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産業廃棄物焼却施設が周辺地域に与える影響について

~ダイオキシン等諸条件の考察~

政策研究大学院大学 まちづくりプログラム MJU14614 鶴井 達也

1 はじめに

産業廃棄物焼却施設は、周辺住民にとって嫌悪施設として 認識されている。その理由として、将来における被害発生の 蓋然性を問題視している場合が多い 。大きな要因の一つとし て考えられるのは、焼却施設から放出されるダイオキシンで ある。全国各地で産業廃棄物の焼却が原因とされる汚染が報 告され、社会的関心が高まった。ダイオキシン類対策特別措 置法により焼却炉について、環境基準が制定された。結果、

施設設備の技術革新が進んだが、産業廃棄物焼却施設が周辺 の人々にとって嫌悪施設である印象は根強い。

そのため、新規に施設の建設計画を立ちあげると、周辺環 境への影響を懸念した周辺住民が産廃事業者に対し、激しい 反対運動を行う事例が多い。施設の設置申請の事前段階で、

周辺住民への説明会の実施、同意取得を許可の要件としてお り、新規設置計画に係る交渉の難しさに拍車をかけている。

近年は、その解決策の一つとして、新規施設設置に立地基準 を定めて、住民地域から一定距離を離して施設を設置するよ うにしている自治体もある。

一部業者が環境基準を守らずに、周辺住民に環境被害を及 ぼしている報告も多く見受けられる。このような、既存施設 の悪い印象が新規施設の立地を更に困難にしている。

本稿は、ダイオキシンが産業廃棄物焼却施設の周辺地域に 負の外部性をもたらしているのではないか、という問題意識 のもと、ヘドニックアプローチによる検討を行った。分析の 結果から、施設の一定範囲において、地価を下落させるとい う結果が得られた。さらに、同範囲内で産業廃棄物焼却施設 のダイオキシン濃度等について、地価への影響が見られない ことがわかった。また、ヒアリング調査を実施し、ダイオキ シン以外に考えられる負の外部性の発生要因についての考察 を行った。

新規施設建設の研究として、住民同意と立地規制の現状分 析を行った後、周辺の用途区域ごとにヘドニックアプローチ による検証を行った。周辺の住居系用途区域及び商業系用途 区域において、地価が下落する結果となった。

2 ダイオキシンに対する廃棄物焼却施設対策

ダイオキシンに対する健康被害が迫られるようになり、国 は廃棄物処理法施行令・施行規則が改正し、1996 年 8 月 29

日に公布(同 12 月 1 日施行)した。ダイオキシン削減の観点 から焼却施設の構造・維持管理基準を見直すほか、小規模施 設に対する規制強化のために許可対象範囲の見直しが行われ た。産業廃棄物焼却施設では、①基準に適合するように施設 の改造を行って運営を継続させる。②施設改造では、基準適 合が困難であるため、事業継続のため、建替えを実施する。

③建替え費用を考慮すると事業の採算がとれないため焼却炉 の廃止・休止を行う。いずれかの決断を迫られた。廃棄物焼 却施設のダイオキシン対策を表 1、維持管理基準のイメージを 図1に示す。

表1 廃棄物焼却施設のダイオキシン対策

発生原因 改善方法 対策 設備等

燃焼後の過 程で燃え残 りガスから 発生

燃焼の改善

・高い燃焼温度(常 に800℃以上に)

・十分なガスの滞留 時間(2 秒以上)

・炉内のガスの十分 な攪拌と二次空気 との混合

複数種類 の廃棄物 混合燃焼

廃棄物の成分に偏り が減り、安定した燃焼 が可能

大型化 安定温度で燃焼が可 起動時の

低温燃焼 を防ぐ

○連続式:24 時間稼 働燃焼方法の焼却炉 パッチ式:焼却毎に炉 を開閉する。

燃残防止 ○二次燃焼バーナー

燃焼後ガス が温度低下 して 300~

500 ℃ の 滞 留時に、炭 素が再合成 して発生

燃焼ガスを 200℃以 下に急速に冷却

排ガス冷 却装置

○噴霧式:直接水冷却

・併用式:二者の併用

・ボイラー式:管を通 じて冷却

煙突へ排出されるダ イオキシンを物理的 に捕集の効率化

低温でも 機能する 集塵装置 の設置

○バグフィルタ

(200℃以下の温度で も集塵効果を維持)

