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I. はじめに 3 1) 1,2) 3) 4,5) 6) 7 9) Steins 7) 10,11) Hausdoroff 12) 1 II. 対象と方法 cm kg BMI kg/m

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(1)

加速度から算出した身体重心変位の妥当性の検討

─ 3次元動作解析装置との比較─

Validity of the Center of Mass Assessed by an Accelerometer:

Comparison with a 3D Motion Capture System

堀水 湧

1,2)

  木元 稔

1,3)

  照井 佳乃

1,4)

高橋 亜紀穂

1,5)

  福井 智子

1,6)

  塩谷 隆信

1)

YU HORIMIZU, RPT1,2), MINORU KIMOTO, RPT, PhD1,3), YOSHINO TERUI, RPT, MS1,4),

AKIHO TAKAHASHI, RPT1,5), TOMOKO FUKUI, RPT1,6), TAKANOBU SHIOYA, MD, PhD1)

1) Course of Physical Therapy, Akita University School of Health Sciences: 1-1-1 Hondo, Akita-shi, Akita 010-8543, Japan TEL

+81 18-884-6504 E-mail: [email protected]

2) Department of Rehabilitation, Tokai University Oiso Hospital

3) Department of Rehabilitation, Akita Prefectural Center on Development and Disability

4) Department of Rehabilitation, Akita Prefectural Center of Rehabilitation and Psychiatric Medicine 5) Department of Rehabilitation, Research Institute for Brain and Blood Vessels-Akita

6) Department of Rehabilitation, JA Yurikumiai General Hospital

Rigakuryoho Kagaku 31(4): 591–596, 2016. Submitted Feb. 16, 2016. Accepted Mar. 31, 2016.

ABSTRACT: [Purpose] The purpose of this study was to validate a method for analyzing gait patterns determined

by the center of mass (CoM) using an accelerometer. [Subjects and Methods] A tri-axial accelerometer was attached to the lower back of 11 healthy young males. Vertical and lateral CoM displacement were assessed using the accelerometer and a 3D motion capture system under 8 different walking conditions. The validity of the accelerometer-based CoM was evaluated by comparison with the motion capture-based CoM using the intraclass correlation coefficient (ICC) and Bland-Altman analysis. [Results] ICCs corresponding to inter-rater reliability were good-to-excellent for vertical CoM displacement (0.73–0.94) and fair-to-good for lateral CoM displacement (0.31–0.71). However, Bland-Altman analysis revealed systematic bias, in which accelerometer-based CoM was overestimated. [Conclusion] The motion of the CoM measured by this accelerometer fixed to the trunk can be used for simplified analysis of human locomotion. The results demonstrate the great potential in clinical practice of accelerometry as a user-friendly, cost-effective and valid gait analysis tool.

Key words: triaxial accelerometer, Center of Mass, validity

要旨:〔目的〕歩行中の加速度データから身体重心の変位を算出し,その妥当性を検討することを目的とした.〔対 象と方法〕健常男子学生11名を対象とし,加速度計を第3腰椎レベルに装着して3次元動作解析装置の測定域で8 条件の歩行を行った.上下・左右方向の加速度データから重心変位を算出し,3次元動作解析装置から算出した重 心変位と比較した.妥当性の検討には級内相関係数(ICC)とBland-Altman分析を用いた.〔結果〕いずれの歩行条 件においても加速度から算出した重心変位は上下方向で強い相関(0.73-0.94)を示し,左右方向は中等度以下の相 関(0.31-0.71)を示した.また,多くの条件下で加算誤差と比例誤差が認められ,加速度計の重心変位が大きかった. 〔結語〕加速度データから重心変位を算出することは,歩行の変化を視覚的・直感的に把握できる点において有用で あり,簡便に用いられる歩行分析ツールとなり得ることが示唆された. キーワード:3軸加速度計,身体重心,妥当性 1) 秋田大学 医学部 保健学科 理学療法学専攻:秋田県秋田市本道一丁目 1 の 1(〒 010-8543)TEL 018-884-6504 2) 東海大学医学部付属大磯病院 リハビリテーションセンター 3) 秋田県立医療療育センター 診療部 リハビリテーション部門 4) 秋田県立リハビリテーション・精神医療センター 機能訓練部 5) 秋田県立脳血管研究センター 機能訓練部 6) JA 秋田厚生連 由利組合総合病院 リハビリテーション科 受付日 2016 年 2 月 16 日  受理日 2016 年 3 月 31 日

