一部地域で は公的機関という推進機能が必要であることを示している。この結果は、研究資金配分の「選択と集中」 という議論に一石を投げかけるものであり、このような実証データを用いた議論が進められることが望 まれる。

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図 3.2 特定地域の民間企業等により形成された共同研究ネットワーク(上:東北、下:九州・沖縄) 4. まとめと今後の課題 現在、日本において進められている研究資金配分の「選択と集中」の議論は、米国大学に対する通念 に基づいていると思われるが、米国においては必ずしも卓越性のみで行われているわけではなく、多様 性が確保されている。また、日本においては、地域の知識基盤という役割を地域の大学が担っており、 イノベーション推進のために「選択と集中」を進めることが適切か否か、再検討する必要がある。 今後の研究においては、地域連携を行っているアクターへのインタビュー調査等を行い、現場から地 域連携のあり方の検証を行う予定である。 5. 参考文献 小林信一(2004)「これからの研究ファンディング」IDE・現代の高等教育、465、pp35-40、IDE 大学協会 中山保夫、細野光章、福川信也、近藤正幸(2005)「国立大学の産学連携:共同研究 (1983 年 - 2002 年) と受託研究 (1995 年 - 2002 年)」、NISTEP 調査資料 119、文部科学省科学技術政策研究所

図 3.2  特定地域の民間企業等により形成された共同研究ネットワーク(上:東北、下:九州・沖縄)  4. まとめと今後の課題  現在、日本において進められている研究資金配分の「選択と集中」の議論は、米国大学に対する通念 に基づいていると思われるが、米国においては必ずしも卓越性のみで行われているわけではなく、多様 性が確保されている。また、日本においては、地域の知識基盤という役割を地域の大学が担っており、 イノベーション推進のために「選択と集中」を進めることが適切か否か、再検討する必要がある。  今後の研究

参照

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