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立教大学 教職課程 2021 年 3 月

福祉系高校における LINE オープンチャットを活用したオンライン授業の展開と課題

-教員および生徒に対するアンケート調査から見えてきたこと-

藤井 佳子

1.はじめに 1-1.研究の背景

1-1-1.新型コロナウイルス感染拡大が,わが 国の教育分野に与えた影響

2019(令和元)年 12 月以降,中国内陸部の 湖北省武漢で原因不明の肺炎が確認され,2020

(令和 2)年 1 月には,WHO が新型コロナウイ ルスを確認すると同時に,日本国内においても 感染者が確認された。新型コロナウイルス感染 症が拡大するなかで,政府は,「3 月 2 日から 全国すべての小学校,中学校,高校などは春休 みに入るまで臨時休校とするよう要請する」と いう考えを示した。これを受けて,文部科学省

(2020a)「新型コロナウイルス感染症対策のた めの小学校,中学校,高等学校及び特別支援学 校等における一斉臨時休業について(通知)」(元 文科初第 1585 号,令和 2 年 2 月 28 日)が発出 され,全国一斉に臨時休業を余儀なくされた。

4 月 7 日には,7 都府県に「緊急事態宣言」が 発令され,その後,4 月 16 日には,対象とな る地域が全国に拡大された。

5 月 14 日以降,「緊急事態宣言」は段階的に 解除され,5 月 25 日には約 1 か月半ぶりに全 国で解除された。首都圏では,約 3 か月ぶりの 学校再開となった。臨時休業中には,家庭学習 のサポートとして課題等を配布するほか,ICT を活用した取り組みへと展開していった。文部

科学省(2020b)「学校の臨時休業の実施状況,

取組事例等について(令和 2 年 3 月 19 日時点)」

では,遠隔により健康観察,学習成果の確認,

グループウェアを活用した家庭学習支援,パソ コンですぐに学習できる情報一覧を発信するな どの取り組みが紹介されている。しかし,自宅 に PC やタブレット等がない,あるいは家庭の 方針によりスマートフォンを所持していない ケースも多い中で,児童・生徒が,学校や友人 と繋がることができず,自宅で孤立していった ことも事実である。

新型コロナウイルス感染拡大が続くなかで,

大学や専門学校では,小・中・高校に先駆けて,

Zoom 等オンライン会議システムが急速に拡大 していった。その多くは,大学等が補助金を支 給し,PC やタブレットの購入,Wi-Fi 等通信 環境の整備が進められた。

大学と高校におけるオンライン授業の受講率 は,大きく異なっていた。内閣府(2020)「新 型コロナウイルス感染症の影響下における生活 意識・行動の変化に関する調査(令和 2 年 6 月 21 日)」において,「通学している学校で,オ ンライン授業を受講しましたか」と質問したと ころ,「通常通りの授業をオンラインで受講し た」74.7%と「一部の授業をオンラインで受講 した」20.7%を合わせて,何らかの形でオンラ イン授業を受講している大学生・大学院生は

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95.4%を占めていた。一方,高校生は,「通常 通りの授業をオンラインで受講した」13.3%,

「一部の授業をオンラインで受講した」36.7%,

合わせて 50.0%となり,大学生・大学院生の約 半分にとどまった。

さらに,オンライン授業の実施状況において は,公立か私立かにおいても大きく異なってい た。文部科学省(2020c)「新型コロナウイルス 感染症対策のための学校の臨時休業に関連した 公立学校における学習指導等の取組状況につい て(令和2年 4 月 16 日)」では,臨時休業を 実施する設置者 1,213 のうち,臨時休業中の家 庭学習において「同時双方向型のオンライン指 導を通じた家庭学習を実施する」と回答した のは全体の 5%であった。一方,私学労務研究 会(2020)が行った調査によれば,私立高校の 75%が「オンライン化活用で授業実施」と回答 しており,公立高校が授業のオンライン化にお いて大きく遅れを取った形となっている。

文部科学省(2020d)「新型コロナウイルス 感染症の影響を踏まえた公立学校における学習 指導等に関する状況について(令和 2 年 6 月 23 日時点)」を見ると,高等学校における臨時 休業期間中の学習指導等について,教科書や紙 の教材の活用は,ほぼ全ての学校で行われてい ると同時に,デジタル教材や同時双方向型のオ ンライン指導も,全体の約半分において実施さ れていた。しかしながら,「各学校や家庭・児 童生徒の実態を踏まえた積極的な ICT の活用」

については,80%の学校で課題を抱えているこ とが示されている。また,学校再開後の学習指 導等については,「実際に学校再開後に行って いる,または行う予定の工夫」として,「学校

行事の見直し」95%,「長期休業期間の短縮」

93%に次いで,「ICT の活用」が 72%であった。

コロナ禍での高等学校教育において,臨機応変 に生徒の学習の機会を確保するためにも,ICT の活用が必要不可欠であるということが明らか になった。

以上みてきたように,新型コロナウイルス感 染拡大により,教育現場におけるオンライン授 業の実践は喫緊の課題となったが,本稿で取り 上げる福祉系高校(介護福祉士養成校である専 門高校)においては,「授業時間数の確保」に 関する課題とともに,「介護実習」をどのよう に取り扱うのかが大きな課題となった。

