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The Japan Society for Clinical Immunology

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Academic year: 2021

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は じ めに

若年性特発性関節炎(Juvenile idiopathic arthritis; JIA)は,小児期に発症する最も多いリウマチ性 疾患で,国際リウマチ連盟(International League of Associations for Rheumatology)により,16 歳までに 発症し,6 週間以上続く原因不明の慢性の関節炎と 定義される1) .成人における関節リウマチ(Rheuma-toid arthritis; RA)の小児版と理解されることが多い が,異なる病態が構成要素に含まれること,遺伝的 素因が病態に大きく影響している可能性があること, 加齢性変化による影響が極めて小さいことなど,両 者を単に連続した疾患として考えることは難しい. 本稿では,病型分類からJIA の実像について解説す る. JIA の成り立ちと現在

JIA は,米国リウマチ学会(American College of Rheumatology; ACR)が定め本邦を含め広く用いら れてきた若年性関節リウマチ(Juvenile rheumatoid arthritis; JRA) と 欧 州 リ ウ マ チ 連 盟(European League of Associations for Rheumatology; EULAR)が 提唱し欧州を中心に用いられていた若年性慢性関 節炎(Juvenile chronic arthritis; JCA)及び若年性関 総  説

若年性特発性関節炎 -病型分類からみた

JIA の正しい理解-

秋 岡 親 司

A better understanding of juvenile idiopathic arthritis with classification criteria

Shinji AkiokA

Department of Pediatrics, Graduate School of Medical Science, Kyoto Prefectural University of Medicine

(Accepted October 5, 2016) summary

Juvenile idiopathic arthritis, JIA, is a novel rheumatic disease in childhood introduced by the International League of Associations for Rheumatology. It is defined as a chronic, inflammatory disorder of unknown etiology, which is classified into seven categories; systemic-onset type, persistent and extended oligoarthritis, polyarthritis with rheumatoid factor negative, polyarthritis with rheumatoid factor positive, psoriatic arthritis, enthesitis-related arthritis and undifferentiated arthritis. As each category of JIA has different features in clinical phenotypes, precise subtyping is required for research and management. How-ever, some modifications to the criteria might be helpful for getting better answers in diagnosis because of ethnical difference in prevalence and subtype distribution. Actually in Japanese population, a unique subset “B27-negative polyenthesitis” termed by Shichikawa should be included in enthesitis-related arthritis of JIA as a different type of enthesitis from B27-positive counter-part of spondyloarthritis in adulthood. Deep insights into the classification criteria will be needed for the better understanding of JIA.

Key words    juvenile idiopathic arthritis; classification criteria; subcategory; ethnicity; polyenthesitis 抄  録 若年性特発性関節炎は,1990 年代に提唱された新しい小児リウマチ性疾患である.分類基準により「小児期の 原因不明の慢性関節炎」として定義され,発症時の臨床的特徴から,全身型,少関節型(持続型と進展型),多関 節型リウマチ因子陰性,多関節型リウマチ因子陽性,乾癬性関節炎型,付着部炎関連関節炎型および分類不能型(い ずれの病型にも分類できないか,複数の病型に該当するもの)の7 病型に細分類される.各々の病型はカウンター パートとなる成人疾患の特徴をある程度反映するため,異なる病態,予後を示し,治療法も異なる.そのため,診 療においては病型診断が必須となる.また民族差,地域差が有病率ならびに病型頻度にも認められるため,臨床研 究に際しても各病型の特性を理解しておく必要がある.特に付着部炎関連関節炎型においてはHLA-B27 陰性の付 着部炎疾患polyenthesitis が本邦には存在し,欧米とは異なった若年性特発性関節炎の体系を形作っている可能性が ある.病型別の理解の上にさらなる病態の解明が望まれる. 京都府立医科大学大学院医学研究科小児科学

