身体スキル獲得過程における身体動作と
着眼点に関する実験的検討
Analysis of Participants’ Body Movements and Their Intentional
Focuses in Motor Skill Acquisition by Novice Jugglers
市川 淳
1∗三輪 和久
1寺井 仁
1,2Jun Ichikawa
1Kazuhisa Miwa
1Hitoshi Terai
1,21
名古屋大学大学院情報科学研究科
1
Graduate School of Information Science, Nagoya University
2JST/ CREST
2
CREST, Japan Science and Technology Agency
Abstract: We investigated how the differences of intentional focuses of novice jugglers influence their processes of motor skill acquisition. In the experiment, novices practiced three-ball cascade juggling over a period of one week. We analyzed the stability transition of body movements and verbal reports referring to what they intentionally concerned for achieving the optimum learning in practice. The result showed a possibility implying whether novices focus on the control of timing and rhythm in practice or not greatly related to the processes of acquisition of stable body movements.
1
はじめに
スポーツや演奏,伝統芸能等で要求されるスキルは, 身体で現される暗黙的なスキルである(以下,身体ス キルと呼ぶ).身体スキルに関する研究は,運動学や スポーツ科学だけでなく,近年,認知科学においても, 様々な手法を用いて実験的に検討が行われている(例 えば,Ito ら [1]; 渋谷ら [2]).その中でも,Suwa[3] は, 学習者の言語報告に基づく,思考や知覚といった意識 的活動に着目し,それらとパフォーマンスの関係につ いて検討している.そこでは,身体動作と思考,知覚, 環境とのインタラクションにより,身体スキルが獲得 されると主張している. 古川ら [4] は,身体スキル研究の発展に向けて,運 動計測から得られた客観的な定量データと,言語報告 から得られた主観的な定性データの両アプローチから, 身体スキルを議論する重要性を述べている.運動学や スポーツ科学をはじめ,運動計測を用いた分析に主軸 をおいた研究では,現在に至るまで,身体動作の特徴 に関して膨大な知見がある.これらは,客観的な定量 データに基づいて議論が行われているが,意識的活動 と関連付けて検討した研究は多くない.一方,言語報 ∗連絡先:名古屋大学大学院情報科学研究科 〒 464-8601 名古屋市千種区不老町 E-mail: [email protected] 告を用いた分析に主軸をおいた研究では,学習者の思 考や知覚に関連する意識的活動について検討している が,定量データに基づいて身体動作の特徴を捉え,学 習過程における身体動作の変化を捉えるといった実験 的検討は行っていない. 運動計測と言語報告の両面からのアプローチは,古 川ら [4] でその重要性が主張されているものの,未だ, その取り組みは少ないと考えられる.そこで,本研究 では,ノービスによる身体スキル獲得において,身体 スキルを獲得する上で,どのような観点に基づいて練 習を行っていたのかといったような意識的活動が,身 体スキル獲得過程にどのような影響を与えるのかにつ いて実験的に検討する.本研究では,先述した観点を 着眼点と呼ぶことにする. 本研究では,身体スキル獲得の課題として 3 ボールカ スケード(ボールジャグリング)を取り上げる.3 ボー ルカスケード(以下,カスケードと呼ぶ)は,ボール ジャグリングの中でも最も基本的な身体スキルである. カスケードを対象とした身体スキルの獲得について は,運動制御や,タイミングやリズムに関連する時間制 御の側面から,これまで数多くの先行研究がある(例え ば,Hashizume ら [5]).カスケードは,多くの実験参 加者にとって新規に獲得する身体動作であるため,身 体スキル獲得における初期段階からの学習過程を検討 しやすい課題である.さらに,ボールの連続キャッチ数 人工知能学会研究会資料 SIG-ALST-B403-14でパフォーマンスを客観的に評価できる点についても, 優れた特質を有している. カスケードのような周期的な運動が要求される課題 においては,身体動作の安定性が重要であると考えら れる.そこで,本研究では,カスケードを行う際の (1) 身体的位置の安定性と,(2) 時間周期の安定性,2 つを 用いて身体動作の安定性を捉える. 分析上の便宜から,手首の上下運動に着目し,その 最下点をトスに関連する特徴点である「谷点」,最上 点をキャッチに関連する特徴点である「山点」と定義 して,両点における身体的位置の安定性と,時間周期 の安定性を検討する(図 1).(1) については,「腕の振 りにおける,安定した周期的な運動により,カスケー ドが行われること」と,「身体全体を動かさずに,カス ケードが行われること」の 2 つが鍵となる.そこで,前 者をボールに触れる手に直結する「手首」の位置の安 定性,後者を身体全体の動きと関連する「胸」の位置 の安定性に基づき,それぞれ評価する. 本研究では,ノービスに 7 日間,カスケードの練習 を行わせた.そして,各参加者における着眼点の差異 が,身体動作の安定性にどのような変化をもたらすの かについて検証する.なお,着眼点は言語報告,身体動 作の安定性は運動計測によって,それぞれ測定された. 図 1: 山点と谷点の定義.