(2)

I.はじめに

歩行分析を行う場合に用いられる測定機器で確立され たものに,床反力計と3次元動作解析装置がある1).こ れらの測定機器は高い精度で種々の定量的なパラメータ による総合的な歩行分析が可能である.しかしながら, 装置が高価で解析に時間を要し,測定空間も限られるこ となどの理由から臨床場面に広く浸透していない1,2) そこで近年,ウェアラブルセンサを用いた歩行分析が, その使いやすさと低費用から広く用いられるようになっ ており3),最近では,加速度データの視覚化や指数化の 試みが行われている4,5).さらに,身体に働く力学的な 現象を反映しているとされる身体重心の変位6)を加速 度データから算出する技術の開発が始まっている7-9) 昨年には,Steinsら7)によって加速度から算出した上下 方向の重心変位について高い妥当性が報告された. 歩行中の身体重心変位は,片麻痺患者では非麻痺側の 上下・左右方向で増加し,変形性股関節症患者では左右 方向で増加することが報告されている10,11).しかし,加 速度データから左右方向の身体重心変位を算出した報告 はまだ少なく,下肢疾患モデルや杖を使用した歩行での 妥当性を検討した論文は検索した限りでは見当たらない. また,Hausdoroffら12)は,転倒経験のある高齢者では, 1歩行周期時間が延長すると報告しているが,低速歩行 における重心変位算出の妥当性を検討した研究も見当た らない. そこで,本研究では歩行に条件を付与した際の重心変 位を,上下方向だけでなく左右方向についても測定し, その妥当性を検討することを目的とした.

II.対象と方法

対象は秋田大学医学部に在籍する健常男子大学生11 名とした.対象者の年齢(平均 ± 標準偏差)は20.6± 1.7 歳,身長は171.5±7.9 cm,体重は64.5±9.5 kg, BMIは21.9±2.2 kg/m2, 快 適 歩 行 速 度 は4.7±0.8 km/h,歩行率は117.4±6.7 steps/min,利き脚は全て右 脚であった.本研究は平成27年度秋田大学医学部保健 学科倫理委員会において承認され,すべての対象者には 本研究について説明を行い,書面同意を得た. 歩 行 時 の 加 速 度 計 測 の た め, 歩 行 分 析 計 MG-M1110TMLSIメディエンス社製)を用いた13,14).こ のモーションレコーダー(以下,加速度計)は,外形寸 法75 mm×50 mm×20 mm,質量約120 gと小型軽量で あり,専用ベルトにより腰背部(第3腰椎棘突起部)に 固定できるよう設計されている.加速度は左右,上下, 前後の3方向を感知し,左,上,前をそれぞれ正として いる.なお,サンプル周波数は100 Hzであり,加速度 を0.1595 m/s2ごとに検知できる.加速度データは内蔵 されているmicro SDカードに記録され,得られた加速 度データを専用ソフトウェア,解析装置ゲイトビュー MG-M1110-PCTMLSIメディエンス社製)に取り込む ことで解析できる.この解析ソフトウェア(以下,ゲイ トビュー)では歩数や歩幅,歩行速度,歩行率,METs,

身体重心(Center of Mass, 以下CoM)変位相当値等を 自動的に算出できる13,14).ここではCoM変位相当値を CoM変位値として扱った.また,読み取った加速度デー タは表計算ソフトウェアExcel(Microsoft社製,以下 Excel)に書き出し,パソコン上で数値的処理を行うこ とも可能である. 3次元動作の計測には,赤外線カメラ(MX-T10)8 台 か ら な る3次 元 動 作 解 析 装 置VICONTMVicon