・電気集塵機 300℃

以上で機能

・設置主体が産廃事業者だと委託を受ける廃棄物の性状が広範で、特化した施設 整備を実施できず濃度が高くなる。

・1997 年12 月以降に設置の施設により厳しい基準が設定されており、濃度が下が ると考えられる。

※表中の○印の施設等がダイオキシン対策でより望ましいとされているもの

(筆者作成)

(2)

2 3. 実証分析(1)

実証分析を行うにあたり、対象とする栃木県・埼玉県の産 業廃棄物焼却施設について、ダイオキシン濃度対策とされる 最新設備の有無により、ダイオキシン濃度への影響について OLS 分析を行った。また、ヘドニックアプローチを行い、負の 外部性の及ぶ範囲を明らかにする。そのうえで、廃棄物焼却 施設のダイオキシン濃度及びダイオキシン濃度対策とされる 最新設備の有無が、負の外部性を受ける範囲内にある地価に 影響を与えているか分析を行った。

○説明変数について

①施設整備変数:処理種類ダミー(汚泥、廃プラ、廃油、複 数処理)、実施主体ダミー、燃焼設備ダミー(処理能力、連続 運転、構造、二次バーナー)、ガス冷却ダミー(噴霧、併用、

その他)、排ガス処理ダミー(バグフィルタ)、ダイオキシン 基準年ダミー

②地価変数:埼玉県ダミー、ガス供給ダミー、下水道ダミー、

最寄駅までの距離、地積、住宅地域ダミー、商業地域ダミー、

工業地域ダミー、防火地域ダミー、容積率、東京駅迄の距離

③距離ダミー:施設からの距離 ~1,000m 未満

3.1. ダイオキシン濃度対策とされる最新設備が焼却施設 のダイオキシン濃度への影響

分析 1: ダイオキシン濃度対策とされる最新設備が焼却施設 のダイオキシン濃度への影響

(推計式)

産廃施設ダイオキシン平均濃度(対数値)

= 定数項 + ①設備変数 + 誤差項

表2 分析1推定結果

被説明変数 産廃施設ダイオキシン平均濃度

公示地価(対数) 係数 標準偏差

処理業者設置ダミー 1.908734 ** 0.9045892 処理能力(4t/h 以上)ダミー -2.173271 * 1.250943 ダイオキシン基準年ダミー -2.12285 ** 0.9361192

定数項 -2.599058 1.48571

自由度調整済決定係数 0.3918

観測数 78

***、**、*はそれぞれ、1%、5%、10%有意であることを示す

他の有意となっていないコントロール変数は省略

ダイオキシンの濃度抑制効果のある最新設備について、推 計結果を表 2 に示す。最新の燃焼設備、排ガス処理設備、ガ ス冷却設備によるダイオキシン濃度の低減効果は見られなか った。最新の設備ではなくても全ての施設では、何らかのダ イオキシン対策を行っているため、有意になっていないと考 えられる。全ての施設で環境基準と比較し、低い濃度しか排 出されていないことも最新の技術による効果を推定できなか った一因と考えられる。今回有意となった変数について、施 設の処理能力は規模の大きい方が燃焼を安定させやすい、実 施主体が産廃処理業者ではなく、自社処理の方が排出される 廃棄物の性状が単一で管理が容易であるため、ダイオキシン の基準年ダミーが有意となったのは、説明変数以外の要素(ご み投入ピット廃棄物の攪拌機能の有無や温度自動管理機能)

が要因ではないかと予想される。

3.2 産業廃棄物焼却施設による周辺の地価への影響

産業廃棄物焼却施設の周辺地価への影響について検討する。

推計式は次のとおりである。対象の地価データは、栃木県・

埼玉県 2014 年 1 月 1 日現在の公示地価であり、最寄りの産業 廃棄物焼却施設からの距離が3,000m未満の範囲にあるものと した。

分析 2: 産業廃棄物焼却施設の周辺地価への影響

(推定式)

