9エ
自 営 業 者 の 所 得 分 布
IncomeDis七ribu七ionsoftheself‑empIoyedinJapan
大 崎 洋
HiroshiOHSAKI
1.は じめ に
2.自 営 業 者 の就 業 構 造 とそ の 変 化 2.1個 人 ベ ー ス か らみ た 就 業 構 造 2.2世 帯 ベ ー スか らみ た 就 業 構 造 3.自 営 業 所 得 の 分 布
3.1自 営 業 所 得 の 特質 3.2資 料 の 説 明
3.3個 人 ベ ー ス で み た 所 得 分 布 3.4世 帯 ベ ー ス で み た 所 得 分 布
4.自 営 業 者 の属 性 グ ル ー プ間 所 得 隔 差 4.1産 業 聞 隔 差
4.2規 模 問 隔 差 4.3年 齢 ・勤 続 間 隔 差 4.4学 歴 ・職 業 間 隔 差 5.自 営 業 所 得 分 布 の 推 移
5.1個 人 ベ ー ス で み た 所 得 分 布 の 推 移 5.2世 帯 ベ ー ス で み た 所 得 分 布 の 推 移 6.結 果 の要 約
1.は じ め に
r昭 和57年 度 労 働 力 調 査 』 に よれ ば,独 立 し てみ ず か ら事 業 を 営 む 自営 業 者 は労 働 人 口 の16.7%,さ ら に 家 業 を 手 伝 う家 族 従 業 者 を 含 め る と27.1%と1/4強 を 占 め る.ま た 国 民 所 得 統 計 に よれ ば,分 配 国 民 所 得 に 占 め る個 人 企 業 の 所 得 シ ェア は10%前 後 に 達 す る.た
しか に,昭 和40年 で は個 人 企 業 の 所 得 が 国 民 所 得 の22%を 占 め て い た 事 実 に く らべ れ ぽ 1/2に 低 下 し て は い るが,そ れ で も 自営 業 の 相 対 的 な 重 要 性 は 労働 人 口比 で み て もま た 国 民 所 得 比 で み て も依 然 と して 失 わ れ て い な い.
しか し,自 営 業 所 得 分 布 に 関 す る研 究 は 雇 用 所 得 分 布 の 研 究 に比 較 し て ほ とん ど着 手 され て い な い の が 現 状 で あ る1).そ の 大 き な 理 由
1)最 近 の 研 究 と し て は,貝 塚 ・石 田 等[3], RoyalCommission[4]等 を あ げ る こ と が で
き る.
の ひ とつ に 自営 業 所 得 分 布 に関 す る基 礎 資 料 の 不 足 お よび 不 備 を あ げ る こ とが で き よ う.
本 稿 の 研 究 目的 は,こ の よ うな 資 料 の 制 約 を 意 識 し な が ら も,利 用 可 能 な統 計 デ ー タを つ か って 給 与 所 得 分 布 と比 較 し た 自営 業 所 得 分 布 の 不 平 等 度 とそ の 特質 な らび に産 業,規 模,地 域,年 齢,勤 続,教 育,職 業 とい った 属 性 グル ー プ間 に お け る所 得 隔 差 とそ の 最 近 11年 間(昭 和46年 〜57年)の 推 移 を 検 討 す る
こ と に あ る.
2.自 営 業 者 の 就 業 構 造 と その 変 化
2.1個 人 べ 一 ス か ら み た 就 業 構 造
就 業 者 は 従 業 上 の 地 位 に も とつ い て,(1)自 営 業 者,② 家 族 従 業 者,(3雇 用 者 の い ず れ か に分 類 さ れ る.自 営 業 者 と は個 人 で 独 立 し て,雇 人 ま た は 家 族 な い し 自分 の 労 働 を つ か っ て 事 業 を 営 ん で い る者 を い う.自 営 業 者 の
92季 刊 創 価 な か に は 原 則 と し て 自宅 で 賃 仕 事 を 行 な う内 職 者 も含 め られ る.他 方,家 族 従 業 者 とは 家 族 が 経 営 す る事 業 を手 伝 って い る者 を い い, 原 則 と して 無 給 の 者 を い うが 小 遣 い 程 度 の 所 得 の 者 は 家 族 従 業 者 と し て 取 扱 わ れ て い る.
な お民 間 の 役 員 は 雇用 者 の な か に 含 ま れ る.
所 得 の 受 領 単 位 と し て は,稼 得 主 体 で あ る 個 人 ベ ー ス と生 計 の 単 位 で あ る世 帯 ベ ー ス と の2つ が 考 え られ る.ま ず 個 人 ベ ー ス を と り あ げ,つ づ い て 世 帯 ベ ー ス を と りあ げ る こ と に す る.個 人 ベ ース の 自営 業 者 に 関 す る統 計 は 雇 用 者 に 関 す るほ ど十 分 整 備 され て い な い が,総 理 府 の 『国 勢 調 査 』,『就 業 構 造 基 本 調 査 』(以 降 『就 業 構 造 』 と略 称 す る),労 働 省 の 『労 働 力調 査 』等 を 利 用 す る こ とが で き る.
まず 『就 業 構 造 』 は3年 ご とに 全 国 の 世 帯 の 1%の 標 本 を 対 象 に した 大 規 模 調 査 で あ る が,最 近 時(昭 和57年)の 調 査 に よれ ば,自 営 業者 は954万 人 で あ り有 業 な い し就 業 人 口 の16.5%を 構 成 す る.ま た 家 族 従 業 者 は587
経 済 論 集Vol.XVNo.1
万 人 で 就 業 人 口 の10.1%を 占 め る.他 方,r国 勢 調 査 』 は5年 ご と の 全 数 調 査 で あ る が 最 近 時(昭 和55年)の 調 査 に よ れ ば,自 営 業 者 は 939万 人,家 族 従 業 者 は629万 人 で 就 業 者 総i数 の16.9%と11.3%を そ れ ぞ れ 占 め る.し た が っ て 自営 業 者 は 就 業 人 口 の16〜17%,家 族 従 業 者 は10〜11%,両 者 の 総 計 が27%前 後 を 占 め,残 りの72〜3%が 雇 用 者 で 構 成 さ れ る と み て よ い で あ ろ う.
