<論説>条約法に関するウィーン条約第60 条に関する一考察(3) : 歴史的変容、多数国間条約への適用および5項の意義
25
0
0
全文
(2) 横浜法学第 24 巻第 2・3 号(2016 年 3 月). 第 4 章 条約違反を根拠とする条約の終了・運用停止に対する実体的 制約 第 60 条に基づき条約当事国が終了・運用停止原因として援用することがで きる条約違反は、条約の「重大な条約違反」に限られる。同条 3 項は、 「重大 な条約違反」を次のように定める。 「この条の規定の適用上、重大な条約違反とは、次のものをいう。 (a) 条約の否定であつてこの条約により認められないもの (b) 条約の趣旨及び目的の実現に不可欠な規定についての違反」 本章では、同項に法典化された「重大な条約違反」 (以下、 「重大な違反」 )の 内容とそれが法典化された意義について検討する。. 第 1 節 法典化前史 第 1 項 学説の展開 一方的廃棄権に関する学説は、一般的な傾向として、時代を経るにしたがっ て次第に実体的および手続的要件を課す方向に展開してきたということがで きる 1)。しかし、一方的廃棄権に関する学説の展開において、どのような条約 違反が一方的廃棄権を生じさせるかという問題に関して、 国連国際法委員会(以 下、ILC)による条約法の法典化以前の学説状況は、一致しておらず、大きく 2 つの立場に分けることができる 2)。 第 1 の立場は、条約の双務性、条文間の相互依存性および不可分性を重視し、 あらゆる条文のあらゆる種類の違反が非違反国に一方的廃棄権を生じさせると 1)B. Simma, “Reflections on Article 60 of the Vienna Convention on the Law of Treaties and Its Background in General International Law”, Österreichische Zeitschrift für öffentliches Recht, vol. 20 (1970), p. 26 2)例 え ば、A. Ross, A Textbook of International Law (Longmans, Green & Co., 1947), p. 219; C. G. Fenwick, International Law, 2nd ed. (Appleton-Century-Crofts Inc., 1948), p. 452. 86.
(3) 条約法に関するウィーン条約第 60 条に関する一考察(3). 考えるものである。ここでは、この立場を無限定説とよぶ。初期の国際法学者 の見解がその代表的なものである 3)。無限定説は、17、18 世紀の国際法学者 4) をはじめとして、20 世紀にいたるまで多くの論者に支持された 5)。 3)M. M. Gomaa, Suspension or Termination of Treaties on Grounds of Beach (Martinus Nijhoff Publishers, 1996), pp. 6-7, 76-78; Simma, supra note 1. pp. 26-27. ただし、 例外もある。例えば、H. Grotius, The Rights of War and Peace, trans. by A. C. Campbell, (M. W. Dunne, 1901) p.174. 同書に よれば、軽微な不履行が条約を廃棄させることはない。経塚作太郎「条約違反と条約の終 了―ウィーン条約法条約第 60 条の研究―」森川俊孝編『紛争の平和的解決と国際法』 (皆 川洸先生還暦記念) (北樹出版、1981 年)302 頁。 4)例 えば、E. de Vattel, The Law of Nations or the Principles of Natural Law, Applied to the Conduct and to the Affairs of Nations and of Sovereigns, from the French of M. de Vattel (T. & J. W. Johnson, Law Booksellers, 1844), Book II, Ch. XIII, Secs. 200, 202, p. 213, 215-216; C. Wolff, Jus Gentium Methodo Scientifica Pertractatum, trans. by Joseph H. Drake, (Clarendon Press, Oxford, 1934), vol. II, Secs. 430, 432, pp. 226-228. このうち、後者は、複数の問題を規律する条約に関して条文間の可 分性を認め、一方的廃棄権を行使する際に、手続的考慮を加え、履行再開の要求や賠償請求が 不成功に終わった後にのみ条約を廃棄させることができると主張するため、これを限定説と捉え る見方もある。W. E. Hall, A Treatise on International Law 4th ed., (Clarendon Press, 1895), p. 368. ま た、R. Zouche, An Exposition of Fecial Law and Procedure, or of Law between Nations, and Questions concerning the Same, trans. by J. L. Brierly (Carnegie Institution of Washington, 1911), vol. 2, p. 111. 5)例 え ば、R. Wildman, Institutes of International Law, vol.1, International Rights in Time of Peace, (T.&J.W.Johnson, 1850), pp. 110-111; J. Kent, Kent’s Commentary on International Law: Revised with Notes and Cases Brought Down to the Present Time, ed. by J.T.Abdy (Stevens and Sons, 1866), p. 420; J. K. Bluntschli, Le droit international codifié, 2ème éd., trad. par M. C. Landy(Librairie de Guillaumun et Cie., 1874), p. 258; F. von Martens, Völkerrecht, vol. I (Wiedermannsche Buchhandlung, 1883), p. 416; H. W. Halleck, International Law, or, Rules Regulating the Intercourse of States in Peace and War, 3rd ed., vol. I (Kegan Paul, Trench, Trübner, & Co. Ltd, 1893), p. 287-288; A. Rivier, Principes du Droit des Gens, vol. II (Arthur Rousseau, 1896), pp. 135; H. Bonfils, Manuel de droit international public, 4ème éd. par P. Fauchille (Arthur Rousseau, 1905), p. 480; F. von Liszt, Le droit international, trad. par G. Gidel (A. Pedone, 1927), p. 187; L. Oppenheim, International Law: A Treatise, vol. I, 4th ed., by A. D. McNair (Longmans, 1928), p. 756; A. Cavaglieri, “Règles du droit de la paix”, Recueil des Cour, tome 26 (1929-I), p. 534; J. Spiropoulos, Traité théorique et pratique de droit international public (Librairie Générale de Droit et de Jurisprudence, 1933), p. 257; G. Schwarzenberger, A Manual of International Law, 4th ed. (Stevens & Sons, 1960), p. 25. なお、Oppenheim の教科書は、第 4 版までが無限定説 に 立 ち、第 5 版以降 は 限定説 に 立 つ。L.Oppenheim, International Law: A Treatise, vol. I, 5th ed. by H. Lauterpacht (Longmans, Green & Co., 1937), pp. 747-748. この点に関して、Gomaa, supra note 3, p. 7, fn. 19; F. L. Kirgis, Jr., “Some Lingering Questions about Article 60 of the Vienna Convention of the Law of Treaties”, Cornell International Law Journal, vol. 22 (1989), p. 553. 87.
