行政裁量とその統制密度
著者
宮田 三郎
号
34
発行年
1995
学 位 の 種 類
学 位 記 番 号
学位授与年月 日
学位授与 の要件
み や た さぶ ろ う宮
田
三
郎
博
士(法
学)
法
博
第34号
平 成7年10月18日
学 位 規 則 第4条
第2項
該 当
学位 論 文題 目
行政裁量 とその統制密度
論文 審 査委 員(主
査)
教
授
森
田
寛
二
教
授
藤
田
宙
靖
助教授
遠
藤
比 呂通
論 文 内 容 の 要
旨
1.本 論 文 は以 下 の12章 を も って 構 成 さ れ る。 第1章 行 政 裁 量 第2章 裁 量 統 制第3章
存政法上の不確定概念一 五〇年代の学説を中心 にして
第4章 裁 量 の鍛 疵 第5章 紹 介:エ ー ム ケ 「行 政 法 に お け る"裁 量"と"不 確 定 法 概 念"」 第6章 計 画 裁 量 第7章 計 画 裁 量 の 限 界 第8章 補 論:計 画 裁 量 とそ の 統 制 第9章 再 入 国 不 許 可 処 分 に お け る裁 量 第10章 行 政 規 則 に よ る不 確 定 法 概 念 の 具 体 化 第11章 裁 量 収 縮 に つ い て 第12章 行 政 裁 量 一 総 括 と展 望 2.行 政 裁 量 の 問 題 を分 析 ・整 序 す る際 に 用 い られ る一 っ の基 礎 的 な 視 角 と して の 地 位 を 占 あ るの が 、 要 件 裁 量 か 効 果 裁 量 か とい う視 角 で あ るが 、 本 論 文 提 出者 に よ る と、 こ の要 件 裁 量 か 効 果 裁 量 か と い う視 角 は、 「行 政 処 分 」 につ い て 規 定 す る法 規 範 の 構 造 が 法 律 要 件 と法 律 効 果 か ら成 る こ と、 言 葉 を か え て い う と、 か くな る と き はか くな るべ しと い う シ ェ ーマ(Wenn-Dannシ ェ ー マ)に よ って い る こ と を前 提 と し、 この 前 提 の上 で 行 政 の 裁 量 権 の 「所 在 」 を 明 らか に し よ う と す る方 法 論 的 側 面 を もつ(第1章 、 第6章)。 も っ と も、本 論 文 に よ る と、行 政 の行 為 にっ いて 規 定 す る法規 範 の構 造 は常 にWenn-Dannシ ェー マ に よ っ て い る の で は な い。 ドイ ッ の 学 説 に対 す る緻 密 に して 周 到 な分 析 ・検 討 に基 づ い て 、 本 論 文 提 出 者 は、 「行 政 上 の計 画 に っ い て 規 定 す る法 規 範 、 す な わ ち計 画 法 は、 条 件 的 に プ ロ グ ラ ム さ れ て お らず 、 目 的 的 に プ ロ グ ラ ム さ れ て い る。 計 画 法 は、 か くな る と き は か くな る べ し と い う シ ェ ー マ に も とつ く法 律 要 件 を ふ くまず 、 目標 を 定 め て 目的 プ ロ グ ラム を 確 定 す る構 造 を もっ 」 と主 張 し、 そ して 、 この よ う な計 画 法 の 構 造 的 特 色 が 、計 画 裁 量 と い う カ テ ゴ リー の 構 成 を も た ら した と指 摘 す る(第6章 、第7章)。 3.上 の2.で 言 及 した 要 件 裁 量 に っ い て 、 これ を 認 め る か 否 か が 問 題 に な る局 面 と して 一 番 の 関 心 を 集 め て き た の は、 行 政 処 分 の 法 律 要 件 が 不 確 定 概 念 を も って 規 定 さ れ て い る場 合 で あ る。 行 政 処 分 の 法 律 要 件 の なか で 用 い られ て い る不 確 定 概 念 の解 釈 ・適 用 に 関 し行 政 に 裁 量 権 が 認 め られ る か 否 か 、 これ こそ が い わ ゆ る不 確 定 概 念 の 問 題 の 中 核 を 形 成 して き た論 点 で あ る(第1章 、 第3章)。 こ の 不 確 定 概 念 の 問 題 に関 し多 くの 蓄 積 が あ る ドイ ッ の学 説 に対 し丹 念 な 考 察 を お こな うの が、 第3章 、 第4章 そ して 第5章 で あ る。 