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弱視児の語彙理解過程における聴覚・視覚変換の難しさ : 「絵画語い発達検査」をとおして

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(1)Title. 弱視児の語彙理解過程における聴覚・視覚変換の難しさ : 「絵画語い発 達検査」をとおして. Author(s). 末岡, 一伯; 藤原, 等. Citation. 北海道教育大学紀要. 第一部. C, 教育科学編, 44(1): 143-156. Issue Date. 1993-07. URL. http://s-ir.sap.hokkyodai.ac.jp/dspace/handle/123456789/5292. Rights. Hokkaido University of Education.

(2) . 平成5年7月. 北海道教育大学紀要 (第1部C) 第44巻 第1号. july ,1993. 1 I 44 ion( Sec i t ido Univer i lof Hokka ty ofEducat onIC) VO jouma s . . , No. ‐弱視児の語桑理解過程における聴覚・視覚変換の難しさ --「絵画語い発達検査」 をとお して --. 未. 岡. ー. 伯 ・藤. 工. 問. 原. 等. 題. 1. 問題の所在 1 ( ) 一般に, 弱視児の語桑理解過程の様子を観察して いると, 次のような場面に出会うことが多 い. 音声-聴覚-音声回路から入出力する場合と, 音声-視覚 -運動回路から入出力する場合とを 比較するとき,,音声-視覚-運動回路から入出力 する場合に失敗例が多く見られる. ( 2 ) 音声-視覚-運動回路の語凝理解の刺激提示には, 一般に 「文字」 と 「絵 (映像も含む)」 が あると考えられ, 弱視児には 「文字」 における蹟きもあるが, 「絵」 における蹟きの失敗例も多い.. 弱視児は視力が弱いので特に, 音声-視覚-運動回路からの入力に制約があり, 従来の研究では「視. 1 ) 力」 の要因が働いているのではないかという知見が多い1 . ( 3 ) 情報化社会は視覚情報多用化の方向に向かっ ているから, 弱視児においても音声-視覚-運 動回路からの入出力による語藁理解能力を少しでも改善・向上させることができれ ば良いと考えて いる. しかし, 弱視児は視力の回復が困難な場合 が多いから 「視力」 の要因のみがはたらくとすれ ば, 語桑理解において音声-視覚-運動回路からの入出力の改善・向上は困難となる. ( 4 ) だが, 「視知覚」の要因が働いているとするならば, 視知覚能力の改善をはかり向上させるこ 1 2 ) ) 語桑理解能力の改善・向上の希望も開ける とは弱視教育によって可能だから4 . , )( 98 9 )のものがある. こ 1 ( 5 ) 異同判断課題における弱視者の視覚情報処理特性の研究に金城ら9 の研究では, 刺激は1桁から4桁までの数字対であり, 絵ではない‐ 数字という 「文字」 を使用し た視覚刺激ではあるが, その場合の異同判 断における弱視者の反応時間に影響する要 因として視 力・視野の機能を指摘している. 作業制限法で実施した場合, 刺激が 「絵」 の異同選択であっ ても 視力の要因がはたらくのであろうか. 語薬理解過程において, 音声-視覚-運動回路を使用する場 合, 刺激反応を 「絵」 の選択に限っ て考えた場合であっ ても, 「視力」 の要因を再吟味する必要があ (音声一視覚-運動回路) の蹟きの る. 語梁を音声で提示刺激し, 「絵」 の選択で反応を求める場合・ 諸相を明らかにする必要がある‐. 2. 研究の目的 ( 1 ) 弱視児の語薬理解における影響因を知るために, 語桑を音声-聴覚-音声回路から入出力し た場合と音声-視覚-運動回路から入出力 した場合の各結果を比較し, 「視力」を含めた諸要因の検 討を行なう. 2 ( ) 本研究では, 音声-視覚一運動回路からの入出力を 「絵画語い発達検査」 結果に求め, 特に 「絵画語い発達検査」 の選択反応刺激である 「絵 “こ注目し, その蹟きの諸相の一端を分析的に明ら 143.

