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企業予算の外部公開と会計(予算)原則

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(1)

企業予算の外部公開と会計︵予算︶原則

長 谷 川 茂

は し が き

企業予算の外部公開と会計(予算)原則

 最近︑株式投資者がその意思決定にあたり利用できる会計情報の改善策の一つとして︑企業予算の外部公開を求め       ︵−︶       ︵2︶る声が大きくなってきている︒殊に︑ 一昨年の二月にSECが︑株式投資者間における情報入手の不公平の是正と︑       ︵3︶情報収集や分析など多くの点で弱い立場にあるとみられる︑個人株式投資者の保護とを目的として︑予測会計情報の

ディスクロージャーを容認する考えを明らかにして以来︑企業予算の外部公開をめぐる議論が沢山みうけられるよう

になってきている︒

 周知のように︑企業予算というものは︑これまで企業の内部で経営管理のために作成され︑外部には公表されたこ

とがなかったものであるから︑これを外部に公開するとなると︑いろいろと解決せねばならない問題が生じてこよ

︵4︶う︒これから小稿で取り上げようとしている問題もその一つである︒

 小稿では︑企業の予算を外部に公開する場合に必然的に解決を迫られる︑予算のための会計原則の問題を取り上

げ︑なぜかような会計原則が必要となるのかその必要性︑その場合の会計原則はどのような内容のものとなるのかそ

211

(2)

の内容︑などを明らかにしてみたい︒

212

注︵1︶ このような最近の動きについては︑拙稿﹁投資家の意思決定と予算の公開﹂︵企業会計 第二十五巻第十号 一〇三頁以

  下︶を参照されたい︒

 ︵2︶Qo①ρ目Pω§㊦日①三ξ9①O︒ヨ巳ωω一差8昏①三巴︒ω霞︒︒胤℃円a①a8ω︒︷害ε﹁①国8昌︒巳︒℃︒臥︒吋円き︒ρ閃︒σ・

  卜︒目㊤お・なお︑その内容の要約が︑ ジャーナル・オブ・アカゥンタンシィー誌の一昨年三月号にも掲載されている︵目げ︒

  旨︒ロ匿巴oh>08ロ9コ︒ざζ曽6げ一㊤認累ロ戸b◎N〜卜︒ω︶︒

 ︵3︶ 一口に予測会計情報といってもその内容は論者により異なっているが︑SECの場合には︑予算を意味しているようであ

   る︵ω①01 Qり﹈円01 00.O一斤︒︶︒

 ︵4︶ このような問題の詳細については︑前掲拙稿一〇四頁以下を参照されたい︒

二 企業予算の外部公開と会計︵予算︶原則の必要性

 今日の企業は︑株式投資者をはじめ種々のいわゆる外部利害関係者とそれぞれの利害を通じて関係をもっている︒

しかも︑この関係は︑最近における経済社会の複雑化や企業規模の巨大化とあいまって︑ますます複雑化し︑拡大化

しつつある︒これら外部利害関係者は︑その利害を防護するため︑企業に対してたえず関心をもち︑それについての

情報の入手を望んでいる︒したがって︑会計情報の入手という問題にかぎっていえば︑企業の全経理をあらゆる外部

利害関係老に公開できれば︑それがもっとも理想的であることはいうまでもなかろう︒ところが︑実際には︑いろい

ろと障碍があってこれが不可能である︒たとえば︑株式会社形態の企業にあって︑他の外部利害関係者に較べて︑も

っとも情報を入手しやすい立場にあるはずの株式投資者ひとつを取り上げてみても︑たとえ彼等全員に会計を理解で

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企業予算の外部公開と会計(予算)原則

きる能力が備わっていたとしても︑まず法律上制約があり︑全員が企業の経理をみられるわけではなく︑一定の条件       ︵1︶を備えた者のみにかぎられる︒また︑たとえこのような法律上の制約がなかったとしても︑株主数が数万人以上とい