自 営 業 者 の う ち で 内 職 者 は107万 人(11.2
%)で あ り,そ の76%は 女 性 で 占 め ら れ て い る.内 職 者 を 除 い た 自 営 業 者847万 人 の う ち, 雇 人 が い る 者 は212万 人(25.0%)で あ り, 雇 人 が い な い 者 は634万 人(74.9%)と3/4を 構 成 す る.男 女 別 の 構 成 を み る と,自 営 業 者 で は 男 性 が654万 人(68。6%),女 性 が299万 人(31.4%)と 男 性 が 多 く,反 対 に 家 族 従 業 者 で は 男 性 が107万 人(18.2%),女 性 が480 万 人(81.8%)と 女 性 の 割 合 が 特 に 高 い.
就 業 人 口 の 従 業 上 の 地 位 別 構 成 比 の 推 移 を
第1表 自 営 業 者 と家 族 従 業 者 の 推 移(昭 和31〜57年) (万 人)
昭 和31年 34 37 40 43 46 49 52 54 57
就業 者総数 全 産 業
3,980 4,133 4,286 4,478 4,901 5,063 5,134 5,365 5,474 5,789
自 営 業 者
全 産 剰 農 林 業 レ隈 牒
1,053 1,077 978 971 1,000
990 947 973 954 954
543385543068072729645554433222 735825291489797127914444566667
家 族 従 業 者
全 産 剰 農 林 業 譲 聯
1,162 1,038 887 816 848 707 575 610 573 587
030020090380621865ρ049866543222 247757613409018862132122222333
資 料:r就 業 跨造 』
June1985大 崎 洋:自 営 業 者 の所 得 分 布
(%) 3。!
25
20
15
ユ0
5
第1図 全就 業者 に 占め る 自営 業者 の 比率 の 推移
0 30354045
資 料:『 就 業 構 造 』 (1)自 営 業 者 総 数 比 率 (2)非 農 林 自 営 業 数 比 率 (3)農 林 自営 業 者 比 率
50 55(年)・
昭 和30年 以 降 で み る と,就 業 人 ロに 占め る 自 営 業 者 と家 族 従 業 者 の 割 合 は 趨 勢 的 に 低 下 し つ つ あ る.す な わ ち 『国勢 調 査 』 に よ れ ば,
自営 業 者 比 率 は 昭 和30年 の23.5%か ら昭 和55 年 の16.7%へ と6.8%ポ イ ン トほ ど低 下 し て
お り,さ ら に家 族 従 業 者 の 比 率 は3G%か ら 10%へ と1/3ほ ど に 低 下 して い る.そ の 結 果
この25年 間 で 家 族 従 業 者 を 含 め た 自営 業 就 業 者 の比 率 は55%か ら27%へ と1/2に 大 き く減
少 し て い る.
以 上 は 全 産 業 でみ た 変 化 で あ った が,こ れ を 産 業 別 構 成 で み る と変 化 は 一 様 で な い こ と が 判 明す る,す な わ ち 農 林 業 に お け る 自営 業 者 の 比 率 は14.4%か ら4.2%へ と低 下 し,さ
らに 家 族 従 業 者 は24.1%か ら4.4%へ と82%
も減 少 して い る.こ れ に対 し て,非 農 林 業 で は 家 族 従 業 者 を 含 め た 自営 業 就 業 者 の 比 率 は ユ7%か ら18%へ とわ ず か な が ら も上 昇 しつ つ
93
あ る.そ の 結 果 自営 業 内 部 で の 産 業 構 成 比 は 農 林 業 が67%か ら25%へ と低 下 した 反 面,非 農 林 業 が33%か ら75%へ と比 重 を 上 昇 しつ つ
あ る,し た が っ て 戦 後 の4半 世 紀 に お け る 自 営 業 者 と家 族 従 業 者 の比 率 の 低 下 は お も に両 者 の 比 重 が 高 い 農 業 部 門 の 縮 小 に よ っ て もた ら され た とみ て よい で あ ろ う.な お,就 業 構 造 の 国 際比 較 か らみ た 場 合,我 が 国 は 先 進 工 業 国 の な か で も 自営 業 者 と家 族 従 業 者 の比 率 が高 い グル ー プに 属 す る2).
就 業 者 の 従 業 上 の地 位 別 構 成 を 産 業 別 に 示 し た 表2か ら もわ か る よ うに,自 営 業 者 の 比 率 が 相 対 的 に高 い 産 業 部 門 は 農 林 業,漁 業 水 産 養 殖,卸 ・小 売,サ ー ビス,建 設,製 造 業 とい った 業 種 で あ る,家 族 従 業 者 は 農 林 ・漁 業 が 多 く農 林 業 で は 自営 業 従 事 者 が94%と 大 部 分 を 構 成 す る.こ れ に 対 し て非 農 林 業 で は 自営 業 従 事 者 は2C%ほ どを 占め,残 りの80%
は 雇 用 者 で構 成 され る.
つ ぎに,自 営 業 者 の お もな 職 業 構 成 を み る と,最 も多 い の が い わ ゆ る職 人 と呼 ば れ る技 能 工 ・生 産 工 程 作 業 者 で32%と1/3弱 を 構 成 す る.そ の つ ぎが 農 林 漁 業 作 業者 で27%と 1/4強 を 占 め る.3番 目は飲 食 店 主等 の 販 売 従 事 者 で19%を 占 め,4番 目は不 動 産 賃 貸 借, 旅 館,理 容 等 の サ ー ビス 業 従 事 者 で11%を 占 め る.5番 目 は弁 護 士,医 師,建 築 士,個 人 教 授 等 の 専 門技 術 職 従 事 者 で7.7%を 占 め る.
『事 業 所 統 計 調 査 』 に よれ ば,非 農 林 業 の 個 人 業 主 の み で事 業 を 経 営 す る比 率 は28%,
さ らに 業 主 以 外 に も う1人 の 従 業 員(そ の 大
2)デmは1980年 とや や 古 い が,家 族 従 業 者 を 含 め た 自営 業 従 事 者 の構 成 比 が 高 い 国 は フ ラ ンス が16.9%(た だ し 自営 業 者 のみ),西
ドイ ツが13.6%等 で あ る.日 本 は これ らの 国 々 よ りさ らに10%ポ イ ン トほ ど高 い.
