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密教文化 Vol. 2007 No. 218 002白石 祐佳「空海の「自性」観 -菩提心との関連を中心として- P37-54,152」

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(1)

-菩

-白

弘 法 大 師 空 海 が 展 開 し た ﹁ 十 住 心 思 想 ﹂ に は、 密 教 の 優 位 性 を 主 張 す る ﹁ 九 顕 三 密 ﹂ と、 す べ て の 住 心 を 包 括 す る ﹁ 九 顕 十 密 ﹂ の、 二 通 り の 解 釈 が あ る。 こ の 二 つ の 世 界 観 は、 矛 盾 し た も の に 思 え る が、 そ の 両 側 面 か ら 密 教 世 界 を 理 解 す る こ と で、 空 海 が 確 立 し た 密 教 思 想 の 独 自 性 を 知 る こ と が で き る の で は な い だ ろ う か。 こ こ で は、 空 海 が 使 用 し た 語 の 中 で、 顕 教、 密 教 の 両 教 理 に お い て 共 通 し て 用 い ら れ る が、 そ の 内 容 に 差 異 が み ら れ る こ と か ら、 同 語 で あ っ て も 同 義 で は な い と 思 わ れ る ﹁ 自 性 ﹂ と い う 言 葉 に 着 目 し、 空 海 独 自 の ﹁ 自 性 ﹂ と い う 概 念 を、 主 に ﹃ 秘 蔵 宝 鎗 ﹄ に 則 し て 考 察 し て い く。 そ し て、 そ の 概 念 が ﹁十 住 心 思 想 ﹂ に お い て、 根 本 的 な 重 要 性 を 持 つ も の で あ る こ と を 明 ら か に し た い。 空 海 の ﹁ 自 性 ﹂ 観 -菩 提 心 と の 関 連 を 中 心 と し て

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-密 教 文 化 第 一 章 第 九 住 心 に お け る ﹁自 性 ﹂ 空 海 は、 第 九 住 心 を ﹁ 極 無 自 性 心 ﹂ と し て 設 定 し、 無 自 性 の 極 致 を、 顕 教 に お け る 究 極 の 境 地 と し た。 ﹁ 無 自 性 ﹂ に は、 あ ら ゆ る も の は 固 有 の 実 体 を も た な い と す る 概 念 と し て の 解 釈 が あ る が、 こ こ で は 先 ず、 ﹁ 極 無 自 性 心 ﹂ の ( 1) ( 2) ﹁ 自 性 ﹂ に つ い て 具 体 的 に み て い き た い。 ﹃ 秘 蔵 宝 鎗 ﹂ で は、 ﹁ 極 無 自 性 心 ﹂ に、 ﹁ 顕 略 趣 ﹂ と ﹁ 秘 密 趣 ﹂ と い う 二 種 の 解 釈 が あ る こ と を 示 し、 ﹁ 顕 略 趣 ﹂ と し て の 華 厳 三 昧 の 大 意 を 解 説 し た 後、 ﹃ 大 日 経 ﹄ を 引 用 し て い る。 故 大 日 如 来 告 秘 密 主 言。 所 謂 空 性 離 於 根 境 無 相 無 境 界。 越 諸 戯 論 等 同 虚 空。 離 有 為 無 為 界 離 諸 造 作 離 眼 耳 鼻 舌 身 ( 3) 意 極 無 自 性 心 生。 極 無 自 性 心 と は、 生 滅 変 化 す る 諸 現 象 や、 ﹂ 切 の 作 用 か ら 離 れ、 根 境 と い う 感 覚 器 官 と そ の 対 象 に お け る 認 識 の 範 囲 を 超 越 し た、 虚 空 に 等 し い 状 態 か ら 生 じ る も の と し て い る。 続 い て、 ( 4) 善 無 畏 三 蔵 説 此 極 無 自 性 心 三 句 悉 撮 花 嚴 経 書。 所 以 者 何 花 嚴 大 意 原 始 要 終 明 真 如 法 界 不 守 自 性 随 縁 之 義。 と い い、 極 無 自 性 心 の 三 語 に 集 約 さ れ る 華 厳 経 の 教 義 は、 始 め に 遡 っ て も、 最 終 的 に 要 約 し て も、 ﹁ 真 如 法 界 不 守

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自 性 随 縁 ﹂ の 意 を 明 か す も の で あ る と 述 べ て い る。 し か し、 そ の 典 拠 と す る ﹃ 大 日 経 疏 ﹄ に は、 ﹁ 不 守 自 性 随 縁 ﹂ と い う 語 句 自 体 の 記 述 が み ら れ な い こ と か ら、 華 厳 の 大 意 を ﹁ 真 如 法 界 不 守 自 性 随 縁 之 義 ﹂ と す る 考 え は、 空 海 独 自 の 見 解 で あ る。 ﹁ 不 守 自 性 随 縁 ﹂ と は ﹃ 釈 摩 詞 術 論 ﹄ に み る 用 語 で あ り、 空 海 が ﹃ 秘 蔵 宝 鍮 ﹄ の 序 文 で、 第 九 極 無 自 性 心 を 要 約 す ( 5) る 文 句 と し て 掲 げ る ﹁ 水 無 自 性、 遇 風 即 波 ﹂ と 同 様 の 表 現 が、 ﹃ 釈 摩 詞 術 論 ﹄ 巻 三 に み ら れ る。 そ こ で は、 本 覚 心 を 水 に 喩 え、 そ の 性 質 は 浄 ら か な 水 の よ う に 清 浄 で あ る が、 風 に 喩 え ら れ る 根 本 的 無 知 に よ っ て、 心 に 諸 々 の 波 動 が 起 こ り、 そ れ を 海 の 波 が 常 な ら ず 変 化 し て い る 状 態 に 喩 え る。 そ し て、 波 を つ く る 水 と 風 が 互 い に 離 れ る こ と が な い よ う に、 真 如 と 迷 妄 は 相 互 に 動 因 と な る と 述 べ ら れ て い る。 謂 本 畳 心 不 自 起 故。 當 資 無 明 之 力 方 得 而 起。 根 本 無 明 不 自 韓 故。 要 因 眞 心 之 力。 方 得 而 轄 如 水 不 自 作 波 浪 故。 當 因 風 之 力 方 得 作 波。 風 不 自 現 動 相 故。 要 資 彼 水 方 得 而 現 動 韓 相 故。 而 水 非 動 性 者。 喩 本 畳 心 離 有 為 相。 謂 本 畳 眞 心 從 本 已 來。 遠 離 動 念 解 脱 結 縛。 禮 性 清 浄 相 用 自 在。 而 不 守 自 性 故。 随 無 明 之 縁 作 種 種 相。 如 水 非 動 性 而 不 守 自 ( 6) 性 故。 随 風 之 縁 作 種 種 波 故。 若 風 止 滅 動 相 則 滅 者。 こ の 中 で、 ﹁ 本 畳 心 不 自 起 ﹂ ﹁ 根 本 無 明 不 自 韓 ﹂ ﹁ 水 不 自 作 波 浪 ﹂ ﹁ 風 不 自 現 動 相 ﹂ ﹁ 水 非 動 性 ﹂ と い っ た、 そ れ 自 体 の 発 動 性 を 否 定 す る 表 現 を 多 数 あ げ て い る。 そ し て、 本 覚 心 で あ る 体 性 は 清 浄 で は あ る が 三 面 ﹁ 不 守 自 性 ﹂ で あ る か ら、 無 明 の 縁 に よ っ て、 相 用 が 自 在 で あ る 空 海 の ﹁自 性 ﹂ 観 -菩 提 心 と の 関 連 を 中 心 と し て

