【論文(事例研究)
】
日本女子プロ野球リーグ戦の観戦者に関する実態調査
― アクティブ・ラーニングとしての地域スポーツ発展プロジェクトの取り組から -
A Study about Research Situation of Spectators of a League Game
in Japanese Women’s Professional Baseball
Project-Based Learning : An Industrial-Academic-Government Cooperation Project
山内 章裕
Akihiro YAMAUCHI
1. 研究の背景 日本における女子プロ野球は、1950(昭和 35)年に「日 本女子野球連盟」が結成され、「レットソックス」(千葉)、 「ブルーバード」「ホーマー」「パールス」(東京)の4 チ ームにより公式リーグ戦が行われていたが、後援企業の資 金問題や対戦相手チーム不足などから 2 年で解散となっ た。その後、2009(平成 21)年に株式会社日本女子プロ 野球機構(GPBL)が設立され、2010(平成 22)年より関 西の2 チームによるリーグ公式戦が始まった。この機構創 設にあたっては「女子硬式野球チームが少ない」「男子公 式野球部に入部しても、競技の継続はできるが公式戦には 出られない」といった、女子が野球を続けることの困難さ や、ソフトボールなど他競技に転向せざるをえない現状を ふまえ、女子が野球に専念できる新たな環境を提供すると ともに、女子硬式野球の競技レベルの向上を目指すことを 設立理念としている(戸高,2010、高橋ら,2015)。2014(平 成 26)年には、新しく一般社団法人日本女子プロ野球機 構となり、純粋に野球を愛し、競技を続けていきたいとい う女子野球選手に対し、夢を持ち続けられる場を提供する ことで、野球を通じて、①応援してくださる全ての方を笑 顔にする、②地域との交流を深め、地域の方々の希望にな り、③豊かな心を育み、真心を持った人間になる、ことを 理念として、地域密着での活動を視野にチーム名を変更 (京都フローラ・埼玉アストライア・兵庫ディオーネ・東 北レイア)するなど、地域密着をテーマにより愛され応援 されるリーグ・球団の運営に取り組んでいる。 株式会社日本女子プロ野球機構(GPBL)創設からの 5 年間を見ればチーム数や開催会場、そしてリーグ戦の試合 数を増やすなど主に観戦機会の充実が図られており、初年 (2010(平成 22)年)の観客動員数は 61,424 名、翌年 91,973 名と増加したが、2012(平成 24)31,792 名と翌年 35,012 名と減少した。2014(平成 26)年に新しい機構と なり地区別のヴィクトリアシリーズなど地域密着の運営 に取り組んでからの観客動員数は45,316 人と増加傾向に ある。そして本機構は、「地域密着」をスローガンに各球 団の本拠地にあるスポーツ団体、行政や大学との連携を図 り新たな地域活動を取り組んでいる。2016(平成 28)年 には埼玉県を本拠地とする埼玉アストライアは川口市、兵 庫県を本拠地とする兵庫ディオーネは淡路市とホームタ ウン協定を締結しスポーツを通じて地域の活性化並びに 地域に根差した球団づくりを進めている。京都を本拠地と する京都フローラでは向井市とスポーツを通じたまちづ くりに関する相互協定を結び、選手とコーチが小中学生の 指導や市民の健康づくりに取り組むことが決まった。京都 フローラは、同じ本拠地のサッカーJ2 京都サンガFCと プロバスケットボールTKbjリーグ・京都ハンナリーズ などとの共同イベントを進めており、周辺地域の大学とは 大学コンソーシアム京都のプロジェクト型インターンシ ップの受け入れ企業・団体として学生の教育・研究活動に 貢献している。 