う最近の企業では︑彼等の要求に応じて全員にその経理をみせることは︑実際の事務処理上技術的に不可能といえ

る︒さらにまた︑将来︑新技術の開発などにより︑たとえそれが技術的に可能になったとしても︑このようなこと

は︑競争企業や産業スパイなどから企業機密を守るという点からみてもいろいろと問題があろう︒

 となると︑この全経理の公開に代る代替的方法を別に探さねばならないことになる︒これが︑かつて一九二〇年代

の末頃に米国で一般化され現在も実施されている財務諸表の公開という方法である︒この点で︑財務諸表は︑外部利

害関係者が企業から会計情報を入手するための︑両者の間を結ぶ現在の唯ひとつの重要なパイプ・ラインとさえいう

ことができよう︒

 しかるに︑かように重要な財務諸表であるにもかかわらず︑その性質たるや︑財務諸表は記録的事実と会計的慣習

と個人的判断の産物であるともいわれているように︑これを作成する企業の決算方針のいかんによって多分に左右さ

れる︑かなり主観的でかつ恣意的なものである︒これでは︑企業の全経理公開の代替手段として︑せっかく財務諸表

を外部利害関係者に公開しても︑それに対する彼等の信頼を得られず︑必ずしもそれが利用されるとはかぎらなくな

ってしまう︒そこで︑財務諸表の客観性を強化し︑これに対する彼等の信頼性を回復して︑これを充分に利用せしめ

るために︑しかるべき補強策が必要になる︒ここに︑この補強策の一つとして会計原則が形成されるに至った大きな      ︵2︶理由がある︒このことは︑米国における会計原則の生成史が如実に物語っている︒      13.かようなわけで︑現在では︑企業がその財務諸表を作成するにあたっては︑すべての企業を拘束する最低限の共通 2

(4)

の指針として与えられている︑会計原則に準拠しなければならないことになっている︒しかもそれと同時に︑この準 14      2拠しているか否かのチェソクを︑外部の第三者の監査によって行なっている︒このように現在︑二段構えの方法を用

いて︑財務諸表の信頼性を高めているのである︒したがって︑もし目下︑姐上に載っている企業予算を︑外部に公開

することとした場合には︑上述の財務諸表をめぐって過去に問題になったことと同じことが問題になろう︒

 企業予算というものは︑経営管理のために企業の内部だけで用い︑これまで一度も外部に一般公開したことがなか

ったものであるから︑これを行ない株式投資者をはじめとする外部利害関係者の利用に供するとなれぽ︑過去に財務

諸表の外部公開をめぐって経験したのと同じように︑企業予算の社会的信頼性を得るために︑その編成と公表にあた

って準拠すべき指針として︑予算のための会計原則︵これを一応︑予算原則と呼ぶことにする︶を設定する必要があ

ろうし︑また同時に︑それへの準拠性をチェックするために︑外部の第三者による監査が必要になろう︒企業予算の

外部公開によってその利用者が影響を受けることからみれば︑このようなことは当然のことであろう︒したがって逆

に︑これまで通り企業予算を企業の内部だけで利用し︑外部に公開しないかぎり︑こういつた予算原則の設定も︑ま

た外部の第三者よる監査もまったく必要がないといえる︒むしろこのような場合には︑こういつた制約を課さずに︑

企業予算は各企業の自由な創意工夫に委ねたほうが︑ヨリ単なる利益を稼得するため経営管理の一手段として考え出

された︑企業予算の本来の趣旨に適っている︒しかし︑企業予算がいったん公開され︑外部利害関係者の利用に供さ

れたとなると︑それはいわば社会性をもつことになったわけで︑上述のような拘束を受けるのは当然とい︑兄る︒ここ

にこそ︑予算原則の形成が必要な理由がある︒

 以下︑この小稿では︑企業予算の外部公開に際し解決を迫られる︑上述の予算原則の形成と外部の第三者による監

(5)