地価公示(対数値)

= 定数項 +②地価変数

+施設~地価地点の距離ダミー、500m ごと、0~2,000m 未満 まで + 誤差項

表3 分析2 推定結果

被説明変数 公示地価(対数)

公示地価(対数) 係数 標準偏差

施設からの距離 500m 未満 ダミー

-0.207567 ** 0.0988679 500m~1,000m 未満

ダミー

-0.1594173 *** 0.0614439 1,000m~1,500m 未満

ダミー

-0.0381144 0.0511857 1,500m~2,000m 未満

ダミー

-0.0746044 0.0479312 定数項 9.987907 *** 0.1677744 自由度調整済決定係数 0.6648 *** 0.0817622

観測数 665 *** 0.0514826

***、**、*はそれぞれ、1%、5%、10%有意であることを示す

他のコントロール変数は省略

推定結果を表 3 に示す。産業廃棄物焼却施設から 1,000m を境 に距離が近いほど地価が下落傾向となっており、施設周辺に 負の外部性効果が働いていることが分かる。

3.3 ダイオキシンに関する諸条件による地価の影響 分析 2 で得られた結果をもとに、最寄りの産業廃棄物の焼 却施設のダイオキシン濃度、ダイオキシンの濃度抑制効果の ある最新設備の有無、産業廃棄物優良事業者(ダイオキシン に関する設備の情報公開)地価に影響を与えるという仮説の

1 維持管理基準改正後のイメージ図(環境省HPから)

(3)

3 もと実証分析を行った。

分析 3:焼却施設ダイオキシン濃度が周辺地価に与える影響 (推定式)

地価公示(対数値)

= 定数項+ ②地価変数 + 距離ダミー

+ 距離ダミー×焼却施設ダイオキシン平均濃度)+誤差項 分析 4:ダイオキシン濃度対策の最新設備が周辺地価に与える影響

(推定式)

地価公示(対数値)

= 定数項+ ②地価変数

+ ①施設整備変数 × 距離ダミー + 誤差項

分析 5:産業廃棄物優良事業者が施設周辺地価に与える影響 (推定式)

地価公示(対数値)

= 定数項 + 説明変数は分析 4 と同様 + 距離ダミー × 産廃事業者優良事業者ダミ-

+ 誤差項

表4 分析3 推定結果

被説明変数 公示地価(対数)

説明変数 係数 標準偏差

距離ダミー

ダイオキシン平均濃度 *距離ダミー 500m~1,000m 未満ダミー

0.023021 0.04288 定数項 9.910639 *** 0.329716 自由度調整済決定係数 0.663700 0.08170

観測数 665

***、**、*はそれぞれ、1%、5%、10%有意であることを示す

※ 他のコントロール変数は省略

表5 分析4 推定結果

被説明変数 公示地価(対数)

被説明変数 公示地価(対数)

説明変数 係数 標準偏差

距離ダミー -0.4255079 ** 0.202018

(種類)汚泥許可施設ダミー*距離ダミー -0.175050 0.13003

(種類)廃プラ許可施設ダミー*距離ダミー 0.209509 0.16258

(種類)廃油許可施設ダミー*距離ダミーミ

0.094003 0.12337

(種類)複数種類許可施設ダミー*距離ダミ ーダミー

-0.108673 0.08362 処理業者設置ダミー*距離ダミー 0.143626 0.12886 処理能力(4t/h 以上)ダミー*距離ダミー -0.174840 0.29297

(燃焼)連続運転焼却ダミー*距離ダミーダ ミー

-0.019376 0.13904

(燃焼)構造ダミー*距離ダミー 0.131103 0.16644

(燃焼)二次燃焼バーナーダミー*距離ダミ

0.000556 0.08777

(冷却)噴霧冷却処理ダミー*距離ダミー 0.224987 0.12861

(冷却)併用冷却処理ダミー*距離ダミー 0.022779 0.14623

(冷却)その他冷却ダミー*距離ダミー 0.040658 0.20043

(排ガス)バグフィルターダミー*距離ダミ

0.038896 0.13099 ダイオキシン基準年ダミー*距離ダミー -0.043036 0.11962

定数項 9.983946 *** 0.16539

自由度調整済決定係数 0.670800 ***

観測数 665

***、**、*はそれぞれ、1%、5%、10%有意であることを示す

※ 他のコントロール変数は省略

表6 分析5 推定結果

被説明変数 公示地価(対数)