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節炎(Juvenile arthritis; JA)等を ILAR が統合し, 1997 年に提唱した新しいリウマチ性疾患の概念で ある.JIA をアンブレラタームとし,サブカテゴリー として全身型,少関節型(持続型と進展型),多関 節型リウマチ因子陰性,多関節型リウマチ因子陽性, 乾癬性関節炎型,付着部炎関連関節炎型の6 病型及 び分類不能型を設定した(表1 ).改訂を加え,現 在はEdmonton 2001 年版が使われている1).この統 合によりACR では別に扱っていた乾癬性関節炎や 反応性関節炎等が含まれ,JCA に含まれていた炎症 性腸疾患関連関節炎が除かれた.JRA から言えば, 関節滑膜炎を呈する疾患群から全ての慢性関節炎を 対象とした疾患概念に変貌したと言える.このよう な変化が,1987 年の ACR 分類基準を疾患概念に色 濃く残すRA を診療対象とする成人リウマチ医に, JIA の理解を難しくさせたと思われる.

ACR と EULAR が各々の基準を統合し,ILAR と

してJIA を新たに提唱した理由の一つは,世界標準 の疾患単位を定め,定義の差異による議論のズレを なくし,臨床試験をグローバルな視点で行うことに あった.また早期例や非典型例,複数病型該当例を 区分する分類不能型を設定することにより,診断に も流用できる利点も加わった.しかし統合により, 生物学的に異質な病態がJIA 内に同居することとな り2),臨床研究は,病型毎に対象を集め比較検討を 行うか,heterogeneity を前提に研究デザインをせざ るをえなくなった.つまり適正な病型分類が不可欠 となった訳である. 疫   学 JIA の有病率は報告によって差が大きい.本邦の 有病率は10 万人当たり 10~15 人と言われている3) 2002 年にフランスで医師を対象に行われた後向き コホート研究では,JIA 有病率は 10 万人当たり 19.8 人4),ベルギーで約3000 名の中高生を対象にしたア ンケート調査ではJCA 有病率は 10 万人当たり 167 人5),オーストラリアで行われた小児リウマチ医の 身体診察による20 万人規模の地域参画型横断研究 表1  国際リウマチ連盟による若年性特発性関節炎の分類基準,2001 年,Edmonton 改訂版 病型 選択基準 除外基準 全身型  1)一過性の紅斑 2)リンパ節腫脹 3)肝腫大あるいは脾腫大 4)漿膜炎2 週間以上続く弛脹熱を伴う 1 関節以上罹患の関節炎に加えて以下の 1 項目以上を伴う a, b, c, d 少関節炎型 発症後関節炎6 ヶ月以内に 1 ~ 4 関節罹患の a)持続型:全経過を通して 4 関節以下の罹患b)進展型:発症後 6 ヶ月以降に 5 関節以上の       罹患 a, b, c, d, e 多関節炎型 リウマチ因子陰性 発症後関節炎6 ヶ月以内に 5 関節以上に認める リウマチ因子陰性 a, b, c, d, e 多関節炎型 リウマチ因子陽性 発症後関節炎6 ヶ月以内に 5 関節以上に認める 3 ヶ月以上の間隔で測定したリウマチ因子が2 回以上陽性 a, b, c, e 乾癬性関節炎型 乾癬を伴った関節炎      あるいは 以下の2 項目以上を伴う関節炎 1)指炎 2)爪の陥凹 3)爪甲離床症 4) 1 親等以内の乾癬患者の存在 b, c, d, e 付着部炎関連 関節炎型 付着部炎を伴った関節炎    あるいは 以下の2 項目以上を伴う付着部炎または関節炎 1)仙腸関節痛あるいは炎症性腰仙部痛の罹患ま たは既往 2)HLA-B27 抗原陽性 3) 6 歳以降に関節炎を発症した男児 4)症候性の急性前部ぶどう膜炎の罹患 5) 1 親等以内に以下の患者を認める場合 6)強直性脊椎炎,炎症性腸疾患に伴う仙腸関節 炎,付着部炎関連関節炎,反応性関節炎,急 性前部ぶどう膜炎 a, d, e 分類不能 いずれの基準も満たさない場合 あるいは 複数の基準を満たす場合 なし 文献1 より引用,和訳改編. 若年性特発性関節炎の分類基準(2001 年,Edmonton 改訂版)を示す.除外項目;a. 患者あるいは 1 親等以内に乾癬の罹患または既往のある場合  b. 6 歳以降に関節炎を発症した HLA-B27 陽性の男児例 c. 1 親等以内に以下の患者を認める場合:強直性脊椎炎,炎症性腸疾患に伴う仙腸関節炎, 付着部炎関連関節炎,反応性関節炎,急性前部ぶどう膜炎,d. 3 ヶ月以上の間隔で測定したリウマチ因子が 2 回以上陽性,e. 全身型の患者.