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-密 教 文 化 こ と を 述 べ、 そ れ を 喩 え て、 水 に は 動 性 が な く、 ﹁ 不 守 自 性 ﹂ で あ る か ら、 風 の 縁 に 従 っ て 種 々 の 波 が 起 こ り、 も し 風 が 止 め ば 動 き も 相 も な く な る と 表 現 さ れ て い る。 こ の こ と か ら、 心 の 本 体 に ﹁ 動 性 ﹂ は な く、 自 性 を 保 持 し な い た め、 縁 と い う 動 因 を 得 な い 限 り、 相 も 用 も 現 出 さ れ な い こ と が 分 か る。 以 上 の よ う に、 第 九 住 心 に お い て は、 自 性 を 保 持 し な い ゆ え に ﹁ 随 縁 ﹂ で あ り、 そ の こ と が、 真 如 法 界 と い う 世 界 が 形 成 さ れ る 前 提 条 件 と し て 理 解 さ れ て い る。 第 二 章 第 十 住 心 に お け る ﹁ 自 性 ﹂ 極 無 自 性 心 と い う 名 に 象 徴 さ れ る よ う に、 第 九 住 心 に お い て ﹁ 自 性 ﹂ の 存 在 は 完 全 に 否 定 さ れ て い る が、 第 十 住 麻 の 解 説 に お け る ﹁ 自 性 ﹂ の 用 例 を 見 る と、 第 九 住 心 と は 明 ら か に 異 な っ た 概 念 と し て 使 用 さ れ て い る こ と が わ か る。 九 種 住 心 無 自 性。 韓 深 韓 妙 皆 是 因。 真 言 密 教 法 身 説 秘 密 金 剛 最 勝 真。 五 相 五 智 法 界 髄。 四 曼 四 印 此 心 陳。 刹 塵 渤 駄 吾 心 佛。 海 滴 金 蓮 亦 我 身。 一 三 字 門 含 萬 象 一 一 刀 金 皆 現 神。 ( 7 ) 萬 徳 自 性 輪 圓 足。 三 生 得 謹 荘 嚴 仁。

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第 十 住 心 の 解 説 で は、 ま ず 頗 の 最 初 の 二 句 に お い て、 第 十 住 心 に 先 立 つ 九 種 の 住 心 は す べ て ﹁ 無 自 性 ﹂ で あ る と 明 言 し、 す べ て が よ り 深 妙 な 方 へ と 転 換 さ れ る 因 で あ る と し て い る。 後 に そ の 理 由 に つ い て、 ﹁ 前 前 皆 不 住。 故 名 無 自 ( 8) 性。 後 後 悉 不 果。 故 皆 是 因。 ﹂ と 述 べ、 第 十 住 心 以 前 の 住 心 は 定 ま っ て い る 状 態 で は な い か ら ﹁ 無 自 性 ﹂ と い い、 ﹁ 無 自 性 ﹂ の 極 ま り で あ っ て も 果 で は な く、 す べ て が 因 の 位 置 に 置 か れ て い る。 第 九 住 心 の 説 段 に お い て も、 縁 に 従 っ て ( 9) ( 10) 遷 移 し、 定 ま る 処 が な い こ と を ﹁ 無 自 性 ﹂ と し て い る。 そ こ か ら 推 論 す れ ば、 秘 密 荘 厳 心 は 因 で は な く 果 で あ り、 ﹁ 無 自 性 ﹂ に 対 比 し て 言 え ば ﹁ 具 自 性 ﹂ と 呼 び 得 る も の と な る。 頒 で は 続 い て、 真 言 密 教 は 法 身 の 説 で あ り、 秘 密 金 剛 は 究 寛 真 実 で あ る と い い、 五 相 ・ 五 智 ・ 法 界 膿 ・ 四 曼 ・ 四 印 は こ の 心 に お い て 展 開 さ れ、 そ れ ら に 象 徴 さ れ る 無 量 の 心 識、 無 量 の 身 は、 ま ず は 法 身 大 日 の 心 身 で あ る こ と を 示 し て い る。 し か し 続 く 二 句、 即 ち ﹁ 刹 塵 渤 駄 吾 心 佛、 海 滴 金 蓮 亦 我 身 ﹂ に お い て、 そ の 法 身 大 日 の 心 身 が、 即 ち わ れ わ れ の 心 身 で あ る こ と が 言 わ れ て い る。 そ し て 最 後 に、 あ ら ゆ る 徳 を 備 え る ﹁ 萬 徳 自 性 ﹂ は 輪 円 具 足 で あ り、 こ の 生 に お い て そ の 果 を 享 受 す る こ と が で き る と 述 べ て い る。 こ の ﹁ 萬 徳 自 性 輪 圓 足 ﹂ と い う 表 記 か ら、 こ こ に 言 わ れ る ﹁ 自 性 ﹂ は、 第 九 住 心 ま で に 述 べ ら れ た ﹁ 自 性 ﹂ ど は ま っ た く 異 な っ て い る こ と が わ か る。 結 論 を 先 取 り し て 簡 潔 に 言 え ば、 ﹁ 萬 徳 自 性 ﹂ と は、 あ ら ゆ る 徳 を 備 え た 法 身 大 日 の ﹁ 官 性 ﹂ な の で あ る。 法 身 の 備 え る 萬 徳 と は、 即 ち、 先 の 頒 の 第 五 ・ 第 六 句 に 書 か れ て い る ﹁ 五 相 五 智 ﹂ あ る い は ﹁ 四 曼 四 印 ﹂ の こ と で あ る。 と こ ろ で、 ﹃ 即 身 成 仏 義 ﹄ に お い て、 こ の 法 身 そ の も の で あ る ﹁ 六 大 ﹂ は、 ﹁ 四 種 曼 茶 羅 ﹂、 ﹁ 三 種 世 間 ﹂ の 能 生 と さ ( 11) れ て い る こ と か ら わ か る よ う に、 法 身 自 性 は、 曼 茶 羅 及 び 諸 尊 を 生 成 す る 能 力 を 持 つ も の と さ れ て い る。 こ の こ と か 空 海 の ﹁ 自 性 ﹂ 観 -菩 提 心 と の 関 連 を 中 心 と し て