説明変数 係数 標準偏差

距離ダミー -0.08007 0.07186

産廃事業者優良事業者ダミー*距離ダミー 0.26446 0.21532

定数項 9.98973 *** 0.16599

自由度調整済決定係数 0.67140 ***

観測数 665

***、**、*はそれぞれ、1%、5%、10%有意であることを示す

※ 他のコントロール変数は省略

分析 3~5 の推定結果を表 4~6 に示す。施設周辺の地価に影 響があると考えられた焼却施設からのダイオキシン濃度、ダ イオキシン濃度対策とされる最新設備、産廃優良事業者制度 の説明変数はいずれも有意とならなかった。

ここで、分析 3 について、産業廃棄物焼却施設からのダイオ キシン濃度では周辺地価の下落を説明できないことについて 考察する。

まず、焼却施設で測定した濃度は HP 等で公開されているも のの、住民は大気中の濃度を把握できていない。それは、あ る地点の大気中の濃度は、風向き、風速、地形等に依存して 決まるためであり、焼却施設で計測した濃度では地価の下落 を説明できない。

しかし、分析 3 の結果からは「ダイオキシンが周辺地価の 下落の原因になってない」とは言えない。なぜならば、松藤 ら(2007) でも稼働している焼却施設の周辺住民からのヒア リングから、ダイオキシン等の有害物質による健康被害を懸 念していることが明らかとなっている。また、大気中の濃度 は、先述のとおり他の条件に依存する。そのため、平均的に は、ダイオキシンの大気中濃度は、焼却施設のダイオキシン 濃度や煙突の高さ、施設からの距離の関数となっており、施 設からの距離が近いほど大気中濃度が高いと考えられる。そ れが科学的にまたは直感として認識する住民がある程度いる。

ただし、ダイオキシンによる周辺地価の下落は限定的であ るかもしれない。それは、焼却施設からのダイオキシン濃度 は十分に低い値となっており、人体にも影響がほとんどない と言われているためである。

そのほかに地価の下落要因として考えられることを把握す るため、施設設置後に住民から寄せられる苦情の詳細につい て、対象地域の自治体等へのヒアリング調査及び先行研究を 調査した。その結果、環境被害(被害の懸念も含む)として

①ダイオキシン以外の大気汚染、②悪臭、③水質汚濁、④騒 音に関する苦情があったことが分かった。

分析 4 についても、施設整備が焼却施設のダイオキシン濃 度対策であること、分析 5 も公開要件となる炉の構造や処理 能力などの施設整備情報が焼却施設ダイオキシン濃度と関連 していることから、有意になっていないと考えられる。

4.住民同意

住民同意制は、地域住民と産廃事業者との間との紛争を回

(4)

4 避し、円滑に施設を設置することを目的に、廃棄物処理法の 設置許可の手続きに先立つ形で、多くの都道府県等で採用さ れている。この住民同意制は法的拘束力を持たず相手方の任 意の協力を前提とする要綱として多くの自治体が採用してい る。しかし、紛争の解消というよりは、両者の立場が対応で ないこと、情報の非対象があることなどから、施設そのもの の設置申請の抑止するものとなってしまっている。

近年は、産廃事業者の住民同意取得が困難であることを考 慮し、条件を満たせば同意を不要とする自治体や紛争発生時 に行政が積極的解決を図るよう条例を制定する自治体がある。

5. 立地規制

廃棄物焼却施設は性質上、法令上立地に係る制限があり、

土地・自然環境、都市計画に係るものがある。

建築基準法上、市街化区域のうち、工業地域及び工業専用 地域については制限がない。準工業地域については、産業廃 棄物焼却施設は県の都市計画の変更が必要である。建築基準 法上、市街化調整区域に設置する場合は、立地する市町村の 都市計画の変更が必要となる。近年、周辺住民との紛争や産 廃施設の集中化を防止する等の目的で、新規施設立地の際に、