(4) 横浜法学第 24 巻第 2・3 号(2016 年 3 月). 無限定説に対して、今日一般的な支持を得ているのが限定説である。限定説 は、一方的廃棄権を生じさせる条約違反を重大なものに限定する立場である。 限定説は、一方的廃棄権による非違反国の救済の必要性を認めつつも、一方的 な条約の廃棄が条約に基づく国家間関係の法的安定性に与える影響を考慮す る。この立場は、さらに大きく 2 つに分けることができる。その 1 は、違反の 重大性を考慮する際に、行為の様態に着目するもの 6)、その 2 は、違反された 条項の重要性に着目するものである。 まず、第 1 の立場は、条約違反の行為がどのようになされたかに着目す る。例えば、違反によって条約の廃棄が認められるのは、当該違反が条約 の実質を損なうものであったり、条約当事国のうち中心的な役割を担う国 が違反を行った場合に限定する見解 7)、条約義務の履行が制度的に拒否され たり、執拗で意図的かつ継続的な違反が存在する場合に限定する見解 8)、反 復される故意の違反がある場合に限定する見解 9)がある。行為の様態に着 目して条約違反の重大性を考慮する立場の利点は、無限定説が採用した条 約義務の双務性や条約に含まれる条文の間の相互依存性が強調される条約 観の下でも制限を課す理論を展開しやすい点にある。この立場は、違反さ 6)なお、 古典的な条約違反の事例研究を通じて、 その多様な形態を包括的に論じたものとして、 D. P. Myers, “Treaty Violation and Defective Drafting”, American Journal of International Law (AJIL), vol. 11 (1917), pp. 538-565; idem, “Violation of Treaties: Bad Faith, Nonexecution and Disregard”, AJIL., vol. 11 (1917), pp. 794-819; idem, “Violation of Treaties by Adverse National Action”, AJIL., vol. 12 (1918), pp. 96-126. 7)P. Fiore, Nouveau Droit International Public, 2ème éd., traduite de l’Italien et annotée par C. Antoine (Durant et Pedone-Lauriel, Editeurs, 1885), p. 419, 8)C. Dupuis, “Liberté des voies de communication relations internationales”, Recueil des Cours, tome 2 (1924-I), p. 340 ; Rivier, supra note 5, p. 135. ただし、このうち、後者は、平和条約に 関しては限定説に立つが、その他の条約一般については、無限定説を採用する。 9)A. Møller, International Law in Peace and War, Part 1: Normal International Relations, trans. by H. M. Pratt (Stevens & Sons, 1931), p. 237. 88.
(5) 条約法に関するウィーン条約第 60 条に関する一考察(3). れた条項が重要なものであるかどうか、または重要な条項とそうでない条項 を分けられるかどうかにかかわらず、違反行為の様態に着目することで、重 大な違反とそうでない違反を区別する。 次に、第 2 の立場は、違反行為の様態ではなく、違反された条項の重要性を 考慮する。この立場は、条約に含まれる条項を重要なものとそうでないものに 分け、重要な条項が違反された場合にのみ一方的廃棄権が生ずると主張する。 違反された条項の重要性を考慮する限定説を唱えた代表的な学説によれ ば、条約の各条項が不可分であると主張する論者と主要な規定とそうでない 規定を分けることができると主張する論者があるものの、その両方に対して 批判が提起されうる。前者の主張に対しては、条約目的にかかわらない条文 の軽微な違反さえも条約全体を損なうことになりかねないという批判があ りえるし、後者に対しては、条約は全体として 1 つの約束であり、1 当事国 が他の当事国にとって不可欠の規定が何であるかを決定することはできな いという批判がありうる 10)。そこで、ある場合に一方的廃棄権が生ずるか どうかは、違反された条項が「条約の主要な目的」に関わるかどうかを基準 に判断されるべきであると主張する 11)。この学説によれば、条約目的に直 接関係しない条項の違反は、一方的廃棄権を生じさせることはなく、履行の 再開や賠償を求める権利を生じさせるにとどまる 12)。 条約中の条文を条約目的に対する重要性に応じて分類することに懐疑的 な論者は、主に 2 つの理由から条文を区別することに反対する。第 1 に、条 約に含まれる各条文の効力は、他の条文に依存し合う関係にあるため、1 条 文の違反であっても条約全体の趣旨を損なう 13)。第 2 に、どの条項が重要 10)W. E. Hall, A Treatise on International Law , 3rd ed. (Clarendon Press, 1890), pp. 351-352. 11)Ibid., p. 352. 12)Ibid., pp. 352-353. 13)本稿脚注 3、4、5 を参照のこと。 89.
(6) 横浜法学第 24 巻第 2・3 号(2016 年 3 月). であるかを客観的に決定することが困難なためである 14)。第 2 の点に関し ては、たとえ、「条約の主要な目的」を基準として採用しても、何が条約の 主要な目的であるのかの決定は、容易ではなく、違反国と非違反国の間で見解 の相違が生ずることになると批判される 15)。 限定説に対する批判のうち、第 2 の問題点が一方的廃棄権否定論の根拠の 1 つとなった。20 世紀前半のハヴァナ条約 16)およびハーヴァード草案 17)におい ては、違反の重大性は考慮されず、条約の廃棄は、権限ある国際裁判所の判決 に基づいてのみ、正当なものとして実施される。そのため、条約の廃棄を請求 する当事国は、判決が下されるまでの間、暫定的に条約の運用を停止する権利 を与えられるに過ぎない。 20 世紀に入り、学説において、違反された条項の重要性を考慮する限定説 を支持する論者が散見されるようになった 18)。しかし、それが学説の主流と なったのは、20 世紀後半、とくに、ILC による終了・運用停止規則の法典化 作業が開始された後である 19)。ILC による条約法の法典化作業が始まる以前の. 14)D. Anzilotti, Cours de droit international, vol. I, trad. par. G. Gidel (Sirey, 1929) p. 466; von Martens, supra note 5, p. 416. 15)例 え ば、C. C. Hyde, International Law Chiefly as Interpreted and Applied by the United States, vol. II (Little, Brown, & Company, 1922), pp. 88-89; C. Rousseau, Principes généraux du droit international public, tome I (A. Pedone, 1944), p. 540. 16)Article 16, Convention on Treaties, signed February 20, 1928, Supplement to the American Journal of International Law (Suppl. AJIL), vol. 22 (1928), p. 140 17)Article 27, Suppl. AJIL, vol. 29 (1935), p. 662 18)S. B. Crandall, Treaties: Their Making and Enforcement, 2nd ed. (The Columbia University Press, 1904), pp. 248-251; J. B. Moore, A Digest of International Law, vol. 5 (Reprint of 1906 ed. AMS Press, 1970), pp. 319-322; P. Cobbett, Leading Cases on International Law, 4th ed., vol. 1 (Peace), by H. H. L. Bellot (Sweet and Maxwell Ltd., 1922), p. 340; Hyde, supra note 15, p. 88. 19)この点に関しては、次節第 1 項および第 3 項を参照のこと。 90.
