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修士学位論文
題目:中国農村部の貧困世帯における高齢者の生活実態とニーズ
―河南省を例として―
人文科学研究科 社会行動学専攻 社会福祉学教室 18812104 楊帆
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目次
序章 はじめに
... 3第1章 先行研究
... 4第1節 中国農村部における高齢者の貧困問題について
... 4第 2 節 中国農村部における高齢者の扶養問題について
... 4第 3 節 中国農村部における高齢者への支援について
... 5第 4 節 日本で議論されてきたニーズ論
... 6第2章 研究目的と研究方法
... 9第1節 研究目的
... 9第 2 節 研究方法
... 9第 3 節 本研究における「ニーズ」の捉え方
... 9第4節 用語の定義と制度について
... 12第3章 事例の概要と分析 ... 17
1事例 A の概要と分析
... 172 事例 B の概要と分析 ... 18
3 事例 C の概要と分析
... 204 事例 D の概要と分析 ... 22
5 事例 E の概要と分析
... 246 事例 F の概要と分析
... 257 事例 G の概要と分析 ... 27
8 事例 H の概要と分析
... 28第4章 中国農村部貧困世帯における高齢者への共通のニーズに関する考察 ... 30
第 1 節 共通の顕在的ニーズについて
... 30第 2 節 共通の潜在的ニーズについて ... 32
2-1.「状態 A」による共通のニーズ
... 332-2.「状態 B」による共通のニーズ ... 34
終章 結論および本研究の限界
... 36第 1 節 結論と今後の課題 ... 36
第 2 節 本研究の限界
... 38参考文献
... 39巻末資料 ... 42
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序章 はじめに 高齢化が急速に進んでいる中国では、従来の戸籍制度により都市部と農村部を分けて
管理し、社会保障制度においてその二重構造に基づいた二元的政策が取られている。その 上で、高齢者領域においても社会保障と社会福祉は農村よりも先に都市部において整備 されたため、高齢化の進展に伴い、都市部と農村部の格差が拡大しつつある。
中国の高齢者の状況を見ると、朱暁・範文婷(2016)は「2014 年中国老年社会追跡調 査」に基づいて、2014 年、都市部の 60 歳以上の高齢者人口は 8757 万人であり、農村部 は 9269 万人であったと推計した。また、中国の 2010 年の貧困扶助基準は、標準一人で 2300 元/年(約 36800 円/年)となっている。さらに、都市部貧困の高齢者は約 1080~2603 万人であり、農村部貧困の高齢者は約 3244 万人であった。
中国政府は、2017 年には高齢者の扶養1に関して、「在宅を基盤に、社区を拠り所に、施 設を補完的役割としながら、医療と扶養がうまく連携する(医養結合)」(中国十三五高齢 事業発展および養老体系建設計画)扶養体系を提出した。それによっては、家族が高齢者 の扶養には大きな役割を担うことが想定されている。しかし、農村部において家族形態の 変化や若者の出稼ぎに伴い、「空の巣世帯」(子が独立し、家を離れ、老人のみが残される 家)が増えているため、農村部の高齢者、特に貧困世帯の高齢者の扶養状況が厳しいこと が考えられる。
こうした背景のもとで、農村部における貧困世帯の一員としての高齢者はどのような 環境で生活しているのか、どのような扶養実態・扶養問題を抱えているかについては明ら かにされていない。
そこで、本研究は、農村部における貧困世帯の高齢者を対象者にヒアリングにより調査 を行い、日本で議論されてきたニーズ論を手掛かりとして分析し、中国の農村部における 貧困世帯の高齢者の共通のニーズとそのニーズを生む要因を明らかにする。
1 劉峰(2016)は高齢者扶養を経済的扶養、身辺介護、情緒的扶養と定義している
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第1章 先行研究
中国における農村部高齢者の貧困研究は、研究視点の違いに基づいて、「農村部高齢者 の貧困問題」、「農村部高齢者の扶養問題」、「農村部高齢者への支援」の三つに分けられる。
第1節 中国農村部における高齢者の貧困問題について 1-1.農村部における高齢者の貧困問題の類型
王瑜・汪三貴(2013)は、貧困を「経済的貧困」、「健康的貧困」と「心理的貧困」に分 けられるとするが,王翠琴・徐海峰(2016)は「経済的貧困」、「文化的貧困」、「社会的貧困」
の三つに分けている。そして、朱暁・範文婷(2016)は、中国の高齢者の現状については、
都市部の高齢者より農村部の高齢者は収入が少なく、経済的貧困に陥りやすいことを指 摘した。
沈潔(2009)は中国の高齢者の貧困問題に関する先行研究をまとめた上で、農村部のみ ならず、都市部においても高齢者の貧困は、①「絶対的貧困」、②大病,難病による「因病 致貧」、③住宅商品化による「住まいない貧困」、④高齢者差別、高齢者虐待問題による貧 困、⑤精神的な貧困といったかたちで存在しているということを明らかにした。また、高 齢者の貧困の特徴については、主に社会保障制度の不備や家族扶養文化が急速に崩れて いったためであると指摘している。
1-2.農村部における高齢者貧困問題の形成要因
王瑜 ・汪三貴(2013)は子供の人数、年金の有無、生活している社区の環境、独居な どの要因が高齢者の貧困に影響があるということを明らかにした。
また、陳友華・苗国(2015)は高齢者の貧困問題の研究では、高齢者の貧困の要因とし て、①自然要因(痩せ地、劣悪な自然環境、資源不足)、②個人要因(疾病と障害、悪い 生活習慣、怠惰)、③家庭要因(低い家庭収入、家庭成員の疾病と障害)、④経済要因(低 い個人収入、次世代へ移転される資産が多すぎることなど)、⑤社会要因(制度の壁、低 水準の社会保険、公的扶助の不足、社会的支援脆弱性)⑥文化要因(孝文化の衰え、「貧 困の文化」の悪循環)という六つの要因があるとしている。
孫文中(2011)はピエール・ブルデューの「場」の理論により、中国農村部高齢者の貧 困現象を分析し、その要因として、「家庭の低所得」、「家族内の不均衡の支出構造」、「農 村部における不完全な社会保障システム」があり、二次的な原因としては、「孝文化の衰 え」「老後のために子供を育てるという社会的な伝統」「世代間の互恵主義による依存心が 強い扶養意識」があると述べっている。
第 2 節 中国農村部における高齢者の扶養問題について 2-1.高齢者の扶養方式における問題
現在の中国では、農村部のみならず、都市部においても、高齢者についての扶養方式は 扶養をする主体によって三つの類型がある。それは「自己的扶養」、「家族的扶養」と「社 会的扶養」である。
まず、「自己扶養」に対しては、農村部において「空巣高齢者」と「老々介護」という 二つの問題がある。特に「空巣高齢者」の「経済的困難」「医療保障不備」「精神的ケアの
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欠乏」と「生命・財産への保護問題」などへの支援が少ない(李盈・張世龍,2018)。
