Title
バロボク岩蔭遺跡発掘調査慨報
Author(s)
安里, 嗣淳; ロンキリオ・P・ウィルフレド; サンチャゴ・
A・レイ; 田中, 和彦
Citation
史料編集室紀要(18): 162-178
Issue Date
1993-03-30
URL
http://hdl.handle.net/20.500.12001/7407
Rights
沖縄県立図書館史料編集室
バ
ロ
ボ
ク
岩
蔭
遺
跡
発
掘
調
査
概
報
安
里
嗣
淳
、
(
沖
縄
県
立
図
書
館
史
料
編
集
室
)
ロ
ン
キ
リ
オ
・
P
・
ウ
ィ
ル
フ
レ
ド
(
フ
ィ
リ
ピ
ン
国
立
博
物
館
)
は
じ
め
に
サ
ン
チ
ャ
ゴ
・
A
・
レ
イ
田
中
和
彦
(
フ
ィ
リ
ピ
ン
国
立
博
物
館
)
(
千
葉
敬
愛
短
期
大
学
)
162
バ
ロ
ボ
ク
岩
蔭
遺
跡
は
、
フ
ィ
リ
ピ
ン
の
タ
ウ
ィ
タ
ウ
ィ
州
サ
ン
ガ
サ
ン
ガ
島
の
西
海
岸
に
あ
る
。
こ
の
遺
跡
は
一
九
六
二
年
に
地
元
の
ト
ゥ
ビ
グ
・
バ
シ
グ
小
学
校
教
師
ア
ッ
シ
ョ
ン
・
バ
ン
ガ
リ
(
〉
ω
ω
一
〇
μ
晩
U
d
ゆ
⇔
旭
四
9
一
一
)
氏
に
よ
っ
て
発
見
さ
れ
た
。
そ
し
て
一
九
六
七
年
に
カ
ガ
ヤ
ン
・
デ
・
ス
ル
(
9
α
・
超
き
9
の
暮
)
諸
島
の
調
査
か
ら
帰
る
途
中
で
あ
っ
た
フ
ィ
リ
ピ
ン
国
立
博
物
館
の
エ
リ
ク
・
カ
シ
ー
ニ
ョ
(
国
誉
O
p
旨
゜
)
氏
が
こ
の
岩
蔭
を
訪
れ
た
。
そ
の
後
一
九
六
九
年
、
ピ
ッ
ツ
バ
ー
グ
大
学
ア
レ
キ
サ
ン
ダ
ー
・
ス
ポ
ア
ー
(
≧
Φ
×
器
9
「
9
0
①
ξ
)
氏
が
(
注
1
)
二
度
こ
の
岩
蔭
を
訪
れ
て
試
掘
を
行
い
、
そ
の
概
要
を
報
告
し
た
。
翌
一
九
七
〇
年
に
は
フ
ィ
リ
ピ
ン
国
立
博
物
館
の
イ
ス
ラ
エ
ル
カ
バ
ニ
リ
ア
(
H
ω
償
噌
蝉
①
一
〇
曽
げ
磐
一
一
一
9
)
(
現
フ
ィ
ピ
ン
大
学
講
師
)
氏
が
本
遺
跡
の
発
掘
を
行
い
、
そ
の
内
容
は
一
九
九
二
年
十
月
に
タ
ウ
ィ
タ
ウ
ィ
で
(
注
2
)
開
催
さ
れ
た
フ
ィ
リ
ピ
ン
歴
史
学
会
で
発
表
さ
れ
た
。
(
注
3
)
こ
れ
ら
の
調
査
に
お
い
て
注
目
さ
れ
た
の
が
、
シ
ャ
コ
ガ
イ
製
貝
斧
の
発
見
で
あ
る
。
パ
ラ
ワ
ン
島
ド
ゥ
ヨ
ン
洞
穴
に
次
ぐ
フ
ィ
リ
ピ
バ ロ ボ ク 岩 蔭 遺 跡 発 掘 調 査 概 報 (安 里、他〉
ン
と
し
て
は
二
度
目
の
発