94 季刊 創 価 経 済 論 集
第2表 自営業者 と家族従業 者の産 業構成 比(昭 和57年)
Vol.XVNo.1
C°o)
総 数
農 林 業
非 農 林 業
漁 業 水 産 養 殖
鉱 業
建 設 業
製 造 業
卸 ・ 小 売
金 融 ・保 険 ・不 動 産
運 輸 ・通 信
サ ー ビ ス
就 業 者 構 成 比P
自蝶 者 家族従矧 計
505950361346635261884514131111 114885591086505422ーム49臼‑ Q﹂00
(U4 ハ01占0ゾ
64049自0ゾー⊥ 73585222
13151050ρ09自‑QJ‑⊥ワθ
産 業 構 成 比2>
自営業者 隣 従業者 層一二口 十
x.00.0 25.4 74.6 1.7 0.03 9.2 17.0 25.2 1.9 1.6 18.1
100.0 43.1 56.9 2.0 0.02 5.1 10.9 28.4 0.8 0.6 9.1
zoo.0 32.2 1 1.8 0.02 7.6 14.G 26.4 1.5 1.2 14.7
資 料:『 就 業 構 造 』 昭 和57年,
備 考1)は 各 産 業 の 就 業 者 に 対 して 占め る構 成 比(00).
2)は 自営 業 者 と家 族 従 業 者 の産 業 構 成 比(%).
部 分 は家 族 従 業者)が い る者 は34%に な る.
い い か え れ ば 自営 業 主 を 含 め た 従 業 者 が2人 の 零 細 企 業 の比 率 は62%と 過 半 数 を 構 成 す る.
実 際,雇 人 が な い 自営 業 者 の 比 率 が3/4を 占 め る こ とか ら もわ か る よ うに,4人 未 満 の企 業 で は 個 人 業 主 と家 族 従 業 者 の 割 合 が8割 近
くを 占 め,雇 用 者 は2割 程 度 に す ぎ な い.
2.2世 帯 べ 一 ス か らみ た 就 業 構 造
自営 業 世 帯 数 に関 す る推 計 は 各 統 計 に よ っ て 定 義 が 異 な るた め に ち が った 結 果 を 示 す.
まず,『 国 勢 調 査 』 は世 帯 主 の 従 業 上 の 地 位 に も とつ い て 世 帯 を 分 類 し てい る.そ れ に よ る と,自 営 業 世 帯 は 全 世 帯 の23%を 占 め,そ の うち の2/3の15%は 自営 業 を 専 業 と し,残 りの1/3の8%は 雇 用 者 の 世 帯 員 を もつ 混 合 世 帯 で 占 め られ る,こ れ を 農 林 ・非 農 林 でみ る と農 林 業 の 自営 業 世 帯 の 半 数 の53%が 兼 業
世 帯 を 構 成 し,非 農 林 業 で は27%が 兼 業 世帯 と な る.い ず れ に せ よ,自 営 業 と雇 用 と の双 方 か ら所 得 を 得 て い る 自営 ・雇 用 混 合 世 帯 が 全 世 帯 の14%を 占 め て お り,い ず れ の 世 帯 に 分 類 す るか が 問 題 とな る.
厚 生 省 の 『厚 生 行 政 調 査 』(以 降 『厚 生 行 政 』 と略 称)は 作 付 可 能 な 耕 地 が0.3ヘ ク タ
ー ル(北 海 道 で は α5ヘ ク タ ー ル)以 上 の世 帯 を 農 耕 世 帯 と定 義 し て い る.そ れ に よれ ぽ 農 耕 世 帯 数 は365万 世 帯 で,そ の うち の74%
は 雇 用 者 また は 農 耕 以 外 の 自営 業 者 が い る兼 業 農 家 と推 定 さ れ る.r厚 生 行 政 』 の農 家 世 帯 数 は 世 帯 主 の 従 業 上 の地 位 に も とつ く 『国 勢 調 査 』や 『就 業 構 造 』の 推 計 値 よ り も約100 万 戸 ほ ど多 い が,こ れ は 世 帯 主 以 外 の 世 帯 員 が 農 耕 に従 事 し て い る点 を カ バ ー し て い るか らで あ ろ う.ま た 非 農 林 の 自営 業 世 帯 数 も50 万 戸 ほ ど多 く,け っ き ょ く 自営 業 世 帯 総 数 は
June1985大 崎L洋:自 営 業 者 の 所 得 分 布
第3表 自営 業 者 ・家 族 従 業 者 世 帯 の 推 移(昭 和31〜57年)
9ラ (万 戸)
昭 和31年 34 37 40 43 46 49 52 54 57
r就 業 構 造 』P
全 産 剰 農 林 業 非 農 林 業
QゾQJ4ハ00004QOOOワ﹂ 90Qゾ61127̀7・0り09臼AUOσ77‑7●7■7‑7ρ0 7‑‑∴9μ0ゾ09臼14﹃04 ‑ρ0ρ02827Gσ5QU521QソOJOJり山9臼ウ臼9淘‑占 222843439578781459893333444444
『厚 生 行 政 』z>
全 産 業 降 雛 副 自営籍 世帯・・
772126578016740778888998 7ワ臼0ーム0ゾ0ゾ 041占741⊥‑⊥OJOOβ0庁044 Q40﹂∩)4りムー﹂444 78∩4﹁04だ0ρ000Qり3 ∩◎9一ρ01⊥り々0り 573751581721935433454555
備 考:1)r就 業 構 造 』 は 世 帯 主 の 従 業 上 の地 位 に よ る区 分.
2)r厚 生 行 政 』 の農 耕 世 帯 は作 付 可 能 な耕 地 が0.3ヘ ク タ ー ル 以上(北 海 道 で は0.5ヘ クタ ール 以 上)の 世 帯 を い う.
3)最 多 収 入者 が 農 業 以 外 の 自営 業 を 行 っ て い る世 帯 を い う.