1-1-2.新型コロナウイルス感染拡大が,福祉 系高校に与えた影響

田村(2008)は,高校福祉科が多義的であり,

論者によって内容が異なることが多いとしたう えで,それらを大きく 3 つに分類している。【図 表 1】

介護福祉士養成校である福祉系高校も,当然 のことながら,文部科学省(2020a)「新型コロ ナウイルス感染症対策のための小学校,中学校,

高等学校及び特別支援学校等における一斉臨時 休業について(通知)」にもとづき臨時休業と なった。先に述べた通り,全国の福祉系高校で は,介護福祉士養成校であることに伴う「授業 時間数の確保」と,新型コロナウイルス感染拡 大に伴い中止となった「介護実習」への対応に 追われることになった。

福祉系高校は高等学校の卒業要件として設定 される教育課程と並行し,社会福祉士及び介護 福祉士法に基づく介護福祉士養成カリキュラム

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の基準を満たす必要がある【図表 2】。そのうち,

「介護実習」については 3 年間で 13 単位の履修 が必要となるが,新型コロナウイルス感染拡大 をうけて,多くの福祉系高校で「介護実習」が 中止となった。

こうした状況をうけ,文部科学省・厚生労働 省(2020a,2020b)「新型コロナウイルス感染症 の発生に伴う医療関係職種等の各学校,養成所 及び養成施設等の対応について(事務連絡)」(令 和 2 年 2 月 28 日,令和 2 年 6 月 1 日)が発出 され,福祉系高校でのオンライン授業の必要性 が高まっていった【図表 3】。

【図表 2】 介護福祉士国家試験受験資格(高等学校)

教 科 科 目 単位数

福祉

社会福祉基礎 4

介護福祉基礎 5

コミュニケーション技術 2 生活支援技術(医療的ケアを

含む) 10

介護過程 4

介護総合演習 3

介護実習 13

こころとからだの理解 8 数学,理科公民,

又は家庭 人間と社会に関する選択科目 4

合 計 53

出典)公益財団法人 社会福祉振興・試験センター HP

1-1-3.A 高等学校福祉科において実施された オンライン授業

A 高等学校(以下,A 高校)は,首都圏に ある公立高校で,介護福祉士国家試験受験資格 が得られる課程を有する高校(【図表 1】②福 祉系高校)であり,普通科と生活科を併設して いる。福祉科は 1 クラス編成で,昨年の第 32 回介護福祉士国家試験では,合格率 94%を達 成し,前年の第 31 回国家試験では全員合格を 果たすなど,毎年合格率 90%以上を維持して いる。

A 高校では,全校で学習支援システム Clas si

(ベネッセ)を導入しており,日頃から,生徒・

保護者との連絡や課題提示等が行われている。

福祉科では,3 月以降,Classi や学校ホームペー ジから課題提示を行い,複数回に渡って紙ベー スの課題を生徒の自宅に送付した。課題は郵送 にて回収したが,その際に様々な課題に直面し た。具体的には,1)取り組んだ課題への理解 度が十分に確認できない,2)課題の郵送回収 によるトラブル(郵便局職員の新型コロナウイ ルス感染に伴う業務停止により課題到着が遅延 したことや,生徒が投函したはずの郵便が届か ないといったトラブル)が起こったこと,3)

生徒の生活リズムが不規則になっていること等

【図表 1】 高校福祉科の分類

① 高等学校における福祉に関する「学科」や「コース・系」の名称

② 資格との関連において,介護福祉士国家試験受験資格を与えられる高等学校   ※ 1987 年社会福祉士及び介護福祉士法成立

  → 法律上の「福祉系高校」(最も狭義の高校福祉科の定義)

③ 2003 年度の教科「福祉」誕生以降,教科「福祉」の科目を設置している高等学校   → 資格を付与しなくとも継続的なキャリア形成を目指す高等学校

   (最も広義の高校福祉科の定義)

出典)田村(2008)を元に筆者作成

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である。

そこで,遠隔でありながら,時間割に沿った ホームルームの実施や,オンライン授業の実施 方法が検討された。その候補として挙がった のが,LINE オープンチャット(以下,LINE- OC)と Zoom 等オンライン会議システム(以下,

Zoom 等)である。

これら 2 つの方法は,高校に先駆けて,多 くの大学等で実施された方法でもある。日本 ソーシャルワーク教育学校連盟ホームページ では,松永(2020)「Zoom を用いた遠隔オン ライン授業の実施運営に関する資料 Ver.1.1 2020.03.27 」,岩居(2020)「Zoom を使った遠 隔授業について」とともに,岡本・ギュンター・

立岩(2020)「大学等遠隔授業における LINE Open Chatの利用について」が紹介されている。

LINE-OC とは,無料通信アプリ LINE に備

わる機能であり,個別に LINE の登録をしなく ても,複数人でトークが利用できる仕組みと なっている。オンライン授業を行うにあたって は,生徒に招待用 URL を配布し,LINE-OC に 参加することによって,クラス担任や教科担任 と生徒間の連絡手段が確保できるとともに,教 員と保護者の連絡手段としても活用することが 可能である(LINE 公式ブログ「LINE オープ ンチャット:学校現場での活用方法について」