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では,12 歳児の JCA 有病率は 10 万人当たり 400 人 と報告されている6).これらの違いが真に民族や地 域差であるのか否かはわからないが,診断や調査方 法の違いにより差異が生まれた可能性は否定できな い. 遺伝的背景 北米の小児リウマチ患者のレジストリ(Childhood Arthritis and Rheumatology Research Alliance Registry; CARRA)を用いた解析で,JIA 患者の家系内に自 己免疫疾患患者が存在する率は3 割以上で,特に関 節炎の家族歴が多いことが報告されている7).病型 別では乾癬性関節炎型が54%,付着部炎関連関節 炎型が41%と極めて高く,両者には遺伝的素因の 関与が極めて大きいことが窺われる.ユタ州のパブ リックデータベースを用いた解析でも,JIA 患者の 同胞におけるJIA 発症リスクは 11.6 倍,いとこで も5.82 倍と報告されており8),発症への遺伝的素因 の関与が明らかである. 個々の遺伝子に着目すると,サウジアラビアの家 系で見つかったLACC1 遺伝子異常は全身型類似の 症状を呈し9),インフラマソームの構成要素である NLRC4 の遺伝子異常はマクロファージ活性化症候 群様の表現型を示すことから10),JIA の一部の症例 が単一遺伝子疾患である可能性は否定できない. 自己免疫疾患における疾患感受性遺伝子の検討 は,以前よりHLA 領域と非 HLA 領域に分けて行わ れてきた.JIA においても多数の疾患感受性遺伝子 が報告され,HLA 領域では,多関節型リウマチ因 子陽性ではDRB1*0401 が,少関節型および多関節 型リウマチ因子陰性ではDRB1*1101,DRB1*1113, DRB1*0801 が,付着部炎関連関節炎型は B*2705 が強い相関を示すことが知られている11).非HLA 領域でも,PTPN22,STAT4 を始めとする様々な遺 伝子多型との相関が報告されている12).最近は,

Genome-wide association study による感受性遺伝子 座の選定13)whole-exome sequencing の手法を用い た網羅的解析により14),新たなSNP の関与や super enhancer の存在が明らかとなっている15).さらに SNP や profiling の結果などからネットワーク解析 やパスウェイ解析などの手法を使って,genotype と phenotype を繋ぐ試み,つまり JIA の診断や病態解 明,治療反応性予測などが行われている16−19) 環 境 因 子 RA における喫煙のように環境因子の関与が考え られている.HIV,Mycoplasma pneumoniae やヒト

パルボウイルスB19 など病原体が関節炎を起こす ことは知られているが12),JIA への関連について結 論は出ていない.また多くの関節炎モデル動物がア ジュバントにより誘導されることから,ワクチン接 種の関与も疑われたが,明確な答えは得られていな い.著者らは子宮頸がんワクチン接種後に付着部炎 関連関節炎型と診断した症例を経験し,アジュバン トは誘導因子としてJIA の病態に関与すると考えて いる20) 乳児期の抗菌薬投与がJIA の発症リスクを上昇さ せるという結果が英国の症例対照研究より得られ た21).同様の報告はフィンランドからもあり,腸内 細菌叢への関与が示唆されている.JIA 患者の腸内 細菌叢が健常者と異なることやFirmicutes 門の細菌 が減少していることなどが報告されているがその意 義は不明である22) 疾患定義と分類基準の使い方 JIA の定義は 16 歳までに発症し 6 週間以上続く 原因不明の慢性の関節炎である.関節炎のないJIA は存在せず,全身型様の経過をとるも関節炎が明ら かでない例は,関節炎の証明が十分為されていない JIA か他の発熱性疾患である. 原因の明らかな関節疾患が全て否定されてはじめ て,JIA と診断されるので,鑑別診断の質が JIA 診 断の正否を決める.そのため,アンブレラタームと してのJIA は,garbage diagnosis の受け皿になる危