(7) 条約法に関するウィーン条約第 60 条に関する一考察(3). 学説状況は、違反の重大性の考慮に関して一致していなかったといえる 20)。 第 2 項 実行 どのような条約違反が一方的廃棄権を生じさせるのか、学説と同様に、実行 も一貫してはいなかった。 例えば、次の事例は、違反の重大性を考慮したものと考えられる。1778 年 から 1790 年の間に米仏間で締結された諸条約と 1796 年に英米間で締結された 条約との間に適用に関する問題が生じた際、この問題に関する米仏間の外交上 のやり取りの中で、同諸条約の継続的な有効性を主張したフランスに対し、米 国は、 フランスにより諸条約が 「繰り返し違反された」ことや 「広い範囲にわたっ て違反された」ことを非難し、次のように主張した。条約は、 「一方の当事者 によるその明白な違反(a palpable violation) 」により、他方の当事者の選択す るところに従い、 廃棄されうる。その際、 判断を下す裁判所がない場合には、 「条 約の廃棄を正当化するほどの違反が一方の当事者の側にあったかどうかを決定 するのは、他方の当事者である」21)。 また、黒海の中立化を規定した 1856 年のパリ条約に関して、1871 年 10 月 31 日、ロシアは、他の締約国に対して自身の見解を示し、同条約により地位 が定められていたモルダヴィア(Moldavia)とワラキア(Wallachia)の合併 が条約の「文言および精神と一致しない」こと 22)、ボスポラスとダーダネル. 20)See J. L. Briery, The Law of Nations, 6th ed., by H. Waldock (Oxford University Press, 1963) pp. 327-328. 同書は、出版当時すでに ILC の特別報告者として、条約法の法典化に関する 第 2 報告書を提出していた Waldock による改訂版である。 21)A meric stete papers, Foreign relations, vol. 2 (Reprint, William S. Hein, 1998), p. 328. 22)E. Hertslet, The map of Europe by treaty: showing the various political and territorial changes which have taken place since the general peace of 1814, vol. 3 (Reprinted, Gregg International Publishers Ltd. 1969), p. 1893. 91.
(8) 横浜法学第 24 巻第 2・3 号(2016 年 3 月). ス両海峡への軍艦の侵入により条約によって定められた黒海の中立の絶対的 性格が損なわれたこと 23)を根拠に、次のように主張した。 「同条約の不可欠か つ重要な各条項が違反された」にもかかわらず、自国が条約の他の条項に拘束 され続けなければならないということを受け入れることはできない 24)。 これらの例が条約違反の様態や違反された条項の重要性を考慮した実行と考 えられるのに対し、条約違反の重大性に関心が払われない例も見受けられる。 例えば、1930 年の満載喫水線に関する国際条約について、米国政府高官は、 無限定説に立ち、1 当事国による条約違反は、非違反国に対して違反された条 約を廃棄する権利を生じさせると主張した 25)。また、いわゆる不戦条約の交 渉中にドイツと米国の政府高官が表明した見解にも、違反の重大性に対する考 慮は見出せない 26)。 また、しばしば古典的先例として引用される米国の国内判例も一致してい ない。例えば、米国最高裁判所の 3 つの判例 27)とニューヨーク南部地区巡回 裁判所の判例 28)は、いずれも違反の重大性に言及することなく、条約が一方 当事国によって違反された場合、他方当事国が自身の選択において当該条約 を廃棄することができるという見解を支持した。他方で、違反の重大性を考 慮したと思われる事例もある。Hooper 対米国事件は、 「外形上、期間に関す る明確な定めがなく、終了について規定する条項をもたない条約は、一定の 状況下で 1 当事国により取消されうる。国家間において、その性質は契約であ 23)Ibid., p. 1894. 24)Ibid. 25)Cited in B. P. Sinha, Unilateral Denunciation of Treaty Because of Prior Violations of Obligations by Other Party (Martinus Nijhoff, 1966), p. 159. 26)Ibid., p. 142. 27)Ware v. Hylton, 3 U.S. (3 Dall.) 199 (1796), p. 260; The Chinese Exclusion Case, 130 U.S. 581, p. 601; Charlton v. Kelly, 229 U.S. 447 (1913), pp. 472-273. 28)In re Thomas, 23 Federal Cases 927 (1874), p. 930. 92.
(9) 条約法に関するウィーン条約第 60 条に関する一考察(3). るため、約因が満たされないような場合、例えば重要な規定が 1 当事者によっ て侵害された場合、他方当事者は自身の判断で条約の終了を宣言することがで きる」29)と判示した。 国際的な事例としては、タクナ・アリカ事件 30)が限定説に立った判断を下 した。仲裁人は、アンコン条約第 3 条は、当事国に議定書締結のための交渉 義務を課しているが、期日の定められていない交渉義務の場合、当該義務の 履行を免れたという主張を正当化するためには、単に「特定の交渉の失敗や 特定の議定書の批准の失敗以上の何かしらのものが生じていなければならな い」31)と判示した。さらに、タクナ・アリカ地方を占有していたチリによる 同化政策(Chilenization)がアンコン条約を終了させる効果をもつためには 「不 法な施政の結果が合意の目的を損なうほどの作用をもつという、厳格な条件 を確立する必要がある」32)とした。こうして、本件は、条約違反の様態に着 目した限定説に立った事例と考えられる 33)。 国際的な実行のうち、限定説に立つ見解には、学説と同様に、違反をなす 行為の様態(違反行為の反復など)に着目するもの、違反された条項の重要 性に着目するものがみられる。また、タクナ・アリカ事件では、仲裁人は、 条約違反が条約目的の成就を妨げる効果をもつかどうかに着目した。 このように一致しない学説と実行が、ILC による条約法の法典化作業を通 じて、どのように把握され、第 60 条 3 項へと結晶化したのか、次節において 検討する。 29)22 U. S. Court of Claims 408 (1887), p.416. 30)RIAA, vol. II (1927), p. 921. 31)Ibid., pp. 929-930. 32)Ibid., pp. 943-944. 33)See R. Plender, “The Role of Consent in the Termination of Treaties” British Year Book of International Law vol. 57 (1986) p. 158. 93.
(10) 横浜法学第 24 巻第 2・3 号(2016 年 3 月). 第 2 節 第 60 条 3 項における「重大な違反」概念 第 1 項 「重大な違反」概念の成立 ILC による条約法の法典化作業において、 「重大な違反」 (material breach) が 条約法条文草案 の 中 で 提案 さ れ る 前、Fitzmaurice は、 「根本的 な 違反」 (fundamental breach)の用語を提案した。 Fitzmaurice 第 2 報告書第 19 条 2 項は、 「根本的な違反」を次のように定めた。 「 (i)違反は、 必須的な点に関して当事国間の条約関係の根底又は基礎に達し、 かつ、条約が対象とする特定分野における当該関係に関する継続的な価値又は 可能性を疑わせる条約の根本的な違反でなければならない。 (ii)したがって、違反は、条約義務の否認又は否定に等しいものでなければ ならず、またそのようなものとして、 (a)他方の条約当事国に対して条約の価 値を破壊し、 (b)違反当事国による条約の適切な履行はもはや期待されえな い、又は、 (c)条約の目的を失わせる、のいずれかでなければならない。 」34) Waldock は、 「根本的な違反」ではなく「重大な違反(material breach) 」の 文言を採用した。Fitzmaurice の採用した「根本的な違反」の定義が敷居を高 く設定し、 「条約の中心目的に直接に関わる規定の違反だけ」を意味すると解 せられるためであった 35)。Waldock によれば、義務的仲裁を定めた条項のよ うに、条約の主たる目的にとっては補助的に過ぎない規定であっても、ある当 事国にとっては、当該条約に拘束されることに合意する上で不可欠の条件とな 34)G. Fitzmaurice, Law of Treaties, second report, Yearbook of the International Law Commission 1957, vol. II [hereinafter Fitzmaurice II], p. 31. 日本語訳は、 長谷川正国 「フィッ ツモーリス報告書における条約義務の類型―国際義務類型の祖型に関する一考察」 『福岡 大学法学論叢』第 54 号 4 巻(2010 年)91 頁から引用した。 35)H. Waldock, Second report on the law of treaties, Yearbook of the International Law Commission 1963, vol. II [hereinafter Waldock II], p. 75, para. 11.「根 本 的 な 違 反」に 関 す る こ の 解釈 は、ILC 委員 に よって 共有 さ れ た。Yearbook of the International Law Commission 1966, vol. II , p. 255, para. (9). 94.