(3) . 末 岡 ー 伯・藤 原. 等. かにする. 3 ( ) 以上をとおして弱視児の語桑理解過程における聴覚・視覚変換の困難さについて健常視力児 の様相と比較しながら考察する.. 1 1. 方 1. 対. 法. 象. 1 氏視力児を含む)42名 (男25女17 ) ( ) 弱視児は (強度の眼疾患を持つ但 . 遠距離視力は, 中央値 l M 1 3 2 ) 歪度- 0 0‐08 最大値0 最小値0 0 1 ( 再変換小数視力 0 53 5 o g ‐‐ , ‐7 ‐, ‐ , 尖度3‐454 , , 近距離 l 視力は, 中央値0‐09 ) 2 54 og 再変換小数視力 M.0.147 , 最大値0‐6 , 最小値0‐01( , 歪度-0‐ , 尖 度 3‐454 , SD. . 年 齢 は, 6 歳 ~17 歳 (M.11.42 歳, SD.2.11 歳). WISC-R は, VIQ M.96‐904 21 26 31 696 , ‐522 ,SD‐23‐ ,最大値1 ,最小値39 ,FIQ M 88‐309 ,最大値1 ,最小値46 ,PIQ M‐80‐356. SD‐21 5 二61 , 最大値122 , SD‐ , 最小値40 , 歪度-0.578 , 尖度2.701 . PVT は (粗点) M‐53‐142 13‐604 2 , 最大値67 , 最小値25 , 歪度-0‐87 , 尖度2‐299 . ( 2 ) 健常視力児は, 小学1年生24名 (男11女1 3 ) 2女1 0 ) , 小学4年生22名 (男1 . 2. 時. 期. 実験期間・ 1 988年~1 990年. 研究期間1988年~19 92年. 3. 材. 料. ‐. 絵画語い発達検査 (P i ) 修正版 (以下 PVT と略称) tweVocabularyTe t c s . 遠距離視力測定法・ sua IPercept ion) l ITestof vi 近距離視力測定法. フロスティ ッ グ視知覚発達検査 (Deve t opmen a 「 「 「 日本版(尺度修正版) (以下 DTVP と略称) . なお, DTVPI」は 視 覚 と 運 動 の協 応」, DTVP2」 「 「 「 「 「 は 図形と素地」 」 は 「空間における位置」 」 , DTVP3J は 形の恒常性」 , DTVP4 , DTVP5 は 「空間関係」 の視知覚を表わす, WISC-R‐発達の指標としての生活年齢, 以上を使用した.. 4. 手 続 き. ( 1 ) 研究手続き PVT, DTVP , WISC‐R は図版等の拡大をすることなく, 実施時間等の延長もすることなく, す べて検査法のとおりに個別に実施した. ただし, 各検査は, どの対象児にも途中で打ち切ることな く全課題について全問実施した. 年齢は月齢に変換した. 遠距離視力・近距離視力の測定値はl og 視 力に変換して使用 した. 健常視力児には, PVT を集団的に 、検査法どおり実施した. ( 2 ) 資料整理の考え方と分析の仕方 ⑦ 語桑とは, 「一つの言語の, 或いはその中のある範囲についての, 単語の総体」 (広辞苑. 第 「 「 4版. 岩波書店. 1 991 .) であり, 単語とは 文法上の意味・職能を有する, 言語の最小単位」 例 えば 『花が咲く』 という文において 『花』 『が』 『咲く』 はそれぞれ単語である」 (前掲書) と言う. 一般に心理学的には, 語薬とは, 何らかの基準によっ て限定された語の集合と考えられ, 語薬の単 位として語を考えれば, 2つ以上の単位を連結させることにより限定的表現をする語連鎖や複合語 も含むことになる. そして, 基本語藁, 理解語桑, 使用語桑に分けて考えることもあると言う (教 育心理学小辞典. 有斐閣. 1 99 1 .) . 144.

(4) . 弱視児の語最理解過程における聴覚・視覚変換の難しさ. 、 PVT の語薬は 、教育基本語桑の中から子どもの言語生活に欠く ことのできない語薬を検 査 名) , 0 1 3 1 } 上の分類からすれば 「基本語桑」 に属するものと見ることも ) } するように心がけたと言うから6 , 8 ) ) la でき よ う. 一 方 WISC の 「単 語 問 題」 (WISC‐R の 「単 語」) の 検 査 は, Vocabu l r y で あ っ て7 ,. 3 1 5 1 4 ) )( ) ) によると WISC の 「単語問題」 1 978 Wordではないことに注意する必要があろう. 上野ら1 は, 「表現語薬」 「理解語葉」能力を測定しており, PVT では「理解語築」能力を測定じて いると言っ て い る.. しかし, WISC の 「単語問題」 検査の場合は, 音声-聴覚-音声回路を使用 して, 語薬を提示し, 理解の過程を経て再び音声言語で出力を求めているから, 「理解語桑」 「表現語薬」 能力を使用して いるとしても, PVT の検査の場合は,,音声-聴覚回路から語集を入力して (理解語薬能力) , 視覚 -運動回路に変換して 「絵」 の選択反応として出力させているから, 音声-聴覚的な理解語桑と, もう一つの提示刺激である 「絵」 の表現解釈・表現理解 (絵の内包する表現語藁や使用語薬と言っ たもの) との異同選択マッチングと言う過程を経ているので, PVT の検査が 「理解語梁」 能力だけ に関係 していると も思えない. したがっ て, 本研究では, 語藁に ついての細分化した討論はさておいて, 基本語桑・理解語桑・ 使用語薬・表現語薬を総合的に 「語桑」 として取り扱って情報処理上の回路の違いについて, とり あえず注目することに した. - 「 3 )( ( ) によると の 上野ら1 1978 -WISC の 単語問題」 と PVT との妥 当性係数は0.54を示したと 言う.筆者の一人藤原の分析によれば,本研究の対象である弱視児の WISC-R「単語」の課題と PVT f4 f40 265( d d 0 ) を示したが, VIQ と PVT との相関係数は0. との相関係数は, 0‐656( , p<.01 , 「 「 p>‐05) で あ っ た. 言 語 性知 能と PVT の相関は低いが, 単語」 の課題と PVT とは か なりの相 関がある」 の で, 本研究 では, 音声-聴覚-音声 回路の 語薬理解過程 を知 る 材 料 の代 表と して WISC‐R の 「単 語 (Vocabulary)」 検 査 を あ て よ う と 考 え た.. 「単語」 検査は 「これからいくつかの言葉を言います よく聞いて それぞれの言葉がどういう , , . 意味であるかを私に言っ てください」 と教示し, 例えば 「ナイフというのは何 ですか, どんなもの か説明してください」 と音声-聴覚回路を使用して質問 (入力) し, 「切るもの」 とか, 「あぶない」 とか音声回路を使用 して音声反応 (出力) すれば正答とする方法を使っている‐ 回 音声-視覚-運動回路の語藁理解過程を知る材料の代 表として本研究 では, PVT をあてて い る. PVT は「こ れ か ら 4枚の絵を見せます. そして私が言葉を言いますから, その言葉にあては. まる絵を1つ選んでください」 と教示し, 例えば 「リン ゴはどれですか」 と音声一聴覚回路を使用 して質問(入力) し, 「4枚の絵の中からリン ゴの絵」 を視覚-運動回路を使用 して選択反応(出力) すれば正答とする検査である‐ 選択は, 絵の番号の数字を0で囲むとか, 指さし反応で求める. 繰 り返しになるが, PVT は, 語桑を音声-聴覚回路を使用して入力し, 先ず理解を求めて, 次に, 4 枚の絵を視覚-運動回路を使用 して, 絵の持っ ているメ ッセージ(表現語業のようなもの)を解釈・ 理解し, マッ チン グさせながら選択同定・出力しなければならないと言う, 聴覚-視覚変換過程を 経なければならない検査なのである. 「 「 齢 PVT, DTVP , WISC‐R 単語」 は, どれも粗点で処理した. PVT, WISC-R 単語」 を目 的変量, 遠距離視力・近距離視力・DTVP の5つの視知覚能力・月齢の以上8変数を説明変量とし 褒署因を検討した. て扱い重回帰分析法を試用して, 語薬理解における影 ◎ 音声-(聴覚・)視覚 」 運動回路での入出力結果から, その蹟きの諸相の一端を分析的に明ら かにするために PVT の提示絵の分析を行っ た. 本研究 では, PVT の提示絵を「近景」 「中景」 「遠 景」 の3つに類別した (図1 .2 .3 .4 .を参照) . 145.