より抜粋)。

A 高校福祉科では, 5 月中旬から LINE-OC によるオンライン授業の試験運用を開始した。

LINE-OC を採用した理由としては,1)ほとん どの生徒がスマートフォンを所持しているが,

PC やタブレットを所持している生徒が少ない こと,2)Zoom 等を使用すると,通信料が高 額になること,3)生徒は日頃から LINE を利

【図表 3】 文部科学省・厚生労働省(2020b) 令和 2 年 6 月 1 日付事務連絡より一部抜粋  新型コロナウイルス感染症の発生に伴う福祉系高等学校の基本的な対応は,感染者が出た場合,教育機関 としての責任や生徒・家族等への影響は計り知れないことから,生徒及び関係者(教員・施設指導者・利用 者・家族等)の感染防止・安全確保を何よりも最優先した上で慎重かつ万全を期すとともに,資格取得に向 けた生徒への教育保障を行うこと。

1.学校養成所等への運営に係る取扱い

 ・非常勤教員の確保や教室の転用,兼用等により,必要最低限の教育体制を整えること。

 ・実習施設を変更,承認申請に係る時期については弾力的に取り扱うこと。

 ・実習施設の確保が困難である場合には,年度をまたいで実習を行うこと。

 ・実習に替えて演習又は学内実習等を実施することにより,必要な知識及び技術を修得すること。

 ※施設実習を,必要な知識及び技術を内容とする校内での演習・実習などにより,実施したこととする   ことができる。

 ・実習を行う際には,受講人数を分散,会場に応じた適切な人数に絞るなど,感染リスクに配慮する。

2.受験資格に係る取扱い

 ・必要な単位もしくは時間を履修して卒業(修了)した者については,受験資格が認められること。

 ・教育内容の縮減を認めるものではないことから,時間割の変更,補講授業,インターネット等を活用   した学修,レポート課題の実施等により必要な教育が行われること

    ※養成課程に規定された内容は,通常の授業のほかインターネット等を活用した学修,レポート      課題などによりすべて実施すること。これらは介護福祉士養成課程の授業としてカウントする      ことができる(インターネット・レポート等は,高等学校の授業としてカウントすることはで      きない)。

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用しているため,操作方法を理解しやすいこと,

4)LINE-OC では,クラスや教科のグループで のみ繋がることができるため,個別の連絡先が 知られることなく利用できること等が挙げられ る。

以上のような段階を経て,6 月 1 日から 12 日の実習代替授業では,福祉科教員全員が LINE-OC を用いたオンライン授業を実施する ことになった。

1-2.調査の目的

本研究では,新型コロナウイルス感染拡大に ともない,A 高校福祉科が臨時休業中に実施 した LINE-OC によるオンライン授業について,

1)教員ならびに生徒に対するするアンケート を実施し,2)オンライン授業における課題を 明らかにしたうえで,3)今後の福祉系高校に おけるオンライン授業のあり方について考察を 行うことを目的とする。

2.方法

2-1.調査対象者

調査対象者は,A 高校福祉科の教員(専任 教員 6 名,非常勤講師 1 名,計 7 名)および生 徒(1年生 39 名,2 年生 33 名,3 学年 35 名,

計 107 名)である。回収率は,教員 100%,生 徒 96.3 %(1 年 37 名,2 年 33 名,3 年 33 名,

計 103 名)であった。

2-2.調査方法

教員アンケートと生徒アンケートは,いずれ も Google フォームを用いて,インターネット 上で回答するよう依頼した。

何らかの理由でインターネットを使用できな い生徒には,Google フォームの質問項目につ いて印刷したものを配布した。紙で回収した データは,筆者が Google フォームに代理で入 力した。

データ回収後は,Excel にて一覧表にまとめ た。自由記述式回答については,共通の語句や 文章の傾向等からデータ分析を行うテキストマ イニングの文書要約機能を使用した。

テキストマイニングとは,テキストに埋もれ た有益な情報を「掘り出す(mine)」分析のこ とである。分析対象は,小説や新聞の文章,自 由記述式アンケートの回答など,文字で何らか の意味を持つものであればすべて対象になるこ とから,近年では様々な分野で活用されている 手法である(大木・平井 2018:258)。データ マイニングのフリーソフトとしては,「ユーザー ローカル」「KH Coder」「統計ソフト R」等が 挙げられるが,本研究においては,比較的操作 が簡単で,教育現場で教員が使用するツールと しても使いやすい,「ユーザーローカル」を使 用した。

2-3.調査票の作成

調査内容は,2020(令和 2)年 6 月 1 日から 12 日までの 2 週間において,オンラインで実 施した実習代替授業に関するものである【図 表 4】。具体的な調査項目を設定するにあたり,