(11) 条約法に関するウィーン条約第 60 条に関する一考察(3). ることも十分にありうる 36)。Waldock 第 2 報告書第 20 条 2 項 37)によれば、 「重 大な違反」は、次の 4 つの形で生じる。第 1 に、条約を廃棄する国家の意思を 表明する権限を有する代表または機関による条約の否定(同項(a) 。第 2 に、 明示または黙示に留保を付すことを禁じられた規定を無効にするに等しい違反 (同項(b) (i) ) 。第 3 に、条約 の「趣旨及 び 目的(the object and purpose) 」 の効果的な実現に不可欠の規定の違反(同項(b) (ii) ) 。第 4 に、条約の解釈 および適用に関する紛争解決を司法的解決に付託する規定の拒否又はそれに基 づく判決の受入れを拒否すること(同項(c) ) 。 ILC の審議過程において、終了・運用停止原因としての条約違反を重大なも のに限定すべきという考え方には積極的な反対意見は表明されなかったが、複 数の委員から、違反の重大性の客観的な判断が困難であるという観点から疑問 が提起された。まず、違反された規定が重大であるかどうかの評価は、当事国 によって異なりうる。したがって、ある当事国にとって重要な規定が別の当事 国にとっては重要でないということがありえる 38)。また、 「重大な違反」とそ うでない違反とを区別する客観的な基準が存在しないことを理由に、条件付で、 文言上「重大な」を削除すべきとの見解もみられた 39)。さらに、Waldock の 提案が留保の許容性の基準である条約の「趣旨及び目的」に関する記述を含ん でいたことから、留保の制度そのものが適用されない 2 国間条約の場合には、 かかる基準が機能しないのではないかとの批判も提起された 40)。また、条約 36)Waldock II, supra note 35, p. 75, para. 11. 37)Ibid., p. 73. 38)Bartoš, Yearbook of the International Law Commission 1963, vol. I, p. 124, para. 33; Yasseen, ibid., p. 125, para. 39. 39)Verdross, ibid., para. 48.「重大な」の部分を削除するかわりに、終了権でなく運用停止権 だけを定めるべきと提案した。また、文言の修正まで求めたわけではないが、あらゆる 条約違反が条約の趣旨および目的に関係するため、 「重大な違反」に限定した意味がなく なるのではないかという指摘もなされた。Briggs, ibid., p. 123, para. 13. 40)Tsuruoka, ibid., p. 126, para. 50; Rosenne, ibid. para. 56. 95.
(12) 横浜法学第 24 巻第 2・3 号(2016 年 3 月). に定められた当該条約の解釈および適用に関する紛争解決に関する規定や判決 の拒否が「重大な違反」として例示されたことに関しては、数名の委員が支持 を表明した 41)。 Waldock 第 2 報告書第 20 条 2 項 の 4 つ の「重大 な 違反」の 例 は、第 691 回 会合において提案された修正案 42)によって簡略化され、留保が禁じられた規定 の違反と条約の「趣旨及び目的(the object and purpose) 」の達成に不可欠の 規定の違反だけが明示された 43)。この簡略化の流れは起草委員会によっても踏 襲され、第 709 回会合において提出された起草委員会草案第 20 条 3 項の定め る「重大な違反」は、 条約の否定であって根拠のないもの(同項(a) ) 、 条約の「い ずれかの趣旨または目的(any of the objects or purposes of the treaty) 」44)の 実効的な実施に不可欠の規定の違反(同項(b) )と定められた 45)。 条文草案は、いったん各国政府に見解を求めるために送付されたが、 「重大な 違反」の定義に関する問題は提起されなかった 46)。しかし、ILC では、 「重大な 違反」に関して、さらに議論が重ねられた。問題とされたのは、条約の「根拠 のない(unfounded) 」否定という文言であった。条約違反は、本来、正当化す ることができないものであり、 「根拠ない」条約違反という表現は適切でないと 41)Briggs, ibid; p. 123, para. 13, Jiménez de Aréchaga, ibid., p. 127, para. 69. 42)Castrén, ibid., p. 120, para. 67. 43)Castrén, ibid., p. 121, para. 87. Castrén は、紛争解決規定および判決の否定は、 「趣旨及び 目的」の実現に不可欠の規定の違反に含まれると解した。 44)この起草委員会によって提案された草案以降、 「重大な違反」に関して「趣旨」と「目的」 の間に置かれる接続詞には “and” でなく “or” が用いられるようになった。なお、この変 更に関しては一切説明がなく、その経緯は不明である。 45)Ibid., p. 245, para. 92. な お、“the objects or purposes” が 単数形 に 修正 さ れ、“any of ” が 削除されたのは、第 893 回会合においてであった。Yearbook of the International Law Commission 1966, vol. I, pt. 2, p. 332, paras. 89-91. 46)Waldock, Yearbook of the International Law Commission 1966, vol. I, pt. 1, p. 59, para. 18. 96.
(13) 条約法に関するウィーン条約第 60 条に関する一考察(3). され、 「根拠ない」の部分を削除することが提案された 47)。しかし、条約の否 定が正当化される場合があるため、条約の否定に何らかの限定を付す必要があ る 48)。審議過程においては、安保理の決定に基づく条約の否定などが例示され た 49)。こうした発言を受けて、 「条約の否定であって根拠のないもの」の文言は、 「条約の否定であってこの条文草案により認められないもの」に修正された 50)。 こうして、1966 年最終草案第 57 条 3 項は、 「重大な違反」を次のように定 めた。 「3. 本条の適用上、重大な条約違反とは、次のものをいう。 (a)条約の否定であってこの条文草案により認められないもの (b)条約の趣旨及び目的の実現に不可欠な規定についての違反」51) この文言は、ほぼ第 60 条 3 項と同一である。異なるのは、 「この条約(the present Convention) 」の部分が「この条文草案(the present articles) 」となっ ている点だけである。このことは、ウィーン条約法会議において「重大な違反」 に関する条文の修正がなされなかったことを意味する。しかし、 「重大な違反」 の内容に関する議論がなかったわけではない。実際、 同会議では、 「重大な違反」 に関する条文の変更を提案する修正案が複数提出された。 ヴェネズエラは、 「条約の否定であってこの条文草案によって認められない もの」という定義が厳格すぎるとして「条約の否定であって正当化されないも の」とすべきと提案した 52)。フィンランドは、違反された規定の重要性だけで 47)Verdross, ibid., p. 61, para. 38. 48)Waldock, ibid., p. 64, para. 3. 49)例 えば、de Luna, Yearbook of the International Law Commission 1963, vol. I, pp. 120-121, para. 74. 50)Waldock, Yearbook of the International Law Commission 1966, vol. I, pt. 1, p. 129, para. 28. 51)Yearbook of the International Law Commission 1966, vol. II, p. 253. 52)Venezuela, A/CONF.39/C.1/L.318, United Nations Conference on the Law of Treaties, First and second sessions, Vienna, 26 March-24 May, 1968 and 9 April-22 May, 1969, Official Records, Documents of the Conference (William S. Hein & Co., Inc., 2001) [hereinafter Official Records 3],, p. 181. 97.