事前申請の段階で、距離制限を設定し、立地規制を行う自治 体が増えている。

6. 実証分析(2)

産業廃棄物焼却施設の周辺の用途区域が負の外部性に与え る影響

先の実証分析にて負の外部性の及ぶ範囲が明らかとなった 地域について、その地価地点の住居系・商業系・工業系用途 地域ごとに市街化調整区域を比較し、土地の利用用途によっ て影響に差があるかを明らかにする。

分析 6:施設周辺の住宅系・商業系・工業系用途区域が地価に 与える影響

(推定式)

地価公示(対数値)

=定数項 + ②地価変数 + 距離ダミー

+ 距離ダミー×用途区域ダミー(住宅・商業・工業)

+ 誤差項

表7 分析6 推定結果

被説明変数 公示地価(対数)

被説明変数 公示地価(対数)

説明変数 係数

係数

距離ダミー 0.108923 0.13703

住宅系ダミー*距離ダミー -0.262375 * 0.15040 商業系ダミー*距離ダミー -0.616087 ** 0.27101 工業系ダミー*距離ダミー -0.266024 0.18374

定数項 9.952658 0.164993

自由度調整済決定係数 0.666400

観測数 665

***、**、*はそれぞれ、1%、5%、10%有意であることを示す

他のコントロール変数は省略

推定結果は表 7 のとおりである。推定結果から、住居系・

商業系の用途区域は調整区域と比較して下落傾向が見られる。

理由として、住居系・商業系地域は居住や通勤等の生活者が 多く、通勤通学時の交通の危険性や騒音や悪臭、汚水など近 隣での影響が大きい環境被害を危惧するため、産業廃棄物焼 却施設の負の外部性効果が大きくなっていると考えられる。

7. 政策提言

今回の提言の対象は調査対象である栃木県・埼玉県につい て行うこととする。

まず、既設の産業廃棄物焼却施設であるが、実証分析では、

産業廃棄物処理施設から一定の範囲内で負の外部性が発生し ていることが明らかになった。また、その要因と考えられる ものとして、ヒアリング調査等でダイオキシンなど大気汚染 等の懸念や騒音、悪臭等の環境被害が明らかとなっている。

その抑止策として、許可権限を持つ行政が産廃業者に対し、

不定期にモニタリングを実施することが必要だと考えられる。

モニタリングにより、産廃事業者へ環境基準順守インセンテ ィブが付与され、環境被害自体を未然に防止することが可能 となる。

さらに、新規の産業廃棄物焼却施設設置時の望ましい施策 についても提言を行う。実証分析により、施設周辺の住宅地 域と商業地域における負の外部性が大きいことが示された。

よって、住宅地域・商業地域から一定以上の距離を設ける立 地水準を定めると負の外部性の軽減効果が見込まれる。しか し、産廃事業者にとっては、施設の立地可能箇所が減る可能 性がある。

また、一方、現状の住民同意制度では、取引費用が大きく、

建設計画が進まない事例が多々ある。よって、住民同意の範 囲を縮小することで、交渉相手の減少から産廃事業者の取引 費用の削減が見込まれる。しかし、施設建設に納得しない住 民が増え、周辺の負の外部性の増大効果も同時にもたらされ ると予想される。

そこで、外部不経済効果に配慮した商業・住宅地区からの 距離規制の設定と同意制度の緩和を組み合わせた制度及び実 施計画を検討すべきである。それにより、周辺住民、産廃事 業者の総余剰がより増大する政策が確立できると考えられる。

8. 今後の課題

今回の研究では、産業廃棄物焼却施設の様々な負の外部性 要因分析を行っていないため、それらを個別に実証分析した 上で、望ましい一体的な仕組みの考察が今後の課題である。

また、住民同意と立地規制の在り方について、各自治体の 制度の違いによる綿密な実証分析を行っていない。周辺住民 や産廃事業者の最適基準を導出することが今後の課題である。

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