中学校
国語科
部会
部 会 長 名 大 任 中 学 校 校 長 白 石 毅 実 践 者 名 香 春 中 学 校 教 諭 村 井 賢 子 1 研 究主 題 批 判 的思 考 力を育 てる第 3学年 国 語科 「書くこと」の学 習 指導 の 研究 ~ 批評 文 を書 く交流 活 動を通 して~ 2 主 題設 定 の 理由 (1)社 会の 要 請か ら 現 代 社 会で は 、 相 手 や 目 的 、 意 図に 応 じ て 、 自 分 の 考 えを 文 章 で 表 現 し 、 伝え る 機会 が 多 い 。 そ の た め 、「 論 理 の 展 開 を 工 夫 し 、 資 料 を 適 切 に 引 用 す る な ど し て 、 説 得 力 の あ る 文 章 を 書 く」 力 が 求 め ら れ て い る 。し か し 、 ど の よ う な 方法 で 論 理 の 展 開 を 工夫 す れば よ い の か 、 どの よ う な 文 章 で あ れ ば 説得 力 の あ る 文 章 と い える の か 、 ど こ を 直 せば よ いの か を 悩 む 生 徒は 多 い 。 そ こ で 書 い た 文章 を 互 い に 読 み 合 い 、意 見 や 助 言 を 述 べ たり 、 評価 し た り し て 、書 い た 文 章 を 交 流 し な がら よ り よ い 文 章 に し てい く 活 動 を 取 り 入 れた 。 PI S A 調 査 の 結 果 か ら も 明 ら か な よ う に 、「 テ キ ス ト の 解 釈 ( 書 か れ た 情 報 か ら 推 論 し て 意 味 を 理 解 す る )、 熟 考 ・ 評 価 ( 書 か れ た 情 報 を 自 ら の 知 識 や 経 験 に 位 置 付 け 自 分 の 考 え を も つ )、 論 述 ( 自 分 の 考 え を 根 拠 を 明 確 に し な が ら 分 か り や す く 伝 え る )」 な ど は 読 む こ と の 能 力 だ け で は な く 、 書 く こ と の 能 力 と も 密 接 に 関 係 し て い る 。「 書 く こ と 」 で も こ れ ら を 意 識 し た 授 業 を 行 う こ と は 「 読 解 力 向 上 に 関 す る 指 導 資 料 」( 平 成 1 7 年 1 2 月 文 部 科 学 省 ) の 指 導 の 改 善 の 方 向 ① の 内 容 、「 自 分 の 知 識 や 経 験 と 関 連 づ け て 建 設 的 に 批 判 し た り す る よ う な 読 み ( ク リ テ ィ カ ル リ ー デ ィ ン グ )」 の 実 現 に も つ な が り 重 要 だ と 考 え 、 本 主 題・ 副 主題 を 設定 し た。 (2)生 徒の 実 態か ら 生 徒 は 、こ れ ま で に 社 会 生 活 の 中か ら 課 題 を 決 め 、 多 様な 方 法 で 材 料 を 集 めな が ら自 分 の 考 え を まと め る こ と が で き る よ うに な っ て き て い る 。 また 、 自 分 の 立 場 と 伝え た い事 実 や 事 柄 を 明確 に し て 、 意 見 や 根 拠 とな る 事 実 を ど こ に 位 置付 け る か を 考 え て 構成 す るこ と の 重 要 性 を学 習 し て き て い る 。 し かし 書 い た 文 章 を 読 み 合っ て 、 意 見 や 助 言 を述 べ たり 、 評 価し な がら 自 分の 表 現の 参 考に す るま で には 至 って い ない 。 事 前 に 行っ た ア ン ケ ー ト 調 査 で 、文 章 を 書 く 時 に 大 切 なこ と と し て 「 相 手 に分 か りや す く す る た めの 工 夫 が 必 要 」 と 回 答 した 生 徒 は 6 7 % で あ った 。 そ れ に 対 し 、 具体 的 には ど ん な工 夫 をし て いる か とい う 問い に は「 文 章 の展 開 や構 成」と回 答 した 生 徒が 3 8% 、「 根 拠 を 挙 げ る 」 と 回 答 し た 生 徒 は 1 7 % だ っ た 。 