(14) 横浜法学第 24 巻第 2・3 号(2016 年 3 月). なく、違反の様態の重大さも考慮すべきであるとして、修正案を提出した 53)。ス ペインは、条約規定の中には、条約目的の達成に不可欠ではないが、ある当事 国にとっては自国の与えた同意に関して不可欠とみなされるものがありうるた め、より明確に「不可欠の義務の不履行」と「条約によって与えられた権利ま たは権限の濫用」を「重大な違反」内容とすべきと提案した 54)。米国は、条 約の可分性との関係で違反の性質と均衡のとれた範囲で終了・運用停止を認め るべきであるとして、均衡性(proportionality)原則の導入を試みた 55。 ヴェネズエラの修正案については、終了・運用停止を「重大な違反」を限定 しようとする本条の趣旨に鑑み、不適切とみなされた 56)。違反の様態の重大 さを考慮すべきというフィンランドの修正案は、違反自体の重大性を条文に含 めることにより「重大な違反」内容を明確化することができるとして若干の支 持を得た 57)。しかし、終了・運用停止の新たな原因を作り出すことになりか ねないという危惧 58)、違反行為の重大性を判断する基準が結局条約の「趣旨 及び目的」に依拠せざるを得ないのではないかといった反論 59)が提起された。 スペイン修正案についても、若干の国が支持を表明したが 60)、 「重大な違反」 53)Finland, A/CONF.39/C.1/L.309, ibid. 54)Spain, A/CONF.39/C.1/L.326, ibid., pp. 181-182. 55)United States, A/CONF.39/C.1/L.325, ibid.. 56)Ukrainian Soviet Socialist Republic, United Nations Conference on the Law of Treaties, First session, Vienna, 26 March-24 May, 1968, Official Records, Summary records of the plenary meetings and of the meetings of the Committee of the Whole, vol. 1 (William S. Hein & Co., Inc., 2001)[hereinafter Official Records 1], p. 355, para. 22; Democratic Republic of the Congo, ibid., p. 356, para. 28; Poland, ibid., p. 357, para. 51; Canada, ibid., para. 59; France, ibid., p. 358, para. 69. 57)Cyprus, ibid., p. 356, para. 35; Uruguay, ibid., para. 39; Italy, ibid., p. 358, para. 61. 58)United Kingdom, ibid., p. 357, para. 45. 59)Waldock, ibid., p. 359, para. 75 60)Cuba, ibid., p. 356, para. 31; Cyprus, ibid., para. 36; Italy, ibid., p. 358, para. 62. 98.
(15) 条約法に関するウィーン条約第 60 条に関する一考察(3). の概念を拡大することにつながるという批判が提起された 61)。米国の修正案 に対しては、フィリピン代表が「重大な違反」の概念は、 「非違反国が望めば 条約全体を終了または運用停止させることができるほど重大なものであって、 米国修正案は、 条文自体が定義した 「重大な違反」を構成するのに十分でない 「重 大な違反」が存在する可能性を示唆するもののように思われる」62)と批判した。 これらの修正案は、条約の可分性を定める条文との関連で審議することを条件 に撤回された米国修正案を除き、すべて投票により否決された 63)。 上述した議論は、第 60 条 3 項に定められた「重大な違反」概念の輪郭を浮 き彫りにし、その内容を考える上で重要な示唆を含むと考えられる。第 1 に、 「根本的な違反」から 「重大な違反」への変更により、 敷居が低く設定されたこと。 第 2 に、 「重大な違反」の定義において、違反をなす行為の様態が独立の基準 とはならないこと。第 3 に、 「重大な違反」概念が均衡性原則を内包すると考 えられること 64)。そこで、次に、これらの点を念頭に、 「重大な違反」概念に 61)United States, ibid., p. 355, para. 18; Ukrainian Soviet Socialist Republic, ibid., para. 22; United Kingdom, ibid., p. 357, para. 45; Poland, ibid., para. 53; France, ibid., p. 358, para. 69; Waldock, ibid., p. 359, para. 74. 62)Philippines, ibid., p. 355, para. 355. 63)Elias (Chairman), ibid., p. 359, para. 80. See also Official Records 3, supra note 52, p. 182, para. 524. なお、米国は、可分性に関する条文(1966 年最終草案第 41 条)との関連で同 趣旨の修正案を提案したが(A/CONF. 39/C.1/L. 350, Official Records 3, supra note 52, p. 162.) 、審議の結果十分な支持を得られず否決された(Official Records 1, supra note 56, p. 389.) 。 64)上述したウィーン条約法会議におけるフィリピン代表の発言が示唆するように、 「重大 な違反」は、概念上、条約全体を廃棄するという選択が可能なほどの重大性をもつ違反 である。See also Gomaa, supra note 3, pp. 120-121.ただし、この点に関して、次の 3 点 において均衡性原則が十分に反映されていないという批判もある。第 1 に、重大な違反 を援用する当事国が条約の全部もしくは一部の終了または運用停止を自身の裁量で選択 することができること、第 2 に、違反の重大性が違反された規定の重要性を意味するた め、重要な規定の軽微な違反であっても終了・運用停止をもたらしうること、第 3 に、 終了と運用停止を同等に扱っていること。D. W. Greig, “Reciprocity, Proportionality, and the Law of Treaties”, Virginia Journal of International Law, vol. 34 (1994), pp 342-360. 99.
(16) 横浜法学第 24 巻第 2・3 号(2016 年 3 月). おける「趣旨及び目的」基準の意義について検討する。 第 2 項 第 60 条 3 項の解釈―「重大な違反」と「趣旨及び目的」基準 3 項(a)および (b)のうち、 「重大な違反」概念の主要な内容を構成するのは、 (b)である 65)。3 項(a)は、通常であれば条約の否定を構成するが、条約法 条約のいずれかの規定に基づき正当とみなされるため、 「重大な違反」に該当 しないものに関係するといわれる 66)。例えば、第 46 条から第 53 条に基づく 条約の無効や第 60 条に基づく条約の終了・運用停止が条約法条約の手続を経 て正当に実施に移された場合、それに伴う条約の否定は、 「重大な違反」を構 成しない 67)。また、国連憲章第 41 条に基づく制裁措置に伴う条約の不履行も 「重大な違反」を構成しないと解される 68)。さらに、第 73 条が条約法条約の 適用の射程から国家責任法の問題を除外するため、国家責任法上の不可抗力や 対抗措置に基づく条約の不履行も条約の否定には当たらないとされる 69)。 前節で検討したように、ILC による条約法の法典化以前の学説のうち、限 定説が依拠したのは、違反自体の重大性(程度や様態)と違反された規定の 重要性の 2 つの異なる基準であった 70)。 「重大な違反」概念の主要な内容を 65)E. Schwelb, “Termination or Suspension of the Operation of a Treaty as a Consequence of Its Breach”, Indian Journal of International Law, vol.7, no. 3 (1967), p. 314; Simma supra note 1, p. 61. 66)Waldock, Yearbook of the International Law Commission 1966, vol. I, pt. 1, p. 64, para. 3. P. Reuter, Introduction au droit des traités, 2ème édition,(Presses Universitaires de France, 1985), p. 161, para. 284. 67)Schwelb, supra note 65, pp. 313-314. 68)De Luna, Yearbook of the International Law Commission 1963, vol. I, pp. 120-121, para. 74, Yearbook of the International Law Commission 1966, vol. I, pt. 1, p. 63, para. 66; Schwelb, ibid., p. 315. 69)Simma, supra note 1, p. 60. Ibid., p. 61. 70) 100.