査の問題のうち︑前者を取り上げて検討を加えてみることにする︒

注︵1︶ たとえば︑我が国の商法第二百九十三条ノ六を参照︒

 ︵2︶ この点については︑岩田巌著﹁会計原則と監査基準﹂三頁〜一二一頁︑新井清光稿﹁米国における会計原則論の史的考

  察﹂︵早稲田社会科学研究 第一号 二一=頁以下︶︑ およびZo辱︒口﹈≦︒じuo亀oH9↓ヶ︒聞ロ叶ロH①o囲>08ロ目鉱昌ぴq冒帥

  Oげp︒昌αq貯ゆqωo息簿ざHO①POげ.切︵菊地和全訳﹁会計学の将来﹂第五章︶などを参照︒

三 会計︵予算︶原則をめぐる諸説

企業予算の外部公開と会計(予算)原則

 前述したように︑企業予算は︑各企業がこれをそれぞれの内部だけで利用しているかぎり︑予算原則などというも

のはまったく必要がないが︑これを外部に一般公開し︑株式投資者などいろいろな外部利害関係者の利用に供するよ

うになると︑そういうわけにはゆかなくなる︒それではこの場合︑どのような予算原則を設定すればよいのであろう

か︒この点について︑つぎにいくつかの所説をみてみよう︒      ︵1︶ まず︑井尻教授によれば︑予算原則の大綱をつぎのように述べておられる︒すなわち教授は︑予算原則を予算の編

成に関するものと表示に関するものに分け︑まず後者について︑従来の財務諸表の作成にあたって用いてきた会計原

則とは異なった︑まったく別個のものを設定することも可能であるが︑予算というものは必ず実績と比較されるはず

であるから︑この予算と実績の比較可能性という点を考えれば︑まったく別個のものを設定するよりは従来の会計原

則を流用したほうが望ましいことを指摘している︒      15.つぎに前者の予算の編成に関する原則については︑その基本的なものとして︑予算編成過程の明瞭表示の原則と首 2

(6)

尾一貫性の原則の二つを掲げている︑これらのうち予算編成過程の明瞭表示の原則は︑第三者による予算のチェック

が可能なようその編成過程の明示を要求するもので︑このために企業は︑監査の場合に作成する監査調書のような︑

予算編成調書といったようなものを作成する必要があるとしている︒また︑首尾一貫性の原則については︑これはか

なり包括的な原則で︑さらに内部的首尾一貫性と外部的首尾一貫性の二つの原則に分けられるとしている︒そして︑

内部的首尾一貫性の原則とは︑予算編成にあたって用いる企業内部資料に関連するもので︑これはさらに︑正当な理

由により変更する場合を除ぎ︑予算編成にあたって当年度も過年度と同じ基礎資料を継続して用いることを要求す

る︑歴史的首尾一貫性の原則と︑当年度自体においても関連項目は同じ基礎資料に基づいて予算編成を行なうべきこ

とを要求する︑当年度内首尾一貫性︵2冥2け08ω翼窪︒︽︶の原則︑ の二つに細分している︒また外部的首尾一貫

性の原則とは︑予算編成にあたって考慮に入れるべき企業外部資料に関連するもので︑企業が予算編成で用いる︑原

材料︑商製品などの需給や価額の見通しなど企業外部と係りのある基礎資料については︑正当な理由のある場合を除

き︑当該業界や経済全体と同じものに基づくべきことを要求する原則であるとしている︒

 以上のように︑井尻教授は︑予算原則として予算の編成に関するものと表示に関するものの二つを挙げておられ

る︒ つぎに︑幻①三針ぴqとじd霞8昌の両氏によれば︑必ずしも予算原則とは呼んでおらず︑予測会計情報一般のディス

クロージャーにあたっての基本的ルールを示すとはしているが︑そのルールとして︑つぎのように︑七つを挙げてい

︵2︶る︒

 第一は︑予測数値と実績数値とを明瞭に区分して表示すべきことを要求するもので︑これにより両者の混同から生

216

(7)