見
で
、
南
太
平
洋
諸
島
と
の
文
化
的
関
連
を
示
す
重
要
な
資
料
と
し
て
注
目
さ
れ
て
き
た
。
一
方
日
本
に
お
い
て
は
、
國
分
直
一
博
士
が
八
重
山
の
貝
斧
と
フ
ィ
リ
ピ
ン
の
そ
れ
と
の
類
似
を
紹
介
し
、
そ
の
比
較
検
討
の
重
要
性
を
(
注
4
)
説
い
た
。
そ
の
後
高
山
純
教
授
は
太
平
洋
諸
島
、
フ
ィ
リ
ピ
ン
、
八
重
山
の
貝
斧
を
比
較
し
、
ち
ょ
う
つ
が
い
部
を
利
用
す
る
沖
縄
と
フ
ィ
(
注
5
)
リ
ピ
ン
と
の
類
似
点
を
具
体
的
に
指
摘
し
た
。
一
九
入
七
・
八
八
年
に
宮
古
島
の
浦
底
遺
跡
の
発
掘
が
実
施
さ
れ
、
膨
大
な
量
の
シ
ャ
コ
(
注
6
)
ガ
イ
製
貝
斧
が
出
土
し
た
。
こ
れ
に
よ
り
南
琉
球
(
宮
古
・
八
重
山
諸
島
)
の
貝
斧
の
系
譜
解
明
へ
の
関
心
が
い
っ
そ
う
高
ま
り
、
フ
ィ
リ
ピ
ン
と
の
研
究
交
流
も
行
わ
れ
る
よ
う
に
な
っ
た
。
こ
の
ほ
ど
フ
ィ
リ
ピ
ン
国
立
博
物
館
考
古
学
課
が
主
体
と
な
っ
て
バ
ロ
ボ
ク
岩
蔭
遺
跡
の
再
調
査
が
企
画
さ
れ
、
日
本
か
ら
安
里
嗣
淳
と
田
中
和
彦
が
参
加
の
機
会
を
得
た
。
な
お
、
こ
の
調
査
に
対
し
、
沖
縄
県
人
材
育
成
財
団
か
ら
安
里
を
と
お
し
て
資
金
が
助
成
さ
れ
た
。
こ
こ
に
記
し
て
感
謝
の
意
を
表
す
る
次
第
で
あ
る
。
調
査
組
織
調
査
主
体
調
査
主
任
調
査
員
フ
ィ
リ
ピ
ン
国
立
博
物
館
考
古
学
課
≧
。
冨
8
δ
堕
U
一
≦
ω
δ
P
乏
巴
8
巴
蜜
諺
2
夢
O
①
讐
。
{
国
自
8
9
P
O
葺
貫
①
磐 ◎ 9 0 答 ρ 勺 断 嵩 署 ヨ Φ ω .ロ
ン
キ
リ
オ
P
.
ウ
ィ
ル
フ
レ
ド
”
。
岩
邑
一
ρ
や
謹
葭
冨
号
フ
ィ
リ
ピ
ン
国
立
博
物
館
考
古
学
課
課
長
サ
ン
チ
ャ
ゴ
A
.
レ
イ
の
き
口
p
び
q
ρ
}
菊
塁
同
課
研
究
員
デ ィ ソ ン Z . ユ セ ビ オ U に o P N ’ ゆq β ω Φ 瓢 ○ 同 課 研 究 員安
里
嗣
淳
〉
ω
縛
ρ
の
げ
管
口
沖
縄
県
立
図
書
館
史
料
編
集
室
主
幹
田
中
和
彦
8
き
葵
ρ
宍
爲
魯
涛
。
千
葉
敬
愛
短
期
大
学
163
調
査
技
術
員
調
査
作
業
員
サ ン チ ャ ゴ G . ホ セ の き け 冨 m ρ 9 } o ω ①ア
シ
ョ
ン
C
.
