奈良教育大学学術リポジトリNEAR
中学校における自然学習・環境学習の事例研究 : (1) WWFの「野生生物の恵み?」活動の実践
著者 人見 功
雑誌名 奈良教育大学附属自然環境教育センター紀要
巻 2
ページ 25‑36
発行年 1998‑03‑25
その他のタイトル A case study on nature study and environmental education in junior high school : (1) Practice of "Gifts from wildlife?" activity by WWF
Japan
URL http://hdl.handle.net/10105/285
中学校 における自然学習 。環境学習の事例研究 (i) WWFの 「 野生生物 の恵み ?」 活動 の実践
人見 功 奈良教育大学附属 中学校
A case study on nature study and environmental education in iuniOr high school (1)Practice of Gifts from wildlife?"acti宙 ty by WWF」apan
これ までの附属中学校での 自然学習・ 環境学習の取 り組みの歴史的経緯 につ いて概観 した。 そ して、最近 の世界 自然保護基金
(以後 WWFと 呼ぶ )日 本委員会が作成 した「野生生物 の取 引 は 今」 の教材 の中の「野生生物 の恵 み ?」 とい う一活動 の実践事例 をまとめた。
その実践 の成果 として、中学生 の野生動物 に対す る
10項目の選択 の順位性 や男女 による選択傾 向の相違点 な どが得 られた。個人別 の意見感想 には、友達 間の意見交換 の様子 も書 かれ、 ため ら いや矛盾 のある記述 も認 め られ る。 それ らは中学生 の環境倫理観 の形成 につ いて考 える資料 にな る もの と思 われ る。
は じめに
本報告 で はまず、奈良教育大学教育学部 附属 中学校
(以後本校 と呼ぶ )の 理科の学習を中心 に、
一部学校行事 や特別活動 を含 めた自然学習 0環 境学習 の取 り組みの歴史的な移 り変 わ りを見てい くことにす る。続 いて、本校 での環境学習 の最近 の実践事例 の一つ と して、 WWF日 本委員会 の 作成 した環境教育教材 シ リーズの「野生生物 の取 引 は今」
(世界 自然保護基金 日本委員会 ,1997) の資料 を使 った実践 の詳細 を報告す る。
理科学習の中で取 り組 まれて きた本校 の自然学習 としては、1969年以後 に水泳実習か ら変 わ っ た臨海学習がある。 内容 は、岩礁での生物 の観察・ 採集学習であ り、社会科 の漁家訪間の学習 と ともに、 2年 生全員 を対象 と した宿泊行事 と して取 り組 まれて きている。実施場所 は、 これ まで 小浜市・ 和歌 山市・ 鳥羽市 と
10年前後で移 り変 わ って きてい るが、 自然学習 と しての岩礁 での生 物 の観察・ 採集 を伴 うグループ研究 は、現在 まで継続 して実施 されて きている。
環境学 習 と して は、最初 の「奈良盆地 の 自然環境 の変遷」 の取 り組 みでは
10時間程度 の独立教 材 と して1988年 か ら数年 間取 り組 んだが、 その後 3年 生 を対象 とした新聞資料 などを使 った数時 間 の臨時的投 げ込 み教材 的な取 り組 みが主 な ものであ る。
現在、次期学習指導要領で は「総合学習 の時間」 の新設 をふ まえて、新 たな展開を考 えなけれ ばな らない時期 にあるといえ る。忙 しい中学校現場で は、全 ての教材 について 自己製作す るとい
うことで な く、良質 の教材 を探 し出 して効果 の上が る学習を検討す る必要がある。今回の WWF
日本委員会 の教材 もそ うい う視点か ら取 り上 げた ものである。従来 の実践 の見直 しを含 めて、 よ り良 い 自然学習・ 環境学習のあ り方 を考 えてみたい。
1.本 校 の自然学習・ 環境学習の取 り組 みの移 り変わ リ
ここで は、本校での自然学習・ 環境学習 としての取 り組みの歴史的な経緯 を振 り返 り、今後 の 学習 の展 開 の契機 をつか もうとす るものであ る。
民 υ
(1)自 然学習