motion systems社製,以下VICON)を用い,サンプリ

ング周波数100 Hzにて計測した.赤外線反射マーカー

はVICON Plug-In-Gait Full Bodyモデルに準じて,両面

テープで全身35ヶ所に貼り付けた.座標は原点より右,

上,前の3方向をそれぞれ正としている15).データ解

析 に は,3次 元 動 作 解 析 装 置 計 測 用 ソ フ ト ウ ェ ア

VICON Nexsus 1.8.5(Vicon motion systems社製)と

Vicon Bodybuilder 3.6.1(Vicon motion systems社製) を 用 い, 解 析 用 プ ロ グ ラ ム に よ りCoM座 標 を 求 め た16). 算 出 し たCoM座 標 はCSVデ ー タ に 変 換 し, Excelで数値的処理を行うことが可能である. 本研究の具体的方法としては,赤外線反射マーカーを 貼付し,同時に加速度計を装着して8種類の歩行を実施 した.解析の段階で加速度計とVICONの同一周期を把 握するため,歩行路を5 mに設定し,静止立位から計 測を開始した.歩行速度は計測前に10 m歩行試験を実 施して快適歩行時の歩行率を求め,それを参考にメトロ ノームを用いて規定した.なお,低速歩行は快適歩行時 の1/2歩行率を参考に規定した.下肢疾患モデルは左脚 に重錘負荷を行い,重量は先行研究を参考に対象者の体 重の5%とした17,18).以下に歩行条件を示す. ①快適歩行(以下,快適):対象者の快適歩行速度 ②快適速度,杖あり(以下,快適[杖]):右手に杖を把 持した2動作快適歩行 ③快適速度,重錘あり(以下,快適[重]):左脚に重錘 負荷した快適歩行 ④快適速度,重錘・杖あり(以下,快適[重・杖]):左 脚に重錘負荷し,右手に杖を把持した2動作快適歩行 ⑤低速歩行(以下,低速):対象者の1/2快適歩行速度 ⑥低速度,杖あり(以下,低速[杖]):右手に杖を把持 した2動作低速歩行 ⑦低速度,重錘あり(以下,低速[重]):左脚に重錘負 荷した低速歩行 ⑧低速度,重錘・杖あり(以下,低速[重・杖]):左脚 に重錘負荷し,右手に杖を把持した状態での2動作低 速歩行

(3)

歩行の順番は,①②⑤⑥(重錘負荷なし),③④⑦⑧ (重錘負荷あり)の順に行い,それぞれ4回計測した. 加速度データの解析は,歩行時加速度の特徴的パター ンを検討した先行研究論文19,20)をもとにして行った. 実際の加速度波形の例を図1-Aに示す.上下方向加速 度では踵接地付近に二峰性の振幅ピークが出現する19) これは踵接地直前に,下方向へ加速度を生じ,その後急 激に上方向へ加速するためである19,20).そこで,本研 究では上下方向の加速度を各ステップの分析ポイントと して採用し,2歩目から2∼3歩行周期分のステップを 特定した.ゲイトビューでは解析範囲を指定することで 図1-BのようにCoM変位を自動的に描画・算出する. VICONにおいては, CoM座標をCSVデータに変換し, Excelにて解析処理した.まず,上下軸について時間− 距離の散布図を作成してCoMの位置を把握した(図 1-C).両脚支持期に上下方向のCoM位置は最も低くな ることから21),散布図における極小値を踵接地と推定 し,2歩目の踵接地から2∼3歩行周期分を解析範囲に 指定した.解析範囲の全ての極小値と極大値の差を求め, 平均した.左右軸に関しても同一周期のデータを抽出し, 解析を行った.加速度計によるCoM変位とVICONに よるCoM変位の図を合成したものを図1-Dに示す. 統計解析には統計ソフトR for windowsを使用し,有 意水準を5%とした.本研究では,VICONと加速度計 をそれぞれ検者とみなし,それぞれの測定値について級 内相関係数(intraclass correlation coefficient:ICC)を