マ
イ
ケ
ル
》
8
δ
P
O
°
ζ
β
器
こ
づ
ラ リ オ ス ユ ス タ キ オ ピ 霞 δ ρ 国 煽 ω 富 ρ 巳 o } 『 ° カ デ ィ ン ユ ノ ス 囚 p & 貯 ひq , 尾 琶 鐸 ωフ
ィ
リ
ピ
ン
国
立
博
物
館
考
古
学
課
技
術
員
同
同
サ
ン
ガ
サ
ン
ガ
島
ラ
キ
ラ
キ
村
在
住
(
現
地
)
バ
ロ
ボ
ク
岩
蔭
遺
跡
の
概
況
バ
ロ
ボ
ク
岩
蔭
遺
跡
の
あ
る
サ
ン
ガ
サ
ン
ガ
島
は
比
較
的
低
平
で
、
遺
跡
一
帯
は
標
高
八
∼
十
m
前
後
の
台
地
に
な
っ
て
い
る
。
遺
跡
の
あ
る
西
海
岸
は
低
い
崖
が
連
な
り
、
と
こ
ろ
ど
こ
ろ
に
小
さ
な
砂
浜
が
あ
る
。
バ
ロ
ボ
ク
遺
跡
は
波
打
ち
際
ま
で
低
い
崖
の
つ
づ
く
と
こ
ろ
に
で
き
た
小
さ
な
入
江
の
岩
蔭
に
あ
る
。
こ
の
岩
蔭
は
も
と
は
入
江
全
体
を
含
む
巨
大
な
洞
穴
で
あ
っ
た
可
能
性
も
あ
り
、
入
江
と
陸
地
斜
面
を
囲
む
周
縁
は
す
べ
て
内
側
に
傾
く
岩
蔭
に
な
っ
て
い
る
。
こ
れ
ら
の
岩
蔭
に
囲
ま
れ
る
入
江
と
陸
地
斜
面
は
平
面
形
が
楕
円
形
を
な
す
が
、
そ
の
半
ば
ほ
ど
の
と
こ
ろ
が
汀
線
で
小
さ
な
砂
浜
が
あ
る
。
満
潮
時
に
は
砂
浜
は
水
面
下
に
な
る
。
海
か
ら
こ
の
岩
蔭
に
入
る
の
は
容
易
だ
が
、
陸
側
か
ら
み
る
と
ほ
と
ん
ど
オ
ー
バ
ー
ハ
ン
グ
し
た
崖
に
な
っ
て
い
て
降
り
る
の
は
容
易
で
は
な
い
。
(
図
−
∼
6
、
図
版
−
∼
3
)
岩
蔭
の
陸
地
斜
面
の
再
奥
部
は
比
較
的
広
く
、
オ
ー
バ
ー
ハ
ン
グ
も
最
も
大
き
い
。
遺
跡
は
こ
の
一
帯
に
あ
り
、
表
面
に
は
貝
殻
が
無
数
に
散
乱
し
て
い
て
、
一
見
し
て
貝
塚
で
あ
る
こ
と
が
わ
か
る
。
土
器
片
も
散
布
し
て
い
る
。
岩
蔭
の
隅
、
オ
ー
バ
ー
ハ
ン
グ
の
縁
先
の
下
あ
た
り
の
位
置
に
柱
状
に
な
っ
た
残
存
層
序
が
見
ら
れ
る
。
こ
れ
に
よ
れ
ば
、
貝
塚
は
現
在
こ
そ
最
奥
部
の
み
が
お
お
む
ね
平
坦
な
面
を
も
っ
て
い
る
が
、
か
つ
て
は
比
較
的
広
い
範
囲
で
平
坦
な
面
と
お
お
む
ね
水
平
な
い
く
つ
か
の
堆
積
層
が
存
在
し
て
い
た
よ
う
で
あ
る
。
そ
れ
は
最
奥
部
の
貝
層
の
内
容
、
特
徴
と
、
こ
の
残
存
柱
状
層
の
ほ
ぼ
同
標
高
の
貝
層
と
が
連
続
す
る
同
一
