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課題状況に適した判断を支える頭頂葉神経活動

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Academic year: 2021

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36  膨大な情報に満ちた外界から、必要な情報を取り出し 適切な判断を下すことは、生きる上で必要不可欠な能力 である。また、判断に必要な情報は環境によって変わる。 ある時には必要であった情報が別の状況下では不要なも のとなりうる時、ヒトはどのようにしてその時々の状況 に応じた判断を下すことが出来るのだろうか。  判断を支える神経メカニズムは、これまで運動方向弁 別課題(図 1−上)を使って主に霊長類サルで研究され てきた。サルは、画面中央の点を注視した後、呈示され る視覚刺激の運動方向に応じてサッケードしなくてはな らない。Roitman & Shadlen(2002)はこの課題を使って、 判断に必要な情報の蓄積及び閾値への到達に伴う判断の 確定というプロセスをサル頭頂葉 LIP 野で見出だした。 しかしながら、判断に必要な情報が状況によって変化す る時、LIP 野神経細胞がどのような活動を示すのかは明 らかではなかった。  そこで我々は、状況に応じて必要な情報が変化する判 断課題をサルに課すため、運動方向弁別課題と奥行き弁 別課題を使ったタスクスイッチ課題(図 1)を用いた。 この課題で呈示される視覚刺激は運動方向情報だけでな く奥行き情報も持つ。したがって、サルは、同一刺激に 対しても、注視点の色に応じて課題に必要な情報を判定 し、異なる判断を下さなければならない。我々はこの課 題を用いて、サル頭頂葉 LIP 野の活動が異なる課題環 境下でどのように変化するのか調べた。  その結果、LIP 野神経細胞の蓄積活動は、運動情報と 奥行き情報のいずれに対しても、課題遂行に必要な情報 となった場合のみ刺激強度依存的な変化を示したが(図 2a)、不必要な情報となった場合はいずれの刺激強度に おいても同様の活動を示した(図 2c)。その一方で、判 断に伴う眼球運動直前では、課題や刺激強度に関わら ず同程度の活動に収束した(図 2b,d)。記録した 99 個 の神経細胞集団でもこのような傾向が認められたことか ら、LIP 野が課題状況に応じて判断に必要な情報を蓄積 していると考えられる。  また、単一神経細胞の課題関連刺激に対する感度を蓄 積活動から調べたところ、記録した神経細胞いずれにお いても、課題関連刺激に対する感度が認められた(図 3)。 このことは、判断に必要な情報の蓄積活動が、LIP 野単 一神経細胞レベルで、課題状況に応じてダイナミックに 行われていることを示唆している。  本研究結果は、頭頂葉 LIP 野が状況に応じた判断を する上で重要な役割を果たしている可能性を示した。こ の状況に応じた蓄積活動には、前頭葉で見られるルール 選択的な神経活動が影響していると考えられる。また、 統合失調症患者ではタスクスイッチ課題の成績低下が生 じることから、今後は、前頭葉―頭頂葉間における機能 的結合と蓄積活動を支える分子メカニズムの観点から研 究を展開していきたい。 (脳科学研究所 須田悠紀) 研究論文紹介【A】 本号 pp.38-48

課題状況に適した判断を支える頭頂葉神経活動

Kumano H*, Suda Y, Uka T (equal contribution)

Context-Dependent Accumulation of Sensory Evidence in the Parietal Cortex Underlies Flexible Task Switching. J Neurosci. 2016 Nov 30; 36(48): 12192―12202.

PubMed PMID: 27903728, DOI: 10.1523/JNEUROSCI.1693―16.2016

図1 運動方向弁別課題と奥行き弁別課題を用いたタスクスイッチ課題

図 3 LIP 野神経細胞の課題関連刺激に対する感度 図2 タスクスイッチ課題時の LIP 野神経活動

参照

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