算出した.2測定値間の関連について固定効果(Fixed

effects)を検討するためにICC(3,1)を用いた.ICC

の値の大きさは0.75以上を強い相関,0.40∼0.75を中 等度,0.40以下を弱い相関とした22).また,測定値間

に含まれる誤差の種類と大きさ,誤差の許容範囲“limit

of agreement( 以 下LOA)” を 求 め る た め に Bland-Altman分析23-25)を行った.Bland-Altman分析は,は じめにBland-Altman plotsを作成して誤差のばらつきを 視覚的に把握する.次に,加算誤差や比例誤差といった 系統誤差の判別のため, 2測定値の差の平均について 95%信頼区間(95%CI;coefficient interval)の算出と 無相関検定を行った.加算誤差は 95%CIが0を含まな ければ有りと判断し,比例誤差はBland-Altman plotsに ついて無相関検定を行い,t>2.018なら有りとした.比例 誤差が認められた場合は2測定値の差を2測定値の平均 で除した値をy値とする相対軸プロットを作成した.そ の後,誤差の許容範囲を検討するためにすべての歩行条 件に対してLOAを求めた.これら95%CIの算出や無 相関検定,LOAの算出には先行研究23-25)を参考にした.

III.結 果

すべての結果を表1に示す. VICONにおける上下変位の範囲は快適速度で2.80∼ 3.37 cm,低速度で1.98∼2.20 cmだった.一方,加速 度計では,快適速度で2.97∼3.53 cm,低速度で2.02 ∼2.60 cmだった.左右変位については,VICONは快 適速度で2.47∼2.82 cm,低速度で6.78∼7.90 cmで あり,加速度計は快適速度で3.22∼4.20 cm,低速度で 8.80∼12.53 cmだった.いずれの歩行条件においても, 上下方向の相関は強く,快適速度での範囲は0.73∼ 0.94,低速度での範囲は0.79∼0.87だった.左右方向 に関しては中等度以下の相関を示し,快適速度での範囲 は0.31∼0.59,低速度での範囲は0.46∼0.71だった. Bland-Altman分析では,ほぼ全ての条件下において, 加算誤差および比例誤差が認められた.誤差の大きさは 95%CIより,快適速度では上下で−0.50∼−0.06 cm, 左右で−1.68∼−0.36 cm,低速度では上下で−0.55∼ 0.13 cm, 左 右 で−5.45∼−1.41 cmだ っ た. ま た, LOAは快適速度では上下で−0.83∼0.32 cm,左右で −2.71∼1.03 cm,低速度では上下で−1.00∼0.67 cm, 左右で−8.25∼1.22 cmだった. (cm) (cm) (cm) (G ) 図1 加速度波形およびCoM 変位図    (A)加速度波形(B)上下方向加速度から算出したCoM (C)VICONの座標から算出した上下方向CoM(D)合成 図(実線:加速度計,破線:VICON).

(4)