険性を有している.一方,自己炎症疾患は99 年に 提唱されたため,JIA の鑑別疾患に含まれず,多く の自己炎症疾患がJRA や JIA と診断されていた. このことは,医学の進歩により鑑別される疾患が変 わり,JIA の構成要素が変化しうることを示唆して いる. 分類基準の本質は,臨床的特徴により各病型に細 分化することにある.全身型は成人発症Still 病, 少関節型と多関節型リウマチ因子陰性は血清反応陰 性RA,多関節型リウマチ因子陽性は RA,乾癬性 関節炎型は乾癬性関節炎,付着部炎関連関節炎型は 脊椎関節炎など,各々,成人疾患の初期像と概ね解 釈できる.未完成な病像から完成像を予測する必要 があるため,成人期の病像を十分理解しておくこと

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が重要である. 地域差,民族差 JIA には地域差,民族差が存在するため,本邦例 に用いる場合,この分類基準が欧米の経験を基に策 定されたものであることを理解しておかなければな らない.実際,JIA の病型別頻度は地域,民族によ り大きな差異を示している(表2 ).欧米では少関 節型が多く,全身型が少ない傾向が知られ,これが 世界標準と考えられてきたが,アフリカのコホー ト23)やインドの多施設共同研究24),トロント小児 病院のデータ25)からはその傾向は民族差を反映し たものであることがわかる.また付着部炎関連関節 炎型はアジア人に多く26),東及び南アジアに世界の 半数以上のJIA 患者がいることに鑑みると,主病型 の一つとして認識されるべきである.付着部炎関連 関節炎型の定義に挙げられているHLA-B27 は東ア ジア,特に本邦には少ないが,七川らによりHLA- B27 陰性の polyenthesitis の疾患単位(表 3 )が提唱 されたこと27)など,ILAR の想定するプロトタイプ 以外にも関節炎患者が存在し,付着部炎関連関節炎 型に含まれると解釈される.本邦では全身型が42% を占め,乾癬性関節炎型と付着部炎関連関節炎型が ほぼ皆無であると報告されていたが3),当科におけ るJIA 125 名の病型別頻度は,新たな知見と技術に よる結果であり,より実情に近いものと考えている. 関節炎と各病型の本質 関節炎は関節を構成する組織の炎症であり,関節 滑膜炎,軟骨炎,骨炎,腱付着部炎,腱鞘滑膜炎, 腱炎,靭帯炎及び滑液包炎を始めとする軟部組織の 炎症を意味する.JIA は上記の炎症が非外傷性に, 内因的に生じる疾患であり,少関節型(持続型と進 展型)と多関節型リウマチ因子陰性,多関節型リウ マチ因子陽性の3 タイプは関節滑膜炎が,乾癬性関 節炎型と付着部炎関連関節炎型は腱付着部炎,腱鞘 滑膜炎,腱炎が主病態である.