近年、各種プロスポーツ団体は地域との連携を重視した ファン獲得活動を進めており、このような連携を通じて市 場経済や行政でも実現できない諸課題に対して、球団や行 政、そして大学が三位一体となって取り組む(場を創造す る)ことは、ある人の利益が他人の利益と関係し、最終的 に社会全体の利益につながっていく社会的好循環をつく りだすものであり、スポーツが社会にもたらす多様な可能 性(感動、まちづくり、教育、観光等)を広げる有効な手 段となり(山内ら,2012)、大きな意義があると言える。 本研究における地域スポーツ発展プロジェクトは、産学協働のプロジェクト型アクティブ・ラーニングと位置付け ることができ、このような地域スポーツ発展への支援には、 直接的な活動(スポーツ指導等)と間接的な活動(事業企 画運営等)がある。大学教育については 2012(平成 24) 年の中央教育審議会答申「新たな未来を築くための大学教 育の質的転換に向けて」の中で、学外との団体や共同体と 共に活動しながら学修するアクティブ・ラーニングが大学 で取り組まれるようになり、新たな未来を築くための大学 教育の質的転換として求められている。本プロジェクトは 2012(平成 24)年にはじめて地元自治体球場(球団本拠 地以外)で開催されたプロ野球二軍公式戦から学生の教育 活動ならびに地域貢献活動の一環として、スタジアムオペ レーションボランティアスタッフとして来場者、球団が喜 んでいただけるよう公式戦のサポートを行ない実態把握 をすると共に、学生が来場者に対して個別面接方式で社会 調査(意識調査)を実施し、そのデータ分析並びに提案を 含めたプレゼンテーションを行ない、来年度以降の来場者 数アップに向けた戦略立案や新たなスポーツ推進策の提 案を行なってきた。これらの取り組みは球団関係者や地元 自治体、来場者さらには報道各社(朝日・読売・毎日・日 経などに記事掲載)からも高く評価されており、地域スポ ーツの発展に向けた学生の役割についてスポーツ関係団 体や地元自治体からの期待がますます大きくなっている (戸田ら,2013、オリックス,2013、堤,2012、長野,2013、 岡田,2013、金子,2014)。 2. 研究の目的 本研究は、大阪大谷大学地域スポーツ発展プロジェクト として日本女子プロ野球リーグ戦ヴィクトリアシリーズ 前期で優勝した京都を本拠地とする京都フローラのホー ム戦における観戦者を対象に実施された来場者調査から、 基本的属性などの基礎的統計データを基に観戦者の特性 を明らかにすることを目的する。 3. 研究の方法 3.1 観察調査 地域スポーツ発展プロジェクト(プロジェクト型アクテ ィブ・ラーニング)の一環として、2015(平成 27)年 6 月 6 日・7 日、伏見桃山球場で行われたヴィクトリアシリー ズ(前期第11・12 戦)、京都フローラ対埼玉アストライア 戦、並びに2015(平成 27)年 9 月 14 日、わかさスタジ アム京都で行われたヴィクトリアシリーズ(後期第20 戦)、 京都フローラ対兵庫ディオーネ戦において、学生(調査員) がスタジアムオペレーションボランティアスタッフとし て来場者、球団が喜んでいただけるよう公式戦のサポート を行ない、公式戦の実態把握をするとともに、ゲームの進 行、プレイスタイル、観客者の応援行動などを写真撮影や 動画撮影により記録した。 3.2 質問紙の設計 質問紙の設計においては、球団の職員から意見を収集し 詳細な検討を行ない調査対象となる観戦者の独自の観点 を加味し、最終的に9 領域の総計 45 項目を抽出した。 項目の内訳は、基本的属性は、①性別③健康状態④体力 年齢⑤居住地域など 6 項目に絞り、スポーツとの関わり は、①する②見る③支える④語るの4 項目とした。女子プ ロ野球・試合の認知は、①最初に知りえたイベント認知媒 体②知りえた認知媒体など 3 項目、女子野球球団の認知 は、①応援の年数・きっかけ・魅力②好みの球団③好みの 球団認知④好みの球団の球団観戦回数⑤応援選手⑥ファ ンクラブ入会などの9 項目とした。また、チケットの種類 は、①チケットの種類②前売りチケットの購入場所の2 項 目、男子プロ野球の認知は、①好みの球団②好みの球団認 知③好みの球団の球場観戦回数④私鉄 4 球団ファンの動 向などの5 項目とした。