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-密 教 文 化 ら、 第 十 住 心 に お け る 自 性 と は、 ﹃ 即 身 成 仏 義 ﹄ で 述 べ ら れ る 法 界 体 性、 あ る い は 六 大 に 通 底 す る も の で あ り、 能 生 の 位 置 に 置 か れ て い る と い え よ う。 ま た こ の 頗 に 続 く 第 十 住 心 の 本 文 は、 ほ ぼ ﹃ 菩 提 心 論 ﹄ 三 摩 地 段 か ら の 引 用 文 で あ り、 そ の 内 容 は ﹁ 五 相 成 身 観 ﹂ と、 阿 字 で あ る ﹁ 円 明 の 菩 提 心 ﹂ に つ い て の 解 説 で あ る。 三 見 す る と、 頗 と 本 文 の 内 容 は 一 致 し て い な い よ う に も 思 え る が、 空 海 に は 勿 論 そ う 書 く べ き 意 図 が あ っ た は ず で あ る。 そ こ で、 因 で あ る ﹁ 無 自 性 ﹂ に 対 し て、 果 で あ る ﹁ 輪 円 具 足 ﹂ の ﹁ 萬 徳 自 性 ﹂ を、 満 月 円 明 の 体 で 表 わ さ れ る 菩 提 心 と し て 示 し て い る と 考 え る。 三 摩 地 者 真 言 行 人 如 是 観 已 云 何 能 謹 無 上 菩 提。 當 知 法 爾 鷹 住 普 賢 大 菩 提 心。 一 切 衆 生 本 有 薩 垂 為 貧 瞑 癬 煩 悩 之 所 縛 故。 諸 佛 大 悲 以 善 巧 智 説 此 甚 深 秘 密 喩 伽 令 修 行 者 於 内 心 中 観 日 月 輪。 由 作 此 観 照 見 本 心 湛 然 清 津 猶 如 満 月 光 遍 ( 12 ) 虚 空 所 分 別。 能 含 種 種 無 量 珍 寳 三 摩 地 猶 如 満 月 潔 白 分 明。 何 者 為 一 切 有 情 悉 含 普 賢 之 心。 我 見 自 心 形 如 月 輪。 何 故 以 月 輪 為 喩。 ( 13 ) 為 満 月 圓 明 禮 則 与 菩 提 心 相 類。 こ の 三 摩 地 の 段 階 に お い て の 菩 提 心 は、 満 月 に 喩 え ら れ る 完 全 な 円 形 と し て 示 さ れ、 繰 り 返 し 強 調 さ れ て い る。 さ ら に、 そ の 円 形 を 分 割 し、

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( 14) 凡 月 輪 有 一 十 六 分。 喩 喩 伽 中 金 剛 薩 蓮 至 金 剛 拳 有 十 六 大 菩 薩。 と 述 べ、 以 後、 金 剛 界 三 十 七 尊 ・ 五 仏 五 智、 大 日 如 来 の 法 界 体 性 智 か ら 流 出 す る 四 仏 四 菩 薩 を 説 明 す る が、 四 仏 に 包 摂 さ れ る 十 六 大 菩 薩 の み を も っ て、 月 の 十 六 区 分 に 喩 え る と い う。 十 六 大 菩 薩 は、 完 全 な 円 形 で あ る 大 金 剛 輪 の 内 部 に 位 置 し、 大 日 如 来 が 流 出 し た 智 の 最 も 微 細 な 部 分 を あ ら わ し て い る。 続 い て、 又 摩 詞 般 若 経 中 内 空 至 無 性 自 性 亦 有 十 六 義。 三 切 有 情 於 心 質 中 有 一 分 浮 性。 衆 行 皆 備。 其 罷 微 妙 鮫 然 明 白。 乃 至 輪 廻 六 趣 亦 不 攣 易。 如 月 十 六 分 之 三。 凡 月 其 一 分 明 相。 若 當 合 宿 之 際 但 為 日 光 奪 其 明 相。 所 以 不 現。 後 起 月 初 日 日 漸 加 至 十 五 日 圓 満 無 磯。 所 以 観 行 者 初 以 阿 字 嚢 起 本 心 之 中 分 明。 只 漸 令 潔 白 分 明 誰 無 生 智。 夫 阿 字 者 一 切 諸 法 ( 15) 本 不 生 義。 ( 16) 夫 會 阿 字 者 皆 是 決 定 観 之。 當 観 圓 明 浮 識。 と 述 べ ら れ て い る。 識 を 有 す る も の は す べ て、 そ の 心 の 本 質 の 一 部 分 に 清 浄 な 菩 提 心 が あ る。 し か し、 月 が そ の 完 全 な す が た を 遮 ら れ て い る よ う に、 菩 提 心 と い う 円 明 の 識 が 欠 け た 状 態 で あ る な ら ば、 本 有 の 菩 提 心 と は い え な い。 空 海 の ﹁ 自 性 ﹂ 観 -菩 提 心 と の 関 連 を 中 心 と し て

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-密 教 文 化 ( 17) 三 意 密 者 如 住 喩 伽 相 鷹 白 浮 月 圓 満 観 菩 提 心 也。 ( 18) 然 此 五 相 旦 ハ備 方 成 本 尊 身 也。 其 圓 明 普 賢 身 也。 亦 是 普 賢 心 也。 ( 19) 凡 人 心 如 合 蓮 華 佛 心 如 満 月。 此 観 若 成 (中 略) 讃 本 尊 身 満 足 普 賢 三 切 行 願。 こ の 満 月 の よ う な、 円 明 の 普 賢 大 菩 提 心 に 相 応 す る こ と で、 五 相 成 身 を 完 成 し、 本 尊 の 身 を 証 す こ と に な る。 秘 密 荘 厳 心 に お け る 菩 提 心 と は、 十 六 大 菩 薩 が 一 と し て 欠 け る こ と が な い よ う な、 法 界 体 性 大 日 如 来 の 喩 伽 に 相 応 す る も の で あ り、 完 全 な 円 形 を も っ て 示 さ れ る 輪 円 具 足 の 自 性 で あ る と い え る。 ( 20) 能 達 諸 佛 自 性 悟 諸 佛 法 身 誰 法 界 髄 性 智 成 大 毘 盧 遮 那 佛 自 性 身 受 用 身 攣 化 身 等 流 身。 秘 密 荘 厳 心 に お け る 自 性 と は、 法 身 大 日 如 来 の 自 性 で あ り、 そ の 自 性 に 到 達 し 一 体 化 す る と き、 個 々 の 自 性 も 肯 定 さ れ る。 そ れ は 満 月 に 喩 え ら れ る 完 全 無 欠 な も の で あ り、 そ れ 以 前 の 住 心 に お い て も 自 性 は 清 浄 で あ る と 説 か れ る け れ ど も、 密 教 の 立 場 か ら み れ ば、 ま だ 不 完 全 な 状 態 に あ り、 そ れ を 本 来 の 輪 円 の 性 が な い、 す な わ ち ﹁ 無 自 性 ﹂ で あ る と 空 海 は 主 張 し て い る の で は な い だ ろ う か。