企業予算の外部公開と会計(予算)原則

ずる恐れのある種々の弊害を回避することができる︒特に︑予測数値の利用者に対して︑それが実績数値と同じよう

に客観性と信頼性とをもっているかのような誤解を与えないよう︑たとえば両者を示すときには少なくともそれぞれ

別の頁に表示するなど︑いろいろな工夫を施す必要があるとしている︒

 第二に︑利用者にできるだけ最新の予測会計情報を提供しうるよう適時性を要求するもので︑このためには二つの

方法が考えられる︑︑一つは︑たとえば四半期ごとなど定期的に予測会計情報のディスクロージャーを行なう方法で︑

いま一つは︑予測会計情報にしかるべき変更が生じた都度ディスクロージャーを行なう方法である︒もっとも望まし

いディスクロージャーの方法は︑これら両者を適宜組合せて行なうことであるとしている︒

 第︑二は︑ディスクロージャ;にあたり予測数値と実績数値との差異︑および最初の予測数値と修正後のそれとの差

異︑をそれぞれの差異の理由を付して明示すべきことを要求するものである︒これは︑予測会計情報のディスクロー

ジャーに︑いわば経営管理における﹁例外原理﹂の考え方を応用したもので︑これにより︑その利用者には︑差異の

ある事項に重点をおいて予測会計情報をみればよいという便宜性があるとしている︒

 第四は︑予測数値算定の基礎にした前提条件を明示すべきことを要求するものである︒このなかには︑将来におけ

る設備増設や新製品開発などの当該企業自体に係る諸条件︑原材料と商製品の需給状態の見通しや︑当該業種の競争

状態の見通しなどの当該企業の属する業界全体についての諸条件︑および︑政府の経済政策やGNPの増加などの経

済全休の見通しに関する諸条件が含まれる︒しかし︑それぞれの内容は︑各企業の業種のいかんによって多種多様で

あるから︑そのうちのどれを明示すべきかをここで具体的に示すわけにはゆかないとしている︒

       17

︑第五は︑予測数値とこれらの前提条件との関連性を計数的に明示すべきことを要求するものである︒なお︑この関 2

(8)

連性を明示するにあたっては︑それぞれの予測数値とその算定の基礎にした前提条件との関連を示すばかりではな

       鵬

く︑もしこの前提条件が変動すれば︑その予測数値にどのような影響があるかを計数的に示すことも必要であるとし

ている︒ 第六は︑予測会計情報の表示形式について︑各企業の自由な選択を容認するよう要求するものである︒予測会計情

報の表示形式については厳格な規定を設けることも考えられるが︑予測会計情報ディスクロージャー制度の草創期に

あっては︑むしろそうせずに︑各企業の自由載量の余地を大幅に認め︑それぞれの創意工夫を活かせるようにしたほ

うがよい.そうすれば︑やがてその過程からもっとも望ましい表示形式が作り出されるはずであるとしている︒

 そして第七は︑予測会計情報のディスクロージャーは各企業の任意とすべきではなく︑強制すべきことを要求する

ものである︒このためには︑まず初めに︑SECが︑自己への提出書類のなかに予測会計情報を含めることを認めな

い︑これまでの禁止規定を緩める必要がある︒特に︑他企業との競争上不利になることを恐れて︑各企業があまり乗

り気でない点を考えれば︑このようなディスクロージャーの実施は︑あまり楽観は許されない︒したがって︑これを

促進するには︑まずFASBかSECがイニシャチブを取って︑なんらかの形でこれを強制する必要があるとしてい

る︒ 以上が︑幻①導燈αqとbU霞8⇒の両氏の述べている︑予測会計情報ディスクロージャーの基本的ルールの大要である

が︑これらのうち最後の第七は︑すでに﹁はしがき﹂のところで触れたように︑一昨年の二月にSECが発表したス

テイトメントからみて︑すでに解決ずみであるといえよう︒また︑残りの第一から第六までのルールは︑すべて予測

会計情報の表示に関するものといえる︒

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企業予算の外部公開と会計(予算)原則

       ︵3︶      ︵4︶

 つぎに︑AICPAによれば︑予測会計情報の作成組織を確立するにあたっての指針と︑それのディスクロージャ

       ︵5︶1にあたっての指針について以下のように述べている︒

 まず前者の︑予測会計情報作成のための組織を企業が確立するにあたっての指針として︑つぎのように十項目をあ

げている..

 第一は︑予測会計情報の作成組織は︑企業がもっとも確度の高い単一の予測数値を決定する手段を提供するもので

なければならない︑ということである..

 第二は︑予測会計情報の作成にあたって用いた会計原則は︑当該事項が現実化しこれを財務諸表に表示することに

なったときに用いるはずのものと同じでなければならない︑ということである︒

 第三は︑予測会計情報は︑しかるべき者が正当な注意をもって作成しなければならない︑ということである︒

 第四は︑予測会計情報の作成組織は︑当該時点で利用できる最善の情報を入手しうるようなものでなければならな

い︑ということである︑

 第五は︑予測会計情報の作成にあたって用いる情報は︑企業の諸計画を反映したものでなければならない︑という

ことである︒

 第六は︑予測会計情報の作成にあたって用いる前提条件は︑合理的かつ穏当なもので︑また同時に︑充分に立証可

能なものでなければならない︑ということである︒

 第七は︑予測会計情報の作成組織は︑主な基礎的前提条件に変動があった場合に︑その影響を算定できる手段を提      19

供しうるものでなければならない︑ということである︒      2

(10)