ま た 、「 考 え を 話 す こ と は 好 き だ が 、 そ の 考 え を 文 章に す る こ と が 苦 手 」 と 回答 し た 生 徒 は 4 4 % で、 そ の 理 由 と し て 「工 夫 の仕 方 や 書 き 方 がわ か ら な い 」 な ど が 挙 げら れ た 。 こ れ ら の 結 果か ら 、 文 章 を 書 く 時に 相 手に 分 か り や す く伝 え る た め に 工 夫 す る こと が 大 切 だ と 考 え て はい る も の の 、 文 章 の展 開 や構 成 を 考 え る 際の 具 体 的 な 工 夫 の 仕 方 や記 述 の 仕 方 が わ か ら ない と 感 じ て い る 生 徒が 多 いと 捉 え 、そ の 解決 の ため に 本主 題 ・副 主 題を 設 定し た 。3 主 題の 意 味 (1)批 判的 思 考力 を育てる とは 批 判 的 思 考 力 を 育 て る と は 、「 書 か れ て い る 内 容 や 表 現 を 吟 味 ・ 検 討 し た り 、 そ の 妥 当 性 や 客 観 性、 信 頼 性 を 評 価 し た り 、自 分 の 知 識 や 経 験 と 結び 付 け て 根 拠 を 挙 げな が ら建 設 的 に 批 判 し、 よ り よ い 文 章 に す る ため の 改 善 案 を も 併 せ て考 え る こ と が で き る生 徒 を育 て る 」 こ と であ る 。 本 研 究 で は 「 書 くこ と 」 に お い て 、 自 他の 書 い た 文 章 に つ いて 客 観的 、 分 析 的 に 熟考 ・ 評 価 す る 姿 勢 を も たせ 、 自 分 の 考 え を わ かり や す く 説 明 し た り、 判 断や 評 価 の 理 由 や根 拠 な ど を 明 確 に し た りす る な ど の 工 夫 を さ せて 説 得 力 を 増 す こ とを 意 識さ せ な が ら 、 生徒 自 身 が 適 切 に 表 現 を 評価 す る 能 力 を 伸 ば し 表現 能 力 を 育 て て い きた い 。説 得 力 の あ る 文章 を 書 く こ と が で き る とい う こ と は 、 読 む 時 にも 働 く 、 理 由 や 根 拠な ど を明 確 に して 文 章の 内 容・ 形 式を 判 断し 、 評価 す る力 を 身に 付 けて い ると い える か らで あ る。 (2)批 評文 を書く交 流 活動 とは 批 評 文 を 書 く 交 流 活 動 と は 、「 関 心 の あ る 事 柄 に つ い て 、 そ の も の の よ さ や 特 性 、 価 値 な ど に つ いて 論 じ た り 、 評 価 し た りす る 文 章 」 つ ま り 批 評文 を 書 く 過 程 に お いて 、 学習 し た こ と を 振り 返 る 活 動 を 計 画 的 に 設定 し 、 書 い た 文 章 を 互い に 読 み 合 い 、 意 見や 助 言を 述 べ た り 、 評価 し た り し て 、 書 い た もの を 観 点 に 基 づ い て 交流 し な が ら よ り よ い文 章 にし て い く 活 動 であ る 。 具 体 的 に は 、 学 習形 態 の 工 夫 を す る こ とに よ り 、 交 流 活 動 の活 性 化を 図 り な が ら 批 評 文 を 書 い て い く 。 4 月 に 実 施 し た 実 力 テ ス ト の 結 果 の う ち 、「 読 む こ と 」 の 領 域 か ら の偏 り を な く し 、 人 間 関 係に も 考 慮 し た 6 つ の 班編 成 を 行 っ た 。 班 編成 を 行う こ と で 、 意 見を 交 流 し や す い 雰 囲 気 を作 り 、 批 判 的 思 考 力 を育 て る こ と が で き ると 考 える 。 授 業 で は、 基 本 的 な 論 理 の 展 開 の仕 方 や 根 拠 と な る 事 実や デ ー タ 、 専 門 家 の言 葉 など 、 客 観 性 や 信頼 性 の 高 い 資 料 を 引 用 する 文 章 の 書 き 方 を 、 関心 の あ る 事 柄 に 対 する 批 評文 を 書 く活 動 を通 し て身 に 付け さ せて い きた い 。 