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実験方法
2.1
参加者
大学生,及び大学院生 26 名(全員男子,平均 20.8 歳)が,以下で述べる実験オーディションに参加した. 参加者 26 名は全員,右投げでジャグリング未経験者で ある.そして,それを通過した 11 名(全員男子,平均 20.5 歳)が実験に参加した.2.2
手続き
本実験は,7 日間にわたって実施された.1 日目に, 参加者はジャグリング専用ボール 3 個を受け取った.さ らに,補助資料として,投げ方について図解された解 説シートが配布された.加えて,エキスパートによる カスケードの映像が実験室の壁に映し出され,参考に するよう指示を受けた. 1 日目は,実験オーディションを行った.このオー ディションで,制限時間約 60 分以内に連続キャッチ数 7 回以上できた参加者は,2 日目以降の実験に参加する ことができた.結果,11 名が 2 日目以降の実験に参加 した.2 日目以降は,補助資料なしで 7 日目まで,1 日 最低 60 分,各自で練習を行った. 進捗状況を確認するために,2 日目以降,連続キャッ チ数を測るパフォーマンス測定を実施した.パフォーマ ンス測定では,足下に仕切られた縦 70cm ×横 70cm の 枠内でカスケードを原則 10 試行,最大 25 試行行った. さらに,パフォーマンス測定時の身体動作を 3 次元 モーションキャプチャで計測した.計測にあたって,左 右の手首,肘,肩,そして胸計 7 か所に反射マーカーが 取り付けられた.これらの反射マーカーの動きを,参 加者の周囲に設置された赤外線カメラ 9 台(NAC 社 製,Hawk: 4 台,Hawk-i: 5 台,サンプリング周波数: 100Hz)で捉えた(実験の途中,Hawk-i が1台故障し たため,8 台で計測を実施した).3 次元モーションキャ プチャにより,床を原点とする各身体部位の位置を,3 軸方向(奥行方向,水平方向,垂直方向)で記録した. また,パフォーマンス測定前後に,参加者は半構造 化インタビューを受けた.インタビューでは,カスケー ドを続けるうえでの重要な点に関して,自由に言語報 告を行わせた.報告が少なく,実験者が内容を理解で きない場合は,より詳細な報告を促した.3
実験結果
3.1
パフォーマンス測定
参加者 11 名中 5 名がパフォーマンスを大きく向上さ せ,連続キャッチ数 100 回以上を達成したことが確認 された.図 2 は,100 回以上を達成した,参加者 5 名 におけるベストパフォーマンスの推移である.横軸は 測定日,縦軸はベストパフォーマンス(回数)である. 全参加者を通した最高記録は,409 回(参加者 A の 7 日目)であった.今回,最も高いパフォーマンスを 記録した参加者 A と,2 日目で連続キャッチ数 1 桁(6 回)から始まり,そこから,ベストパフォーマンスが 一貫して向上し続け,最終的に 100 回以上を達成した 参加者 B を対象に,以降の分析を行う.図 2: ベストパフォーマンスの推移.
