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製パン性に及ぼすβ-ラクトグロブリンの影響ならびにω-グリアジンの役割

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製パン性に及ぼす

β-ラクトグロブリンの影響

ならびに

ω-グリアジンの役割

2013 年

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1 諸言 ... 1 Ⅰ. 製パン性に影響を与える乳タンパク質の特定 ... 7 1. 試料および実験方法 ... 7 1.1. 試料 ... 7 1.2. カゼインとホエータンパク質の分画 ... 7 1.3. Lowry 法によるタンパク質の定量 ... 9 1.4. 未変性ホエータンパク質態窒素含有量 (WPNI) の測定 ... 9 1.5. タンパク質表面疎水性度の測定 ... 9 1.6. 二次元ポリアクリルアミド電気泳動 (2D-PAGE)... 9 1.7. パンの調製法 ... 10 1.8. 製パン性の評価 ... 10 1.9. 小麦粉生地ミキシング耐性の測定 ... 10 1.10. 小麦粉生地ガス保持力の測定 ... 10 2. 結果および考察 ... 11 2.1. 乳タンパク質の熱変性について ... 11 2.2. 乳タンパク質の表面疎水性度と製パン性の関係 ... 11 2.3. 製パン性に及ぼすホエータンパク質の影響 ... 16 2.4. 2D-PAGE による乳タンパク質の熱変性の挙動解析 ... 21 2.5. β-Lg と κ-CN の表面疎水性度について ... 21 2.6. β-Lg と κ-CN の加熱複合体形成が製パン性に与える影響について ... 28 3. 要約... 31 Ⅱ. グルテン形成に及ぼす乳タンパク質の影響要因について ... 32 1. 試料および実験方法 ... 32 1.1. 試料 ... 32 1.2. 乳タンパク質の分画 ... 32 1.3. 小麦粉タンパク質と β-Lg の分子間相互作用の解析 ... 33 1.4. グリアジンの抽出 ... 33 1.5. 疎水性クロマトグラフィーによるタンパク質の疎水性度の挙動解析 ... 33 1.6. グリアジンの溶解挙動の解析 ... 35 1.7. Brad ford 法によるタンパク質の定量 ... 35 1.8. BCA 法によるタンパク質の定量 ... 35 1.9. Acid-PAGE ... 35 1.10. RP-HPLC による各グリアジンの分画および定量 ... 36 1.11. N 末端アミノ酸配列の解析 ... 36

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2 1.12. 陽イオンクロマトグラフィーによる各グリアジンの分画 ... 37 1.13. ω-グリアジンの溶解性に与える β-Lg の影響解析 ... 37 1.14. 各グリアジンと β-Lg および κ-CN の分子間相互作用解析 ... 37 2. 結果および考察 ... 39 2.1. 小麦粉タンパク質と β-Lg および κ-CN の分子間相互作用について ... 39 2.2. β-Lg と κ-CN の加熱複合体とグリアジンの疎水性について ... 39 2.3. β-Lg と κ-CN がグリアジンの溶解挙動に与える影響について ... 44 2.4. β-Lg により水溶化したグリアジンの特定 ... 50 2.5. 各グリアジンと β-Lg および κ-CN の分子間相互作用について ... 50 2.6. ω グリアジンの溶解性に与える β-Lg の影響 ... 61 3. 要約 ... 65 Ⅲ. グ ル テ ン 形 成 に 影 響 を 与 え る グ リ ア ジ ン の 分 子 間 相 互 作 用 に つ い て ... 66 1. 試料および実験方法 ... 66 1.1. 試料 ... 66 1.2. 乳タンパク質の分画 ... 66 1.3. グリアジンの抽出 ... 66 1.4. ω-グリアジンを脱離させたグリアジンの調製 ... 66 1.5. グリアジンの粘性および硬さの測定 ... 67 1.6. 陽イオンクロマトグラフィーによる各グリアジンの分画 ... 67 1.7. グリアジンの表面疎水性度の測定 ... 67 1.8. グリアジン分子間の会合および凝集性の評価 ... 67 1.9. グリアジンを添加したパンの調製法 ... 70 1.10. 製パン性の評価... 70 1.11. 小麦粉生地ミキシング耐性の測定 ... 70 1.12. 小麦粉生地形成に及ぼす疎水性相互作用の解析 ... 70 1.13. 小麦粉生地中のタンパク質分子間距離の解析 ... 70 2. 結果および考察 ... 72 2.1. ω-グリアジンの脱離がグリアジンの性質に与える影響 ... 72 2.2. ω-グリアジンの脱離がグリアジンの疎水性相互作用に与える影響 ... 72 2.3. ω-グリアジンの脱離が製パン性に与える影響 ... 76 2.4. 小麦粉タンパク質間の疎水性相互作用とグルテン形成との関係 ... 76 2.5. 小麦粉生地中のタンパク質分子間相互作用について ... 85 3. 要約... 89

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3 Ⅳ. ω-グリアジンと製パン性の関係 ... 90 1. 試料および実験方法 ... 90 1.1. 試料 ... 90 1.2. CN コーダーによるタンパク質の定量 ... 90 1.3. パンの調製法 ... 90 1.4. 製パン性の評価 ... 90 1.5. グリアジンの抽出 ... 90 1.6. RP-HPLC による ω-グリアジンの定量 ... 91 1.7. グリアジンの表面疎水性度の測定 ... 91 2. 結果および考察 ... 91 2.1. 小麦粉のタンパク質含量について ... 91 2.2. 製パン性と ω-グリアジン量の関係 ... 91 2.3. 製パン性向上に対する ω-グリアジンの作用 ... 96 3. 要約... 100 総括 ... 101 参考文献 ... 109 謝辞 ... 116

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諸 言

食パンは、世界で最も多く食されている代表的なパンである。この食パンにおいて、一 般的に消費者が好む良質な食パンとは、味や香りはもちろんのこと、クラムが柔らかい、 すだちが細かくふっくらしている、歯切れが良い、等である (日本フードスペシャリスト 協会, 2008; 土屋, 2009) が、これらすべては生地内部の構造、つまり良質な「グルテン」構 造を形成することが重要である。 小麦粉に水を加え混捏すると、小麦粉中に含まれるタンパク質の繊維状で弾性をしめす 「グルテニン」と球状で粘性をしめす「グリアジン」が水和し、ジスルフィド (SS) 結合、 水素結合、イオン結合、疎水性相互作用など、様々な化学結合によりグルテンネットワー クが形成する (Fig.1)。それにより両タンパク質の性質を併せ持つ、弾力性があり、且つ 伸展性をもった特異的な粘弾性が発現される。このグルテンの性状により、菓子類、麺類、 パン類と小麦粉の用途が決定される。 パンにおいては、適度な粘弾性を持っていると、酵母の発酵により発生したガスを生地 内でしっかりと保持することができ、それによりふっくらとした柔らかいパンとなる。し かし、グルテンの形成性が悪いと、発生したガスを保持しきれずに漏洩してしまい膨らま ない硬いパンになってしまう。また、伸展性が乏しく弾力性が強すぎてもガスの膨張力に 対して弾力性が打ち勝ってしまい、生地の伸びが悪く膨らまない硬いパンになってしまう (Fig.2)。現在、流通している超強力粉においても同様で、超強力粉はグルテニン分子間を 架橋する SS 結合が多く弾力性が強すぎてしまうために、製パンに不向きな中力粉などを 加え用いられている (月田, 2013)。このことから、グルテンの形成性にはタンパク質含量 だけでなく、弾力性と伸展性、つまりグルテニンとグリアジンのバランスが非常に重要で あることが伺える。 し か し 、グ ル テ ン お よ び グ リ ア ジ ン 、グ ル テ ニ ン は 水 に 不 溶 で あ る こ と か ら 、グ ル テ ン の 形 成 機 序 に つ い て は 現 象 論 の 解 析 に 留 ま り 、こ れ ま で タ ン パ ク 質 科 学 的 視 点 か ら の 研 究 は 不 十 分 で 、未 だ 形 成 機 序 は 解 明 さ れ ず 穀 類 科 学 の 命 題 と な っ て い る 。 通常、製パン時には味や香りを付与させるために砂糖、塩、油脂、脱脂粉乳などの副原 料が使用されているが、塩においては生地の伸展性を増大させ製パン性が向上する効果 (Preston, 1989; Butow, 2002) があり、油脂においても生地の伸展性増大により容積の増大お よび柔らかさを改良する効果 (寺田, 1963; 柳原, 1981; 江戸, 1991) があると知られている。 このことからも、生地の伸展性が非常に重要であることが伺える。

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3 しかし、脱脂粉乳においては、ミルクフレーバーによる風味の向上、乳糖による焼き色 の良色化、小麦粉中に尐ない必須アミノ酸を補うことによる栄養価の向上などの効果 (Tanaka ら, 1992) (Table 1) から使用されているが、その一方で製パン性に影響を与える ことが知られている。 脱脂粉乳は、その製造過程において殺菌や噴霧乾燥などの熱処理を受ける。低度加熱脱 脂粉乳の添加によってパンは硬く、比容積が小さくなる (Larson, 1951; Volpe, 1975) (Fig.3)。 一方、高度加熱脱脂粉乳では、低度加熱脱脂粉乳にみられる製パン性の低下は発生しない (Harper, 1984)。このため、製パンにおいては一般に高度加熱脱脂粉乳が用いられている。 そこで、この脱脂粉乳による製パン性への影響を解析することで、従来解析が困難であ ったグルテンの形成機序を分子レベルで解析できると考えた。 加熱により影響を受ける因子に乳タンパク質がある。乳タンパク質の加熱変性に関して は多くの研究が行われ、熱感受性が低いカゼインと熱感受性が高いホエータンパク質に大 別される (Table 2)。カゼインは乳中で微細な球状粒子のミセルとして存在し、その表面 には糖鎖をもつκ-カゼイン (κ-CN) が被覆し、ミセルの安定性を保持している

(Waugh,1970; Mihaia, 1983; Walstra, 1990) (Fig.4)。加熱により、この κ-CN はホエ−

タンパク質のβ-ラクトグロブリン (β-Lg) とジスルフィド結合を介し、複合体を形成する

ことが知られている (Zittle, 1962; Sawyer, 1963; Jang, 1990) (Fig.5)。そのため、これらの 知見をもとに、製パン性に影響を与える因子として、乳タンパク質が着眼されるようにな り、乳タンパク質の加熱変性度と製パン性との関係について検討した報告はある (Miyamoto ら, 2009) が、その機序の詳細は未解明である。 そ こ で 本 研 究 で は 、小 麦 粉 生 地 グ ル テ ン の 形 成 機 序 解 明 を 目 的 と し 、製 パ ン 業 界 で は 既 知 の 知 見 と し て 知 ら れ て い る 脱 脂 粉 乳 お よ び 乳 タ ン パ ク 質 の 製 パ ン 性 へ の 影 響 機 序 を 解 析 す る こ と に し た 。

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Ⅰ . 製 パ ン 性 に 影 響 を 与 え る 乳 タ ン パ ク 質 の 特 定

