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地中海に於ける海洋性リゾート並びに海洋レジャーの実情とその対日比較

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地 中海 に於 け る海 洋 性 リゾ ー ト並 び に

海洋 レジ ャー の実 情 とその対 日比較

The Current

Situation

of Marine

Leisure

in the Mediterranean

and

A Comparison

with Japanese

One.

Eizo

Tanabe

The writer stayed for 40 days on summer on a yacht moored at Club Nautico El Arenal on Mal-lorca Island .

In summer , Mallorca becomes a center of recreation in the Meditteranean . Villas owned by the European Royal families , aristocracy , millionaires , and celebrities are scattered all over the island . However , the general public has a popular spot in Arenal City , where tour groups from various European countries create a lively mixture.

Throughout his stay on the yacht, he observed that all the boats at the Club Nautico were moored in the water . Of course , this is the natural habitat for yachts , but it is in sharp con-trast to the conditions found at a prominent yacht club in Japan -- the Seabornia Yacht Club. Here around 80% of the members' boats are kept on land . This is but one example showing that Japan is overcrowded not only on the land but also on the water. It can be said that one of the biggest factors preventing the Japanese from enjoying marine leisure is the lack of marina and facilities.

Another thing which impressed the writer was the Meditteranean climate during summer . It is usually stable and easy to predict ; a 5-10 knot wind is blowing in the daytime but stops blow-ing at seven o'clock every evenblow-ing. Moreover, the difference between ebb tide and high tide is only 30 cm, and there are no typhoons nor hurricanes. All the conditions seem to be just per-fect for sailing.

It is also interesting to note that there are almost no racing boats stationed at the Club Nautico and that almost all of the boats moored are leisure boats. This is just the opposite in the case of Japan. The Japanese seem to enjoy competition rather than relaxation on board with nothing particlular to do. This tendency can be observed when they play golf. For Japanese who in-vest enormous money on boats , it is nonsensical not to utilize them effectivaly . Therefore , Japanese boats are very busy going in and out of harbors , especially in summer . On the con-trary, only 10% of the boats at the Club Nautico go out of the habor to cruise ; in other words,

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90% of them are moored a whole day or during a whole summer and the members are just en-joying their life on the moored boats.

The writer has reached the conclusion that not only are sea weather and conditions unfavorable for marine leisure in Japan but, more critical, is the fact that the Japanese prefer a competitive, active, and tense life and find it difficult to relax and enjoy peace and quiet.

は じめ に 海 洋 性 レ ジ ャー に は ① 海 辺 の リ ゾー トホ テ ル ② ヨ ッ トハ ー バ ー,マ リー ナ の2つ の 舞 台 が あ る。 海 辺 の リゾ ー トホ テ ル は そ の周 辺 に ゴ ル フ コ ー ス,テ ニ ス コー ト,シ ョ ッ ピ ングモ ー ル,乗 馬 コ ース,往 々 に して 自己 保有 の マ リー ナ を併 設 して い る場 合 が少 くな い 。本 調 査 に於 い て は, リゾ ー トホ テ ル に併 設 され た もの で は な く,独 立 した ヨ ッ トハ ー バ ー を対 象 と して,西 地 中海 に 於 け る海 洋 性 レジ ャーの 実 態 を調 べ,地 中海 と 日本 近 海 の 自然 条件 の差 異 並 び に欧 州 人 と 日本 人 の レジ ャ ー に対 す る取 り組 み方 の差 異 を検 証 せ ん と試 み た 。 用 語 につ い て つまび レ ジ ャ ー 産 業 な る 用 語 が 国 際 的 に 認 知 さ れ て い る か 否 か 詳 ら か で な い 。1961年 版 のSRI (StanfordResearchInstitute)の リ ポ ー トに はrecreationindustryな る 表 現 が 用 い ら れ て い る(注 1)。 少 く と も1961年 代 に はLeisureIndustryな る 用 語 は 無 か っ た も の と思 わ れ る 。1957年 筆 者 が ㈱ 後 楽 園 ス タ ヂ ア ム(本 年10月1日 よ り 「東 京 ド ー ム 」 と社 名 変 更)へ 入 社 し た 当 時,レ ジ ャ ー 産 業 な る 日 本 語 は 無 か っ た 。 ち な み に 「過 疎 」 「公 害 」 な る 言 葉 も存 在 し な か っ た 。 「レ ジ ャ ー 産 業 」 とは 日 本 語 と して も新 語 で あ る が,余 暇,娯 楽,ス ポ ー ッ,観 光,サ ー ビ ス 業 を 包 括 す る 便 利 な 慣 用 句 と して 定 着 し た と考 え,本 稿 で も之 を 用 い た 。 目次 第1章 海 洋 性 レ ジ ャー に つ い て の一 般 的考 察 。 その1レ ジ ャー産 業 の 目的 2幸 福 の 定 義 3リ ゾ ー トホ テ ル の 意義 4幸 福 有 限 説 5楽 園 の条 件 6何 故 海 洋 性 リゾー トか 7ヨ ッ トハ ーバ ー,マ リー ナ の意 味す る もの 8Yachtの 定義 9海 洋 性 レジ ャ ーの 大衆 化 10地 球 上 の 海 洋 レジ ャー適 地 第2章 マ ジ ョル カ島 に於 ける 実 地調 査 。 そ の1今 回 の調 査 の 手 法 につ い て そ の2現 地 の概 況 一76

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i)調 査 地 の 所 在 ii)マ ジ ョル カ に つ い て iii)マ ジ ョル カ 島 へ の ア ク セ ス iv)マ ジ ョル カ の 観 光 立 地 そ の3エ ル ・ア レナ ー ル(ELARENAL)の 概 況 i)大 衆 観 光 地 ア レ ナ ー ル ii)熱 海 と の 対 比 iii)団 体 客 の 消 費 傾 向 iv)入 込 客 の 人 種 構 成 ビ ヘ ビ ア v)団 体 客 の 行 動 様 式 vi)観 光 地 ア レ ナ ー ル の 性 格 と 問 題 点 V11>パ ル マ と ア レ ナ ー ル の 棲 み 分 け そ の4CNA(ClubNauticoElArenal,ア レ ナ ー ル ・ヨ ッ ト ク ラ ブ) i)そ の 沿 革 ii)会 員 構 成 iii)ス ペ イ ン と 日 本 の ヨ ツ トク ラ ブ の 比 較 iv)我 が 国 ヨ ッ ト界 の 抱 え る 問 題 点 v)在 泊 艇 の 国 籍 vi)船 籍 取 得 の 実 際 vii)旗 り ゆ う 掲 揚 の 国 際 慣 習 そ の5船 上 休 暇 の 実 際 i)1日 の サ イ ク ル と 気 象 ii)船 上 生 活 と 「仕 事 」 iii)日 中 の 生 活 ナ イ トラ イ フ iv)夜 の 生活 そ の6日 本 の気 象条 件 との比 較 i)地 中 海気 象 の規 則 性 ii)規 則 性 以外 の好 条件 iii)地 中海 の気 象 の規 則 性 の一 例 そ の7地 中海 の ヨ ッ ト乗 りの行 動 様 式 i)日 本 ヨ ッ ト界 の レー ス指 向 ii)レ ー ス派 とBW派 iii)ケ ッチ とス ル ー プ iv)ケ ッチ の特 性 v)CNA在 泊 艇 の 性 格 分析 vi)巡 航(ク ル ー ジ ング)の 楽 しみ 結 論 謝 辞

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第1章 海 洋 性 レジ ャ ーに つ い て の一 般 的 考 察 そ の1レ ジ ャ ー産 業 の 目的 レジ ャー産 業 の 産 業 精 神 は他 の すべ て の産 業 と窮 極 に於 い て 同 じで あ る。 す な わ ち人 々 に幸福 を もた らす こ とで あ る。 で はあ る が,他 産 業 に比 べ,例 えば兵 器 産 業 の如 き業 種 に比 べ,よ り直 接 的 に人 々 に幸 福 を もた らす 業種 と考 え られ,期 待 され る。 よ り具 体 的 に は,レ ジ ャ ー産 業 の 使 命 は,人 々 に ① 良 質 ② 多 様 な レジ ャー を ③ 潤 沢 ④ 廉 価 に提 供 す る こ とに あ る。 自動 車 産 業 の 使 命 が ① 良 質 ② 多 様 な 自動 車 を ③ 潤 沢 ④ 廉 価 に人 々 に提 供 す る に あ る こ と と変 りは ない 。 お もん み る に,わ が 国 の 自動 車 産 業 は上 記 の使 命 を見 事 に果 た した の に ひ きか え,わ が 国 の レジ ャー 産 業 が 上 記 の 使 命 の 達 成 に見事 に失 敗 してい る こ と は,心 あ る レジ ャー産 業 人 並 び に消 費 者 の よ く 知 る ところ で あ る。 そ の2幸 福 の 定 義 レ ジ ャ ー 産 業 に携 わ る 人 間 は 人 々 に 幸 福 を も た ら す こ と を 使 命 と して い る 。 で は 幸 福 と は 何 か 。 ア ン ド レ ・モ ロ ー ア は フ ォ ン トネ ル の 「幸 福 論 」 を 引 用 し,「 幸 福 と は そ の ま ま 変 ら な い で 続 い て ほ しい よ う な,そ の よ う な 状 態 で あ る 」 と定 義 し た(注2)。 ゲ ー テ は そ の 間 の 消 息 を フ ァ ウ ス ト の 中 で,「 お う!時 間 よ,留 ま れ,汝 は か く も美 し い!」 の 一 句 で 道 破 し た 。 レ ジ ャ ー 産 業 人 は,そ の よ う な 至 福 の 状 況 を 一 つ の 具 体 的 な 施 設 に集 約 し,現 実 の 存 在 と して 人 々 に提 供 せ ん と 試 み 続 け て 来 た 。 す な わ ち リ ゾ ー トホ テ ル で あ る 。 その3リ ゾ ー トホ テル の意 義 リゾー トホ テ ル とは 人 間 の希 求 す る幸福 の 窮極 的 な実 現 で あ る。 少 く も西 欧 文 明 社 会 に住 む 人 間 は そ う信 じて い る。 リゾ ー トホ テ ル に は 人 間 の 望 むす べ て が あ る。 す な わ ち豪 華andor瀟 洒 な建 物,美 酒,美 食,快 適 美 麗 な 自然 環境 音 楽,男 女 の プ ラ イバ シ イ,シ ョ ッピ ン グ,各 種 ス ポ ー ツ施 設,そ して 余 暇 … で あ る。 人 間 は,少 な く と も大 多 数 の 人 間 は(注3),上 記 以 外 の 幸福 を 考 えつ か な か った 。 これ が世 界 中 の リ ゾ ー トホ テ ル のパ ター ンが 基 本 的 に全 く同一 で あ る理 由 で あ る。 その4幸 福有 限説 人 間 は歴 史 上,そ の 時 々 の全 世 界 の 富 を集 め た 幾 つ か の民 族 ・国家 を持 っ た。 ロ ーマ,ス ペ イ ン,フ ラ ンス,ア メ リカ等 で あ る。 そ の富 は莫大 で あ った か ら,そ の民 族(の 上 流 社 会)は 自 ら の 欲 す る通 りの 贅沢 を享 受 し得 た。 す なわ ち,贅 沢 に は上 限が あ る。 多 くの 日本 人 が 贅 沢 に は切 りが 無 い と信 ず る の は 間違 いで あ る。 贅 沢 に は"切 り"が あ る。 す な わ ち,も うこれ で 充 分 で あ る,こ の ま まの状 態 で継 続 して い られ れ ば結 構 だ,自 分 は将 に幸 福 で あ る,と 人 が 信 じ得 る上 限 が あ る 。全 世界 の富 を集 め た多 くの 民 族 は彼 らの無 限 の富 を駆 使 し,そ の上 限 に達 した。 とい う こ と は,少 な く も西 欧 社 会 に於 い て は 「贅 沢 」 「幸 福 」(レ ジ ャ ー産 業 の 視 点 で は 同 じ もの で あ る)の 原 型 は夙 に確 立 し定 型 化 され て い る こ と を意 味 す る。 この よ うに して,か つ て の 上 流 社 会, 王 侯 貴 族 の 問 に於 い て確 立 され 定 型 化 さ れ た 「贅 沢 」 「幸 福 」 を不 特 定 多 数 の 人 々 に提 供 す るの が リゾ ー トホ テ ル で あ る。 一78一