また、近年「家族的扶養」での問題は、「一人っ子政策」による家族介護が難しくなるこ とだけではなく,もう一つは、「孝文化の衰え」に伴い、農村部高齢者世帯では、家庭内搾 取問題(子供に搾取される高齢者問題)が深刻になっていることである。具体的に言えば、
「経済的搾取」「身体的搾取」と「精神的搾取」というかたちで存在している(魏世創・
王金元,2017)。
最後に、「社会的扶養」においては、扶養場所の違いにより、「在宅扶養」、「社区扶養」
と「施設扶養」という三つの類型がある。しかし、貧困地域の農村部では、「社会的扶養」
は「社会扶養サービスを認める水準が低い」、「支援効果が低い」、「サービスが続けられる 可能性が低い」などの問題がある(曲紹旭・陳友華,2019)。
2-2.農村部の高齢者の扶養サービスニーズ
黄後輝(2014)は農村高齢者の年齢及び収入が扶養サービスと正の関連があり、子ども の人数及び高齢者の健康状態が扶養サービスと負の関連があるとしている。
陳金娣・新田(2011)は、中国農村部の高齢者は在宅ケアサービスの実施に前向きで、
利用ニーズが高く,そのニーズとの関連要因については、配偶者の有無、自覚症状の有無、
慢性疾患の有無、ADL、年齢などの要因があることを指摘した。また、老人ホームと訪問 リハビリテーション利用ニーズが有配偶者に高かったことも指摘している。
第 3 節 中国農村部における高齢者への支援について 3-1.中国農村部の高齢者の扶養サービスと扶養モデル
劉峰(2016)は高齢者扶養を経済的扶養、身辺介護、情緒的扶養と定義しており、家族 扶養が弱体化した中で高齢者の家族扶養を継続・向上させるために、公的サービスの充実 を図ると同時に、社区を軸とする各サービスの組み合わせの工夫をしなければならない 点を指摘した。
王雪輝(2017)は、経済的理由により、現在の中国の農村部は「在宅を基盤に、社区を 拠り所に、施設を補完的役割とする」扶養システムが不適であると指摘している。そのた め、農村部において高齢者の高齢化、空巣化と失能化とともに、農村部において「三無老 人を目標群体とする福利型扶養ケアシステム」、「失能老人を目標群体とする普遍的な救 助型ケアシステム」と「自立できる高齢者を目標群体とする需給型ケアシステム」という 扶養システムを構築すべきであると主張した。
3-2.中国農村部における高齢者福祉施設
郭芳(2011)は、中国農村部における高齢者の福祉施設は公営敬老院、公営養老院、
民営養老院という三つの類型があり、経済能力により農村部の高齢者が「富裕層・中間層・
貧困層」に分けられるとした。その上で、身分問題と経済問題で施設に入居できない高齢 者,すなわち「中間層高齢者」には、利用費用が比較的に低い民営施設の改善が不可欠で あることを指摘した。
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第 4 節 日本で議論されてきたニーズ論 4-1.ニーズの定義に関する議論
近年、日本では、様々な「ニーズ論」2が提起されており、その中では、「ニーズ」の定 義に対してニーズを誰が判断するか、つまり判断する主体に基づく分け方が注目されて いる。その判断主体により、「ニーズ」の定義に関する考え方は4つの類型に分けられる。
一つ目は「本人の立場」から見るニーズである。二つ目は「政策策定主体の立場」から見 るニーズであり、よく知られているのが三浦の定義である。そして、三つ目には「サービ ス提供主体(実践主体)の立場」から定義されたニーズである。最後の四つ目「研究の視 点」のニーズとは、研究目的に応じて、ニーズを操作的に定義し、把握することである(中 野,2016)。それぞれの視点による定義は以下の表 1-1 で整理する。
表 1-1 ニーズの定義の類別
判断主体 相関の定義
本人の立場 ニーズとは、本人が生活の自立に必要と知覚あるいは表明したものであ る(中野,2016)。
政 策 策 定 主 体の立場
ニーズ3とは、ある種の状態が,ある種の目標なり,基準から見て乖離の 状態にあり,そしてその状態の回復・改善等を行う必要があると社会的 に認められたもの(三浦,1995)。
実 践 主 体 の 立場
ニーズとは、特定のケア機関や公的機関によって、個人が一般的に妥当 と考えられる社会的自立や生活の質を達成、維持、回復するのに必要な 諸要求を充足していない状態、と認定されたもの(メレディス,1997)。
研究の視点 それぞれの研究目的に応じて、多様な定義が存在している(中野,2016)。
出所:中野(2016)「高齢者福祉の世界」,p132-134,を参考に、筆者作成
また、別の視点により、今までの議論を「政策論から検討されてきたニーズ論」と「援 助論から検討されてきたニーズ論」に分類する方法も存在している。前者「政策論」の代 表的な理論は三浦のニーズ論であり、後者「援助論」の代表的な理論は J.ブラッドショ ーによる「ニーズ」論4である。
これらの議論に基づき、ニーズの分類基準の違いにより、ニーズの定義をめぐる議論を 以下の表 1-2 のように整理する。
2「ニード」と「ニーズ」は同じ意味を持っており、「ニーズ」は「ニード」の複数形で表記している言 葉であるが、本研究では、引用箇所以外、全て「ニーズ」で統一している。
3中野(2016)により、政策の立場から見るニードは、社会的支援が必要なニードであるという意味か ら、社会的ニード(ソーシャルニード)と称される。
4J.ブラッドショー(1972)は「ニーズ」を以下の四つの種類に分けた。
規範的ニード:専門家、行政官、社会科学家が「望ましい」基準と個人や集団の状態とを比較し、そ の状態が「望ましい」基準に達していないと判断した場合に、この「規範的ニード」があるとみなされ る。
感得されたニード:ニードがあることを本人が自覚している場合に,「この感得されニード」がある とみなされた。
表明されたニード:「感得されたニード」がサービス利用の申請といった行動に転化した場合に「表 明されたニード」があるとみなされる。
比較ニード:サービスを利用している人と同じ特性を持ちながら、」サービスを利用していない人が いる場合、その人は「比較ニード」があるとみなされる。
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表 1-2 ニーズをめぐる議論
基準 概念 定義及び特徴
専門家 の判断 がある か
客観的ニ ーズ
ある一定の望ましい基準と利用者の現状を比較して、利用者がそ の基準から乖離している場合に「その利用者にはニーズがある」
と専門家が判断するニーズである。
主観的ニ ーズ
サービスの利用を当該の機関、団体、施設などへ実際に申請した り、利用者がサービスの必要性を自覚したりするニーズ。
福祉資 源の充 足度
個人的ニ ーズ
単に個人の中にある主観的・心理的に不充足な状態を回復・改善 するため、自己の中にあるニーズ。
福祉ニー ズ
ある状態が社会福祉の基準に照らして一定の回復,改善が必要で あると判断された状態。人間の持つニーズへの社会的な対応の変 化,つまり福祉資源充足度の質的量的状況に大きく影響を受ける という極めて相対的な性質を持っている。
公共 性・社 会認識 及び必 要性
個別的ニ ーズ