(5) . . 末 岡 一 伯・藤 原. 等. ・. .. 図1. 「近景」 に類別した選択反応絵の例. 図2‐ 「中景」 に類別した選択反応絵の例. ( 10頁 1 番 の 絵). (9頁 2 番 の 絵). 」 r γ l. ュ. ふ .{ 、. ; ,. えん 一- -愈. , ≧ 三; ; .拳 塾 ,ー , ,. 豊艶 埜 滋“隣; 甥盲 鰯膨 鯵 』璽 勢キー =曜窄趣 き. 諺 懸 樋. 図3‐ 「遠景」 に類別した選択反応絵の例 (4 頁 4 番 の 絵). 』7 ‘ ‐ ,越そ謎 -綿 \\\ごーi 震宝ラ ミモ \\\ - \. ▼ .一. 妻 ぐ …泰 ごミ Nt 掛 幽 ,. \. ‘;夏 細 一 ▼.“蒔き棲繋審議漣. / ー ノ. ′ ,. ー 参ぜ . ; , .デ 一 , シ. ・一.・ .. 盤騨 騨 //. ‐図4. 「遠景」 に類別した選択反応絵の例 ( 2頁3番の絵) 1. 「 (図1~4 . は, 日本文化科学社刊行の 絵画語い発達検査」 から使用許可を得て引用した). ① 「近景」0こは, 具体物だけのクロー ズア ッ プ的な絵 で, . 背景に何も描かれていないものを整理し ・. た.. -. ② 「中景」には, 近景と遠景の中間程度の絵柄とし, バストショッ ト程度, 準広角的な絵であり背 景は何も描かれていないか, 比較的単純な絵柄のものを整理した. ③ 「遠景」 には, 広角 的な絵で開かれた風景とし, 背景は 「中景」 よりも複雑なものを整理した. ④ 「近景」 「中景」 「遠景」に 類別する作業は, 5人の職業の違う人に個別に分類してもらい多数見 解を採用した. その結果, 合計48枚の提示絵は, 「近景」 が1 5枚, 「中 景」 が 13 枚, 「遠 景」 が 20 枚となっ た. その内, 「中景」・の2枚・「遠景」 の5枚は, 具体的に対応する刺激語桑がないダミ÷ であっ たから, 実際に分析に使用した絵は, 「近景」 が1 5枚, 「中景」 が11枚, 「遠景」 が1 5枚の 合計41枚である.. ⑤ 「近景」に類別された絵は次のとおりである. (例. 1ー3は, 最初の数字は PVT 検査用紙の頁. を表し, 後の数字 「-3」 は4枚の提示絵群のそれぞれの絵の番号を表すから, 1頁の3番の絵で あ る.). -. ▲. -2, 1- -3, 1 - 4, 2 一 1, 2 一 2, 2 一一3, 2 - 4, 1 - 1, 1- 3 - 1, 3 - 2, 3 - 3, 3 - 4, 10一 1, 10一 2,、 10一 4, 計 15 枚 146. ‐.

(6) . 弱視児の語桑理解過程における聴覚・視覚変換の難しさ. ⑥ 「中景」 に類別された絵は次のとおりである. (D) はダミーを表す. 4 - 1, 4 - 3(D), 5 - 1, 5 - 2(D), 5 ー 4, 7 ー 1, 7 - 2, 7 - 3, 7 - 4 8 - 2 9 - 1 9 - 2 10- 3 計 11 枚 ・ D は 2 枚 , , , , , 「遠景」 に類別された絵は次のとおりである (D) は ダミーを表す . .. ⑦. ”. 4 - 2, 4 - 4, 5 - 3, 6 ー 1(D), 6 - 2, 6 - 3, 6 - 4, 8 - 1, 8 - 3, 8 - 4(D), 9 - 3(D) , 9 - 4, 11- 1, 11一 2(D), 11- 3, 11- 4, 12- 1, 12- 2(D), 12- 3, 12- 4, 計 15 枚 ・ D は 5 枚. ⑧ PVT の提示絵の分析にあたっ て, 採点基準は次のようにした. PVT では, 音声で提示された 「語桑」 を聴覚的に受容 (入力) 理解し, 同時に視覚的に受容 (入 力) 理解していた提示絵の持っ ているメ ッセージを言語的に変換し, 提示された音声・聴覚的な語 桑と絵の言語的解釈とをマッチング (連合) させて, 運動回路から出力 (反応) させるという過程 を経ている. つまり, 聴覚-視覚変換を経た連合過程が問題となっ ていることも予想されるのであ る.. そこ で, 48枚の提示絵(ダミーは7枚)に対して, 68語桑のマッ チン グを求めているから, 1枚 の絵が1つの語葉に対応しているもの, 1枚の絵が2つの語葉に対応しているもの, 1枚の絵が3 つの語桑に対応しているものという3タイ プが存在し, 重みが違っ ていることを特に重視した‐ ⑨. 第1に, 絵1に対して語梁1, 絵1に対して語藁2, 絵 ”こ対して語薬3の対応関係において, そのすべてに成功 した場合を正 答として粗 点1を 与え, それ以外の部分 的成功は誤答と して取り 扱っ た (語薬と絵の同定に困難さがあっ たと見て) . 第 2 に, 「近 景」 「中 景」 「遠 景J に類別された絵を通して 「絵 ”こ対して語梁1」 のタイ プを語桑 「 「 「 理解の 「難度1」 , 同 絵1に対して語桑2」 のタイ プを同 難度2」 , 同 絵1に対して語奨3」 のタイ プを同 「難度3」 として取り扱い分析した. ⑩ 「難度1~3」 における 「近景」 「中景」 「遠景一 別の提示絵を類別 し整理しておく. (「1-3」 は, 検査用紙の1頁の3番の絵の意味) . 表1‐ 難度 動こ属する提示絵. 表2‐ 難度2に属する提示絵. 表3. 難度3に属する提示絵. 近 景. 中 景. 遠 景. 近 景. 中 景. 遠 東. 近 景. 中 景. 1- 3. 5- I. 4-2. 1- I. 4-1. 4-4. 3 -3. 7 -3. 2- 1. 5- 4. ‐I 6-. 1 -2. 9-1. 6- ‐3. 10-3. 6-4. ‐1 3-. ‐I 7-. 8-1. 1-4. 10- 1. 7- 2. 11- I. 2- ‐2. 10- 4. ‐4 7-. 12- 1. 2-3. 9-4. 8- 2. 12-3. 2- ‐4. 11- 3. -2 3-. 11- 4. ‐2 9-. 遠 景 5 -3 12- 4. 8-3. 3-4 ‐2 10-. 147.