本校の理科学習の基本 は、 「サクラのことはサクラに聞 こう」 という姿勢で、特 に第二分野 の 授業ではベイ リ (1972)の いう自然学習的な考えを中心 に して進 め られて きている。 ただ し、
「 自然学習 は精神で知識ではない」 という初等教育運動をさす用語 として とらえ ると、 中学校 の 理科学習の中には自然科学的な色彩 も同時に加味されなければな らないので、相違する面 も多 く あることになる。
筆者の着任 した1970年 は、学校行事 としての臨海学習が、従来の水泳中心か ら社会科・ 理科の 学習を中心 とした行事へ と動 き出 した時期であった。折 しも系統学習か ら探究学習へ と移 り変わ る時期で、 この宿泊行事が理科学習の中心的存在 として事前・ 事後学習を含めた大 きな取 り組み であった。
実施場所 は、1969年 か ら
1979年までは日本海側の小浜湾の赤礁・ 勢浜などで、そこでは岩礁 の 生物観察・ 採集実習が行われ、社会科の漁家訪間は小浜市西津であった。1980年 か ら1991年 まで は大阪湾の和歌山市城が崎で岩礁の生物観察・ 採集実習が行われ、社会科の漁家訪間は加太であっ た。1992年 か らは伊勢湾の鳥羽市浮島での岩礁の生物観察・ 採集実習、答志島で社会科の漁家訪 間が行われ、現在 も継続実施 している。
この活動 は宿泊を伴 うことか ら、全校的な教師の協力の下 に運営 されてきている。運営・ 実践 の詳細 については、既 に小浜湾での実践報告
(石川 ,1971;1974;人 見,1975)、 大阪湾での実 践報告
(人見 ,1991;三 谷 ,1991)が 発表 されてきている。生徒達の学習成果の要約 は、毎年宿 泊行事文集 として残 され、後輩の参考 とされている。
臨海学習の取 り組みを中心 に述べたが、 この他にも理科の平常授業
(人見 ,1986)や 社会見学 などの取 り組みの中で も、生徒達の自然 に対する関心・意欲を喚起するような活動を進めている。
従来か ら継続 していた学校園づ くりを中心 とした活動を、 「 附属中学校の自然ガイ ド」
(人見
,1990)、
「本校裏山の里山化構想 とその教材化」
(人見 ,1992)と してまとめて きている。 それを 発展 させて「環境教材 としての学校園造 りの事例研究―ビオ トープの視点か ら一」 というテーマ で文部省科学研究費奨励研究 (B)の 補助金
(課題番号 06920021)を 得て、「 自然環境教育教材
としての学校園づ くりとその活用」
(人見,1995)と いう冊子を作成 した。
(2)環 境学習
環境学習の取 り組みは、 3年 生の理科第三分野「 自然 と人間」の単元や課題研究に関わ って、
1988年度 に「奈良盆地の自然環境の変遷」 という
10時間程度の独 自教材を作成 し、実施 したのに 始 まる。 これは「 中学校理科『第四紀
(人類の時代 )の 奈良盆地の自然環境の変遷』の教材化 に ついて」 というテーマで文部省科学研究費奨励研究 (B)の 補助金
(課題番号 63916020を 得て、
3年 間授業実践 してきた。その実践の経過 は、い くつかの報告
(人見 ,1989;1990)に まとめて
いる。最終のまとめは、奈良教育大学の報告書「新 しい環境教育の展開」
(人見 ,1991)の 中に 掲載 されている。
1990年 に は日本環境教育学会が発足 し、 この頃に各種の講習会・研究会が各地で催 され、筆者 も積極的にそれ らに参加 してきている。 この時期の環境学習 は、 3年 生の 3学 期に「 自然 と人間」
の単元の時間を使 って、新聞資料などか ら今 日的な話題を探 し、主 に臨時的投げ込み教材的な取 り組みを している。たとえば、高月紘先生の風刺漫画を題材にした環境問題を
1992年や
1995年に、
新聞資料 による琵琶湖の環境問題を
1996年に、同 じく新聞資料 による風力発電 というエネルギー 問題を1993年 に取 り上 げ、生徒達の考えや意見を求めてきた。
1992年 の本校の「平和の集い」の行事の中で、本校の井村健教諭 は担任学級の取組 として環境
問題を取 り上 げ、 「生命を育む地球」 というテーマで全校発表を し、学級会活動 の中に環境学習
を取 り組 んだ実践 を している。 その活動経過 の報告
(井村 ,1993)も している。
(3)WWF日 本委員会 の「野外生物 の恵 み ?」 の取 り組 み