要援護性はありながら,社会的に見ると要援護性が認められない ニーズ。個別性・少数かつ特殊性という特徴がある。
社会的ニ ーズ
『ある種の状態が,ある種の目標や一定の基準からみて乖離の状 態にある』状態の解決が社会的に必要であるというニーズ。
潜在性 と顕在 性
潜在的ニ ーズ
本人の自覚・感得がなくともある一定の基準から乖離し、その状 態の解決が社会的に必要であるとみなされる状態を指し、現実的 な福祉サービス需要として顕在化しないニーズ。
顕在的ニ ーズ
現実的なサービスの需要として顕在化しており、依存状態やその 解決の必要性を本人が自覚している場合のニーズ。
貨幣的 に測れ るかど うか
貨幣的ニ
ーズ 貨幣、すなわち金銭に関するニーズ。
非貨幣的 ニーズ
貨幣以外のニーズ。単に金銭給付や金銭的負担の軽減だけでは充 足されないニーズを指す。
出所:筆者作成
4-2.高齢者のニーズの把握と支援
高齢者が有するニーズには、その原因に応じた類型がある。個人的な原因(加齢や老化 など)による①医療機関での治療のニーズ、②介護ニーズ(身体介護)、③生活支援ニーズ 及び④社会関係支援ニーズである。加えて、高齢者やその家族を取り巻く社会経済的な状 況の変化が考えられる場合、高齢者をめぐる様々なニーズがより複合的かつ連続的にな る。具体的に言えば、高齢者の住まいに関するニーズ、医療における急性期の治療ニーズ と安定した後の慢性期の治療ニーズ、介護予防へのニーズ等がある5。さらに、近年では、
生活困窮に陥っている高齢者への支援のあり方に関する研究において、それらの貧困高 齢者の就労ニーズ、居住ニーズ及び家計相談支援ニーズが注目されている(厚生労働
5 「老人福祉論—高齢者に対する支援と介護保険制度」全国社会福祉協議会 2017 p18-19
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省,2017)。
そして、近年、日本で注目されているのは社会的支援が必要とされる「社会的ニーズ」
である。その「社会的ニーズ」を満たすために、何らかの社会支援が必要と考えられる。
中野(2016)はそのようなニードを「サービス・ニード」と称する。高齢者をめぐる「サ ービス・ニード」の種類には、「介護サービス・ニード」、「社会的交流・活動サービス・
ニード」、「安全・安否確認サービス・ニード」、「家事援助サービス・ニード」、「健康増進・
疾病予防サービス・ニード」、「看護サービス・ニード」、「医療サービス・ニード」、「リハ ビリテーションサービス・ニード」、「利用者保護サービス・ニード」、「心のケア・ニード」、
「資源利用支援サービス・ニード」などがある(中野,2016)。
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第2章 研究目的と研究方法
前章では、中国農村部における貧困世帯の高齢者の貧困問題、扶養問題及び日本で議論 されてきたニーズ論に関する先行研究を概観した。以下では、本研究の目的、研究方法及 び分析枠組みについて検討する。
第1節 研究目的
先行研究の検討から、農村部貧困世帯に着目し、そこで生活している高齢者の生活実態、
特に扶養実態についての研究が少ないことが明らかになった。そのため、本研究は農村部 で貧困世帯に暮らす高齢者の生活実態の各側面を調査し、共通のニーズを明らかにした 上で、中国におけるこれからの支援策を検討する。
第 2 節 研究方法
研究フィールドは、中国の中部に位置し、人口が全国第 3 位、65 歳以上の高齢者人口 が全国第4位の河南省にある 4 つの市の農村部である。
研究対象者:「低保戸」6としての農村部貧困高齢者世帯8世帯の高齢者
データの収集方法:機縁法にて 8 世帯程度を抽出、依頼し、高齢者本人に半構造化イン タビュー調査(高齢者の自宅を筆者が直接訪問し、個別面接にて収集)を行う。調査の際 には、高齢者本人の許可を得た上で、録音もしくは筆記による記録した。インタビュー時 間は約1時間内である。調査期間は、2019 年8月である。
なお、本研究は、日本社会福祉学会の研究倫理指針に基づき実施している。
データの分析方法:8つの事例から、農村部の貧困世帯で暮らす高齢者の生活実態を比 較し、共通のニーズを分析する。
質問項目:
基本属性(性別、年齢、学歴、婚姻状況、職業、子供の数、居住形態)
経済状況(資産状況、収入と支出、就業状態、衣食住の状況、困る時の対策)
健康状況(身体状況、生活の自立程度、身体検査を受ける状況、病気への治療の選択)
精神状況(家族との関係、他人との交流、心配していること、心の拠り所)
被支援状況(家族支援と公的支援について)
第 3 節 本研究における「ニーズ」の捉え方
平岡(2011)は、J.ブラッドショーによる「ニーズ」の分け方を提示した上で、「顕在 的ニーズ」と「潜在的ニーズ」に分けている。また、「潜在的ニーズ」のうち、ニーズが 潜在化している状態を表 2-1 のように、「状態 A」と「状態 B」にわけた。
6 制度上では、「低保戸」とは、最低生活保障制度の保障対象となり、政府から月々一定の生活費が支 払われている家庭である.
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表 2-1「状態 A」と「状態 B」の定義及びポイント
定義 ポイント
「状態 A」
専門的な観点から見ればニ ードがあるのに、本人が自 覚しない状態である。
1本人が自覚していないこと 2専門的な視点で見えること
「状態 B」
本人がニードを自覚してい ても、何らかの理由でサー ビス利用の申請を行ってい ない状態である。
1 本人が自覚していること 2サービスが存在していること 3何らかの理由でサービスを申請しな いこと
出所:平岡(2011)「社会福祉とニード」「社会福祉学」有斐閣,P428 より、筆者作成
さらに、ニーズが潜在化する社会的・制度的要因について、表 2-2 のように整理する。
表2−2 ニードが潜在化する社会的・制度的要因 ニ
ー ド が 潜 在 化 さ れ る 要 因
(1)ニードを充足する制度やサービスが存在しないため、ニーズを有する当事 者は、ニーズが社会的な制度で充足しうるとは考えない。
(2)ニーズを充足しうる制度やサービスは存在するが、制度やサービスの存在 が知られていない、もしくは知ってはいても、その効果が理解されていない。
(3)ニードを充足する制度やサービスがあって、その存在は知ってはいても、
その内容が個別のニードに合っていない。
(4)制度やサービスの利用にスティグマを伴う場合で、国などからの援助を受 けることや、ある種の病気や障害を他人に知られたくない。
出所:平岡(2011)「社会福祉とニード」「社会福祉学」有斐閣,P429 より、筆者作成
一方、「福祉ニーズ」に関する研究では、人間の持つニーズがその社会的な対応の変化 とともに変わると考えられており、その社会での福祉資源充足度の量的状況のみならず、
質的状況も、人間の持つニーズに大きな影響を及ぼしている。つまり、「福祉ニーズ」が 極めて相対的な性質を持っていると言える。たとえば、岩田(2013)は、ニーズは「その 充足方法と一体的に,その手法とともにしかとらえられないもの」であるとして,その 時々の資源(財源)制約に影響を受けながら,あくまで社会福祉の供給側が,ニーズを定 義していくと述べている。