IV.考 察

本研究では,歩行中の加速度データから上下・左右方 向についてCoM変位値を算出し,3次元動作解析装置 の算出値と比較して,その妥当性を検討した. 一般的に,測定方法の基準関連妥当性の検討には Pearsonの積率相関係数あるいはICCを算出することが 多い24,25).そこで,本研究では加速度計とVICONをそ れぞれ検者とみなしてICC値を求めた.その結果,い ずれの歩行条件においても上下方向で強い相関を示し, 左右方向に関しては中等度以下の相関を示した.しかし ながら,ICC値の算出では加算誤差や比例誤差といった 系統誤差の抽出は困難であり24,25),妥当性の検討とし ては不十分であると考えられた.そのため,加速度計が もつ機器特有の誤差の有無を判断する手法として, Bland-Altman分析を用いた23-25).その結果,ほぼすべ ての条件において,加算誤差と比例誤差が認められた. このことから,加速度計はVICONよりもCoMを大き く算出すること,2測定値の平均値が大きいほど誤差が 大きくなることが示された.以下,本実験において2測 定値間に誤差が生じた要因について考察していく. 上下方向についてICC値は快適速度で0.73∼0.94, 低速度で0.79∼0.87であった.また,誤差の大きさは, 快適速度で−0.50∼−0.06 cm,低速度で−0.55∼0.13 cmとなった.ICC値については,上下方向の体幹加速 度が重心加速度と類似していることから2),強い相関を 示したと考えられる.系統誤差が生じる要因として,ま ず重心加速度の大きさがあげられる.芥川ら2)は,体 表1 上下(A)および左右(B)における平均変位とICC,Bland-Altman分析 A 平均変位±標準偏差(cm) ICC(3.1) [下限∼上限] Bland-Altman分析 VICON (a) 加速度計 (b) 平均値の差 (a-b) 差の95% 信頼区間(cm) 加算誤差 の有無 無相関検定 比例誤差 の有無 LOA(cm) 快適 2.80±0.41 3.15±0.49 −0.35±0.33 0.73 [0.55∼0.84] −0.45∼−0.25 有り t=1.821 なし −0.83∼0.13 快適[杖] 3.37±0.56 3.53±0.64 −0.16±0.34 0.84 [0.72∼0.91] −0.27∼−0.06 有り t=1.766 なし −0.66∼0.32 快適[重] 2.57±0.55 2.97±0.70 −0.40±0.31 0.87 [0.78∼0.93] −0.50∼−0.31 有り t=3.709 有り −0.78∼0.00 快適[重・杖] 3.01±0.61 3.18±0.74 −0.17±0.24 0.94 [0.89∼0.96] −0.24∼−0.09 有り t=4.102 有り −0.49∼0.20 低速 2.03±0.47 2.02±0.68  0.01±0.37 0.79 [0.65∼0.88] −0.10∼0.13 なし t=4.568 有り −0.51∼0.67 低速[杖] 2.13±0.49 2.32±0.64 −0.19±0.29 0.87 [0.78∼0.93] −0.28∼−0.10 有り t=4.219 有り −0.56∼0.23 低速[重] 1.98±0.50 2.41±0.73 −0.43±0.40 0.80 [0.66∼0.88] −0.55∼−0.31 有り t=4.826 有り −1.00∼0.22 低速[重・杖] 2.20±0.49 2.60±0.83 −0.40±0.42 0.81 [0.68∼0.89] −0.53∼−0.27 有り t=9.299 有り −0.86∼0.21 B 平均変位±標準偏差(cm) ICC(3.1) [下限∼上限] Bland-Altman分析 VICON (a) 加速度計 (b) 平均値の差 (a-b) 差の95% 信頼区間(cm) 加算誤差 の有無 無相関検定 比例誤差 の有無 LOA(cm) 快適 2.47±0.65 3.43±0.99 −0.96±0.86 0.45 [0.18∼0.66] −1.22∼−0.69 有り t=3.205 有り −2.31∼0.51 快適[杖] 2.59±0.79 3.22±1.14 −0.63±0.96 0.51 [0.25∼0.70] −0.95∼−0.36 有り t=2.843 有り −2.15∼1.03 快適[重] 2.79±0.60 4.20±0.99 −1.41±0.96 0.31 [0.02∼0.71] −1.68∼−1.10 有り t=3.506 有り −2.71∼0.04 快適[重・杖] 2.82±0.73 3.91±1.10 −1.09±0.83 0.59 [0.36∼0.76] −1.34∼−0.84 有り t=3.535 有り −2.33∼0.26 低速 7.47±1.79 10.49±2.67 −3.02±2.33 0.46 [0.19∼0.67] −3.74∼−2.32 有り t=3.066 有り −6.37∼0.47 低速[杖] 6.78±1.86 8.80±3.21 −2.02±1.99 0.71 [0.52∼0.83 −2.62∼−1.41 有り t=6.428 有り −4.77∼1.22 低速[重] 7.90±1.94 12.53±3.25 −4.63± 2.48 0.57 [0.33∼0.74] −5.45∼−3.94 有り t=4.682 有り −8.25∼−0.94 低速[重・杖] 7.07±1.75 11.00±3.37 −3.93±2.26 0.64 [0.43∼0.79] −4.67∼−3.29 有り t=7.497 有り −6.86∼−0.66 全てn=44.