そして、試合観戦状況は、①試合 観戦の決定時期②同伴者状況③最初の企画者の3 項目、西 京極運動公園の認知は、①イベント最終交通手段②公園来 園回数と利用施設③来園2 回以上の方の利用目的などの 4 項目、球場観戦は、①観戦グッズ②魅力的な球場観戦③観 戦球場④スタジアム・球場観戦などの9 項目とした。質問 紙設計並びに面接調査においては、学内でプレ調査トレー ニングを行なった。プレ調査トレーニングでは、各調査班 でスタッフ同士による本番を見立てたアンケート調査を 行なった。 3.3 質問紙調査 2015(平成 27)年 9 月 13 日、わかさスタジアム京都で 行われたヴィクトリアシリーズ(後期第19 戦)、京都フロ ーラ対兵庫ディオーネ戦の観戦者(15 歳以上)を対象に、 所定の質問紙による面接法で、内野スタンド(2 か所)、両 外野スタンド(各2 か所)に調査員(36 名)を配置し、 入場門開場後(11 時 30 分)から 5 回開始前(14 時 30 分) までに実施した。観客動員数1,038 人から 290 部回収し、 有効回答数は238 部であった。分析は、サンプル全体の特 性を明らかにするために全調査項目について単純集計を 行なうとともに、観戦者の年齢構成、ファン応援歴、同伴 者について「なでしこリーグスタジアム観戦者調査2013 サマリーレポート」(日本女子サッカーリーグ)「Jリーグ スタジアム観戦者調査 2013 サマリーレボート」(日本サ ッカーリーグ)との比較からクロス集計を行なった。分析
における統計解析パッケージは IBM SPSS Statistics 22.0 を使用した。 J リーグスタジアム観戦者調査 2013 サマリーレポート の調査概要は、40 クラブのホームゲーム来場者、11 歳以 上の男女個人、17,854 名とし、17,286 票の有効回答(有 効回収率:96.8%)で、調査の期間は 2013(平成 25)年 4 月 21 日から 10 月 27 日であった(公益社団法人日本プ ロサッカーリーグ,2013)。なでしこリーグスタジアム観戦 者調査2013 サマリーレポートの調査概要は、10 クラブの ホームゲーム来場者、1,720 名とし、1,586 票の有効回答 (有効回答率:92.2%)で、調査の期間は 2013(平成 25) 年4 月 7 日から 5 月 12 日であった(一般社団法人日本女 子サッカーリーグ,2013)。 4. 調査結果 4.1 観戦者の特性 資料1 は、調査票とその単純集計結果を示している。 観戦者の基本的特性は、男女比では約7 対 3 であり、平 均年齢は46.11±15 歳で 40~49 歳が 31.5%で多くを占 めていた。居住地域は、京都市在住が47.1%で割合がもっ とも高く、京都府外は40.8%であった。そして、観戦者の 約9 割が健康と回答しており、体力年齢においては実年齢 40 代 73 名のうち 19 名が体力年齢を 30 代以下、実年齢 50 代 50 名のうち 24 名が体力年齢を 40 代以下と回答し た。スポーツ・運動との関わりは、3 項目(「家族や友人と 一緒に話しをする」(57.1%)、「スポーツ・運動を実施する」 (38.7%)、「テレビや新聞などで見たりする」(87.8%))につ いて「週に1回以上」の割合が高く、スポーツ支援につい ては「まったくしない」(66.4%)と「年に数回」(18.9%) で観戦者の8 割を超えていた。 観戦者の女子プロ野球球団における認知については、最 初に知りえたイベント認知媒体が「球団ホームページ」 (27.3%)「口コミ」(25.6%)、試合の告知(複数回答)が「球 団ホームページ」(26.8%)「ポスター」(19.1%)、女子プロ 野球の最初の認知が「口コミ」(35.3%)「ポスター」(14.7%) の割合が高かった。そして、女子プロ野球の応援年数は、 「0 年」(33.2%)「1 年」(19.7%)で全体の 5 割を占めてい た。もっとも好きな女子プロ野球の球団は「京都フローラ」 (69.3%)「兵庫ディオーネ」(29.0%)で対戦カードの球団 を選好しており、球団のファンクラブ加入については、「入 会に興味がない」(45.0%)の割合が高く、次に「入会して いる」(25.2%)であった。