層
と
み
な
し
う
る
か
ら
で
あ
る
。
現
在
は
岩
蔭
下
の
表
面
は
西
へ
む
け
て
傾
斜
し
、
砂
浜
近
く
で
崖
と
な
っ
て
い
る
。
こ
れ
は
浜
の
手
前
に
、
か
つ
て
洞
穴
の
一
部
を
な
し
164
て
い
た
と
み
ら
れ
る
巨
大
な
岩
塊
が
崩
落
し
て
お
り
、
・
そ
れ
が
土
留
め
に
な
っ
て
崖
を
形
成
し
て
い
る
の
で
あ
る
。
岩
蔭
下
の
一
部
、
と
く
に
北
側
の
奥
付
近
は
洞
穴
の
基
盤
を
な
す
岩
盤
で
あ
る
が
、
貝
層
の
堆
積
し
て
い
る
地
点
に
は
崩
落
し
た
岩
塊
が
い
く
ら
か
混
ざ
っ
て
い
る
よ
う
で
あ
る
。
発
掘
で
露
出
し
た
岩
塊
の
中
に
は
そ
の
よ
う
な
岩
塊
が
ふ
く
ま
れ
て
い
る
も
の
と
見
ら
れ
る
。
遺
跡
の
北
方
約
百
メ
ー
ト
ル
の
地
点
に
は
巨
大
な
洞
穴
が
あ
り
、
地
下
水
が
溜
ま
っ
て
い
る
。
ま
た
、
そ
の
天
井
は
う
す
く
残
存
し
、
橋
の
よ
う
に
な
っ
て
い
て
道
路
と
し
て
つ
か
わ
れ
て
い
る
。
バ
ロ
ボ
ク
岩
蔭
も
か
つ
て
は
こ
の
よ
う
な
洞
穴
で
あ
っ
た
の
か
も
知
れ
な
い
。
ま
た
遺
跡
か
ら
北
へ
約
二
百
メ
ー
ト
ル
い
く
と
比
較
的
大
き
な
砂
浜
が
あ
り
、
海
陸
の
通
行
に
は
こ
の
地
点
が
利
用
さ
れ
て
い
る
。
バ ロ ボ ク 岩 蔭 遺 跡 発 掘 調 査 概 報 (安 里、 他)qゆ
調
査
の
経
過
先
発
隊
に
よ
る
予
備
調
査
一
九
九
二
年
八
月
二
五
日
∼
九
月
一
日
シ
ブ
ツ
島
、
シ
タ
ン
カ
イ
島
調
査
九
月
三
日
∼
五
日
バ
ロ
ボ
ク
遺
跡
発
掘
調
査
九
月
七
日
∼
二
二
日
出
土
品
選
別
。
貝
殻
選
別
・
分
類
九
月
二
二
日
∼
二
五
日
マ
ニ
ラ
の
国
立
博
物
館
に
て
主
要
遺
物
の
実
測
九
月
二
八
日
∼
十
月
四
日
②
発
掘
方
法
発
掘
は
ま
ず
最
奥
部
の
岩
陰
地
域
全
体
を
2
×
2
m
四
方
の
グ
リ
ッ
ド
に
区
分
し
た
。
か
つ
て
イ
ス
ラ
エ
ル
・
カ
バ
ニ
リ
ア
氏
が
試
掘
し
た
孔
が
ま
だ
残
っ
て
い
て
、
我
々
は
そ
れ
に
隣
接
す
る
東
側
と
西
側
、
お
よ
び
南
側
に
お
い
て
発
掘
を
行
っ
た
(
図
4
、
図
版
4
)
。
発
掘
は
表
面
の
遺
物
を
採
取
記
録
し
た
の
ち
、
2
m
四
方
を
さ
ら
に
四
等
分
し
て
ー
m
四
方
つ
つ
掘
り
す
す
め
た
。
深
さ
は
10
㎝
単
位
で
掘
り
下