 第八は︑予測会計情報の作成組織は︑予測数値とその作成過程の両者について︑充分な証拠文書を作成し提供でき 20      2るようなものでなければならない︑ということである︒

 第九は︑予測会計情報の作成組織のなかには︑予測数値と実績数値との定期的な比較の手段が設けられていなけれ

ばならない︑ということである︒

 そして第十は︑予測会計情報の作成にあたっては︑企業内部のしかるべき者の充分な監査を受け承認を得なければ

ならない︑ということである︒

 以上が︑AICPAの示している︑予測会計情報の作成組織を確立するにあたっての指針であるが︑つぎに︑予測

会計情報のディスクロージャーにあたっての指針としてはつぎのようなものを提案している︒

 一つは︑予測会計情報は︑従来の財務諸表と同じ形式を用いて表示しなければならない︑ということである︒もっ

とも︑その詳しさの点については︑それほど詳しくなくてもよいとしている︒なお︑これまで一般に公表されていた

予測会計情報の大部分は︑損益計算書だけに関連するものであったが︑ここでは︑このほかに貸借対照表と資金計算

書も︑ ↓般に公表すべき予測会計情報のなかに含められるとしている︒

 二つは︑年次予測会計情報の公表のほかに︑これを補完する意味で四半期ごとの予測会計情報も公表したほうが望

ましい︑ということである︒なお︑これは年次のものよりも詳しくなくてもよいとしている︒

 三つは︑予測会計情報は︑もっとも確度の高い単一の予測結果を表わす特定の金額で表示しなければならない︑と

いうことである︒なお︑これに一定の許容値を付記することも推奨している︒

 そして四つは︑公表してある予測会計情報に重要な変動が生じたときには︑これを訂正し︑あるいは最新のものと

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企業予算の外部公開と会計(予算)原則

取り替え︑さらには取り消すなど適切なディスクロージャーを行なわなければならない︑ということである︒

 以上が︑AICPAの示している︑予測会計情報のディスクロージャーにあたっての指針であるが︑このような指

針に従ってどの位の期間までの予測会計情報を作成すればよいのかについては︑それぞれの企業の予測能力や利用者

の情報要求が異なっているので一概に決められないとの理由で︑この期間は明示していない︒なお︑一般的な参考ま

でにと︑予測会計情報の作成にあたって用いた前提条件の表示方法を︑設例を用いて示している︒

 AICPAは︑予測会計情報の作成組織の確立にあたっての指針と︑それのディスクロージャーにあたっての指針

について︑上述のように提唱しているわけであるが︑これらは︑いずれもAICPAの会員を拘束するものではな

く︑彼等が︑正当な注意をもって予測会計情報の作成に対処しているかどうかの確信を得るための拠となるにすぎな    ︵6︶いものである︒

 なお︑予算原則をめぐる以上のような所説のほかに︑SECも予測会計情報のディスクロージャーに関するルール      ︵7︶      ︵8︶

の草案をまとめ︑各関係者に公表してこれに対する意見を求めているが︑AICPAをはじめ多くの関係者から種々

      ︵9︶の反対意見が寄せられており︑成案を得るまでにはかなりの修正を必要とするようである︒

 以上において︑予算原則に関するいくつかの所説をみてきたが︑これらのなかで挙げられている原則の間には共通

のものもかなり沢山みられるし︑またその内容もごく当り前のようなものが大部分であるといえる︒しかし︑これら

の所説はいずれも︑企業予算の外部への初めての一般公開を前提にして︑これの社会的信頼性を高めその利用者にと

っての有用性を増大しようとの意図から︑なんらかの予算原則を設定せんとしたものである︒そして︑企業予算とい      21うものを取り上げたとき検討が必要になる︑その組織整備︑編成︑および表示という三つの問題領域と関連して︑予 2

(12)

算原則を︑予算組織確立原則︑予算編成︵測定︶原則︑および予算表示︵伝達︶原則の三つに分類した場合には︑こ 22      2れらの所説で掲げているそれぞれの原則は︑この三つ.の分類のうちのいずれかに係るものであるといえる︒もっと