(17) 条約法に関するウィーン条約第 60 条に関する一考察(3). 規定する 3 項(b)は、 「条約の趣旨及び目的の実現に不可欠な規定」の違反 を「重大な違反」と定める。したがって、第 60 条 3 項は、違反された規定の 重要性だけを考慮したということができる 71)。他方で、ILC のコメンタリー に は、1963 年草案 お よ び 1966 年最終草案 と も に、 「深刻 な 性格(a serious charachter) 」の違反に限定する旨が記されており 72)、重要な規定の軽微な違 反は「重大な違反」に相当しないと主張する論者もいる 73)。条約の法的安定 性の確保の観点からは、違反された規定の重要性だけでなく、違反の深刻さ も考慮されるべきであるが、違反の深刻さを考慮すべくフィンランドが提出 した修正案 74)がウィーン会議で否決された経緯 75)に鑑みると、3 項の解釈と して、かかる主張が十分な説得力を持っているとまではいえないであろう 76)。 71)Gomaa, supra note 3, p. 32; Schwelb, supra note 65, pp. 309-334; D. Alland, Justice privée et ordre juridique international (Pedone, 1994), p. 231; M. E. Villiger, Commentary on the 1969 Vienna Convention on the Law of Treaties (Martinus Nijhoff Publishers, 2009) p. 743, para. 16. 72)Yearbook of the International Law Commission 1963, vol. II, p. 206, para. (8); Yearbook of the International Law Commission 1966, vol. II, p. 255, para. (9). 73)T. Giegerich, "Article 60" in O. Dörr & K. Schmalenbach (eds.), Vienna Convention on the Law of Treaties: A Commentary (Springer, 2012), p. 1032, para. 32; Kirgis, supra note 5, pp. 545-555. Cf. Schwelb, supra note 65, p. 314ff.また、Simma は、違反された規定の重要性と違反の 深刻さの 2 つの組み合わせが「重大な違反」を構成するという立場から、第 60 条 3 項が 違反された規定の重要性しか考慮しない点を批判する。Simma, supra note 1, p. 61. 74)Finland, A/CONF.39/C.1/L.309, Official Records 3, supra note 52, p. 181. た だ し、同 修 正 案は、違反された規定の重要性と違反の深刻さを組み合わせたものではなく、それぞれ が独立の基準として提案された。その意味で、Simma は、同修正案も十分ではないと批 判する。Simma, ibid., p. 61. 75)本稿第 2 節第 1 項を参照されたい。 76)See also Greig, supra note 64, pp. 342-343; B. Simma & C. Tams, "Article 60" in O. Corten & P. Klein (eds.), The Vienna Convention on the Law of Treaties: A Commentary (Oxford University Press, 2011), p. 1374, para. 64. 101.
(18) 横浜法学第 24 巻第 2・3 号(2016 年 3 月). そこで、次に検討されなければならないのは、ある規定が重要であるか どうかを判断する基準である。3 項(b)は、 「条約の趣旨及び目的の実現に 不 可 欠 な 規 定(a provision essential to the accomplishment of the object or purpose of the treaty) 」と定める。この規定の中で条約の「趣旨及び目的」に 言及したことについて、次のような説明がなされた。この規定は、 「条約を締 結する際に留保に関して当事国によってとられる態度に照らして条約の『重 大な』違反を定義しようとするものである。…もちろん、この 2 つの問題は 同一ではないが、留保を付すことに関する締約国の見解と何が条約の重大な 違反とみなされるかに関する見解の間には一定の関連があるというのがその 理由である。 」77) ICJ がジェノサイド条約に対する留保に関する勧告的意見 78)において留保 の許容性の基準として条約の趣旨及び目的との両立性を示した際、問題として 指摘されたのが、それが何を意味するのかということであった。4 判事共同反 対意見は、この点を次のように指摘した。 「ジェノサイド条約の趣旨及び目的とは何であるか?ジェノサイドを抑止す ること?もちろんそうである。しかし、それ以上であろうか?同条約の執行に 関わる条文のいずれかまたはすべてが含まれるのであろうか?これが問題の核 心である。 」79) 総会が同勧告的意見を ICJ に要請した際、併せて ILC に対して多数国間条 約への留保の問題を検討するよう要請した 80)。ILC は、同意見を踏まえた上で 見解を表明したが、それは「趣旨及び目的」基準に対する強い疑念を表したも 77)Waldock II, supra note 35, p. 76, para. 12. 78)I.C.J. Reports 1951, p. 15. 79)Ibid., p. 44. 80)General Assembly Resolution 478 (V) of 16 November 1950: Reservation to multilateral conventions. 102.
(19) 条約法に関するウィーン条約第 60 条に関する一考察(3). のであった。すなわち、ILC は、ジェノサイド条約に関して ICJ が採用した留 保に関する「趣旨及び目的」基準が多数国間条約一般に適用するのにふさわし いとは思わないとし、その理由として、条約の「趣旨及び目的」を構成する規 定とそうでない規定を区別することができるとしても、主観的になしうるに過 ぎないためであるとした 81)。当初、特別報告者 Waldock もこの懸念を抱く 1 人であったが、他の委員との意見の調整、妥協のために、 「趣旨及び目的」基 準を導入した 82)。その後、ILC の条約法の法典化を通じて、 「趣旨及び目的」基 準は、 「条約の誠実な解釈のための根本的に重要な基準」83)として条約法条約の 8 条文に採用された 84)。今日の法典化された条約法においては、重要な概念あ るいは基準である 85)。しかし、その重要性にもかかわらず、不確定な定義と される 86)。 「趣旨及び目的」の文言を含む 8 条文 87)のうち、7 条文は、「趣旨及び目的」 の英語正文が object and purpose であるのに対し、第 60 条 3 項(b)だけが object or purpose の文言を用いる(なお、それぞれ and と or は、強調のた め、 イタリック体とした) 。したがって、 第 60 条に関する限り、「趣旨」と「目 81)Yearbook of the International Law Commission 1951, vol. II, p. 128, para. 24. 82)H. Waldock, First report on the law of treaties, Yearbook of the International Law Commission 1962, vol. II, pp. 65-66, para. (10). 83)H. Waldock, Fourth report on the law of treaties, Yearbook of the International Law Commission 1965, vol. II, pp. 50-51, para. 6. 84)I. Buffard & K. Zemanek, “The ‘Object and Purpose’ of Treaty: An Enigma?”, Austrian Review of International & European Law, vol. 3 (1998), pp. 319-321. 85)Reuter, supra note 66, p. 161, para. 284; J. Klabbers, “Some Problems Regarding the Object and Purpose of Treaties”, Finnish Yearbook of International Law, vol. VIII (1997), pp. 138-139. 86)Klabbers, ibid., pp. 138-140. 87)第 18 条、第 19 条(c) 、第 20 条 2 項、第 31 条 1 項、第 33 条 4 項、第 41 条 1 項(b) (ii) 、 第 58 条 1 項(b) (ii) 、第 60 条 3 項(b) 。 103.