後者では二次的に関 節滑膜炎を生ずることが知られ,関節滑膜の変化だ けに注目していては病型を正しく分類することはで きない.また外傷等により生じる変化を如何に鑑別 するかが診断のポイントとなり,関節のどの部位に どのような炎症が生じているかを知ることが診断の 基本となる. 画像検査による病型の分類方法 病型は身体所見を基に判断するが,画像検査の進 歩が身体診察法を変えている.客観的な関節炎の部 位及び質的診断には画像検査が必須である. 単純X 線検査は骨が主な撮像対象となるため, JIA では骨びらんと関節裂隙の狭小化,合併する 骨粗鬆症や骨壊死などの評価に用いる.MRI で は,T1 強調画像において骨びらん,T2-STIR 及び Gadolinium 造影において増殖滑膜や腱鞘の炎症性変 化,骨髄浮腫,関節液の評価が行われる.3 テスラ の機器では軟骨病変の評価も可能性である.超音波 検査では血流を反映するパワードップラーサインに 注目が集まるが,腱や周囲の軟部組織,骨表面の形 表2  若年性特発性関節炎の病型別頻度 病型 ヨーロッパ系n = 599 25) 南アフリカn = 78 23) トルコn = 19623) アジア系n = 5025) インドn = 22424) n = 195台湾26) n = 470本邦2) n = 125当科 全身型 少関節炎 多関節炎(RF 陰性) 多関節炎(RF 陽性) 乾癬性関節炎 付着部炎関連関節炎 分類不能型 13% 41% 23% 2% 12% 8% 1% 8% 27% 27% 14% 1% 23% 0% 15% 34% 31% 7% 1% 10% 3% 12% 28% 20% 4% 8% 24% 4% 8% 21% 17% 12% 1% 36% 5% 19% 23% 12% 5% 2% 37% 3% 42% 18% 18% 14% 0% 2% 5% 6% 6% 2% 6% 14% 66% 8% 各調査における若年性特発性関節炎の病型別頻度を示す. 表3  Polyenthesitis の定義 1.多くの付着部に自発痛,圧痛がある. 5 か所以上:烏口突起,上腕骨上顆,仙腸関節,膝蓋 骨端,脛骨結節,アキレス腱付着部に多い. 2. 1 つまたはそれ以上の付着部に腫れがある. 3.全身性炎症症状無く,仙腸関節炎の X 線変化はない. 4.その他の特徴 a. 骨シンチで取り込みあり 骨の変化は可逆 b. enthesophyte c. リウマチ因子陰性,HLA-B27 陰性 d. 家族内発生あり e. 仙腸関節の圧痛多い f. 予後は概して良好 文献27 より引用,和訳改編. * 病理学的には腱付着部に炎症性変化を示し,NSAIDs が有効で ある.