4 研 究の 目 標 批 評 文 を書 く 交 流 活 動 を 通 し て 、第 3 学 年 国 語 科 「 書 くこ と 」 に お け る 批 判的 思 考力 を 育 てる 学 習指 導 のあ り 方を 究 明す る 。 5 研 究仮 説 第 3 学 年 「 書 く こ と 」 に お い て 次 の よ う な 手 だ て を と れ ば 、「 書 く こ と 」 に お け る 批 判 的 思考 力 を育 て るこ と がで き るで あ ろう 。 (1)単 元を貫 く言語 活 動の 設 定の 工 夫 本 単 元 では 、 論 理 の 展 開 を 工 夫 し説 得 力 の あ る 批 評 文 を書 く こ と が で き る よう に する 。 そ の た め に、 学 習 の 最 後 に 書 い た 批評 文 を 1 年 生 に 読 ん でも ら い 、 説 得 力 の ある 文 章に な っ てい る かど う か評 価 して も らう と いう 単 元を 貫 く活 動 目的 を 設定 す る。そ れ に向 か って 、 付 けた い 力が 毎 時間 の 学習 で 積み 上 がっ て いく よ うに す る。 (2)選 択した 事 柄の 観 点を交 流 し、客観 的 に検 討 することで適 切な観 点 を導 き出 す工夫 自 分 な りに 考 え た 観 点 を 、 班 で 交流 す る 活 動 を 通 し て 、客 観 的 に 検 討 す る よう に させ 、 選 択 し た 事柄 を 分 析 す る た め の 適 切な 観 点 を 考 え る 。 よ り適 切 な 観 点 を 選 ぶ こと で 、自 分 の 述 べ た い事 柄 の 特 徴 が 見 え て く るこ と に 気 付 か せ 、 さ らに 関 連 し た 情 報 も 集め よ うと す る 意欲 へ つな い でい く よう に する 。
6 研 究の 計 画 (1)単 元 名 説 得力 の ある 考 えを 述 べよ う (2)単 元 の目 標 及び 指 導計 画 単 元 説得 力 の ある 考 えを 述 べよ う 総 時 数 8時 間 時期 6 月 ○ 社 会 生 活 の 中 か ら 関 心 の あ る 事 柄 に つ い て 、 取 材 を 繰 り 返 し な が ら 情 報 を 集 め 、 自 分 の 立 場 や 意 見 を 明 確 に し て 批 評 す る 文 章 を 書 こ う と し て い る。 ( 関 心・ 意 欲・ 態 度) ○ 資 料 を 適 切 に 引 用 し た り 自 分 の 考 え の 根 拠 を 明 確 に し た り し て 、 論 理 の 展開 や 表現 の 仕方 に つい て 考え 、説得 力 のあ る 文章 を 書く こ とが で きる 。 単元 の 目標 (書 く こと ) ○ 書 い た 文 章 を 互 い に 評 価 し 合 い 、 分 析 す る 観 点 を 決 め た り 表 現 を 改 善 し た り し て 、 自 分 の 見 方 や 考 え 方 を 深 め る こ と が で き る 。 ( 書 く こ と ) ○ 自 分 の 意 見 を 効 果 的 に 表 現 す る た め に 、 適 切 な 言 葉 を 選 択 す る こ と が で きる 。 (言 語 文化 と 国語 の 特質 に 関す る 事項 ) 次 時 具体的な目標 学習活動・内容 指導上の留意点(援助・支援) 批評文の構成と書き 1.2つの批評文を比較し、 方を知ろう。 気づいたことを基に、完成 までの学習計画を立てる。 ①「『批評』の言葉をためる」 ・「 批 評 」 と 「 批 判 」 の 違 い (教科書 P36)を読み、批 に 注意して 読むように指示 評することの意義を捉え する。 る。 ・自 分を知り 、相手と理解し 合 う た め に 、「 批 評 」 の 言 葉 をためる 必要があること を読み取らせる。 ②批評文の例(教科書 P33) ・2つの批評文を比較し、構 と教師が書いた映画につい 成 する観点 や論理の展開に ての批評文を比較し、他に つ いて気付 いたことを付箋 入れた方が良いと思う観点 紙にメモさせる。 をアドバイスする。 ③批評文の例(教科書 P33) を読み、話題に対する「肯 定的評価」「否定的評価」 および「筆者の主張」を捉 え、下段を参考に構成を確 認する。 ④学習の最後に、書いた批評 ・「 1 年 生 に 読 ま せ る 」 と い 文を1年生に評価してもら う 単元を貫 く言語活動(ゴ うための学習計画を確認す ー ルの活動 )を設定し、書 1 2 る。 い てみよう という意欲をも たせるようにする。 2.社会生活の中から、興味 批評文のテーマとし ・関心のある批評文のテー て取り上げたい事柄を マとその事柄を選択する。 決めよう。 ①テーマと事柄を書き出す。 ・前 時の宿題 として、本やイ ン ターネッ トで1人3つ集 めてくるようにさせておき、 教師側も用意しておく。 ②テーマと事柄を班で絞り込 ・肯 定・否定 の両面から評価 む。 で きるもの 、具体的な意見 を 主張でき るものを班で話 し合い、決定させる。
批評文を書くために 1.事柄についての観点を交 選んだ事柄を分析する 流し、客観的に検討したこ 観点を5つ選ぼう。 とを基に、自分の選んだ事 柄を分析するための適切な 観点を5つ選ぶ。 1 ①選んだ事柄についての自分 ・【テーマ例】(教科書 P33) / なりの観点を考える。 で 示してい る観点に着目さ 5 せ ることで 、客観的・分析 的 に論じた り評価したりす ることをイメージさせる。 本 ・根拠を必ず書かせる。 ②班で交流し、紹介したい人 ・そ の事柄の 特徴があらわれ を決め、その観点をみんな て いるかと いう視点で読ま 時 に紹介する。 せる。 ・ 良 い 点 ( ピ ン ク )、 改 善 点 (青)を付箋紙に書かせる。 ・全体でも共有させるために、 班から紹介したい人を決め、 その観点を紹介させる。 ③自分の観点を修正し、適切 ・選 んだ観点 と理由を書かせ な観点を5つ選ぶ。 る。 批評文に必要な資料 2.文の引用の仕方を理解し、 を集めよう。 自分の批評文に必要な資料 を集める。 ①文の引用の仕方や書き方を ・引 用するこ とで説得力を増 確認する。 す ことので きる資料の集め 方を考えさせる。 ②引用に必要な資料を集め ・学 習プリン トを用い、資料 る。 と 出典を書 き込ませ、資料 の どの部分 に使うか吟味さ せる。 2 4 集 め た 情 報 を 整 理 3.説得力のある文章を書く し、批評文の構成を考 ための構成を考え、一次作 えよう。 文を書く。 ①論理の展開の仕方に気を付 ・「 論 理 の 展 開 を 工 夫 し て 書 けて、構成を考える。 こ う 」(P165) を 参 考 に さ せる。 ・構 成案を書 き込める学習プ リ ン ト を 用 意 し 、「 序 論 ・ 本論・結論」「起承転結」「事 実 と 意 見 」「 主 張 と 根 拠 」 などを意識させる。 ②論理の展開を工夫して批評 文(一次)を書く。 批評文(一次)を読 4.書いた批評文(一次)を、 み合い、感想や助言を 班で相互評価し、修正へ向 伝え合い、清書をしよ けての見通しを立てる。 う。 ①論理の展開を工夫して批評 文(一次)を書く。 ②班で批評文を読み合い、説 ・根拠は明確、妥当であるか、 得力のある文章かどうか、 説 得力のあ る主張や意見で 判断する観点を明確にして あるかを見るようにする。 交流する。 ・意 見や感想 を具体的に書か せるようにする。 5.批評文を清書する。
