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運動時の咬合力とパワー発揮特性の関係

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Academic year: 2021

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北海道医療大学学術リポジトリ

運動時の咬合力とパワー発揮特性の関係

著者 星野 宏司

学位名 博士(歯学)

学位授与機関 北海道医療大学

学位授与年度 平成28年度 学位授与番号 30110乙第112号

URL http://id.nii.ac.jp/1145/00064395/

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論 文 要 旨

運動時の咬合力とパワー発揮特性の関係

平成 28 年度

北海道医療大学 歯学部 口腔機能修復・再建学系 咬合再建補綴学分野

星野 宏司

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【緒言】

長寿社会における健康寿命の延伸は,日常生活を豊かにする QOL (quality of

life) の向上が必須といえる.この QOL の向上には日常の豊かな食生活による適

切な栄養摂取が必要であり,そのため咀嚼機能が重要な役割を果たしている.す なわち, QOL の向上と健康寿命の延伸には,咀嚼機能を中心とした顎口腔系機能 と全身の健康状態の関連性が重要な課題といえる.

さらに,咬合と健康・スポーツの関係を明らかにすることは,スポーツ歯学に おける新たな焦点であり,特に健康づくりの 3 要素である運動・栄養・休養は,

顎口腔系機能が 3 要素に相互に影響を与え,もしくは受けることが考えられる.

以上のことから,運動によってもたらされる顎口腔系機能と全身状態の関連性 を明らかにするために,本研究は身体機能と咀嚼機能に焦点をあて,咬合力と身 体運動能力の関連性について検討を行った.

本研究の目的は運動に随伴して発現する咬合力と身体運動能力のうち,筋パワ ー発揮特性の関係を明らかにするために 2 つの実験を企図した.

実験Ⅰでは,運動に随伴して発現する咬合力と身体運動能力のうち,パワー発 揮特性の関連性を明らかにすることを目的とした.また,実験Ⅱでは安静時の随 意性最大咬合力を基準にして,運動に随伴した咬合力が弱い群と強い群に分類を 行い,両群のパワー発揮特性との関連性について検討を行った.

【方法】

1.実験Ⅰパワー発揮特性と咬合力の関係

被験者は男子 14 名を対象に POWER MAX V II(㈱コナミ&ライフ社製)を用 いて,運動時の咬合力を無酸素パワーテスト中に測定を行った。この無酸素パワ ーテストは, 3 段階の任意の負荷で 10 秒間の全力自転車駆動運動を 2 分間の休 息をはさんで行い,負荷と最高回転数の回帰式からパワータイプを力成分に依存 する力型とスピード成分に依存するスピード型に分類を行い,運動時の咬合力と パワータイプ別の比較を行った.

咬合力の測定はデンタルプレスケール・オクルーザーシステムを用いて,富士

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フイルム社製のデンタルプレスケール 50H シリーズ R タイプにより行った. ま た,デンタルプレスケールの解析は、解析評価装置は歯科用咬合力計 OCCLUZER FPD-707(株式会社ジーシー社製)により行った.

2.実験Ⅱパワー発揮タイプによる咬合力と咬合接触面積の関係

被験者は男子 20 名に座位安静の状態で非運動時の随意性の最大努力で噛みし めを 3 秒間行い(MVC:Maximum Voluntary Contraction) ,この時の咬合力と咬合 接触面積を実験Ⅰと同様の方法で解析を行った.その後,実験Ⅰと同様の自転車 駆動運動で運動時の咬合力と咬合接触面積の測定を行った.その結果,運動時の 咬合力が MVC に対して低値を示すグループを LOF ( Low Occlusal Force) 群とし,

MVC に対して高値を示すグループを HOF ( High Occlusal Force) 群として 2 群に 分類を行い,この 2 群の パワー発揮特性について検討を行った.

【結果】

1.実験Ⅰパワー発揮特性と咬合力の関係

本研究で用いた被験者群をパワータイプによって力型群とスピード型群に分 類を行い,両者の最大無酸素パワー能力を比較した結果,両者に統計的な差異は 認められなかった.しかしながら,運動時の咬合力はスピード型群が力型群にく らべ高値を示していた.また,力型群が負荷の増加に従って咬合力が減弱してい るのに対して,スピード型群の咬合力は高値を示していた.

2.実験Ⅱパワー発揮タイプによる咬合力と咬合接触面積の関係

運動時の咬合力は, MVC に対して LOF 群が 0.5±0.4 から 0.8±0.4 倍を示してい たのに対して,HOF 群は,2.5±1.5 から 4.6±5.6 倍の高値を示していた.

一方,LOF 群と HOF 群のパワー発揮特性は,先行研究に従って,傾き比を算 出した.その結果, LOF 群では 5.6±0.6 比に対して, HOF 群は 6.0±0.5 比であり,

LOF 群が有意に低い値を示した(p<0.05) .その結果, LOF 群は力型を示し, HOF

群はスピード型のパワータイプを示した.

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【考察】

運動時の咬合力はパワー発揮タイプによって違いが認められ,力型のパワータ イプは,負荷の漸増に伴って咬合力は減弱する傾向を示していたことから,ペダ リングによる相反神経支配の亢進がもたらした結果であり,運動時の噛みしめは 自転車駆動時に頭部の固定や上半身の姿勢保持による合目的的な作用であるこ とが考えられた.一方,スピード型のパワータイプは負荷の漸増に伴い,咬合力 はわずかな増加が観察された.この現象は,顎筋力の貢献に由来した結果であり,

ペダルの負荷による下肢の反射興奮性が促通し,口腔からの求心性感覚情報の亢 進による現象であることが推察された.つまり,パワータイプによって,相反神 経支配の亢進の影響が運動時の咬合力に異なる現象として現れることが示唆さ れた.

一方,運動に随伴して発現する「噛みしめ」による咬合力は, LOF 群が力型の パワータイプを示し,運動時の咬合力は非運動時と同等程度か,それ以下である のに対して, HOF 群はスピード型のパワータイプを示し,運動時の咬合力は非運 動時の 2 倍以上の値を示した.また,運動に随伴して発現する咬合力は,力型群 よりもスピード型群で高い値を示し,力型群の咬合力は運動負荷の増加に伴って 減弱したことから,パワー発揮特性によって運動時の「噛みしめ」による咬合力 には相違が認められた.

【結論】

運動に随伴して発現する咬合力の違いは,パワー発揮特性を反映した結果であ

り,パワータイプと咀嚼機能の間には密接な関係が存在することが明らかになっ

た.つまり,運動時の顎口腔系機能と全身運動のパワータイプは関連することが

明らかとなった.

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