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態的変化を見逃さないことがより大切である. 少関節型及び多関節型は関節滑膜炎が主体となり 骨びらん性の変化から骨破壊へと進むため,まず単 純X 線検査で骨変化を捉え,MRI 及び超音波検査 でその質と活動性の評価を行う.付着部炎と二次性 の関節滑膜炎が主体となる乾癬性関節炎型と付着部 炎関連関節炎型では,骨形成性の強直性変化を来し 得るものの進行例でない限りは小児期に単純X 線 検査で所見を得ることは難しい.超音波検査で,滑 膜,腱,腱鞘,腱付着部,滑液包を含んだ周囲の軟 部組織の評価を行い,炎症の局在と骨棘など異所性 骨化の存在から付着部炎の診断を行う.随伴する骨 髄浮腫や超音波検査の難しい頸腰椎や仙腸関節の 評価にはMRI を用いる.付着部炎の存在診断には 18F-FDG-PET/CT を用いた例も報告されている.CT や骨シンチグラフィーも必要に応じ追加する.関節 滑膜炎と付着部炎の両者が混在している場合,関節 滑膜炎が一次性か二次性か判別は難しいが,二次性 滑膜炎では滑膜浸潤による骨びらんを伴うことは稀 であり,概ね判別可能である.

EULAR は 2015 年,RA 同様,JIA に関する画像 診断に関するシステマティックレビューの結果を欧 州小児リウマチ学会(Paediatric Rheumatology Euro-pean Society; PReS)とともに発表した28).年齢別標 準の設定やスコアリングシステムの導入,病型毎の 画像的特徴の明確化,サブクリニカル病変の取り扱 い,予後予測や疾患活動性評価における意義の明確 化及び超音波検査とMRI を用いた医療の実現性に 関する検討が求められている. 全 身 型 全身型は,2 週間以上続く弛脹熱と関節炎に,① 一過性の紅斑,②リンパ節腫脹,③肝腫大あるいは 脾腫大,④漿膜炎のいずれか1 項目以上を伴うもの と定義される.ただし現在では関節疾患より発熱性 疾患として,血清IL-18 著増や抗サイトカイン療法 の有用性,致死性のマクロファージ活性化症候群の 合併などからサイトカイン病として捉える向きが多 い29).特に自然免疫に関する分子の関与が疑われ, 自己炎症疾患の一つと考える傾向にある.しかし約 7 割の例が 3 年以内に無治療寛解し治癒することか ら,全身型全体が単一遺伝子疾患である狭義の自己 炎症疾患とは考えにくく,現状においては自己炎症 疾患が全身型に混入しやすいと理解すべきである. 実際,TNF 受容体関連周期熱症候群や若年性サル コイドーシス・Blau 症候群など狭義の自己炎症疾 患の全てが発熱とともに関節症状を来すが,その臨 床病態の多彩さから典型例ではJIA との鑑別が問題 となることは少ない.非典型例では遺伝子診断によ り鑑別すべきである. 全身型では上記の通り,病型分類において関節炎 の定義がない.つまり,関節炎に基づいた分類では なく,全身炎症を合併する特殊型として扱われてい る.実際は,関節滑膜炎,腱鞘滑膜炎,腱付着部炎, 滑液包炎等,様々な関節炎を生じ,多関節型リウマ チ因子陰性,乾癬性関節炎型及び付着部炎関連関節 炎型に類似している.一方,付着部炎関連関節炎型 の4 割が初発時に発熱をきたし30),自験例でも乾癬 性関節炎型と付着部炎関連関節炎型の2 割の症例が 38.5 度以上の発熱を反復性に示し全身型との鑑別に 苦慮したことから,全身炎症は全身型に特異的現象 ではないと考えられる.全身型の症例を関節炎によっ て再病型分類し,全身炎症はオプションとして取り 扱うことが,関節炎診療のスタンスからは正しいの かもしれない. 少関節型,多関節型 少関節型及び多関節型リウマチ因子陰性は,罹患 関節数あるいはリウマチ因子の有無のみにより定義 されるが,大関節に好発すること,年少期に発症の ピークを有すること,女児に多いこと,治療反応性 が比較的よく,予後も良いことなど,両者には共通 点が多い.また多関節型リウマチ因子陰性では抗 CCP 抗体陽性の症例はほとんどなく,経年ととも に陽転化することもないため,病態的には多関節型 リウマチ因子陽性よりも少関節型に類似したものと 理解されている.遺伝学的プロファイルもその類似 性から同一に扱われることが多い11).病型診断では, 乾癬や付着部炎を見逃すと多関節型リウマチ因子陰 性に分類される危険性が高く,注意を要する.内眼 炎がなぜ抗核抗体陽性患者に合併しやすいかは不明 である. 多関節型リウマチ因子陽性は,思春期発症が多い とともに手指をはじめとした骨のびらん性変化を診 断時にすでに来している.病像としてはRA の早発 例の様相を示す.治療面や予後も同様で,メトトレ キサートに抵抗性を示し生物学的製剤の適応となる ことが多い.ただし抗CCP 抗体陽性率は 7 割程度 であり31),シトルリン化の関与など,病因や病態が 同一であるのか否かは不明である.