(20) 横浜法学第 24 巻第 2・3 号(2016 年 3 月). 的」は区別されると解釈することも可能である 88)。ただし、かかる区別が意 図的なものであったかどうか、起草過程には一切の説明がなく、判然としな い。学説も「趣旨及び目的」を区別して理解するものと、単一概念として捉 えるものに分けられる。 この 2 つを区別するならば、 「趣旨」は、条約の直接的な目標であり、規定 や権利義務関係の内容を意味し、 「目的」は、必ずしも明示に規定されないが、 当事国が条約を通じて達成したいと望む目標を意味するという 89)。ある論者は、 次のように言う。例えば、 「化学兵器禁止条約の趣旨は、化学兵器の使用、生 産等を禁じることであるが、究極的な目的は、人間生命の保護、福祉や人間の 尊厳を守ることであると主張することができる」90)。ただし、この点に関して は、果たして人類の福祉の促進を目的としない条約がありえるか、という疑問 が提起される。上で引用した論者も、結論的には、区別の困難さを指摘し、と くに「目的」を単独の基準とすることに疑問を提起する 91)。 「趣旨及び目的」を単一または結合した概念とみなす立場に関しても、 「目的」 の中に条約に明示されない遠い目標まで読み込まれる可能性があり、条約解釈 が過度に目的論的になされる危険性が指摘される 92)。 条約の「趣旨及び目的」の決定においては、当事国の主観的判断を回避する ことが困難であると指摘される 93)。 「趣旨及び目的」基準のもつ不確定さは、. 88)P. Reuter, “Solidarité et divisibilité des engagements conventionnels”, in Y. Dinstein (ed.), International Law at a Time of Perplexity: essays in honour of Shabtai Rosenne (Kluwer Academic Publishers, 1989), p. 628; Klabbers, supra note 85., p. 145. 89)Buffard & Zemanek, supra note 84, p. 326; Klabbers, ibid., pp. 144-145. 90)Klabbers, ibid., p. 145. 91)Ibid., p. 148. 92)Buffard & Zemanek, supra note 84, pp. 322-325. 93)Ibid., pp. 342-343; Klabbers, supra note, 85, pp. 142-144 104.
(21) 条約法に関するウィーン条約第 60 条に関する一考察(3). 客観的基準たりえるはずのものであるにもかかわらず、その運用上、主観的要 素がきわめて強い働くことによるものと考えられる 94)。その不確定さゆえに、 条約違反を根拠とする条約の終了・運用停止の過程においては、関係国の間に おける同意の形成が不可欠と考えられる 95)。 第 3 項 「重大な違反」概念の法典化の意義 終了・運用停止に関する権利を生じさせる条約違反の性質に関して、ILC に よる条約法の法典化以前の状況は、学説および実行ともに違反の重大性の考慮 に関して一致していなかった。ILC の審議過程においても、この点はたびたび 指摘され、条約法の法典化によって「重大な違反」概念が規則として確立した とみることが妥当と思われる。 1971 年のナミビア事件において、ICJ は、 「違反による条約関係の終了につ き、条約法に関するウィーン条約が定める規則は(反対投票なしで採択)多く の点で、この主題に関する現存慣習法の法典化とみなすことができる。これら の規則によると、ただ条約の重大な違反だけが終了を正当化する」として、当 時未発効の条約法条約第 60 条 3 項を引用した 96)。同勧告的意見が示した第 60 条に関する見解は、その後の ICJ の判決においても引用された 97)。また、ナミ ビア事件の翌年に下された ICAO 理事会管轄権事件(管轄権)判決においても、 ICJ は、インドが主張したパキスタンによる条約違反について、当時未発効の 条約法条約第 60 条 3 項に照らして検討されなければならないとした 98)。 94)Waldock, Official Records 1, supra note 56, p. 126, para. 10. 95)Cf. M. Prost, "Article 65" in Corten & Klein, supra note 76, p. 1485, para. 3; S. Rosenne, Breach of Treaty (Grotius, 1985), p. 24. 96)I.C.J. Reports 1971, para. 94. 皆川洸編著『前掲書』 (注 36)216 頁。 97)例えば、I.C.J. Reports 1997, p. 38, para. 46 98)I.C.J. Reports 1972, p. 67, para. 38. 105.
(22) 横浜法学第 24 巻第 2・3 号(2016 年 3 月). しかしながら、以下に示す ILC における委員らの発言などから、条約法条 約の採択前に「重大な違反だけが終了を正当化する」という規則が慣習国際法 として十分に確立していたといえるかどうか、疑問が残る。 ILC において、後に第 60 条へと結実する条文草案 Waldock 第 2 報告書第 20 条が審議された際、ある委員は、学説上、20 世紀のはじめには、条約の終了 をもたらす条約違反を重大なものとそうでないものとに区別する必要を感じ た論者は少数でしかなかったが、その後定着してきたと述べて、条文草案に おける「重大な違反」概念の導入を評価した 99)。Waldock もこの見方に同意 し、これまで多くの論者が違反を区別してこなかったとして、 「重大な違反の 場合においてのみ廃棄権を規定する規則を提案することが一歩前進となるであ ろう」と発言した 100)。また、1966 年最終草案第 57 条に付されたコメンタリー にも、それまでの学説が「重大な違反」の要件性について一致していなかった ことが示され 101)、第 57 条 3 項(現在の第 60 条 3 項)に関するコメンタリー にも、次のように記された。 「過去において若干の国際法の権威者は、どのような条約規定のいかなる違 反も、その条約の廃棄を正当化するのに十分な理由となるとみなしたように思 われる。しかしながら、委員会の意見は、条約を終了又は停止する権利は違反 が重大な性質のものである場合に限定すべきことに一致した」102)。 このように、 「重大な違反だけが終了を正当化する」という規則は、ILC に. 99)Yasseen, Yearbook of the International Law Commission 1963, vol. I, p. 125, para. 39. 100)Ibid., p. 132, para. 38. 101)Yearbook of the International Law Commission 1966, vol. II, pp. 253-254, para. (1). 102)Ibid., p. 255, para. (9). 訳文は小川芳彦訳「国際法委員会条約法草案のコメンタリー(5) 」 『法 と 政 治』 』 (関 西学院大学)第 20 巻第 2・3・4 号(1969 年)353 頁。ま た、1963 年 草案第 42 条 の コ メ ン タ リーも、同一内容 で あ る。Yearbook of the International Law Commission 1963, vol. II, p. 206, para. (8). 106.