しかし、平岡は「顕在的ニーズ」と「潜在的ニーズ」を提起したが、「顕在的ニーズ」
の定義を説明していない。そこで、本研究では、「顕在的ニーズ」とは、現在、サービス が存在しているかどうかに関わらず、本人が自覚しており、さらに言葉で表明することで ある。また、平岡は「潜在的ニーズ」に対する要因分析では、社会側・制度側の要因のみ を分析している。しかしながら、ニーズを生む要因が複雑であり、「福祉ニーズ」も相対 的な性質を持っているため、社会側・制度側の要因によるニーズのみならず、利用者側の
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要因によるニーズ及び、社会側・制度側と利用者側の双方の要因によるニーズもあると考 えられる。例えば、①政策・制度側の要因については、前述の通り、中国の農村地域にお ける社会保障制度がまだ不備な状態にあり、さらにある特定の方面で公的支援が行われ ているが、その支援の量及び質は十分ではない。②本人側の要因に関して言えば、伝統的 な家族扶養意識が強く、公的・社会的支援を利用し、問題を解決しようとする意識が弱い ことが挙げられた。
そこで、本研究では、中国の実情を踏まえ、「顕在的ニーズ」と「潜在的ニーズ」の判 別基準を改めて考え、新たな基準を表 2-3 で示す。その基準に基づき、本研究での農村部 の貧困世帯における高齢者の「ニーズ」の捉え方は、以下の図2−1のようにする。その 上、各事例を通じて、明らかにしたニーズを生む原因の分析も行う。
また、中国では、高齢者の福祉に関する学術研究領域において、高齢者としてのあるべ きニーズに関する検討は未熟であるため、今回、各事例の高齢者の具体的なニーズには、
中野(2016 年)の高齢者の「サービス・ニード」論を参考しながら、抽出する。
表 2-3 本研究における「顕在的ニーズ」と「潜在的ニーズ」の判別基準
類型 ポイント
顕在的
ニーズ 現在、サ ー ビ ス が 存 在 し て い る か ど う か に 関 わ ら ない
1本人が自覚しており、さらに言葉で表明すること
潜在的 ニーズ
「状態 A」
1本人が自覚していないこと 2専門的な視点で見えること
「状態 B」
1 本人が自覚していること
2何らかの理由で言葉などの形で表明しなく、専門的 な視点で掘り起こす必要があること
出所:筆者作成
図 2−1:本研究のニーズの分析枠組み 筆者作成 農村部
貧困世 帯にお ける高 齢者の ニーズ
顕在的 ニーズ
潜在的 ニーズ
「状態A」
(ニーズ)
「状態B」
(ニーズ)
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第4節 用語の定義と制度について 4-1.中国の「農村」について
まず、中国における都市部/農村部の分類については、以下二つの基準を説明する。
①政府により、中国の地方行政区画は基本的に4層に分けられている(表1)。その中 で、「都市」は中国で「城市」と呼ばれ、「城市」の明確な定義はないが、一般的に「直轄 市」「副省級市」「地級市」「県級市」といった「市」の付く行政区画を指している。「城市」
と関連があるもう一つの言葉は「城鎮」である。中国における「都市化」が「城鎮化」と いう言葉で表現されており、「城市」と「城鎮」は違うものである(劉家敏,2013)。「城鎮」
の定義については、中国国家統計局により、郷級の中の一部(郷の以外)、県級、地級と 省級という地域が「城鎮」と呼ばれており、それ以外は農村と呼ばれている。
②戸籍制度により「都市市民」と「農民」に分けられており、「農民」という戸籍を持 っている多くの人々の本籍は、表1の建制鎮の一部、郷とそれ以下レベルの地域であると 考えられる。三浦(2014)は、戸籍制度のため、中国において都市部と農村部は、公共サ ービス、年金制度と土地制度において大きな格差が存在していると指摘している。
表 2-4 中国の地方行政区画
省級 省 直轄区
地級 地級市(副省級市を含む)
県級 市轄区 県級市 県 市轄区 県
郷級 街道 建制鎮 建制鎮 郷 建制鎮 郷 街道 建制鎮 建制鎮 郷 自治
体
居委 会
居・村 委会
居・村 委会
村 委 会
居・村 委会
村 委 会
居委 会
居・村 委会
居・村 委会
村 委 会 注)1. 「特別行政区」、地級の「地区」、地級以下の自治地域(例えば自治州・盟、自治県、民族郷)など は省略。
2. 綱かけ部分は基本的に都市戸籍者が本籍を持つ地域であるが、「建制鎮」の所轄地域にある「村」
は、対象外である。「建制鎮」は一般に、農村地域のうち、工商業が一定程度発達し、非農業人口が比較 的集中している地域や行政の中心地を切り出す形で設置された行政区画を指す。
3.「地級市」には、南京市、広州市、深圳市等のような「副省級市」が含まれている。
4.「居委会」は居民委員会、「村委会」は村民委員会の略。
5.出所:劉家敏(2013)「中国が目指す「都市化」とは何か ―「新型城鎮化」に政府が込めた思い と今後の課題」みずほ総合研究所
4-2.中国における高齢者世帯類型
日本では、厚生労働省により、高齢者世帯は 65 歳以上の者のみで構成するか、又はこ れに18歳未満の未婚の者が加わった世帯と定義されている。中国の場合、単に高齢者が いる世帯を指して、「高齢者世帯」が用いられる。また、中国における「高齢者世帯」は、
世帯員の構成によって、表 2-5 のように4種類に分けられる。
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表 2-5 中国における高齢者世帯類型
類型 同居形態 比率
一代戸 1一人暮らし高齢者世帯
2夫婦二人の高齢者世帯 39.1%
二代戸
1子供と一緒に住んでいる高齢者世帯 2孫だけと一緒に住んでいる高齢者世帯 3両親だけと一緒に住んでいる高齢者世帯 4他の二代戸
22.56%
三代戸
1子供、孫と一緒に住んでいる高齢者世帯 2両親、子供と一緒に住んでいる高齢者世帯 3両親、孫と一緒に住んでいる高齢者世帯 4他の三代戸
36.49%
四代戸 孫、子供、両親と一緒に住んでいる高齢者世帯 0.64%
出所:孫鹃娟(2013)「中国老年人的居住方式現状与変動特点――基於“六普”和“五普”数据的 分析」より 筆者作成
農村部の高齢者は「老後のために子供を育てるという社会的な伝統」の意識、経済的条 件と農村部社会保障制度の不備などの理由から、二代戸と三代戸の1,2の形態で生活し ていることが多い(王躍生,2014)。
4-3.中国における現行中の公的扶助制度
①農村「低保戸」制度について
制度上では、「低保戸」とは、最低生活保障制度の対象となり、政府から月々一定の生 活費が支払われている家庭である。その認定基準としては、共同生活している世帯員の 1 人当たりの収入が当該地域の最低生活保障基準を下回り、かつ、「最低生活保障世帯状況 規定」に該当する世帯であることとされている7。
また、「低保戸」への扶助の種類は、「医療扶助」、「教育扶助」、「住宅扶助」、「就職扶助」
と「臨時扶助」などがある。その具体的な扶助内容としては、以下の表 2-6 の通りである。
表 2-6 「低保戸」への扶助の種類と内容
医療扶助
新型農村合作医療に加入している場合、保険料の個人納付分を助成する。
基本医療保険や大病保険、その他の補助的医療保険で賄われる医療費の ほか、個人及び家庭が負担しなければならない医療費を助成する。