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その5楽 園 の 条 件 リゾ ー トに は基 本 的 な条 件 が あ る。 暑 い こ とで あ る。 有 史 以 来,人 間 は幸 福 の 国す な わ ち楽 園 を夢 見,そ の 状 況 を文章 絵 画 で描 写 した 。 そ の 描 写 を 検 す る に,楽 園 の住 人 は常 に裸 で あ る。 ア ダ ム とイ ヴは そ の 好例 で あ る。 全 世 界 の 美術 館 を歴 訪 して も,わ れ わ れ は毛 皮 を着 て 焚 火 にあ た って い るア ダム とイ ヴ を発 見 す る こ と は出 来 な い 。 大 雑把 に云 え ば,ス キ ー場 と い う例 外 を除 き,楽 園 す な わ ち リゾ ー トは常 に南 にあ る。 楽 園 の 条件 は四 季 人 間 が裸 で い ら れ る気 候 風 土 で あ る 。 文 明 人 が裸 に な る た め に は水 を必要 とす る。 す な わ ち そ の水(プ ー ル,海)は 泳 ぐた め で は な い 。全 世界 に散 らば る リゾ ー トの 殆 どは この条 件 を満 た して い る 。具 体 的 に描 写 す るな らば,椰 子(地 中 海 は之 を欠 く)繁 る長 い 白砂 の浜 が あ り,四 季 を 通 じで 快晴 烈 日,夜 は涼 し くタキ シ ー ドを着 る こ とが 出来,望 み うべ くん ば水 平 線 に 陽が 沈 み(即 ち 西 向 き。 多 い 。)漆 黒 の 島 の シル エ ッ トが 望 め られ る立 地 に壮 麗andor瀟 洒 な リゾ ー ト ホ テ ルが 存 在 す れ ば楽 園 は完 成 す る。 上 記 は理想 像 で は な い。 全 世 界 に は上記 の条 件 を満 たす リ ゾ ー トホ テ ルが 無 数 に存 在 す る が故 に,こ の 条件 を満 た し得 ぬ リゾ ー ト(例 え ば 日本 国土 内 に計 画 さ れ て い る リゾ ー ト)の 競争 力 は弱 い 。 その6何 故 海 洋 性 リゾ ー トか ア ダ ム とイ ヴの 比 喩 に反 し,上 記 如 く,楽 園 と は基 本 的 に海 浜 にあ る。海 洋 性 リゾ ー ト と云 う 分 類 を行 う と,殆 どの リゾ ー トが 実 は海 洋 性 で あ る こ と を人 は発 見 す る 。恐 ら くア ダ ム と イ ヴの 創 作 者 は砂 漠 の 住 人 で あ った が故 に,緑 濃 き密 林 こそ彼 の 想 像 す る楽 園 で あ った の で あ ろ う。 既 述 の 通 り,海 洋性 リ ゾー トは ① リゾ ー トホ テ ル と ② マ リー ナ,ヨ ッ トハ ー バ ー とに2大 別 し得 る。 別 の発 想 を行 え ば,「 陸 上 施 設 」 と 「船 」 との2分 類 で あ る。 海 洋 性 リゾ ー トと云 って も,リ ゾ ー トホ テ ル は陸 上 の施 設 で あ る。 海 洋 「性 」 と称 す る所 以 で あ る 。海 に面 して はい るが舞 台 は 海 そ の もの で はな い 。 海 の よ ろ こ び を陸 か ら楽 し むの が 海 洋1生リゾ ー トで あ って,船 を動 か す 能 力 も船 に 強 い 必 要 もな い。 「陸上 の施 設 か ら海 を楽 しむ」 とい う観 点 に立 て ば,リ ゾ ー トホ テ ル, コ ン ドミニ アム,分 譲 別 荘,海 浜 の 別荘(一 個建 て 。豪 華 な ものが 少 な くない)は もち ろ ん,ゴ ル フ コー ス,テ ニ ス コ ー ト,砂 浜,海 岸 の プ ロム ナ ー ド,商 店 街,飲 食 施 設 … …等 々 の 陸上 施 設 こそ 海 洋 性 リゾ ー トの 実 体 で あ り,リ ゾ ー トに 限 らず,近 時 日本 に も徐 々 に導 入 され た ウ ォー ター フロ ン トも また,海 洋 性 レ ジ ャ ーそ の① 「陸上 か ら海 を楽 しむ施 設 」 に分類 し得 る。 繰 返 え す が,① の 分 類 に於 い て は,客 は海 へ 出 て 行 く必 要 はな く,せ いぜ い浜 に寝 転 ぶ か 水 につ か る程 度 で よ ろ し く,極 端 に 云 え ば 泳 げ る必 要 もな い 。 日本 人 の 日本 国 内 に 於 け る海 洋 レ ジ ャ ー の 99.99%は こ の 中 に入 る。 す な わ ち 日本 人 の 楽 しん で い るの は実 は 海洋 レジ ャーで はな く 厂海 浜」 レジ ャー で あ る 。 その7ヨ ッ トハ ーバ ー,マ リー ナ の意 味 す る もの 海 洋 性 レジ ャー の第2分 類 は ヨ ッ トハ ーバ ー,マ リー ナ,並 び にそ の 周辺 施 設 で あ る。 もと よ り之 等 は 陸 上施 設 で あ るが 利用 者 が海 へ 出 て行 くこ とを前 提 に して い る。 す な わ ち,よ り能動 的, よ り積 極 的 な海 洋 性 レ ジ ャ ー並 び に そ の た め の施 設 で あ る。

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そ の8Yachtの 定 義 思 う に,ヨ ッ ト と は,人 間 の 究 極 の レ ジ ャ ー で あ る 。 こ の 場 合 の ヨ ッ トと は 日 本 人 が 思 い 浮 か べ る 帆 か け 船,す な わ ち 帆 走 艇 で は な い 。Yachtと は 「個 人 の 所 有 す る,遊 び の た め の,豪 華 な 船 」 と 定 義 さ れ て い る(注4)。 す な わ ち,帆 走 艇 で あ る 必 要 は 全 く な い 。 事 実 多 くの ヨ ッ トは 帆 走 船 で は な く,PowerandMotoryacht誌1988年8月 号 所 載 「世 界 メ ガ ヨ ッ ト100隻 」 の 中 に 帆 を揚 げ 得 る船 は 殆 ど な い 。 英 王 室 御 用 船 ブ リ タ ニ ア,米 国 の 不 動 産 屋 トラ ン プ が 最 近 手 離 し た ト ラ ン プ ・プ リ セ ス,古 くは ギ リ シ ヤ の 海 運 王 オ ナ シ ス の ク リ ス チ ー ナ 等 が 欧 米 人 の 考 え る ヨ ッ トで あ る 。 こ の よ う な ヨ ッ トは 動 く ホ テ ル,と 云 わ れ ん よ り は 動 く別 荘,動 く邸 宅 で あ り,豪 華,贅 沢 な 邸 宅 の 持 つ す べ て の ア メ ニ テ ィ を 載 せ て 海 を 行 く。 そ こ は 隔 絶 し た 世 界 で あ り,完 全 な プ ラ イ バ シ ー が あ り,ヨ ッ トの オ ー ナ ー 同 志 の 社 交 界 が あ る 。 ほ ぼ100フ ィ ー ト を越 す こ の よ う な ヨ ッ ト を メ ガ ヨ ッ ト と通 称 し,全 世 界 に は141フ ィ ー トを 越 す メ ガ ヨ ッ トが100隻 あ る(前 掲Power andMotoryacht,1988)。 こ の よ う な ヨ ッ トは ま ぎ れ も な く人 間 究 極 の 贅 沢 と信 じ ら れ て い る が 故 に,日 本 を 除 く全 世 界 の 元 首,上 流 階 級,富 豪,有 名 人 達 は 押 し な べ て ヨ ッ トを 所 有 し,彼 ら の 社 交 界 を 形 成 して い る 。 地 中 海,カ リ ブ 紙 の マ リ ー ナ,ヨ ッ トハ ー バ ー に は,こ の よ う な"ヨ ッ ト"が 文 字 通 り舷 を 接 し て 舫 っ て い る 。 そ の8海 洋 性 レ ジ ャ ーの 大衆 化 か つ て の王 侯 貴 族,上 流 階級,富 豪 達 の生 活 様 式 を その ま ま映 した の が現 代 の グ ラ ン ドホ テ ル で あ り,リ ゾ ー トホ テ ルで あ り,彼 らの豪 邸 の生 活 様 式,社 交 界 を洋 上 に移 した の が メ ガ ヨ ッ ト で あ り,そ の ヨ ッ トとオ ー ナ ー 達 の 集 う と こ ろが ヨ ッ トク ラ ブ で あ りヨ ッ トハ ー バ ー で あ りマ リー ナ で あ る 。 第 一 次 大 戦 後,か つ て 上 流 階級 の 独 占物 で あ っ た こ れ らの グ ラ ン ドホ テ ル,リ ゾー トホ テ ル は徐 々 に一 般 市 民 大 衆 を市 場 とす る よ うに な り,レ オ ン ・ブル ムの 社 会 党 内 閣 の 画 期 的 な"バ カ ンス"政 策 が 決 定 的 な 転機 とな り,第2次 大 戦 後,民 主 主 義 国 ア メ リ カの 世 界 制 覇 が この傾 向 を決定 的 に した。 今 や 贅 沢 も楽 園 も大 衆 の もの で あ る。 か つ て の グ ラ ン ドホ テ ル を洋 上 に 移 した 豪 華 客 船 郡 ク イ ン ・メ リー,ノ ル マ ン ジ ー,ク イ ン ・エ リザ ベ ス,フ ラ ンス ソブレンオブザシ  … … の 客 は ま ぎれ もな い 上 流 階 級 で あ っ た。 最 近 進 水 した 世 界 最 大 の観 光 客 船 海 の 王 者 は 2690人 の"大 衆"を 乗 せ,カ リブ に 於 け る"豪 華"観 光 客 船 の 利 用 料 の 下 限 は1人1日150ド ル (3食 並 び に各種 ス ポ ー ッ施 設 観 光 ツ ア ー込 み 。 マ イ ア ミまで の航 空 賃 サ ー ビス とい う ツ ア ー有 り)を 切 っ た(TIME,JAN.,11,1988)。 今 や豪 華 巨 大観 光客 船 の 客 は 中 産 階 級,若 い カ ップ ル, 子 供 連 れ で あ る。 そ の9帆 走 艇 の 技 術 革 新 と 大 衆 化 日本 人 の 考 え る ヨ ッ ト,す な わ ち 三 角 の 白 帆 を 水 に 映 す 帆 走 艇(Sailngboot)と い え ど も,第 2次 大 戦 前 ま で は ど ち ら か と い え ば 上 流 階 級 の 遊 び で あ っ た 。 戦 後,FRP(GlassfiberRein-forcedPlastic)と ナ イ ロ ン の 帆 と ダ ク ロ ン の ロ ー プ が ヨ ッ トの 性 格 を 根 本 的 に 変 え て し ま っ た 。 (注4)"avesselofstate,usuallyemployedtoconvoyprinces,ambasadorsorothergreatpersonagesfromonekingdomto another".lateranyvesselpropelledbyeithersailorpowerusedforpleasure,oraprivatepleasurevessel.TheOxford CompaniontoShipsandTheSea,OxfordUniversityPress,1976. :1