選好球団の魅力は「地元にある球 団」(41.4%)「魅力的な選手がいる」(33.9%)が多くを占 めており、その球団の今シーズン観戦回数は「5 回以上」 (29.4%)「1 回」(21.4%)で、その球団のニコニコ動画で の視聴は「0 回」(72.1%)の割合が高く、次に「5 回以上」 (9.0%)であった。女子プロ野球の応援選手がいる観戦者は 53.8%を占めており、応援選手数は平均で 3.1±4.4 名であ った。また、応援している選手の引退や移籍で応援や観戦 を辞めたことがない(82.0%)が多くを占めていた。 観戦の仕方については、本日の観戦を「ここ数日」 (50.8%)「今年の試合告知後」(16.8%)に、そして「自 分自身」(57.6%)「友人」(14.7%)が、高い割合で決定して おり、「ひとり」(33.6%)「家族」(29.8%)の観戦者が多くを 占めており、同伴者は「1 名」(40.9%)の割合が高く、次に 「2 名」(28.3%)であった。そして観戦チケットは、「当日 券」(40.3%)「招待券」(40.3%)が多くを占めていた。 球場観戦については、持参するグッズとして「タオル」 (17.6%)「レプリカ・ユニフォーム」(11.4%)の割合が高か った。球場観戦として、選手数や試合数よりも第一に球団 数の改善を求めていた。女子プロ野球観戦の重視すること を男子プロ野球の結果と比較すると、女子プロ野球は「笑 顔の球団」「懸命なプレー」「選手の活躍」「選手のファン サービス」「球場の設備」、男子プロ野球は「強い球団」「卓 越したプレー」「選手の活躍」「選手のファンサービス」「球 場の雰囲気」を高く重視しており三つの項目で違いがあっ た。そして、今シーズンの女子プロ野球を観戦した球場は 「わかさスタジアム京都」(35.8%)「伏見桃山球場」(13.6%) の割合が高く、女子プロ野球以外のスポーツのスタジア ム・球場観戦では「男子プロ野球」(26.8%)「高校野球」 (19.2%)が多くを占めていた。また、女子プロ野球試合観 戦と類似しているスポーツは、第一位が「男子プロ野球」、 第二位が「男子プロ野球(ファーム)」、第三位が「サッカ ー(なでしこリーグ)」であった。 京都で活躍するプロスポーツの認知について、J リーグ 京都サンガは観戦者の86.6%、チャレンジリーグバニーズ 京都FC は観戦者の 26.9%、BJ リーグ京都ハンナリーズ は観戦者の61.3%が知っており、それぞれ今シーズンの観 戦回数が「0 回」が 5 割以上を占めていた。 男子プロ野球については、選好球団は阪神が42.0%、巨 人が16.0%と割合が高く、その選好球団を今シーズン「0 回」の観戦者が約5 割を占めていた。今シーズンのプロ野 球二軍公式戦観戦は、82.9%が「ない」との回答であった。 1980 年代の関西私鉄球団における選好球団は、「阪神タイ ガース」が34.0%、「近鉄バファローズ」が 16.0%と多く を占めていた。 最後に、西京極総合運動公園の利用の仕方については、 最終交通手段は「電車」が49.2%、「自家用車」が 31.1% と多くを占めていた。そして公園の利用は「5 回以上」が 33.2%、「はじめて」が29.0%で、2 回以上の利用での来園
の目的は、「野球」が72.6%と割合が高く、次に「サッカ ー」であり、その他の施設利用では「陸上競技場」が6.2%、 「ハンナリーズアリーナ」が 5.3%と割合が低く、「なし」 が82.3%と多くを占めていた。 4.2 観戦時の同伴者数の規模と観戦行動 はじめに本調査と「なでしこリーグスタジアム観戦者調 査2013 サマリーレポート」(以下、「なでしこ」)「Jリー グスタジアム観戦者調査2013 サマリーレボート」(以下、 「J リーグ))との比較から観戦者の基本的特性における 違いを明らかにする。 図4.1 は、観戦者の男女比を示している。男女比は本調 査では男子が71.4%で女子が 28.6%であった。