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線材ユニット置換による非抗圧膜構造の張力場理論と大変位解析

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Academic year: 2022

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(1)

線材ユニット置換による非抗圧膜構造の張力場理論と大変位解析

佐賀大学 学生会員 濱田広紀,古賀泰裕

正会員 井嶋克志,帯屋洋之,川崎徳明

1.まえがき

膜構造物は軽量かつ収納性,展開性に優れているため大規模膜構造物から宇 宙構造物まで幅広く利用されている.張力により形態を維持する膜構造物は仮 設時や過大な荷重下では大変位とともにその状態は大きく変化する.一方,膜 構造解析の多くは定ひずみ要素を用いたものであるが弛緩状態を適切に扱うこ とができないため仮設時のような大変位現象に対応できていない.また,僅か な曲げ剛性を考慮したシェル要素を用いた場合には複雑な座屈分岐解析となり 膨大な計算を必要とするため実用的とは言えないようである.

6本の軸力部材による骨組形状と各部材剛性を適切に定めれば定ひずみ三角 形要素のひずみエネルギーに等しいユニットを構成できる.本研究は,これを 利用し軸力部材を非抗圧ケーブルに置換した張力場理論により膜構造物の大変 位解析を行ったものである.この置換により要素緊張時は定ひずみ要素と殆ど 等しい挙動を示し,弛緩時は要素3頂点が1点に収斂した極限状態まで張力場 に基づく平衡条件により解析可能となる.また,適切な要素分割を行えば膜構 造は非抗圧ケーブル主体の張力場となり,全ポテンシャルエネルギーは凸曲面 を形成するため安定な収束計算により唯一の解を得ることができる.

2.線材ユニットによる定ひずみ三角形要素のひずみエネルギー等価置換

平面に置かれた定ひずみ三角形要素に静定な拘束条件を与えることにより,図-1に示す独立な3自由度の要素 変形とこれに仕事の対となる要素端力との関係が次のように得られる.

P1

P2

P3







 D 4A

e12 l12 e1e2 l1l2 e3e1l3l1

e22l22 e2e3l2l3

sym. e32 l32





l1

l2

l3









K11 K12 K13

K22 K23

sym. K33





l1

l2

l3







, D Et

12, =1-

2 (1a, b, c) ここに,膜材は等方性と仮定し,t:膜厚,A:無応力時要素面積,E:ヤング率,ν:ポアソン比,ln, en:無応 力要素における辺nの長さおよび頂点nと垂心間の距離である.

一方,6本の軸力部材により図-2のような1次不静定トラス構造を構成する.定ひずみ要素と同一形状を形成 する辺部材を主材,3頂点から射出し1点で結合する3部材を副材,この結合点を補助点と呼ぶ.主材の伸び剛 度をk1,k2,k3,副材の伸び剛度は3部材とも等しくks,補助点の位置を主材からの距離h1,h2,h3によって表し,次 のように設定すれば図-2のユニット構造の剛性方程式は式(1a)と等しくなる.補助点位置は,

h1K23/KsT, h2K13/KsT, h3K12/KsT (3a,b,c) ここに,KsTK23/a1K13/a2K12/a3 (4) anは頂点nからの垂線の長さである. 1, 2, 3を要素形状の内角として副材伸び剛度は,

ks 2

K23K13/K12K12K23/K13K13K12/K23K23cos1K13cos2K12cos3

(5) 主材伸び剛度はマトリクス対角項から得られ次式となる.

knKnnks/ (Fhn2), (n1, 2, 3) (6)

式(3a, b, c)によって表されるh1,h2,h3が全て正であれば図-2のユニット構造(タイプ1)となるが,定ひずみ要

素の形状と膜材ポアソン比によってはhnが負となる場合が現れる.3つのhnの内2つが負であれば図-3(a)のタイ プ2,1つが負であれば図-3(b)のタイプ3となり,3つが負となることはない.