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かつ て の木 の 船体,濡 れ た らなか なか 乾 わか ぬ 木 綿 の 帆 や ロ ー プ に とっ て代 った之 らの化 学 繊 維 は丈 夫 で 廉 価 で 扱 い易 く,FRPの 船 体 は殆 ど手 入 れ不 用 で あ る。 こ の よ うな技 術 革新 と量 産 効 果,並 び に第2次 大 戦 後 の米 国 を も って 象徴 され 先 導 され た レジ ャーの 大 衆化 の大 波 に乗 り,か つ て 上 流 階級 の シ ンボ ルで あ った ヨ ッ トは大 衆 の もの とな り,米 国 に於 い て は帆走 艇,モ ー ター ボ ー トを合 わせ た プ レジ カ ーボ ー トの 数 は優 に1千 万 隻 を越 え,ヨ ッ トボ ー ト人 口 は4千 万 人 と 云 わ れ,ヨ ッ ト先 進 国 で あ る欧 州 に於 い て もこ の傾 向 は米 国 に劣 らぬ と考 え られ てい る。 こ の よ うな ヨ ッ ト,ボ ー トの 集 る と ころ が ヨ ッ トハ ーバ ー,マ リ ーナ で あ り,欧 米 に於 い て は入 江 とい わ ず 河 口 とい わ ず,お よ そ ヨ ッ ト,ボ ー トの碇 泊 に適 す る水 面 に は ヨ ッ トの マ ス トが 林 立 し, ボ ー トの 白 い船 体 が 影 を映 して い る。 欧 米 共 に この よ う なマ リー ナ,ヨ ッ トハ ーバ ーの 造成 は近 年 とみ に盛 ん と な り,そ れ で も需 要 に追 いつ か ぬ 。 その10地 球 上 の 海洋 レジ ャ ー適 地 人 間 は上 述 の よ うな海 洋 性 レジ ャ ーの 舞 台,海 洋性 リゾ ー トの立 地 と して4乃 至5の 適 地 を持 つ0 1)地 中 海 2)カ リブ 海 3)南 太 平 洋 4)豪 州 海域 5)ハ ワ イ で あ る。 上 記 リゾ ー ト適 地夫 々 の特 徴 を検 す れ ば, 1)地 中海:古 い文 明 を持 つ 理 想 的 風 土 2)カ リブ海:超 大 国 ア メ リカ の裏 庭(ニ ュ ー ヨ ー クか ら2時 間半) 3)南 太 平 洋:文 明 か らの隔 絶 。 云 う なれ ば ゴ ーギ ャ ン を誘 っ た"最 後 の 楽 園"の 雰 囲気 一 事 実 で あ る。 4)豪 州:豪 快 な レジ ャー新 天 地 5)ハ ワ イ:文 明 と 自然 との 見 事 な 融 合 第2章 マ ジ ョル カ島 に於 け る実 地 調査 そ の1今 回 の調 査 の 手 法 に つ い て 地 中海 西 部 マ ジ ョル カ島 の ヨ ッ トハ ーバ ー に在 泊 す る ヨ ッ トの 上 で 生 活 し,地 中海 の 天候 気 象 風 土 の特 性 を調 べ,併 せ て 当 該 ヨ ッ トハ ーバ ー に於 け る ヨ ー ロ ッパ 人 の休 暇 の過 ご し方 を観 察 , 日本 の風 土 並 び に 日本 本 土 に於 け る 日本 人 の休 暇 の過 ご し方 と比較 し,日 本並 びに 日本人の レジ ャー の特 性 を考 察 した 。 その2現 地 の 概 況 i)調 査 地 の 所 在 クルブ ナ ウ チ コ エル アレナ ル 今 回 の 調 査 地,西 地 中 海 マ ジ ョ ル カ 島(ス ペ イ ン領)に あ るCNA(ClubNauticoElArenal) は,マ ジ ョル カ 島 の 首 都 パ ル マ の 東 方12キ ロ に あ る収 容 力700隻 の ヨ ッ トハ ー バ ー で あ る 。 ii)マ ジ ョル カ(又 は マ ヨ ル カ)に つ い て

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マ ジ ョル カ 島 は ス ペ イ ン 本 土 の 東 方 の 地 中 海 上 東 経1度 か ら4度,北 緯38度 か ら40度 に か け て 点 在 す る バ レ ア レ ス(Baleares)群 島 最 大 の 島(3660km2,東 西100キ ロ,南 北75キ ロ)で,古 く よ り西 地 中 海 観 光 の 中 心 地 の 一 つ で あ り,ジ ョル ジ ュ ・サ ン ド と シ ョパ ンの 恋 の 逃 避 行(1838∼ 39年)で 知 ら れ る 。 人 口 は,ベ デ カ ーBeadeker(の 案 内 書,最 新 版,年 度 記 載 な し)に よ れ ば 42万,ミ シ ュ ラ ンMichelinに よ れ ば561,215人,地 許 の 案 内 書EDITORIALESCUDOdeORO,S. A.に よ れ ば60万 。 夏 期 の 気 温20∼29℃,海 水 表 面 温 度24℃,日 照 時 間11時 間 。 iii)マ ジ ョル カ 島 の ア クセ ス 観 光 の最 盛 期,マ ジ ョル カの 首 都 パ ル マ の 国際 空 港AeroportdeSonSantJoanの 発 着 便 数 はパ リの オ リオ ー ル空 港 を凌 ぐと誇 称 され て きた。 こ れ は必 ず しも誇称 で は な く,筆 者 が 滞 在 中 も夜 半 甲板 に 出 る度 に,遥 か に遠 望 しう る空港 上 空 に頻 繁 に発 着 す る航 空機 の姿 が 認 め られ た。 パ ル マ 市 の観 光 局 の担 当者 の説 明 で は,最 盛 期 に は 「2分 に1機 」 の 割 合 で発 着 し,そ の発 着 は,前 記 の 如 く,夜 半,早 朝 に及 ぶ 。 尚 担 当 者 の説 明 に よ れ ば,空 港 の 滑 走路 には余 裕 が あ り,空 港 の 規 模 が マ ジ ョル カ の観 光 の ボ トル ネ ック と して 問題 に な っ た こ と は無 い と云 う。筆 者 と同行 した 航 空 の 専 門 家 の観 察 に よれ ば,発 着 して い る航 空 機 の機 種 は多 様 で あ り,同 じバ レア レス群 島 の イ ビサ(lbiza)メ ノル カ(Menorca)と の 間 を結 ぶ と思 わ れ る 中型 ・小 型 機 も多 数 認 め られ,そ の 中 に は多 くの 私 有機 も含 まれ る と想 像 され た 。 す な わ ち,国 際 線 用 の 大 型 ジ ェ ッ ト旅 客 機 の発 一82一

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着 便 数 を集 計 した よ り も遥 か に多 数 の航 空機 が 同空 港 を使 用 してい る もの と思 わ れ る。 多 くの島 嶼 観 光 地 にあ って は,往 々 に して 飛行 場 の航 空 機 処 理 能 力 が 入 込 客 の 上 限 を規 定 す るが ,マ ジ ョ ル カの 観 光 局 は そ の心 配 を して い な い。 同空 港 はマ ジ ョル カの2本 の 脊 梁 山脈 の 問 に拡 が る平 地 にあ り,滑 走 路 の延 長 線 はパ ル マ ー ア レナ ー ル 問 の長 大 な 白砂 の 浜 を横 切 り,当 然,ホ テ ル等 観 光 施 設 の 密集 地 上 空 を よ ぎ る。空 港 の近 傍 は農 耕 地 で 農 家 が 点 在 して い るが,日 本 で 云 う と ころ の 騒 音 問題 は この 島 に は存 在 し ない 。 航 空 路 に 加 えて マ ジ ョル カ 島パ ル マ港 は 頻 繁 な大 型 フ ェ リー 路線 に よ っ て スペ イ ン本土 並 び に地 中海 沿 岸 主 要 海 港 と結 ば れ,マ ジ ョル カ島 内 に は欧 州 本 土 ナ ンバ ー の車 を よ く見 か け る。 iii)マ ジ ョル カの 観 光立 地 マ ジ ョル カ 島パ ル マ空 港 は,欧 州 中の 主 要 都 市 か ら2時 間乃 至2時 間 半 の 直航 便 で 結 ばれ て い る 。 一般 に,観 光 地 の集 客 力 は,戦 場 に於 け る補給 力 に喩 え られ る。 前 線 に展 開 され た部 隊 へ の 補 給 力 は,補 給 基 地 か ら前 線 へ の距 離 のn乗 に 逆 比例 して減 衰 す る。 す な わ ち,距 離 が延 び る

