コンクリート合成床版の押抜きせん断強度に関する
実験的研究
著者
松本 進
雑誌名
鹿児島大学工学部研究報告
巻
22
ページ
195-200
別言語のタイトル
EXPERIMENTAL STUDY ON THE PUNCHING SHEAR
CAPACITY OF CONCRETE COMPOSITE SLABS
REINFORCED WITH PRECAST PC ELEMENTS.
URL
http://hdl.handle.net/10232/12614
コンクリート合成床版の押抜きせん断強度に関する
実験的研究
著者
松本 進
雑誌名
鹿児島大学工学部研究報告
巻
22
ページ
195-200
別言語のタイトル
EXPERIMENTAL STUDY ON THE PUNCHING SHEAR
CAPACITY OF CONCRETE COMPOSITE SLABS
REINFORCED WITH PRECAST PC ELEMENTS.
URL
http://hdl.handle.net/10232/00007736
コンクリート合成床版の押抜きせん断強度に
関する実験的研究
松 本 進
(受理昭和55年5月31日) EXP配mMnNTALSTUDYONnHEPUNCHINGSHEARCAPACmYOFCoNCRETE COMPOSITESLABSREINFORCEDWITHPRECASEPCELEMENTS. SusumuMatsumoto Inarecentyearnumerousreinforcedconcreteslabs(RCSlabs)werefailuredbyapunchingshear・A
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ressivestrengthofconcreteandtheamountofreinforcementswereclarifedtoacertaindegree 1 . 緒 言 近年,鉄筋コンクリート床版の破損事故が数多く発 生しており,このため鉄筋コンクリート床版の設計方 法が大幅に改められた.改定された主な点は床版厚を 大きくすることおよび使用鋼材量を増やすことであり, このことは自重を増大させ,さらには建設コストを増 大させることにもなる.本研究ではこの様な床版事故 に対処する一つの方法として,型枠兼用プレキャスト PC部材と場所打コンクリートの合成床版(合成床版と略す)を取上げ,従来の鉄筋コンクリート床版(RC
床版と略す)に対して,力学性状および耐久性状を改 善しようとするものである.本論文では特に押抜きせ ん断強度の点から合成床版の力学性状を詳細に検討し たものである。なお,比較検討のためプレストレスト コンクリート床版(PC床版と略す)をも取上げた. 従来,押抜きせん断強度に関する研究はRC床版の 分野においては数多くなされていて,それぞれに極め て良好なる成果が収められている4)の6)7).しかしなが ら,PC床版に関した研究は極めて数が少く,また合 成床版については皆無の状況である3).本研究ではこ の様な事情に鑑ゑて,PC床版および合成床版の押抜 きせん断強度に及ぼす影響要因として,プレストレス 量プレストレスの導入方向,使用鋼材の比率および使 用コンクリートの圧縮強度を取上げ,基礎的な押抜き せん断性状を解明しようとするものである. 2.実験供試体および実験方法 図1は実験に使用した床版を示したもので,PC床 版と合成床版の2種類である.PC床版は断面40×;
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(。)PCSlqb Ib)CompositeSlqb 図 1 実 験 供 試 体 40cm,高さ10.0cmの正方形版であり,合成床版は 断面が40×40cm,高さが5.0cmあるいは7.5cmの プレキヤストPC版の上に場所打コンクリートを打ち たして,合成後の高さが10.0cmとなるようにしたものである.なお,図中合成床版のプレキャストPC版
の高さは5.0cmのものだけを示した.プレストレス量が押抜きせん断強度に及ぼす影響を承るために,PC
床版および合成床版ともに断面に一様に作用するプレn 基 l B I 肋 196 訂写午4 表 1 実 験 要 因 要 P C 床 版 合 成 床 版 宙 9 7 1 8 囚 脳 痴 厄 表2使用したコンクリートの配合および強度 Ⅱは合成床版のプレキャストコンクリートおよびPC床版のコンクリートを示 I1llII00︲︲︲’︲︹︷︸﹃0ⅡⅡ0108日Ⅱ000?,︲︲︻[︸﹃︲︲Q0I010 剰省.軍 1m骨・ホオ霊 墨毘r崖|傭