そ こで は、 ① 不 確 定 概 念 の解 釈 ・適 用 に 関 して も 「具 体 的 な 場 合 と の 関 連 に お い て は」 常 に 唯 一 の正 し い解 答 が 得 られ る と の把 握 の 上 に た って 、 その点 に関 し行政 に裁量 は認 め られな い、 し た が っ て 裁 判 所 は全 面 的 な コ ン トロ ー ル を 及 ぼ す とす るの が 、 古 典 的 な見 解 で あ る こ と、② こ の 古 典 的 な 見 解 に対 し ドィ ッで は1950年 代 以 降 、 多 くの批 判 が よ せ られ、 不 確 定 概 念 を二 種 、 す な わ ち 、 行 政 に 「判 断 余 地 」 が認 め られ な い不 確 定 概 念 と行 政 に 「判 断 余 地 」 が 認 め ら れ る 不 確 定 概 念 の二 種 に分 か ち、 後 者 の 不 確 定 概 念 に 関 して は そ の 「判 断 余 地 」 の範 囲 内 で は 裁 判 的 コ ン ト ロ ー ル は可 能 で な い とす る、 い わ ゆ る判 断 余 地 論 が 支 配 的 と な っ た こ と、 ③ こ の 判 断 余 地 論 は、 事 実 の法 律 要 件 へ の 包 摂 に関 す る経 験 上 の 問 題 点 を そ の 立 論 の 基 礎 に す え て い る こ と、 ④ 行 政 に 「判 断 余 地 」 が認 め られ る不 確 定 概 念 で あ るか ど うか は当 該 法 律 の 合 理 的 解 釈 に よ っ て 決 せ ら れ る こ と、 等 が 明 らか に さ れ る。 4.ド イ ッ の連 邦 行 政 裁 判 所 は、 上 で の べ た不 確 定 概 念 の 問 題 に 関 し ど の よ うな 態 度 を と っ て き
た か 。 第6章 、 第7章 そ して 第12章 は、 この 点 にっ い て の 究 明 を ふ くむ 。 そ れ に よ る と、 連 邦 行 政 裁 判 所 の 「原 則 」 的 見 地 は、 不 確 定 概 念 の 解 釈 ・適 用 に 関 し行 政 に 裁 量 は認 あ られ ず 、 裁 判 所 は そ れ に対 し全 面 的 な コ ン トロ ー ル を お こな う と い う もの で あ る。 も っ と も連 邦 行 政 裁 判 所 は、 行 政 に 「判 断 余 地 」 が 認 め られ る不 確 定 概 念 の 存 在 を 「例 外 」 的 に 肯 定 し、 そ の よ うな 概 念 の 解 釈 ・適 用 に関 して は裁 判 所 の全 面 的 な コ ン トロ ー ル は及 ぼ な い と判 示 す る が 、 そ の よ う な 「例 外 」 は 、① 公 務 員 法 上 の 勤 務 評 定 に 関 す る決 定 、 ② 国 家 試 験 の 決 定 お よ び 学 校 法 に お け る試 験 類 似 の 決 定 、③ 利 益 代 表 ま た は特 別 の専 門 知 識 を もっ 者 に よ り構 成 され た 独 立 の 委 員 会 の 決 定 、 に 関連 して の み 認 め られ て い る と本 論 文 は指 摘 す る。 ドイ ッ連 邦 行 政 裁 判 所 の こ の よ う な見 解 との 関 連 に お い て 特 に注 目 に値 す るの は 、 行 政 に 「判 断 余 地 」 を 認 め る思 考 法 に一 定 の ブ レー キ を か け る1990年 と1991年 の ドイ ッ連 邦 憲 法 裁 判 所 の 判 決 で あ るが 、 第12章 は、 この 点 に対 す る検 討 を もお こな って 、 基 本 的 人 権 に関 連 す る行 政 決 定 に っ い て は裁 判 所 は全 面 的 な コ ン トロ ー ル を 及 ぼ す べ きで あ る と主 張 す る。 5.