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第 三 章 三 摩 地 に お け る ﹁ 自 性 ﹂ 第 一 節 ﹁ 自 性 ﹂ の 動 性 第 九 と 第 十 の 住 心 に お い て、 自 性 は 対 照 的 に 扱 わ れ て い る が、 そ の 最 も 特 徴 的 な 差 異 は、 両 心 に お け る 心 の 体 性 が、 ﹁ 動 性 ﹂ で あ る か ﹁ 非 動 性 ﹂ で あ る か に 拠 る も の と 考 え ら れ る。 こ こ で 問 題 と す る ﹁ 動 性 ﹂ と い う 概 念、 そ し て そ の 反 対 概 念 で あ る ﹁ 非 動 性 ﹂ と は、 自 ら を 動 か す 能 力 を 有 し て い る か、 い な い か と い う こ と を 意 味 し て い る、 と 私 は 理 解 す る。 こ の 理 解 に 基 づ い て、 さ ら に 論 を 進 め て み た い。 第 九 住 心 に お い て は、 体 で あ る 本 覚 心 は ﹁ 非 動 性 ﹂ で あ り、 ﹁ 不 守 自 性 ﹂ で あ る か ら、 縁 と い う い わ ば 外 的 な ﹁ 動 因 ﹂ に 随 っ て の み 世 界 は 展 開 す る と さ れ て い た。 し か し、 真 言 密 教 に は、 法 界 体 そ の も の に 動 性 を 認 め る、 六 大 思 想 が あ る。 ﹃ 即 身 成 仏 義 ﹄ で は、 一 切 の 根 源 で あ り、 法 界 の 体 性 で あ る 六 大 を、 ﹁ 六 大 無 擬 常 喩 伽 ﹂ と い う 言 葉 で 表 現 し て い る。 こ れ は 法 界 体 性 そ の も の が、 常 に さ ま た げ 合 う こ と な く 融 合 し て い る 状 態 を い い、 ま た そ の 六 大 は、 す べ て の 現 象 と 実 在 を 生 成 す る 能 生 と さ れ る。 こ の ﹁ 能 生 ﹂ と い う の は、 主 体 的 に 生 み 出 す と い う 働 き で あ り、 六 大 体 性 に 一 切 を 生 成 す る 原 動 力 が あ る こ と を 明 示 し て い る。 同 時 に、 能 生 で あ る 六 大 と、 そ こ か ら 生 成 さ れ た 所 生 で あ る 相 と は、 ( 21) 無 擬 自 在 で あ る と 述 べ ら れ て お り、 ﹁ 動 因 ﹂ と し て の ﹁ 縁 ﹂ の 必 要 性 は 説 か れ て い な い。 ( 22) さ ら に、 ﹁ 自 性 所 成 春 属 金 剛 手 等 十 六 大 菩 薩 乃 至 各 各 流 出 五 億 倶 豚 微 細 法 身 金 剛。 ﹂ と い う 文 面 か ら、 ﹁ 自 性 ﹂ が 能 空 海 の ﹁ 自 性 ﹂ 観 -菩 提 心 と の 関 連 を 中 心 と し て

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-密 教 文 化 生 の 位 置 に 置 か れ て い る こ と が わ か る。 こ れ に つ い て は、 先 に も 述 べ た よ う に、 六 大 ・ 法 界 体 性 ・ 自 性 は 通 底 す る 概 念 で あ る こ と か ら、 ﹁ 自 性 ﹂ そ の も の に ﹁ 動 性 ﹂ が あ り、 三 切 を 生 成 す る と い う 能 力 を も っ て い る と い え る。 第 二 節 ﹁ 九 顕 十 密 ﹂ と し て の ﹁ 自 性 ﹂ 第 十 住 心 に お け る、 自 性 と 菩 提 心 の 関 連 性 に 着 目 し、 空 海 が 密 蔵 肝 心 の 論 と し た ﹃ 菩 提 心 論 ﹄ に 注 目 し て、 ﹁ 自 性 ﹂ 概 念 と 菩 提 心 と の 関 連 に つ い て 述 べ た い。 ﹃ 菩 提 心 論 ﹄ で は、 真 言 門 に お け る 菩 提 心 の 行 相 を、 行 願 ・ 勝 義 ・ 三 摩 地 の 三 門 に 分 類 し て い る。 初 め に 行 願 と は、 利 他 を 願 い 菩 提 の 行 を 行 う 大 悲 心 で あ る と し、 二 に 勝 義 と は、 三 切 法 無 自 性 を 観 じ る こ と で あ る と し て い る。 そ し て、 凡 夫 か ら 外 道、 声 聞、 縁 覚 ま で の、 そ れ ぞ れ の 執 着 心 を 指 摘 し、 厳 し く 非 難 し た 後、 又 深 知 一 切 法 無 自 性。 云 何 無 自 性。 前 已 旨 陳。 夫 迷 途 之 法。 從 妄 想 生。 乃 至 展 韓。 成 無 量 無 邊 煩 悩。 輪 廻 六 趣 者。 若 覧 悟 已。 妄 想 止 除。 種 種 法 滅。 故 無 自 性。 如 大 毘 盧 遮 那 成 佛 纒 云。 諸 法 無 相。 謂 虚 空 相 。 作 是 観 己。 名 勝 義 菩 提 心。 當 知 一 切 法 空。 已 悟 法 本 無 生。 心 禮 自 如。 不 見 身 心。 住 於 寂 滅 平 等 究 寛 眞 實 之 智。 令 無 退 失。 妄 心 若 起。 知 而 勿 随。 妄 若 息 時。 心 源 空 寂。 萬 徳 斯 具。 ( 23) 妙 用 無 窮。 所 以 十 方 諸 佛。 以 勝 義 行 願 爲 戒。