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.0000110日日﹄ 注:Iは合成床版の場所打コンクリートを示し, す. ストレス量として,0,15kg/cm2,30kg/cm2,50kg/cm2 の4種類に変化させた.さらに,プレストレスの導入 方向の影響を調べるために,一方向にプレスレトスを 導入したものおよび二方向にプレストレスを導入した ものの2種類で検討を行った.さらに,PC鋼材の使 用比率の影響を承るために,その比率を0.52%, 0.78%,1.04%,1.55%,2.33%の5種類にして詳細 に検討した.また使用コンクリートの圧縮強度が押抜 きせん断強度に及ぼす影響を検討するために,その強 度を128kg/cm2,270kg/cm2および337kg/cm2の3 種類に変化させた.上記したそれぞれの実験の要因を 表1にまとめて示す. 上記のPC床版および合成床版に使用したプレキャ ストPC版に使用したPC鋼材は製作上の都合および 断面内に一様なプレストレス分布を得るために鋼材と コンクリートの付着を断ってポンドレスとし,プレス トレスの導入方法はポストテンション方式で行った. なお,鋼材の定着は端部に鋼材を介してナットで定着 した. 使用したPC鋼材はSWPD‘10mmで,降伏点応力 度が12,000kg/cm2程度のものである.また,使用し たコンクリートは種類としては4種類であって,コン クリートの圧縮強度が異る様にしたもので,示方配合 および強度を表2に一括して示す. 図2は実験方法を示したものであって,支持条件は四辺単純支持とし,試験は版の中央部分(図中斜線部)
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口迂○二 図 2 実 験 方 法 を断面が4.0×4.0cm,高さ8.0cmの鋼柱で押抜いた. なお,この場合床版スパンは33cmとなった. P己 F 詞(
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3.実験結果および考察 実験に使用した床版の枚数は全部で18枚であり,こ れらの実験の要因ならびに実験結果を表3にまとめて 示す.なお,表中押抜き荷重は最大耐力を示し,押抜迂三│屋l匡迩
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き角度は図3に示す様に押抜き破壊線が水平となす角 度(6)を2方向について平均した値を示したものであ る. 表 3 実 験 結 果 総 一 覧 R︼R︼P。q︼R︼R︼R︾ワ臼q︼8R︼* ”f”IF⑨②︼毎J毎J”IF⑨、U毎J”f■■■■■■■■■■■
nUnU勺且ワ“nUnUnUnU1▲nUnU ')NL 81RqtioofReinf:0.79 dVF 松本進:コンクリート合成床版の押抜きせん断強度に関する実験的研究 図5は鋼材比が0.78%と一定としたときのプレスト レスの導入方向の影響を,合成床版(厚み75mm,プ 3.2プレストレスの導入方向の影響 3.1プレストレスの影響 図4はプレストレス量が押抜きせん断耐力に及ぼす 影響を検討したもので,鋼材比0.78%およびプレスト レスの導入は2方向の一定の条件下でのPC床版と合 成床版のそれぞれの場合について示したものである. なお,合成床版についてはプレキャストPC版の厚承 が50mmの場合と75mmの場合について示した.ま づ,PC床版について承ると,プレストレス量の増大 実測結果 供試体に与えた条件 床版の種類 供試体 No.蹴穿│繍騰
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図3押抜き角度(6)巽
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図 4 プ レ ス ト レ ス の 影 響 につれて押抜きせん断耐力も増大してゆく傾向が認め られる. さらに,プレストレス量が50kg/cm2の場合は表3 で示した押抜き角度は31.3°程度であって,これはプ レストレス量が15kg/cm2および30kg/cm2のそれら (28.8。∼29.0。)に比べて,若干大きく,破壊の形式も 若干異ったものとなった.従って,押抜きせん断耐力 とプレストレス量の関係は上記の事実を考え合せれば, ほぼ直線物な関係が得られるものと考えられる. 次に,合成床版の場合についてはプレキャスト版の 厚承が75mmの場合については,PC版と同様にプレ ストレ量の増大につれて,押抜きせん断耐力も増大す る傾向が認められる.さらに,この場合プレキャスト PC版の使用比率は75%程度であって,この程度の使 用比率であれば,PC床版とほぼ同様の効果が得られ るものと考えられる.123456712345