1 年 生 に 読 ん で も ら 1.批評文を1年生に読んで い、反応から学習を振 もらい、学習の振り返りを り返りろう。 行う。 ①3つのグループに分かれ、 ・【評価の観点】 批評文を読んでもらい、3 ① 文の構成 (頭括型、尾括 3 1 つの観点から説得力のある 型、双括 型)は分かりや 批評文かを評価してもら すかったですか。 う。 ②主張はわかりましたか。 ③ 納得でき る具体例を示し たり、客 観的で信頼性の 高い資料 を引用したりし ていましたか。 7 指 導の 実 際 (1)本 時の 指 導観 前 時 ま で に 生 徒 は 、「 批 評 」 と 「 批 判 」 の 違 い や 、 批 評 文 を 構 成 す る 観 点 や 論 理 の 展 開 に つ い て 学ん で き て い る 。 ま た 、 1年 生 に 批 評 文 を 読 ん でも ら い 、 説 得 力 の ある 文 章に な っ て い る かど う か 評 価 し て も ら う とい う 活 動 目 的 に 向 か って 、 テ ー マ と し て 取り 上 げた い 事 柄を 班 で選 択 して い る。 そ こ で 本時 で は 、 選 択 し た 事 柄 を分 析 す る 適 切 な 観 点 を5 つ 選 ぶ こ と が で きる よ うに 、 客 観 的 に 検討 す る 交 流 活 動 を 取 り 入れ る 。 ま ず 、 自 分 な りに 考 え た 観 点 を 理 由と と もに 書 か せ る 。 次に そ の 事 柄 の 特 徴 が あ らわ れ て い る か と い う 視点 で 、 班 の 中 で 交 流し 合 い、 良 い 点 ( ピ ン ク )、 改 善 点 ( 青 ) の 付 箋 を 使 っ て 助 言 し 合 う 。 そ れ ぞ れ を 比 較 し て 助 言 し あ っ た り 、 質問 し あ っ た り す る こ と で適 切 な 観 点 に な っ て いる か を 、 確 か め 合 うこ と がで き る だ ろ う 。さ ら に 、 各 班 が ど ん な 観点 が 適 切 だ と 捉 え て いる か を 全 体 で も 共 有さ せ るた め に 、 班 か ら紹 介 し た い 人 の 観 点 を 理由 と と も に 発 表 さ せ る。 最 後 に そ れ ぞ れ の班 か ら出 さ れ た 観 点 を参 考 に 、 自 分 の 観 点 を もう 一 度 振 り 返 っ て 修 正し 、 5 つ の 観 点 を 選ぶ と いう 活 動 を通 し て、 批 判的 思 考力 の 育成 に つな げ たい 。 (2)本 時の 主 眼 選 択し た 事 柄 の 観 点 を 交 流す る 活 動 を 通 し て 、 客 観的 に 検 討 し 、 自 分 の 述べ た い 事柄 の 特 徴が あ らわ れ る観 点 を5 つ 選ぶ こ とが で きる 。 (3)展 開 過程 学 習 活 動 学習形態 指導上の留意点 ◇評価規準【方法】 配時 導 1.本 時の学習課題を 学習計 全体 ○ 何のために学習を積み上げているのか意 5 入 画表で確認する。 識するために、単元を貫く活動目的を確認 させる。 めあて 批評文を書くために、選んだ事柄を分析する観点を5つ選ぼう。 展 2.選 んだ事柄につい ての自 個 ○ 選んだ事柄を分析する観点を5つ書かせ 5 開 分なりの観点を考える。 るために、教科書の例を参考にさせる。 3.班 で交流活動をし 、批評 班 ○ 適切かどうか判断するために、選んだそ 15 文に適切な観点を考える。 の根拠を必ず述べさせる。
(1) 交換して観点を 読み合 ○ 選んだ事柄に対して適切な観点であるか い 、 付 箋 を 使っ て 助 言 す どうか判断するために、その事柄の特徴が る。 あらわれているかという視点で読ませ、良 い点(ピンク)、改善点(青)を付箋紙に書 かせる。 (2) 班から紹介した い人を ○ どんな観点が適切と捉えているのかを全 決 め 、 そ の 観 点 を み ん な 全体 体でも共有させるために、班から紹介した 15 に紹介する。 い人を決め、その観点を紹介させる。 終 末 (3)自分の観点を修正する。 〇 適切な観点にするために、出された観点 個 を参考にさせながら修正させる。 5 ◇なぜこの観点を選んだのか、その理由を書くことができ だか。 【学習プリントの記述、発言内容】 まとめ よりよい批評文を書くためには、自分の述べたい事柄の特徴が あらわれるような観点を多くもっておくとよい。 4.本 時の振り返りを し、次 〇 自分の批評文に必要な客観的な情報を集 5 時の学習へとつなぐ。 めさせるために、例を提示し、意欲付けを 行う。 