乳タンパク質の加熱変性度と製パン性との関係について検討した報告はある (Miyamoto ら, 2009) が、その機序の詳細は未だ不明である。そこで本章では、先ず製パン性に影響を 与える因子を探索するため、低度加熱脱脂粉乳の製パン性低下および高度加熱脱脂粉乳の 製パン性低下の回復に関与する乳タンパク質の特定を行った。 1. 試 料 お よ び 実 験 方 法 1.1. 試 料 東 京 農 業 大 学 富 士 農 場 で 飼 育 さ れ て い る ホ ル ス タ イ ン 種 よ り 搾 乳 し た 生 乳 を 40℃ に 加 温 し 、 ク リ ー ム セ パ レ ー タ ー に て 乳 脂 肪 を 分 離 除 去 し 、 非 加 熱 脱 脂 乳 を 得 た 。さ ら に 、非 加 熱 脱 脂 乳 を 50~ 90℃ の 各 温 度 域 に て 30 分 間 処 理 し 加 熱 脱 脂 乳 を 調 製 し た 。 ま た 、 小 麦 粉 に は 強 力 粉 (カ メ リ ア , 日 清 製 粉 ) を 用 い た 。 1.2. カ ゼ イ ン と ホ エ ー タ ン パ ク 質 の 分 画 カ ゼ イ ン の 分 画 は 、 Fairise ら (1999; Huppertz, 2004) の 方 法 に 従 い 超 遠 心 分 離 (45,000 ×g, 45 分 , 4 ℃ ) に て 行 っ た 。α-La お よ び β-Lg は Aschaffeburg ら (1957) の 方 法 に 従 い 分 画 を 行 っ た 。す な わ ち 、脱 脂 乳 300ml に 6N HCl を 加 え 、遠 心 分 離 (18,000 ×g, 4℃ , 20 分 ) に よ っ て 沈 殿 を 除 去 後 、上 清 を 濃 塩 酸 に て pH2.0 に 調 製 し 遠 心 分 離 (18,000 ×g, 4 ℃ ,20 分 ) に て さ ら に 上 清 と 沈 殿 物 に 分 け た 。得 ら れ た 上 清 を 純 水 に て 透 析 後 、凍 結 乾 燥 し 、β-ラ ク ト グ ロ ブ リ ン (β-Lg) を 得 た 。 ま た 、 沈 殿 物 を 尐 量 の 10% NH4OH 溶 液 に 溶 解 さ せ 、同 様 に 透 析 、凍 結 乾 燥 を 行 い α-La を 得 た (Fig.6)。得 ら れ た 乳 タ ン パ ク 質 は 0.1M リ ン 酸 緩 衝 液 (pH7.0) に て 溶 解 し Lowry 法 (Hartree, 1972) を 用 い タ ン パ ク 質 量 を 定 量 後 、精 製 度 (% ,タ ン パ ク 質 量 /粉 末 重 量 ) を 求 め 80% 以 上 の も の を 試 料 と し た 。な お 、各 タ ン パ ク 質 の 検 量 線 に は 、そ れ ぞ れ α-La

(SIGMA 社 製 , Approx: 85%) と β-Lg (SIGMA 社 製 , Approx: 80%) を 用 い て 作 成 し た 。 さ ら に 、 精 製 の 確 認 を SDS-PAGE (Leammli, 1970) を 用 い て 行 い 、 夾 雑 タ ン パ ク 質 が な い 試 料 を 試 験 に 供 し た 。

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9 1.3. Lowry 法 に よ る タ ン パ ク 質 の 定 量 Hartreeら (1972) の 方 法 に 従 っ て 行 っ た 。 試 料 液 100μlに A試 薬 (酒 石 酸 ナ ト リ ウ ム カ リ ウ ム 2.0g, 炭 酸 ナ ト リ ウ ム 100gを 1N 水 酸 化 ナ ト リ ウ ム 溶 液 500mlに 溶 解 し , 純 水 に て 1,000ml に 定 容 し た 試 薬 ) 90μlを 加 え て 50℃ で 10 分 加 温 後 、 室 温 に な る ま で 静 置 し 、 B試 薬 (酒 石 酸 ナ ト リ ウ ム カ リ ウ ム 2.0g, 硫 酸 銅 1.0g を 純 水 90ml に 溶 解 し 、1N 水 酸 化 ナ ト リ ウ ム 溶 液 10ml を 加 え た 試 薬 ) 10μl を 加 え 10 分 間 以 上 放 置 し た 。 そ の 後 C試 薬 (

フ ェ ノ ー ル

試 薬 を 純 水 に て 12倍 希 釈 し た 試 薬 ) 300μlを 勢 い よ く 加 え 、50℃ で 10分 加 温 し 、室 温 に な る ま で 静 置 後 、マ イ ク ロ プ レ ー ト に200μl移 し 650nmの 吸 光 度 を 測 定 し た 。 1.4. 未 変 性 ホ エ ー タ ン パ ク 質 態 窒 素 含 有 量 (WPNI) の 測 定 乳 タ ン パ ク 質 の 変 性 度 の 指 標 と し て 用 い ら れ て い る 未 変 性 ホ エ ー タ ン パ ク 質 態 窒 素 含 量 を Kuramoto ら (1959) の 方 法 に 従 い 測 定 し た 。 す な わ ち 、 脱 脂 乳 20ml に 塩 化 ナ ト リ ウ ム 18g を 加 え 、 よ く 攪 拌 し 37℃ に て 30 分 間 保 持 後 、 濾 紙 (No.5, ADVATEC 社 製 ) に て 変 性 ホ エ ー タ ン パ ク 質 を 除 去 し た 。 得 ら れ た 上 澄 液 1ml に 酸 性 飽 和 塩 化 ナ ト リ ウ ム 溶 液 (0.05M フ タ ル 酸 水 素 カ リ ウ ム 含 む 40% 塩 化 ナ ト リ ウ ム 溶 液 , pH2.2) 10ml を 加 え 、未 変 性 ホ エ ー タ ン パ ク 質 を 白 濁 さ せ 、 同 液 の 濁 度 を 420nm に て 測 定 し た 。 な お 、 上 澄 液 1ml に 40% 塩 化 ナ ト リ ウ ム 溶 液 10ml を 添 加 し 測 定 し た 濁 度 を 対 照 と し た 。 次 式 に よ り WPNI (mg/g) を 算 出 し た 。 WPNI (mg/g) = (2 × 0.02149 + 0.50774) × ABS / (2×1/22.67) 1.5. タ ン パ ク 質 表 面 疎 水 性 度 の 測 定 タ ン パ ク 質 表 面 疎 水 性 度 は 、 NAKAI ら (1985; BONOMI, 2004) の 方 法 に 従 い 測 定 し 、タ ン パ ク 質 量 1mg あ た り の 蛍 光 強 度 (Em.380nm, Ex. 480nm) を 表 面 疎 水 性 度 (F.I./mg) と し た 。 1.6. 二 次 元 ポ リ ア ク リ ル ア ミ ド 電 気 泳 動 (2D-PAGE) 一 次 元 目 の Blue-Native-PAGE は Schagger ら (1991, 1994) の 方 法 に 基 づ き 、 泳 動 ゲ ル に は Native-PAGE Bis-Tris Gel System 3-12% (Invitorogen 社 製 ) を 用 い た 。 マ ー カ ー に は Native Mark Unstained Protein Standard (Invitorogen 社 製 ) を 用 い 、CBB 染 色 に て タ ン パ ク 質 の 検 出 を 行 っ た 。泳 動 終 了 後 、切 り 出 し た ゲ ル を 処 理 液 (SDS, 2-メ ル カ プ ト エ タ ノ ー ル , BPB 含 む ) に て 還 元 処 理 後 、二 次 元 目 の SDS-PAGE の ゲ ル 上 部 に 加 熱 溶 解 し た ア ガ ロ ー ス 溶 液 (SDS 含 む ) を 用 い て 固 定 化 し た 。二 次 元 目 の SDS-PAGE は Leammli 法 (1970) に

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て 行 っ た 。 な お 、 マ ー カ ー に は Precision Plus Protein Standard unstained (Bio-Rad 社 製 ) を 用 い 、 Syproruby 染 色 に て タ ン パ ク 質 の 検 出 を 行 っ た 。 1.7. パ ン の 調 製 法 小 麦 粉 200g に 対 し 、 脱 脂 粉 乳 6g、 砂 糖 10g、 塩 4g、 シ ョ ー ト ニ ン グ 8g、 ド ラ イ イ ー ス ト (ス ー パ ー カ メ リ ア , 日 清 製 粉 社 製 ) 4g お よ び 純 水 137g を 配 合 し 、 直 捏 生 地 法 に て 生 地 を 調 製 し た 。 脱 脂 乳 の 添 加 量 は 、 脱 脂 粉 乳 6g に 相 当 す る タ ン パ ク 質 量 (日 本 食 品 標 準 成 分 表 5 訂 ) と な る よ う 調 整 し 、純 水 は 脱 脂 乳 の 水 分 量 を 差 し 引 い た 量 を 添 加 し た 。 混 捏 は ド ウ グ ラ フ (ATTO 社 製 ) に て 行 い 、 生 地 混 捏 終 了 点 は 生 地 物 性 の 最 大 値 (w) と な る 混 捏 時 間 の 110% と し た 。そ の 後 、27℃ 、RH75% に 設 定 し た 発 酵 器 (三 幸 機 械 社 製 ) で 90 分 間 一 次 発 酵 さ せ 、 ガ ス 抜 き 後 、 再 び 27℃ 、 RH75% に て 30 分 間 二 次 発 酵 さ せ た 。発 酵 し た 生 地 を 40g に 分 割 し 成 形 後 、ス テ ン レ ス 製 の 容 器 (直 径 50mm) に 入 れ 38℃ 、 RH85% に て 60 分 間 最 終 発 酵 を 行 っ た 。 そ の 後 、 オ ー ブ ン (三 幸 機 械 社 製 ) で 190℃ 、 15 分 焼 成 し 、 室 温 に て 一 時 間 放 冷 し た 。 1.8. 製 パ ン 性 の 評 価 比 容 積 は 、菜 種 置 換 法 に て 体 積 を 求 め パ ン 重 量 で 除 し た 値 (ml/g) と し た 。 ク ラ ム の 硬 さ は 、パ ン の 中 心 部 を 超 音 波 カ ッ タ ー (USC-3305, 山 電 社 製 ) に て 縦 30mm 横 30mm 高 さ 30mm に カ ッ ト 後 、 物 性 測 定 装 置 (5564 型 , Instron 社 製 ) に て 圧 縮 応 力 を 測 定 し た 。プ ラ ン ジ ャ ー は 直 径 23mm の 円 柱 型 を 用 い 、 33.3% 圧 縮 し た 際 の 圧 縮 荷 重 (N) を 硬 さ と し た 。 な お 、 脱 脂 乳 無 添 加 の 値 を 100 と し 相 対 値 で 示 し た 。 1.9. 小 麦 粉 生 地 ミ キ シ ン グ 耐 性 の 測 定 ド ウ グ ラ フ (ATTO 社 製 ) を 用 い て 生 地 の ミ キ シ ン グ 耐 性 を 測 定 し 、 生 地 強 度 を 評 価 し た 。な お 、生 地 配 合 量 は 上 記 1.7.と 同 様 で 、20℃ に 設 定 し た 恒 温 室 に て 循 環 冷 却 恒 温 装 置 を 20℃ に 設 定 し 10 分 間 混 捏 を 行 っ た 。得 ら れ た 消 費 電 力 量 (w) の チ ャ ー ト を 20 秒 毎 に 平 均 化 し ミ キ シ ン グ カ ー ブ を 得 た 。 1.10. 小 麦 粉 生 地 ガ ス 保 持 力 の 測 定 生 地 は ド ウ グ ラ フ を 用 い て 、 ミ キ シ ン グ カ ー ブ の 最 大 電 力 量 (w) に 達 す る ま で の 平 均 混 捏 時 間 (n=3) の 110% と な る 時 間 ま で 生 地 を 混 捏 後 、生 地 を 専 用 の メ ス シ リ ン ダ ー 内 で 6 時 間 発 酵 (27℃ , RH75% ) さ せ 30 分 毎 に 経 時 的 に 生 地 体 積 を 測 定 し 、体 積 増 加 率 (% ) か ら 生 地 の ガ ス 保 持 力 を 評 価 し た 。