男女比の比 較では、約7 対 3 が本調査となでしこであったが、J リー グは約6 対 4 であった。 図4.2、4.3 は観戦者の年齢と年齢構成を示している。本 調査では、平均年齢が46.11±15 歳、年齢構成は 10 歳代 から 100 歳代までと年齢層が広く、そして 40 歳代が 31.5%と高い割合を占めていた。観戦者の年齢の比較では、 本調査となでしこが平均年齢が約46 歳であったが、J リ ークでは平均年齢が39.5 歳と 5 歳以上若かった。年齢構 成の比較では、本調査となでしこでは、「50 歳以上」が、 J リーグでは「40 歳~49 歳」が最も高い割合を占めてお り、39 歳以下では、J リーグが約 5 割、本調査となでしこ は約3 割と違いがあった。 図4.4 は観戦者の応援歴を示している。本調査の応援歴 は、0 年から 6 年以上で、1 年が 19.7%と高い割合を占め ていた。観戦者の応援歴の比較では、発足してJ リーグは 21 年目、なでしこは 25 年目、女子プロ野球は 6 年目と経 年の違いを考慮に入れる必要があるが、本調査では「1 年 目」が52.9%と割合が高く、「5 年以上」では J リーグが 67.2%、なでしこが 49%と割合が高かった。 図4.1 観戦者の性別における比較 図4.2 観戦者の平均年齢における比較 図4.3 観戦者の年齢構成における比較 図4.4 観戦者のファン応援歴における比較 次に、観戦者の同伴者に着目して本調査となでしこ、J リーグとの比較から同伴者規模と観戦行動について明ら かにする。 図4.5 は観戦者の同伴者とその人数を示している。本調 査では、同伴者では、「ひとり」が33.6%と高い割合を占 めていた。その他では会社の同僚、野球チームが挙げられ ており、オフィシャルパートナー企業であるわかさ生活の 社員や出場選手の野球チームや招待された地域野球チー ムと観察調査により推測される。観戦者の同伴者の比較で は、なでしことJ リークにおいて「家族」が最も高い割合 を占めていた。「ひとり」では本調査が33.6%と割合が高 く、J リークが 16.3%と低い割合を占めていた。
図 4.6、4.7 は観戦者の同伴者規模と人数構成を示して いる。本調査では、一緒に来場した平均の人数は3.23±6.0 名で、2 名から 50 名であった。観戦者の同伴者規模の比 較では、本調査において同伴者数に20 名、41 名、50 名 の外れ値が存在していること、なでしことJ リーグの標準 偏差が明確でないことを考慮に入れる必要があるが、同伴 者数は本調査とJ リーグが約 3 名、なでしこが約 2 名で あった。同伴者の人数構成の比較では、本調査となでしこ が「単独1人」が約4割、J リーグとなでしこは「2 人」 が約4割を占めており、J リーグでは「3 人」「4 人」「5 人 以上」で約5 割と高い割合を占めていた。 図4.5 観戦者の同伴者の比較 図4.6 観戦者の同伴者規模の比較 図4.7 観戦者の同伴者人数構成の比較 最後に、本調査における観戦者の同伴者規模の関係から 観戦行動を明らかにする。 図4.8 は観戦者の同伴者規模別にみた今シーズンの観戦 頻度を示している。観戦頻度が「0 から 2 回」では同伴者 「2 人」と「3 人以上」で 77%と割合が高く、「3 回以上」 では同伴者「1 人」が 50%と多くのを占めており、観戦頻 度 別 に 違 い が 明 ら か と な っ た ( χ2 = 15.768,d.f.=2, p<.001)。 図4.9 は観戦者の同伴者規模別にみた最初のイベント認 知媒体を示している。「単独1人」では「球団ホームペー ジ」(35%)が、「3 人以上」では「口コミ」(27%)の割合 が高くなり、最初のイベント認知媒体別に違いが明らかと なった(χ2=62.167,d.f.=18, p<.001)。 図4.8 観戦者の同伴者規模と観戦頻度 図4.9 観戦者の同伴者規模と最初のイベント認知媒体 4. まとめ 本研究では、地域スポーツ発展プロジェクトとして観戦 者を対象に実施された来場者調査から、基本的属性などの 基礎的統計データを基に、二つのプロスポーツリーグのデ ータとの比較から、日本女子野球リーズ戦における観戦者 の基本的特性の特徴、並びに同伴者規模と観戦行動との関 係を明らかにした。 基本的特性の比較から、日本女子プロ野球における観戦