キーワード:膜構造,張力場理論,有限変位解析,非抗圧性

〒840-8502佐賀市本庄1佐賀大学理工学部都市工学科TEL 0952-28-8579

P1

l1 l1 l2 l2

l3 l3

P1

P2

P2

P3

P3 2 1

3

図−1定ひずみ三角形要素

h1

h3

h2

2 1

3

k1 4 k2

k3

ks

ks

ks

h1 0, h2 0, h3 0 図-2 基本線材ユニット構造

(タイプ1)

土木学会第64回年次学術講演会(平成21年9月)

‑345‑

CS8‑008

(2)

式(3)〜(6)により構成される軸力部材ユニット構造は微 小変位の仮定のもとに同一形状の定ひずみ三角形要素と 等しい剛性方程式を持つ.このユニット構造を非抗圧とす るには,l1,l2,l3 0となる要素端力作用下において圧 縮軸力の部材はそのまま弾性軸力材に,引張軸力の部材は 非抗圧ケーブルに置換すればよい.タイプ1のユニット構 造であれば全部材ケーブルに置換されるが,タイプ2およ び3では副材の一部が圧縮軸力となるため弾性軸力材と なる.

3.線材ユニットの力学的特性

線材ユニットが緊張時には定ひずみ要素の剛性特性と ほぼ等しく,弛緩の進行とともに非抗圧を維持しながら 徐々に張力ゼロに漸近することを示す.タイプ1の場合に は全て非抗圧ケーブルによる構造となるからこの現象は 直感的に理解できる.したがって,ここではタイプ2につ いて示すこととする.

各辺長 1m,0.8m,0.6m の直角三角形定ひずみ要素(ポア ソン比ν=0.4)を線材ユニットに置換すれば図-4 のよう にタイプ2となる.膜材の伸び剛性を

Et  882kN/m

すれば,各線材の伸び剛度は表-1 となる.

図-4 の支点条件のもとに頂点 2 と 3 に同一の強制変位 を同時に与えたとき,強制変位と端力の関係を図示すれば 図-5 となる.図には定ひずみ要素と線材ユニットを比較 して示しており,僅かな緊張時から両者は殆ど一致し,強 制変位が負となる弛緩時は徐々にゼロに漸近しているこ とが分かる.

4.膜構造物の大変位計算例

膜構造物の仮設時解析の一例として膜ドームのインフ レーションを図-6 に示す.膜材は前節の物理定数を持つ 塩ビコーティングポリエステル基布である.ドームは頂角

58°,底辺 10m の2等辺三角形平面膜5枚を貼り合わせ

た立体膜構造である.この平面膜に相似な底辺1mの 500 要素により構成され,この要素形状からタイプ1の線材ユ ニット構造となる.

図-6(1)の初期状態では頂部6節点を固定し,下方より上 向きに内圧荷重を作用させ,図-6(2)の内圧13Pa作用時か ら頂部6節点を開放すると同時に膜ドーム全体が内圧に より持ち上がる現象を捉えることができた.

講演時にはこのような大変位現象を安定に行うための 手法について詳しく説明する予定である.

参考文献:井嶋克志,帯屋洋之,川崎徳明:空間柔ケーブ ルによる非抗圧膜構造モデルの有限変位解析,構造工学論 文集,Vol.55A, pp.11-22, 2009.3.

4

2 3

(a) タイプ2 1 k1 k2

k3

ks ks ks

h10, h2 0, h30の例

1 4

2

3

(b) タイプ3

k1 k2

k3

ks ks ks

h10, h2 0, h30の例 図-3 タイプ1と異なる線材ユニット構造

(1) 初期状態(頂部6節点は固定)

(2) 内圧13Pa作用時(頂部6節点は固定)

(3) 内圧15Pa作用時

4.55m

図-6 五角形膜ドームのインフレーション解析 10m

1 ( 0 , 0 )

U2, u2

V3 v3

3(0, 0.6 )

2 (0.8, 0 ) 4 (2.4 ,1.8 )

ks

ks

ks

k1

k2

k3

図-4 直角三角形要素と そのユニット構造

(m)

変位u2  v3(mm) U2(線材ユニット)

U2(定ひずみ要素)

V3(定ひずみ要素)

V3(線材ユニット)

要素端外力U2,V3(N)

-400 -200 0

200 400

-3 -2 -1 0 1

U2

V3

図-5 強制変位と要素端外力の関係 (kN/m)

187.5 542.5 113.8 1156 表-1 部材伸び剛度

k1

k2

k3

ks

土木学会第64回年次学術講演会(平成21年9月)

‑346‑

CS8‑008

参照

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