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11 2. 結 果 お よ び 考 察 2.1. 乳 タ ン パ ク 質 の 熱 変 性 に つ い て 非 加 熱 脱 脂 乳 の タ ン パ ク 質 変 性 度 (WPNI) は 8.75±0.54 (±SD) で 、50、60 お よ び 70℃ 処 理 で は そ れ ぞ れ 8.44±0.44、 7.20±0.66 お よ び 6.91±0.33 と 穏 や か に 値 が 低 下 し た が 、80℃ で は 1.13±0.04、90℃ で は 0.77±0.02 と 著 し く 低 下 し た (Fig.7)。 ホ エ ー タ ン パ ク 質 の 加 熱 変 性 は 、 80℃ 付 近 で 急 激 に 進 行 し 、 95% が 加 熱 変 性 す る と 報 告 (Parris ら , 1991) も あ る こ と か ら 、 80℃ 、 30 分 間 の 処 理 で ホ エ ー タ ン パ ク 質 が ほ ぼ 加 熱 変 性 し た と 考 え ら れ た 。 2.2. 乳 タ ン パ ク 質 の 表 面 疎 水 性 度 と 製 パ ン 性 の 関 係 加 熱 処 理 し た 脱 脂 乳 の タ ン パ ク 質 表 面 疎 水 性 度 (F.I./mg) を 測 定 し た 結 果 、60℃ で 298.5±8.3 (±SD) 、70℃ で 298.8±0.2、80℃ で 356.4±23.2、90℃ で 359.0±22.0 を 示 し 、 非 加 熱 脱 脂 乳 に 対 し て 80 お よ び 90℃ 処 理 し た 脱 脂 乳 の タ ン パ ク 質 は 有 意 (p< 0.05) に 高 い 表 面 疎 水 性 度 を 示 し (Fig.8)、 タ ン パ ク 質 変 性 度 が 高 く に な る に 従 い 表 面 疎 水 性 度 が 上 昇 し た 。 こ の 非 加 熱 脱 脂 乳 と 加 熱 脱 脂 乳 を 用 い て 製 パ ン 試 験 を 行 っ た 結 果 、比 容 積 (%) は 非 加 熱 脱 脂 乳 添 加 で 90.2±1.1 と 無 添 加 に 比 べ 低 下 し た が 、60、70、80℃ 加 熱 脱 脂 乳 で は 96.4±1.8、98.0±1.9、100.4±1.7 を 示 し た (Table 3)。ま た 、硬 さ (%) は 非 加 熱 脱 脂 乳 添 加 で 138.0±11.3 と 高 い 値 を 示 し た の に 対 し 、 60、 70、 80℃ 加 熱 脱 脂 乳 で は 132.5±8.5、 130.0±14.8、 99.9±14.0 を 示 し た 。 さ ら に 、生 地 混 捏 時 の ミ キ シ ン グ 耐 性 を 測 定 し た と こ ろ 、非 加 熱 脱 脂 乳 で は 生 地 強 度 の 最 大 値 を 示 す デ ィ ベ ロ ッ プ 直 後 の 生 地 強 度 の 低 下 が 著 し い の に 対 し 、80℃ 処 理 し た 加 熱 脱 脂 乳 で は 無 添 加 と ほ ぼ 同 様 に 推 移 し た (Fig.9A)。 ま た 、発 酵 時 の 生 地 体 積 の 増 加 率 を 測 定 し た と こ ろ 、非 加 熱 脱 脂 乳 は 増 加 率 が 無 添 加 生 地 の 約 50% を 示 し ガ ス 保 持 力 が 著 し く 低 下 し た (Fig.9B)。 非 加 熱 脱 脂 乳 で は 製 パ ン 性 お よ び 小 麦 粉 生 地 物 性 が 著 し く 低 下 し た が 、加 熱 温 度 の 上 昇 つ ま り タ ン パ ク 質 表 面 疎 水 性 度 の 上 昇 に 従 い 製 パ ン 性 が 回 復 し 、80℃ 処 理 に お い て は 無 添 加 と ほ ぼ 同 様 な 値 を 示 し 、製 パ ン 性 お よ び 小 麦 粉 生 地 物 性 は 低 下 し な い こ と が 確 認 さ れ た 。 ま た 、 脱 脂 乳 の 熱 履 歴 指 標 の WPNI が 小 さ い 加 熱 脱 脂 乳 で は 製 パ ン 性 が 阻 害 さ れ な い こ と か ら 、未 変 性 の ホ エ ー タ ン パ ク 質 が 製 パ ン 性 お よ び 小 麦 粉 生 地 物 性 の 低 下 に 関 与 す る こ と が 推 察 さ れ た 。

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16 2.3. 製 パ ン 性 に 及 ぼ す ホ エ ー タ ン パ ク 質 の 影 響 前 述 の 試 験 の 結 果 、非 加 熱 脱 脂 乳 の 添 加 に よ る 製 パ ン 性 の 低 下 が 未 変 性 の ホ エ ー タ ン パ ク 質 の 作 用 で あ る こ と が 示 唆 さ れ た の で 、非 加 熱 脱 脂 乳 よ り カ ゼ イ ン 、α-La お よ び β-Lg を 分 離 し 、 そ れ ら を 生 地 に 添 加 し 製 パ ン 試 験 を 行 っ た 。 そ の 結 果 、 カ ゼ イ ン で は 非 加 熱 が 比 容 積 88.5±5.5、 硬 さ 114.8±13.0、 加 熱 が 比 容 積 96.1±3.7、硬 さ 104.2±17.2 を 示 し 無 添 加 に 対 し 有 意 差 は み ら れ ず 、 カ ゼ イ ン は 製 パ ン 性 に 大 き な 影 響 を 及 ぼ さ な か っ た (Table 4)。 一 方 、 α-La で は 非 加 熱 が 比 容 積 83.0±0.9、硬 さ 200.8±9.6、同 加 熱 が 比 容 積 85.1±4.3、 硬 さ 171.4±5.6、 β-Lg 非 加 熱 で は 比 容 積 80.2±5.3、 硬 さ 215.7±19.0、 同 加 熱 で は 比 容 積 79.1±6.0、硬 さ 196.5±22.5 を 示 し α-La お よ び β-Lg で は 非 加 熱 お よ び 加 熱 の ど ち ら の 状 態 で も 製 パ ン 性 を 低 下 さ せ た 。 ま た 、生 地 混 捏 時 の ミ キ シ ン グ 耐 性 を 測 定 し た と こ ろ 、カ ゼ イ ン は 無 添 加 と ほ ぼ 同 様 の ミ キ シ ン グ カ ー ブ が 得 ら れ た が 、α-La は デ ィ ベ ロ ッ プ 直 後 の 低 下 が 著 し く 、β-Lg は デ ィ ベ ロ ッ プ 時 の 最 大 値 が 低 く 、 両 ホ エ ー タ ン パ ク 質 と も に 生 地 物 性 が 顕 著 に 低 下 し た (Fig.10A)。 ガ ス 保 持 力 に お い て も 、 カ ゼ イ ン は 無 添 加 と 比 較 し 若 干 低 い も の の 、 ほ ぼ 同 様 に 推 移 し た の に 対 し て 、 α-La お よ び β-Lg は 、無 添 加 生 地 の 約 50% 程 度 で 、著 し く ガ ス 保 持 力 が 低 下 し た (Fig.10B)。 次 い で 、カ ゼ イ ン 、α-La お よ び β-Lg を 混 合 し て 製 パ ン 試 験 を 行 っ た 結 果 、 混 合 非 加 熱 で は 比 容 積 が 79.4±2.3、硬 さ が 210.4±10.8 と 大 き く 製 パ ン 性 が 低 下 し た が 、 混 合 加 熱 で は 比 容 積 が 93.4±4.3、 硬 さ は 113.0±5.0 を 示 し 無 添 加 と 有 意 な 差 は な く 製 パ ン 性 の 低 下 が 抑 制 さ れ た (Table 5)。 こ ち ら も 同 様 に 生 地 物 性 を 測 定 し た と こ ろ 、混 合 非 加 熱 で は デ ィ ベ ロ ッ プ 直 後 の 生 地 強 度 の 低 下 、そ し て ガ ス 保 持 力 の 低 下 が 確 認 さ れ た (Fig.11A) の に 対 し て 、混 合 加 熱 で は そ の 影 響 は み ら れ ず 無 添 加 と ほ ぼ 同 程 度 ま で 回 復 が み ら れ た (Fig.11B)。 以 上 の こ と か ら 、非 加 熱 脱 脂 乳 の 添 加 に よ る 製 パ ン 性 お よ び 小 麦 粉 生 地 物 性 の 低 下 は 、α-La お よ び β-Lg の 作 用 で あ る こ と が 明 ら か に な っ た 。し か し 、 こ れ ら の 製 パ ン 性 阻 害 は 加 熱 変 性 し た 状 態 で も 回 復 せ ず 、カ ゼ イ ン と 混 合 し 加 熱 し た 場 合 お よ び 先 に 示 し た よ う に 加 熱 脱 脂 乳 で は 製 パ ン 性 お よ び 生 地 形 成 の 阻 害 が み ら れ な い こ と か ら 、加 熱 脱 脂 乳 に お け る α-La お よ び β-Lg の 製 パ ン 性 阻 害 作 用 の 消 失 に カ ゼ イ ン の 関 与 が 示 唆 さ れ た 。

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2.4. 2D-PAGE に よ る 乳 タ ン パ ク 質 の 熱 変 性 の 挙 動 解 析