8 研 究の ま と め (1)単 元を貫 く言語 活 動の 設 定の 工 夫に つい て 本 単 元 では 、 学 習 の 最 後 に 書 い た批 評 文 を 1 年 生 に 読 んで も ら い 、 説 得 力 のあ る 文章 に な って い るか ど うか 評 価し て もら う とい う 単元 を 貫く 活 動目 的 を設 定 した 。 ま た 、【 写 真 ① 】 の よ う に 模 造 紙 に 書 い て 常 に 目 に 触 れ る と こ ろ に 掲 示 し て お く こ と に よ っ て、 生 徒 は 次 の 学 習 に つ い て ス ム ー ズ に 準 備 す る こと が でき た。ま た、「 よし、書い て やろ っ かね 。」「 が ん ば ら な い け ん ね 。」 と い う 意 気 込 み を 聞 く こ と も で き た 。 日 頃 の 下 級 生 と の 関 わ り は 、 行 事 や部 活 動 と い う 大 き な 枠 の 中 の 上 級 生 の 一 人 と し て接 す る 生 徒 も 多 い だ ろ う 。 し か し 、 こ の 学 習 活 動で は 1 年 生 に 「 3 年 生 っ て こ ん な こ と し て る ん だ」 「 難し そ うな の にす ご いな 」 とい う 思い を 抱か せ た 。 そ ん な 声 を 聞 き 、 伝 え た と き の 3 年 生 の 笑 顔 や 「 難 し か っ た け ど し て 良 か っ た 。」 と いう 反 応を 見 ると 、自 己肯 定 感を 高 め、達 成 感を 味 わわ せ るこ と がで き た点 で 有効 だ った と いえ る 。 ( 2 ) 選 択 し た 事 柄 の 観 点 を 交 流 し 、 客 観 的 に 検 討 す る こ と で 適 切 な 観 点 を 導 き 出 す 工 夫 に つ い て 「 書 く こと 」 に お け る 批 判 的 思 考力 を 育 て る た め に は 、客 観 的 、 分 析 的 に 物事 を 見つ め 【 写 真 ① 】 単 元 を 貫 く 活 動 目 標 の 掲 示
る 姿 勢 を もた せ る こ と が 必 要 と な って く る 。 そ の た め に は、 段 階 を 追 っ て 、 わか り やす い 個 々 へ の 援助 ( 課 題 に 関 連 す る 言 葉へ の 線 引 き 、 例 示 、 指示 、 板 書 等 ) が 不 可欠 だ ろう 。 【 写 真 ② 】は 批 評 文 の 例 と 教 師 が 書い た 映 画 に つ い て の 批評 文 を 比 較 し 、 構 成す る 観点 や 論 理 の 展 開に つ い て 気 付 い た こ と を書 き 込 ん だ り 、 付 箋 紙に メ モ し た り し て いる プ リン ト で ある 。 ま た 、 限ら れ た 授 業 の 中 で 批 判 的思 考 力 を 育 て る た め に、 4 月 に 実 施 し た 実力 テ スト の 結 果 の う ち 、「 読 む こ と 」 の 領 域 か ら 偏 り の な い 班 を 編 成 し 交 流 活 動 を 取 り 入 れ た 。【 写 真 ③ 】 は 自分 な り に 考 え た 観 点 を 、班 で 交 流 し 選 ん だ 事 柄の 特 徴 が あ ら わ れ てい る かと い う 視点 で 良い 点( ピ ンク )、改 善点( 青 )の 付 箋紙 に 書い た もの で ある 。そし て【 写 真 ④】 は 班で 観 点を 出 し合 っ てい る 場面 で ある 。 授 業 後 の振 り 返 り で 「 交 流 す る こと に よ っ て 、 適 切 な 観点 を 5 つ 選 ぶ こ と がで き まし た か 」 と い う 項 目 で は 「 で き た 」 と 回 答 し た 生 徒 は 8 0 % 、「 文 章 の 展 開 や 構 成 を 工 夫 し て 文 章 を 書 く こ と が で き ま し た か 」 と い う 項 目 で 「 で き た 」 と 回 答 し た 生 徒 は 6 8 % で あ っ た 。 