(23) 条約法に関するウィーン条約第 60 条に関する一考察(3). よる条約法の法典化以前には十分に確立した規則であったとまではいえず、 ウィーン会議における条約法条約の採択によって結晶化したと考えられる 103)。. 第 3 節 小括 一方的廃棄権に対する実体的および手続的制限に関して表明されたさまざま な見解の中で、学説が一致して認めたのは、条約違反がその事実それ自体で条 約を廃棄させることはないという点だけであって、それ以外の制限の内容につ いては学説の一致はみられなかった。 一方的廃棄権に対する制限のうち終了・運用停止原因を限定しようとする のが違反の重大性の考慮であった。それには、違反自体の重大性を考慮する ものと違反された条項の重要性を考慮する立場があった。そして、非違反国 の恣意的な判断を回避するために、条約の主要な目的を基準として重要な条 項を判断すべきという考え方が示された。しかし、 「趣旨及び目的」基準は、 その運用が主観的になされることが指摘され、客観的基準たりえるかが課題 とされる。この点、条約機関による違反の認定とそれに伴う条約の運用停止 の実施は、国際法の分権的性格に起因する課題を克服する可能性をもつとと もに、本来、個別的な救済手段として、条約の全部または一部の法的存在に 影響を与え、その効力を終局的または一時的に失わせる消極的な性格をもつ 終了・運用停止を条約制度維持のための積極的な機能をもつ仕組みへと変容 103)例えば、 「重大な違反概念の発展と結晶化の主要な部分が ILC による条約法の法典化 の 文脈 に お い て 生 じ た」 (Gomaa, supra note 3, p. 12.)と 評価 さ れ る。ま た、ILC に おいても、 「重大な違反」に関する条文草案は、その内容を確定する初めての試みで あるとの見方が示された。Verdross, Yearbook of the International Law Commission 1966, vol. I, pt. 1, p. 61, para. 38. また、留保規則に関しても、同様に、ILC による法 典化を通じて、慣習法規則として成立したと評価される。A. Pellet, First Report on the Law and Practice Relating to Reservations to Treaties, A/CN.4/470, 30 May 1995, P. 71, para. 157. 107.
(24) 横浜法学第 24 巻第 2・3 号(2016 年 3 月). させると考えられる 104)。 終了・運用停止規則が do ut des 原則との関連において理解される pacta sunt servanda 原則の消極的側面を具体化したものであるならば 105)、終了・運用 停止の基本的機能は違反された条約の全部または一部の終了・運用停止によ. 104)条約が終了または運用停止されることにより、条約違反を犯した当事国は、非違反国 である当事国が条約義務を履行することによって自身が得られたはずの利益を奪われ、 非違反国である当事国は、条約義務の履行を免れ、履行し続けることによって被る不 利益を回避することができる。共存の国際法の特徴として、実施メカニズムが非制度 的、非組織的であり、法主体自身がその行動と反応によってシステムを機能させるこ とが指摘される(G. Abi-Saab, “Whither the International Community,” European Journal of International Law, vol. 9 (1998), pp. 252-253.) 。また、違反に対する制裁は、共存の国際法では、 違反国に損害を与えることによってなされ、協力の国際法においては、違反国の利益を 奪う形でなされる。制度化された協力の枠組み(institutionalized context of cooperation) においては、加盟国としての地位の停止や除名等によって制裁が実施される(ibid., p. 253.)。この点に関して、終了・運用停止規則が違反国から利益を奪うのか損害を与える のかは、個々の事案によって一様でないように思われる。 終了 ・ 運用停止規則は、本来、条約の効力に対して消極的な効果をもつものであるが、 制度化された協力の枠組みにおいては、条約制度の維持に必要な仕組みとして、積極的 な役割を果たす可能性があると考えられる。 例えば、オゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書附属書 V は、不遵 守に関して締約国会合がとりうる措置の 1 つとして、 「条約の運用停止に関する国際法 の適用可能な規則」にしたがって、議定書に基づく権利および特権の停止を定める(C 項) 。実行上、同規定に基づく運用停止は、議定書の不遵守が再三繰り返された場合に 考慮される。この場合、運用停止原因としての不遵守には違反の反復といった行為の様 態が考慮される(例えば、Decision XVII/26: Non-compliance with the Montreal Protocol by Azerbaijan, in UNEP, Handbook for the Montreal Protocol on Substances that Deplete the Ozone Layer, 9th ed (2012), pp. 327-328.) 。これに対して、有害廃棄物の国境を越える 移動及びその処分の規制に関するバーゼル条約は、前文において、同条約または同条約 の議定書の「重大な違反」があった場合に、条約に関する関連国際法が適用されること を謳う。 105)Bartoš, Yearbook of the International Law Commission 1963, vol. I, p. 124, para. 30. 108.
(25) 条約法に関するウィーン条約第 60 条に関する一考察(3). る当事者間の契約的均衡の回復である 106)。国際社会の相互依存の度合いが 高まるにつれ、安定した条約関係の維持が求められ、軽微な違反による条約 の終了・運用停止を回避するために違反の重大性に関心が向けられた。第 60 条は、一方的廃棄権の救済機能と条約関係の法的安定のバランスを「重 大な違反」概念の導入によって図った。これにより、「重大な違反」が生じ た場合にのみ、条約当事国は、終了・運用停止という深刻な効果をもたらす 対応をとることが可能となる 107)。このことは、「重大な違反」概念が pacta sunt servanda 原則の積極的側面である条約の維持に関心をもって作り上げら れたことを示唆している 108)。しかし、本稿で検討したように、3 項は、違反 された条項の重要性だけを考慮し、 「趣旨及び目的」基準も不確定な概念で あった。そのため、その制度趣旨が 3 項に十分に反映されているとはいえな い。. 106)L.-A. Sicilianos, “The Relationship Between Reprisals and Denunciation or Suspension of a Treaty” European Journal of International Law, vol. 4 (1993), p. 345; Simma, supra note 1, pp. 20-21. 107)Yearbook of the International Law Commission 1966, vol. II, p. 255. 108)M. Fitzmaurice & O. Elias, Contemporary Issues in the Law of Treaties (Eleven International Publishing, 2005), pp. 144-145; C. Binder, “The Pacta Sunt Servanda Rule in the Vienna Convention on the Law of Treaties: A Pillar and its Safeguards” in I. Buffard, J. Crawford, A. Pellet et al (eds.), International Law between Universalism and Fragmentation: Festschrift in Honour of Gerhard Hafner (Martinus Nijhoff, 2008), pp. 326-327. 109.
(26)
関連したドキュメント
契約約款第 18 条第 1 項に基づき設計変更するために必要な資料の作成については,契約約 款第 18 条第
ISSJは、戦後、駐留軍兵士と日本人女性の間に生まれた混血の子ども達の救済のために、国際養子
都は、大気汚染防止法第23条及び都民の健康と安全を確保する環境に関する条例
都は、大気汚染防止法第23条及び都民の健康と安全を確保する環境に関する条例
105 の2―2 法第 105 条の2《輸入者に対する調査の事前通知等》において準 用する国税通則法第 74 条の9から第 74 条の
61 の4-8 輸入品に対する内国消費税の徴収等に関する法律(昭和 30 年法律 第 37 号)第 16 条第1項又は第2項に該当する貨物についての同条第
年のウィーン売買法条約では︑.
「知的財産権税関保護条例」第 3 条に、 「税関は、関連法律及び本条例の規定に基