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と い い、 妄 心 か ら 起 る 諸 法 に は 自 性 が な い こ と を 深 く 知 る こ と が、 勝 義 の 菩 提 心 で あ る と す る。 こ こ で 意 味 す る 無 自 性 は、 諸 法 に 対 す る 執 着 心 を 厭 離 す る 必 要 性 か ら 述 べ ら れ て い る も の で あ り、 無 自 性 を 観 念 す る こ と の 修 法 上 の 意 義 が 述 べ ら れ て い る。 す べ て の 妄 心 を 絶 ち、 一 切 の 現 象 は 無 自 性 と す る 空 を 観 念 し、 成 就 す る こ と に よ っ て、 ﹁ 寂 滅 ( 24) 平 等 究 寛 真 実 之 智 ﹂ す な わ ち、 空 海 が ﹁ 寂 滅 之 果 ﹂ と し て 示 す、 第 九 極 無 自 性 心 に 到 る こ と が 述 べ ら れ て い る。 こ の ( 25) こ と は、 無 自 性 の 極 地 を 密 教 に 最 も 近 い 入 り 口 と し た 根 拠 に 繋 が る と 思 わ れ る が、 そ の 勝 義 段 の 末 に お い て は、 獲 心 畢 寛 二 無 別 如 是 二 心 先 心 難。 自 未 得 度 先 度 他 是 故 我 禮 初 嚢 心。 嚢 心 已 爲 人 天 師 勝 出 聲 聞 及 縁 畳。 如 是 嚢 心 過 ( 26) 三 界 是 故 得 名 最 無 上。 如 大 毘 盧 遮 那 纒 云。 菩 提 爲 因。 大 悲 爲 根。 方 便 爲 究 寛。 と い い、 初 発 心 の 段 階 の 菩 提 心 の 意 義 を 述 べ、 最 後 に 大 日 経 の 三 句 の 法 門 を 引 用 し て い る。 三 句 の 法 門 に 関 し て は、 空 海 は ﹃ 噂 字 義 ﹄ で、 ﹁ 大 日 経 及 び 金 剛 頂 経 に 明 か す と こ ろ、 皆 こ の 菩 提 を 因 と し、 大 悲 を 根 と し、 方 便 を 究 寛 と な ( 27) す の 三 句 に 過 ぎ ず。 (中 略) 則 ち 一 切 の 教 義 こ の 三 句 に 過 ぎ ず。 ﹂ と い い、 密 教 の 根 本 所 依 の 経 典 だ け で な く、 全 て の 教 義 は、 こ の 三 句 が 意 味 す る 因 ・ 行 ・ 果 に 包 摂 さ れ る と し て い る。 そ し て 最 後 の 三 摩 地 段 で は、 既 に 述 べ た よ う に、 空 海 が 秘 密 荘 厳 心 を 解 説 す る に あ た り、 そ の 全 文 を 引 用 し て い る 通 り、 密 教 の 境 地 の み で 説 か れ る 秘 密 喩 伽 中 の 普 賢 大 菩 提 心 に つ い て 簡 潔 に 述 べ ら れ て い る。 ま た ﹃ 菩 提 心 論 ﹄ 序 文 ( 28) に お い て も、 ﹁ 唯 眞 言 法 中。 即 身 成 佛 故。 是 故 説 三 摩 地 於 諸 教 中。 閾 而 不 言。 ﹂ と 述 べ ら れ る こ と か ら も、 唯 三 密 教 の み で 説 く 究 極 の 世 界 を 示 し て い る も の で あ る こ と は 理 解 で き る。 空 海 の ﹁ 自 性 ﹂ 観 -菩 提 心 と の 関 連 を 中 心 と し て

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-密 教 文 化 そ れ で は、 秘 密 の 三 摩 地 だ け が、 真 言 門 に お け る 菩 提 心 の 行 相 で あ る か と い え ば、 必 ず し も そ う で は な い と 思 わ れ る。 ﹃ 三 昧 耶 戒 序 ﹄ に お い て は、 ﹁ 大 毘 盧 遮 那 自 性 法 身 の 所 説 の 真 言 曼 茶 羅 教 の 戒 ﹂ と し て、 信 心 ・ 大 悲 心 ・ 勝 義 心 ・ 大 菩 提 心 の 四 種 の 心 を あ げ て い る。 こ れ は、 ﹃ 菩 提 心 論 ﹄ 所 説 の 行 願 ・ 勝 義 ・ 三 摩 地 の 三 種 の 菩 提 心 に、 ﹃ 釈 摩 詞 術 論 ﹂ 所 説 の 十 種 信 心 を 付 加 し た も の で あ る が、 三 摩 地 に 相 当 す る 大 菩 提 心 の 解 説 で は、 能 求 と 所 求 の 二 種 の 菩 提 心 を 示 し て い る。 能 求 の 菩 提 心 と は、 本 覚 荘 厳 の 宅 に 帰 ろ う と す る 思 い を 起 こ す 心 と し、 そ れ に 対 し て 所 求 の 菩 提 心 と は、 帰 宅 す る べ き 秘 密 の 三 摩 地、 す な わ ち ﹃ 菩 提 心 論 ﹄ の 三 摩 地 段 そ の も の の 境 界 を 述 べ て い る。 続 い て、 ( 29) 諸 佛 如 来 以 此 大 悲 勝 義 三 摩 地 為 戒。 無 時 暫 忘。 と 述 べ ら れ て い る の で あ る が、 そ の 根 拠 と 思 わ れ る ﹃ 菩 提 心 論 ﹄ 序 文 で は、 ( 30) 諸 佛 菩 薩。 昔 在 因 地。 襲 是 心 已。 勝 義。 行 願。 三 摩 地 爲 戒。 乃 至 成 佛。 無 時 暫 忘。 と い い、 こ こ で は 因 地 に い る 仏 菩 薩 が、 悟 り を 完 成 さ せ る ま で、 常 に 戒 と し て 保 っ て い た、 と 限 定 的 に 述 べ ら れ る の に 対 し て、 空 海 は、 悟 り を 完 成 さ せ た 如 来 も、 常 に 三 種 の 菩 提 心 を 戒 と し て 保 っ て い る、 と 永 続 的 な 表 現 に 改 め て

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い る。 さ ら に、 ﹁ ま た 深 般 若 の 妙 恵 を 以 っ て 前 の 九 種 住 心 を 観 ず る に 自 性 な し。 ( 中 略) 諸 法 は み な 縁 よ り 生 じ て 自 性 な し。 ﹂ と、 第 一 住 心 か ら 第 九 住 心 の 求 上 の 次 第 を 述 べ た 後、 是 皆 由 元 自 性 故 展 韓 勝 進。 以 深 般 若 観 無 自 性 故。 自 然 離 一 切 悪 修 三 切 善 饒 益 自 他 衆 生。 即 是 三 聚 妙 戒 具 足 元 映。 ( 31) 住 秘 密 三 摩 地 亦 復 如 是。 と、 無 自 性 で あ る が ゆ え に、 勝 れ た 方 へ と 展 転 勝 進 し て き た 菩 提 心 は、 秘 密 の 三 摩 地 に 至 っ た 後 も、 自 他 を 利 し、 諸 法 の 空 を 観 じ 菩 提 を 向 上 さ せ て い く、 つ ま り、 三 種 の 菩 提 心 の 行 相 は 同 様 で あ る と 解 説 し て い る。 ま た、 三 種 の 菩 提 心 と 同 様 に、 能 求 の 菩 提 心 を 因 と し、 大 悲 を 根 と し、 方 便 を 究 寛 と な す 三 句 の 法 門 は、 顕 密 共 通 の 菩 提 の 行 相 で あ る。 菩 提 心 を 求 あ る 心 は、 自 ら ﹁ 発 生 ﹂ す る も の で あ り、 利 他 の 行 を 行 う 手 段 と し て ﹁ 聚 衆 ﹂ を 顕 現 す る こ と は、 絶 え 間 な い 喩 伽 の 状 態 に あ る 法 身 の 自 性 と 同 等 の あ り 方 で あ る。 そ れ を、 ﹁ 九 顕 十 密 ﹂ と し て 解 釈 す る な ら ば、 常 に 展 開 し 続 け る ﹁ 動 性 ﹂ を 伴 っ た 自 性 が 不 可 欠 に な る。 空 海 は、 縁 と い う 動 因 の み に 依 存 す る の で は な く、 自 ら が 原 動 力 で あ る べ き 主 体 性 に 重 点 を 置 い て い る と 考 え ら れ、 そ れ を 主 軸 と す る な ら ば、 菩 提 が 向 上 す る 全 過 程 が ﹁ 具 自 性 ﹂ の 密 教 世 界 と な る。 第 三 節 ﹁ 九 顕 三 密 ﹂ と し て の ﹁ 自 性 ﹂ 空 海 の ﹁ 自 性 ﹂ 観 -菩 提 心 と の 関 連 を 中 心 と し て