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につ れ て幾 何 級 数 的 に,つ ま りは急 激 に減 衰 す る。 この 比 喩 は観 光 産業 人 に と って 直 感 的 に正 し く,骨 身 に 滲 み て確 認 され て い る 。 日本 の代 表 的 温 泉 地 熱 海 が 凡 百 の 欠点 を持 ち なが ら観 光 地 と して あ る レベ ル の 他 観 光 地 に比 す る な らば抜 群 の 集 客 力 を維持 して来 られ た の は,東 京 とい う大補 給基 地 を間近 に控 えた 抜 群 の立 地 に よ る。 欧 州 主 要 都 市 とパ ル マ空 港 との時 間距 離2 時 間 乃 至2時 間半 とは,実 に,東 京 ・油壺(東 京 地 区 の代 表 的 ヨ ッ ト泊 地)問 の 時 間距 離 よ り も 往 々 に して 短 い 。 ア レナ ー ル と空 港 の 間 は タク シ ー で15分 で あ る。 欧 州 人 は僅 々3時 間 で冬 の 暗 雲 下 の 故郷 の町 か ら常 春 のマ ジ ョル カへ,そ の マ ジ ョル カ 島 の ア レナ ール 港 に在 泊 す る 自分 の ヨ ッ トの船 側 に到 着 し得 る。 こ の事 実 は,欧 州 大 陸全 体 が 一つ の理 想 的 な レ ジ ャ ー適 地 で あ る こ と を示 す 。 ち な み に,バ ハ マ の 中心 ナ ッソ ウへ の ニ ュー ヨー クか らの直 航 便 の 所 要 時 間 は2時 間 半 で あ る。 ニ ュー ヨ ー ク人士 も また,僅 々3時 間 で 吹 雪 の ニ ュー ヨー ク か ら常 夏 のバ ハ マ に到 達 し 得 る 。共 に 国 際線 す な わち 異 国 で あ り,異 国 情 緒 と低 物 価 と低 賃銀 労働 者 のサ ー ビ ス を期 待 し得 る。 日本 に 於 い て こ の条 件 を備 え る対 象 地 は沖 縄 とグ ァム と考 え られ る が,観 光 地 と して の人 工 並 び に 自然 の魅 力 は,バ ハ マ,地 中 海 に比 して少 なか らざ る遜 色 の あ る こ とは識 者 の よ く知 る と こ ろで あ る 。 その3エ ル ・ア レナ ール の 概 況 マ ジ ョル カ 島の 首都 パ ル マ の東 南 東 に は十 数 キ ロ に恆 つ て 白砂 の浜 が パ ルマ 湾 に面 して 拡 が り, 点 々 と して 海 浜 観 光 地並 び に マ リー ナが 連 ら な り,そ の西 端 に ア レナ ー ル市 が あ る。 ア レナ ー ル は海 に面 した約5キ ロの観 光 地 で,海 岸 に は海 側 の 車 道 に面 して 中層,稀 に高 層 の ホ テル が 立 ち 並 び,下 層 階 は店 舗 で あ って,土 産店,ブ チ ック,レ ス トラ ン,バ ー,ス ーパ ー,銀 行,両 替 屋 が軒 を連 ね,地 下 一 階 はバ ー,又 は デ ィス コが 占 め,建 物 の 前 面 に は歩 道 と2車 線 の車 道,加 え る に椰 子 の並 木 を 隔て て砂 浜 が 拡 が り,砂 浜 の奥 行 きは100メ ー トル に及 ぶ 。 i)大 衆 観 光 地 ア レナ ー ル ア レナ ー ル は典 型 的 な大 衆 指 向 の 巨 大 海 浜 リゾ ー トで あ る。 い うなれ ばマ ジ ョル カ及至 地 中 海 の熱 海 で あ る。街 頭又 は砂 浜 に群 れて い る人 々 の 殆 どすべ て は 一般 庶 民 大 衆 で あ り,耳 にす る言 葉 を順 に記 せ ば,ス ペ イ ン,ド イ ッ,イ タ リ ア,稀 に フ ラ ンス 語,そ の他 で あ り,重 ね て,稀 に 黒 人,黄 色 人種(恐 ら く中 国,韓 国)を 見 か け,日 本 人 は皆 無 。 国 際 的観 光 地 の常 と して,然 る べ き店,レ ス トラ ンで は英 語 が 通用 し,そ の よ う な店 の 上 級 従 業 員 及至 支 配 人級 の人 物 は英 語 の 他 に ドイ ツ 語,フ ラ ン ス語,ス ペ イ ン語 が堪 能 で あ る場 合 も少 な くない が,ア レナ ー ル に あ っ て はそ の よ うな 店 は 店 の多 さ に もか か わ らず 稀 で あ る。 ア レナ ール の 西 寄 り,す な わ ち パ ルマ 寄 りに は,百 室 を超 え る大 ホテ ル が 立 ち並 ん で い るが,ミ シ ュ ラ ンの ガ イ ドブ ックに よ って 星 の 評 価 を受 けて い る 店 は一 軒 しか ない 。 す なわ ち,典 型 的大 衆 観 光 地 と規 定 す る所 以 で あ る。 ii)熱 海 との対 比 大 衆 観 光 地 と して の ア レナ ー ル の熱 海 との比 較 を な お列 記 す れ ば,第 一 に ホ テ ル,コ ン ドミニ アム等 高 層 建 築 物 の趣 味 の 悪 さが挙 げ られ る。 積 極 的 に 「悪 い 」 と規 定 す る こ と は酷 で あ る と し て も とは 思 わ ぬが 消 極 的 に秀 れ た デザ イ ンの建 築 物 は皆 無 に近 い 。 近 い,と 保 留 す るの は,前 記 ミ シ ュ ラ ンの星 印 を持 つ 一 軒 が 辛 う じて識 者 の評 価 に耐 え るか らで あ る。 た しか に ミシ ュ ラ ンの評 価 は信 頼 で きる。 土 産 店 が 雑 然 と して,必 ず し も 「土 産 」 の商 品 を置 い て い ない の も .,

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熱 海 的 で あ る 。熱 海 を特 に対 象 と して 論 ず る理 由 は,筆 者 が熱 海 後 楽 園 ホ テ ル在 職15年 の経 験 を 有 す るか らで あ っ て熱 海 に対 して他 意 は無 く,そ の15年 間 に歴 訪 した 日本全 国 の観 光 地 の視 察 旅 行 の 結 論 で は,熱 海 は 日本 の 観 光 地 の典 型 で は あ っ て も例 外 で は ない 。 ア レナ ー ル の描 写 に戻 れ ば,レ ス トラ ン,ブ チ ック等 の 水準 も中 以下 で あ っ て,雑 然 として喧騒なオープ ンエ アの レス ト ラ ン兼 ス ナ ック兼 バ ーが 延 々 と並 ん で客 を集 め て い る。 恐 ら くア レナ ー ル と熱 海 との全 くの違 い は,そ の規 模 と集 客 力 で あ ろ う。熱 海 は20年 来 退 潮(少 な く も頭 打 ち)を 伝 え られ る の に反 し, ア レナ ー ル は殷 賑 を極 め て い る。熱 海 は戦 後,日 本 中の 海 浜 観 光 地 と同 じ悲 運 に見 舞 わ れ,或 い は 自 ら悲 運 を選 んだ 。 す な わ ち,海 浜 に 自動 車 道 路 を作 る こ と に よ って砂 浜 を失 った 。 近 年 そ の 過失 の致 命 的 な る に驚 い て 人工 浜 を造 成 して お 茶 を濁 して い る。 これ に引 きか え,ア レナ ール の 前 面 に は 自動 車 道 路 の 海 側 に な お 奥 行 き時 に100メ ー トル を越 す花 粉 の よ う に細 か い 白 しゆ う 砂 の 浜 が地 平 線 まて続 き,棕 櫚 の葉 で 編 んだ ビ ーチ パ ラ ソル(公 設)が 林 立 して い る。 マ ジ ョル カ は 島で あ る。 島 とは 日本 人 の先 入 観 で は小 さい もの の 筈 で あ る の に,そ の島 に日本 本土の何処 の観 光 地 を探 して も見 当 た らぬ よ う な長 大 な 白砂 の 浜 が存 在 し,全 欧州 の客 を集めてい る。 この 光 景 は,① 観 光地 の第 一 条 件 は長 大 な 白砂 の 浜 の存 在 で あ り,② 日本 の 国 土 は観 光地 の立 地 条 件 を満 たす ため には狭 少 に して人 口過 密 過 ぎ る,と い うか くれ もな い事 実 を識者 に想 起 させ る 。 iii)団 体 客 の消 費 傾 向 ア レナ ール 地 区 の観 光 客 の 多 くの 部 分 は団 体 客 で あ る。 彼 ら(They,す な わ ち彼 女 らを含 む , 以 下 同様)は 母 国 か らチ ャ ー ター機 で飛 来 し,大 型 バ ス に よ っ て ホ テル に運 ば れ,往 々 に して 分 宿 す る。彼 らは老 若 の 家 族,老 夫婦,中 年 の夫 婦 で あ り,子 供 連 れ も多 い 。 そ の他 にバ イ ク を連 ね 町 中 を疾 走 す る地 元(と 思 わ れ る)の 若 者(男 女)達 も街 の 喧 騒 に色 ど りを加 え る。 再 び地 元 の観 光 局 の証 言 に よれ ば,観 光客 と して は スペ イ ン人 す な わ ら 自国 民 が歓 迎 され る。 何 故 な らば, き パ ック旅 行 の 団体 外 国 人 は パ ック に含 ま れ た以 外 の 支 出 を忌 避 す る傾 向が あ る。すなわち,パ ッ ク旅 行 の代 金 以 外 地 元 に金 を 落 と さな い 。 土 産 も買 わ ず,外 食 もせ ず,浜 で 寝 て い る(無 償)。 こ の傾 向 は イ ギ リス 人 の 団体 に於 い て最 も顕 著 で あ る とい う噂 もあ る。 一 方 ス ペ イ ン人 の客 は 家 族 で 訪 れ,滞 在 し,外 食 し,滞 在 型 簡 易 ホテ ル で 自炊 し,従 って ス ーパ ーで 材 料 を購 入 す る 。再 び観 光 局 の 説 明 に よれ ば,か つ てマ ジ ョル カ観 光 客 の 主体 は 「大衆 型 とい え ど も」 イ ギ リス 人 で あ っ た。 近 年 イギ リス 人 が退 潮 を示 し,そ の 空 隙 を埋 め て い る の は ドイ ッ人 で は な く 自 国 民 で あ る と,然 して,叙 上 の如 く外 国 客 の 頭打 ち 乃至 減 衰 を 自国民 が 埋 め,そ の上 入込 客 数 の 増 加 率 に比 して 観 光収 入 の増 加 率 が 高 い の は,自 国 民 す な わ ち スペ イ ン人 観 光 客 の方 が一 人 当 り の 支 出 が 多 い か らで あ る。 こ の事 実 の 背 後 に は,ス ペ イ ンの経 済 力 の充 実 が あ る 。後 に詳 述 す る 如 く,CNAの ヨ ッ トの 保 有 者 の過 半 は スペ イ ン人 で あ り,マ ジ ョル カ に於 け る ヨ ッ ト保 有 隻 数 の 近 年 の 増 加 率 は 毎年10%に 達 し,そ の 主体 はス ペ イ ン人 で あ る。 スペ イ ンの経 済力 の充 実 を端 的 に示 す 指 標 はペ セ タの堅 調 で あ って,こ の1年 で ペ セ タの対 日(円)価 格 は1.3円 か ら1.5円 へ と上 昇 して い る。 iv)入 込 客 の 人種 構 成 ア レナ ー ル の盛 夏 の市 街,海 浜 は人種 の坩 堝 で あ る。 多 くの 店 々 が ドイ ツ語(目 立 って 多 い), イ タ リア語,フ ラ ンス語,英 語,… … の店 名 を揚 げ て各 々 の国 民 の 呼 び 込 み を計 り,一 方,他 国 民 に 対 して は異 国 情 緒 で ア ピー ル す る。 日本 名 を冠 した店,日 本 食 を供 す る店 は無 い。SAYO一