912万 戸 と 『就 業 構 造 』 の692万 戸 よ り も220 万 戸 ほ ど上 回 り,全 世帯 に 占 め る比 率 も後者 の19%に 対 し て25%と1/4ほ どを 構 成 す る,
な お,農 家 世 帯 の兼 業 度 に 関 す るデ ー タ と して は,農 林 水産 省 の 『農 林 業 セ ンサ ス』 が よ り詳 しい.昭 和55年 の 調 査 に よ れ ば 農 家 世 帯 は466万 戸 と推 定 され,そ の うち 専 業 農 家 は13%を 占め る.他 方,兼 業 農 家 は 原 則 と し て主 な る収 入 源 の 大 小 に よ って 農 業 収 入 を 主 とす る第1種 兼 業 と農 業 収 入 以 外 を 主 とす る 第2種 兼 業 と に区 分 さ れ る.兼 業 農 家 の う ち,第1種 兼 業 は22%,第2種 兼 業 は65%を そ れ ぞ れ 構 成 す る.し た が っ て農 業 収 入 を 主 とす る 農 家 世 帯 は35%,農 外 収 入 を 主 とす る 兼 業 農 家 は65%と な る.
農 家 の 専 業 ・兼 業 度 を 昭 和30年 以 降 の推 移 で み る と,専 業 農 家 の 割 合 が35%か ら13%へ と大 き く低 下 し,ま た 第1種 兼 業 農 家 の割 合
も昭 和40年 代 に 入 って か ら1/2程 度 と急 激 に 低 下 しつ つ あ る.こ れ に 対 して,第2種 兼 業 農 家 は20%か ら65%へ と3.2倍 も急 増 して い る.そ の 結 果,兼 業 化 の 進 展 に と もな い農 家 所 得 に対 し て 占 め る農 業 所 得 の 依 存 度 も50%
近 くか ら2G%へ と大 き く落 ち込 ん で い る.
3.自 営業 所 得 の 分 布
3.1自 営 業 所 得 の 特 質
自営 業 か らの 所 得 は 自分 の 労 働 と資 本 とを 投 入 して 得 られ た 事 業 収 入 か ら必 要 な経 費 を 控 除 した あ との 所 得 と定 義 され る.こ の所 得 の な か に は,(1)自 分 の 労 働 サ ー ビス に対 す る 報 酬,(2)投 下 した 物 的 資 本 に 対 す る収 益 そ れ に(3)事業 に と も な う危 険 負担 に対 す る報 酬 とが 含 ま れ て い る とみ られ る。 もち ろ ん,自 営 業 所 得 を 構 成 す る3つ の要 素 は 自営 業 者 が
g6季 刊 創 価 従 事 す る事 業 や 職 業 の種 類 に よ っ て 異 な って
く るで あ ろ う.一一般 に,教 育 等 の人 的 資 本 を 含 め た 資 本 の 投 下 量 が大 き く また 需 要 の 変 動 に と も な う事 業 の 危 険 率 が 高 い ほ ど 自営 業 所 得 は 高 くな る もの と予 想 さ れ る.雇 用 所 得 の 場 合,事 業 活 動 の 繁 閑 に と もな う変 動 所 得(た
と え ば ボ ー ナ ス,残 業 手 当 て 等)の 割 合 は 相 対 的 に高 くは な い が,自 営 業 所 得 は 事 業 活 動 の 業績 に よ って 左 右 され る割 合 が よ り高 い の で,変 動 所 得 の 比 率 は一 層 高 い とみ て よい3).
の み な らず 競 争 に勝 ち残 り事 業 に成 功 す る 自 営 業主 が い る反 面,事 業 に 失 敗 し損 失 を こ う む る 自営 業 主 も少 な くな い.そ の 結 果 同 じ産 業 や職 業 で も,自 営 業 所 得 の分 散 は雇 用 所 得 に 比較 し て一 層 大 き くな る も の と予 想 され る.
な お,自 営 業 所 得 と雇 用 所 得 とを 比 較 す る さ い 以 下 の点 に留 意 す る必 要 が あ ろ う.ま ず
自営 業 所 得 の 場 合,減 価 償 却 費 等 の変 更 に よ って 年h変 動 す る可 能 性 が あ る.第2に は 家 族 従 業 者 の所 得 の 取 扱 い が 問 題 に な る.一 応 事 業 所 得 を 算 出 す る さ い 控 除 す る必 要 経 費 の な か に家 族 従 業 者 に支 給 さ れ る小 遣 い 等 も含 ま れ てい る.し か し大 多 数 の 個 人 経営 で は 自 営 業 主 とそ の 家 族 従 業者 が と もに働 い て い る 場 合 が ほ とん ど で あ り,申 告 さ れ た 事 業 所 得 の なか に は家 族 従 業 者 の 賃 金 ・給 与 が 含 まれ て い る可 能 性 が 高 く,稼 得 した 個 人 に事 業 所 得 を 帰属 さ せ る こ とは 困 難 で あ る.第3に
は.雇 用 者 は 退 職 金 や 福 利 厚 生 費 等 の 付 加 給 付 を 利 用 す る こ とが で き るが 自営 業 者 は そ の よ うな 付 加 給 付 を 享 受 す る こ とが で きな い.
経 済 論 集Vo1.XVNo・1
第4に は,自 営 業 所 得 は源 泉 徴 収 さ れ る給 与 に比 較 し て,事 業 と家 計 との 区 分 が あ い ま い な うえ に,経 費 の 水増 し等 を つ うじた 所 得 の 過 小 申 告 の 可 能 性 も考 え られ る.そ して 第5 に,自 営 業 者 と雇 用 者 と は 年 齢,勤 続,性 別,産 業 構 成 等 の属 性 が そ れ ぞ れ 異 な る か
ら,共 通 の ベ ー ス に た っ て両 所 得 を 比 較 す る 必 要 が あ る.
3,2資 料 の 説 明
自営 業 所 得 に関 す る統 計 デ ー タ と し て は, 総 理 府 の 『就 業 構 造 』,『家 計 調 査 』,『貯 蓄 動
向調 査 』,厚 生 省 の 『国 民 生 活 実 態 調 査 』(以 降 『生 活 実 態 』 と略 称),『 所 得 再 分 配 調 査 』, 国 税 庁 の 『申 告所 得 税 標 本 調 査 』(以 降 『申 告 所 得 』 と略 称),農 林 水 産 省 のr農 家 経 済 調 査 』(以 降(『 農 家 経 済 』 と略 称)等 と一 応 豊 富 で あ るが 信 頼 し うる所 得 分 布 デ ー タ とな る
と種hの 問 題 に 直 面 す る.