加 熱 に よ る 乳 タ ン パ ク 質 の 挙 動 を 2D-PAGE に て 解 析 し た 。 一 次 元 目 の Blue-Native -PAGE で は 、 非 加 熱 脱 脂 乳 で 1,200kDa 付 近 に カ ゼ イ ン ミ セ ル が 確 認 さ れ た が 、80℃ 加 熱 脱 脂 乳 で は カ ゼ イ ン ミ セ ル よ り も 高 分 子 量 域 に 特 異 的 な タ ン パ ク 質 複 合 体 が 確 認 さ れ た (Fig.12)。次 に 、 二 次 元 目 を SDS-PAGE (Me+) に て 泳 動 し た と こ ろ 、 加 熱 脱 脂 乳 で は カ ゼ イ ン ミ セ ル に 含 ま れ る κ-CN が 尐 な く な り 、1,200kDa 以 上 の 高 分 子 量 域 に κ-CN と β-Lg そ し て α-La の バ ン ド が 確 認 さ れ た (Fig.13)。 κ-CN と β-Lg は 、 加 熱 に よ り SS 結 合 し 複 合 体 を 形 成 す る こ と が 既 に 報 告 (Zittle, 1962; Sawyer, 1963; Jang, 1990) さ れ て い

る が 、カ ゼ イ ン ミ セ ル 表 面 に 被 覆 し て い る κ-CN は β-Lg と SS 結 合 し 複 合 体 を 形 成 す る こ と で カ ゼ イ ン ミ セ ル か ら 脱 離 す る こ と を 明 ら か に し た (Fig.14)。さ ら に 、新 た に α-La も こ の 加 熱 複 合 体 形 成 に 関 与 す る こ と が 確 認 さ れ た 。 そ こ で 、カ ゼ イ ン と α-La を 混 合 加 熱 し 、同 様 に 2D-PAGE に て 解 析 を 行 っ た 結 果 、一 次 元 目 で は 高 分 子 複 合 体 は 検 出 さ れ ず 、二 次 元 目 に お い て も 、カ ゼ イ ン と と も に α-La は 低 分 子 量 域 に 留 ま っ て い た (Fig.15)。 一 方 、 カ ゼ イ ン と α-La お よ び β-Lg を 混 合 し 加 熱 す る と α-La は カ ゼ イ ン 、 β-Lg と と も に 高 分 子 量 域 に 検 出 さ れ た 。こ の こ と か ら 、α-La は β-Lg を 介 し て κ-カ ゼ イ ン と 複 合 体 を 形 成 す る こ と が 明 ら か に な っ た 。 2.5. β-Lg と κ-CN の 表 面 疎 水 性 度 に つ い て 前 述 の 試 験 の 結 果 、α-La は β-Lg を 介 し て で な い と κ-CN と 複 合 体 を 形 成 し な い こ と が 明 ら か に な っ た た め 、β-Lg と κ-CN の 両 者 の 複 合 体 が 製 パ ン 性 に 大 き く 関 わ っ て い る こ と が 示 唆 さ れ た 。 そ こ で 、 非 加 熱 脱 脂 乳 よ り β-Lg お よ び κ-CN を 分 画 し (Fig.16)、両 者 の タ ン パ ク 質 表 面 疎 水 性 度 (F.I./mg) を 測 定 し た と こ ろ 、β-Lg 非 加 熱 で は 40.2±1.3 (±SD) を 示 し た の に 対 し 、 κ-CN 非 加 熱 で は 101.8±1.9 を 示 し 製 パ ン 性 低 下 要 因 の β-Lg が 低 い 値 を 示 し た (Table 6)。 ま た 、 両 タ ン パ ク 質 の 混 合 試 料 も 測 定 し た と こ ろ 、 非 加 熱 で は 71.1±1.1、 混 合 加 熱 で は 123.8±2.1 を 示 し 混 合 加 熱 に よ り 有 意 に 上 昇 し た 。 以 上 の こ と か ら 、 脱 脂 乳 を 加 熱 処 理 す る と β-Lg が κ-カ ゼ イ ン と SS 結 合 に よ る 高 分 子 複 合 体 を 形 成 す る こ と で β-Lg の 表 面 疎 水 性 度 が 上 昇 し 、 そ れ に よ っ て 製 パ ン 性 の 阻 害 作 用 が 低 下 す る こ と が 推 察 さ れ た 。

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28 2.6. β-Lg と κ-CN の 加 熱 複 合 体 形 成 が 製 パ ン 性 に 与 え る 影 響 に つ い て 前 述 の 試 験 の 結 果 、β-Lg と κ-CN の 加 熱 複 合 体 形 成 が 製 パ ン 性 に 関 与 す る こ と が 示 唆 さ れ た た め 、両 者 を 非 加 熱 の 状 態 で そ れ ぞ れ 生 地 に 添 加 し 製 パ ン 試 験 を 行 っ た 。そ の 結 果 、無 添 加 と 比 較 し β-Lg 添 加 に お い て 比 容 積 (%) は 80.2±5.3 (±SD)、硬 さ (%) は 215.7±19.0 を 示 し 有 意 (p> 0.05) に 製 パ ン 性 が 低 下 し た が 、κ-CN 添 加 で は 89.9±0.9、 112.8±9.6 を 示 し 硬 さ に お い て 有 意 差 は み ら れ た が 、β-Lg 添 加 ほ ど 製 パ ン 性 の 低 下 は み ら れ な か っ た 。 ま た 、 両 乳 タ ン パ ク 質 を そ れ ぞ れ 加 熱 (80℃ , 30 分 )し 同 様 に 試 験 し た と こ ろ 、非 加 熱 試 料 と 同 様 、β-Lg 添 加 で は 製 パ ン 性 を 大 き く 低 下 さ せ 、 κ-CN 添 加 で は 有 意 な 差 は な く 製 パ ン 性 低 下 は み ら れ な か っ た (Table 7)。 さ ら に 、 両 乳 タ ン パ ク 質 を 混 合 加 熱 し た と こ ろ 、比 容 積 105.4±4.3、硬 さ 86.0±5.0 を 示 し β-Lg の 製 パ ン 性 阻 害 作 用 が 消 失 し 製 パ ン 性 が 回 復 し た 。 次 い で 、β-Lg と κ-CN の 混 合 試 料 を 生 地 に 添 加 し 、生 地 混 捏 時 の ミ キ シ ン グ 耐 性 を 測 定 し た と こ ろ 、混 合 非 加 熱 で は デ ィ ベ ロ ッ プ 直 後 の 生 地 強 度 の 低 下 が 著 し く 生 地 強 度 が 低 下 し た が 、混 合 加 熱 で は 無 添 加 と 同 様 に 推 移 し 生 地 強 度 の 低 下 は み ら れ な か っ た (Fig.17A)。 さ ら に 、 ガ ス 保 持 力 を 測 定 し た と こ ろ 、 混 合 非 加 熱 は 無 添 加 生 地 の 約 50% 程 度 の 体 積 増 加 率 を 示 し 著 し く ガ ス 保 持 力 が 低 下 し た (Fig.17B) の に 対 し て 、混 合 加 熱 で は 無 添 加 生 地 よ り も 体 積 増 加 率 が 高 く ガ ス 保 持 力 が 上 昇 傾 向 を 示 し た 。 以 上 の こ と か ら 、 製 パ ン 性 お よ び 生 地 形 成 に 影 響 を 与 え る β-Lg は 、 カ ゼ イ ン ミ セ ル 表 面 に 被 覆 す る κ-CN と SS 結 合 す る こ と で 、 β-Lg の 製 パ ン 性 阻 害 作 用 が 消 失 す る こ と が 明 ら か に な っ た 。

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31 3. 要 約 本 章 で は 、乳 タ ン パ ク 質 の 加 熱 変 性 と 製 パ ン 性 と の 関 係 に つ い て 検 討 を 行 い 、製 パ ン 性 に 与 え る 乳 タ ン パ ク 質 の 特 定 を 行 っ た 。非 加 熱 脱 脂 乳 に よ る 製 パ ン 性 阻 害 は 脱 脂 乳 を 80℃ 処 理 す る こ と で 抑 制 さ れ 、 無 添 加 と 同 様 の 製 パ ン 性 を 示 し た 。 非 加 熱 脱 脂 乳 か ら 分 画 し た カ ゼ イ ン 、α-La お よ び β-Lg を 加 熱 処 理 し 製 パ ン 性 へ の 影 響 を 調 べ た と こ ろ 、カ ゼ イ ン は 加 熱 、非 加 熱 に か か わ ら ず 製 パ ン 性 に 影 響 を 及 ぼ さ な か っ た が 、α-La お よ び β-Lg は 何 れ の 状 態 で も 製 パ ン 性 を 阻 害 し た 。 し か し 、 カ ゼ イ ン と α-La、 β-Lg を 混 合 加 熱 す る と 、ホ エ ー タ ン パ ク 質 の 阻 害 作 用 は 消 失 し 製 パ ン 性 の 低 下 は み ら れ な か っ た 。 こ の こ と か ら 、加 熱 脱 脂 乳 に お け る α-La お よ び β-Lg の 製 パ ン 性 阻 害 作 用 の 消 失 に カ ゼ イ ン の 関 与 が 示 唆 さ れ た 。 そ こ で 、加 熱 に よ る 乳 タ ン パ ク 質 の 挙 動 を 2D-PAGE に て 解 析 し た と こ ろ 、 κ-CN と α-La お よ び β-Lg が ジ ス ル フ ィ ド (SS) 結 合 に て 複 合 体 を 形 成 し て い た 。 加 熱 に よ る β-Lg と κ-CN の SS 結 合 複 合 体 形 成 は 既 に 報 告 (Zittle, 1962; Sawyer, 1963; Jang, 1990) さ れ て い る が 、 α-La は β-Lg を 介 し て κ-CN と 複 合 体 形 成 す る こ と を 初 め て 確 認 し た 。さ ら に 、カ ゼ イ ン ミ セ ル 表 面 に 被 覆 し て い る κ-CN は 加 熱 に よ り β-Lg と 複 合 体 を 形 成 す る こ と で ミ セ ル か ら 脱 離 す る こ と を 明 ら か に し た 。 κ-CN と β-Lg は 複 合 体 を 形 成 す る こ と で 表 面 疎 水 性 度 が 上 昇 す る が 、κ-CN は カ ゼ イ ン の 中 で も 比 較 的 親 水 性 の タ ン パ ク 質 で あ る た め 、κ-CN の 解 離 に よ り カ ゼ イ ン ミ セ ル の 表 面 疎 水 性 度 も 上 昇 す る こ と が 推 察 さ れ 、非 加 熱 脱 脂 乳 の 加 熱 処 理 に よ り 乳 タ ン パ ク 質 全 体 の 疎 水 性 度 が 高 ま る こ と が 示 唆 さ れ た 。ま た 、表 面 疎 水 性 度 が 上 昇 し た κ-CN/β-Lg 複 合 体 を 小 麦 粉 生 地 に 添 加 し 製 パ ン 試 験 を 行 っ た と こ ろ 、β-Lg の 製 パ ン 性 阻 害 作 用 は 消 失 し 製 パ ン 性 の 低 下 は み ら れ な か っ た 。 以 上 の こ と よ り 、非 加 熱 脱 脂 乳 に よ る 製 パ ン 性 の 低 下 は 、α-La お よ び β-Lg が 原 因 物 質 で あ る こ と 、こ れ ら の タ ン パ ク 質 は 加 熱 処 理 に よ っ て κ-CN と SS 結 合 に よ り 複 合 体 を 形 成 す る こ と で 製 パ ン 性 へ の 影 響 が 消 失 す る こ と を 明 ら か に し た 。