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1111198 第22号(1980) RqtioofReinf(。/・) 図 7 鋼 材 比 の 影 響 マ口
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︵↑︶︷↑一UoQpU画匡一二○cコ匹 “1s 鹿 児 島 大 学 工 学 部 研 究 報 告 1 ︵↑︶︷↑一UmQ両。 ■ 「1 ‘ 」 ] Z O CC
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図6コンクリートの圧縮強度の影響 スの導入2方向方向の場合に,コンクリートの圧縮強 度を128kg/cm2∼337kg/cm2の範囲で変化させた場合 の押抜きせん断耐力の影響をPC床版で検討したものである.同図より,コンクリートの圧縮強度が増大す
るにつれて,押抜きせん断耐力も増大し,両者の間に はほぼ直線的なな関係が認められる.従って,コンク リートの押抜きせん断耐力に及ぼすコンクリートの圧 縮強度の影響はかなり大きいものと考えられる. 3.4鋼材比の影響 図7は鋼材比を0.52%∼2.33%の間で5種類に変U3
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DirectionofPrestress
図5プレストレスの導入方向の影響 レストレス量50kg/cm2)とPC床版(プレストレス量 30kg/cm2)の場合について示したものである.まづ,PC床版の場合を承ると,プレストレスを導入しない
0の場合に比べて,プレストレスを一方向だけでも導 入してやれば,押抜きせん断耐力は増加し,さらに二 方向にプレストスを導入してやれば,さらに押抜きせ ん断耐力は増大することが認められる.この場合一方 向に導入したプレストレスの効果は導入しない場合に 対して,2.35tの押抜きんせん断耐力の増大が期待で き,さらに2方向に導入したプレストレスの効果は一 方向の場合のほぼ2倍の4.60tの押抜きせん断耐力の 増大が期待できることが明らかとなった.同様にして, 合成床版の場合についても検討して承るとPC床版と ほぼ同様の結果が得られる.さらに,合成床版の場合 とPC床版の場合の両者ともにプレストレス導入方向 の効果(図5中では両者の傾き)はほぼ同一であるこ とが認められる. 【】k耐 g 膿 C S l d b 1 1 mc一二○匡コュF
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9 3 「1 J 3.3コンリートの圧縮強度の影響 図6は導入したプレストレス30kg/cm2,プレストレ3.5押抜きせん断耐力の推定について 緒言でも述べた様に,鉄筋コンクリト床版(RC床 版)の押抜きせん断耐力に関する実験的研究は国内外 ともに数多くなされていて,それぞれに良好なる成果 を収めている.一方,合成床版やPC床版に関する研 究は皆無であって,これらの床版の押抜きせん断耐力 を推定する方法は現在の所全くないと云っても過言で はない.そこで,本節では,RC床版で得られた実験 式の中で特に石川氏'〕および角田氏等によって提案さ れた実験式を本実験供試体に適用して検討して承るこ とにする。表4は二氏による計算値と実験値を一括し たものである.なお,計算に用いた実験式は下式によ 199 松本進:コンクリート合成床版の押抜きせん断強度に関する実験的研究 化させた場合のPC床版の押抜きせん断耐力をプレス トレス量が0kg/cm2および30kg/cm2の場合につい て示したものである.ブレストレス量が0kg/cm2の場 合も30kg/cm2の場合も,鋼材比が増大すれば押抜き せん断耐力もほぼ直線的に増大していることが認めら れる.さらに,プレストレスが導入されている場合と そうでない場合の押抜きせん断耐力の関係はほぼ平行 であって,プレストレスが導入されても鋼材比が押抜 きせん断耐力に及ぼす効果はほぼ一定であることが認 められる. ・ 表 4 押 抜 き せ ん 断 耐 力 の 推 定 った. (石川氏による計算式) P=ぴd・cos45o。A ① ここでP:破壊荷重 の:斜引張応力度 A:押抜ける部分の側面の面積 (角田氏による計算式) P=1.796(60+3元の。。。、/応/(1十./20)② ここで60:載荷周縁の長さ 。:床版の有効高さ びCB:コンクリートの圧縮強度 表4から,供試体No.1,No.3,No.4のものはプレ ストレスが導入されていない場合のもので,この場合 には構造的には鉄筋コンクリト構造と同様のものにな る.