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遠心圧縮機の翼端漏れ流れ制御による作動範囲拡大

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Academic year: 2021

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九州大学学術情報リポジトリ

Kyushu University Institutional Repository

遠心圧縮機の翼端漏れ流れ制御による作動範囲拡大

冨田, 勲

http://hdl.handle.net/2324/4110507

出版情報:九州大学, 2020, 博士(工学), 課程博士 バージョン:

権利関係:やむを得ない事由により本文ファイル非公開 (3)

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論文の要約

論文提出者: 冨田 勲

論文題名: 遠心圧縮機の翼端漏れ流れ制御による作動範囲拡大

本論文では、翼端漏れ渦の崩壊が全周にわたって発生することにより遠心圧縮機の安定作動範囲を 拡大可能であることを見出すとともに、それを実現するための羽根車設計手法についてまとめたもの である。

遠心圧縮機は石油精製プラント、化学プラント、天然ガスプラント、製鉄プラントなどの各種プラ ントの心臓部として、また小型航空機エンジン用ガスタービンの主要構成要素として、さらに空気源 やターボ過給機として用いられており、工業上極めて重要なターボ機械のひとつである。一般に、遠 心圧縮機を含むシステム(管路系)では、流量が減少すると流れの不安定現象としてのサージが発生 する。このサージが発生すると、流速や圧力が管路系全体にわたって大きく変動する結果、圧縮機の 運転が不可能になるだけでなく、管路系を構成する機器に損傷を与えることもあり、サージはその回 避が不可欠な現象である。すなわち、遠心圧縮機の安定作動範囲はサージにより制限されている。特 に、自動車用ターボ過給機の構成要素である遠心圧縮機では、自動車のエンジンとのマッチングの観 点により、低速から遷音速領域までの極めて広い羽根車の回転数領域にわたって、広い安定作動範囲 が求められる。このようなターボ過給機用の遠心圧縮機の場合、明確な設計点を定めることができず、

高い効率を担保した上で広い安定作動範囲を実現することは極めて困難である。多目的最適化手法に 基づく空力設計を適用しても、広い安定作動範囲を有する遠心圧縮機の実現は容易でない。

以上の背景から、本論文は、遠心圧縮機の作動範囲拡大を目指し、実験流体力学(EFD:Experimental Fluid Dynamics)と数値流体力学(CFD:Computational Fluid Dynamics)を駆使することによって、安 定作動範囲の広い遠心圧縮機の羽根車では翼端漏れ渦の崩壊が発生していることを見出すとともに、

その翼端漏れ渦の崩壊を活用することにより、遠心圧縮機の安定作動範囲を拡大し得る手法の創出に ついて述べている。

本論文は全5章からなり、各章の概要は以下のとおりである。

第1章では、圧縮機の安定作動限界と密接に関係したサージの前駆現象としての旋回失速について、

ならびに圧縮機のサージ点近傍で発生する翼端漏れ渦の崩壊について先行研究を概観するとともに、

圧縮機の作動範囲拡大を企図した従来手法としてのケーシングトリートメントについて概説した上で,

本研究の目的と概要について述べている。

第2章では、失速特性に関して顕著な対比を示す二つの遠心圧縮機において、壁面圧力変動計測に 基づくEFD解析を実施することにより、両圧縮機で発生する非定常流動現象の違いを抽出している。

すなわち、作動範囲が狭い圧縮機では、流量の減少に伴い翼負荷が増加するが、失速点を境に急激に 翼負荷が低下することで明確な圧力上昇ピーク点を示すこと、失速点以下の流量では、羽根車回転速

度の 60〜80%で周方向に伝播する擾乱セルが 2〜4 つに絶えず変動し続ける不安定流動現象が起きる

ことが確認された。一方、作動範囲が広い圧縮機では、流量変化に対する翼負荷の変化が小さく、失 速点が不明確であり、安定した右下がりの圧力-流量特性が得られることが示された。

第3章では、上述した二つの遠心圧縮機に対して、CFD解析を実施するとともに、渦構造を抽出し て流動現象に知的可視化処理を施すことにより、羽根車内の三次元渦流れ場の非定常挙動を詳細に調 べた結果、以下のことを明らかにしている。作動範囲が狭い圧縮機では、失速点より小流量側におい て、翼負圧面に足を持つ竜巻状の剥離渦が発生しており、その剥離渦は下流に流れながら隣接翼と干 渉した後、新たな剥離渦を隣接翼面上に発生させる結果、失速セルが羽根車内の周方向に伝播する、

いわゆる旋回失速が形成されている。一方、作動範囲が広い圧縮機では、前縁剥離に伴う脱落渦から

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の循環供給が加わることにより、強い翼端漏れ渦が発生し、すべての翼端において漏れ渦が崩壊して いる。この全翼での漏れ渦の崩壊は翼先端付近の全周にわたってブロッケージ効果をもたらし、小流 量条件においても翼の失速を抑制する結果、安定作動範囲が広がる。

第4章では、以上の知見を踏まえて、翼端漏れ流れを制御することにより翼端漏れ渦の崩壊を促進 することで圧縮機の作動範囲拡大を実現する空力設計手法を創出し、その手法を適用して遠心圧縮機 羽根車を新たに設計し、試作・試験を実施することによって手法の有効性を検証している。具体的に は、遠心羽根車のインデューサ部の翼負荷を増大させることで翼端漏れ流れを増加させることにより、

全周にわたる翼端漏れ渦の崩壊を発生させる翼を新たに設計している。この新設計翼の試作・試験か ら、同一の圧力比において安定作動範囲が8%拡大したことを示している。

最後に第5章では本研究で得られた結果を総括している。

参照

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