(7) . 末 岡 一 伯・藤 原. m. 結. 等. 果. 1. 弱視児における PVT と視力・視知覚・月齢との関係 (音声-視覚一運動回路の分析) 2名における PVT (目的変量) と8変量の重回帰分析の結果 ( ) 弱視児4 1 表5‐ 変量減増法での分析結果 表4‐ 8変量との関係 (変量減少法) 説明 変量 月. 齢. 標準偏回帰係数. 信 頼 度 f3 3 ( t検定 d ). 月. 齢. 0‐280956 -0‐13004 0.077836. n S . . n S . .. 遠距離視力 近距離視力. DTVP 2. 0.152171 0.537545. n S . - **. DTVP 2. DTVP 3. 一0‐136581. DTVP 3. DTVP 4. 0‐334763 ‐0‐092204. DTVP 4. 遠距離視力 近距離視力 DTVP I. DTVP 5. *. 説明 変量. 標準偏回帰係数. 信 頼 度 f3 ( ) 8 t検定 d. 0.302269. **. 0.509873. **. 0‐245379. *. DTVP I. DTVP 5. 重相関係数 0 3 ‐88 調整寄与率 72‐ 6 40 ) 07** ( df8 分散分析 F値 1 4‐ 6 , 33. 重相関係数 0 8 ‐87 調整寄与率 7 5. 34 9 d f3 8 ) 2.77 4** 分散分析 F値 4 ,3 .(. *p<0.05 **p<0.0l n s ‐ .p>‐05. *p<0.05 **P<0.01. 2. 弱視児における WISC-R 「単語」 と視力・視知覚・月齢との関係 (音声-聴覚-音声回路の分 析) ( 1 ) 弱視児42名における WISC-R 「単語」 (目的変量) と8変量の重回帰分析結果 表7‐ 変量減増法での分析結果. 表 6‐ 8変量との関係 (変量減少法). 説明 変量 月. 齢. 遠距離視力 近距離視力 DTVP I DTVP 2 DTVP 3. DTVP 4 DTVP 5. 標準偏回帰係数. 信 頼 度 ) ( 3 t検定 df3. 0‐464179 0.23293 -0-474361 0.293186 0‐469314 0‐370194 0‐005524 -0‐028510. 説明 変量. 標準偏回帰係数. 信 頼 度 f38 ) ( t検定 d **. **. 月. 齢. 0.401757. n S ‐ ‐ n S . .. 遠距離視力 近距離視力. -0.322327. *. n S . . *. DTVP I 0‐57068. **. n S . . n S . .. DTVP 3. n S ‐ ‐. DTVP 5. DTVP 2 DTVP 4. 6 3 重相関係数 0.7 調整寄与率 48 0 ‐44 d f8 3 ) 39** ( 分散分析 F値 5 ,3 ‐7. 25 重相関係数 0 ‐7 8 4 調整寄与率 4 .88 4 0** ( df3 8 ) 分散分析 F値 1 .07 ,‐3. *p<0.05 **p<0‐0l n s .p>‐05 ‐. *p<0.05 **p<0.01. 148.