NDL ONLINE, CiNii Articles,Google Scholar において,「高校」「福祉」「オンライン授業」

等のキーワードをもとに先行研究を検索した が,福祉系高校を対象としたオンライン授業に 関する先行研究はなかった。そこで,全国で先

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【図表 4】 アンケート調査の質問項目

<教員へのアンケート調査>

1)「LINE オープンチャット」で担当された科目をお答えください。

2)担当された科目について,どのような形式でオンライン授業を実施しましたか?授業を行うにあたって 準備されたこと,工夫したことについてお答えください。

3)「LINE オープンチャット」を用いたオンライン授業のメリットについて,具体的にお答えください。

4)「LINE オープンチャット」を用いたオンライン授業のデメリットについて,具体的にお答えください。

5)今後,再び臨時休業となった場合,どのような形でオンライン授業を実施することが望ましいと考えま すか。「LINE オープンチャット」継続か,あるいは「Zoom 等のオンライン会議システム」,「その他の 方法」など,ご自由にお答えください。

6)その他,オンライン授業について日頃からお考えのこと,感想等ございましたら,ご自由にお答えくだ さい。

<生徒へのアンケート調査>

1)学年

2)「LINE オープンチャット」のオンライン授業を受けるのに使った端末は,次のうちどれですか。(複数 あてはまる場合は,主に使用したツールを選択してください)

選択肢:「スマートフォン(自分所有)」「スマートフォン(家族所有もしくは家族共用)」「タブレット(自 分所有)」「タブレット(家族所有もしくは家族共有)」「パソコン(自分所有)」「パソコン(家 族所有もしくは家族共有)」「パソコン(学校)」「学校から配布された資料」

3) 「学校配布資料」「その他の方法」で学習したことについて,困ったことがあれば具体的にお答えくだ さい。(特に困ったことがなければ,「なし」と答えてください)

4)6月に実施した「LINE オープンチャット」のオンライン授業について,5段階で評価してください。

選択肢:「とても良かった」「良かった」「どちらともいえない」「あまり良くなかった」「まったく良くなかった」

5)「とても良かった」「良かった」と答えた人は,具体的にどのような点が良かったと思いますか?(回答 はいくつでも構いません)

6)「あまり良くなかった」「まったく良くなかった」と答えた人は,具体的にどのような点が良くなかった と思いますか?(回答はいくつでも構いません)

7)「LINE オープンチャット」を使った授業と,「Zoom 等のオンライン会議システム」を使った授業では,

どちらのほうが良いと思いますか?

8)「LINE オープンチャット」のほうがいいと答えた人は,どのような点でそのように思いますか?ご自 由にお答えください。

9)「Zoom 等のオンライン会議システム」のほうがいいと答えた人は,どのような点でそのように思いま すか?ご自由にお答えください。

10)「その他」と答えた人は,どのような方法がいいと思いますか?ご自由にお答えください。特に思いつ かなければ「なし」とお答えください。

11)「LINE オープンチャット」と「Zoom 等のオンライン会議システム」以外に,オンライン授業に適し た方法があれば教えてください。「他の高校では,こんな風にオンライン授業をやっている!」といっ た情報があれば,ぜひ教えてください。(特になければ「なし」とお答えください)

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行実施されていた大学等におけるアンケート調 査,普通科高校でのアンケート調査,そして広 島県教育委員会が 2020 年 6 月に公表した「オ ンライン学習アンケート」等を参考に,第 1 段 階として筆者が調査項目を作成した。それをも とに,第 2 段階として,A 高校福祉科教員と 協議し,調査項目を確定した。基本属性等を除 き,主として自由記述式の設問で構成した。

2-4.倫理的配慮

アンケート調査を行うにあたり,教員および 生徒全員に対して本研究の概要を説明した。収 集したデータは,今後の授業改善に活用すると ともに,論文執筆ならびに学会発表等にて使用 する旨を説明した。また,データを使用する際 には,個人ならびに団体が特定されることのな いよう,十分に配慮することを説明した。生徒 に対しては,アンケート調査の回答が,個人の 成績に影響することは一切ないことを説明し,

同意を得た。

2-5.アンケート調査の実施期間

アンケートの調査期間は,3 年生の介護福祉 士国家試験が終了した 2021(令和 3)年 1 月 31 日から 2 月 6 日の計 7 日間である。

3.結果

3-1.教員アンケート調査の結果

個人データの使用にあたり,匿名性を高める ため,[ 教員 A] から [ 教員 G] までランダムに 割り振り,Excel に一覧表として整理した【図 表 5】。さらに,質問項目ごとに [ 教員 A] から [ 教員 G] の自由記述回答について,テキストマ

イニングの文書要約機能を活用し,結果の概要 を抽出した。

(1)LINE-OC 授業の展開

実習代替授業では,生徒が授業を通して学ん だ専門的知識を,介護現場で専門的技術として 発揮できることを目標に授業づくりを行った。

[ 教員 A] から [ 教員 G] の LINE-OC 授業の概要 は,【図表 6】の通りである。

出欠確認については,授業を開始することを アナウンスしたところから,随時「ノート」機 能に「いいね」を押すよう指示した。授業担当 者のほかに,出欠確認を行う教員を配置し,「い いね」が押されていない生徒に随時電話連絡を 行った。出欠確認は,午前授業の最初と終わり,