教育扶助 教育段階に応じて、教育費の免除、助成金支給、生活補助の提供などの支 援を行い、扶助対象者の基本的学習と生活を保障する。
住宅扶助 公営賃貸住宅の斡旋、家賃補助、農村の老朽化した屋根の補修などを行 う。
7 出所:https://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2014_6/china_01.html2019/5/26
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就職扶助
政府利子扶助融資、社会保険補助金や賃金補助金、育成訓練補助金を支給 する。また、職業紹介費用を減免し、非営利の仕事に配置する。自営業に 従事する失業者に営業税や個人所得税などを減免する。医療費の減免も 行う。
臨時扶助
臨時扶助の具体的事項や基準は、県レベル以上の地方政府が確定・公布す る。ホームレスとして生活する者に対して臨時の食事や宿泊、急病応急処 置、帰郷支援など。警察及びその他の行政機関の職員に対し、急病人につ いては「直ちに救急医療機関に通報し、治療を受けさせること」を義務づ ける。
出所:独立行政法人 労働政策研究・研修機構ホームページから引用8
②農村「扶貧開発制度」について
中国では、政府は長年貧困人口を削減するため、「扶貧開発制度」(以下,扶貧制度)を 作り出した。そして、扶貧制度の対象となる世帯が「貧困戸」と呼ばれ、国家は以下の基 準で「貧困戸」を表 2-7 のように分けている。しかし、実際のところ、経済発展などの違 いによって各地域の扶助標準が異なっている。
表 2-7 「貧困戸」の定義及び扶助基準
分類 定義 認定基準
貧困 戸
絶対貧 困家庭
最低限の生存条件を欠く家庭であ る。
一人 当た りの 年収
——627 元 相対貧
困家庭
その県・市の文化水準、生活水準と 比較し、適正な水準での生活を営む ことが困難な家庭である。
628 元——865 元 低収入
家庭
一人当りの年収は 866——1205 元の
家庭である。 866 元——1205 元 出所:社会保険照会ホームページより、筆者作成9
また、2011 年に「農村扶貧開発要綱(2011-2020)」が発布され、新たな扶貧政策が策定 された。その要綱では、総体目標は 2020 年までに扶貧対象の温飽問題の解決として「食・
住」の憂いを解消し、義務教育、基本的医療と安全な住居の保障(「両個不愁、三保障」)
を実現することである。
③特別困難者生活救助制度について
「特別困難者生活救助制度」とは、「最低生活保障制度」を実施することができない農村 地域では、労働能力がなく、長年貧困状態に陥っている貧困者へ現金、現物とサービスを 定期的に提供する公的扶助制度である10。
8 独立行政法人 労働政策研究・研修機構ホームページ「社会扶助暫定規則が施行―各種扶助制度を整 備」https://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2014_6/china_01.html 2019/5/15
9 出所:http://m.chashebao.com/shehuijiuzhu/18606.html2019/5/15
10 出所:https://m.chashebao.com/shehuijiuzhu/2420.html 2019/5/17
15
4-4.河南省における現行中の農村「低保戸制度」と「扶貧開発制度」との比較
表 2-8 「低保戸」制度と「扶貧開発制度」
「低保戸」制度 「扶貧開発制度」
定義 共同生活している世帯員の 1 人 当たりの収入が当該地域の最低生 活保障基準を下回り、かつ、「最低 生活保障世帯状況規定」に該当す る世帯に対して、最低基準の給付 を行う制度。
貧困を削減するための制度である。
目標:「両個不愁、三保障」(「食・住」
の憂いを解消し、義務教育、基本的医 療と安全な住居の保障(「両個不愁、
三保障」)を実現すること。
行政機構 民政機関 扶貧開発機関
認定基準 (1) 共同生活している世帯 員の 1 人当たりの収入が当該地域 の最低生活保障基準を下回り、か つ、「最低生活保障世帯状況規定」
に該当する世帯。
(2) 重度障害者、労働能力 がない重病人、70 歳以上の 高齢者または義務教育段階ではな い学生のいる世帯、子供が死亡し ている世帯、ひとり親世帯が対象 者とされる1。
各省の貧困地域農民の一
人当たりの年純収入1,現行中の河南 省の認定基準は一人当たりの年純収 入 3026 元(48000 円)である2。
申請の流れ
11
①個人は村委会に申請②村委会で 調査・評議・公示(5 日以内)③郷
(鎮)アセスメント・公示(15 日 以内)④市民政部はサンプルを抽 出し、審査と認定を行う(10 日以 内)⑤村・郷(鎮)は第三次公示(公 示時間:5日)⑥低保戸の証明書 の発行・保護費の支給・記録の保 存3。
①農民の自己申請②村民代表大会で の民主的評議③村党委・村民委の両 会と駐村扶貧支援活動隊の確認調査
④第 1 次公示⑤鎮人民政府の審査⑥ 第 2 次公示⑦県扶貧辨再審⑧結果の 最終公示
扶 助 / 扶 貧 内容
医療扶助、教育扶助 住宅扶助、就職扶助 臨時扶助、災害扶助など
産業扶貧、就職・起業扶貧、健康扶 貧、兜低保障扶貧、教育扶貧、住宅扶 貧、扶貧移民政策、障害者扶貧、生態 扶貧など
注):1出所:「鄭州市農村居民最低生活保障工作規範」、2010 年、4頁
2出所:河南省脱貧攻堅档案資料規範化建設指導意見」河南省扶貧開発 2017 年、24 頁
3出所:中国の社会保険の照会ホームページより、筆者作成
11出所:https://m.chashebao.com/shehuijiuzhu/18486.html 2019/5/20
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政府は貧困問題を解決するために、2000 年前に、公式的に二つの扶助基準を作った。
一つは「最低生活保障ライン」と呼ばれ、もう一つは「扶貧ライン」(または「絶対貧困 ライン」と呼ばれている)であった。しかし、近年中国政府は、「両線合一」(その二つの ラインが一つにする)というスローガンを打ち出し、「最低生活保障ライン」は政府が貧 困対策資金を分配する際の正式の基準になっているが、その二つの基準はいずれも絶対 的貧困の範疇に入っている(張建,2015)。また、経済発展などの違いによって各地域の扶 助基準が異なっている。
17
第3章 事例の概要と分析
本章では、イタビュー調査から得られた8つの事例をまとめた上で、各世帯における高 齢者の「顕在的ニーズ」及び「潜在的ニーズ」を整理しながら、そのニーズの要因を分析 していく。
1事例 A の概要と分析
事例 A 基本
属性
年齢 性別 学歴 婚姻
状況 職業 居住形態 71 女 ない 死別 無職 息子と一緒
家庭 状況
家庭成員:息子1人 、息子の嫁、孫一人 娘3人(結婚した)
息子は無職であり、主に農業をやりながら、様々なバイトをやることを通じ てお金を稼ぐ。
息子の妻は体に障害があり、歩行が困難である。
孫は寄宿大学で勉強している。
健康 状況
123 年前に屋根から落とされることがあった。その時に腰は
重症を負い、治療しなかったまま、数日後、まだ農業労働に参加した。近年、