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Ⅱ . グ ル テ ン 形 成 に 及 ぼ す 乳 タ ン パ ク 質 の 影 響 要 因 に つ い て

こ れ ま で 、ホ エ ー タ ン パ ク 質 で あ る α-La と β-Lg は 、未 変 性 状 態 で は 製 パ ン 性 を 低 下 さ せ る こ と を 明 ら か に し た 。ま た 、両 ホ エ ー タ ン パ ク 質 と カ ゼ イ ン を 混 合 し 加 熱 す る と そ れ ら の 製 パ ン 性 阻 害 が 消 失 す る と と も に 、加 熱 に よ っ て κ-CN と β-Lg が SS 結 合 に よ り 複 合 体 を 形 成 す る こ と を 明 ら か に し た 。 し か し 、こ れ ら 乳 タ ン パ ク 質 の 変 性 状 態 が 小 麦 粉 生 地 の 骨 格 と な る グ ル テ ン の 形 成 性 に ど の よ う に 影 響 を 及 ぼ し て い る の か は 未 解 明 で あ る 。 そ こ で 本 章 で は 、β-Lg の 製 パ ン 性 低 下 の 要 因 な ら び に β-Lg が κ-CN と 複 合 体 を 形 成 す る こ と に よ る 製 パ ン 性 低 下 作 用 の 消 失 に つ い て 、小 麦 粉 タ ン パ ク 質 と β-Lg の 分 子 間 相 互 作 用 に 着 眼 し 検 討 を 行 っ た 。 1. 試 料 お よ び 実 験 方 法 1.1. 試 料 1 章 の 1.1.と 同 様 、 生 乳 よ り 調 製 し た 非 加 熱 脱 脂 乳 お よ び 小 麦 粉 (カ メ リ ア , 日 清 製 粉 社 製 ) を 試 料 に 用 い た 。 ま た 、 グ リ ア ジ ン お よ び グ ル テ ニ ン は 市 販 品 (TCI 社 製 )を 用 い た 。 1.2. 乳 タ ン パ ク 質 の 分 画 β-Lg は Aschaffeburg ら (1957) の 方 法 に 従 い 分 画 し た (Fig.6)。ま た 、κ-CN は Igarashi ら (1995; 1999) の 方 法 に 従 い 分 画 し た 。す な わ ち 、脱 脂 乳 300ml に 4M チ オ シ ア ン 酸 ナ ト リ ウ ム 100ml、99.5% エ タ ノ ー ル 400ml、0.75M 塩 化 カ ル シ ウ ム (50% エ タ ノ ー ル ) 200ml を 加 え 氷 上 で 30 分 間 攪 拌 後 、遠 心 分 離 (9,800×g, 4℃ , 30 分 )に よ っ て 沈 殿 物 を 回 収 し た 。そ の 沈 殿 物 を 4M 尿 素 - 0.04M 塩 化 ナ ト リ ウ ム -0.03M エ チ レ ン ジ ア ミ ン 四 酢 酸 ( pH7.8) で 溶 解 し 、 遠 心 分 離 (9,800×g, 4℃ , 30 分 ) に よ っ て 上 部 の 脂 肪 層 を 除 去 し た 。そ の 上 清 500ml に 2-メ ル カ プ ト エ タ ノ ー ル 5ml を 添 加 し 、1 時 間 室 温 で 攪 拌 し た 。0.2M リ ン 酸 水 素 二 ナ ト リ ウ ム 、2M 塩 化 カ ル シ ウ ム を 交 互 に 半 量 ず つ 添 加 し 、6N 塩 酸 で pH 6.4 に 調 製 し た 。 そ の 後 、 終 濃 度 が 3M 尿 素 、 0.03M リ ン 酸 水 素 二 ナ ト リ ウ ム 、 0.075M 塩 化 カ ル シ ウ ム に な る よ う 希 釈 し 、 遠 心 分 離 (1,900×g, 室 温 , 10 分 ) に よ っ て 上 清 を 得 た 。 そ の 上 清 は 6N 塩 酸 で pH4.7 に 調 製 し 、尿 素 濃 度 1.8M に な る よ う に 純 水 で 希 釈 し た 。遠 心 分 離 (1,900×g, 室 温 , 10 分 ) に よ っ て 沈 殿 を 除 去 し 、上 清 に 237g/l の 濃 度 に な る よ う に 硫 酸 ア ン モ ニ ウ ム を 加 え 溶 解 後 静 置 し た 。遠 心 分 離 (1,900×g, 室 温 , 10 分 ) に よ

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33 っ て 集 め た 沈 殿 を 純 水 に 分 散 さ せ 一 晩 透 析 し た も の を κ-CN と し た (Fig.18)。 な お 、 精 製 タ ン パ ク 質 は 凍 結 乾 燥 (RLEⅡ -205, 共 和 真 空 社 製 ) さ せ 試 料 に 用 い た 。 1.3. 小 麦 粉 タ ン パ ク 質 と β-Lg の 分 子 間 相 互 作 用 の 解 析 グ リ ア ジ ン (TCI 社 製 ) お よ び グ ル テ ニ ン (TCI 社 製 ) 0.5g に 脱 脂 乳 0.5ml (タ ン パ ク 質 量 と し て 4mg) ま た は 0.1M リ ン 酸 緩 衝 液 (pH7.0) に 溶 解 し た β-Lg と κ-CN の 混 合 試 料 0.5ml (タ ン パ ク 質 量 と し て 2mg ず つ ) を 添 加 し 混 合 し た 。そ の 後 、混 合 物 に 超 純 水 を 加 え 十 分 に 攪 拌 洗 浄 し 余 分 な 乳 タ ン パ ク 質 を 除 き 、 残 渣 を β-Lg お よ び κ-CN 抗 体 と の 反 応 に 供 し た 。 な お 、 一 次 抗

体 と し て β-Lg は Rabbit anti-Bovine beta-Lactoglobulin Antibody Affinity Purified (BETHYL Laboratories 社 製 ) 、 κ-CN は Anti-Bovine Casein Sheep (BIODESINE 社 製 ) を 用 い 、 二 次 抗 体 と し て β-Lg は ECL Anti -Rabbit IgG HRP-linked whole antibody from donkey (GE Healthcare 社 製 ) 、 κ-CN は HRP-linked Anti Sheep IgG from Rabbit (Santa Cruz Biotechnology 社 製 ) を 用 い た 。 検 出 に は ECL PLUS Western Blotting Detection Reagents (GE Healthcare 社 製 ) を 用 い て ChemiDoc (Bio-Rad 社 製 ) に よ り 行 っ た 。 1.4. グ リ ア ジ ン の 抽 出 Shewry ら (1983) の 方 法 に 従 い グ リ ア ジ ン を 抽 出 し た 。す な わ ち 、小 麦 粉 20g に 10 倍 容 の 70% エ タ ノ ー ル を 加 え 室 温 で 2 時 間 振 盪 し た 後 、遠 心 分 離 (6,000×g, 10min.) し 、上 澄 液 に 400ml の 1.5M 塩 化 ナ ト リ ウ ム 溶 液 を 加 え 一 晩 低 温 で 振 盪 し た 。 そ の 後 、 遠 心 分 離 (6,000×g, 10min.) に よ り 得 ら れ た 沈 殿 物 を 0.1M 酢 酸 溶 液 に て 溶 解 し 、水 に て 透 析 後 、凍 結 乾 燥 を 行 い 試 料 と し た 。 1.5. 疎 水 性 ク ロ マ ト グ ラ フ ィ ー に よ る タ ン パ ク 質 の 疎 水 性 度 の 挙 動 解 析 上 記 よ り 抽 出 し た グ リ ア ジ ン 2mg を 0.1M 酢 酸 緩 衝 液 (pH5.0) 1ml に 溶 解 し 、 同 緩 衝 液 に て 平 衡 化 さ せ た Butyl-Toyopearl 650S (φ1.35cm×4cm) に 供 し た 。 そ の 後 、 エ タ ノ ー ル 濃 度 0、 40、 100%の ス テ ッ プ ワ イ ズ 溶 出 を 行 い 、 タ ン パ ク 質 は 280nm の 紫 外 部 吸 収 に て 検 出 し た 。ま た 、同 緩 衝 液 に て pH5.0 に 調 製 し た β-Lg と κ-CN の 混 合 試 料 (タ ン パ ク 質 量 と し て 1mg ず つ ) 1ml を 同 担 体 に 供 し 同 様 に 溶 出 を 行 っ た 。そ の 後 、溶 出 し た 各 画 分 に お い て ド ッ ト ブ ロ ッ ト 法 に よ り β-Lg の 検 出 を 行 っ た 。な お 、抗 体 は 上 記 1.3.を 使 用 し た 。

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35 1.6. グ リ ア ジ ン の 溶 解 挙 動 の 解 析 抽 出 し た グ リ ア ジ ン 1g に β-Lg と κ-CN の 混 合 試 料 (タ ン パ ク 質 量 と し て 5mg ず つ ) 1ml を 添 加 し 混 合 し た 。 そ の 後 、 Frances ら (2005) の 方 法 を 改 良 し グ リ ア ジ ン を 溶 媒 分 画 し 、乳 タ ン パ ク 質 が 与 え る グ リ ア ジ ン の 溶 解 挙 動 を 解 析 し た 。す な わ ち 、グ リ ア ジ ン と 乳 タ ン パ ク 質 の 混 合 物 に 純 水 5ml を 加 え ホ モ ジ ナ イ ザ ー (ヒ ス コ ト ロ ン ,マ イ ク ロ テ ッ ク ・ ニ チ オ ン 社 製 ) に て 分 散 後 、遠 心 分 離 (6,000×g,20 分 間 ,室 温 ) し 上 澄 液 (可 溶 性 画 分 ,S1) を 得 た 。 さ ら に 、 沈 殿 に 対 し 50mM ト リ ス -塩 酸 緩 衝 液 (pH7.8, S2) を 加 え て 同 様 の 操 作 を 行 い 、 順 次 50% プ ロ パ ノ ー ル 溶 液 (S3)、 0.1M 酢 酸 溶 液 (S4) 、 1% SDS 溶 液 (S5) お よ び 0.1N 水 酸 化 ナ ト リ ウ ム 溶 液 (S6) に て 各 可 溶 性 画 分 を 得 た 。得 ら れ た 画 分 S1~ S4 は Brad-ford 法 に て 、画 分 S5 お よ び S6 は Lowry 法 お よ び BCA 法 に よ り タ ン パ ク 質 量 を 定 量 し た 。 そ の 後 、 各 画 分 は ゲ ル 濃 度 15%の SDS-PAGE (Me+) に 供 し 、Hirano と Watanabe (1990) の セ ミ ド ラ イ ブ ロ ッ テ ィ ン グ 法 に よ り PVDF 膜 に タ ン パ ク 質 を 転 写 後 、ウ エ ス タ ン ブ ロ ッ ト 法 に て グ リ ア ジ ン を 検 出 し た 。 な お 、 グ リ ア ジ ン の 一 次 抗 体 に は Anti Gliadin from Mouse CE -3 (Cosmo Bio 社 製 )、二 次 抗 体 に は ECL Anti -Mouse IgG、 HRP-linked whole antibody from sheep (GE Healthcare 社 製 ) を 用 い て グ リ ア ジ ン を 検 出 し た 。ま た 、β-Lg お よ び κ-CN の 溶 出 挙 動 も 同 様 に 各 抗 体 を 用 い て 検 出 し た 。