(8) . 弱視児の語最理解過程における聴覚・視覚変換の難しさ 3. PVT の 「語梁と絵の対応」 に成功・不成功 であっ たものと絵の 「近景」 「中景」 「遠景」 との関. 係 ( ) MXN 分割表での関係分析の結果 1 -・遠景 -との関係 表8‐ 弱視児42名における 「語藁と絵の対応」 の成功・不成功と近景・中鰻 (2× 3分割表) 絵 の 遠 近. 計. }. 語梁と絵の対応に成功. 550. 語薬と絵の 対応に不 成功. 計. 団. 甲. 349. 358. 1,257. 80. 113. 272. 465. 630. 462. 630. 1,722. ェ2;150‐500 df2 P<0.01. 弱視児42名を小学4年生までの20名(弱視低学年群と略称)と小学5年生~中学3年生ま で. の22名 侮辱視高学年群と略称) に分けて分析したところ次のような結果を示した. 「 2×3分割表を使用 し, 表8 .と同様の目的で 語桑と絵の対応」 の成功・不成功と近景・中景・遠 2=6 景との関係を分析したところ, 弱視低学年群においても 尤 f2 3‐821 ,d , p<0‐01 , 弱視高学年群 に お い て も ズ2=75‐564 , p<0‐01 を 示 し た. , df2. ( ) 健常視力児小学1年生24名 (健常1年群と略称) と小学4年生22名 (健常4年群と略称) ィ における 「語藁と絵の対応」 の成功・不成功と近景・中景・遠景との関係を2×3分割表を使用し分 析したところ, 次のような結果を示した. 健 常 1 年 群 z2=156‐043 , df2 , p<0‐01 を 示 し た. 2 健 常 4 年 群 尤 =85‐125 , df2 , p<0‐01 を 示 し た.. ( 坊 弱視低学年群・弱視高学年群・健常1年群・健常4年群におけ る 「語桑と絵の対応」 の成功 と近景・中景・遠景との関係を4×3分 割表を使用 し分析したところ, 次のような結果を示した‐ x2=22‐632 , p<0‐01 を 示 し た. , df6. ( 2 ) PVT の 「語梁と絵の対応」 に成功した 「近景」 「中景」 「遠景一 別の平均値 { M } 0 4. ( M ) 3 8. 近景. 中腰. 遠景. 図5‐ 弱視児42名における近景・中景 おける近景・中景・遠景別の 平均値 (F=13‐143 ) , 38 p<0.01 , df2. M { ) 2 0. M { i 1 7. 近景. 中最. 遠景. 図6‐ 弱視低学年群における近景・中景・遠景別の. 平均値. (F=8‐022 ) , df2 ‐01 , 38 p<0.. 149.

(9) . 末 岡 一 伯・藤 原. M { ) 2 1. M { }. 等. M ( ) 2 0. ( M ) 0 2. 国璽. 1 0. 1 7. 0. 5 1. 連澱. 中景. 近景. 図7. 弱視高学年群における近景・中景・遠景別の. 近景. 遠景. 中景. 図8. 健常1年群における近景・中景・遠景別の. 平均値. 平均値. (F=11‐825 ) , df2 , 38 p<0‐01. (F=12‐780 ) .38 p<0.01 , df2 ,. M { } - 2 1. M ( ) 5 2. 2 0 9 i. M ( ) 2 1. M } . ‐ { 2 5 2 0 .‐. 一 平均値 平均値. 1 5 1 0. 5 1 0. 近景. 中景. G 0. 4 1. 遠景. 弱視低. 弱視高. 健1年. 健4年. 7 1. 図1 0 .・近景における4群の平均値. 図9. 健常4年群における近景・中景・遠景別の 平均値 ) (F=5.246 , df2 , 38 p<0.01. M { } 2 0 艶. { M ) 2 0. 弱視低. 弱視高. 健4年. 健1年. 4 ー 1 3 2 1. { M } 2 2 2 0. 弱視低. 弱視高. 健・年. 憾4肇. 8 6. 図1 3 . 近・中・遠景における4群の平均値. 150. .. 、. M ( ) 6 1. 2 i. 4 2 0. 弱視低. 弱視高. 徳.年. 健4年. 2 図1 ‐ 遠景における4群の平均値. 図1 1 ‐ 中景における4群の平均値. M } { 2 5. ・・. M ( 1 ー 6 ” . ?.

(10) . 弱視児の語桑理解過程における聴覚・視覚変換の難しさ. 3 図1 ‐については, 語桑と近景・中景・遠景の3つの異なるカテ ゴリーの絵との同定に成功したも のの平均値を, 弱視低学年群・弱視高学年群・健常1年群・健常4年群で比較したものである. 仮に, X水準として近景・中景・遠景を, Y水準として弱視低学年群・弱視高学年群・健常1年 群・健常4年群をとれば, X水準は F=29‐149 , df2 , 6 p<0‐01. となり, Y水準は F=12‐553 , df3 , 6 p<0‐01. であることが示唆された. また, 4×3表の分析においても, メ ニ22‐632 , df6 , p〈0‐01. であることが示唆された. ( 3 ) 「近景」 「中景」 「遠景一 別からみた 「語桑と提示絵」 の対応の成功率と難度 表9. 弱視児における 「近景」「中景」 「遠景一 別からみた 「語梁と提示絵」 の対応成功率と難度 ) (%, N=42 ′ 景 ・景 中・ 近 遠 景. 成功率. 頁数と. %. 絵番号. 76-11 90‐48 92‐86. 4 -2. 83‐33. 6 -2 6- -3. 難度1. 78.57 52‐38$ 88‐10. 8-2. 難度1. 80‐95. 8- 3. ‐I 9-. 難度2. 61‐90* 66‐67* 59‐52*. 9-4. 成功率. 頁数と. %. 絵番号. 難度2 難度2. 85‐71 95‐24. 4- ‐1. 97‐62 90‐48. 5‐4. 88-10. 7 -2. 2一2. 難度1 難度2 難度1 難度2. 7- -3. 2- ‐3. 難度2. 88-10 90.48. 難度1 難度1 難度1 難度3 .. 7- 4. 2- -4. 難度2 難度1. 97.62. 頁数と. 絵番号 1- I 1- 2 1-3 1-4 2- ‐I. 3- ‐1. 難 度. 100‐0. ‐1 5- ‐I 7-. 難 度 難度2 難度1. ‐4 4- 5 一3. 6-4 ‐I 8-. 難度2. -4 11-. 難度2 難度1 難度1 難度3. 難度1. 10- 3. 難度2. 78.57 83-33. 12- 1. 10- 2. 難度2 難度1 難度2 難度1. 47‐62* 80.95. 12-3. 10- 4. 10- ‐I. *印 成功率 7 0%以下のもの 計1. 12- 4. *印 成功率 7 0%以下のもの 計4. 難度1 難度2. 11-3. 9-2. 95.24. 3-4. 難度3 難度1 難度2 難度2. 11- I. 90.48. 3- 3. 難度1 難度2. 難度2 難度1. 難度2 難度3. ‐2 3-. 難 度. 成功率 % 71.41 54‐76* 73.81 83.33 50* 73‐81 83.33 59-52* 45.24* 64‐28* 19.05* 57‐14* 54‐76* 52‐38卒 9.52*. *印 成功率 70%以下のもの 計10. 151.