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NARAと 云 うブ チ ックが 一 軒 あ り,同 じ名 の店 をパ ル マ で も見 か け たが 店 名 と商 品 との 間 に関 係 はな く,「 さ よな ら」 とい う店 名 に関 心(好 意 又 は反 発)を 示 す 客 も居 な い 。 あ るブ チ ックで はKAMIKAZEと い う銘 柄 の シ ャ ッ,ジ ーパ ンが 販 売 され,こ れ は 日本 製 で あ った が,他 の 多 く の 輸 入 品(例 え ば イ ン ド,イ タ リ ー他)の 間 に あ って 目立 た ない 。8月2日 に 中東 紛 争 が 勃 発 し た 後 も,街 に も ヨ ッ トハ ーバ ー に も ク ラブハ ウ ス(多 国 籍 の ヨ ッ ト乗 りが集 まる)の 雰 囲 気 に も さ ざ波 程 の 変化 も認 め られ なか った 。多 国籍 の大 衆 の集 ま る観 光 地 は 多 国籍 の人 々が 肘 を触 れ合 って 街 を歩 き,食 堂 に坐 り,浜 に寝 そべ り,ガ ラ ス ボ トム ・ボ ー トに乗 り合 うの が常 態 で あ っ て, 隣 に異 人種 が い る こ とに誰 も関 心 を持 た ず,話 も しな いか ら言 葉 の 問 題 は起 こ らな い 。 あ る レベ ル以 上 の 人 々並 び に店 で の共 通 語 は英 語 で あ っ て,イ ンテ リは国 籍 に抱 らず 英語 を話 す が 大 衆 は 話 さ ない 。 v)団 体 客 の行 動 様 式 彼 らの 多 くは団体 用 チ ャー タ ー機 で ア レナ ー ル に到 着 し,分 宿 し,ホ テ ル の ベ ラ ン ダの椅 子 に 腰 か けて 海 を眺 め,海 の見 え ぬ部 屋(多 い)の 場 合 は下 の通 りの"観 光 客"を 眺 め,長 い 海岸 通 りを往 復 し,少 々 買物 を し,潮 風 の吹 き抜 け る す な わ ち冷 房 の 無 い レス トラ ンに 坐 って 海 を眺 め,或 い は舗 道 上 の ビー チパ ラ ソル の 下 の カ フ ェテ ラス に腰 を据 えて 道 行 く人 を眺 め,仲 間,家 族,恋 人 と談 笑 し,或 い は黙 って 肩 を抱 き合 い,海 で終 日甲羅 を干 し,若 者 達 はパ ラセ ー リ ングや 貸 しボ ー ドセ ー リ ンク に興 じ,夜8時 過 ぎ,涼 し くな って か ら再 び街 に繰 り出 し,バ ー で ビール を干 し,地 下 の デ ィス コ で夜 更 け まで 踊 り,地 下 のバ ー に しけ込 み,浜 に面 した レス ト ラ ン兼 ダ ン ス ホ ール の 生 バ ン ドの演 奏 に合 わせ て ラ ン ダバ を踊 り,暗 い浜 を恋 人 同志,又 は中 年 又 は老 夫 婦 同志 で 手 をつ な い で歩 き,抱 擁 し接 吻 し,海 に映 る月 を眺 め,ホ テル 又 は コ ン ド ミニ アム に帰 っ て眠 り,翌 日 も同 じ こ と を繰 り返 す 。 上 記 が 欧 州 の 大衆 の典 型 的 な夏 のバ カ ンスの 過 ご し方 で あ っ て,こ れ 以 上 に特 に 人 を驚 か し人 を喜 ばせ る よ うな趣 向 が あ る訳 で は な い。 vi)観 光 地 ア レナ ー ルの 性 格 と問 題 点 1)長 大 な海 と膨 大 な施 設 を有 す る巨 大観 光 地 で あ る。 2)徹 底 的 に大 衆 向 け観 光 地 で あ る。 3)施 設 を列 挙 す れ ば,相 当 数 の 大 型 ホ テ ル,無 数 の 中,小 ホ テ ル,長 期 滞在 型(高 級 な ら ざ る)ホ テ ル,ペ ン シ ョ ン,コ ン ドミニ ア ム,各 種 レス トラ ン(高 級 ナ シ,中 級 少 数),ス ナ ック,簡 易 な飲 食 売 店,土 産 売 店(目 ぼ しい 土 着 工 芸 品 ナ シ),ブ チ ッ ク(目 ぼ しい 商 品 を飾 る店 は稀),バ ー,デ ィ ス コ,日 用 品雑 貨 生鮮 食料 ・飲 料(需 要 旺 盛,含 む 酒)並 び に ア イス ク リー ム等 を扱 う"ス ーパ ー マ ー ケ ッ ト",砂 浜 の 固 定 パ ラ ソル(無 償),パ ラ セ ー ル,貸 ボ ー ドセ ー リ ン グ,貸 水 上 自転 車(2人 併 坐 式),観 光 船(短 時 間 又 は半 日, 1日 ク ル ー ズ は飲 食 付)。 一 方,公 営 プ ー ル無 し,カ ジ ノ無 し,映 画 館 見 か けず,美 術 館 無 し,音 楽 会(場)無 し。 4)問 題 点:意 途 的 で あ った か否 か に係 わ らず,徹 底 的 に大 衆 路線 を追及 した結 果, a)現 在 は盛 況 で あ り,入 込 客 の減 衰 傾 向 も認 め られ ぬ とい うが, b)恐 ら くそ の理 由 の大 き な部 分 は低 料 金 に あ る もの と考 え られ る。 ス ペ イ ンは今 で も,他 の観 光 地 例 え ば フ ラ ンス,イ タ リー に比 して安 く遊 べ る観 光 地 と して 知 られ,ア レナ ー ル は そ の大 衆 の期 待 に応 えて い る もの と考 え られ る。 :・

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c)そ の 結 果,ア レナ ー ル は観 光 地 と して 陳腐 化 し,老 朽 化 し,恐 ら くは 大衆 よ り上 の ク ラ ス の 客 並 び に あ る程 度 の経 済 力 の あ る若 者 に と って魅 力 の あ る場 所 で は 無 くな る危 険 が あ る。 d)ア レナ ー ル の 将 来 。 ア レナ ール の取 り柄 は地 域 の広 大 さ と施 設(例 え ば ホ テ ル等)の 膨 大 さで あ り,西 部 地 区 の ホ テル,コ ン ドミニ ア ム密 集 地 帯 の 夜 の盛 況 は 瞠 目に価 す る 。1 区 画 に恆 る よ うな ガ ー デ ン ・レス トラ ンに色 と り ど りの豆 電 灯 が 点 滅 し,客 席 の上 に は大 樹 が 枝 を拡 げ,音 楽 が奏 で られ,満 席 の客 が杯 をあ げて い る光 景 は 宛然 ドイ ツ 映画 の 一場 面 を彷 沸 と させ る 。恐 ら くこの あ た りが ア レナ ー ル の眞 骨 頂 で あ り,大 衆観 光 地 ア レナ ー ル の 生 き残 る 道 で あ ろ う。 何 故 な らば,ア レナ ー ル は高 級 観 光 地 た るべ く,余 りに も大衆 的 に 開 発 され過 ぎ,尚 且 つ,高 級 観 光 地 た るべ き 自然 条 件 に乏 しい か らで あ る 。 す な わ ち, 余 りに も広 大 な,平 盤 な土 地 が と りとめ な く開 け て い るか らで あ る。 熱 海 を も って代 表 さ れ る 猫 の ひた い の よ うな 日本 の 観 光 地 の 業者 が 聞 け ば羨 望 に耐 えぬ 「特 徴 」 で は あ ろ うが 。 vii)パ ル マ(以 東 地 区)と ア レナ ール との棲 み分 け 歴 史 的 に見 れ ば,地 中 海 沿岸 の観 光 地 の 殆 どが そ うで あ った如 く,マ ジ ョル カ は高級 観 光 地 で あ っ た し,マ ジ ョル カ 島 を含 むバ レア レス群 島(マ ジ ョル カ,ミ ノ ル カ,イ ビス)を 大観 す れ ば 今 で もそ うで あ る。 まず 最初 に イ ギ リス人 が 観 光 地 と して の コ ー ト ・ダズ ール の す ば ら し さ を発 見,爾 来 欧 州 の 上 流 ・富裕 階級 は陰 鬱 な北 欧 並 び に イギ リス の冬 を逃 れ,地 中海 沿 岸 に冬 を過 ご す フ ァ ッシ ョ ンが 定 着 した 。 第2次 大 戦 後,開 放 さた 欧 州 の大 衆 が 夏 の バ カ ンス に大 南 下 を開 始 した。 マ ジ ョル カ もまた か つ て は欧 州 の 上 流 階 級 の 冬 の社 交場 と考 え られ,現 在 も,夏 冬 を通 じ, 欧州 の王 侯,上 流 ・富 裕 階級,有 名 人 が この 島 に別荘 を構 え,休 暇 を過 ご し,パ ルマ 並 び にそ の 近 傍 に は彼 らを対 象 に した 高級 ホ テ ル,レ ス トラ ン,店 舗 が少 な か らず 存 在 す る。 例 えば,ホ テ ル ・フ ォル メ ン トー ルHOTELFORMENTOR,ソ ン ビ ダ ・シ ェ ラ トンSonVidaSheraton等 は 欧 州屈 指 の 高 級 リゾ ー トホ テ ル の 中 に数 え られ,パ ル マ 港 に は周 年,世 界 に名 だ た る メ ガ ・ヨ ッ ト が舷 を接 して舫 って い る。 パ ル マ北 西 方 に拡 が る高 級 リゾ ー トと,東 方 に拡 が る ア レナ ール と は, 巧 まず して バ ラ ンス の とれ た観 光 客 層 の分 け取 りを行 って い るの か も知 れ な い。 そ の4CNA(ClubNauticoEIAreral) i)そ の 沿 革 今 を去 る10年 の 昔,古 くか らあ っ たCNAを 大拡 張 し,老 朽 化 した ク ラブ ハ ウス を瀟 洒 な近 代 建 築 に建 て 直 す 計 画 が立 て られ た 時(1982年,ボ ア ン ・カ ル ロ ス 国王 臨御 の も とに 開場),2つ の 目的が 掲 げ られ た。 そ の2つ は2に して1で あ っ た。 a)観 光 地 ア レナ ール の 大 衆指 向,陳 腐 化 か らの脱 皮 。 b)外 貨 の獲 得 。 す な わ ち拡 張 され た ヨ ッ トハ ーバ ーへ の外 国 ヨ ッ トの誘 致 。 ヨ ッ トの 誘 致 に は2種 類 あ り,そ の1は 泊 地 の売 却,す な わち ヨ ッ トク ラブ の会 員 権 の売 却 。 そ の2は 外 国船 の 停 泊 に伴 う泊 地料 収 入 。 拙 艇 の場 合 は後 者 に当 た る。会 員 とは な らず,月 々定 額 を払 って 船 を係 留 す る。 殆 どの外 国艇 が こ の方 式 を とっ てい る。 この 理 由 も2つ あ り,① 移 動 の 自由(他 の泊 地 に 移 る)を 確 保 して お きた い こ と と ② 短 期 的 に 見 れ ば泊 地 料 を払 う方 が 安 い か らで あ る。 な お,CNAの 位 置 は東 経2度47分7秒,す な わ ち グ リニ ッチ標 準 時 帯 。 北 緯39度 30分,日 本 の略 盛 岡。 首 都 パ ル マ の東 南 東12キ ロ。 空 港 よ り6キ ロ。 ..