午後授業の最初と終わり,1 日あたり計 4 回の 確認を行った。

授業の進行については,各教員に任された。

例えば,授業の指示をあらかじめ Word でシ ナリオ形式に作成しておき,随時タイムスケ ジュールに沿って投稿する方法や,Power Point のスライドに音声データを録音したもの を YouTube にアップし,授業の進行に合わせ て YouTube の URL を投稿し,生徒が各自で 動画を視聴する方法で授業が行われた。実技科 目については,教員が予め撮影した実技の動画 を YouTube にアップし,授業を進めたケース もあった。授業内で使用するワークシート等は,

あらかじめ郵送もしくは登校日に配布し,課題 に取り組ませる形式が多かった。

また,オンライン授業の成果物として,授業 内で取り組んだ課題と,一日を通して学んだこ とを振り返るレポート等の 2 種類を提出させ

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【図表 5】 LINE-OC を用いたオンライン授業に関するアンケート結果(教員)

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た。授業内での課題は,「リレー」機能を活用 し,完成したワークシート等を写真で撮影した もの,もしくは文章をテキストにて投稿させ た。「リレー」に投稿されたものは,各科目の LINE-OC に登録された生徒全員が閲覧可能で あり,投稿に対してコメントを残すことができ るため,相互評価を行うのに有効な手段となっ た。通常の対面授業では,グループワーク等で 意見交換を行っているが,クラス全員の意見を 同時に共有することができない。LINE-OC 授 業だからこそ実現した,相互評価の方法となっ た。

(2)LINE-OC のメリットとデメリット LINE-OC のメリットとデメリットについて は,【図表 7】の通りである。

動画は,YouTube の URL さえ知っていれば,

生徒は繰り返し復習することが可能である。臨 時休業中のオンライン授業だけでなく,通常の 対面授業の補助的なツールとして活用できる点 が評価された。

また,「リレー」機能に成果物を投稿する方 法は,ほとんどの教員が有効であると評価して いる。対面授業であれば,全員の評価コメント を紙ベースにまとめて印刷し,配布する必要が あるが,「リレー」機能を利用すれば,生徒は

【図表 6】 A 高校福祉科における LINE-OC を用いたオンライン授業の概要

< LINE-OC 授業の展開>

①出欠席は,「ノート」機能に「いいね」をすることで確認する。

②ソーシャルメディア向けのビデオエディタや,PowerPoint を活用して作成した動画を YouTube にアップ ロードし,チャット画面に URL を貼り付ける。

③チャットにて双方向で通信しながら,調べ学習等を通して課題探求を実施する。

④授業内で取り組んだ課題の成果物は,「リレー」機能を使い,写真もしくはテキストで投稿し、相互評価 を行った。

⑤まとめの課題(600 字~ 800 字程度のレポート課題等)を提示し,翌登校日に回収する。

【図表 7】 LINE-OC のメリットとデメリット

<メリット>

・動画配信については,アーカイブ化されて繰り返し見直すことができる。

・普段発言を控える生徒も積極的に意見を述べていた。

・評価内容の共有化も簡単にできる。

・リレーによる相互評価活動は,デジタルで見合うので、配布の手間がない。

・生徒のペースに配慮できる。

・LINE は,日頃から利用している生徒が多く、基本操作のレクチャーが必要ない。

<デメリット>

・生徒の学習活動(表情,課題に取り組む態度)を観察することができない。

・資料・動画の作成に時間がかかる。

・スマホ利用が多いため、画面が小さい。

・質問や意見交換にタイムラグが生じる。

・「リレー」機能は,使い方のレクチャーが必要だった。

・生徒の自宅の Wi-Fi 環境に左右されやすい。

・LINE の使用ができない生徒への別途対応が必要である。

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手元のスマートフォン等で,クラス全員の成果 物を閲覧し,コメントすることが可能だからで ある。

一方で,LINE-OC では,生徒の学習活動(表 情,課題に取り組む態度)を観察することがで きず,授業のスピードが適切であるかどうかの 確認が難しかった。また,生徒の自宅の Wi-Fi 環境等に左右されることから,質疑応答や意見 交換にタイムラグが生じることが多く,授業の 流れを分断してしまうこともあった。さらには,

LINE 自体を使用できない生徒への対応が必要 であること,それらの生徒に対する心理的なサ ポートも必要であることが明らかになった。

(3) 今後のオンライン授業のあり方

今後のオンライン授業のあり方に関する見解 は,【図表 8】に示した通りである。

教員 7 名の回答から,今後オンライン授業を 実施することになった場合には,授業内容に応 じて LINE-OC と Zoom 等を使い分けていく必

要性が示された。しかしながら,生徒側のイ ンターネット環境やデバイス環境を考えると,

Zoom 等の活用が効果的であるとしても,当 面は LINE-OC を使用せざるを得ない状況にあ る。また,【図表 8】の文書要約には挙げられ ていないが,どのような手法で行うにせよ,オ ンライン授業の準備には相当な時間を要する。