3.2
着眼点
半構造化インタビューより,参加者がどのようなこと に着目して練習を行っていたのかという着眼点に関す る分析を行う.本分析では,大谷 [6] で提唱されている, 言語データの概念化を行う SCAT (Steps for Coding Theorization) を用いて,報告内容の一般化を行う.そ して,一般化された言語報告を,意識的に着目した観 点(着眼点)として,参加者 2 名における着眼点の特 徴について以下で検討する. 参加者 2 名の着眼点には,それぞれ以下のような特 徴があった.まず,参加者 A については,練習の中盤 である 4 日目に,「指先でトスをするように,ボールを 手の上で転がして調整を行う」や「トスを行うための 時間をつくる」,「ボールの握りを修正する」といった, ボールを正確に投げ上げるために,トスの直前の準備 に意識が向いていたことが確認された. 一方,参加者 B では,練習の序盤である 3 日目から 既に,身体やボールに加えて,タイミングやリズムに 関連する時間に対しても意識が向いており,「テンポを 決めてトスを行う」といった,時間制御の確立に着目 し,練習を行っていたことが確認された. 参加者 A においては,参加者 B のような時間制御の 確立に関する着眼点は,7 日間を通して観察されなかっ た.以上の結果は,同じように連続キャッチ数 100 回 以上を達成した参加者であっても,身体スキル獲得過 程において意識的に着目した観点には,差異があるこ とを示す.
3.3
身体動作の安定性
参加者 2 名の身体動作の安定性を検証するために,7 日目のベストパフォーマンスを記録した 1 試行を対象 に,床を原点とする右手首の垂直方向の位置の時系列 推移を図 3 に示す.参考までに,例として,5 ボール カスケードの身体スキルを獲得しているエキスパート ジャグラーによる時系列推移も示す. 参加者 B では,エキスパートジャグラーと同様に, 滑らかな sin カーブを描いていることがわかる.参加 者 B は,最終的に,エキスパートジャグラーのような 規範的な身体動作を獲得したと考えられる.一方,参 加者 A は,最下点である谷点周辺の運動において,滑 らかなカーブを描けておらず,いわゆるタメが観察さ れる.このことから,参加者 A と参加者 B が獲得した 身体動作には,差異がある可能性が考えられる. 3.3.1 身体的位置の安定性 分析手続き 身体的位置の安定性に関して, 以下の 2 つの指標を 用いた分析を行う.(1) トスに関連する特徴点である 「谷点」と,キャッチに関連する特徴点である「山点」 における「手首」の位置の安定性と,(2) 両点における 「胸」の位置の安定性である. 胸を原点とする手首の相対的位置の変動を示す標準 偏差によって (1) を,床を原点とする胸の絶対的位置 の変動を示す標準偏差によって (2) を,それぞれ評価 する.本分析では,定常化した身体的位置の安定性を 検討するために,カスケード開始からはじめの谷点 2 つ分は,ボールを手に持った初期状態の影響が現れる 区間とみなし,分析から除外した.さらに,周期性を 失う直前の谷点 2 つ分についても,終了直前状態の区 間とみなし,分析から除外した.そして,残りの区間 を定常状態の区間として,左右の手首の運動による谷 点を分析対象とした.n 番目と n+1 番目の谷点で,手 首の相対的位置のずれ,及び胸の絶対的位置のずれを それぞれ求め,それらの変動を 3 軸方向(奥行方向,水 平方向,垂直方向)について算出した.山点について も,同様の分析を行った.なお,連続キャッチ数が 10 回以下の場合は参考値として,カスケード開始から全 ての山点,及び谷点を対象に同様の分析を行った. 原則として,ベストパフォーマンスを記録した 1 試 行を対象に分析を行った.なお,欠損データを補間す る際に適切に補間できなかった試行については,セカ ンドベストを示した 1 試行を用いた(セカンドベスト の試行を用いたのは,参加者 A の 4 日目であった). 結果 参加者 A と参加者 B の結果を,図 4 と図 5 にそれぞ れ示す(図 5 における,参加者 B の 2 日目の記録は参 考値であるため,他の測定日とは異なる色でプロット している).全てのグラフで横軸は測定日,縦軸は位 置の変動を示す標準偏差の平均値 (mm) を表す.また, 各測定日の上にある数字は,ボールの連続キャッチ数 である. 参加者 A では,4 日目以降,手首と胸ともに,山点 と谷点のそれぞれにおいて,全ての方向で位置の変動 が一定の水準に抑えられていた傾向が確認された.4 日図 3: 右手首の垂直方向の位置の時系列推移(カスケード開始から 30 秒間). 目は,連続キャッチ数 100 回以上をはじめて達成した 段階である.