1996年
12月に大阪市学習 セ ンターで開催 された WWFの 環境教育 セ ミナー大阪 の ヮー クシ ョッ プに参加 し、 WWF日 本委員会 の作成 した環境教育教材 シ リーズの「野生生物 の取引 は今」 の中 のい くつかの活動 を実際に経験 し、関係資料の提供を受 けた。
「 野生生物 の取引 は今」 の教材 は、 プ ログラム実践例 も上 が ってお り、
10枚の フ ァク トシー ト と 9つ の ア クテ ィビテ ィか ら構成 されている。 この実践 はその うちのアクテ ィビテ ィ 5の 「 野生 生物 の恵 み ?」 であ るが、 この他 に小学生 に もで きる「 グループづ くり」
(NQ l)、事前課題 と し
てい る「身 のまわ りの野生生物製品を探 そ う」
(No 2)、長期 にわた る「 ニ ュー スを追跡 │」
(NQ 3)、「 ワシン トン条約 の コマー シャルをつ くろ う」
(NQ 4)、ロールプ レーの「象牙取 引再開 ?」
(NQ 6)、
英訳課題 の「A Wild Trade」
(No,7)、クイズ
(No 8)、「 アクシ ョンプ ランづ くり」
(NQ9)が あ る。 かな りの教科で学習 の実施が可能 な内容 とな っている。
1997年 2月 、本校 の 2年 生 1学 級 と 1年 生 1学 級 に、「野外生物 の恵 み
?」とい う活動 を実施 した。続 いて 3月 に 2年 生 2学 級 で同 じ内容 で実施 した。 その結果、 この活動が中学生 の学習活 動 と して十分成立 し、価値判断の形成 とい う観点か らも興味ある結果が得 られた。
そ こで、1997年度 には 1年 生 で一貫性 のある実施計画を立 て、 9月 より関係資料 の配布 をは じ め、
10月には本校研究会で この学習活動 を授業公開を した。 この時 に、 それ までに得 た生徒 の意 見・ 感想等 の全記述資料 を、研究会の参会者 に配布 した。
2。 WWFの 「 野外生物 の恵み」 の実施方法 1996年 度 の「野生生物 の恵 み ?」 の実施方法 は、次の通 りである。
2月 1日 、最初 に 2年 2組 で実施 した ときは、 この学習が成立す るか どうかを確かめるもので、
理科 の授業時間 に別の もう一つの学習課題 を加 えて、二つの課題か ら一つを選択す る形で「野生 生物 の恵 み ?」 を約半数 の生徒 に実施 した。
2月
17日の 1年 3組 か らは学級全員 を対象 に、 は じめに WWF製 作 の「野生動物 の持続可能 な 利用 をめざ して」 とい う約
15分の ビデオを視聴 した後、活動 を行 った。同様 に、 3月 7日 には
2年 3組 ・ 4組 の 2学 級 で実施 した。
WWFで は、 この「 野生生物 の恵 み ?」 のね らいとして、次 の二つをあげている。
(1)持 続可能 な野生動物 の利用 とは何か考 えさせ る
(2)自 分 とは異 な る様 々な意見 を尊重 しつつ、合意 を形成す るプロセスを体験 させ る
次 の
10枚の大項 目のカー ド
(①動物園の展示、② ペ ッ ト、③ グルメ食品、④漢方薬、⑤現地 の 人 々の 日常食、⑥ エコツ ァー、⑦人工的に増や された野生動物の利用、③皮革・ 毛皮、⑨ スポー ツハ ンテ ィング、⑩実験動物 )1組 を、 4人 一組 の班で用紙 に、最 も受 け入 れ られ る ものか ら順 に右側か ら並べ、最 も受 け入れ られない ものを左端へ と、順序づ けて並べ る活動 である。 カー ド には、大項 目の下 に簡単 な補説的な説明が書 いてある。
最初 の 2年 2組 のみが、 この活動 を男女別 2人 一組
(10組20名)の 班 で行 ったが、 その後 の学 級 で は男女別 4人 一組合計
10組で実施 している。複数人での活動であるので、個人 の意見 と班 の 意見 がぶつか るのが普通 である。 ここで まず最初 の意見調整が必要 となる。班 の意見が まとまる
と、
10枚の カー ドは用紙 に貼 り付 け られ る。
活動順序 を生徒 の活動 を中心 に整理す ると、次 の通 りである。
(1) 4人 で相談 しなが ら、
10枚のカー ド事項 を、最 も受 け入れ られ るものか ら順 に右か ら左
に並 べ る。班 の意見の調整が終 われば、用紙 にカー ドを貼 り付 ける。 カー ドの補説的な説 明 はあ