いつ何時,オンライン授業に切り替わっても対 応できるよう,各科目で動画教材等をデータ ベース化していく必要性が指摘された。

3-2.生徒アンケート調査の結果

個人データの使用にあたり,匿名性を高める ため,[ 生徒 1-1](1 年生の 1 番)という形で記 号化した。末尾の数字は出席番号ではなく,回 答した順に付した数字である。Google フォー ムで回収したデータは,教員アンケートと同様,

Excel にて一覧表に整理した【図表 9】。

【図表 8】 今後のオンライン授業のあり方

<今後のオンライン授業のあり方>

・できるなら、他教科(※福祉科目以外)との兼ね合いを考えて zoom が良いと思う。

・ネット環境、デバイス環境が改善されない限りは LINE を基本に実施したい。

・内容によって、文章と動画中心のオープンチャットと、リアルタイムに直接やりとりができる Zoom を使 い分けたい。

・様々なものを柔軟に活用し、良いところを積極的に取り入れたい。

・オンライン授業をより良く展開していくためにも,動画編集等のスキルが必要となる。

・今後、授業の中で少しずつ取り入れていき、工夫のある展開を探っていきたい。しかし、家庭における P C 環境の違いなどから、LINE も併用していくことになると思う。

・「LINE オープンチャット」と「Zoom 等オンライン会議システム」の両方を活用すると良いのではないか。

・講義は「LINE オープンチャット」,成果物の相互評価やグループワークを行う場合には「Zoom 等」といっ た形で,使い分けられると良い。ただ、グループワークでの話し合い活動は zoom 等のオンライン会議シス テムを利用しないと出来ないと思うので、必要に応じて利用したい。

         ※筆者補足。A 高校の普通科では,Zoom を活用してオンライン授業を実施した。

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(1)LINE-OC のオンライン授業に使用した端末 LINE-OC のオンライン授業を受けるにあ たって使用した端末については,スマートフォ ン(自己所有)が 97 名で大半を占めていた【図 表 10】。

家族所有の PC やタブレット,学校の PC を 使用した生徒は 5 名,オンライン授業を受けら れず,学校から配布された資料のみで自宅学習

を行った生徒が1名だった。家族所有の PC を 使用して困ったこととしては,「PC で参加す るとリレー等に参加出来ないという制限が付 く」「ボイスメッセージが使えない」といった,

LINE の機能に関する要因等が挙げられた。

また,家庭の方針等により,LINE の使用が できなかった 2 名の生徒は,学校の PC を使用 してオンライン授業を受講した。「学校から配 布された資料のみ」で自宅学習を行った 1 名か らは,「実際に(授業を)受けていないため,(学 習内容を)理解するのに時間がかかった。内容 が頭に入ってこない」といった意見が挙げられ た。

(2)LINE-OC による授業の満足度

LINE-OC の授業に対して,「とても良かった」

「まあまあ良かった」,「どちらともいえない」,

「あまり良くなかった」,「まったく良くなかっ

Zoom等

Zoom等

【図表 9】 LINE-OC を用いたオンライン授業に関するアンケート結果(生徒)より一部抜粋

【図表 10】 LINE-OC のオンライン授業を受けるため に使用した端末

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た」の 5 件法で質問した結果は,【図表 11】の 通りである。

「とても良かった」23.3%,「まあまあ良かっ た」38.8%を合わせて 62.1%を占めていた。「あ まり良くなかった」と答えた生徒は 4.9% であっ たが,「どちらともいえない」と答えた生徒が 33.0%を占めており,LINE-OC によるオンラ イン授業の満足度を,このデータだけで判断す ることは難しい。

LINE-OC のオンライン授業に対する満足度 に関する概要は,【図表 12】の通りである。

「とても良かった」「まあまあ良かった」と答 えた理由としては,自分のペースで学習を進め られることや,教員の説明・動画を繰り返し見 返すことで,理解度が上がること等が挙げられ た。また,高校生にとって,YouTube 等の動 画視聴は日常生活のなかで定着しており,オン ライン授業で動画視聴が組み込まれることに,

抵抗感が少ないことが分かった。

一方,「あまり良くなかった」と回答した理 由として,一方的に授業を受けている感覚とな り,クラスメイトとの関わりがないまま授業が 進んでいくことが,学習内容の理解度に影響を 与えていた。LINE が使用できない生徒にとっ ては,学校からの配布資料や,授業の写真を送っ てもらうことで学習を進めなければならず,正 確でタイムリーな情報が伝わりにくくなってい た。

【図表 11】 LINE-OC によるオンライン授業の満足度

【図表 12】 LINE-OC のオンライン授業に対する満足度に関する概要

「とても良かった」「まあまあ良かった」と回答した理由

・自分のペースで進めることができるから。

・質問が気軽に出来るところが良かったです。

・自分の時間がとれるし、緊張しないから。

・YouTube で動画見て授業を行うこと。

・普段と違う視点で学ぶことができた。

・精神的に気楽に集中して取り組めました。

・動画やトークの履歴が残り振り返りがしやすかった。

・再度先生方がおっしゃったことを見直せる。

「あまり良くなかった」と回答した理由

・あまり学校で授業を受けているという感覚に正直なれませんでした。

・LINE だと不便だし、ずっと画面見てなきゃいけないから。

・私の場合は,チャットで行った授業の写真を送ってもらい,勉強するので,理解するのに時間がかかり,

あんまり学ぶことができなかった。

・皆がちゃんと理解出来てるか分からない。

・対面授業と比較してしまうとあまり内容が入ってこない、正確な情報が伝わりにくい。

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(3) 「LINE-OC」と「Zoom 等」に対する選好度