第10章 「行 政 規 則 に よ る不 確 定 法 概 念 の 具 体 化 」 で は、 伝 統 的 な考 え方 に した が え ば 内 部 法 で あ っ て 外 部 法 で は な い行 政 規 則 に っ い て 、 そ の 外 部 法 化 の 問 題 が 行 政 法 学 の緊 急 の 研 究 課 題 と な っ て い る と い う認 識 の 下 に 、 不 確 定 概 念 を一 段 と精 緻 化 す る こ とを 内容 と して い る行 政 規 則 が 、 裁 判 的 コ ン トロ ー ル の 上 で ど の よ う な意 味 を もっ か と い う主 題 に 関 し考 究 が 試 み られ る。 そ こ で は、 伝 統 的 な考 え方 を越 え る新 た な展 開 が み られ る ドイ ッ の 学 説 ・判 例 が 詳 細 に 跡 づ け られ 、 そ の主 題 に関 す る見 解 が 五 種 、 す な わ ち ① 政 府 の判 断 余 地 の理 論 、 ② 予 め な さ れ た 専 門 家 鑑 定 の 理 論 、 ③ 規 範 解 釈 的 行 政 規 則 の 理 論 、 ④ 規 範 具 体 化 行 政 規 則 の理 論 、 ⑤ 直 接 の 外 部 的 法 効 果 を 有 す る行 政 の 固 有 の 法 定 立 権 の 理 論 、 の五 種 に モ デ ル 化 され た上 で、 そ れ ぞ れ の理 論 にっ い て 問 題 点 が 浮 き彫 り に さ れ る。 6.そ れ で は 、 い わ ゆ る不 確 定 概 念 の 問 題 に 関 す るわ が 国 の学 説 ・判 例 は ど の よ う な 状 況 に あ る か 。 こ れ を 見 極 め る上 で 読 了 さ れ る べ き論 文 ・著 作 、 そ して判 例 は極 め て 多 数 に の ぼ る が 、 本 論 文 は、 そ の 第1章 お よ び第2章 で 、 そ れ らに対 し精 密 で 多 面 的 な分 析 ・検 討 を くわ え 、 そ して 、 そ の 結 果 に対 し簡 潔 な 集 約 的 表 現 を 与 え て お く こ と は爾 後 の学 問 の 発 展 にっ な が る と い う見 地 の 上 に た って 、 現 在 の通 説 ・判 例 の 立 場 を次 の よ う に総 括 す る。 「不 確 定 概 念 の 解 釈 ・適 用 に は 、 原 則 と して 、 行 政 に裁 量 が認 め られ な い。 例 外 と して、 政 治 政 策 的 判 断 、 あ る い は専 門 技 術 的 判 断 を必 要 とす る不 確 定 概 念 の解 釈 ・適 用 に っ き行 政 に裁 量 が認 め られ る」。 本 論 文 は、 同 じ くそ の第1章 お よ び第2章 で 、要 件 裁 量 も一 定 の 拘 束 の下 で の 裁 量 で あ る と い う把 握 の上 に た って 、 そ の拘 束 が 何 で あ るか を主 た る関 心 事 に す え て い る要 件 裁 量 の コ ン トロ ー
ル と い う問 題 に つ い て 、 関 係 す る多 量 の 文 献 ・資 料 を も と に鋭 利 で 多 角 的 な 考 察 を お こな い、 以 下 の よ う な結 論 的 論 定 を くだ す 。 「現 在 の 通 説 ・判 例 に よ れ ば、 要 件 裁 量 に っ い て は 、 裁 判 所 は 、 ① 不 確 定 概 念 に該 当 す る事 実 が 存 在 す る か ど うか 、 要 件 事 実 の認 定 に誤 認 が な い か ど うか 、 ② 明 文 の 手 続 規 定 は も ち ろん 、 公 正 な行 政 手 続 の 原 則 に反 して い な い か ど うか 、 ③ 一 般 的 に妥 当 す る 判 断 基 準 に反 して い な い か ど うか(例 え ば、 客 観 的 な 経 験 則)、 他 事 考 慮 が な さ れ て い な い か ど う か 、 を審 査 し な けれ ば な らな い」。 7.要 件 裁 量 に 対 比 さ れ る と こ ろ の 効 果 裁 量 は、 わ が 国 の 学 説 ・判 例 に お い て 具 体 的 に ど の よ う な 場 合 に 承 認 さ れ て い る か 。 ま た、 効 果 裁 量 の コ ン トロー ル の 問 題 に関 す る わ が 国 の学 説 ・判 例 は ど の よ うな 状 況 に あ る か。 