まず 『就 業 構造 』 は 標 本 規 模 とす べ て の 業 種 にわ た る 自営 業 を カバ ー し て い る点 で は 優 れ て い るが,す で に 拙 稿[2]で も指 摘 した よ うに 所 得 に 関 す るデ ー タ の信 頼 度 は 劣 る.
と くに 高 額 所 得 に 対 す る所 得 階 級 の 区 分 が 粗 す ぎ る の で,高 額 所 得 階 層 の比 率 が 高 い 自営 業 所 得 の不 平 等 度 を 測 定 す る さい よ り多 くの 誤 差 が 入 り込 む 可 能 性 が あ る4),し か し,他 の統 計 に比 し て 自営 業者 の 属 性 に関 す る情 報 を 入 手 し うる長 所 を も っ て お り,自 営 業 所 得 の 分 析 で も広 く利 用 さ れ て い る の で本 稿 に お い て もお も に 取 りあ げ る こ と にす る.
3)数 年 間 の 平均 を とれ ぽ こ の点 を 多 少 と も除 去 す る こ とが で き る が,一 般 に と られ て い る 単 年 度 ベ ー ス で 不 平 等 度 を 測 定 す る場 合 この 点 に 留 意 す る 必 要 が あ ろ う.
4)本 稿 で は最 高 位 の所 得 階 級 の平 均 所 得 は お も に パ レー ト係 数 をつ か った 外 挿 法 に よ っ て 推 定 して い るの で多 少 過 大 評 価 の可 能 性 が あ
る.
June1885大 崎 洋:自 営業者 の所 得分 布 国 税 庁 の 『申 告所 得 』 は 事 業 所 得 等 の 申 告 所 得 納 税 者 を 対 象 に した 税 務 標 本 調 査 で あ る.事 業 所 得 に 関 す る デ ー タ と し て は よ り正 確 で あ ろ うが,過 小 申告 の 可 能 性 と課 税 最 低 限 以 下 の低 所 得 を 標 本 か ら除 い て い る とい っ た カ パ レ ッヂ の 点 で も問 題 が あ る.以 上 の2 統 計 は お もに 個 人 ベ ー ス の 自営 業 所 得 を 調 査
し て い るが,他 の統 計 は 世 帯 ベ ー ス の 自営 業 所 得 を調 査 して い る.ま ず 厚 生 省 のr生 活 実 態 』 は す べ て の 業 種 を カ バ ー して い る点 で優
れ て い るが 所 得 デ ー タ の 精 度 は 劣 る,
『家 計 調 査 』 な ら び に そ の標 本 を 利 用 し た
『貯 蓄 動 向 調 査 』 は2人 以 上 の 普 通 な い し一・
般 世 帯 の うち の 勤 労 世 帯 を お も に対 象 に した 標 本 調 査 で あ る が,勤 労者 以 外 の 一 般 世 帯 と し て 自営 業 世 帯 を含 め た 標 本 も調 査 し て い る.た だ し,農 林 漁 業 お よ び単 身 世 帯 とが 除 か れ て い る うえ 一 般 世 帯 の なか に は法 人 経 営 者 や 無 業 世 帯 も含 め られ,自 営 業 世 帯 の 所 得 状 況 を 正 確 に は 把 握 しえ な い.上 記 の2統 計 は家 計 簿 の 記 帳 に も とつ く調 査 で あ るが,こ れ に 対 応 す る も の が 農 林 水 産 省 の 『農 家 調 査 』 で あ る.家 計 簿 の 記 帳 に よ る だ け に所 得 デ ー タ の信 頼 度 は よ り高 い で あ ろ うが,一 般 に家 計 簿 の 記 帳 に 対 す る拒 否 率 が 低 所 得 層 ほ ど高 くな る傾 向 が み られ るか ら,そ の 点 の カ バ レ ッヂ な い し 代 表 性 が 問 題 に な る、 な お, 農 家 の場 合 自家 消費 に よ る現 物 所 得 は 無 視 で
きな い割 合 を 占 め る5).そ の 点 で 現 金 所 得 の み を 調 査 し て い る 『就 業 構 造 』 は過 小 評 価 の
お そ れ が あ る.
自営 業 所 得 は雇 用 所 得 に比 し て仕 事 量 との
5)『 農 家経 済 』(昭 和57年 分)に よれ ば,現 物 所 得 は農 業 所 得 の2割 近 くを構 成 す る が,農
家 所 得 に 対 して は4.3%に と ど ま る.
97
結 び つ き が よ り直 接 的 で あ る.そ れ ゆ え所 得 分 布 を と りあ げ る さい 所 得 を 稼 得 す るた め に 費 し た 就 業 日数 な い し時 間 を コ ン トmル し 所 得 に 対 す る就 業 期 間 の 差 異 に よ る影 響 を と り除 く必 要 が あ る.『 就 業 構 造 』 に よれ ぽ, 自営 業 者 で200日 未 満 就 業者 は31.5%,ま た 200日 以 上 就 業 者 の うち で35時 間 未 満 の 短 時 間 就 業 者 は6%あ り,両 者 を 合 計 した パ ー ト タ イ マ ー比 率 は37.5%に 達 す る.雇 用 者 の パ ー トタ イ マ ー比 率 が15 .2%で あ るか ら短 期就 業 者 の 割 合 が 自営 業 者 に高 い こ とが わ か る.
しか し一 方 で 週 間就 業 時 間 が60時 間 を こ}る 長 時 間 就 業 者 の 比 率 も38%と 雇 用 者 の そ れ よ
り も7.3%ポ イ ソ トほ ど上 回 る.同 様 の こ と は 家 族 従 業 者 に つ い て もい え る.