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-密 教 文 化 最 終 的 に 完 成 さ れ た、 満 月 円 明 の 菩 提 心 に お い て は、 能 求 と 所 求 の 二 種 が 具 わ る こ と に な る が、 そ の 形 態 と は ど の よ う な も の で あ る の か。 ﹃ 秘 蔵 宝 鎗 ﹄ の ﹃ 菩 提 心 論 ﹄ の 引 用 で は、 夫 會 阿 字 者 皆 是 決 定 観 之。 當 観 圓 明 浮 識。 若 繧 見 者 則 名 見 真 勝 義 諦。 若 常 見 者 則 入 菩 薩 初 地。 若 轄 漸 増 長 則 廓 周 ( 32) 法 界 量 等 虚 空。 巻 野 自 在 當 具 一 切 智。 と い い、 円 明 の 浄 識 は、 し だ い に 増 長 さ せ る こ と に よ っ て、 そ の 円 周 は 拡 大 し、 自 己 の 法 界 は 虚 空 に 等 し い も の に な り、 さ ら に そ の 心 を 巻 野 自 在 に し て、 様 々 に 対 応 す る こ と が で き る と 述 べ ら れ て い る。 ま た、 ﹃ 十 住 心 論 ﹄ の ﹃ 大 日 経 ﹄ の 引 用 文 に、 ( 33) 心 績 生 之 相 諸 佛 大 秘 密 我 今 悉 開 示 者。 即 是 竪 説。 志 求 三 貌 三 菩 提 句 以 知 心 無 量 故 知 身 無 量。 知 身 無 量 故 知 智 無 量。 知 智 無 量 故 即 知 衆 生 無 量。 知 衆 生 無 量 故 即 知 虚 空 無 量。 此 即 横 義。 (中 略) 大 日 経 王 説 無 量 心 識 無 量 身 等。 知 如 是 身 心 之 究 立 見。 即 是 讃 秘 密 荘 嚴 之 住 庭。 と 述 べ ら れ て お り、 普 賢 大 菩 提 心 と い う 輪 円 に 相 応 し た 自 性 は、 さ ら に 阿 字 を 求 め る こ と に よ っ て、 竪 横 と も に 無 量 に 広 が る、 つ ま り 拡 大 し つ づ け る 虚 空 に 同 化 し て い く も の で あ る と 考 え ら れ る。 ﹃ 三 昧 耶 戒 序 ﹄ の 所 求 の 菩 提 心 の

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解 説 に お い て は、 所 求 心 者。 所 謂 無 書 荘 嚴 金 剛 界 身 是 也。 大 毘 盧 舎 那 四 種 法 身 四 種 曼 茶 羅。 皆 是 一 切 衆 生 本 来 平 等 土 ハ有。 錐 然 被 五 障 之 覆 弊 依 三 妄 之 雲 窮 不 得 覧 悟。 若 能 観 日 月 之 輪 光 諦 聲 字 之 真 言。 嚢 三 密 之 加 持 揮 四 印 之 妙 用。 則 大 日 之 光 明 廓 ( 34) 周 法 界。 無 明 之 障 者 忽 帰 心 海。 無 明 忽 為 明 毒 藥 乍 為 藥。 五 部 三 部 之 尊 森 羅 圓 現 刹 塵 海 滴 之 佛 忽 然 湧 出。 と 述 べ、 大 日 如 来 の 光 明 に 喩 え ら れ る 円 明 の 浄 識 に お い て、 根 本 無 明 で あ る 諸 法 は 消 失 し、 ( 空) 無 明 は 明 に、 毒 薬 は 薬 に、 諸 々 の 現 象 は 大 日 如 来 の 智 に 転 換 し 顕 現 さ れ る こ と が 示 さ れ て い る。 本 来 の ﹁ 輪 円 の 自 性 ﹂ は、 現 象 を 以 っ て そ の 世 界 を 示 し、 現 象 の 世 界 で は ﹁ 無 自 性 ﹂ を 以 っ て、 真 理 を 示 す と い え る。 (35) ﹃ 秘 蔵 宝 鍮 ﹄ 序 文 に、 ﹁ 顯 薬 彿 塵、 真 言 開 庫、 秘 寳 忽 陳、 萬 徳 即 讃。 ﹂ と い う よ う に、 顕 教 は 諸 々 の 執 着 を 払 拭 す る ま で の 段 階 で あ り、 密 教 に お い て は 様 々 な 価 値 を 実 現 す る た め に、 主 体 的 に 行 動 を 起 こ す こ と が 可 能 と な る。 そ の 境 界 か ら さ ら に、 塵 を 払 う、 す な わ ち 無 自 性 ( 空) を 観 念 す る こ と の 必 要 性 は あ る。 し か し、 も し 仮 に 極 無 自 性 心 で 現 実 世 界 に 接 し た な ら ば、 根 本 無 明 と い う 消 滅 し な け れ ば な ら な い 縁 な し に、 自 ら は 存 在 し な い こ と に な る。 密 教 で は 完 全 清 浄 の 普 遍 的 な 自 性 を、 性 相 常 住 と し て 認 め て い る。 そ れ は、 こ の 現 実 世 界 に お い て、 世 界 と 自 己 の 真 実 の 価 値 を 求 あ る た め の 根 拠 と し て、 菩 提 心 を 肯 定 し、 そ の 重 要 性 を 主 張 す る た め で あ る。 空 海 の ﹁ 自 性 ﹂ 観 -菩 提 心 と の 関 連 を 中 心 と し て