(11) . 末 岡 一 伯・藤 原. 等. 「 表10 0%以下であったもの ‐ 弱視児における難度別からみた 語集と提示絵」 の対応の成功率が7 (N=4 2 ) 度. 難. 1. 難. 頁数と 絵番号. 近 中 遠 景. 成功率 %. 頁数と 絵番号. 度. 2. 度. 難. 3. 近 中 遠 景. 成功率 %. 頁数と 絵番号. 近 中 遠 景. 成功率 %. 54.76 50. 7- 3. 中. 景. 12‐ 4. 遠. 景. 52‐38 9‐52. 9-2. 中. 景. 遠. 景. 遠. 景. 66.67 64.28. 4-4. 11‐ 1. 6一 3. 遠. ‐ 景. 12一 1. 遠. 景. 54.76. 8一 3 , 遠. 景. 12- 3. 遠. 景. 52.38. 9一 1. 中. 景. 59‐52 61.90. 9- 4. 遠. 景. 45.24. 10- 2 10一 3・. 近. 景. 47.62. 中. 景. 59.52. 11一 3. 遠. 景. 11一 4. 遠. 景. 19.05 57.14. 近景. 計. 0. 1. 中景. 計. 1. 2. 1. 遠景. 計. 3. 6. 1. 0. 「 「 「 「 表1 1 ‐ 弱視低学年群・弱視高学年群とにおける 近景」 中景」 遠景」 別からみた 語桑と提示絵」 の 対応成功率7 0%以下の出現数と難度別出現数 難. 度. 低学年群. 難. 1. 高学年群. 度. 低学年群. 難. 2. 度. 3. 高学年群. 低学年群. 高学年群. 近景. 計. 0. 0. 1. 1. 0. 0. 中景. 計. 1. 0. 2. 0. 1. 0. 遠景. 計. 4. 0. 6. 4. 1. 1. 難度. 計. 5. 0. 9. 5. 2. 1. 「 「 「 「 表1 2 ‐ 健常1年群・健常4年群とにおける 近景」 中豊」 遠景」 別からみた 語葉と提示絵」 の 対応成功率7 0%以下の出現数と難度別出現数 難. 健1年群. 度. 1. 難. 健4年群. 度. 難. 2. ・ 健1年群 . ・ -健4年群. , 健1年群. 度. 3. 健4年群. 近景. 計. 2. 0. 1. 1. 0. 0. 中景. 計. 4. 0. 2. 2. 0. 0. 遠景. 計. 5. 2. 7. 4. 2. 1. 難度. 計. 11. 2. 10. 7. 2. 1. 152.

(12) . 弱視児の語桑理解過程における聴覚・視覚変換の難しさ 「近景・中長・遠景」 の各成功数との関係, MXN 表) の結果 4. 語築理解の難度別分析 ( ・. 臆測. 鵬捌 . 6 0 1 4 0 1. 3 0 0 中景 . . - -中景 - - .遠景ョ 5 0 0. 翻灘. 醐崖2. 胞匡・. 4 0 2 0 0. 2名の難度別成功数 4 図1 ‐ 弱視児4. 図1 5 ‐ 弱視低学年群の難度別成功数. 功数 弱視高学年群の難度別成 図16 ‐. 図1 7 - 健常1年群の難度別成功数. ) ( ヱ2=117‐350 , df4 , p<0‐01. ) (〆=67.394 , p<0‐01 , df4. . ) ( %2=58.808 , df4 , p<0‐01. ) (メニ85‐404 , p<0‐01 , df4. 2 0 0. . 園中景. -搬. 一中澱. . . . . 弱視低. 弱視高. 健1. 健4. 0. 図1 9 ‐ 4群における難度別成功数 (各群の難度は 近・中・遠景の成功数の計). 図18 ‐ 健常4年群の難度別成功数 ) (ガニ81‐274 , p〈0.01 , df4. 2=0 938 df4 p>0 05 (x ‐ , ‐ ) ,. W. 考. 察. )における影響因を整理したら次のようになっ た(表4 1. 重回帰分析結果から弱視児(N=42 .~表 7 .). 3 表1 ‐ 回路別影蝋延因 回. 路. 影 響 因. 音声-視覚-運動回路 (PVT). DTVP 2 1月齢I DTVP 4. ) 音声-聴覚一音声回路 (WISC‐R 「単語」. DTVP 2 1月齢1近距離視力. 153.