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乾癬性関節炎型

ILAR の乾癬性関節炎型の分類は,概ね若年性乾 癬性関節炎(Juvenile Psoriatic Arthritis; JPsA)の分 類基準Vancouver criteria を踏襲している32).しかし 除外項目など必ずしも同一ではなく,研究間の比較 を行う時は分類基準を揃えて検討すべきである33) ILAR では,乾癬を有する関節炎,あるいは乾癬は ないが①指炎,②爪の陥凹や爪甲離床症,③1 親等 以内の乾癬患者の家族歴,以上3 項目のいずれか 1 つ以上の特徴を有する関節炎であり,リウマチ因子 陰性で,付着部炎関連型(6 歳以降に HLA-B27 陽 性男児に発症した関節炎で,既往あるいは一親等以 内に強直性脊椎炎,付着部炎関連関節炎,炎症性腸 疾患関連関節炎,反応性関節炎,急性前部ぶどう膜 炎が存在する)および全身型が否定された場合,乾 癬性関節炎型と診断される.付着部炎があっても乾 癬がある場合は乾癬性関節炎型とする.乾癬性関節 炎型の約3 割が皮疹より関節炎が先行するタイプで あり,乾癬が無くても乾癬性関節炎型は否定できな い.皮疹出現まで10 年要した例もあり,少関節型 や多関節型の非典型例では,将来的な乾癬の発症に 留意すべきである.JIA における乾癬病変は一般的 には小さく,軽度で一過性であることも多いため, 湿疹やアトピー性皮膚炎と誤診され見逃されること も少なくない.また約1 割がリウマチ因子陽性であ り,多関節型リウマチ因子陽性に区分される危険性 も高い. 発症年齢は二相性であり,2 ~ 3 歳時と思春期に ピークがある.自験例の幼児例はいずれも乾癬性関 節炎の家族歴があり,患児に指炎を認めた. 乾癬性関節炎型の関節病変は,関節滑膜炎,付着 部炎,腱鞘炎よりなる.JPsA ではさらに,付着部 炎関連関節炎型,少関節型(持続型),少関節型(進 展型),多関節型リウマチ因子陰性,多関節型リウ マチ因子陽性に分類されるが,少関節型(持続型) が多い.罹患部位としては膝関節が最多で,足関節, 近位指節間関節や手関節と末梢性に多いが,成人に 多い遠位指節間関節は稀である.成人では無症候性 を含めると半数以上の乾癬性関節炎が脊椎病変を伴 うが,小児例ではその割合は10%程度である.ま た骨破壊性変化に乏しく,付着部炎や腱鞘炎が主体 となる指炎が約30%と多いことも特徴である.付 着部炎は多発性で,アキレス腱炎や足底腱膜炎が主 体となる.上記の特徴は主に欧米から得られた知見 であるが,自験例からもほぼ同様の傾向が得られて いる.ただし自験例では付着部炎が最も多かった. 成人では心血管イベントが多く,平均寿命は健常 人より10 年短いと言われている.これは慢性炎症 としての皮膚炎がメタボリックシンドロームの誘因 となるためと考えられている.年長児では全身に広 がる皮膚病変を認める例もあり,関節炎のみならず 全身の炎症性疾患としての管理が必要である.また 慢性疼痛を合併することも多く,QOL 低下を招き やすい. 付着部炎関連関節炎型 付着部炎関連関節炎型は,付着部炎を伴う関節 炎,あるいは付着部炎または関節炎のいずれかに① 仙腸関節痛あるいは炎症性腰仙部痛の既往あるいは 罹患があること,②HLA-B27 陽性,③ 6 歳以上の 男児,④急性症候性の前部ぶどう膜炎罹患,⑤既往 あるいは一親等以内の強直性脊椎炎,付着部炎関連 関節炎,炎症性腸疾患関連関節炎,反応性関節炎, 急性前部ぶどう膜炎罹患者の存在,⑥安静時に腰仙 部痛を認め朝のこわばりを伴い運動で改善するこ と,以上6 項目のうち少なくとも 2 項目を認める場 合と定義される.乾癬を疑う既往あるいは一親等以 内に乾癬罹患がある例,恒常的にリウマチ因子陽性 を認める関節型疑い例および全身型は除かれる.こ のように,上記の特徴がある場合,付着部炎が無く ても関節炎があれば付着部炎関連関節炎型に分類さ れる.つまり関節炎を有する症例では,上記の特徴 に関する問診,検索等を行わない限り,正しい病型 分類を行うことはできない. 多発性付着部炎 付着部は全身の異なる組織の移行部に存在し,両 者をつなぐ役割を果たしている.線維軟骨を含んだ 線維性の組織からなり,メカニカルストレスが常に かかっていることが特徴的で,血流が豊富で炎症を 起こしやすい.付着部炎の原因は,スポーツなどに よる外傷性,代謝性とともに脊椎関節炎などの炎症 性疾患によるものが知られている.McGonagle らは, 付着部炎としての線維軟骨及び軟骨細胞のダメー ジが滑膜の炎症を惹起するというsynovio-entheseal complex という概念を提唱し,それが乾癬性関節炎 や脊椎関節炎における関節炎の病態であると唱えて いる34).一方,七川らは1992 年に polyenthesitis と いう名称で臨床的特徴から付着部炎に関する独立し