この 点 に 関 す る丹 念 か っ 周 到 な 考 究 を ふ くむ の は、 分 け て も第1章 で あ るが 、 そ こで の集 約 的 結 論 は次 の とお りで あ る。 「『す る こ とが で き る」 規 定 は 、 行 政 に対 し、 原 則 と して 効 果 裁 量 を 認 め る。 た だ し、 ① 「す る こ とが で き る』 規 定 に は、 裁 量 の授 権 を 意 味 す る場 合 と権 限 行 使 の 指 示 を 意 味 す る場 合 が あ る。② 法 的 に許 容 され る効 果 裁 量 は、 具 体 的 事 情 に よ り、 ゼ ロ に収 縮 し裁 量 が な くな る こ と が あ る。③ 効 果 裁 量 は、 裁 量 の 自 己拘 束 に よ り、 ゼ ロ に収 縮 す る場 合 が あ る」。 「効 果 裁 量 の コ ン トロ ー ル の 問 題 に っ い て い う と、 裁 判 所 は、 主 と して 、① 法 律 目的 違 反 や 恣 意 的 ・報 復 的 目的 と い った 動 機 の不 正 が な い か ど う か、 ② 具 体 的 場 合 に は、 唯 一 の決 定 の み が 適 法 で あ る と い う よ う に、 裁 量 の余 地 が ゼ ロ に収 縮 す るか ど うか、 ③ 比 例 原 則 な ど行 政 作 用 の一 般 的 原 則 に 反 して い な い か ど うか 、 を審 査 しな け れ ば な らな い」。 こ こ に 引 用 した論 述 は、 い わ ゆ る裁 量 ゼ ロ収 縮 の 理 論 を視 野 に入 れ て もの さ れ て い る が 、 本 論 文 は、 そ の第1!章 で 、 そ の 理 論 に関 す る ドイ ッ お よ び わ が 国 の 学 説 ・判 例 の 状 況 に対 し緻 密 な 分 析 を お こな う。 そ して 、 「裁 量 収 縮 論 が もた ら した 意 義 は、 無 制 約 な 『処 分 の 選 択 の 自 由 』 を 否 定 し、 効 果 裁 量 の 本 質 を、 『処 分 の選 択 の 自由 』 か ら、 ケ ー ス の 具 体 的 事 情 に 即 し た 適 正 な 解 決 を な す べ き法 的 手 段 に転 回 させ た 点 に あ る と い う こ とが で き よ う」 とい う指 摘 を も っ て そ の章 は 閉 じ られ る。 8.第6章 お よ び 第7章 で は、 計 画 裁 量 の概 念 、 そ して こ れ と密 接 な関 連 を もっ 計 画 法 の 構 造 、 更 に は 計 画 裁 量 の コ ン トロー ル の 問 題 等 々 に関 し ドイ ッ の学 説 ・判 例 が 詳 細 に 跡 づ け られ 、 綿 密 な検 討 が 加 え ら れ る。 な か で も鋭 い解 明 が み られ るの は 、計 画 裁 量 の コ ン トロ ー ル の 問題 に つ い て で あ る が 、 そ の 解 明 的 論 述 の 基 盤 を 形 成 して い る の は 、計 画 裁 量 を 制 約 す る もの と して 比 較 衡 量 要 請 の 原 則 が 重 要 で あ り、 特 に ドイ ツ連 邦 行 政 裁 判 所 が 比 較 衡 量 の鍛 疵 論 と して ① 比 較 衡 量 の 欠 落 、 ② 比 較 衡 量 の不 足 、 ③ 比 較 衡 量 に お け る誤 った評 価 、 ④ 比 較 衡 量 に お け る不 均 衡 、 と い う
四 つ の コ ン トロ ー ル基 準 を形 成 し、 法 律 の規 制 が 不 足 す る計 画 裁 量 に っ い て 、 広 範 な手 続 的 お よ び 内容 的 コ ン トロ ー ル 方 式 を 確 立 した こ と は強 く注 目 さ れ て よ い、 とい う認 識 で あ る 。 な お 、 第8章 で は、 効 果 裁 量 と計 画 裁 量 の 質 的 相 違 を 説 く ドイ ッ の 通 説 的 見 解 に 対 して 疑 問 を 呈 す る1980年 代 の ドイ ッ の学 説 が 紹 介 さ れ、 問 題 を 掘 り下 げ る た め の方 向 が模 索 さ れ る。 9.