1.7. Brad ford 法 に よ る タ ン パ ク 質 の 定 量

96 穴 マ イ ク ロ プ レ ー ト に 10μl の タ ン パ ク 質 溶 液 を 入 れ Protein Assay Regent (BIO RAD Lab.) を 200μl 加 え て 室 温 で 15 分 間 放 置 後 、 マ イ ク ロ プ レ ー ト リ ー ダ ー SH-1000 (CORONA 社 製 ) に て 595nm に お け る 吸 光 度 の 測 定 を 行 な っ た 。 な お 、 検 量 線 は BSA (Wako 社 製 , Assay: 95.0%) を 用 い た 。

1.8. BCA 法 に よ る タ ン パ ク 質 の 定 量

タ ン パ ク 質 溶 液 中 に ア ル コ ー ル お よ び 界 面 活 性 剤 が 含 ま れ て い る 試 料 の

み QuantiPro™ BCA Assay Kit (SIGMA 社 製 ) を 用 い て タ ン パ ク 質 の 定 量 を 行

っ た 。 な お 、 検 量 線 は BSA (Wako 社 製 , Assay: 95.0%) を 用 い て 作 成 し た 。

1.9. Acid-PAGE

Houwingら (1987; Crements, 1987; Hussasin, 1989 ) の 方 法 に て 行 っ た 。 GEL stock (ア ク リ ル ア ミ ド 23.2gお よ び ビ ス ア ク リ ル ア ミ ド 1.47gを 純 水 に 溶 解 し 200mlに 定 容 ) 10ml、GEL Buffer (37mM Tris-lactate buffer pH7.5) 10ml、0.27M

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亜 硫 酸 ナ ト リ ウ ム 溶 液200μl、0.11M 過 硫 酸 ア ン モ ニ ウ ム 溶 液 100μlを 空 気 が

入 ら な い よ う 混 合 し 、素 早 く ガ ラ ス 板 に 流 し 込 み 一 時 間 以 上 室 温 で 放 置 し 重 合 さ せ た 。 ゲ ル が 調 製 後 、 泳 動 槽 に Running Buffer (5mM Tris-lactate buffer pH3.1) を 流 し 込 み シ ー ル ガ ス ケ ッ ト を 外 し た ガ ラ ス 板 を 空 気 が 入 ら な い よ う に 傾 け な が ら 入 れ 、 ゲ ル 上 部 を Running Bufferで 満 た し コ ー ム を 抜 き 取 っ た 。そ の 後 、電 極 を 逆 に 差 し 込 み 10mA/枚 の 条 件 で 予 備 泳 動 を 一 時 間 行 っ た 。 予 備 泳 動 後 、 試 料 と 処 理 液 を 1:1 の 割 合 で 混 合 し 8μl ア プ ラ イ し 、 10mA/枚 に て 泳 動 を 行 っ た 。 ま た 、 染 色 は 30% ト リ ク ロ ロ 酢 酸 で 固 定 化 後 、 CBB染 色 を 行 っ た 。 1.10. RP-HPLC に よ る 各 グ リ ア ジ ン の 分 画 お よ び 定 量 Herbert ら (2009; Frances, 2005) の 方 法 に よ り 、α-、β-、γ -、ω-グ リ ア ジ ン の 定 量 を 行 っ た 。 試 料 を 0.45μm フ ィ ル タ ー (ADVANTEC 社 製 ) に 通 し 、 Inertsil WP 300 C8 (GL Sciences) の カ ラ ム に て 分 画 を 行 っ た 。 溶 離 液 に は 0.1% TFA (A 液 ) と 0.1% TFA / ア セ ト ニ ト リ ル (B 液 ) の グ ラ ジ エ ン ト に よ り 、 流 速 1.0ml/min に て 50 分 間 溶 出 を 行 っ た 。 な お 、 検 出 は 210nm の UV 検 出 (SPD-10Avp; Shimadzu 社 製 ) に て 行 い 、 得 ら れ た ク ロ マ ト を 文 献 値 (Herbert, 2009; Frances, 2005 ) よ り 、 エ リ ア 面 積 比 を 求 め 、 各 グ リ ア ジ ン を 定 量 し た 。 1.11. N 末 端 ア ミ ノ 酸 配 列 の 解 析 電 気 泳 動 後 の ゲ ル か ら PVDF (Polyvinylidene fluoride) 膜 へ の タ ン パ ク 質 の 転 写 は 、 Hiranoと Watanabe (1990) の セ ミ ド ラ イ ブ ロ ッ テ ィ ン グ 法 を 一 部 改 良 し て 行 っ た 。 PVDF膜 (ATTO社 製 ) を メ タ ノ ー ル で 30秒 間 浸 水 処 理 後 、 0.01% SDSを 含 む 40mM 6-ア ミ ノ -ヘ キ サ ン 酸 溶 液 (C液 ) に 浸 し 5分 以 上 浸 透 し 、 平 衡 化 し た 。 ま た 、 電 気 泳 動 後 の ゲ ル は C液 に て 5分 間 振 と う を 2回 行 い 、 平 衡 化 し た 。 セ ミ ド ラ イ ブ ロ ッ テ ィ ン グ 装 置 の 陽 極 側 か ら 、 0.3M ト リ ス 溶 液 (A液 ) 、 25m M ト リ ス 溶 液 (B液 ) に 浸 し た ろ 紙 を 2枚 ず つ 重 ね 、 次 に 平 衡 化 し た PVDF膜 、 ゲ ル さ ら に C液 に 浸 し た ろ 紙 2枚 を 重 ね 、 最 後 に 陰 極 側 の 電 極 を 重 ね た 。 転 写 に は 50V、 120mA、 90分 間 通 電 し 、 ブ ロ ッ テ ィ ン グ 終 了 後 、PVDF膜 を 超 純 水 で 2度 洗 浄 し 、CBB R-250ま た は CBB G-250で 染 色 し た 。染 色 し た PVDF膜 は 脱 色 液 で 脱 色 後 、目 的 の タ ン パ ク 質 を PVDF膜 よ り 切 り 出 し 、プ ロ テ イ ン シ ー ク エ ン サ ー (PPSQ-21/23 Shimadzu社 製 ) に 供 し 、 N末 端 ア ミ ノ 酸 配 列 を 決 定 後 、 DDBJ の FASTAに て 既 知 の タ ン パ ク 質 と の 相 同 性 検 索 を 行 っ た 。

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37 1.12. 陽 イ オ ン ク ロ マ ト グ ラ フ ィ ー に よ る 各 グ リ ア ジ ン の 分 画 Booth ら (1968; Fidoa, 1997) の 方 法 に 従 い 、 グ リ ア ジ ン を α、 β、 γ 、 ω -グ リ ア ジ ン の 4 種 に 分 画 し た 。 小 麦 粉 20g を 10 倍 容 70% エ タ ノ ー ル に 溶 解 し 、 2 時 間 室 温 振 と う 後 、 遠 心 分 離 (1000rpm、 室 温 、 30 分 ) し 、 上 清 を 1.5M NaCl 溶 液 400ml に 溶 解 し た 後 、一 晩 4℃ に て 振 盪 し 遠 心 分 離 (1000rpm, 室 温 , 10 分 ) に よ り 得 ら れ た 沈 殿 を 粗 精 製 グ リ ア ジ ン と し た 。 こ れ を 10mM Glycine -HAc 3M Urea 緩 衝 液 (pH4.6) 30ml に 溶 解 し 、純 水 に て 透 析 後 、10mM Glycine‐ HAc 3M Urea 緩 衝 液 (pH4.6) に て 透 析 し 、 CM-Sepharose Fast Flow (GE Healthcare 社 製 ) (ゲ ル 体 積 Φ2.2cmx11cm) に 供 し 、 α-、 β -、 γ-、 ω-グ リ ア ジ ン の 4 種 に 分 画 し た 。 移 動 相 に は 10mM Glycine-HAc 3M Urea 緩 衝 液 (pH4.6) を 用 い 、流 速 を 1ml/分 、分 取 は 10ml/本 と し 、NaCl 濃 度 0mM、50mM、 100mM、 200mM の ス テ ッ プ ワ イ ズ に て 溶 出 を 行 な っ た 。 い ず れ も 透 析 後 、 凍 結 乾 燥 し 試 料 と し た 。 精 製 の 確 認 に は 、 Acid-PAGE、 SDS-PAGE を 用 い 、 タ ン パ ク 質 量 は Bradford 法 に て 測 定 し た 。 1.13. ω-グ リ ア ジ ン の 溶 解 性 に 与 え る β-Lg の 影 響 解 析 分 画 し た ω-グ リ ア ジ ン 1mg と β-Lg 0.5mg を 混 合 後 、0、10、30、50、70% エ タ ノ ー ル 溶 液 を 加 え 、 可 溶 化 し た タ ン パ ク 質 量 を Bradford 法 に て 測 定 し た 。 そ の 後 、 Acid-PAGE に て ω-グ リ ア ジ ン の 溶 解 性 の 確 認 を 行 っ た 。 1.14. 各 グ リ ア ジ ン と β-Lg お よ び κ-CN の 分 子 間 相 互 作 用 解 析 各 グ リ ア ジ ン 1mg を 70% エ タ ノ ー ル 1ml に 溶 解 し グ リ ア ジ ン 溶 液 を 調 製 し た 。な お 、反 応 に 使 用 す る β-Lg お よ び κ-CN 溶 液 は そ れ ぞ れ 10mg を 0.1M リ ン 酸 緩 衝 液 (pH7.0) 10ml に 溶 解 し た 。 PVDF 膜 を メ タ ノ ー ル に 30 秒 浸 漬 後 、PBS-T を 入 れ た 容 器 に 浸 し 5 分 2 回 振 と う し た 。そ の 後 PVDF 膜 上 の 余 分 な PBS-T を 除 去 後 乾 か し 、 各 グ リ ア ジ ン 溶 液 を PVDF 膜 に 吸 着 さ せ た 。 PVDF 膜 を タ ッ パ ー に 移 し 、 β-Lg お よ び κ-CN 溶 液 を 加 え 30 分 間 振 と う 反 応 後 、 超 純 水 に て 15 分 3 回 洗 浄 を 行 な っ た 。 さ ら に ブ ロ ッ キ ン グ 試 薬 中 で 一 時 間 振 と う 後 、 PBS-T に て 10 分 3 回 の ス テ ッ プ で 洗 浄 し た 。 次 に 1 一 次 抗 体 反 応 液 を 10ml タ ッ パ ー に 入 れ 1 時 間 ~ O/N 振 と う し た の ち 、PBS-T に て 10 分 3 回 の ス テ ッ プ で 洗 浄 し た 。そ の 後 、二 次 抗 体 反 応 液 を 10ml タ ッ パ ー に 入 れ 1 時 間 振 と う し た の ち PBS-T に て 10 分 、 3 回 洗 浄 し た 。 検 出 試 薬 は ECL Plus Western Blotting Detection Reagents (GE Healthcare Biocsience 社 製 ) を 用 い 、 PVDF 膜 一 枚 に つ き A 液 1000μl と B 液 25μl を 混 合 し 使 用 し た 。 洗 浄 後 の PVDF 膜 の 余 分 な 水 分 を キ ム ワ イ プ に し み こ ま