一方,参加者 B では,3 日目以降,手首 と胸ともに,山点と谷点のそれぞれにおいて,全ての 方向で位置の変動が一定の水準に抑えられていた傾向 が確認された.3 日目は,連続キャッチ数がはじめて 2 桁を達成した段階である. 最終的に,両参加者とも,身体的位置の安定性を獲 得したといえる.しかし,参加者 A は,連続キャッチ 数 100 回以上を達成した段階で,その安定性を獲得し たが,参加者 B は,連続キャッチ数 2 桁を達成した段 階で既に,その安定性を獲得していた. 3.3.2 時間周期の安定性 分析手続き 時間周期の安定性に関して,以下の 2 つの指標を用 いた分析を行う.(1) n 番目と n+1 番目の谷点におけ る時間周期の安定性と,(2) 山点における同様の時間周 期の安定性である.両者を時間周期の変動を示す標準 偏差を用いて評価する.身体的位置の安定性と同様に, 定常状態の区間における時間周期の安定性を検討する. 左右の手首の運動による谷点を分析対象に,n 番目と n+1 番目の谷点で時間間隔を求め,その変動を算出し た.山点についても,同様の分析を行った.なお,時 間周期の安定性についても,連続キャッチ数が 10 回以 下の場合は参考値として,カスケード開始から全ての 山点,及び谷点を対象に同様の分析を行った.原則と して,ベストパフォーマンスを記録した 1 試行を対象 に分析を行った. 結果 参加者 A と参加者 B の結果をそれぞれ,図 6(上: 参加者 A,下:参加者 B)に示す(参加者 B の 2 日目の 記録は参考値であるため,他の測定日とは異なる色で プロットしている).どちらのグラフも横軸は測定日, 縦軸は時間周期の変動を示す標準偏差の平均値 (秒) で ある.また,各測定日の上にある数字は,ボールの連 続キャッチ数である. 参加者 A では,4 日目以降,山点においては,時間 周期の変動が一定の水準に抑えられていたが,谷点に おいては山点よりも,変動を示す標準偏差の平均値が 大きく,安定性が向上しないことが確認された.一方, 参加者 B では,谷点と山点のそれぞれにおいて,変動 を示す標準偏差の平均値が小さく保たれていたことが 確認された. 以上の結果は,時間周期に関して,参加者 B が,練 習の序盤で,その安定性を獲得した一方,参加者 A で は,練習の最後まで,その安定性を獲得することがで きなかったことを示す.
4
考察
本論文では,連続キャッチ数 100 回以上を達成した参 加者 2 名の意識的に着目した観点(着眼点)と,身体 動作の安定性を比較検討した.連続キャッチ数 100 回 以上を達成する段階は,カスケードの学習 Stage にお ける最後の段階である [5]. Hashizume ら [5] の知見を踏まえると,連続キャッチ 数の側面でいえば,参加者 A と参加者 B は同程度の学図 4: 手首と胸の位置の変動の推移(参加者 A). 図 5: 手首と胸の位置の変動の推移(参加者 B). 習段階に到達したといえるが,本分析における着眼点 や,時間周期の安定性の側面でいえば,参加者の間で 差異が確認された.まず,参加者 B では,練習の序盤 (3 日目)で「時間制御の確立」に関して,意識的に着 目していた.学習者の中でカスケードを維持するため の適切なタイミングやリズムを決め,そこに意識を向 けて練習を行っていたことで,3 日目以降,時間周期の 安定性が獲得された可能性が考えられる. 一方,参加者 A は,「トスの直前の準備」に関して, 意識的に着目していた.これは,適切なボールコント ロールを実現するために,手の上でボールを持つ箇所 を(手のひらから)指先へ修正することを意味する.参 加者 A は,参加者 B のような時間制御の確立ではなく, トスを行う箇所の修正に意識を向けて練習を行ってい たことで,谷点における時間周期の変動を示す標準偏 差の値が大きくなり,安定性を獲得することができな かったと考えられる.連続キャッチ数 100 回以上を達 成してもなお,エキスパートジャグラーのような規範 図 6: 時間周期の変動の推移. 的な身体動作を獲得することや,一定のタイミングや リズムでトスを行うことができなかったと考えられる. 谷点における時間周期の平均値(7 日目)は,参加 者 A と参加者 B でそれぞれ約 0.95 秒と,約 0.60 秒で あった.参加者 A は,参加者 B よりも 0.3 秒以上周期 が長かった.この結果は,参加者 A が参加者 B よりも, 遅いテンポでカスケードを行っていたことを示す.参 加者 A では,トスの準備動作(ボールの握りを指先へ 修正する)がカスケードの手続きに含まれたため,テ ンポが遅くなった可能性が考えられ,着眼点の差異に よる影響を確認することができる. 手首や胸による身体的位置の安定性については,両 参加者ともに,最終的には同程度に変動が抑えられて いた.