も︑各所説の掲げている原則を個々にみてみると︑この三つの分類のいずれにも共通で︑必ずしもこのうちのどれか

一つに特有のものとはいえないものまで︑特有のものとして掲げているようであるが︑この三つの分類は相互に密接

に関連しているので︑これもやむをえないことといえよう︒

注︵1︶ 団二六喜鼻︑.O昌じdロユαqoけ首α嗅勺同冒9巳︒のp巳白鼠σqoけ−b鐸&江ロ膨qω蹴&野尻ω℃..↓﹃o︾oooロ耳垂αq男︒≦①ぎOo8σ①円一〇①○︒噂

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 ︵2︶ 国︒昌吋団 じd.幻︒霞ロぴqβo昌α臼︒げ口O畳しUロ暮oP︑.司一口p50四一ω叶讐︒ヨΦロ冨 ω圃ロ冒︒ωけωω≦oロ餌ω ヨ=oω8昌︒ω.嚇閏四層目9吋伽

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 ︵3︶ AICPAでは︑予測情報という言葉を用いる場合︑その内容として予算を考えているようである︵ω①ρ冥Φ甫ω菊80﹁8

   ︑.目二巴勺Φユ︒αQoロαqαqoω8偶出︒二言ロげ嵩09江︒口oh聞︒円ooω3︑.℃目げ︒︸o口﹁昌巴︒臣>oooロ昌叶騨μo罫匂言口信蝉﹁品目り刈ωO巳HO︶︒

 ︵4︶>8℃♪記餌8σq§︒暮とく討︒qω︒三8ω∪三ω冨︑︑o巳量幕・︒h︒﹁ω遺①巳ωh自昏︒零①真塗言︒h国昌弩︒芭

   団︒話Sω叶ω.︑℃同O刈9 なお︑ この原本がまだ手許に到着していないので︑ 以下では︑ その草案の概要が載っている Z①≦ω

   園⑦bo洋︑︑竃>oo℃㊤昌Φ一能⇔津ωho話8ω梓ひq巳ユ︒一ぎ︒ω︑.目げ︒冒鐸同ロ覧︒︷︾ooo口口け田螺︒ざ臼ロ昌①μ㊤刈♪層やoo〜HO を手掛りにし

   て話しを進める︒

 ︵5︶と亀♪︾︒8巨晋ぴqω富&㊤aωu三ω一8b昌︒ω母︒u邑け.︑o邑Φぎ︒ω89①国Φω︒昌§凶89巳三巴︒ω霞Φ︒h

   聞貯9δβ9書駒︒同8帥ω冨︑.Hり謡・なお︑ この公開草案をまだ入手していないので︑ 以下では︑ その概要が掲載されている

   Z①≦ω国⑦℃o洋脚︑.︾一〇勺﹀娼村oboωΦのαqロ達︒嵩置①ωho肩甲昌pユロ9巴ho﹃Φopω四三ゆQ.︑↓げ①匂︒ロH昌巴oh>oooロ昌叶ロ︒ざ諺O﹃旨μ㊤刈伊

    ℃や刈〜Qoを手掛りにして話しを進めることにする︑

(13)

︵6︶︒り︒⑦冨蓄閑9︒3・︑閃︒§層ω茜邑①ぎΦω署σ房げ巴︑︑℃目冨旨︒・筥巴︒h︾88艮四昌︒ざ寓亀目ゆ言忌﹂︒︒し民z①蕩

 男90昼8.o凶£円冨旨︒⊆旨巴oh>08二韓曽︒さ﹀震目お鵠b絶

︵7︶ω8冨蕩寄b︒昼︑.ω国O嘆8︒ω︒ω律日ω﹁8︒目け震︒津8器8ω江艮︒§9け圃8︑.目冨旨︒ロ簑巴︒隔︾8︒琶砕・湾ざ臼琶︒

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︵8︶ ω$Z①≦︒・幻903..QQ国O嘆ぴq巴8hoぎ≦>8℃︾.ω買80ω巴同三〇︒・o旨ho器09馨ω−︑噂↓冨旨2ヨ巴oh︾︒8ロ算き︒ざ

 ω88ヨげ霞日り胡噌娼や一〇〜一も︒.