そ こで,200日 以 上 就 業 しか つ 週35時 間 以 上 の就 業 者 を フル タ イ ム の 自営 業 者 と定 義 す れ ば,男 女 計 で62.4%,男 性74%,女 性38%
を 構 成 す る.女 性 の フ ル タ イ マ ー比 率 が 低 い の は 内 職 者 が1/3を 占 め るか らで,内 職者 を 除 け ば フ ル タ イ マ ・一比 率 は50.3%と12%ポ イ ン トほ ど上 昇 す る.自 営 業 者 の フル タイ マ ー 比 率 が 雇 用 者 に く らべ て 低 い 理 由 の ひ とつ に 農 林 漁 業 の影 響 が考 え られ る,こ れ らの 産 業 は も と も と季 節 的 な労 働 の 性 格 が 強 く,200
日未 満 就 業者 が 半 数 近 くを 占 め る.ま た 女 性 の 場 合,仕 事 が 主 な 者 の比 率 が40%と 低 く家 事 等 を 主 にす る補 助 的 な 労働 の性 格 が 強 い こ
とを 示 唆 す る.以 上 の よ うに,自 営 業 者 の場 合 就 業 の 密 度 が 性 別 や産 業 に よ って 大 き く異 な るか ら,こ れ らの 影 響 を 除 い た フル タ イ ム の 自営 業 所 得 を ベ ー ス に とる こ とが 望 ま しい .
3.3個 人 ベ ー ス で み た 所 得 分 布
まず内職者を含めた 自営業者総数 の所得分
98 季刊 創 価 経 済 論 集 Vol.XVNo.1
第2図 自営業 者 の所 得 分布 (%)
0.20
○.ユ5
a.lo
0.05
男 女 別 の 所 得 分 布
(200口.以 上 就 業 者) 男 性
女 性
0 1
1234567890 0000000000
0000000000
資 料:『 就 業 構 造 』(昭 和57年)
(°o)
0.20
0.ユ5
0.ユ0
0.05
2.2雇 人 の 有 無 別 所 得 分 布(男 性) (200口 以 上 就 業 者)
雇 人 ア リ 雇 人 ナ シ
(万円)
‑⊥00(U
Qり00
QOOO)年
77005示600刀口
(にJOO﹄告旨400孝智
300業就200﹃
ユ00料資
布 を み る と,平 均 所 得 は247万 円 で 雇 用 者 の 267万 円 よ り8%ほ ど 低 い が,ジ ニ 係 数 で は か っ た 不 平 等 度 は0.508と 雇 用 者 の0。3607よ
り も1.4倍 ほ ど 高 い6).し か し,平 均 所 得 が 40万 円 と低 所 得 者 の 比 率 が 圧 倒 的 に 高 い 内 職 者 を 除 く と,平 均 所 得 は273万 円 と若 干 上 昇 し ジ ニ 係 数 も0.475と 低 下 す る.さ ら に 自 営 業 者 を200日 以 上 就 業 者 に 限 定 す る と,平 均 所 得 は さ ら に324万 円 と20%ほ ど上 昇 し雇 用 者 の 平 均 所 得285万 円 を14%ほ ど上 回 リ ジ ニ 係 数 も0.4411と さ ら に 低 下 す る,こ れ は 農 業 者 や 女 性 な ど が 多 い 低 収 入 の パ ー トタ イ ム 就 業 者 を 除 い た 影 響 と み て よ い.ち な み に, 200日 未 満 就 業 者 の 平 均 所 得 は133万 円 と200
日 以 上 就 業 者 の4割 程 度 と低 い.
6)十 分 位 等 の 所 得 階 層 の 計 算 法 に つ い て は拙 稿[1]を 参 照 せ よ.
つ ぎ に 男 女 別 に 所 得 分 布 を 比 較 す る と,女 性 の場 合 最 頻 度 が100万 円前 後 に あ り,分 布 の 型 も対 数 正 規 分 布 に よ り類 似 した 形 状 を示 す.他 方,男 性 の場 合 最 頻 度 は350万 円前 後 と200万 円前 後 に ふ た つ の 峰 が あ り高 所 得 者 の 比 率 が 女 性 よ り も高 く,右 側 へ の 裾 野 は一 層 ゆ るや か な 勾 配 を もつ.女 性 の平 均 所 得 は 男 性 の51%程 度 で あ り雇 用 者 の場 合 と異 な ら な い.た だ し,内 職 者 を 含 め た 自営 業 者 総 数 でみ る と女 性 の 平 均 所 得 は 男 性 の44.3%に 低 下 す る。 な お,男 性 の 所 得 分 布 で2つ の 峰 が 形 成 され るの は,低 所 得 の 雇 人 な し の グル ー プ と高 所 得 の 雇 人 あ りの グル ー プ とか ら合 成 さ れ てい る た め とお もわ れ る.
と こ ろ で,表4は10分 位 ご との 所 得 シ ェア を 自営 業 者 と雇 用 者 につ い て比 較 し た もの で あ る.上 位10%の 所 得 シ ェ ア は 自営 業 者 が
June1985大 崎 洋:自 営業者 の所得分布
第4表 自営業者 と雇用者 の所得 分布 の比較
99
°o
下 位10%
11‑一 一20 21‑一一30 31‑40 41‑50 51‑60 61‑70 71‑EO 81‑90 91‑100
数数係
二
総ジ
各 所 得 分 布P 平 均 所 得2)
自 営 業 者 雇 用 者 自 営 業 者 雇 用 者
C°o) 1.3
2.8
4.2
5.5
6.8
8.0
9.6
11.6
15.0
35.3
2.4 4.1 5.4 6.7 7.9 9.3 1 12.8 15.7 24.9
(万 円) 42.1
91.2
136.0
179.8
219.6
260.3
310.2
376.1
486.1
1,144.0
(万 円)
・:
117.6
154.9
iga.s
224.9
263.9
309.2
就 業 者3)
全 分 布
100.0 0.4411
100.0 0.3346
324.5
364.9 i 449.2 710.6
1
285.4
2.2 4.0 5.3 6.5 7.8 9.1 10.7 12.7 15.7 26.1
100.0 0.3479
自 営 業 所4) 得 シ エ ア
19.1
12.6
11.8
12.1
13.5
13.1
12.6
×2.8
12.6
43.1
15.9
資 料:r就 業 構 造 』 昭 和57年.
備 考=1)標 本 就 業 者 は,自 営 業 者 が 内職 者 を 除 く200日 以 上 就 業 者(男 女 計),雇 用 者 が パ ー ト ・アル ノミイ ト,嘱 託 を 除 く200目 以 上 就 業 者(男 女 計) .
2)平 均 所 得 は各10分 位 に お け る金 額(万 円)を い う.