げ
、
そ
れ
ぞ
れ
上
か
ら
順
に
ス
ピ
ッ
ト
ー
・
2
・
3
∼
と
し
て
区
別
し
た
。
人
工
遺
物
お
よ
び
主
要
な
自
然
石
・
骨
等
は
す
べ
て
原
165位
置
で
三
次
元
の
位
置
を
記
録
し
た
。
ま
た
、
土
は
さ
ら
に
フ
ル
イ
に
か
け
て
貝
殻
、
ピ
ッ
ト
お
よ
び
ー
/
4
区
に
つ
い
て
土
の
サ
ン
プ
ル
も
採
取
し
た
。
骨
な
ど
の
ほ
か
微
細
な
遺
物
の
検
出
を
し
た
。
各
ス
㈲
層
の
状
態
層
は
上
層
か
ら
下
層
へ
色
や
土
粒
お
よ
び
内
容
物
が
し
だ
い
に
変
化
し
て
い
く
。
掘
り
下
げ
な
が
ら
気
付
く
よ
う
な
明
瞭
な
境
は
な
い
の
で
、
基
本
的
に
は
10
㎝
単
位
の
掘
り
下
げ
を
最
下
層
ま
で
連
続
的
に
継
続
し
た
。
層
は
次
の
3
層
に
区
分
さ
れ
る
。
(
図
7
∼
1
0
)
。
工
層
表
面
か
ら
平
均
20
㎝
の
厚
さ
の
層
で
、
お
お
む
ね
ス
ピ
ッ
ト
ー
・
2
に
相
当
す
る
。
土
は
か
な
り
細
か
く
一
見
灰
の
よ
う
な
状
態
で
あ
る
。
色
は
灰
色
。
粉
状
の
土
で
刷
毛
だ
け
で
十
分
に
掘
る
こ
と
が
で
き
た
。
サ
ラ
サ
バ
テ
イ
、
ク
モ
ガ
イ
、
ヒ
メ
ジ
ャ
コ
な
ど
の
比
較
的
大
き
め
の
貝
殻
が
表
面
に
散
乱
し
、
内
部
に
は
小
さ
な
二
枚
貝
(
マ
ン
グ
ロ
ー
ブ
林
に
よ
く
生
息
す
る
貝
が
多
い
)
が
無
数
に
含
ま
れ
て
い
る
。
貝
殻
は
破
砕
さ
れ
た
も
の
も
目
立
つ
。
鳥
、
コ
ゥ
モ
リ
、
イ
ノ
シ
シ
、
シ
カ
な
ど
の
小
動
物
の
骨
お
よ
び
ヒ
ト
の
歯
と
、
土
器
、
貝
製
品
、
青
銅
器
、
剥
片
石
器
、
剥
片
石
屑
、
玉
な
ど
が
出
土
し
た
。
∬
層
平
均
の
層
の
厚
さ
は
21
㎝
で
、
土
は
上
層
に
比
べ
て
色
は
や
や
黄
色
味
を
帯
び
、
す
こ
し
固
く
な
る
。
そ
れ
で
も
脆
い
の
で
粉
状
に
砕
け
る
。
貝
殻
は
上
層
に
比
べ
て
少
な
く
な
る
。
貝
殻
、
鳥
、
コ
ウ
モ
リ
、
イ
ノ
シ
シ
、
シ
カ
の
骨
も
出
土
。
土
器
も
出
土
す
る
が
下
部
に
い
く
に
つ
れ
て
数
が
減
っ
て
く
る
。
貝
刀
や
シ
ャ
コ
ガ
イ
の
剥
片
加
工
品
、
磨
製
石
斧
、
剥
片
石
器
お
よ
び
剥
片
石
屑
な
ど
も
出
土
す
る
。
全
体
的
に
み
る
と
土
器
が
減
り
、
剥
片
石
器
が
増
加
す
る
傾
向
に
あ
る
。
田
層
層
の
厚
さ
の
平