︵9︶ω8Z象ω菊8︒登.︑鴇0ω①Φ量目鼓弓σq︒冨口σq①ω置目8︒ω巴h︒器8ω引回巳︒ω︑.︑↓冨臼︒ロ讐巴︒h︾88自動只ざ

 Oo8ぴ醇這胡娼O・謹〜卜δ①.

企業予算の外部公開と会計(予算)原則

四 会計︵予算︶原則の一試案

 つぎに︑前節で加えた考察を踏まえて︑予算原則についての筆者なりの一試案を述べてみることにする︒ただし︑

これはあくまでも大綱にすぎないことをお断りしておく︒

 e︑予算という会計情報は︑従来公表されてきている財務諸表などとは性質がまったく異なっているので︑その外

部への一般公開の初期の段階においては︑その利用者にいらざる誤解を与えないよう︑かって財務諸表の性質や監査

の性格についてそれぞれの基準のなかに啓蒙的な条文を入れていたのと同じように︑予算原則の前文などで︑予算は

実績数値とは異なって単なる予測数値にすぎない︑という趣旨の啓蒙的説明を行なう必要がある︒

 ◎︑予算原則の体系については︑前述したように︑予算組織確立原則︑予算編成原則︑および予算表示原則の三つ       23に分ける方法もあるが︑現在の財務諸表で公表しているすべての項目について予測数値を公表することがもし可能で 2

(14)

あるならば︑現行の会計原則の体系と同じように︑財務諸表の総譜に着目して︑一般原則︑予測︵または見積︶損益

計算書原則︑および予測︵または見積︶貸借対照表原則の三つに分けたほうがよいであろう︒そしてできれば︑これ

に予測︵または見積︶資金計算書原則を加えるならばさらに望ましいものになろう︒というのは︑一つには︑予算は

必ず実績と比較されるという比較可能性の点からみてそういえるのであり︑いま一つには︑予算原則の設定問題が生

起したのは企業予算の外部公開のためで︑したがって外部公開の面で長年にわたり多くの経験を積み重ね精緻化して

ぎている現行の会計原則の体系を転用したほうがよいからである︒しかしながら︑企業予算の外部公開の過渡期にあ

っては︑初めに示した体系でもやむをえないかもしれない︒ただこの場合にも︑予算組織確立原則は予算原則の体系

から除き︑その代りに︑予算編成原則と予算表示原則の両者に共通のものを別にまとめ︑これを一般原則としてその

体系に入れたほうがよいといえる︒というのは︑そのほうが体系的にスッキリするし︑また予算組織確立原則は︑現

在の財務諸表の公開制度と較べていえぽ︑監査のとき問題になる内部統制組織についての基準にあたるわけで︑現行

の会計原則ではこれをそのなかに含めていないからである︒なお︑予算組織は︑予算監査のときに必ず問題になるは

ずであるから︑これについての指針を︑予算原則とは別になんらかの形で設定しておくことは無意味ではないであろ

う︒その場合には︑多分︑これまでに提示されてきているいろいろな内部統制組織に関する基準がかなり参考になろ

う︒ 日︑まず︑一般原則についてであるが︑これも含めて予算原則の設定にあたっては︑予算の計算上や表示上の適否

を判断するための原則を設けることは可能であるが︑その内容上の適否を判断するための原則を設けることはかなり

困難である︑ということに充分留意する必要がある︒というのは︑﹁将来のことは神のみぞ知る﹂というわけで︑予

224

(15)