「LINE-OC」と「Zoom 等」を使った授業の どちら良いかを質問したところ,「LINE-OC」

と答えた生徒が 62.4%,「Zoom 等」31.7%,「そ の他」5.9%であった【図表 13】。

【図表 13】と答えた理由について自由記述式 で質問したところ,結果は【図表 14】のよう になった。LINE-OC の授業では,生徒自身の 姿が映し出されることはないため,リラックス して授業を受けていた様子がうかがえる。また,

【図表 10】からも分かるように,自宅で PC を

使用する生徒は少なく,実際に Zoom 等を利用 したことがないため,LINE-OC の授業に親近 感を抱いていることが分かった。

一方,Zoom 等を希望する理由としては,教 員やクラスメイトの顔を見ながら,相手の反応 が確認できることで学習意欲が高まるといった 意見が多く見られた。また,LINE-OC の授業 では,課題を実施する際の時間配分が分からな いといった問題や,文字を打ちながら授業を行 うことの難しさを実感したことにより,Zoom 等を希望している傾向が示された。

4.考察

4-1.教員へのアンケート調査から見えてきた こと

LINE-OC を活用したオンライン授業の実践 を通して,主として 3 つの課題が明らかになっ た。第 1 に,生徒の ICT 環境に関する課題で ある。【図表 10】に関連して,3 年生は全員

【図表 13】 「LINE-OC」「Zoom 等」に対する選好度

【図表 14】 「LINE-OC」あるいは「Zoom 等」を選んだ理由

< LINE-OC を希望する理由>

・着替えないで受けることができたから。

・LINE オープンチャットでしかやった事がないから。

・自分の顔を出さなくて良いから。

・LINE の方が使い慣れているため。

・Zoom を使った事がないから。

・文字で、みんなの意見を見れるから。

・すぐに開くことが出来るから。

< Zoom 等を希望する理由>

・お互いの顔が見えるから Zoom が良いと思います。

・LINE よりもより授業に近い形になると思うから。

・文字よりも声、音声の方が頭に入りやすいから。

・可能であれば全員顔を見て授業を受けられる。

・LINE オープンチャットだと,課題の進行が難しかったから。

・文字を打ちながら授業を行うことが難しかったから。

・しっかり参加することができるので,サボらずに参加できるから。

(14)

LINE が使用できる状況であったが,2 年生の うち2名は,LINE が使用できない状況に置か れていた。この 2 名については,オンライン授 業を実施した期間,臨時休業中でありながらも 毎日登校し,学校の PC を利用して授業を受け ていた。1年生のうち1名は,教科担当からメー ル添付にて送られるワークシート等を使用し,

自学自習を行った。今回の調査で,この 3 名の 生徒は,クラスメイトと同様の態勢で授業を受 けることができず,孤立感を深めていたことが 分かった。

第 2 に,オンライン授業をどのような形態で 実施するかという課題である。すでに,4 月下 旬以降には,大学や専門学校において,Zoom,

Google Meet,Microsoft Teams,Webex 等 のオンライン会議システムが導入されていた。

これらのツールを活用することも検討された が,第 1 の課題でもある生徒の ICT 環境では,

Zoom 等を使用することは難しかった。そこで 採用されたのが,LINE-OC によるオンライン 授業である。教員は,学校で受ける授業と遜色 ない内容でオンライン授業を実施することが求 められるため,試行錯誤しながら,スライド動 画や,実技動画を作成することになった。生 徒へのアンケート調査では,それらの動画を You Tube で視聴しながら展開する授業が評価 された。

その反面,第 3 の課題として,オンライン授 業の準備に対する教員の負担感の大きさが明ら かになった。LINE-OC のオンライン授業を行 うにあたり,動画の作成や授業で投稿するコメ ントを,あらかじめ Word で作成するといった 授業準備には多くの時間が必要となる。広島県

教育委員会(2020)「オンライン学習アンケート」

の教員・管理職に対する設問(複数回答)にお いても,教員の 58%が「教員の ICT スキルが 不足していた」と回答しており,本研究におけ る教員アンケート調査の結果も同じような傾向 を示していた。教員の ICT スキルの向上を図っ ていくためにも,学校内外において研修等を受 講できる体制を構築することや,教科・科目の 垣根を越え,教員が協力しながら,動画教材等 の作成とデータベース化を図っていく取組みの 必要性が示唆された。

