第32回群馬移植研究会学術講演会
日 時:平成 20年 10月 28日 (火) 午後 6時 30 ∼
会 場:群馬大学医学部刀城会館
会 長:竹吉 泉(群馬大院・医・臓器病態外科学)
当番世話人:森 昌朋(群馬大院・医・病態制御内科学)
1.高齢レシピエントに対する腎移植の経験
野村 昌 ,大山 裕亮,古谷 洋介
新田 貴士,森川 泰如,関根 芳岳
井 博,柴田 康博,羽鳥 基明
伊藤 一人,鈴木 和浩
(群馬大院・医・泌尿器病態学)
生体腎移植は, 免疫抑制剤の進歩に伴い, その適応が
拡大傾向にある. 今回我々は高齢レシピエント (70歳)
に対する生体腎移植を経験したので報告する.
症例は 70歳女性. 約 20年前にネフローゼと診断, 腎
機能低下のため, H19 年 3月に血液透析導入. H20年 6
月に 74歳の夫をドナーとした生体腎移植を施行. 当院
における, これまでのレシピエント最高齢は 61歳 で
あった.血液型は両者 O型 (+),HLA : 5ミスマッチ,リ
ンパ球クロスマッチテストではいずれも陰性. 免疫抑制
剤はバシリキシマブ, タクロリムス, メチルプレドニゾ
ロン, プレドニンを 用.
術後経過は比較的良好, 血清クレアチニンは 1.5前後
で安定し, 術後 29 日で退院. 現在外来経過観察中である.
2.群馬県初の脳死後臓器提供に関わって
田中 志岳,朝倉 ,川島 隆弘
押田 奈都,藍原 正憲,橋場 康弘
藤巻 広也,宮崎 瑞穂
(前橋赤十字病院・脳神経外科)
臓器移植法 (平成 9 年法律第 104号) に基づき脳死臓
器移植が日本でも行われるようになり, 本県では初とな
る脳死後臓器提供 (75症例目) が前橋赤十字病院におい
て平成 20年 9 月 13日に施行された. 当病院では来るこ
の日に向けて基盤の整備を進めていたため比較的スムー
スに対応できたが, 苦慮した点・改善すべき点もあげら
れた. また臓器提供には多くの人間が係わり職種間の連
携や病院の 合力を要することが認識された. 情報 開
には制限があるため詳細な病状などは発表できないが,
我々が経験したことを時系列で提示し気づいた点などを
お伝えする. 【症 例】 30代女性, 脳血管障害. 【提供
臓器】 心・両肺・肝臓・両側腎臓・膵臓・小腸・ (皮膚).
【臓器提供意思表示カード】 カードの提出は臓器提供前
日に行われた. 【臓器提供先病院】 東京女子医科大学
病院・東北大学病院・北海道大学病院・千葉東病院・九
州大学病院
3.B型肝 変に対するB型キャリアーからの生体肝移
植―その後の経過―
戸島 洋貴,高木 ,市川 武
柿崎 暁,佐藤 賢,森 昌朋
(群馬大院・医・病態制御内科学)
鈴木 秀樹,末廣 剛敏,桑野 博行
(群馬大院・医・病態 合外科学)
神田 大輔, 口 次男
(済生会前橋病院・消化器内科)
【症 例】 55歳, 女性. B型肝 変. 【現病歴】 平成 18
年 5月より黄疸, 腹満で, 2006年 6月 7日済生会前橋病
院入院. 翌 8日, B型肝 変, 肝不全として移植の適応を
慮され, 群大病院へ転院. ドナー候補としては長女が
妊娠中であり次女 (32歳)は HBキャリアーであった.患
者 は ビ リ ル ビ ン 30mg/dl, ア ル ブ ミ ン 1.7g/dl,
MELD29 の重篤な肝不全状態であり, 次女がドナーとし
ての申し出をしており, 緊急の適応委員会を開き, HB
キャリアーではあるが肝障害が軽度と判断し肝右葉によ
る生体肝移植に踏み切った. その後, レシピエントは
HBIg, ラミブジン併用療法でほぼ良好に経過し, 移植後,
胆管拡張, 黄疸をきたしたが, 保存的に軽快し, 移植後 2
年 4ヶ月黄疸なく外来通院中. ドナーは問題なく改善し
たが, 摘出肝組織は A1, F2-3の線維化を伴う中等度進
行した慢性肝炎の状態であった. しかし肝臓の再生は良
好であり, 移植後 2年で第一子を出産した. B型肝 変,
肝癌に対しての生体移植は, ドナー候補にも HBキャリ
アーがいる可能性が高く, 選別に難渋することが多い.
現在では B型キャリアーをドナーとすることには安全
性の面からも否定的な意見が多いが, いわゆる marginal
donorから緊急避難的に行われた B型肝炎の子から親へ
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Kitakanto Med J
2009;59:307∼308