病院へ治療に行ったことがあったが、もう遅くなり、回復の望みがないので、
腰に後遺症が残った。しかし、可能な範囲で今でも農業や家事などを自身で 行っている。
2身体検査を受ける意識があるが、お金がかかるためやめた。
3軽症の場合では、村のクリニックで治療する。
重症の場合では、県の病院で治療する。
(なぜ重症の場合に、県の病院より、大都市の医療技術や医療環境が良い病院 を選びたくないかという問題を聞いた時に、その答えとしては、県の医療保険 政策により、ほかの地域の病院で治療すれば、自分が負担する医療費用が高く なるという理由を述べた。)
精神 状況
1日常の娯楽の活動として、近隣の高齢者たちと一緒にトランプをする。
2家族との関係が良いであり、息子は自分に対する扶養意識が強いと言われ た。
3一番心配しているのは息子の嫁の体が不便なので、将来、自分が自立できな い場合では、誰かが自分を介護できること。
被支 援状 況
家族支援 普通の日常の生活へ支援
公的支援 1低保戸としての扶助金は一人で 80 元/月、または医療扶助金は 一人で 400 元/年、病気に関する費用をかける場合だけ使える。
2扶養金 100 元/月
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経済 状況
1個人の資産がない 2収入
・低保戸としての扶助金と扶養金
・娘たちからの支援金
3支出:薬代など。高齢者は服をあまり合わない。食費について家族と一緒に 生活しているので、食費の支出もない。
A さんのニーズ:
<顕在的ニーズ>
①医療機関を自由に選択し、医療費を軽減するニーズがある。医療保険制度上、A さん は医療機関を自由に選択ないうえ、自己負担医療費は、A さんにとって、経済的に逼迫し ている。A さん自身はその問題を認知しており、医療機関を自由に選択し、医療費を軽減 するニーズがあると言える(制度側の要因)。
②他方、現時点での「健康増進・疾病予防ニーズ」として、A さんは腰に後遺症がある。
健康に気を遣い、疾病を防ぐ意識はあるが、経済的理由から、「健康増進・疾病予防ニー ズ」が実現できていない(双方の要因)。
<「状態 A」による潜在的ニーズ>
①家族に対する「貧困の罠」を防ぐニーズである。息子の妻に障がいがあり、労働力が なく、孫はまだ学生であるため、稼ぐ能力がない。つまり、経済面では、息子一人で全員 世帯を扶養しているため、万が一、息子の扶養能力がなくなる場合、家族はより貧困の状 態から抜け出すことが困難となる(双方の要因12)。
<「状態 B」による潜在的ニーズ>
①本人の加齢による「介護ニーズ」、「医療ニーズ」「健康増進・疾病予防ニーズ」「看護 ニーズ」がみられる。その理由としては、A さんは自分の老後の生活を意識しているが、
具体的な支援内容について自分では予測できない。それに、農村地域において、政策・制 度面で高齢者老後生活に対する支援システムは不十分である(双方の要因)。
②インタビュー中、A さんは自分の将来の生活を話した時に、「嫁さんは今そんな状況
…」という言葉から、息子の妻の障害について懸念していることが推測できる。将来的な、
息子の妻の介護・生活支援など、家族に関連するニーズにも注目する必要がある(利用者 側の要因)。
2 事例 B の概要と分析
事例 B 基本
属性 年齢 性
別 学歴 婚姻状況 職業 居住形態 67 男 ない 配偶者い
る 無職 妻共に暮らしている
12 双方の要因は、制度側と利用者側の要因であり、利用者側の要因には家族側要因と本人側要因を含め ている。
19
家庭状
況 家庭成員:息子二人(長男亡くなった)
孫二人 娘一人
B さんの長男は数年前に事故で亡くなった。妻はその時に非常的に悲しい ので、一つの目を泣き潰し、何にも見えない状態になった。そして、妻は高血 圧があり、普段は薬を飲んでいる。
次男は結婚し、自分の家に住んでおり、二人の子供がいる。B さん夫婦と一 緒に生活していない。さらに、戸籍も一緒ではない。
B さん夫婦二人は娘さんと一緒に住んでいるが、娘はお金を稼ぐため、その 地域の城鎮で働いており、平日は家に住んでいない。
B さんが住んでいる家は、キッチンがないため、今回調査を行う時に、キッ チンを築きたいというニーズがある。
健康状 況
1高血圧
2身体検査を受けることも無いし、意識も無い。
3病気がある場合では、その県の病院へ治療する。理由は自己負担の医療費 が少ないためである。
4日常的な生活における手助けの場合があまりない。
精神 状況
今心配しているのは来年から低保戸としての資格がなくなること。
今後の暮らしについて不安を感じることを聞く時に、B さんは答えたくなか った。
被支援 状況
家族支援 夫婦二人はお互いに支えている 公的支援 扶養金 100 元/月
低保戸としての扶助金は一人で 80 元/月
経済状 況
収入:
1扶養金 100 元/月、低保戸としての扶助金は一人で 80 元/月 2土地もまたうけし、毎年 3600 元ぐらいの収入がある 支出
3 薬代 200 元/月
B さんのニーズ:
<顕在的ニーズ>
①A さんと同じ、医療機関を自由に選択し、医療費用を軽減するニーズを持っている(制 度側の要因)。
②「住まい」に関するニーズがある。現状、「低保戸」として、「住宅扶助」が受給して いるが、B さんはその地域の事務所に、キッチンを築きたいことを伝えたが、返事がなか った。つまり、B さんは、「住まい」に関するニーズを持っている(制度側の要因)。
③ また、扶養してくれる息子がいないため、将来的にも「低保戸」への支援を受け続
20
けるニーズがある(双方の要因)。
<「状態 A」による潜在的ニーズ>
①現時点で「健康増進・疾病予防ニーズ」がある。B さんと妻は慢性疾病を併発してい るが、夫婦二人は健康診査を受けておらず、健康増進・疾病予防の意識も持っていない。
また、B さんは日常生活は自立しているが、妻は片目に障害があり、何にも見えない状態 である。妻の介護を B さんが担っている。つまり、B さん個人のみならず、妻の「健康増 進・疾病予防ニーズ」にも重視する必要がある(利用者側の要因)。
<「状態 B」による潜在的ニーズ>
①妻のニーズを解決するニーズがある。B さんは、妻の障がい者としての毎月の扶助費 が、障がいレベルが低いため、取り消されたことについて言及した。将来的に、妻のこと を心配していると推測できる。つまり、B さんにとって、妻のニーズが自分のニーズに影 響を及ぼしており、妻のニーズがより重要であることがわかる(双方の要因)。
②本人の加齢による「介護ニーズ」、「医療ニーズ」「健康増進・疾病予防ニーズ」「看護 ニーズ」などのニーズがある。B さんの家庭は、「老老介護」状態である。B さんは A さん と同じく、自分の老後の生活には、様々な支援が必要であることをある程度に意識してい るが、具体的な支援内容については予測できない様子であった。そこで、B さん本人の加 齢による「介護ニーズ」、「医療ニーズ」「健康増進・疾病予防ニーズ」「看護ニーズ」など のニーズを無視するわけにはいかない一方、「老老介護」によるニーズ及び将来、B さん が自立できない場合では、妻の医療・介護・生活支援など、という家族に関連するニーズ にも注目する必要がある(双方の要因)。
3 事例 C の概要と分析
事例 C 基
本 属 性
年齢 性別 学歴 婚姻状況 職業 居住形態 75 男 小学校卒業 配偶者がい