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せ 、ラ ッ プ を 敷 い た 台 の 上 に 置 き 、検 出 試 薬 を 滴 下 し 特 異 的 シ グ ナ ル に よ る 化 学 蛍 光 検 出 を Chemi-Doc (Bio-Rad 社 製 ) に て 行 っ た (Fig.19) 。

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39 2. 結 果 お よ び 考 察 2.1. 小 麦 粉 タ ン パ ク 質 と β-Lg お よ び κ-CN の 分 子 間 相 互 作 用 に つ い て 非 加 熱 お よ び 加 熱 脱 脂 乳 を 添 加 し た グ リ ア ジ ン お よ び グ ル テ ニ ン に β-Lg お よ び カ ゼ イ ン の 抗 体 を 作 用 さ せ た と こ ろ 、非 加 熱 脱 脂 乳 を 添 加 し た 両 小 麦 粉 タ ン パ ク 質 は β-Lg 抗 体 に 陰 性 、カ ゼ イ ン 抗 体 に 陽 性 反 応 を 示 し た (Fig.20, 21)。 一 方 、 加 熱 脱 脂 乳 を 添 加 し た 場 合 、 グ リ ア ジ ン は 非 加 熱 脱 脂 乳 と 異 な り β-Lg 抗 体 に 陽 性 反 応 を 示 し 、 グ ル テ ニ ン は 非 加 熱 脱 脂 乳 を 添 加 し た 場 合 と 同 様 β-Lg 抗 体 に 陰 性 で あ っ た 。 カ ゼ イ ン 抗 体 に 対 し て は 非 加 熱 脱 脂 乳 と 同 様 に 両 小 麦 粉 タ ン パ ク 質 と も に 陽 性 反 応 を 示 し た 。 次 に 、β-Lg と κ-CN の 混 合 試 料 を グ リ ア ジ ン と グ ル テ ニ ン に 添 加 し た と こ ろ 、混 合 非 加 熱 試 料 で は 非 加 熱 脱 脂 乳 と 同 様 に β-Lg 抗 体 に 陰 性 反 応 を 示 し 、 カ ゼ イ ン 抗 体 に 陽 性 反 応 を 示 し た 。一 方 、そ れ ら の 混 合 加 熱 試 料 を 添 加 し た と こ ろ 、 グ リ ア ジ ン は β-Lg 抗 体 に 陽 性 反 応 を 示 し 、 グ ル テ ニ ン に は 陰 性 で あ っ た 。 ま た 、 非 加 熱 お よ び 加 熱 し た β-Lg を 両 小 麦 粉 タ ン パ ク 質 に 添 加 し た と こ ろ 、 と も に 陰 性 反 応 を 示 し た 。 こ の こ と か ら 、β-Lg は グ リ ア ジ ン お よ び グ ル テ ニ ン と は 相 互 作 用 性 が 無 く (Fig.21A, 21C)、 κ-CN と 加 熱 複 合 体 を 形 成 す る こ と に よ っ て グ リ ア ジ ン と 相 互 作 用 し 会 合 す る こ と (Fig.21B)、 グ ル テ ニ ン に 対 し て 相 互 作 用 性 を 示 す κ-CN は 加 熱 複 合 体 を 形 成 す る こ と で 相 互 作 用 性 が 低 下 す る こ と が 明 ら か に な っ た (Fig.21D)。 2.2. β-Lg と κ-CN の 加 熱 複 合 体 と グ リ ア ジ ン の 疎 水 性 に つ い て グ リ ア ジ ン お よ び β-Lg と κ-CN の 混 合 試 料 を 疎 水 性 ク ロ マ ト グ ラ フ ィ ー に 供 し た と こ ろ 、グ リ ア ジ ン は エ タ ノ ー ル 濃 度 0、40 お よ び 100% の 全 て の 画 分 に 溶 出 さ れ 、 溶 出 比 率 は お お む ね 1:2:1 で あ り 疎 水 性 度 の 異 な る グ リ ア ジ ン が 存 在 す る こ と が 示 唆 さ れ た (Fig.22A)。 一 方 、 非 加 熱 の β-Lg と κ-CN の 混 合 試 料 で は 未 吸 着 画 分 お よ び 40% 画 分 に そ の ほ と ん ど が 溶 出 さ れ た が 、 そ れ ら の 混 合 加 熱 試 料 で は 未 吸 着 画 分 が 大 き く 減 尐 し エ タ ノ ー ル 濃 度 40 お よ び 100% 画 分 に 溶 出 さ れ た (Fig.22B)。 次 に 、 得 ら れ た 各 画 分 の β-Lg の 溶 出 挙 動 を ド ッ ト ブ ロ ッ ト 法 に よ り 解 析 し た と こ ろ 、 非 加 熱 の β-Lg と κ-CN の 混 合 試 料 で は 、 β-Lg 抗 体 の 陽 性 シ グ ナ ル は 未 吸 着 画 分 の み に み ら れ た が 、そ れ ら の 混 合 加 熱 試 料 の 未 吸 着 画 分 で は シ グ ナ ル が 消 失 し 、40 お よ び 100% 画 分 に 同 シ グ ナ ル が み ら れ た (Fig.23)。

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44 以 上 、β-Lg と κ-CN の 加 熱 複 合 体 は グ リ ア ジ ン と 類 似 し た 溶 出 挙 動 を 示 し た こ と か ら 、 両 者 は 同 様 の 疎 水 性 で あ る こ と が 示 唆 さ れ た 。 ま た 、β-Lg お よ び κ-CN を 各 々 加 熱 さ せ た 場 合 は 、と も に 溶 出 挙 動 に 変 化 は み ら れ な か っ た (Fig.24, 25)。 こ の こ と か ら 、 β-Lg は κ-CN と 加 熱 複 合 体 を 形 成 す る と 疎水性が高まり、グリアジンとの疎水性相互作用性が強くなることが推察された。 2.3. β-Lg と κ-CN が グ リ ア ジ ン の 溶 解 挙 動 に 与 え る 影 響 に つ い て 前 述 の 試 験 の 結 果 、 グ リ ア ジ ン に β-Lg と κ-CN の 加 熱 複 合 体 が 疎 水 性 相 互 作 用 に よ り 会 合 す る こ と が 示 唆 さ れ た の で 、 グ リ ア ジ ン に β-Lg と κ-CN の 混 合 試 料 を 添 加 し グ リ ア ジ ン の 溶 解 挙 動 の 変 化 を SDS-PAGE に て 解 析 し た 。そ の 結 果 、β-Lg を 添 加 す る こ と で S1 画 分 の 55kDa 付 近 に 無 添 加 に は み ら れ な い 明 瞭 な タ ン パ ク 質 バ ン ド が 確 認 さ れ た (Fig.26B)。 一 方 、 β-Lg と κ-CN の 混 合 加 熱 試 料 で は 、 そ の バ ン ド は 僅 か で あ っ た (Fig.26C)。 さ ら に 、グ リ ア ジ ン 抗 体 を 用 い た ウ エ ス タ ン ブ ロ ッ ト 法 に て 確 認 を 行 っ た と こ ろ 、β-Lg 添 加 に よ る S1 画 分 の 55kDa 付 近 の タ ン パ ク 質 に グ リ ア ジ ン 抗 体 の シ グ ナ ル が 得 ら れ た (Fig.27B)。 ま た 、 無 添 加 に お い て S3、 S4 お よ び S5 画 分 の 55kDa 付 近 に み ら れ る グ リ ア ジ ン の シ グ ナ ル が β-Lg 添 加 で は 消 失 し て い る こ と か ら 、β-Lg の 作 用 に よ り 55kDa 付 近 の グ リ ア ジ ン が 水 溶 化 す る こ と が 明 ら か と な っ た 。 一 方 、β-Lg と κ-CN の 混 合 加 熱 試 料 添 加 で は S1 画 分 へ の 溶 出 が 抑 制 さ れ た (Fig.27C)。 こ れ ら の こ と か ら 、β-Lg は グ リ ア ジ ン に 会 合 し 、 そ の 疎 水 性 を 変 化 さ せ 溶 解 性 に 影 響 を 与 え る こ と が 明 ら か に な っ た 。Fig.20 に お い て 、β-Lg を 添 加 し た グ リ ア ジ ン が β-Lg 抗 体 に 陽 性 を 示 さ な か っ た の は 、β-Lg が 結 合 し た グ リ ア ジ ン が 洗 浄 の 際 に 水 溶 化 し 除 去 さ れ た た め と 判 断 し た 。 本 結 果 か ら 、 グ リ ア ジ ン の 一 部 は β-Lg と 特 異 的 に 相 互 作 用 す る こ と で 同 タ ン パ ク 質 が 水 溶 化 し 、 生 地 形 成 と 製 パ ン 性 が 低 下 す る こ と が 示 唆 さ れ た 。 ま た 、混 合 試 料 に お い て は 、β-Lg お よ び κ-CN 抗 体 を 用 い て 、両 乳 タ ン パ ク 質 の 溶 出 挙 動 を 同 様 に 解 析 し た と こ ろ 、κ-CN は 非 加 熱 お よ び 加 熱 試 料 と も に S1 か ら S5 画 分 に 溶 出 が 確 認 さ れ 、 β-Lg と の 加 熱 複 合 体 を 形 成 し て も 大 き な 変 化 は み ら れ な か っ た (Fig.28A)。 一 方 、 β-Lg は 非 加 熱 で は S1 お よ び S2 画 分 へ の 溶 出 が 確 認 さ れ た が 、 加 熱 で は S1 か ら S4 画 分 ま で 溶 出 が 確 認 さ れ た (Fig.28B)。 こ の こ と か ら 、 前 述 の 試 験 の 結 果 と 同 様 に β-Lg は κ-CN と 複 合 体 を 形 成 す る こ と で 、グ リ ア ジ ン と 疎 水 性 相 互 作 用 に よ り 会 合 す る こ と が 示 唆 さ れ 、そ れ に よ り グ リ ア ジ ン の 水 溶 化 が 抑 制 さ れ 、生 地 形 成 と 製 パ ン 性 が 維 持 さ れ る こ と が 示 唆 さ れ た 。