4-2.生徒へのアンケート調査の結果から見え てきたこと

生徒へのアンケート調査から,大きく 3 つの ことが明らかになった。第 1 に,LINE-OC の オンライン授業に対する満足度について,「と ても良かった」「まあまあ良かった」と答えた 生徒が,全体の 62.1%にとどまっている点であ る。例えば,広島県教育委員会(2020)「オン ライン学習アンケート」では,「大変役に立った」

「どちらかというと役に立った」を合わせると,

約 86%がオンライン学習に対して満足してい る。広島県立高校では,新型コロナウイルス感 染症が拡大する以前から,県立学校の ICT 化 を進めていたことが功を奏し,生徒のオンライ ン授業への抵抗感が少ないことも影響している と考えられる。PC やタブレット等の端末環境 や,インターネット環境など,ハード面での整 備には大きな課題が残るため,当面は,スマー トフォンを使った LINE-OC の新しい活用法や,

スマートフォンで Zoom 等を使用するための工 夫を模索しながら,オンライン授業の質を高め

(15)

ていくことが必要である。

第 2 に,高校生にとってスマートフォンで LINE を使用することは日常的なことであり,

オンライン授業に LINE-OC を活用することに 抵抗感が少ないことが明らかになった。しかし ながら,【図表 13】の結果からも分かるように,

31.7%の生徒は Zoom 等を用いたオンライン授 業を希望している。教員と生徒,生徒同士のつ ながりを意識しながら,教室で対面授業を行っ ているような感覚で,オンライン授業を受け られるよう工夫することが求められている。A 高校福祉科では,その後再開された対面授業の なかで,レビー小体型認知症当事者や,実習先 の高齢者施設との間を Zoom で繋ぎ,交流授業 を実施した。これらの経験を通して,今後は Zoom 等でのオンライン授業に対するハードル が低くなり,Zoom 等を希望する生徒が増加す るのではないかと考えられる。

第 3 に,LINE-OC オンライン授業は,双方 向の授業でありながらも,生徒の習熟度に応じ て授業内容を振り返ることができる点におい て,高い評価が得られた。このことは,オンラ イン授業が,主に介護実習代替授業で行われた こともあり,動画を活用した授業が多かったこ とも影響していると考えられる。今後のオンラ イン授業の展開としては,座学やグループワー ク等が中心の場合には Zoom 等,生活支援技術 等の実技科目では LINE-OC を活用するなど,

臨機応変に LINE-OC と Zoom 等を使い分けて いく必要があるだろう。

5.結論

教員・生徒双方のアンケート調査の結果か

ら,今後の課題を 3 つ述べる。第 1 に,今回調 査した LINE-OC を用いたオンライン授業に一 定の評価は見い出せた。しかしながら,今後は LINE-OC か Zoom 等かの二択ではなく,双方 の手法を臨機応変にミックスしたオンライン授 業を展開していくことが必要である。

第 2 に,新型コロナウイルス感染拡大によっ て,学校が臨時休業や短縮授業となり,授業時 間が削減されることに対する不安(学習の遅れ,

国家試験への対策等)を,どのように解消して いくかという問題である。とりわけ,介護実 習が中止となったことに対する不安は大きく,

2020(令和 2)年度に入学した 1 年生は,一度 も介護実習に行くことができなかった。生徒が 抱く不安感に寄り添いながら,介護実習に向け て , 精神面でのサポートを強化していく必要が ある。

第 3 に,今後,再びオンライン授業を行う必 要が生じた場合に備え,教員が抱く負担感の軽 減を図っていく必要がある。岡本ら(2020)は,

今回の新型コロナウイルス感染拡大という状況 にあって,急に教育手法を変えざるを得ない場 合においても,教員・生徒の双方で,教育内容 以外の負担はなるべく低く抑えるべきであると 指摘している。また,髙木・鈴木(2020)は,

今回の新型コロナウイルスの感染拡大は,福祉 系高校の生命線ともいえる「つながり」を分断 するものであると指摘している。この場合の「つ ながり」とは,教員と生徒,教員と保護者,生 徒同士,学校と介護現場といった様々な繋がり のことを意味している。「つながり」の分断から,

新たな「つながり」を結んでいくためにも,例 えば,2020 年に開設された〔高校「福祉」教

(16)

員ホームページ〕等を積極的に活用し,全国の 高校福祉科の教員と情報交換を行いながら,よ り良い福祉の授業のあり方を検討していくこと が必要である。

6.おわりに

本研究では,A 高校福祉科の教員および生徒 に対するアンケート調査を通して,LINE-OC を活用したオンライン授業の展開と課題につい て考察した。A 高校福祉科においては,LINE- OC 授業に対して一定の評価を得ることはでき たが,全国に約 100 校ある福祉系高校全体の傾 向として一般化することは難しい。今後は,本 研究における調査結果をもとに,全国の高校福 祉科に対するヒヤリング調査等を行い,より良 いオンライン授業のあり方を検討していきた い。

ご多忙のなか,アンケート調査にご協力いた だいた A 高校福祉科の先生方と生徒の皆さん に,心よりお礼申し上げます。

<引用文献>

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LINE オープンチャット公式ブログ「LINE オープンチャット:学校現場での活用方法 について」https://openchat-blog.line.me/

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参照

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