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-密 教 文 化

論 第 九 住 心 に 位 置 づ け ら れ る 極 無 自 性 心 の ﹁ 無 自 性 ﹂ と は、 そ れ 自 体 の 性 質 を 持 た な い と い う 意 味 と 同 時 に、 ﹁ 極 ﹂ の 字 を 冠 し て い る こ と に よ っ て、 法 身 と し て の 自 性、 す な わ ち 本 有 の 自 性 に 到 達 し て い な い と い う 密 意 を 示 唆 す る も の で あ る。 第 十 住 心 の 自 性 と は、 本 来 的 に 定 ま っ た 性 質 で あ り、 法 界 体 性 と い う 法 身 の 自 性 と 同 等 の も の で あ り、 完 全 な 円 形 を も っ て 示 さ れ る 普 賢 大 菩 提 心 で あ る。 そ し て、 こ の よ う な ﹁ 輪 円 具 足 ﹂ の 世 界 で は、 心 は 縁 を 待 た ず に 自 ら 発 動 し、 智 と し て の 相 を 顕 現 す る こ と が 可 能 で あ り、 そ の あ り 方 は、 常 恒 不 変 に 存 在 し、 展 開 し 続 け る 大 日 如 来 の 喩 伽 そ の も の で あ る。 こ の よ う な 境 界 で は、 た と え 根 本 無 明 の 風 に 遇 っ て も 心 は 波 立 た ず、 逆 に そ の 円 寂 で 澄 み 渡 っ た 心 か ら 波 や 風 を 現 出 す る。 無 常 と い わ れ た 諸 々 の 現 象 は、 す べ て 真 実 の 智 に 転 換 さ れ、 大 肯 定 の 世 界 が 開 示 さ れ る。 こ れ ま で の 考 察 か ら、 第 九 住 心 以 前 で い う ﹁ 自 性 清 浄 心 ﹂ や ﹁ 菩 提 心 ﹂ の 思 想 は、 空 海 が 主 張 す る 密 教 の 境 界 か ら い え ば、 清 浄 で あ る が、 ま だ 不 完 全 な 菩 提 心 で あ り、 そ の 先 に、 つ ま り 第 十 住 心 に お い て、 本 有 の 法 身 の 自 性 に 到 達 す る こ と で、 完 全 な 本 有 の 菩 提 心 を 如 実 に 知 る、 と い う ﹁ 如 実 知 自 心 ﹂ の 理 想 を 実 現 し よ う と し て い る も の と 考 え ら れ る。 そ し て、 法 身 の 自 性 と 三 体 化 し た 満 月 円 明 の 普 賢 大 菩 提 心 は、 さ ら に 阿 字 で あ る 菩 提 心 を 起 こ し、 迷 妄 と い う 満 月 に 差 し か か る 雲 影 を 消 滅 し な が ら、 無 量 の 虚 空 に 同 化 し て い く も の で あ る。 空 海 は、 こ の よ う な 秘 密 の 三 摩 地 こ そ が

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究 極 で あ る と 主 張 す る と と も に、 三 種 の 菩 提 心 と し て 示 さ れ る 菩 提 の 行 相 が 一 切 の 教 義 の 理 で あ る と 捉 え、 阿 字 を 求 め る 者 が こ の 理 に 随 い、 自 ら が 原 動 力 で あ る と い う 主 体 性 を も っ て 菩 提 の 行 を 行 う こ と で、 輪 円 の 自 性 に 未 だ 至 ら ず と も、 法 身 大 日 如 来 と 同 様 の 理 趣 に お い て 菩 提 を 増 上 す る と い う 思 想 を も 展 開 し て い た。 こ の よ う な 真 実 を 求 め る 心 の、 因 に お い て も 果 に お い て も、 主 体 性 を も っ て 菩 提 を 求 め 続 け る 心 の 在 り 様 を 強 調 し て い る こ と が、 空 海 の 思 想 に お け る 最 大 の 独 自 性 で は な い だ ろ う か。 註 ( 1) 本 稿 に お い て は、 空 海 の 著 作 か ら の 引 用 は、 ﹃ 定 本 弘 法 大 師 全 集 ﹂ (以 下 ﹃ 定 弘 全 ﹄)、 高 野 山 大 学 密 教 文 化 研 究 所) に 依 る も の と す る。 (2) ﹃ 秘 蔵 宝 鎗 ﹄ 一 六 一 頁 (﹃ 定 弘 全 ﹄ 第 三 巻)。 ( 3) ﹃ 秘 蔵 宝 鋪 ﹄ 一 六 三 頁 (﹃ 定 弘 全 ﹄ 第 三 巻)。 こ の 引 用 文 は、 後 に ﹁ 秘 密 趣 ﹂ と し て の 解 釈 に お い て 再 び 使 用 さ れ る。 ( 4) ﹃ 秘 蔵 宝 鍮 ﹄ 一 六 三 頁 (﹃ 定 弘 全 ﹄ 第 三 巻)。 ( 5) ﹃ 秘 蔵 宝 鋪 ﹄ 三 一 七 頁 (﹃ 定 弘 全 ﹄ 第 三 巻)。 ( 6) ﹃ 釈 摩 詞 術 論 ﹄ 巻 三 ﹃ 大 正 蔵 ﹄ 三 二、 六 二 〇 下。 ( 7) ﹃ 秘 蔵 宝 鎗 ﹄ 一 六 七 -一 六 八 頁 (﹃ 定 弘 全 ﹄ 第 三 巻)。 ( 8) ﹃ 秘 蔵 宝 鋪 ﹄ 一 七 五 頁 (﹃ 定 弘 全 ﹄ 第 三 巻)。 ( 9) ﹃ 秘 蔵 宝 鍮 ﹄ 一 六 一 -一 六 二 頁 ( ﹃ 定 弘 全 ﹄ 第 三 巻)。 第 九 住 心 の 解 説 に お い て、 ﹁此 の 心 は 則 ち 都 亭 な り。 都 亭 は 常 の 舎 に 非 ず。 縁 に 随 っ て 忽 ち に 遷 移 す。 遷 移 は 定 れ る 慮 無 し。 是 の 故 に 自 性 無 し。 ﹂ と い い、 縁 に 従 っ て 移 り 変 わ り、 定 ま る と こ ろ が な い こ と を ﹁ 無 自 性 ﹂ で あ る と し て い る。 ( 10) ﹃ 即 身 成 仏 義 ﹄ 二 九 頁 (﹃ 定 弘 全 ﹄ 第 三 巻) に お い て、 ﹁真 言 の 果 は 悉 く 因 果 を 離 れ た り。 ﹂ と 言 わ れ る こ と か ら、 法 身 の 境 界 を 意 味 す る ﹁ 果 ﹂ は、 相 対 的 な 関 係 を 意 味 す る ﹁ 因 果 ﹂ と は 異 な っ た 概 念 と し て 述 べ ら れ て い る と 考 え る。 (11) ﹃ 即 身 成 仏 義 ﹄ ( ﹃定 弘 全 ﹄ 第 三 巻) に お い て、 ﹁六 大、 四 種 法 身 と 曼 茶 羅 と 及 び 三 種 世 間 と を 能 生 す る こ と を 表 す。 ﹂ 二 一 頁、 ﹁ 佛、 六 大 を 説 い て 法 界 体 性 と 為 す。 ﹂ 二 三 頁、 ﹁ 六 大 の 法 界 膿 性 所 成 之 身 は 無 障 無 碍 に し て 互 相 に 渉 入 し 空 海 の ﹁ 自 性 ﹂ 観 -菩 提 心 と の 関 連 を 中 心 と し て