(13) . 末 岡 一 伯・藤 原. 等. ( 1 ) 月齢の影響を除くと両者の違いは, 、 音声-視覚-運動回路 (PVT) には視知覚の要因が, 音 声-聴覚-音声回路 (WISC-R 「単語」 ) には視力の要因が影響しているよう である. ( 2 ) このことから, 音声-視覚-運動回路 VT) における絵画語藁能力の改善には, 視知覚能 力の向上を図ることによっ て, 可能性が開けてくるのではないかとも考えられよう. 2. 弱視児群 (N=42 ・中・遠景」 と ) において, 語梁と絵の対応に成功・不成功のものと絵の 「近・ の間には, 1%水準で有意な関係の存在が示唆された (表8.) . 同様に, 弱視低学年群・弱視高学年群・健常1年群・健常4年群の間においても, 1%水準で有意 な関係の存在が示唆された (図13 .) .、 2 3‐ 弱視児群 (N=4 ) においても, 弱視低学年群・弱視高学年群・健常1年群・健常4年群におい 「 ても, 近・中 ・遠景」 の各成功数 (語葉と絵との対応) の平均値間に, 1%水準 で有意な差の存在 が示唆されているので, 「近景」>「中景」>「遠景」. の順に並ぶよう であり, 「遠景」の絵になればなるほど, 成功数が少. なくなる傾向が示唆されるの で, 音声-聴覚的な提示語薬を絵にマッチン グさせることの困難度が 高いよう である(図5.~図9.) . 遠景になれば困難になるという傾向は, 弱視児だけに見られるこ とではないよう である. 4. 提示語薬と提示絵のマッチングの成功率が70%以下の出現頻度からも, 全体的傾向として弱視 2 ) においても, 弱視低学年群・弱視高学年群・健常 1年群・健常4年群においても, 児群 (N=4 「近 景 >「中 景 >「遠 景 の順に,「遠景」になるほど困難になる傾向が示唆された(表10 」 」 ・ .~表 12 .)-. 5. また, 弱視低学年群・弱視高学年群・健常1年群・健常4年群の4群間にも, 1%水準で成功数 の平均値に有意な差があるらしいこと, 同時に, その時, 「近・中・遠景」 の3群間にも1%水準で 成功数の平均値に有意な差があるらしいことが示 唆されているから (図1 3 .) , ① 「近景」 における成功数 (平均値) は 「弱視高学年群・健常4年群 >「健常1年群 >「弱視低学年群 」 」 」 「中景」 における成功数 (平均値) は ② ・ 「弱視高学年群」>「健常4年群」>「弱視低学年群」>「健常1年群」 ③ 「遠景」 における成功数 (平均値) は 「弱視高学年群」>「健常4年群 >「弱視低学年群 >「健常1年群 」 」 ・ 以上の傾向があるよう である. 「近景」 における成功数 (平均値) では, 小学4~1年生で構成さ れている 「弱視低学年群」 が 「健常1年群」 に比べ て困難度が高 いよう であり, 視知覚発達が遅滞 していることが原因になっ ているかも知れない. 6. 弱視児群 (N=42 ) においても, 弱視低学年群・弱視高学年群・健常1年群・健常4年群におい ても, 提示語梁と提示絵のマッ チングの成功率が70%以下の出現頻度を 「難度」 からみるとき, 次 の よ う に な っ た. 「難 度 1 では 」 ,. 「近 景」>「中 景 >「遠 景 」 」. 「難度2」 では 「近景」>「 ‐ 中景」>「遠景・ の順に並ぶよう であり, 「遠景」 になるほ ど困難 , になる傾向が示唆された. 「難度3」 では 「難度3」 に類別された提示絵の数が少な過 ぎて この傾向については 明確に , , , 示されなかっ たが, 健常1年群・健常4年群も含めて弱視群においても, 「遠景」 が困難であるよう に見えた. 7. 弱視児群 (N=4 2 ) においても, 弱視低学年群・弱視高学年群・健常1年群・健常4年群におい 154.

(14) . 弱視児の語桑理解過程における聴覚・視覚変換の難しさ. ても, 「難度1~3」 という重みづけと, 提示絵の近景・中景・遠景との間には, 1%水準で有意な 関係が存在していることも示唆された (図14 .~図18 .) . しかし, 弱視低学年群・弱視高学年群・健常1年群・健常4年群の4群間と 「難度1」 「難度2」 「難度3」 3群間の難度別成功数 (近・中・遠景の計) との関係は 5%水準で有意なものであると , - は言えなかっ た (図19 .) . つまり, 弱視低学年群・弱視高学年群・健常1年群・健常4年群の4群 間の難度別成功数に意味のある違いはなさそうだということである. 8. 以上のことから, 次のようなことが言えよう. ‐ 1 ( ) 1枚の提示絵に対して1語葉が対応していようと, 1対2, 1対3で対応していようと, 難 「 「 葉の 度にほとん ど関係なく, 「近景」 に比べて 「中景」 , 中景」 に比べて 遠景」 の提示絵と提示語鐙 対応が困難らしいことが示唆された. 2 ( ) 小学5年~中学3年までを含む弱視高学年群は, 健常4年群と比較して成功数に顕著な違い 「 「 「 がなかっ た. その原因の1つには, 「近景」 に比べて 「中景」 , 中景 轟こ比べて 遠景 “こおける 音 「 声-聴覚回路」 情報を, 視覚-運動回路」 情報に変換すること (あるいは, 視覚から聴覚への逆変 換) の困難さ であっ たとも言えよう. 弱視児は視力が弱くて, 遠くにある事物がよく見えない, 見 えにくいという視覚特性があげられ, 視力が弱いこと力坊期経験の不足につ ながり, 遠くにある事物 の視知覚・視覚的認知が十分でないことが指摘されよう‐ また, 遠近法で視覚的に表現された 「遠 景」 の絵の解釈が十分にできていないことも考えられる‐ 「遠景」 の絵を見るとき 「図と地」 の分離 と 「空間における位置」 関係が十分ではないという視知覚上の問題も影響しているのではないかと ) 推 察 さ れる1 ‐. 3 3Jこまとめられているように, PVT の場合, 視力要因ではなくて, 視知覚 ( ) そのことは, 表1 DTV P4 )要因が影響していることが示唆されているからである (DTVP2 . また, 弱視児群(N= , 3 42 )において, 表1 ‐から,年齢の要因が禰F梁理解の発達に景拷響していることが示唆されていること, から 健常4年群と健常1年群における年齢の要因による発達差を読み取ることも できるか 図1 3 , ‐ 「 「 ら, 語薬理解過程における 音声-聴覚回路」 からの入力情報を 視覚-運動回路」 情報に変換し 出力する能力は, 年齢が高くなることによって, 向上傾向にあることが示されたように思う. 弱視 高学年群と弱視低学年群との比較でも, 「近・中・遠景」 のいずれも高学年群に向上傾向が見られる (図13 .) ので, やはり年齢の要因も影響しているらしい. ( 4 ) しかし, 年齢の要因が, はたらいているよう だが, 弱視児については 注意深く見ておく必要 がある. 弱視高学年群は, 小学5年~中学3年までを含む グループであることを考えれば, 図1 3 .図 「 「 19 ‐か ら も, 健 常 4 年 群 と 比 較 す る と き, 近・ 中・ 遠 景」 に お い て も, 難 度 1・2・3」 に お い て. も, ほとんど差は示されていないのである. 弱視児においても, 年齢の向上と共に, PVT における. 語桑理解過程での音声提示の語桑情報 (聴覚情報) を絵という視覚情報に変換同定する能力は, そ れなりに向上はするが, 健常視力4年生の段階を超えてはいないよう である. 健常1年群と健常4 年群と言うように明確な年齢差が示唆されないよう である. ここに, 弱視児の聴覚情報を視覚情報 ) に変換理解する困難さが現れていると言えよう5 . 「 9. 以上のことから, 弱視児の 音声-視覚-運動」 回路, 特に 「音声-聴覚-視覚」 変換過程の 蹟きは, 音声-聴覚的受容・理解の問題ではなく(W工SC-R「単語」の語薬提示と反応は, 「音声-聴 覚 (理解)-音声」 回路なので, 「音声-聴覚 (理解) 《変換}÷視覚-運動」 回路( (語葉の音声提示 ) ) -絵の選択による反応) )に比べ て蹟きが少ない3 視覚変換理解の問題のようにも思われ , , 視知覚 「 「 ) 向上訓練によっ て, ある程度, 改善を図ることが可能なので ( 図形と素地」 空間における位置」 「 はないかとも考えられる. 特に, 遠景」 「中景」 的な絵の知覚・認知訓練は重要ではないかと考え 155.