(5)

幹に装着した加速度計が床反力計で計測した重心加速度 よりも大きな振幅を示したことを報告している.今回の 実験において加速度計のCoM変位がVICONよりも大 きく算出された要因と考えられた.また,加速度データ からノイズを除去処理する際に行われるフィルタリング が問題となりうる6,26)Steinsらの研究7)では快適歩行 時の上下変位について,高いICC値(0.80-0.95)と0.22 cmの系統誤差の存在を報告し,これはフィルタリング の影響であると考察している.本研究ではCoM変位値 算出過程において,ハイパスフィルタが2回積分の前後 で施されており9),フィルタリングによる誤差の可能性 も考えられた. 左右方向についてICC値は快適速度で0.31∼0.59, 低速度で0.46∼0.71であった.左右加速度は,対象者 間で大きな差が見られるなど,異なる加速度パターンを 示すことが報告されており19,20),加速度の波形は上下加 速度に比べて小さく,多峰性となっている特徴がある2) そのため,加速度パターンの違いと加速度計自体の移動 や回転によるノイズの影響を受けやすいことが,上下方 向よりも弱い相関を示した要因として考えられた. また,VICONと加速度計が推定する重心位置の相違 が誤差の大きな要因として考えられた.通常,CoMは 骨盤内にあり27)VICONはその位置を各セグメントの 座標から求めるが16),加速度計は腰背部の固定箇所(第 3腰椎棘突起部)を重心位置とみなしている28).そのた め,加速度計は体幹部・骨盤の運動を捉えやすい特性を もち4),歩行中の骨盤回旋で生じる角加速度を左右加速 度に反映する可能性がある29).それゆえに本研究では, 重錘負荷や歩行速度による影響で骨盤の運動が最も増大 する17,18),快適[重]が最も弱い相関を示したと考え られた.一方,歩幅と骨盤の回旋が小さい低速度の歩行 は快適速度よりも強い相関を示したと考えられた.また, 杖歩行は杖なし歩行よりも強い相関を示した.これは杖 が反対側下肢の駆動や制動の役割を担うことにより30) 骨盤の過剰な運動が制限された結果と推測する. 誤差の大きさの範囲は快適速度で−1.68∼−0.36 cm, 低速度で−5.45∼−1.41 cmだった.低速度歩行におい て誤差が大きくなる要因としては,算出過程において積 分法を用いていることあげられる.本研究では,CoM 変位を算出するために加速度データを2回積分してい る.そのため,一歩行周期の時間が長くなるほど積分に よって求められる数値は大きくなり,変位が大きく算出 されたと考えられる. 本研究では,加速度データから算出した値は,いずれ の歩行条件下においても上下方向で強い相関が示され た.一方,左右方向では中等度以下の相関を示し,骨盤 の運動の影響や低速度歩行でVICON測定値との差が大 きくなることが示された.また,一般的なCoM変位が 上 下 方 向3.2±0.8 cm, 左 右 方 向3.5±0.9 cmで あ る11)のに対し,本実験で算出された誤差の許容範囲が 広く,VICONの代用とするには難しいことが示唆され た.しかしながら,加速度計による歩行分析は,3次元 動作解析装置と比較して測定環境の制約が少なく,測定 が容易,歩行の周期性や対称性を検討しやすいという特 徴があり2),加速度データからCoM変位を算出するこ とは,歩行の変化をより視覚的・直感的に把握できる点 において有用である.このことから,加速度計による CoM変位の算出は,治療前後の変化を比較する分析 ツールとして活用することが可能であると考えられた. 今回の研究は平地での実験だったため,VICONで前 後方向のCoM変位を算出できず,前後方向CoM変位 については検討することができなかった.しかし,前後 加速度は重心加速度と高い類似性を示していることや個 人差が少ないことが報告されており2,19),上下方向 CoMと同等の結果が得られると推測される.もし,3 つの軸で高い妥当性が示されれば3運動面で歩行の変化 を捉えることが可能であるため,さらなる検討が求めら れる.今後の課題としては,加速度計自体が専用ベルト の中で動いてしまうことによって生じるノイズを減らす こと,脊柱の変形,骨盤の傾斜などで測定軸が変化して しまうことへの対応を行い,より正確に加速度を計測で きるようにすることが挙げられる. 引用文献 1) 高田耕太郎,安保雅博:小型三次元加速度を用いた歩行評 価の臨床的有用性の検討.東京慈恵医科大学雑誌,2004, 119: 331-338. 2) 芥川知彰,榎 勇人,竹林秀晃・他:加速度センサを用い た歩行分析の妥当性―体幹加速度と重心加速度の比較から ―.保健医療学雑誌,2015, 6(1): 10-14.

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