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た疾患を提唱した27).これはHLA-B27 陰性で CRP など全身炎症が認められず,軸性に関節炎を認めず 予後良好である点で,国際脊椎関節炎学会(Assess-ment of Spondyloarthritis International Society; ASAS) が定義する脊椎関節炎とは同一ではない.実際, JIA の付着部炎関連関節炎型は,ASAS の定義する 脊椎関節炎の範疇で捉えられる傾向にあるが,自験 例では進行性の軸性関節炎を示しASAS の定義する 脊椎関節炎を呈したHLA-B27 陽性例もあれば,七 川らによるpolyenthesitis に合致する例も多かった. これが民族間の差異なのか,七川らのpolyenthesitis が本邦独自の炎症形態なのかはわからない.ただし, 残念ながら七川らのpolyenthesitis の概念は本邦で は受け入れられておらず,成人での実態は不明である. JIA における脊椎関節炎 脊椎関節炎は,Wright と Moll により,リウマチ 因子陰性でリウマチ結節がなく家族内集積性と仙腸 関節と腰仙椎に好発する慢性関節炎として提唱され た.HLA-B27 との関連が強く,強直性脊椎炎,乾 癬性関節炎,反応性関節炎,炎症成長疾患,whipple 病,ベーチェット病,前部ぶどう膜炎及びJIA に合 併するとされる.現在は,2009 年及び 2011 年に発 表されたASAS による軸性及び末梢関節炎に関する 分類基準が広く用いられる.小児に関しては,欧州 脊椎関節症研究グループ基準がJIA の付着部炎関連 関節炎型に当てはまることが報告されている35).一 方,ASAS 分類基準について自験例で検討したとこ ろ,基準を満たす例は少なく,本邦ではASAS が意 味するところの脊椎関節炎とJIA 付着部炎関連関節 炎型は同義ではないことがわかった36).一致しない 理由はHLA-B27 に関するものであり,今後,B27 陰性の付着部炎関連関節炎型JIA 患者をどう扱うか が課題になると思われる. JIA の Comorbidity JIA では機能障害と疼痛,疲労そして心身面への 影響がComorbidity として問題である.これらは患 者の社会性を障害し,就学及び就労不可等QOL の 著明な低下を招いている37) 関節機能障害は,以前であれば予後に関する最も 大きな課題であった.しかし生物学的製剤の導入に より重度障害はほぼ回避可能となった.現時点で, 手術療法を要する例はほとんどない.一方,疼痛は 未解決の課題である.診断時,60%の患者に認めた 疼痛は治療により改善するものの5 年後であっても 40%に認め,成人しても疼痛のみならず倦怠や機能 障害を残すと報告されている.これらは生物学的製 剤の導入により改善傾向にあると思われるが,慢性 疼痛,特にアロディニア様の所見を呈する者も依然 として少なくない.病型別では特に付着部炎関連関 節炎型に多い37).また疲労は,疾患活動性ではなく 疼痛に相関する38)ことが明らかとなっており,QOL に関しても付着部炎関連関節炎型が最も低い結果と なっている.これら慢性疼痛や倦怠は心身面への影 響も大きく,身体表現性障害の形で認められること も稀ではない.またJIA 罹患によりうつ病発症のリ スクは2.5 倍増えると報告されている39).このよう な障害は,診断が遅れることにより専門機関初診時 にすでに顕性化し,心身症の側面から紹介されて来 ることも稀ではない. お わ り に JIA 分類基準が発表されて 15 年が経過した.自 己炎症疾患の鑑別が当たり前となり,画像診断の進 歩により病態が見えるようになり病型分類が変わっ た.現在,PReS は,少関節型と多関節型を区別す る罹患関節5 関節の定義撤廃を含め改変を模索して いる.さらなる病態解明には,基礎となる病型分類 の正しい理解が重要だと思われる. 文   献

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