る 無職 妻共に暮らしている 家
庭 状 況
家庭成員:妻
息子一人(亡くなった)
娘二人(結婚した)
以前では、その農村地域の幹部であり、さらに息子は生きていた時に、世帯の総 収入と生活レベルはその住んでいる地域の平均レベルと比べ、富裕な世帯と思わ れた。しかし、何年前に息子はがんを発症し、がんの治療のために 100 万元ぐら いのお金(1600 万円)をかけたが、治療が失敗し、2ヶ月以降、息子が亡くなっ た。その後で、世帯は貧困の状況に落ち、今まで 15 万元ぐらい(240 万円)の借 金があり、高齢者は借金を返すことが難しいと言われた。
一方、今では、妻は心臓病があり、寝たきりの状況であり、月々900 元の薬代を かけている。高齢者自分は普通の生活ができるが、足が痛いので、薬も飲んでい る。しかし、高齢者自身より妻のほうが厳しいため、妻の介護や生活ケアなどは全 て高齢者が行う。
21
健 康 状 況
1毎日薬を飲んでいる。
2身体検査の意識がないが、2 ヶ月一回病院に薬を取りに行く時に、医者は簡単な 心臓検査をやってあげた。
3軽病、例えば風邪を引いた場合では、無視して治療しないとか、または村の医者 は高齢者の家にきて治療する。
精 神 状 況
1娘は大体 2 ヶ月一回高齢者の家にくる。
2日常的な生活における手助けの場合があまりない。
3一番心配しているのは今の生活を維持することができないこと。その理由につ いては、娘がいるが、結婚したので、もう私(高齢者自分)の家族成員ではなく、
また、娘は自分の家族と仕事があり、生活のストレスも高いので、私のせいで娘の 家族に迷惑をかけたくないということを言われた。
被 支 援 状 況
家族 支援
1娘は大体 2 ヶ月一回高齢者の家にきて、服、布団など家事をやってあ げる。
2介護が必要の場合において、主に娘は介護を行う。
公 的 支 援
低保戸の扶助金と夫婦二人の扶養金 農村医療保険
経 済 状 況
支出
1高齢者自分と妻の薬代2ヶ月分 1000 元(16000 円)ぐらいである 2医療保険料 220 元/年(3520 円/年)
3生活費は 20 元/月ぐらいである。(高齢者は実家用食糧を生産する農地があり、
その農地面積が少ないが、産量は高齢者の一年分の食糧としては十分である。そ して、野菜などにも高齢者自分が植え、肉などはあまり買わない。)
収入
1長女から少ないが、時々お金がもらえる。
2低保戸の扶助金と 380 元/月、夫婦二人の扶養金 410 元/月
3多くの土地もまたうけしたが、近年その土地の利益は差し引きして欠損してい る状況のため、その土地からの収入はあまりない。
C さんのニーズ:
<顕在的ニーズ>
①借金を返済さなければならない負担があるため、経済的安定ニーズがある(双方の要 因)。
<「状態 A」による潜在的ニーズ>
①現時点で「健康増進・疾病予防ニーズ」がある。C さんは慢性疾病を患っているが、
健康診断を受ける意識がない上に、経済状況により受けることができない。生活面では、
C さんはお金を節約するため、必要な食料を買わずに食事は済ましている。そのため、食 生活での栄養状態を考えると、C さんは「健康増進・疾病予防ニーズ」を持っていると言 える(双方の要因)。
②また、高齢の介護者としてのニーズがある。C さん自身は日常生活に支障はないが、
妻が寝たきりの状態であり、「老老介護」と言える。妻の介護などは、C さんがすべて行 なっている。そこで、C さん本人にとって、高齢の介護者としてのニーズにも重視すべき
22
である(双方の要因)。
<「状態 B」による潜在的ニーズ>
①本人の加齢による「介護ニーズ」、「医療ニーズ」「健康増進・疾病予防ニーズ」「看護 ニーズ」などのニーズを持っている(制度側の要因)。
②家族に関連するニーズがある。前述の通り、C さんの家は、「老老介護」状態であり、
かつ C さんは「一番心配しているのは今の生活を維持することができないこと」と回答し ている。つまり、C さんは、将来、自分が自立できない場合は、自分のことだけではなく、
妻のことも心配していると推測できる。しかし、具体的な支援内容については答えられず、
制度面でもその支援策が打ち出されていない(双方の要因)。
4 事例 D の概要と分析
事例 D 基本
属性
年齢 性 別
学歴 婚姻状況 職業 居住形態
73 男 ない 死別 無職 息子さん共に暮らしている
家庭 状況
家庭成員:息子一人(半身不随)
娘三人(結婚した)
孫娘一人(寄宿の大学生)
以前は、息子は出稼ぎ労働者として、大都市で働いており、その時に、高齢 者は孫娘と一緒に農村の家に住んでいた。しかし、息子は数年前に突然半身不 随になり、労働能力がなくなってしまう。今、息子、孫娘と一緒に生活してい るが、孫娘は寄宿の大学生であり、ほかの省の大学で勉強しているので、つま りいつも家には高齢者と息子の二人がしかない。そして、息子のケアにも、家 事と農業にも高齢者一人でやっている。
健康 状況
1年前に脳出血で倒れることがあり、その後遺症のため、普段は薬をずっと飲 んでいるが、日常的な生活に対しては、大体自分がやれる状況である。
2耳が遠い。
3身体検査の意識がないが、国家政策のため、1年2回の無料の身体検査があ る。
4この地域において家庭医者制度があり、普通の病気であれば、家庭医者のと ころに行って治療し、重病の場合では、指定医療機関に入院する。そして、入 院すれば、全ての費用は政府が支払うが、介護を行う人は高齢者の娘たちであ る。
23
精神 状況
1家族との関係において別に問題がない。さらに、娘たちは近くの農村地域で 住んでいるので、いつでも高齢者には支援を与えられる。
2日常生活において自分の身体の理由で、交流できる他人がいないけど、高齢 者自分は「他人との交流」という問題に対してはそんなに気にしていない。
3今心配していることは特にないであり、今後の暮らしについては、それが将 来のことであるため、今はそれに対して深く考えたことがない。
被 支 援 状 況
家族 支援
介護が必要な場合において、主に娘たちが介護を行う。
公的 支援
1家庭医者制度が設置されている。
・普通の病気であれば、家庭医者のところに行って治療する。
・重病の場合では、指定医療機関に入院する。そして、入院すれば、
当地政府が全ての費用を支払う。
2低保戸の扶助金は 380 元/月、年金は 220 元/月 経済
状況
収入:
低保戸の扶助金と年金 支出:
生活費 D さんのニーズ:
<顕在的ニーズ>
①顕在的ニーズが見られない。D さんは「低保戸」のみならず、「貧困戸」としての支援 も受けている、そのため、D さんは制度・政策側からの公的支援が、一般の「低保戸」よ り恵まれている。
<「状態 A」による潜在的ニーズ>
①現時点で、D さんは高齢の介護者としてのニーズがある。D さんの家は、「老老介護」
ではないが,息子は寝たきりの状態であり、かつ家族内に息子を介護できる者がいないた め、D さん自身が息子の介護を行なっている。すなわち、D さんも高齢の介護者である(双 方の要因)。
②もう一つは、「貧困の罠」を防ぐニーズである。障害のため息子には稼働能力がなく、
孫も学生のため、家族全員が稼働能力を持っていないと言える。そのため、D さんがいる 家族に対する「貧困の罠」を防ぐニーズにも注目する必要がある(双方の要因)。
<「状態 B」による潜在的ニーズ>