交 流に よ っ て 観 点 を 5 つ 選 ぶこ と が で き た 生 徒 は 多い が 、 批 評 文 を 書 くま で に交 流 や 推 敲 を 繰り 返 し た こ と か ら 、 批 判的 思 考 力 を 育 て る た めに は 、 基 本 を 踏 ま えて 文 章を 書 く 練習 が さら に 必要 で ある と いえ る 。 感 想 で は 「 同 じ 事 柄 で も そ れ ぞ れ 違 う 観 点 が 出 さ れ て 、 お も し ろ い と 思 い ま し た 。」 や 「 自 分 が 気 付 い て い な い こ と を ア ド バ イ ス し て も ら い ま し た 。 で も 説 得 力 の あ る 文 章 を 書 く た め の 観 点 を 考 え る の は 少 し 難 し か っ た で す 。」 と い う も の が あ っ た 。 違 う 観 点 を 出 し 合 う こ と や 自 分 が 気 付 い て い な い こ と を ア ド バ イ ス し 合 え たこ と は、自 分 を表 現 でき る 環境( 班 編 成 ) や 共 通 の 問 題 を 通 し て 一 人 一 人 が 考 え を も ち 、 話 し 合 う こ と で 、 も の の 見 方 や 考 え 方が 広 が っ た か ら で はな い かと 考 え る。 【 写 真 ② 】 構 成 を 理 解 す る た め の 学 習 プ リ ン ト 【 写 真 ③ 】 観 点 に つ い て 助 言 し 合 う 交 流 【 写 真 ④ 】 観 点 を 班 で 紹 介 し 合 う 交 流
9 研 究の 成 果 と課題 (1)成 果 ○ 単 元 を貫 く 言 語 活 動 の 設 定 は 生徒 の 自 己 肯 定 感 を 高 め、 達 成 感 を 感 じ さ せる 上 でも 有 効 で ある 。 ○ 「 書 くこ と 」 に お け る 批 判 的 思考 力 を 育 て る た め に は段 階 を 追 っ た 個 々 への 援 助( 課 題 に 関連 す る 言 葉 へ の 線 引 き 、例 示 、 指 示 、 板 書 等 )と い う 教 師 側 の 援 助と 、 意図 的 に 行 った 班 編成 で の交 流 活動 が 有効 で ある 。 ○ 交 流 活動 で は ① 場 へ の 信 頼 が ある ② 共 通 の 問 題 が あ る③ 一 人 一 人 に 考 え があ る ④考 え に 異 質性 が ある と いう 成 立条 件 が必 要 であ る 。 (2)課 題 ● 段 階 を追 っ て 、 わ か り や す い 個々 へ の 援 助 ( 課 題 に 関連 す る 言 葉 へ の 線 引き 、 例示 、 指 示 、板 書 等) を さら に 工夫 す る必 要 があ る 。 ● 1 単 位 時 間 の 中 で 押 さ え る べ き ね ら い を 絞 り 込 み 「 問 い づ く り 」「 思 考 づ く り 」「 価 値 づ くり 」 をも っ と意 識 して 行 う必 要 があ る 。 ● 学 習 プリ ン ト に 記 入 す る 際 の 記入 の 仕 方 に 違 い が 見 られ た 。 教 師 の 指 示 を的 確 に伝 え る 必 要が あ る。 ◇ 主 な 参考 文 献 ・ 中 学 校 学習 指 導 要 領 解 説 国 語 編( 平 成 2 0 年 ) 文 部 科学 省 ・ 評 価 規 準・ 評 価 方 法 等 の 研 究 開 発 国 立 教 育政 策 研究 所 ・「 読 解 力 」 を 高 め る 国 語 科 授 業 の 改 革 - P I S A 型 読 解 力 を 中 心 に - 鶴 田 清 司 著 明 治図 書 ・ 新 中 学 校国 語 科 重 点 指 導 事 項 の 実践 開 発 河 野 康 介 編 著 明 治図 書 ・ 第 3 学 年 単 元 構 想 表 で つ く る ! 中 学 校 新 国 語 科 授 業 START BOOK 富 山 哲 也・ 杉 本 直 美 編 著 明 治図 書 ・ 中 学 校 国語 科 新 授 業 モ デ ル 河野 庸 介 ・ 佐 藤喜 美 子 編 著 明 治図 書