均
は
H
P
㎝
㎝
だ
が
、
土
は
崩
落
し
た
岩
石
の
間
に
も
堆
積
し
て
い
て
、
そ
の
部
分
で
は
60
㎝
に
達
す
る
地
点
も
あ
る
。
土
166
は
や
や
褐
色
を
帯
び
、
あ
る
程
度
固
く
な
る
。
貝
殻
は
か
な
り
少
な
く
な
り
、
土
器
は
全
く
出
土
し
な
い
。
純
然
た
る
剥
片
石
器
文
化
の
層
で
あ
る
。
ま
た
、
下
部
に
い
く
ほ
ど
わ
ず
か
に
剥
片
石
器
が
出
土
す
る
ほ
か
は
人
工
品
自
体
が
き
わ
め
て
少
な
く
な
り
、
最
下
部
で
は
ま
っ
た
く
見
ら
れ
な
く
な
る
。
基
盤
崩
落
し
た
と
見
ら
れ
る
岩
塊
や
、
洞
穴
の
ト
ラ
バ
ー
チ
ン
な
ど
が
基
盤
を
な
し
て
い
る
。
し
た
が
っ
て
あ
る
個
所
は
洞
穴
の
床
面
で
、
あ
る
個
所
は
ま
だ
下
部
に
崩
落
岩
塊
の
層
が
あ
る
よ
う
で
あ
る
。
バ ロ ボ ク 岩 蔭 遺 跡 発 掘 調 査 概 報 (安 里、 他)紛
出
土
遺
物
(
人
工
品
の
み
)
A 。 土 器 ( 図 12 a ∼ d 、 図 版 9 )主
に
表
面
と
1
層
に
集
中
し
、
H
層
で
も
出
土
す
る
。
頚
部
で
く
の
字
状
に
し
ま
り
、
口
縁
が
外
側
へ
反
り
、
胴
部
は
丸
く
張
る
形
が
目
立
つ
。
ま
た
表
面
に
赤
色
塗
料
を
施
す
も
の
も
あ
る
。
器
面
は
全
体
的
に
よ
く
調
整
さ
れ
て
い
て
円
滑
で
あ
る
。
土
器
は
ス
ピ
ッ
ト
4
ま
で
は
出
土
が
見
ら
れ
、
そ
れ
以
下
に
お
い
て
は
ま
っ
た
く
出
土
し
な
い
。
し
た
が
っ
て
、
皿
層
は
無
土
器
文
化
の
時
代
に
属
す
る
。
B . 石 器 ( 図 11 、 図 版 7 ・ 8 ・ 10 a )磨
製
石
斧
H
層
に
お
い
て
二
個
の
磨
製
石
斧
が
出
土
し
た
。
一
点
は
断
面
が
楕
円
形
で
刃
部
が
丸
ノ
ミ
型
を
な
す
。
全
体
が
き
わ
め
て
よ
く
研
磨
さ
れ
て
い
る
。
こ
の
島
に
産
し
な
い
石
質
と
の
こ
と
で
あ
る
。
し
た
が
っ
て
、
こ
の
丸
ノ
ミ
型
石
斧
自
体
が
外
部
か
ら
の
持
ち
込
み
品
の
可
能
性
が
き
わ
め
て
強
い
と
い
う
の
が
フ
ィ
リ
ピ
ン
側
調
査
員
の
見
解
で
あ
る
。
あ
と
の
一
つ
は
断
面
が
薄
い
長
方
形
で
、
刃
は
片
刃
で
あ
る
。
い
わ
ゆ
る
定
角
式
片
刃
石
斧
で
、
全
体
が
よ
く
研
磨
さ
れ
て
い
る
。
こ
れ
も
島
外
か
ら
の
渡
来
品
と
み
ら
れ
る
。
(
図
11
e
.
