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[講演要旨] 文禄五年伏見地震での伏見城下武家地の被害状況

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Academic year: 2021

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[講演要旨]

文禄五年伏見地震での伏見城下武家地の被害状況

松岡祐也(東北大学大学院研究生) 1.はじめに 文禄五年伏見地震(以下、伏見地震)は文禄五 年閏七月十三日(1596.9.5)の子刻(午前0時) 頃に発生し、京都・伏見を中心に畿内で大きな被 害を与えた地震である。この地震による被害は 様々な史料から読み取ることができ、特に伏見城 の被害はよく知られている。一方でその城下の被 害についてはまだよく分かっておらず、検討の必 要があるように思う。 本研究では、伏見地震における伏見城下の被害 状況を復元することを試みる。今回はその中でも 武家地の被害について見ていくこととする。 2.伏見城の形成と城下の復元 伏見城は四つの時期に分けて理解されている。 このうち伏見地震によって被害を受けたのは第二 期(1594-1596)の、「豊臣期指月城」と呼ばれ るものである。しかし伏見城についての研究はこ れまで伏見地震後の第三期(1596-1600)の「豊 臣期木幡山城」についてのものが主であり、第二 期伏見城についてはまだよく分かっていない。ま た城下町の復元についての論究は徐々になされて いるものの、同様に第二期伏見城の城下について はまだ検討の余地があると思われる。 まず、第二期伏見城の築城過程と各大名の邸宅 の場所を確認する作業を行った。伊達政宗邸につ いてみると、文禄四年十一月十五日(1595.12.15) 付政宗文書によると以前に与えられた屋敷地の他 に屋敷地を請うていることが分かる。この新しい 屋敷地については、「藤森北ニ、田中ニ御さ候」と 具体的な場所まで示されている。 3.伏見城下武家地の被害 伏見城下の武家地の被害についての記述を見る と、例えば『言経卿記』には「大名衆家共事外崩 了」と記述されており、また『義演准后日記』で は「其外諸大名ノ屋形、或顛倒、或雖相残、形計 也」とあり、相当の被害を蒙っていたことが想像 されるが、具体的に各大名邸がどのような被害を 受けたのかは分からない。本研究では各大名の邸 宅の被害について検討したが、ここでは伊達政宗 邸の被害を紹介する。 伊達政宗の文書によると「誠此中之地震、絶言 語候、いつかたも、大破可申様なく候」とあり、 政宗邸(及びその周辺?)が何らかの被害を蒙っ ていた事が読み取れる。しかし文書にはその具体 的な被害は記述されていない。そこでルイス・フ ロイスの年報補遺(1596 年 12 月 28 日付)を見 ると「伊達(政宗)の邸宅は、百名の人々と厩舎 にいた非常に立派な二十頭の馬とともにすべてが 倒壊した。」とあり、その被害の状況を捉える事が できる。 この他、島津義弘邸なども確認したが、島津邸 は「御屋作少そん□まいらせ候」とあるようにあ まり被害を蒙っていないような邸宅もあったこと が分かる。 4.まとめ 伏見地震による伏見城下武家地の被害状況を復 元した結果、伏見城のような甚大な被害を必ずし も蒙っていないことが分かった。大名邸の位置や 地形の影響もあるだろうが、もう少し伏見やその 周辺の被害状況を確認する必要があるように思わ れる。 伏見城想定地 伊達政宗邸 藤森北の政宗邸 歴史地震 第22 号(2007) 215 頁

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