3)就 業 者 の 全 分 布 は 自営 業 者 と雇 用 者(男 女 計)の 所 得 分 布 を合 計 した も の.
4)各10分 位 に お け る就 業 者 所 得 分 布 に 対 す る 自 営 業 者 の 所 得 シ エ ア を あ らわ す.
35.3%と 雇 用 者 の24.9%を 約10%ポ イ ン トほ ど 上 回 る.こ れ に 対 し て,下 位20%の 所 得 シ エ ア は 雇 用 者 の ほ う が 自 営 業 者 を2 ,4%ポ イ ン トほ ど 上 回 る.こ の 点 は 上 位10%と 下 位 10%の 平 均 所 得 を 比 較 す れ ぽ 一 層 は っ き りす る.す な わ ち 自 営 業 者 の 場 合,上 位10%の 平 均 所 得 は1,144万 円 で あ り雇 用 者 の そ れ の710 万 円 を40%ほ ど 上 回 る.こ れ に 対 し て,下 位
10%の 平 均 所 得 は 自 営 業 者 が42万 円 で 雇 用 者 の そ れ の68万 円 を38%ほ ど 下 回 る.そ の 結 果 上 位10%と 下 位10%の 平 均 所 得 の 隔 差 が 雇 用 者 で は11.1倍 で あ る の に 対 し て 自 営 業 者 で は 27.2倍 ほ ど あ り,自 営 業 所 得 の 分 散 は 雇 用 所 得 に 比 し て2.5倍 と一層 大 き い こ と が わ か る.
高 所 得 の 比 率 が 高 い と 同時 に 低 所 得 の 比 率 も高 い とい う 自営 業 所 得 分 布 の 特 徴 は,自 営 業 者 と雇 用 者 との 所 得 分 布 を 結 合 した 有 業 者 の所 得 分 布 を作 成 し,各10分 位 内 に お け る 自 営 業 所 得 が 占 め る シ エ ア を計 算 す る こ とに よ っ て も確 認 し うる.グ ル ー プ全 体 と し て の 自 営 業 者 の 所 得 シエ ア は 有 業 者 グル ー プ全 体 の 15.9%を 占 め るが,所 得 上 位10%に 関 して は 43%と 平 均 の2.7倍 ほ ど高 い.他 方,下 位20%
で は 自営 業 者 の 所 得 シ エ ア は19%と 平 均 よ り も20%ほ ど高 く,低 所 得 層 に 自営 業 者 が 多 い 事 実 が 確 認 され る.
な お,『 就 業 構 造 』 は 本 業 以 外 の 副 収 入 に 関 す る デ ー タ も公 表 し て い る.そ れ に よ る と,
エ・・ 季刊 創 価 副 業 と し て 自営 業 に従 事 し て い る者 は162万 人 で 全 自営 業 者 の17%を 占 め る,そ の うち の
7割 は 雇 用 者 に よ る も の で あ り,ま た そ の半 数 は農 林 業 に お け る兼 業 者 と推 定 さ れ る.副 業 と して の 自営 業 所 得 の 分 布 は本 業 の所 得 が 低 い 階 層 ほ ど副 業 収 入 の あ る者 の比 率 が 高 く な る傾 向 が み られ る、 副 業 収 入 の平 均 は95万 円 で あ る が,中 位 数 は42万 円 と低 く ジ ニ係 数 も〔D.6184と高 い.
個 人 ベ ー ス か らみ た 自営 業 者 の 所 得 分 布 は 申告 所 得 に 関 す る 税 務 統 計 か ら推 計 す る こ と も 可能 で あ る.国 税庁 のr申 告 所 得 』 は 主 な る所 得 を 事 業 所 得 か ら得 て い る者 で 課 税 最 低 限 を こ え る 申 告 納 税 者 に つ い て所 得 階 級 分 布 を 公 表 して い る.昭 和57年 度 分 の調 査 に よれ ば,事 業 収 入 を 主 な る所 得 源 とす る 申 告 納 税 者 は297万 人 あ り,『 就 業 構 造 』 の 自営 業 総 数 に 対 す る カパ レ ッヂ 比 率 は31,2%に 相 当 す る.こ れ ら事 業 所 得 者 の 平 均 所 得 は267万 円 で あ り,ジ ニ係 数 は0.4697で 内 職 者 を 除 い た 第3図 申告所 得 分布 と自営 業 者
(%) 所 得分 布 の比 較
0.225
0.00 0.025
(万円)■⊥£UOO
1500
1溜4∩)0
1300︑ブろ/)1200Eーギr.丘ノ⊥
10005757n]n回900エ→f不刀口刀口800ロμロ月((7置00﹄﹄600得造
500所構告業4(∪0申就30∩V﹃﹃
9臼00斗100来丁資
経 済 論 集Vol.XVNo.1
『就 業 構 造 』 の所 得 分 布 に 類 似 し て い る.
図3は 両 者 の所 得 分 布 を 比 較 した もの で あ る.た だ し 『就 業 構 造 』 の 標 本 は短 期 就 業 者 の影 響 を除 くた め に仕 事 が 主 な 自営 業者 を と っ て い る.『 就 業 構 造 』の所 得 分 布 は100〜200 万 円 台 と300〜4GO円 台 との2つ の 階 級 に 最 頻 度 が み られ るが,r申 告 所 得 』 で は20G万 円 前 後)/Y最頻 度 が き て い る,こ れ は事 業 所 得 者 の うち で75%を 占 め る 営 業 所 得 者(お も に 職 人,加 工 業者 や 商 店 主)の 平 均 所 得 が2C9万 円 で あ り,ま た8%を 占 め る農 業 所 得 者 の平 均 所 得 も182万 円 と低 い事 実 を反 映 した も の とみ られ る.た だ し,そ の 他 の 事 業 所 得 者 (お もに 専 門 ・技 能 職 従 事 者)は 平 均 所 得 が 548万 円 と他 の2グ ル ー プ よ りも2.5倍 ほ ど高 く,高 所 得 層 の比 率 が 高 い た め に ジ ニ係 数 も 0.6624と 格 段 に 高 い.