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-密 教 文 化 相 慮 せ り。 ﹂ 二 一二 頁、 ﹁ 自 性 所 成 春 属 の 金 剛 手 等 の 十 六 大 菩 薩 乃 至 各 各 に 五 億 倶 豚 の 微 細 の 法 身 金 剛 を 流 出 す。 ﹂ 三 〇 頁、 等 の 文 面 が 示 す、 能 生 と し て の 六 大 ・ 法 界 体 性 ・ 自 性 の 語 は、 法 身 に 関 し て い わ れ て い る こ と で あ る。 ( 12) ﹃ 秘 蔵 宝 鍮 ﹄ 一 六 九 頁 (﹃ 定 弘 全 ﹄ 第 三 巻)。 ( 13) ﹃ 秘 蔵 宝 鍮 ﹄ 一 六 九 頁 ( ﹃定 弘 全 ﹄ 第 三 巻)。 ( 14) ﹃ 秘 蔵 宝 鍮 ﹄ 一 六 九 頁 ( ﹃定 弘 全 ﹄ 第 三 巻)。 ( 15) ﹃ 秘 蔵 宝 鍮 ﹄ 三 七 〇 -一 七 一 頁 (﹃ 定 弘 全 ﹄ 第 三 巻)。 ( 16) ﹃ 秘 蔵 宝 鋪 ﹄ 一 七 二 頁 ( ﹃定 弘 全 ﹄ 第 三 巻)。 ( 17) ﹃ 秘 蔵 宝 鍮 ﹄ 三 七 二 頁 ( ﹃定 弘 全 ﹄ 第 三 巻)。 ( 18) ﹃ 秘 蔵 宝 鎗 ﹄ 一 七 二 頁 ( ﹃定 弘 全 ﹄ 第 三 巻)。 ( 19) ﹃ 秘 蔵 宝 鍮 ﹄ 一 七 二 -一 七 三 頁 (﹃ 定 弘 全 ﹄ 第 三 巻)。 ( 20) ﹃ 秘 蔵 宝 鍮 ﹄ 三 七 三 頁 (﹃ 定 弘 全 ﹄ 第 三 巻)。 ( 21) ﹃ 即 身 成 仏 義 ﹄ 二 三 頁 ( ﹃ 定 弘 全 ﹄ 第 三 巻)。 六 大 が 無 擬 自 在 で あ る こ と を 示 し た 後、 ﹁ 能 所 の 二 生 有 り と 錐 も 都 て 能 所 を 絶 へ た り。 法 爾 に し て 道 理 な り。 何 の 造 作 か 有 ら ん。 能 所 等 の 名 も 皆 是 れ 密 号 な り。 ﹂ と、 能 ・ 所 と い う 表 現 に つ い て 解 説 し て い る。 ( 22) ﹃ 即 身 成 仏 義 ﹄ 三 〇 頁 (﹃ 定 弘 全 ﹄ 第 三 巻)。 ( 23) ﹃ 菩 提 心 論 ﹄ ﹃ 大 正 蔵 ﹄ 三 二、 五 七 三 中。 ( 24) ﹃ 秘 蔵 宝 鋪 ﹄ 三 六 二 頁 (﹃ 定 弘 全 ﹄ 第 三 巻)。 ( 25) ﹃ 秘 蔵 宝 鍮 ﹄ 三 六 六 頁 (﹃ 定 弘 全 ﹄ 第 三 巻)。 極 無 自 性 心 の 秘 密 趣 と し て の 解 説 に お い て、 ﹃ 菩 提 心 論 ﹄ の 二 切 法 無 自 性 ﹂ に つ い て の 記 述 を 引 用 し て い る こ と か ら、 因 と し て の 極 無 自 性 心 は、 ﹃ 菩 提 心 論 ﹄ 所 説 の 勝 義 の 菩 提 心 に 依 る も の と 考 え る。 ( 26) ﹃ 菩 提 心 論 ﹄ ﹃ 大 正 蔵 ﹄ 三 二、 五 七 三 下。 ( 27) ﹃ 畔 字 義 ﹄ 七 〇 頁 (﹃ 定 弘 全 ﹄ 第 三 巻) ( 28) ﹃ 菩 提 心 論 ﹄ ﹃ 大 正 蔵 ﹂ 三 二、 五 七 二 下。 ﹃ 即 身 成 仏 義 ﹄ 三 八 頁 (﹃ 定 弘 全 ﹄ 第 三 巻)。 ( 29) ﹃ 三 昧 耶 戒 序 ﹄ 八 頁 (﹃ 定 弘 全 ﹄ 第 五 巻)。 ( 30) ﹃菩 提 心 論 ﹄ ﹃ 大 正 蔵 ﹄ 三 二、 五 七 二 下。 ( 31) ﹃ 三 昧 耶 戒 序 ﹄ 一 〇 頁 (﹃ 定 弘 全 ﹄ 第 五 巻)。 ( 32) ﹃秘 蔵 宝 鋪 ﹄ 一 七 二 頁 (﹃ 定 弘 全 ﹄ 第 三 巻)。 ( 33) ﹃ 十 住 心 論 ﹄ 三 〇 七 -三 〇 八 頁 ( ﹃ 定 弘 全 ﹄ 第 二 巻)。 心 続 性 の 相 と は、 密 教 の 境 界 で 意 味 す る 大 秘 密 で あ る こ と か ら、 輪 円 の 心 が 完 成 し た 後 も、 心 が 連 続 し て 生 ず る 相 と 解 釈 す る。 (34) ﹃ 三 昧 耶 戒 序 ﹄ 八 頁 ( ﹃定 弘 全 ﹄ 第 五 巻)。 (35) ﹃ 秘 蔵 宝 鋪 ﹄ 一 一 七 頁 (﹃ 定 弘 全 ﹄ 第 三 巻)。 ︿ キ ー ワ ー ド ﹀ 空 海、 秘 蔵 宝 鍮、 自 性、 菩 提 心

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(2)

dictory teachings, and the uniqueness of Kukai's thought be known.

In this paper, I will pay special note to the term jisho (self-nature)

and examine Kukai's unique conception of self-nature in his Hizo

hoyaku, and establish its fundamental significance in his ten stages

of mind theory.

First, I will discuss jisho in the ninth stage, which is considered to

be an exoteric stage, and then the utterly different conceptual

frame-work pertaining to jisho in the following tenth esoteric stage. This

jisho has a profound connection with bodhicitta, and the difference in

how bodhicitta is understood is relevant to how the theories of kuken

ichimitsu and kuken jumitsu were established.

Kukai's affirmative understanding of jisho is foundational to his

ten stages of mind theory, and proved to be the most important

motive force in the establishment of the esoteric doctrines.

(20)

(1)

Kukai's Theory

of Jisho (Self-nature)

and

its Relationship

with Bodhicitta

SHIRAISHI

Yuka

Among Kukai's esoteric teachings, in the Ben kenmitsu nikyoron

he discussed the doctrine of the ten stages of mind as comprising

nine exoteric stages with one superlative esoteric stage (kuken

ichi-mitsu), while in his Jujushinron he taught that nine of the ten stages

are superficially exoteric while all ten are ultimately identical with

the highest esoteric stage (kuken jumitsu). Esoteric teachings can be

understood from a holistic understanding of these seemingly

参照

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