f
、
図
版
8
)
167
剥
片
石
器
こ
の
遺
跡
の
主
体
を
な
す
道
具
で
、
1
層
か
ら
皿
層
ま
で
出
土
す
る
。
も
っ
と
も
多
い
の
は
H
層
で
あ
る
。
石
核
石
器
は
ほ
と
ん
ど
な
く
、
直
接
打
撃
法
に
よ
っ
て
作
ら
れ
た
剥
片
石
器
が
ほ
と
ん
ど
で
あ
る
。
い
く
つ
か
の
形
態
に
わ
け
ら
れ
る
が
、
十
分
な
検
討
を
し
て
い
な
い
の
で
詳
細
は
別
の
機
会
に
ゆ
ず
る
。
素
材
は
地
元
の
石
材
を
用
い
て
い
る
。
隣
の
ボ
ン
ガ
オ
山
一
帯
に
は
多
く
の
石
材
の
自
然
分
布
が
見
ら
れ
る
。
玄
武
岩
や
チ
ャ
ー
ト
、
硅
化
木
製
の
剥
片
石
器
も
多
く
、
こ
れ
ら
の
素
材
は
遺
跡
の
近
く
に
分
布
す
る
。
硅
化
木
製
石
器
は
フ
ィ
リ
ピ
ン
の
他
の
地
域
で
も
見
ら
れ
る
の
で
、
南
琉
球
に
も
持
ち
込
ま
れ
て
な
い
か
注
意
す
る
必
要
が
あ
る
。
(
図
11
a
∼
d
、
図
版
7
・
10
a
)
C . 貝 製 品 ( 図 12 e . f 、 図 13 a ∼ e 、 図 14 a ・ c 、 e 、 図 版 10 b 、 11 、 12 a 、 13 、 14 c )貝
ナ
イ
フ
イ
モ
ガ
イ
科
の
貝
を
た
て
方
向
に
切
り
取
り
、
片
方
の
薄
い
辺
を
刃
に
し
た
も
の
で
、
1
層
・
H
層
に
お
い
て
出
土
し
た
・
こ
の
遺
跡
に
お
け
る
貝
製
品
の
ひ
と
つ
の
特
徴
で
、
よ
く
見
ら
れ
る
も
の
で
あ
る
。
(
図
12
e
・
f
、
図
13
a
、
図
版
10
b
)
貝
蓋
製
品
ヤ
コ
ウ
ガ
イ
の
蓋
の
薄
い
辺
の
端
を
欠
い
た
も
の
で
、
,
沖
縄
で
よ
く
見
ら
れ
る
も
の
に
似
て
い
る
。
一
点
の
み
の
、
し
か
も
表
採
品
な
の
で
、
ど
の
よ
う
な
特
徴
が
あ
る
の
か
よ
く
把
握
で
き
な
い
。
(
図
版
13
a
)
貝
玉
素
材
が
貝
殻
で
あ
る
の
か
確
定
的
で
は
な
い
が
、
不
定
形
の
細
長
い
管
玉
で
あ
る
。
1
層
か
ら
の
出
土
。
中
を
た
て
方
向
に
穿
つ
が
ほ
と
ん
ど
お
な
じ
直
径
で
穿
孔
さ
れ
て
い
て
、
お
そ
ら
く
金
属
工
具
に
よ
り
加
工
さ
れ
た
も
の
と
み
ち
れ
る
。
金
属
器
時
代
文
化
の
所
産
で
あ
ろ
う
。
(
図
13
b
、
図
版
13
b
)
パ
イ
プ
ウ
ニ
製
品
パ
イ
プ
ウ
ニ
に
数
箇
所
の
挟
り
を
い
れ
た
も
の
で
皿
層
の
出
土
。
(
図
13
d
、
図
版
13
c
)
貝
盤
イ
モ
ガ
イ
科
の
貝
の
頂
部
を
円
形
に
切
り
取
り
、
中
を
穿
っ
た
も
の
。
1
層
出
土
。
(
図
13
c
、
図
版
13
d
)
打
製
貝
器
ヒ
メ
ジ
ャ
コ
な
ど
の
中
型
の
貝
を
剥
片
石
器
の
製
作
技
法
で
縁
を
欠
き
取
り
、
あ
た
か
も
剥
片
石
器
の
如
く
加
工
し
た
も
の
で
あ
る
。
H
層
出
土
。
(
図
13
e
、
図
版
11
b
)
168
バ ロ ボ ク 岩 蔭 遺 跡 発 掘 調 査 概 報 (安 里、 他)