第9章 は、 再 入 国 不 許 可 処 分 に お け る法 務 大 臣 の 裁 量 権 行 使 の違 法 が 問 わ れ た 実 際 の係 争 事 件 に 関 連 して 本 論 文 提 出 者 が 東 京 地 方 裁 判 所 に提 示 した鑑 定 意 見 を収 録 した もの で 、 理 論 知 の 現 場 的 適 用 を試 み る も の で あ る。 行 政 裁 量 論 にっ い て の 展 望 的 な 考 察 を もお こな う終 章 の第12章 で は、 行 政 裁 量 論 の今 後 の 方 向 と して 、 な か ん ず く、 ① 行 政 処 分 に っ い て は要 件 裁 量 に対 す る コ ン トロー ル と効 果 裁 量 に対 す る コ ン トロ ー ル と い う類 型 化 を お こ な うべ き こ と、 ② コ ン トロ ー ル密 度 の 濃 密 化 、 特 に基 本 的 人 権 に関 連 す る行 政 決 定 に っ い て は、 憲 法 的 視 点 か ら、 全 面 的 な コ ン トロ ー ル を及 ぼす べ き こ と 、 ③ 高 度 の 科 学 技 術 的 な 専 門 知 識 に も とつ く行 政 決 定 に っ い て は、 行 政 決 定 を お こな う行 政 庁 の 質 が 問 題 で あ り、 組 織 法 的 か っ 手 続 法 的 コ ン トロ ー ル を 重 要 視 し、 こ れ を 実 効 性 あ る も の にす べ き こ と、 が 強 調 さ れ る。
論 文 審 査 結 果 の 要 旨
そ の 概 要 的 記 述 か ら窺 い知 られ る よ うに 、本 論 文 は、 わ が 国 の 諸 家 が 行 政 裁 量 論 を構 築 す る に あ た っ て常 に 参 考 に して きた ドイ ッの 学 説 ・判 例 に っ い て 、 多 量 の 文 献 ・資 料 を 渉 猟 して そ れ を 丹 念 に 検 証 し、 そ の推 移 そ して 現 状 を ヴ ィ ヴ ィ ドに解 明 す る と同 時 に、 問 題 点 の摘 出 を 種 々 お こ な って い るが 、 そ こ に示 され た ドイ ッ の 学 説 ・判 例 にっ い て の 該 博 な 学 識 と 鋭 利 な 思 考 展 開 は 、 そ れ だ け で も学 問 的 貢 献 と して 高 い評 価 が 与 え られ るべ きで あ る。 も っ と も、 行 政 裁 量 論 は 論 者 の法 解 釈 方 法 論 上 の 見 地 が 比 較 的 一 般 的 な仕 方 で しか も端 的 に表 出 され る磁 場 と して の性 格 を もっ て い る に もか か わ らず 、 本 論 文 に お い て は、 法 解 釈 方 法 論 上 の 論 議 を視 野 に 入 れ、 そ れ と の 関 連 に お い て 問 題 点 を 究 明 す る と い う態 度 が 十 分 で は な い。 しか し、 本 論 文 が そ の 主 題 に 関 す る 従 来 の 一 般 的 な 学 問 水 準 を 超 え る 内 容 を も って い る こ と に徴 す る な らば、 こ の難 点 を も っ て本 論 文 の 学 問 的 価 値 を 否 定 す る こ と は適 当 で は な い 。 本 論 文 は、 そ の主 題 に 関 す る ドイ ッ の 学 説 ・判 例 の 状 況 にっ い て の み な らず わ が 国 の 学 説 ・判 例 の 状 況 にっ い て も そ の 全 体 像 を描 き 出 して お り、 ま た 、 そ の 過 程 の 随 所 で 問 題 点 の 指 摘 を も お こ な って い る。 この 意 味 に お い て本 論 文 は、 今 後 行 政 裁 量 論 を 深 化 さ せ よ う と す る者 に と っ て は、 是 非 と も通 過 しな けれ ば な らな い 門 と して の地 位 を 有 す る もの とい うべ きで 、 そ の 学 問 的 価 値 は高 く評 価 され な け れ ば な らな い 。これ を 要 す る に本 論 文 は、 全 体 と して、 多 くの 点 に お い て 学 界 に対 し多 大 の 寄 与 を す る も の と 判 定 さ れ る。