医用画像データに基づく特発性側彎症患者別骨量変化の同定
251802215
西川 弘一郎
論文要旨 医用画像データ処理ソフトウェアを用いれば,特発性側彎症患者の脊柱有限要素モデル が得られる.さらに,3 次元形状編集ソフトウェアを用いれば,患者脊柱モデルを正常な 形状に変形させることができる.本研究では,このようにして得られた変形を骨の生成と 吸収に置き換える問題を定式化して,その数値解から特発性側彎症の成因を探ることを目 的とした. 本研究では,患者脊柱モデルの領域 Ω0 ⊂ R3 と正常な脊柱に近い領域 ΩN は上記の方 法で得られていると仮定する.このとき,患者モデルの境界 ΓD0 ⊂ ∂Ω0 からそれに対応 する正常モデル境界 ΓD(u)⊂ ∂ΩN への変位 uD は既知となる.一方,本研究では,骨の 生成と吸収は非弾性 Green-Lagrange ひずみ EG(θ) = eG ∑ (i,j)∈{1,2,3}2 ςij(θij) IGij, ςij(θij) = tanh θij の湧き出しによって与えられると仮定する.ここで,Θ = (θij)ij ∈ X = H1(Ω0;R3×3) (Θ = Θ⊤) は EG の大きさを決める変数で,eG はその最大値を表す正の定数とする.θは Θ の Voigt 表現,IGij = (akl)kl, akl = 1 ((k, l) = (i, j)), 0 ((k, l) ̸= (i, j)) とする.本
研究では,Θ を設計変数とする密度型位相最適化問題の定式化を用いた.状態決定問題 は,ΓD0 上での強制変位 uD と EG(θ) の湧き出しが発生したときの超弾性体の有限変形 問題として定義される.評価関数は,強制変位に対する反力の 2 乗ノルム f0(θ, u) = ∫ ΓD0 ( Π⊤(θ, u)ν)·(Π⊤(θ, u)ν) dγ を用いる.ここで,Π(θ, u) は第 1 Piola-Kirchhoff 応力,ν は単位法線を表す. この問題に対する数値解析プログラムは,θ 型 H1 勾配法に基づく反復法を用いて開発 された.図 1 に同定された θ による変形を示す.図 2 に, 正常な脊柱形状から患者の脊 柱形状へ向かう骨量の増減分布を示す.赤は骨量の増加, 青は骨量の減少を示す. この結 果より,椎間関節の周りで骨量の変動が観察された. 図 1: 同定された θ による変形 (色: ∥u∥) 前面 側面 図 2: 骨量の変動 ∥EG(θ)∥