①本人の加齢による「介護ニーズ」、「医療ニーズ」、「看護ニーズ」などのニーズがある ②将来、D さんが自立できない場合では、息子さんへの医療・介護・生活支援など、と いう家族に関連するニーズがあるかもしれないと推測する。
原因:D さんは、「今後の暮らしには、それが将来のことであるため、今はそれに対し て深く考えたことがない」と答えた。その理由は、「考えたとしても、事情は変わらない」
ということだった。つまり、D さんは将来のことに対してある程度心配していると言える。
しかし、解決できないため、考えないと言われた。一方、娘も結婚し、別の家族になった
24
ため、D さんは、自分が手伝うことがあっても、娘に迷惑をかけたくないと答えた。そこ で、D さんは、①本人の加齢による「介護ニーズ」、「医療ニーズ」、「看護ニーズ」などの ニーズ、及び②将来、D さんが自立できない場合では、息子への医療・介護・生活支援な ど、という家族に関連するニーズが持っているかもしれないと推測する(双方の要因)。
5 事例 E の概要と分析
事例 E 年齢 性別 学歴 婚姻
状況
職業 居住形態
74 男 ない 配 偶 者 が い る
無職 妻共に暮らしている 家庭
状況
家庭成員:息子一人(亡くなった)
妻 孫一人
娘二人(結婚した)
E さんは農業を通じてお金を稼いだ。また、脳梗塞の手術を受け、退院した ばかりであるため、最近の生活へ支援には、主に娘が行っている。
妻は視覚障害者である
E さんの息子が数年前に亡くなった後で、息子の嫁が家出し、孫一人がその 家に残される。しかし、孫はそろそろ 20 才になり、大人になるため、家族の 経済的負担は少なくなれると思われる。
健康 状況
1E さんは冠状動脈血栓症、脳梗塞と高血圧などの病気があるが、日常的な生 活では自立でき、特に問題がないと言われた。しかし、最近、退院したばかり であるため、生活へ支援には、主に娘が行っている。
2軽症の場合では、その県の病院へ治療する。
重症の場合では、大きな病院へ治療する。
(理由は A さんと同じである。)
3身体検査を受ける意識が無い。
精神 状況
今心配しているのは万が一、自分と妻がなくなる場合、孫が一人を残し、孫の 生活についてのことである。
被 支 援 状 況
家族 支援
1自己ケアが行えない場合は、娘たちが支援をする。また、娘が月々2 回ぐらい高齢者の家にきて、服、布団など家事を行い、生活用品も持っ てくる。
2将来の介護が必要場合では、娘及び孫が協力して介護を行う。
公 的 支援
低保戸への扶助 農村医療保険 経済
状況
支出:薬代 200 元/月
収入:1低保戸としての扶助金
2扶養金一人 50 元/月、夫婦二人 100 元/月 3土地からの収入 1500 元/年
25
E さんのニーズ:
<顕在的ニーズ>
①A さんと同じ、医療機関を自由に選択し、医療費用を軽減するニーズを持っている(制 度側の要因)。
<「状態 A」による潜在的ニーズ>
①現時点での「看護ニーズ」、「介護ニーズ」及び「家事援助ニーズ」を持っている.E さ んは脳梗塞の手術を受け、退院したばかりである(双方の要因)。
②高齢の介護者としてのニーズがある。妻の両目に障害があり、何にも見えない状態で ある。日常生活には、E さんで支援する必要がある。つまり、「老老介護」状態であると言 える。そこで、E さん本人にとって、高齢の介護者としてのニーズにも重視すべである(双 方の要因)。
③最後に、「貧困の罠」を防ぐニーズである。妻は障がいのため、労働力がなく、孫は 実習生としてインターンをやっており、稼働能力がまだ持っていない。つまり、家族全員 は稼ぐ能力を持っていないと言える(双方の要因)。
<「状態 B」による潜在的ニーズ>
①本人の加齢による「介護ニーズ」、「医療ニーズ」「健康増進・疾病予防ニーズ」「看護 ニーズ」などのニーズがある。
②家族に関連するニーズがある。
原因:E さんの家は、「老老介護」状態であり、A さんと同じく、自分の老後の生活には、
様々な支援が必要であることをある程度に意識しているが、具体的な支援内容について は予測できない様子であった。そこで、E さん本人の加齢による「介護ニーズ」、「医療ニ ーズ」「健康増進・疾病予防ニーズ」「看護ニーズ」などのニーズを無視するわけにはいか ない一方、「老老介護」によるニーズ及び将来、B さんが自立できない場合では、妻の医 療・介護・生活支援という家族に関連するニーズにも注目する必要がある(双方の要因)。
6 事例 F の概要と分析
事例 F
基本 属性
年齢 性別 学歴 婚姻
状況 職業 居住形態 75 女 小学校 3
年 死別 無職 息子さんと一緒
(実際:独居)
家庭 状況
家庭成員:息子1人 、息子の嫁、
孫一人(14 歳)(学歴:中学校)
孫娘二人
娘3人(結婚した)
息子がいるが,息子が結婚した後で、息子の嫁は F さんとの関係が悪いであ る。そこで、実際のところ、家族の関係の問題により、息子は F さんへの扶養 意識がなくなり、リビングルームとキッチンという生活にとって必要な場所を 提供し、F さんの日常生活には関心がない。実際には、F さんは一人暮らしの 状態である。
息子の嫁は、低保戸の扶助金を F さんの月々払うべき電気代などとして徴収
26
しているため、F さんはその扶助金をもらえないと言われた。
二人の娘は F さんと同じの村に住んでいる 健康
状況
1心臓病、高血圧、毎日薬を飲んでいる。軽症の場合では、村のクリニックで 治療する。
2日常的な生活が自立でき、特に問題がない。
3身体検査を受けることも無いし、意識も無い。
精神 状況
1日常の娯楽の活動として、近隣の高齢者たちと一緒に話したり遊んだりす る。
2今の生活モデルに対して、F さんが当たり前だと思われる。
被支 援状 況
家族支 援
1娘さんたちから必要な支援金と生活用品をもらう。
2重病の場合では、必要な費用を、子供4人で平均し、負担する。
3介護が必要の場合において、主に娘が介護を行う。
公的支 援
1低保戸としての扶助金 2扶養金 50 元/月
経済 状況
収入
・低保戸としての扶助金(実際に本人がもらえない)
・扶養金:50 元/月
・娘たちからの支援金 支出:薬代:200 元/月 F さんのニーズ:
<顕在的ニーズ>
ない。
<「状態 A」による潜在的ニーズ>
①現時点での「健康増進・疾病予防ニーズ」である。F さんは慢性疾病を患っているが、
健康診査を受ける意識がない上に、経済状況により受けることができない。(双方の要因)。
②息子の妻との関係を修復するという家族に関連するニーズを持っている。F さんと家 族の関係、特に嫁さんとの関係に問題がある。家族は、F さんに対する扶養義務と役割を 果たしていない(利用者側の要因)。
③「住まい」における問題を解決するニーズがある(利用者側の要因)。
<「状態 B」による潜在的ニーズ>
①本人の加齢による「介護ニーズ」、「医療ニーズ」「健康増進・疾病予防ニーズ」「看護 ニーズ」がある。F さんは自分の老後の生活を意識しているが、具体的な支援内容につい て自分は予測できない。それに、農村地域において、政策・制度面で高齢者老後生活に対 する支援システムは不十分である。そこで、専門家の視点から見れば、本人の加齢による
「介護ニーズ」、「医療ニーズ」「健康増進・疾病予防ニーズ」「看護ニーズ」があると予測 する(双方の要因)。