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砂防構造物が河川生態系に与える影響

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Academic year: 2022

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(1)土木学会第55回年次学術講演会(平成12年9月). Ⅶ-86. 砂防構造物が河川生態系に与える影響 北海道工業大学大学院 北海道工業大学. 工学部. 学生会員 正会員. 大塚晃平 岡村俊邦. はじめに 砂防事業は人命・財産を洪水や土砂災害から守る事を目的として行われている一方で、事業地に存在する 河川生態系に与える影響については不明な点が多く、調査・研究事例も少ない。そこで、本研究では砂防構 造物が河床材料の構成比・底生動物生息状況・魚類の移動に与える影響を明らかにし、今後の砂防事業に際 して、環境へ配慮すべき基礎データの蓄積を目的とした。 調査地概要 札幌市南区を流れる石狩川水系豊平川支流簾舞川を調査河川とし、豊平川との合流地点から上流に約 7km までを調査範囲とした。本調査河川には砂防堰堤 4 基、床固 13 基が設置されている(図−1)。下流部に落 差 1.5m以下の床固が 7 基存在し、その上流側に落差 8mの簾舞砂防堰堤、落差 11.5mの御料砂防堰堤、落 差 10mの東御料砂防堰堤の 3 基が存在する。さらに上流側には落差 2〜3mの床固が6基、最上流部には落 差 4mの鋼製堰堤が 1 基存在する。 これらの砂防堰 N. 堤・床固を基準とし 豊. て調査範囲をA〜J の 10 調査区間に分 けた。簾舞川と豊平. 低落差床固(落差約1〜1.5m). 平 川. 簾. A. 川との合流地点より. 舞. B 簾舞砂防堰堤. 上流側に簾舞砂防堰 堤までをA区間、簾. 大型堰堤(落差約8.5〜11.5m) 床固(落差約2〜3m). 0. 500. 1000m. C 御料砂防堰堤. 舞砂防堰堤から御料 砂防堰堤までをB区. 川. 図−1. EFGHI. K. D. 東御料砂防堰堤. 西. J 御. 料川. 調査地概要. 間、御料砂防堰堤か ら東御料砂防堰堤までをC区間、東御料砂防堰堤から西御料川合流点上流約 50m地点にある床固までをD区 間とし、その上流側においては各床固間を下流川から順次E区間、F区間、G区間、H区間、I区間とし、 最上流部の床固から鋼製堰堤までをJ区間とした。河床材料と底生動物調査においてはA・B・C・D・J 区間内にそれぞれ 4 地点、E・F・G・H・I区間にそれぞれ 1 地点の計 25 地点を設けた。 調査方法 ・河床材料:石礫指標1)を把握するため、調査地点河川流路 100 ㎡区域内の河床表層に存在する礫のうち、 大きい順に 10 個の礫投影面積が占める割合を大礫占有率として求めた。さらに調査区域内の早瀬・淵・岸 において 50cm×50cm(0.25m2)枠内で大きい順に 5 個の礫投影面積が占める割合を求めた。 ・底生動物:河床材料調査と併せて早瀬・淵・岸において 50cm×50cm のサーバーネットを用いて定量採集 を行い、種類数・個体数・湿重量を求めた。 ・魚類:本調査河川の魚類相を代表する魚としてハナカジカを選び、エナメルペイントを用いて皮下注射に よるマーキングをほどこし放流、その後に再捕獲する事によって移動調査を行った。また、砂防構堰堤から の落下が移動個体に与える影響を確認するために、落下実験と生存確認実験を行った。 各項目の調査はいずれも 1998 年 5 月から 1999 年 10 月にかけて実施した。 キーワード:砂防構造物、河床材料、底生動物、魚類、河川生態系 連絡先:北海道工業大学(〒006‑8585 札幌市手稲区前田 7 条 15 丁目 4‑1・℡011‑681‑2161 内線 579).

(2) 土木学会第55回年次学術講演会(平成12年9月). Ⅶ-86. 調査結果 ・河床材料:石礫指標を把握した結果、B区間からD区間の 3 基の砂防堰堤直上で大礫占有率の値が小さく なっており、各区間とも上流へ行くに従って大礫占有率の値が大きくなっていた(図−2)。また、E区間よ. 大礫占有率(%) 砂防構造物落差(m). り上流で大きな値を示していた。50cm×50cm 枠内においても、砂防堰堤直上で礫占有面積が小さかった。 12 大礫占有率(%). 10. 落. 8. 差(m). 6 4 2 0 0. 500. 下流. 1000. 1500. 2000. A. 2500. B. 3000. 3500. 4000. 4500. 5000. C 豊平川合流点からの距離. D. 5500. 6000. 6500. 7000. 上流. J. EFGHI. 区間名. 図−2 ・底生動物:定量採集を. 簾舞川石礫指標. 25 地点で行った結果、底生動物平均湿重量は早瀬で 57.6g、淵 10.6g、岸 10.3g. であった。種類数・個体数においても早瀬が淵、岸よりも多かった。砂防堰堤直上では早瀬 0.11g、淵 0.49 g、岸 0.37gであり、種類数・個体数も他の地点より少なかった。 ・魚類:ハナカジカの移動調査は. 1998 年に 291 個体、1999 年に 176 個体をマーキングした。1998 年に 1 個. 体、1999 年に 34 個体が再捕獲された。その内に 11 個体で区間間の移動がみられ、24 個体で区間間の移動が みられなかった。移動個はD区間から J 区間の間にみられ、最長はJ区間からE区間まで(5基の床固を降 下)であった。D 区間より上流側から C 区間下流側への移動は見られなかった。そのため、落差 10mの東御 料砂防堰堤から(D区間からC区間へ)ハナカジカを流水とともに落下させたところ 49 匹の内1匹が即死し、 1匹は1週間生存確認中に死亡した。生存率 95.9%であった。 砂防構造物落差. 放流区間. A区間. 12. B区間. C区間. D区間. E区間. F区間. G区間. 捕獲区間. I区間. 下流. 10 8. 4. 6. 2. 1. 2. 3. 1 2 1. 1. J区間 上流. 1. 4 (m). H区間. 15. 1 1. 2 0 A区間. B区間. C区間. D区間. E区間. F区間. G区間. H区間. I区間. J区間. ※矢印はハナカジカの移動区間を表し、数字は移動した個体数を示す。 図−3 ハナカジカ移動状況 考察 砂防堰堤が設置されたことによって、砂防堰堤直上の河床材料の細粒化、緩勾配の形成、早瀬の消失など 環境が単純化し、早瀬に多く生息する底生動物の種類数・個体数・湿重量が減少したと考えられる。また、 移動性の低いハナカジカは大礫の消失により、生息に影響が及んでいると推測される。 謝辞 調査及びとりまとめにおいて㈱野生生物総合研究所、張裕平博士に御協力頂き、深謝の意を表します。 参考文献 1)東 三郎:石礫指標に関する砂防学的研究,北海道大学農学部演習林研究報告,p.197‑203,1982.

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