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ii)会 員 構 成 結 果 と してCNAの 思 惑 は外 れ た。 スペ イ ンの経 済 見 通 しの 思 惑 が 好 い 方 に 外 れ た と 云 うべ きか。 当初 の 計 画 で は,泊 地 の70%を 外 国の ヨ ッ トが 占め る筈 で あ った。 す な わ ち,会 員 権 の70%が 外 国人 に よ って購 入 され,残 りを 自 国民 が 使 う予 定 で あ った 。結 果 は逆 に な っ た。 大 雑 把 に云 って,CNAの 会 員 の70%が ス ペ イ ン人 で あ り,彼 ら は 当然,会 員 権 を買 い メ ンバ ー と な り,CNAハ ー バ ー と ク ラ ブ ハ ウ ス の 定 常 的 な 利 用 者 とな っ た 。彼 ら の 多 くは ア レ ナ ール 近傍 又 はマ ジ ョル カ に住 み,又 は別 荘 を所 有 し,ハ ーバ ー に通 って 来 る。つ ま り船 に泊 ま ら ない 。 泊 まる こ とはあ って も住 ん で は い な い 。 こ の こ とは,ハ ーバ ーの 汚 水処 理,水 と電 気 の 消 費 に と って 明 らか に プ ラス で あ る 。残 りの30%が 外 国艇 で あ り,比 較 的 大 型 の豪 艇 が 多 く,殆 ど停 った ま まで あ る。 つ ま りオ ー ナ ー は 時 た まや っ て来 て海 に 出,航 海 し,残 りの期 間 は船 を停 日 ・西 ヨ ッ トク ラ ブ在 泊 艇 比 較 表 (1)艇 種 による分類 CNA % SYC % 総 隻 数(注) 272 100 376 100 モ ー タ ー ボ ー ト 88 32.4 136 36.2 帆 走 艇 184 67.6 240 63.8 ス ル ー プ 145 53.3 236 62.8 ケ ッチ 39 14.3 4 1.0 注1)CNAの 場 合,こ の他 に① 不 在 艇49隻,② 旧 港 内 に 別 に約300隻 が 碇 泊,③ その 他 に陸 上 で 保 修 中 の 艇 が50隻 近 くあ り(大 艇 が 多 く,過 半 が ケ ッチ),計700隻 の収 容 力 とな る。 2)SYCの 場 合 は上 記 数 字 が 全 部 。 3)不 在 艇,陸 上 艇 を加 えて も,上 記 の%に 大 きな 変動 は な い もの と思 われ る。 (2)陸 置 き艇 と水面係留艇の比率 CNA % SYC % 総 隻 数 goo 100 376 100 陸 置 艇 一 0 311 82.7 水 面 係 留 艇 goo 100 65 17.3 注)CNAの 場 合,陸 上 に あ る艇 は,保 守,修 理,又 は放 棄 され た艇 で あ っ て,陸 置 き を常 態 とす る艇 は い な い。

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め っぱ な しに して係 船 料 を払 う。7∼8月 の最 盛 期,多 くの外 国 艇 には 夫 々 の 国旗 が 翻 り,人 が 住 み,思 い 出 した よ うに航 海 に 出て 行 く。 ドイ ツ旗 が 多 く,後 述 の 理 由 に よ りイ ギ リス旗 が之 に 比 肩 し,稀 に フ ラ ンス,オ ラ ンダ,ス カ ンジ ナ ビア,イ タ リアの 国 旗 を見 る 。 ドイ ツ艇 の多 くが 青 地 に 白い 星 を円 形 にあ し らったEC旗 を掲 げ て い る。 星 条 旗 を見 た の は 唯一 隻,日 の丸 を揚 げ た 船 も拙 艇 一隻 で,恐 ら くこの 夏,た また まの来 航 で は な く,地 中 海 に 泊 地 を待 っ て 日の丸 を掲 揚 して い る ヨ ッ トは地 中海 中 に拙 艇 唯 一隻 しか い なか っ たの で はな い か と忖 度 さ れ る。 iii)日 ・西 ヨ ッ トク ラ ブ の 比 較 CNAの 規 模,施 設 の 配 置 は 別 図 の 通 りで あ る(p .87)。 わ が 国 の 代 表 的 ヨ ッ トハ ー バ ー で あ り, 最 高 級 す な わ ち 最 高 値 の ヨ ッ ト ク ラ ブ と 目 さ れ るSYC(シ ー ボ ニ ア ・ヨ ッ ト ク ラ ブ) の 配 置 図 は 別 添 の 通 りで あ る(p.91)。 両 ク ラ ブ の 在 籍 ヨ ッ ト数 並 び の そ の 内 訳 は 別 表 の 通 りで あ る(p.89)。 両 者 を 比 較 し て 忽 ち 注 目 さ れ る の は,SYCの 泊 地 の 狹 少 で あ る 。SYCの 在 隻 数 370隻 の う ち,水 面 に 浮 ん で い る 艇 の 数 は62隻 に 過 ぎ な い 。 す な わ ち ,メ ンバ ー の 持 船 の 実 に6 分 の5が 陸 上 の 船 台 上 に 置 か れ て い る 。 こ の 異 常 な 数 値 は,わ が 国 の ヨ ッ ト界 ,ひ い て は 海 洋 性 レ ジ ャ ー 全 般 の 抱 え て い る 問 題 点 を 端 的 に 浮 き彫 り に し て い る 一90一

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iv)わ が 国 ヨ ッ ト界 の抱 え る 問題 点 ・ わ が 国 の ヨ ッ トの 普 及 を妨 げ て い る要 因 は十 指 に余 るが,そ の 一斑 を列 挙 す れ ば, a)日 本 国沿 岸 の 地 形 上,港 湾 適 地 が 絶 対 的 に不 足 して い る。 b)僅 小 の適 地 の 殆 どが 漁港(と 商 港)と して 占有 され て い る。 c)埋 立 て等 に よ る港 湾 造成 可 能適 地 も殆 どが 商 港 と して 開 発 し盡 くされ,今'後 大 巾 な供 給 の 見 込 み が立 た ない 。 d)世 界 に例 を見 ぬ 漁 業 権 の存 在 。 そ の補 償 費 の負 担 。 e)世 界 に例 を見 ぬ ヨ ッ トに対 す る操 縦 免 許制 の施 行 。 f)世 界 に例 を見 ぬ ヨ ッ トに対 す る船 検 の施 行(例 え ば備 品 は 国産 品 で な い とパ ス しな い)。 g)台 風 の 存在(地 中海 に は無 い)。 台 風 の 直 撃 を受 け て 安 全 な 港 湾 は存 在 しない 。 ちな み に,

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カ リ ブ海 の ハ リケ ー ンは頻 度 が 少 い 。 h)日 本 近海 の海 況 の厳 し さ。 台 風 を考 慮 外 と して も,日 本 近 海 に は一 日平 均2つ の 嵐 が存 在 す る とい わ れ,世 界 の ヨ ッ ト乗 りが あ ま り近 寄 りた が らぬ 海 域 と され て い る 。 i)泊 地 不足 上 記 数 々 の 阻止 要 因 の うち,わ が 国 に於 け る ヨ ッ トの普 及 を妨 げ る最 大 の 要 因 は 泊 地 の不 足 で あ る。 ヨ ッ ト自体 の価 格 は,既 に述 べ た新 素 材 の導 入,量 産 効 果,セ コハ ン市場 の普 及,共 同購 入 が 一般 的 で あ る こ と等 に よ って夙 に一般 市 民 の支 払 能 力 の射 程 内 に入 って い る に もか か わ らず, 泊 地 の絶 対 的供 給 不 足,つ れ て係 船 料 の暴 騰 が わが 国 に於 け る ヨ ッ トの 普及 を阻止 して い る。 こ の よ うな泊 地不 足 に対 す る如何 に も 日本 的 な対 症 療 法 が ヨ ッ トの 陸 置 きで あ っ て,陸 置 き艇 の隻 数 が碇 泊 艇 数 を大 巾 に上 廻 る光 景 は 海外 で は まず 見 る こ とは出 来 な い 。 海外 の マ リー ナ,ヨ ッ ト ハ ーバ ー とい え ど も広 大 な陸 地 面積 を持 ち,ア レナ ー ル も例 外 で は な い が ,陸 上 に揚 げられてい る艇 は,保 守,補 修,定 期 点検 を 目的 と し,稀 に遺 棄 ・放 置 され て い る の で あ っ て,現 在 活 動 中 クレ  ドル の ヨ ッ トが 帰 港 す る毎 に 陸 に揚 げ られ,オ ー ナ ー,ク ル ーが 陸 上 の 船 架 上 に安 置 され た 動 か ぬ ヨ ッ トの 上 で休 暇 の夜,往 々 に して 晝 を過 ごす 状 況 は,恐 ら く海 外 の ヨ ッ ト乗 りの想 像 と理 解 を絶 す る。何 故 な らば,後 述 す る如 く,欧 米 特 に欧 州 就 中 地 中海 の夏 に あ っ て は,多 くの ヨ ッ ト乗 りが ヨ ッ トの 中 に住 ん で お り,そ の 中の 多 くが 出 航 しな い。 彼 らは停 泊 した ヨ ッ トの 上 で 生 活 し,眠 り,か す か に揺 れ る船 体 の雰 囲気 を楽 しむ。 「船 」 とは元 来 ,水 に浮いてい るべ き もので あ る。 ビ ク と も動 か ぬ船 台 の 上 の ヨ ッ トで 過 ごす 日本 の多 くの ヨ ッ ト乗 りの バ カ ンス は, 日本 の 海 洋 レ ジ ャー の悲 喜 劇 性 を如 実 に現 わ して い る。 v)在 泊 艇 の 国籍 CNA在 泊 の ヨ ッ トの オ ー ナ ー の 国籍 は多 様 で あ る。 既 述 の如 く,そ の 内 訳 は70%内 外 の ス ペ イ ン人 に次 ぐに ドイ ツ人 で あ り,イ ギ リス,オ ラ ン ダが散 見 す る。 在 泊 艇 数 並 び にそ の 国 籍 は当 CNA在 泊艇 国籍 別 隻数表 国 籍 隻 数 % ス ペ イ ン 147 76 ド イ ツ 20 10 イ ギ リ ス 17 9 フ ラ ン ス 5 2.5 ベ ル ギ ー 1 2.5 オ ー ス タ リ ー 1 ア メ リ カ 1 ブ イ ン ラ ン ド 1 日 本 1 計 194 100 注)1990年8月 某 日在 泊 艇 の うち 国 籍 旗 を掲 揚 してい た194隻 を100と した 数値 。残 りの100隻 近 くの う ち,半 数 は出 航 。半 数 は不 明 。 尚 旧港 在 泊 の300 隻 の殆 ん ど はス ペ イ ン籍 。 一92