しかしながら’①式および②式共に鋼材比の影 響は押抜きせん断耐式の推定式の中には入ってなく, そのため,鋼材比か異る場合には実験値とは合致しな いことか認められる.また,計算値①は概して実験値 に対して’小さ目の値を与え,計算値②は概して大き 目の値を与えていることが認められる.さらに,プレ ストレスが導入された場合については,計算式の中に プレストレスを見込む方法がなく,現在の所ではこれ を解明する手段がない一つの考え方としては,①式 において,斜引張応力度の中にプレストレスを導入す るか,もしくはMoe氏によって提案される式の中で Vflex(スラブの終局曲げ強度におけるせん断力)の中 にプレストレスを導入すれば良いかと思われるが,こ れについては今後の研究で更に押進める積りでいる. 4 . 結 言 本研究はRC床版の押抜きせん断性状を改善する一 つの方法として,プレキャスト版をPC型枠兼補強材 として使用し,場所打コンクリートと接合した合成床 版を取上げ,PC床版と対比させながら特に押抜きせ ん断強度の点で実験的な検討を詳細に行ったものであ る.実験に使用した床版枚数は18枚とかなり多いもの の,未だ確定的なことは云い難い.実験を行った範囲 からは次のことが云えると思われる. (1)PC床版および合成床版において,これらに導入す るプレストレスの押抜きせん断耐力に及ぼす効果は 極めて大きい.さらに,合成床版についてはプレキ ャストPC版の使用比率を75%程度とすれば,PC床 版とほぼ同様の押抜きせん断耐力を有させ得ること
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1111合成床版
甲抜きせんIgrm 14.41 14.41 14.41 15.10 15.10 15.10 唾 目 I N CPC床版
8.35 8.35 8.35 9.16 9.16 9.16 9.30 9.80 9.70 15.50 17.20 14.80 注:計算値①は石川氏による値を示し 計算値②は角田氏による値を示す2222222771788888886677
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13.95 13.95 13.95 13.95 13.95 13.95 13.95 14.68 14.68 9.61 15.59 9.20 13.80 10.90 12.50 15.75 11.55 11.75 13.20 15.10 9.50 15.00 11.00123456712345
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200 鹿 児 島 大 学 工 学 部 研 究 報 告 第 2 2 号 ( 1 9 8 0 ) が確められた. (2)床版にプレストレスを導入する場合シー方向にプレ ストレスを導入するよりも二方向にプレストレスを 導入する方が,押抜きせん断耐力を増大させる点で は極めて効果的であることが明らかとなった. (3)鋼材およびコンリートの圧縮強度が大きければ,既 往のRC床版の研究成果でも得られているように, 押抜きせん断耐力に及ぼす効果は極めて大きいこと が確められた. 本研究は昭和54年度の卒業研究において取上げたも のであって,実験の実施に当っては本大学前村政博技 官および重松睦宏氏(現日本グラウトエ業K、K、勤務) に負う所が多く,また図面の作製に当っては本学の永 田福一助手および前村政博技官に援助を賜った.ここ に感謝の意を表します. 参 考 文 献 1)土木学会:コンクリート標準示方書,1977年 2)土木学会:プレストレスコンクリート標準示方書,1978 年 3)松本進:コンクリート合成床版の押抜きせん断強度につ いて,土木学会西部支部研究発表会講演集,1980年2月 4)石川,平田:集中荷重が載荷した周辺固定コンクリート スラブの破壊試験,土木学会第26回年次学術購演会講演 集,第5部,1971年,10月 5)角田他2名:RC版の耐力について,土木学会第29回年 次学術講演会講演集,第5部,1974年10月 6)太田正彦:周辺補剛梁を有する鉄筋コンクリートスラブ の押抜き勇断破壊に関する実験,九州大学大学院修士論 文,1970年3月 7)JohannesMOe:“ShearingStrengthofReinfbmedCon‐ crEteSlabsandFbotingsunderConcentratedlpads,,, BUnetinNo.p47,ResearchandDevelopmentlabomto‐ ries,POrtlandCementAssociation,Skokie,、,1961