(15) . 末. 岡 一 伯・藤 原. 等. ) ら れる2 .. しかし, 限りなくゼロに近く なる視力を持っ た最重度の弱視児の 「音声-聴覚-視覚」 変換には 制約がおきるのも事実であろう. そのような最重度の弱視児には, 「音声-聴覚-音声J回路を使っ た語桑理解能力を向上させることは大切なことである.. V. 引用・参考文献 ):弱視児の視知′覚 二瓶社‐ pp 10 1 1) 藤原 等 ( 1990 0 ‐ 42 . ‐ ):視力の弱い子の映像認知. 二瓶社‐ pp 199 1 8 6 ‐1 35 2) 藤原 等 ( . . 19 ):弱視児の言語理解における絵から言葉への変換のむつかしさ. 北海道視覚障害教育研究大会 3) 藤原 等 ( 9la 「平成4年度研究紀要」 北海道視覚障害教育研究会 pp24- ‐ ‐ ‐ ‐ 27 4) 藤原 等 ( 1 lb ):弱視児の視知覚・視認知能力向上訓練と9か年の視知覚発達. 「特殊教育学研究」 第30巻第 99 3号‐ 日本特殊教育学会‐ pp 59‐ 6 5 ‐ ‐ 2 ):弱視児の語梁理解における聴覚・視覚変換過程について‐ 北海道心理学会第3 5) 藤原 等・末岡一伯 ( 1 9 9 9回. 大会発表論文 譜い発達検査研究会 ( l 1 3 1 2 3‐ 2 5 1 97 7 ):語い発達検査. 心理測定ジャーナル‐ Vo ‐ ‐ ‐ ‐ No ‐ pp ‐ 1 95 ):WISC知能診断検査法. 日本文化科学社. pp 3 2 ‐ 9 児玉 省・品川不二郎 ( 4 0 . . 1 97 8 ):日本版 WISC‐R知能検査法. 日本文化科学社‐ pp ‐1 児玉 省・品川不二郎・茂木茂八 ( 7 1 43 . . 金城 悟・中田英雄・佐藤泰正 ( 19 8 9 ):異同判断課題における弱視者の視覚情報処理特性‐ 「特殊教育学研究」 第27巻第3号‐ 日本特殊教育学会‐ pp 7 9‐ 87 . . ) 大石八重・田中昌子・喜多しづ子 ( 1 0 1 981 ):幼児の言語発達の一考察 (絵画語い検査を用いて) ‐ 心理測定ジャー 6) 7) 8) 9). ナ ル‐ VO 1 17 7 2‐6 ‐ . ‐ . No ‐ pp .. 1 1 ) 佐藤泰正 ( 1 97 ):視覚障害児の言語. 視覚障害児の心理学‐ 学芸図書. pp 4 1 00‐ 1 14 . ‐ 1 2 ) 末岡一伯・藤原 等 ( ):弱視教育と視知覚向上訓練に関する実践的研究. 「北海道教育大学紀要」 第1部C. 1 9 90 第 41巻 第 1 号. pp 73‐89 . .. 3 ) 上野一彦・撫尾知信・飯長喜一郎 ( ):絵画語い発達検査手引‐ 日本文化科学社‐ pp 1 1 97 2 二 8 1 9‐ 5 . ) 上野一彦 ( ):絵画語い発達検査. 心理測定ジャーナル. Vo 1 4 1 97 9 l 1 6 5 3 3‐ ‐ . . ‐ No . pp ‐ ) 上野一彦 ( 1 5 1 983 ):絵画語い検査 (PVT) と修正得点. 心理測定ジャ+ナル. VOLI 9 7 1 0 . . ‐ No ‐p ‐. 謝辞 掲載図版, 図1‐ 図2‐ 図3. 図4.に関する使用許可をPVT の発行所である 「株式会社日本文化科学社」 からい ただきました. お礼申し上げます‐ (末岡一伯 本学教授 旭川分校) (藤原 等 北海道旭川盲学校教諭). 156.

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