しかし,参加者 A は,連続キャッチ数 100 回以 上を達成した段階(4 日目)で安定性を獲得したが,参 加者 B では,連続キャッチ数 2 桁を達成した段階(3 日 目)で既に,安定性を獲得していた.この推移の差異 に関しても,先述した着眼点による影響があるのかも しれない. Zentgraf ら [7] は,2 ボールカスケードでエキスパー トを対象にした実験ではあるものの,異なるインスト ラクションが身体動作に影響をもたらすことを明らか にしている.本研究では,インストラクションではな く,学習者が自律的に着目した観点の差異においても, 同様に身体動作に影響をもたらす可能性を示唆した. Suwa[3] は,身体動作と思考,知覚のインタラクショ ンにより,身体スキルが獲得されると主張している.本 研究における,着眼点が身体動作に影響を与えるとい う知見は,そのインタラクションと関係しているのか
もしれない.
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むすび
本研究では,身体スキルを獲得するうえで重要な点 に関する意識的に着目した観点(着眼点)の差異が,身 体動作の安定性にどのような変化をもたらすのかにつ いて実験的に検討を行った. その結果,連続キャッチ数 100 回以上という高いパ フォーマンスを達成した参加者であっても,ある参加者 は,練習の序盤でタイミングやリズムに関連する時間 制御の確立に関して,意識的に着目していた一方,も う 1 人の参加者は,トスの直前の準備に関して,意識 的に着目していたことが確認された.さらに,これら の着眼点が特に,トスに関連する特徴点である谷点に おける時間周期の安定性に影響をもたらす可能性を明 らかにした.後者では,練習の最後まで,時間周期の 安定性を獲得することができなかった. 今後は,連続キャッチ数 100 回以上を達成した他の 参加者において,また,ベストパフォーマンス以外の 試行において,同様の議論が可能なのかについて検討 する予定である.参考文献
[1] Ito, M., Mishima, H., and Sasaki, M.: The Dy-namical Stability of Visual Coupling and Knee Flexibility in Skilled Kendama Players,
Ecologi-cal Psychology, Vol. 23, No. 4, pp. 308–332 (2011)
[2] 渋谷 友紀, 森田 ゆい, 福田 玄明, 植田 一博, 佐々 木 正人: 文楽人形遣いにおける呼吸と動作の非同 期的関係:日本の古典芸能における「息づかい」 の特殊性, 認知科学, Vol. 19, No. 3, pp. 337–364 (2012)
[3] Suwa, M.: A Cognitive Model of Acquiring Em-bodied Expertise Through Meta-cognitive Ver-balization, Transactions of the Japanese Society
for Artificial Intelligence, Vol. 3, No. 2, pp. 399–
408 (2008) [4] 古川 康一, 植野 研, 尾崎 知伸, 神里 志穂子, 川本 竜史, 渋谷 恒司, 白鳥 成彦, 諏訪 正樹, 曽我 真人, 瀧 寛和, 藤波 努, 堀 聡, 本村 陽一, 森田 想平: 身 体知研究の潮流−身体知の解明に向けて−, 人工知 能学会論文誌, Vol. 20, No. 2, pp. 117–128 (2005)
[5] Hashizume, K., and Matsuo, T.: Temporal and Spatial Factors Reflecting Performance Improve-ment During Learning Three-ball Cascade Jug-gling, Human Movement Science, Vol. 23, No. 2, pp. 207–233 (2004)
[6] 大谷 尚: SCAT: Steps for Coding and Theoriza-tion −明示的手続きで着手しやすく小規模デー タに適用可能な質的データ分析手法−, 感性工学, Vol. 10, No. 3, pp. 155–160 (2011)
[7] Zentgraf, K., and Munzert, J.: Effects of Attentional-focus Instructions on Movement Kinematics, Psychology of Sport and Exercise, Vol. 10, No. 5, pp. 520–525 (2009)