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然 なが ら流 動 的 で あ り,尚 且 つ 夏 期 にあ って は地 中 海 巡 航 中CNAに 寄 港 す る船 も少 な くない の で,在 泊艇 の 国籍 は確 定 し得 ず,又 確 定 す る こ との 意 味 もない 。 船 は動 くもので あ り,港 は仮 の 宿 に過 ぎな い 。別 表 は8月 某 日 を現 在 と したCNA在 泊 艇 の 国 籍 で あ って,1990年 夏 のCNA在 泊 艇 の 平均 的 国aを 表 わ して い る と思 わ れ る。 尚 この 中 の イギ リス 船 籍 の船 は必 ず し もオ ーナ ー が イギ リス 人 とは 限 らな い 。英 仏 海 峡 チ ャネ ル ・ア イ ラ ン ドの ガ ン ジ ー島(GUERNGY)並 び に ジブ ラル タル に は船 籍 取得 を取 扱 う専 門会 社 が 多 数 あ り,手 紙 一 本 と僅 小 の経 費(約10万 円)で ガ ン ジー 又 は ジ ブ ラル タル の船 籍 を取 得 し得 る。 ガ ンジ ー乃 至 ジ ブ ラル タル は英 領 だ か ら,そ の よ う な船 も英 国旗 を掲 揚 す る。 本 来 は これ らの土 地 が 有 利 な税 率 を提 供 す る が故 に行 な われ て い る慣 行 で あ って,か つ て(今 も?)多 くの船 艇 が パ ナマ 船 籍 を取 得 して 本 国 の税 金 を逃 れ,パ ナ マ 旗 を掲揚 した の と同 じで あ る。 ヨ ッ トの場 合 は大 型 ・営 業 船 で ない 場 合 は税 金 は か か らぬ か ら, ガ ン ジ ー乃 至 ジ ブ ラ ル タル の 船 籍 を取 得 す る の は脱 税andor節 税 の 為 で な く便 宜 の 為 で あ る。 vi)船 籍 取得 の実 際 例 え ば拙 艇 の場 合 は セ コハ ン艇 の購 入 で あ り前 の オ ー ナ ー は ドイ ツ人 で 船 籍 は ハ ンブ ル グ で あ っ た。 この 船 籍 を継 承 す れ ば拙 艇 は ドイ ッ旗 を掲 揚 す る こ と とな る。 ち なみ に,殆 どの ドイ ツ 人 オ ー ナ ー は ドイ ッ船 籍 を選 ぶ か ら,ド イ ッ旗 を翻 す艇 の オ ー ナ ー は ドイ ッ人 と思 って 間違 い な い 。 前 オ ーナ ーの ドイ ツ 人 は私 が ドイ ッ船 籍 を継 承 し ドイ ッ 国旗 を掲 げ る とは毛 頭 思 わ ず,尚 且 つ私 が 当該 ヨ ッ トを 日本へ 回船 す る意 志 が な く,地 中 海 水域 に留 め て置 くつ も りで あ る と知 る と,当 然 の こ と と して ガ ンジ ー 島(又 は ジ ブ ラ ル タル)へ の転 籍 をす す め た。 理 由 は手 続 きが簡 単 だ か らで あ る(故 に,英 国籍 船 は あ る意 味 で は無 国 籍 で あ る)。 一 方,地 中 海 で は,ヨ ッ トは船 籍 を 確 定 し,件 の 国籍 旗 を船 尾 に掲 げ ね ば な らな い。 も し拙 艇 を 日本 国籍 と して 日本(政 府)に レジ ス ター し よ う と した 場 合 は,① 船 のす べ て の 装備 を 日本 の 「船 検 」(世 界 に例 の 無 い)に 合 致 す る如 く改 装 し,備 品 を交換 せ ね ば な らず,聞 くと こ ろ に よれ ば,そ の 出費 は船 価 に匹 敵 す る と云 わ れ る。 尚且 つ,地 中 海水 域 で 日本 政 府 の 「船 検 」 に合 致 す る改 装,備 品 の入 手 は事 実 上 不 可 能 で あ る。 ち な み に,欧 米 に 於 い て 「船 検 」 と同 じ機 能 を果 たす の は保 険会 社 で あ って,艇 の 装 備 に 問題 が あ れ ば保 険 料 に影響 す る か ら,オ ー ナ ー は 自己 の判 断 で 適 宜対 応 す る。 ② 日本 政 府 機 関 の 国 際 的業 務 の不 馴 れ と繁 文 縟礼 を考 え る と,日 本 船 籍 取 得 に どれ だ けの手 間 と時 間が か か るか 判 らな い 。 に も抱 らず,地 中 海(海 外)に あ っ て は,船 籍 の無 い船 を動 かす こ とはで きない 。 以 上 の 理 由 に よ り,拙 艇 もまた ガ ンジ ー 島 に船 籍 を定 め,イ ギ リス旗 を掲揚 した。 故 に,繰 返 えす が,イ ギ リス旗 は必 ず し もオ ーナ ーの 国籍 を表 わ さ な い 。 vii)旗 りゆ う掲 揚 の 国際 慣 行 国 際慣 行 に よれ ば,船 尾 に 国籍 旗 を掲 げ,マ ス トの右 側 の桁 に現 在 停 泊 して い る 国 の小 国旗 を 掲 げ る。 こ れ はそ の 国 に対 す る礼 儀 で あ っ てCourtesyflagと 呼 ば れ,CNA在 泊 艇 はす べ て マ ス トま た は船 尾 に赤 ・黄 ・赤 の ス ペ イ ン旗 を掲 げ て い る(実 に美 しい)。 そ して,そ の船 に実 際 に 乗 っ て い る 人 間 の 国籍 を示 す 旗 をマ ス トの左 の桁 に掲 げ る。拙 艇 の場 合 は 日の 丸 を掲 揚 す る。 人 々 は 日の丸 に注 目 し船 尾 の英 国旗 は無 視 す る。但 し,船 尾 の 国籍 旗 並 び に礼儀 旗 の 掲揚 は不 可 欠 で あ るが,左 桁 の国 旗 の掲 揚 は本 人(達)の 恣 意 に委 され,多 くの ヨ ッ トはそ の 労 を省 く。故 に イ ギ リス旗 を掲 げて い る艇 の住 人 の 国籍 は不 明 で あ る。

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そ の5船 上 休 暇 の 実 際 i)一 日 の サ イ ク ル と気 象 高 緯 度(北 緯39度30分 。 略 日本 の 盛 岡)に 加 え て 夏 時 間 の マ ジ ョル カ に あ っ て は,夜 は6時 頃 明 け 初 め8時 頃 朝 と な る 。 人 々 は 起 き 出 し,船 上 の コ ッ ク ピ ッ トで 簡 単 な 朝 食 を と る 。 一 日 の う ち で 最 も 楽 し い 一 刻(の う ち の 一 つ)と 想 像 さ れ る 。 コ ッ ク ピ ッ ト と は 露 天 甲 板 上 の 操 縦 席 の こ とで あ り,舵 輪 の 周 囲 又 は 両 側 に 長 椅 子 が 固 定 さ れ て い る の が 普 通 で あ り,多 く の 艇 が 折 り畳 み 式 の テ ー ブ ル を備 え て い る 。 こ の テ ー ブ ル の 上 に,コ ー ヒ ー,パ ン,バ タ ー,ジ ャ ム,卵 料 理, ハ ム,ジ ュ ー ス,果 物 そ の 他 の 朝 食 が 並 べ ら れ る 。8時 前 後 か ら 陽 が 高 く な り,日 射 は 激 し い か オヘ ニン グ ら コ ック ピ ッ トの上 に カ ンバ ス の 陽 除 け を掛 け る。 朝 食 は ゆ っ く りと と り,雑 談 に花 が 咲 く。10 時 頃 か ら熱 暑 とな る。 地 中海 の 夏 の気 候 の特 色 は云 う まで もな く烈 日 と熱 暑 で あ る。 日中 の熱 暑 シエ スタ は文 字 通 り焼 くが如 くで あ り,外 来 者 を して スペ イ ンの習 慣 で あ る晝 寝 の必 要 性 を納 得,痛 感 せ しめ る。 ゆ っ く り と朝 食 を済 ませ た 後,何 も しな いで いて も好 い し,甲 板 又 は付 近 の海 で 甲羅 を 干 して も好 い 。

SEABORNIAY.C.

ii)船 上 生 活 と 「仕 事 」 とは云 え,休 暇 中で もヨ ッ トの上 の生 活 は 「生 活 」 で あ る故,生 活 に 必要 な作 業 洗 濯 ・掃 除 ・食事 の用 意 ・買 い 出 し は厳 存 す る か ら,主 と して 主 婦,子 供 が 上 記 の作 業 す な わ ち 家事 を分 担 す る 。 一方,ヨ ッ トは 「船 」 で あ る か ら,家 事 の他 に船 と して の 作 業 が あ り,主 と して 男 性 す な わ ち 主 人 が分 担 す る。 ヨ ッ トの 「作 業 」 とは,船 体,帆 装,厨 房,便 所,シ ャ ワー,機 関, 電 気 系 統,給 排 水系 統,通 信 装 置,航 海 計 器,救 難 装 置 ・器 具 … … 等 に分 か れ,夫 々常 に故 障 が 起 き,保 守 と補 修 を必 要 とす る故,男 性 は仕 事 に は こ と欠 かず,普 通 男 性 の ヨ ッ ト乗 りは之 等 の 作 業 を楽 しむ 。 そ れ らの作 業 こ そ 「ヨ ッ トに乗 る」 と云 う レジ ャー の意 味 で あ り本 質 だか らで あ る。 ・,