者は40 代・50 代と年齢層が高く、ファン歴が 1 年目で単 独1 人での観戦が多く、日本女子プロ野球を対象に 2012 年に実施された先行研究(高橋ら,2015)と同じ結果であ った。したがって、J リーグやなでしこリーグのように同 伴者 2 名以上で観戦する家族をターゲットとすることが 来場者増加への有効な手段の一つと言える。 同伴者規模と観戦行動との関係においては、同伴者規模 と今シーズンの観戦回数別に違いがあるため、単独1 人で シーズン3 回以上観戦するファンと同伴者 3 名以上でシ ーズン0 から 2 回観戦するファンのそれぞれ見合ったア プローチが必要であると考える。さらに、J リーグ観戦者 の同伴者規模に着目した先行研究(岩村,2013)の結果と 同様に、同伴者数と最初のイベント認知媒体に違いがあり、 単独1 人の観戦者は球団ホームページ、新聞、チラシ・パ ンフレット、同伴者3 名以上の観戦者は口コミが主たる認 知媒体であった。したがって情報発信媒体においては、顕 在・潜在する観戦者における地域性、選好球団の観戦回数 など、それぞれの認知の違いに配慮した独自の情報発信が 必要であり(山内,2015)、さらに将来の研究として、同伴 者規模から観戦者を細分化したターゲットに対応した適 切なアプローチ方法の立案への有効性が示唆された。 本地域スポーツ発展プロジェクトのように、スポーツ組 織を対象とした産学行政協働のプロジェクト型支援事業 (アクティブ・ラーニング)は、多くの大学で取り組まれ るようになった。本研究において、学生による観察・質問 紙調査の取り組みにより日本女子プロ野球リーグ戦にお ける観戦者の基礎的統計データを収集することができた と言える。さらに、2016(平成 28)年 1 月に地域スポー ツ発展プロジェクトプレゼン発表会(於:阪南大学)を開 催し、日本女子プロ野球機構職員と行政職員、そして地域 スポーツの発展について学ぶ他大学の学生との討論を通 じて、「来場者は何を求め、何を楽しみに来ているのか」、 「今後、この調査を契機としてどのように地域活性化につ なげていくか」について学生ならではの提案を見出すこと で、プロジェクト参加学生は主体的に考え抜く力や多様な 人々とともに目標に向けて協力する力も身に付き、スポー ツが持つ多様な可能性について実場面から照らし検証す ることの重要性を学ぶことができ、本プロジェクト(プロ ジェクト型アクティブ・ラーニング)実施の意義は大きい。 今後、地域や学生任せの支援活動ではなく、地域や支援 団体と共に活動しながら学修ができるプロジェクト型ア クティブ・ラーニングが導入されるよう教育評価方法や学 内組織体制を整えることが課題と言える。 <参考・引用文献> 1. 一般社団法人日本女子サッカーリーグ,2013, 「なでしこリー グスタジアム観戦者調査2013 サマリーレポート」,一般社団法人 日 本 女 子 サ ッ カ ー リ ー グ ホ ー ム ペ ー ジ , ( 参 照 日 2 0 1 6 年 1 2 月 1 日 , http://www.nadeshikoleague.jp/news/ upload_file/doc/nadeshikoleague_2013_report.pdf). 2. 岩村聡,2013,「J リーグ観戦者の観戦行動に関する研究―観 戦時の同 伴者数の規模に着目して―」,筑波大学体育学紀要 (36),105-19. 3. 岡田英也「オリックス盛り上げる 富田林の二軍戦 ファン拡 大策球団側に提言 大阪大谷大生観客アンケート「近鉄時代の応 援写真展示」「用具の無料配布」」『読売新聞』2013 年 12 月 5 日 朝刊.
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