企業予算の外部公開と会計(予算)原則

算が内容的にみて適当か否かということは︑実績数値とは異なりそれが将来に至って現実化してはじめて判断できる

ことであって︑これを規定するような原則をあらかじめ設けてみても無意味だからである︒したがって︑以下では︑

予算の計算上や表示上の適否に関連するような原則に重点をおいて示すことになる︒

 画︑一般原則の第一は︑予算と実績の区分表示の原則である︒これは︑上述のeを解決するために必要なのであ

る︒なお︑その内容については︑前節で取り上げた各所説の該当部分を参照願いたい︒

 ㊨︑第二は︑計算基礎と計算方法の明示の原則である︒これは︑予算編成にあたりその基礎資料として用いた︑当

該企業自体についての︑あるいは業界や経済全体についての前提諸条件を明瞭に表示させ︑同時にこれに基づきどの

ような計算方法を用いて予算として示されている数値を求めたのか︑その過程をも明瞭に示させようとするものであ

る︒これのために︑企業は︑いつでも第三者に立証可能なように合理的な証拠を準備しておかなければならない︒な

お︑この原則の内容については︑前節の各所説の該当部分も参照願いたい︒

 ㈹︑第三は︑同一基礎への準拠性の原則である︒これは前の㈲とも関係があるが︑内容的にみれば三つある︒一つ

はハ同一年度内において関連事項は同一の基礎資料に基づいて予算設定を行なうべきことを要求するものである︒二

つは︑業界や経済全体に関する将来の見通しについて︑正当な理由がある場合を除いて︑他の大多数の企業と同一の

資料に基づくべきことを要求するものである︒そして三つは︑実績との比較可能性を考えて︑予算の表示にあたって

は︑実績の表示で用いるものと同一の表示方法に基づくよう要求するものである︒なお︑この原則の内容について

も︑前節の各所説の該当部分も参照願いたい︒       25.㊨︑第四は︑継続性の原則である︒これは︑予算の編成と表示にあたっては︑正当な理由がある場合を除いて︑当 2

(16)

年度も前年度と同じ方法を継続して用いるよう要求するものである︒これは予算の期間比較のためである︒なお︑こ 26      2の原則の内容についても︑前節の各所説の該当部分も併せて参照願いたい︒

 ㈹︑第五は︑適時性の原則である︒予算はできるだけ新しいものが望ましいわけであるから︑年次予算の公表のほ

かに︑四半期ごととか︑変更などの必要が起った都度︑時宜を失することなく新しいものを公表するよう要求するも

のである︒なお︑この原則の内容についても︑前節の各所説の該当部分も併せて参照願いたい︒

 σゆ︑そして一般原則の最後になるかと思われる︑第六は︑差異明示の原則である︒これは︑予算と実績との差異︑

あるいは公表した予算の修正前と後の差異などを︑その差異の理由についての説明とともに明瞭に示すよう要求する

ものである︒なお︑この原則の内容についても︑前節の各所説の該当部分も参照願いたい︒

 ω︑つぎに︑予測損益計算書原則︑予測貸借対照表原則︑および予測資金計算書原則については︑予算というもの

が各企業によってあまりにも多種多様なので︑現在の段階では︑その内容を具体的に述べることは容易ではないが︑

それらに共通的にみられるものをある程度まとめることは可能であろう︒なお︑これにあたっては︑表示すべき事項

の選択膿遠忌形式の問題などを中心にすでに駄で述べているので・それが︑かなり参考になるであろう︒

注︵1︶ 拙稿﹁長期株式投資家の意思決定と予算の公開方法﹂早稲田社会科学研究 第十三号 二三九頁〜二四二頁︒

五 むすびにかえて

以上︑小稿では︑企業予算を外部へ一般公開する場合にぜひとも解決しておかなければならない問題の一つであ

(17)

企業予算の外部公開と会計(芋算)原則

る︑予算原則の問題を取り上げ︑これに検討を加えてつぎの点を明らかにした︒すなわち︑e︑企業予算の社会的信

頼性を高めその会計情報としての有用性を増大ならしめるためには︑企業予算についても会計︵予算︶原則を設定す

る必要があること︒◎︑いくつかの所説においてこれまでに提唱されてきている予算原則は︑予算組織確立原則︑予

算編成原則︑および予算表示原則の三つのうちのいずれかに関連するものであること︒日︑予算原則の体系として

は︑この⇔のような三分類よりもむしろ︑一般原則︑予測︵または見積︶損益計算書原則︑予測︵または見積︶貸借

対照表原則︑および予測︵または見積︶資金計算書原則の四つに分類したほうが望ましいこと︒㈱︑一般原則として

は︑予算と実績の区分表示の原則︑計算基礎と計算方法の明示の原則︑同一基礎への準拠性の原則︑継続性の原則︑

適時性の原則︑および差異明示の原則などが挙げられること︒そして︑㊨︑一般原則以外の各論的原則については︑

いずれもそれぞれの具体的な内容を明確に設定することは︑現在の段階ではかなり難しいこと︒以上である︒

 なお︑これらの予算原則のより一層の精緻化と︑この小稿では取り上げないことにした予算監査の問題などについ

ては︑今後の研究に待ちたいと思う︒

      ︵一九七五・一〇・三〇︶

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