と こ ろ で,両 者 の 所 得 分 布 を 比 較 す る と, 中 高 所 得 層 の 比 率 はr就 業 構 造 』 の ほ うが 高
く,r申 告 所 得 』 の過 小 申 告 の 可 能 性 を示 唆 す る.自 営 業 者 は必 要 経 費 を 水 増 し した り, 売 上 収 入を 少 目 に抑 え,課 税 所 得 を 過 少 に 申 告 す る 傾 向 が み られ るが,図 か ら も この点 が 裏 づ け られ て い る とみ て よい で あ ろ う.な お,以 上 は 主 な る所 得 に応 じ て事 業 所 得 者 を 区分 した もの で あ る が,事 業 収 入 が 従 な る者 を 含 め た 事 業 所 得 の 納 税 者(た だ し2種 類 以 上 の所 得 が あ る場 合 に は2度 算 入 さ れ る可 能 性 が あ る)は389万 人 とな り,『 就 業 構造 』 か らみ た カバ レ ッヂ比 率 は41%に な る.ま た 農 業 者 で は 世 帯 主 ベ ース で3割,世 帯 ベ ース で は2割 程 度 に と ど ま る.
3.4世 帯 べ0ス で み た 所 得 分 布
世 帯 ベ ー ス で み た 所 得 デ ー タ は『就 業 構 造 』
June1985大 崎 洋:自 営 業 者 の所 得 分 布
第5表 自 営 業 世 帯 所 得 分 布 の比 較
IO工
(昭 和57年)
第1十 分位 第1四 分位 中 位 数 第3四 分位 等9十 分位
平 均 所 得 ジ ニ 係 数 タ イ ル 係 数
r就 業 構 造 』 全 産 業
年 聞 所 得
(万 円) 132.2 220.5 342.6 517.0 747.1
中 位数 比
C°o)
・
64,4
王00.0
10.9
28.1
非 農林 業
423.9
年 間所 得
13.1 219.5 339.8 521.5 779.2
0.3626 0.2208
437.6
中 位 数 比
39.2 64.6 100.0 153.5 229.3
1:1!
0.262
『生 活 実 態 』 全 産 業
年 間 所 得
中 位 数 比 13$.7 229.3 362.9 549.5 813.9
非 農 業
445.9
年 間1中 位 所 得1数 比 38.2
63.2 100.0 15X.4 224.2
184.8 221.9 35.9 588.4 847.7
0.3626 0.2176
453.5 38.1 62.7 100.0 152.1 239.5
0.3846 0.2499
r家 計 調 査 』 非 農 林 漁 業1) 年 間
所 得
168.8 244.6 378.9 576.8 866.6
中 位 数 比
II
64.5 100.0 152.2 228.7
469.6 0.8485 0.2004
r貯 蓄 動 向 』 非 農 林 漁 業1) 年 間所 得
16.5 22.2 406.9 601.9 926.9
514.E
中 位数 比
・
69.4 Zao.a
].47.9 227.8
0.3505 0.2093
備 考:1)単 身 世 帯 を除 い た 一 般 世 帯 の うち 農 林 漁 業 世 帯 を 除 い た もの で,法 人 経 済 者,無 業 世 帯 等 も含 まれ て い る.
『生 活 実 態 』,『農 家 経 済 』,『家 計 調 査 』,『 貯 蓄 動 向 調 査 』 と豊 富 で あ る が,後 の2統 計 は カ バ レ ッ ヂ 等 に 問 題 が あ る の で 前 の3統 計 を お も に 利 用 す る.表5は 自営 業 世 帯 の 所 得 分 布 を 各 統 計 に つ い て 比 較 し た も の で あ る.平 均 所 得 はr貯 蓄 動 向 調 査 』 が 最 も 高 く,『 就
業 構 造 』 は 最 も 低 く,両 者 の あ い だ に は100万 円 以 上 の 開 き が み ら れ る.10分 位 で 比 較 し て も,r就 業 構 造 』 は 低 所 得 に やS偏 し た 分 布 を 示 す こ と が わ か る.た だ し,世 帯 所 得 の ジ ニ 係 数 は0 .3626と 個 人 ベ ー ス の 場 合 よ り も 20%ほ ど低 い.ち な み に10分 位 所 得 階 層 別 の 所 得 シ エ ア を 比 較 す る と,上 位20%の 所 得 シ ェ ア は 個 人 ベ ー ス で は50.5%で あ っ た の が 世 帯 ベ ー ス で は43.5%に 低 下 し,逆 に 下 位20%
の 所 得 シ ェ ア は 個 人 ベ ー ろ が3.7%で あ っ た の が 世 帯 ベ ー ス で は6.G%へ と増 加 し て い る.
そ れ と い う の も 下 位10%の 所 得 金 額 を 比 較 す る と 世 帯 ベ ー ス の ほ う が 個 人 ベ ー ス よ り も2
倍 程 高 い こ とか ら もわ か る よ うに,収 入 の 少 な い 世 帯 で は 他 の 世 帯 員 の 有 業 に よ って 所 得 隔 差 が そ れ だ け縮 小 化 す るか ら で あ る.
世 帯 所 得 は生 計 の主 な 担 い 手 で あ る世 帯 主 とそ の 他 の 世 帯 員 の所 得 を 合 算 した も の で あ る.そ こで まず 世 帯 主 所 得 か らみ て み よ う.
『就 業 構 造 』 に よ れ ば,自 営 業 世帯 主 の平 均 所 得 は321万 円 で あ り,雇 用 者 の 世 帯 主 所 得 380万 円 よ りも25%ほ ど低 い.そ れ ゆ}個 人 ベ ー ス で み た場 合,自 営 業者 の平 均 所 得 が 雇 用 者 の そ れ よ り も高 くみ えた の は,雇 用 者 で は女 性 な らび に若 年 層 の 比 率 が 高 く,自 営 業 者 で は 男 性 な らび に 中 高 年 層 の 比 率 が 高 い と い った 性 別 と年 齢 構 成 の 差 異 が 影 響 し てい た とお もわ れ る.拙 稿 〔2]で 指 摘 し た よ うに, 年 功 型 給 与 体 系 の も とで は女 性 や 若 年 層 の 給 与 は 相 対 的 に低 い た め に,両 者 の比 率 の高 い 雇 用 者 の 平 均 所 得 は そ れ だ け 引 き下 げ られ る こ とに な る.な お,世 帯 所 得 に対 す る 世帯 主