論文の内容の要旨
アモンテップ ソムラート 鉄筋コンクリート梁のせん断耐力に載荷速度が及ぼす影響とその評価に関する研究
衝撃荷重を受けて全体曲げ破壊する鉄筋コンクリート(RC)梁の挙動や安全性の評価に 関する研究は,これまでに非常に盛んに行われている.一方,衝撃荷重による RC 梁の せん断破壊について調べた研究は,非常に少ないのが現状である.RC 梁のせん断破壊 は変形性能に乏しく極めて脆性的な破壊を呈することから,その安全性を評価する方法 を確立することは非常に重要である.しかしながら,衝撃荷重を受けてせん断破壊する RC 梁の挙動は,応力波,慣性力ならびに載荷速度効果等の影響により非常に複雑にな ると考えられる.したがって,衝撃載荷によるRC梁のせん断破壊メカニズムを解明し,
その安全性を評価する手法を確立するためには,まずは RC 梁のせん断破壊挙動に載荷 速度が及ぼす影響を調べることが必要であると考える.そこで本研究では,載荷速度が RC 梁のせん断耐力に及ぼす影響を実験的に調べるとともに,動的せん断耐力の評価モ デルを確立することを目的とした.
本論文は,全5章で構成されている.第1章では,既往の文献調査に基づき衝撃載荷 や急速載荷を受けてせん断破壊する RC 梁の研究の現状について述べるとともに,本研 究の必要性について論じている.第2章では,主にせん断圧縮破壊が問題となるせん断 スパン比 1.9 の RC 梁に対して,載荷速度ならびにせん断補強筋比を試験パラメータと する急速載荷試験を行い,各試験パラメータが RC 梁の破壊モードや最大耐力に及ぼす 影響を調べた.また,比較的短いせん断スパン比を有する RC 梁内にはタイドアーチ的 な耐荷機構が形成されることを踏まえ,載荷速度効果を考慮したストラット・タイモデ ルを開発し,動的せん断耐力の評価手法を提案した.第3章では,せん断補強筋比なら びに載荷速度をパラメータとする斜め引張せん断破壊が問題となるせん断スパン比 3.3 を有する RC 梁の急速載荷試験を行い,各試験パラメータが RC 梁の破壊モードや最大 耐力に及ぼす影響を調べている.そしてさらに,載荷速度効果を考慮した修正圧縮場理 論に基づく動的せん断耐力の評価手法を提案している.第4章では,大小のせん断スパ ン比が混在する RC 梁の急速載荷試験を行い,せん断破壊挙動へのその影響を調べると ともに,動的ストラット・タイモデル及び載荷速度効果を考慮した修正圧縮場理論を適 用し大小のせん断スパン比が混在する場合の動的せん断耐力の評価を試みた.最後に第 5章では,本研究で得られた結果を総括するとともに,今後の課題について言及した.