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iii)船 上 生 活 と家 族 ヨ ッ ト上 の生 活 は,普 通"food,drimk,sexandsurvival"と 要 約 さ れ る。Survivalは 一 般 に 男 性 が 担 当す る。 ヨ ッ トの上 の生 活 の特 徴 は,男 性 は男 性,女 性 は女 性,子 供 は子供 の各 々 の分 担 に応 じて仕 事 を し,各 々が 仕 事 を楽 しむ点 にあ る。何 故 な らば,ヨ ッ トとは独 立 した 閉鎖 社 会 で あ り,船 上 の 生 活 のi夬適 と安 全 につ い て 各 自が 責任 を分 担 して い る とい う事 実 を構 成 員 の 一 人 一 人 が 自覚 して い るか らで あ る。 幸 運 な こ と に,各 自が 自分 達 の船 上 生 活 の 安 全 と快 適 に責 任 を 負 って い る こ とが 明 瞭 に判 る く らい ヨ ッ トは狭 い 。 家庭,会 社,国 家 の規 模 で は見 え な い 因果 関 係 が は っ き りと見 えて くる。 ヘ ッ ド(便 所,ト イ レ と は云 わ な い)の コ ックの 閉 じ忘 れ が 一夜 に して船 を沈 め る こ と を子 供 は 時 に親 も 学 ぶ 。 エ ンジ ンル ー ム に油 だ ら けで潜 り込 む 父 親 の脇 で母 親 が ネギ を刻 み,海 図机 の上 で 子 供 が 夏休 の宿 題 を して い る光 景 の 中 に は家 族 の 断絶 の 入 り込 む隙 が 無 い 。 文字 通 り,余 りに狭 く,殆 ど隙 間 が無 い の が ヨ ッ ト上 の 生 活 で あ り,バ カ ン ス 中 とい え ど もヨ ッ トが広 くな る訳 で は ない 。 iv)日 中の 生 活 サ イ ク ル 10時 前 後 か ら決 ま って風 が 吹 き出 し,一 日中吹 き続 け,林 立 す る マ ス トの 索 具 を鳴 ら し,港 中 の マ ス ト又 は船 尾 に 掲 げ ら れ た大 旗 小 旗 を翻 し,風 速 は時 に10節(約5m/s),15節 を超 す 。 地 中海 で は烈 日に も拘 らず木 陰 や家 の 中(厚 い 石 壁 の)は 涼 しい が,安 全 の 為 に密 閉 を 旨 とす る ヨ ッ トは開 口部 が 少 な く,日 中 の船 内 の熱 暑 は時 に堪 え難 い 。 この暑 さ は明 らか に作 業 の 能率 と意 欲 を殺 ぐか ら,ヨ ッ ト乗 りは 「仕 事 は一 日 に一 つ」 と呟 きつつ,の ん び りと少 しつつ 自分 の船 を 整 備 保 修 して ゆ く。 之 を船 を 厂ShipShapeに す る」 と称 す る。 「あ の船 は見 事 にShipShapeだ 」 と云 うの は あ る ヨ ッ ト と ヨ ッ ト乗 り に所 す る最 高 の賛 辞 で あ る。 作 業 が 済 め ば,往 々 に して 済 ま な く とも,元 気 の好 い子 供,若 者 は海 で遊 び,大 人 や老 人 は昼 寝 をす るか,風 とお しの 好 い ク ラ ブハ ウス の テ ラス の軒 下 で ビ ー ル を空 け,新 聞 を読 み,目 の前 の プ ール サ イ ドの ビキ ニ の美 人 を眺 め て 午 後 を過 ごす 。 v)夜 の 生 活 午 後7時,決 ま って風 が ピタ リと止 み,お か しな こ とに風 が止 む 頃 か ら涼 し くな り,人 々 は元 気 を取 り戻 す 。 町 の 店 々 の半 数 は正 午 頃 か ら5時 近 くまで,銀 行,郵 便 局 を含 め て,店 を閉 じ, 浜 を 除 い て は 町 の人 出 も減 る。 朝食 は ク ラ ブハ ウ スで とって もよい が,10時 迄 はキ ッチ ンが 開 か な い。 パ ン と コ ー ヒ ー(cafeconleche),ジ ュ ース は供 さ れ る 。 ク ラブ ハ ウス の 食 堂 の 開 くの が 遅 い 一 斑 の 理 由 は ク ラブ ハ ウ ス のバ ーが 夜 半 まで 開 い て い る故,従 業 員 を休 ませ るた め と思 わ れ る。 従 業 員 は老 若 の 男性 で,元 気 で 賑 や かで 親 切 で あ る。晝 食 は1時 半,2時 過 ぎが 普通 で,主 婦 と子 供 が 酷 暑 の 船 内 で 汗 だ くで作 る。8時 頃パ ル マ 湾 の 水平 線 に 陽が 沈 む。 日毎 に壮 麗 な 日没 の 情 景 が 繰 り返 され る。 ヨ ッ ト乗 り達 は,自 分 の 船 又 は ク ラブ ハ ウス の シ ャワー で 一 日の汗 を流 し,再 び コ ック ピ ッ トで 夕 食 に と りか か る(風 呂 はな い)。 夕 食 に は往 々 に して シ ャ ンパ ンの小 瓶 が 抜 か れ る 。 ス ペ イ ンの シ ャ ンパ ン は カバ(Cava)と 呼 ば れ,小 瓶 は300乃 至600ペ セ タ(1 ペ セ タ約1.4円)で あ る。 町へ 食 事 に行 くこ と もあ る。 ア レナ ー ル に 冷房 の効 い た店 は な く,客 も従 業 員 もカ ジ アル ウ ェア で済 む。 レス トラ ン は9時 過 ぎか ら混 み は じめ夜 半 に及 ぶ 。価 格 は 日 本 の 約 半 分 で あ る。 ス ーパ ー で の食 料 品 の価 格 は3分 の1で,生 野 菜,果 物 は も っ と安 く,果 物 類(ブ ドー,メ ロ ン,イ チ ヂ ク … …)は 極 め て 安 くて甘 くお い しい 。食 料 品 店 に は 肉 が豊 富 で鮮

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魚 が 少 な い 。9時 過 ぎか ら町 は文 字 通 り雑 踏 とな り路 傍 の飲 食 店 に は客 が 溢 れ,生 音 楽 の音 が 時 に か まび す しい。 地 中 海 の 気 候 の 不 思 議 さ は,日 中 の 烈 日熱 暑 に も拘 らず,10時 過 ぎれ ば タ キ シ ー ドを着 られ るほ どの清 涼 の陽 気 と な る。皮 肉 な こ とに,タ キ シ ー ドを着 る よ うな場 所 は恐 ら く空 調 して い る。私 の場 合,ク ラ ブハ ウス を含 め,ア レナ ー ルで は持 参 した 夏 の上 着 を一 度 も着 なか った 。 町 か らの帰 りに ク ラ ブハ ウス に寄 れ ば1時2時 まで 飲 む こ とに な る が,そ れ は独 身者 に まか せ(年 配 の独 身 ヨ ッ ト乗 りが 結 構 い る),ぶ らぶ ら と船 に帰 り,前 甲板 に カ ンバ ス ・チ ェ ア を置 い て リキ ュー ル を飲 みつ つ夜 気 と星空 を楽 しみ,体 を冷 や して か ら広 か ら ざる寝 床 に潜 り 込 んで 一 日が 終 わ る。 子 供 は船 内 に残 る熱 気 を嫌 が っ て 甲板 に毛 布 を敷 い て寝 る 。蚊 は殆 ど居 ら ず,8月 中 は露 が 降 りな い。9月 に入 って 間 もな く,あ る夜 突 然 露 が 降 りて 甲板 と子 供 達 の か ぶ る毛布 を濡 ら し,子 供 達 は次 の夜 か ら 自分 達 の寝 る部 分 の 甲板 の 上 に 陽 除 け を張 る 。7 月 末 か ら9月 の 始 め に か け る40日 間,毎 日 この よ うに規 則 正 しい 天 気 の 周 期 を繰 り返 す と夏 休 が 終 わ る。 その6日 本 との気 象 条 件 の 大 差 i)気 象 の 規則 性 上 記 の描 写 は,恐 ら く 日本 の観 光 地 の業 者,レ ジ ャー産 業 人,レ ジ ャー 問 題 を真 剣 に研 究 して い る学 者学 徒,並 び に真 剣 に人 生 を楽 し まん と望 んで い る レジ ャー産 業 の 客 達 と ヨ ッ ト乗 り に激 しい衝 撃 を与 えず に はお か な い 。和 辻 哲 郎 博 士 は,す で に昭 和4年 執筆 の著 作 「風 土 」 (昭和10年 出版)の 中で 地 中海 的風 土 の特 性 をそ の規 則 性 に於 い て とら えて お られ る 。 「風 は きわ め て規 則 正 し く吹 い て い る。 陸風 と海 風 との交 代 も きわめ て 規則 正 しい 。 だ か ら地 中海 は海 の 民 族 に と って 子 供 部 屋 だ とい わ れ て い る」(和 辻 哲 郎 「風 土 」 第 二 章 三 つ の類 型 そ の 三 牧 場)。 和 辻博 士 が 地 中 海 に於 い て上 記 の観 察 を され た の は1927年(昭 和2年)で あ る 。 も と よ り地 球 の気 候 が50年 や60年 で激 変 す る筈 は無 い 。和 辻 博 士 の指 摘 され た こ とは,地 中 海 を含 む 欧 州 の気 象 候 風 土 の 規則 性,合 理 性 で あ り,之 に対 比 され る ア ジ ア ・モ ンス ー ン地 帯 す な わ ち 日本 の 天候 気 象 の不 規 則性 と台風,豪 雨 に よ って 象徴 され る 自然 の暴 威 で あ っ た。 わが 国 の 天候 の不 規 則性, と りとめ な さ,予 測 の 困難 さ… … とい わ ん よ りは不 可 能 さ を骨 身 に滲 み て 知 って い るの は 日本 の レジ ャー 産 業 人 と ヨ ッ ト乗 り の筈 で あ る。筈 で あ る と書 く所 以 は,知 って はい るが 認 識 して い な い こ と を懸念 す る か らで あ る。 ヨ ッ ト乗 りにつ い て は こ の懸 念 は無 い 。 日本 近 海 の 海 況 の不 規 則 性 予 測 の 困 難 さ を認 識 せ ぬ ヨ ッ ト乗 りの余 命 は短 い か らで あ る。 わが 国 にあ って は次 の 日曜 日の 天 気 が 雨 で あ る か,風 で あ るか,晴 で あ るか を確 言 で きる人 物 は,ヨ ッ ト乗 りで あ ろ う と,野 球 場 支 配 人 で あ ろ う と,天 気 予 報 官 で あ ろ う と,存 在 しな い 。 地 中海 で は,夏 のバ カ ン ス ・シー ズ ンの 問,原 則 と して 日中 は規 則 正 し く風 が 吹 き,夜 は止 み,そ の風 は帆 走 に適 し,危 険 を含 まな い 。 時 折 英仏 海 峡方 向か ら低 気圧 が 訪 れ 強風 を もた らす が,そ の強 さ は わが 国 近 海 の 暴 風 ま して や 台風 の よ う に人 間の対 応 力 を超越 す る こ とは な く,「3時 間待 て ば 静 ま る」 とこの 地 の ヨ ッ ト乗 り達 は冗 談 を云 う。 地 中海 と は ヨ ッ トを含 む海 洋 レジ ャー の天 国 で あ っ て, 日本 近 海 は地 獄 で あ る。 天 国 と地 獄 の比 喩 は,天 気 の 規則 性 の み に止 ま らな い。 ii)規 則 性 以 外 の 好 条件 前 記 の 通 り,地 中 海 に は 台風 又 は之 に類 す る暴風(例 えば,カ リブ海 のハ リケ ー ンの如 き)が 一96

参照

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