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50 2.4. β-Lg に よ り 水 溶 化 し た グ リ ア ジ ン の 特 定 前 述 の 試 験 の 結 果 、β-Lg に よ り グ リ ア ジ ン の 一 部 が 水 溶 化 す る こ と が 示 唆 さ れ た 。 グ リ ア ジ ン は ア ル コ ー ル に 可 溶 化 す る タ ン パ ク 質 の 総 称 で あ り 、 多 く の 異 性 体 が 存 在 す る が 、電 気 泳 動 解 析 や 遺 伝 子 解 析 に よ り 4 つ (α-、β-、 γ-、 ω-) の タ イ プ に 分 け ら れ て い る 。 そ こ で 、 ど の グ リ ジ ア ジ ン が 水 溶 化 し た の か 解 析 す る た め SDS-PAGE に 供 し た 。し か し 、多 く の バ ン ド が 検 出 さ れ グ リ ア ジ ン の 特 定 に は 至 ら な か っ た 。 そ こ で 、 Acid-PAGE に 供 し た と こ ろ 、 ω-グ リ ア ジ ン と 同 位 置 に ス メ ア バ ン ド が 検 出 さ れ た (Fig.29)。さ ら に 、N 末 端 ア ミ ノ 酸 配 列 を 解 析 し た と こ ろ 、夾 雑 タ ン パ ク 質 が 多 く 解 析 で き な か っ た 。 そ こ で 、水 溶 化 し た グ リ ア ジ ン を RP-HPLC に て 解 析 し 、文 献 値 (Herbert, 2009; Frances, 2005 ) の 溶 出 パ タ ー ン と 比 較 す る と 、 リ テ ン シ ョ ン タ イ ム 10 分 か ら 22 分 に 溶 出 す る ω-グ リ ア ジ ン と 同 位 置 に 特 異 的 な ピ ー ク が 検 出 さ れ た (Fig.30) た め 、 ピ ー ク の 一 部 を 分 取 し N 末 端 ア ミ ノ 酸 配 列 を 決 定 し た 。 取 得 し た N 末 端 配 列 を DDBJ の FASTA に て 相 同 性 検 索 を 行 っ た と こ ろ 、

Triticum aestivum 由 来 の omega -5 gliadin と 85% の 高 い 相 同 性 を 示 し た

(Fig.31)。こ の こ と か ら 、β-Lg の 作 用 に よ り ω-グ リ ア ジ ン が 水 溶 化 す る こ と が 明 ら か に な っ た 。 次 い で 、 RP-HPLC に て 水 溶 化 し た ω-グ リ ア ジ ン 量 (% ) を 算 出 し た と こ ろ 、β-Lg 無 添 加 生 地 で は 0.14、β-Lg 添 加 で は 0.65 を 示 し た (Table 8)。強 力 粉 の グ リ ア ジ ン に 含 ま れ る ω-グ リ ア ジ ン 量 を 定 量 し た と こ ろ 、 グ リ ア ジ ン の 約 11.5% が ω-グ リ ア ジ ン で あ っ た (Fig.32, Table 9) た め 、 β-Lg の 作 用 に よ り ω-グ リ ア ジ ン の 約 6% が 水 溶 化 す る こ と が 明 ら か に な っ た 。 2.5. 各 グ リ ア ジ ン と β-Lg お よ び κ-CN の 分 子 間 相 互 作 用 に つ い て 前 述 の 試 験 の 結 果 、β-Lg と ω-グ リ ア ジ ン が 疎 水 性 相 互 作 用 に よ り 会 合 す る こ と が 示 唆 さ れ た 。そ こ で 、グ リ ア ジ ン か ら 各 グ リ ア ジ ン を 分 画 し (Fig.33, 34)、 β-Lg お よ び κ-CN と 各 グ リ ア ジ ン と の 分 子 間 相 互 作 用 を フ ァ ー ウ エ ス タ ン ブ ロ ッ ト に て 解 析 し た 。 そ の 結 果 、β-Lg は ω-グ リ ア ジ ン に 対 し て 強 い 陽 性 反 応 を 示 し た (Fig.35)。一 方 、β-Lg と κ-CN の 混 合 加 熱 試 料 も 同 様 に 作 用 さ せ β-Lg 抗 体 と の 反 応 試 験 を 行 っ た と こ ろ 、 ω-グ リ ア ジ ン 以 外 の 他 の グ リ ア ジ ン に も 陽 性 反 応 を 示 し た 。 ま た 、κ-CN に お い て も 同 様 に 試 験 し た と こ ろ 、 各 グ リ ア ジ ン と も に 陽 性 反 応 を 示 し た 。 以 上 の こ と か ら 、β-Lg は ω-グ リ ア ジ ン と 疎 水 性 相 互 作 用 し 、そ れ に よ り 、 同 グ リ ア ジ ン を 水 溶 化 さ せ る こ と が 示 唆 さ れ た (Fig.36)。ま た 、β-Lg は κ-CN と 複 合 体 を 形 成 す る こ と で 、κ-CN を 介 し て β-Lg は グ リ ア ジ ン と 会 合 す る こ

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と が 示 唆 さ れ 、 そ れ に よ り 、 Fig.26, 27 で 得 ら れ た 様 に ω-グ リ ア ジ ン の 水 溶 化 が 抑 制 さ れ 、 製 パ ン 性 低 下 が 消 失 す る と 考 え ら れ た 。

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61 2.6. ω グ リ ア ジ ン の 溶 解 性 に 与 え る β-Lg の 影 響 前 述 の 試 験 の 結 果 よ り 、β-Lg は ω-グ リ ア ジ ン と 疎 水 性 相 互 作 用 し 、 同 グ リ ア ジ ン を 水 溶 化 さ せ る こ と が 示 唆 さ れ た た め 、β -Lg が ω-グ リ ア ジ ン の 溶 解 性 に 影 響 を 与 え る の か 検 討 を 行 っ た 。β-Lg 無 添 加 で は ω-グ リ ア ジ ン は エ タ ノ ー ル 濃 度 50、70% に 溶 解 が み ら れ た (Fig.37A)。グ リ ア ジ ン は 一 般 的 に 70% エ タ ノ ー ル に 溶 解 す る タ ン パ ク 質 で あ る と 知 ら れ て い る が 、 ω-グ リ ア ジ ン は 他 の グ リ ア ジ ン と 比 較 し 、 Gln (45~ 50mol%) が 多 く 局 在 し て い る こ と か ら (Fig.38)、 各 グ リ ア ジ ン の 中 で も 疎 水 性 度 が 低 い と さ れ て お り (Marchylo, 1989)、 こ の 結 果 か ら も ω-グ リ ア ジ ン の 疎 水 性 度 の 低 さ を 確 認 す る こ と が で き た 。 一 方 、β-Lg 存 在 下 に お い て は ω-グ リ ア ジ ン は エ タ ノ ー ル 濃 度 0、10、30、50、70% 全 て の 画 分 に 溶 解 し 溶 解 性 が 変 化 し た (Fig.37B)。 ω-グ リ ア ジ ン は 、β-Lg の 作 用 に よ り エ タ ノ ー ル 濃 度 0% つ ま り 純 水 に 溶 解 す る 程 度 に ま で 疎 水 性 度 が 低 下 す る こ と が わ か り 、こ の 作 用 が 製 パ ン 性 阻 害 の 要 因 で あ る こ と が 推 察 さ れ た 。 β-Lg と ω-グ リ ア ジ ン と の 相 互 作 用 に つ い て 現 在 報 告 は な い が 、 ω-グ リ ア ジ ン は 各 グ リ ア ジ ン の 中 で 唯 一 シ ス テ イ ン 残 基 を 有 し て お ら ず (Payne, 1985; Shewry, 1983) 疎 水 性 度 が 最 も 低 い こ と か ら 、 水 溶 性 の β-Lg と 相 互 作 用 し や す い も の と 推 察 さ れ た 。 さ ら に 、β-Lg は レ チ ノ ー ル 結 合 タ ン パ ク 質 と 同 じ 機 能 を 持 っ て お り 、 あ る 特 定 領 域 の 疎 水 性 ポ ケ ッ ト (Fig.39) を 介 し て 親 油 性 物 質 を 結 合 し 水 溶 性 複 合 体 を 形 成 す る と の 報 告 が あ る (Fugate, 1980; Futterman, 1972; Papiz, 1986; Spector, 1970 )。 こ の こ と か ら 、 親 水 性 の β-Lg と 疎 水 性 の ω-グ リ ア ジ ン が 水 溶 性 複 合 体 を 形 成 し 、 ω-グ リ ア ジ ン を 水 溶 化 さ せ る の で は な い か と 推 察 し た 。

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65 3. 要 約 本 章 で は 、 脱 脂 乳 中 の β-Lg に よ る 製 パ ン 性 低 下 の 要 因 な ら び に β-Lg と κ-CN の 加 熱 複 合 体 に よ る 製 パ ン 性 低 下 作 用 の 消 失 に つ い て 検 討 を 行 っ た 。 そ の 結 果 、β-Lg は 各 グ リ ア ジ ン の う ち 最 も 親 水 性 で あ る ω-グ リ ア ジ ン と 特 異 的 に 疎 水 性 相 互 作 用 に よ り 結 合 す る こ と が 明 ら か に な り 、さ ら に β -Lg は ω-グ リ ア ジ ン と 水 溶 性 複 合 体 を 形 成 し 、そ れ に よ り 、グ リ ア ジ ン 会 合 体 か ら 同 グ リ ア ジ ン を 水 溶 化 さ せ る こ と が 示 唆 さ れ た 。一 方 、β-Lg と κ-CN の 加 熱 複 合 体 で は 、こ の 様 な 現 象 は み ら れ ず グ リ ア ジ ン の 溶 解 性 は 変 化 し な か っ た 。 ま た 、 加 熱 脱 脂 乳 に お け る 製 パ ン 性 の 回 復 は 、 形 成 さ れ た β-Lg と κ-CN の 加 熱 複 合 体 の 疎 水 性 が グ リ ア ジ ン と 同 程 度 で 、 こ の た め 加 熱 複 合 体 が ω-グ リ ア ジ ン を 含 む 他 の グ リ ア ジ ン と 強 い 親 和 性 を 示 す こ と で 、ω-グ リ ア ジ ン の 水 溶 化 が 生 じ ず に 生 地 が 形 成 さ れ た た め と 推 察 さ れ た 。 こ れ ら の こ と か ら 、非 加 熱 あ る い は 低 加 熱 脱 脂 乳 の 添 加 に よ る 生 地 形 成 性 お よ び 製 パ ン 性 の 低 下 は 、ω-グ リ ア ジ ン に β-Lg が 結 合 す る こ と に よ り 、 同 タ ン パ ク 質 が 水 溶 化 す る こ と で 惹 起 さ れ る こ と が 明 ら か に な っ た 。

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