らく書かれているので、項 目によ って条件的な受 け入 れになる場合 は、 その条件 を用紙 に記入す るとよい。
(生徒達 には、並 べ るのは一列 が原則であ るが、分 け難 い内容 もあ るので二 つ まで は 同 じ位置 に置 くことを認 めた。三つ以上 を同 じ位置 に置 くことは禁止 し、無理 に前後 に並 べ るよ うに要求 した。 )
(2)班 で カー ドを貼 り終 え ると、今度 は個人 の意見 として許容で きる限度 を、用紙 に仕切 り 線 で表示す る。
(個人 の線 は、誰 の ものか判別 で きるよ うにイニ シャル表示 をす る )
(3) カー ドの貼 られた用紙 を男女別 に 5枚 を掲示板 に集 めて、最初 は男女別で互 いの考 えを 見 て意見交換 を行 う。一段落す ると、 もう一 つの掲示板へ行 き、互 いの考 え・ 意見交換 を行 う。
(人
数 の関係で、最初 は男女別 に、続 いて混合 とい う計画で進 めた。 )
(4) 最後 に、個人 ごとに意見・ 感想 を書 いて、 この学習 のま とめ とす る。
1997年 3月 の時点で、後 に示 した集計 の仕方 による平均値で、 1年 生 と 2年 生 の間 に違 いが あ るよ うな値 を得 たので、違 いをよ り明確 にす る意味か ら、
1997年度 は実施 時期 を少 し早 めて、 1
年生 の 2学 期実施 の学習計画 を立 てた。
1997年 は、 9月 か ら理科教室 に WWF製 作 の危機 的な状況 にある野牛牛物種 を示 した世界の レッ ドデー タマ ップと日本 の レッ ドデータマ ップの掛 け図を掲示 して、雰囲気作 りをはじめた。また、
「 野生生物 の取 引 は今」 の資料 の
10枚の フ ァク トシー トの中か ら、 この活動 の参考 にな りそ うな 3枚 の フ ァク トシー ト
(野生生物 と人間 ,野 生生物 の取 引 ,野 生生物 の様 々な利用方法 )を 、生 徒 に配布 して関心 を高 めるよ う留意 した。
前年 よ り時間的 にゆ とりを持 った計画であ ったので、 この「野生生物 の恵 み ?」 の活動 の前 に ビデオの視聴 を し、班 による
10枚の カー ドの分類活動 と意見交換で授業 1時 間 を使用 した。 1年 1組 で は この活動 の授業 を
10月24日に、 2組 で は
10月28日に公開授業 として実施 した。 この時 の 指導案
(本時案 )を 最後 の資料 にあげ る。
3。 「野生生物 の恵み」 の学習結果
実践 で得 られた用紙 に貼 り付 け られたカー ドの位置 よ り、許容 の度合 いによる得点化 を図 り、
学級・ 学年・ 男女別 に集計 してその平均 を求 めた。 そ して、授業 の最後 の生徒の意見・ 感想か ら、
よ くにた内容 に区分 け整理 して後 にまとめた。
(1)項 目間の比較 のための貼 り付 け順 による数値化処理
班別 の違 いを比較検討す るために、次 に示す よ うな方法で、 カー ド貼 り付 け位置 を項 目 ごとに 点数化 し、学級 や男女別 の平均 を求 める ことに した。
並 べ られた
10枚の カー ドの中か ら、最 も受 け入 られ るもの とされたカー ドを
10点、最 も受 け入 れ られない もの とされたカー ドを 1点 として、各 カー ドを
10点か ら 1点 まで点数化 した。活動 で 述 べ たよ うに二 つ まで同 じ位 置 に並 べ ることを認 めたので、同 じ位置 の もの は同点 と し、上位 と 下位 か ら点数 を決 めて いき、 中央部 の 5点 ・ 6点 で調整 を した。 そ して、各 カー ドごとに学級・
男女別 の平均値 を求 めた。
10枚
の カー ドを一列 に並べた班 は、男子では
30班中の
10班、女子 で は30班 中の
14班とい う状況 で あ った。半数以上 の班 は、許容 した同 じ位置 に 2つ 並べ るとい う選択 を している。
1年 生 の平均 は、
1997年度 の学年末 の 1学 級 と
1998年度 の 2学 期 の 2学 級 の 3学 級 の値 か ら求 め、 2年 生 の平均 は、1997年度 の学年末 の 3学 級 の値か ら求 めた。
表 ‑1は 、 1年 ・ 2年 の学年別 によるカー ド項 目ごとの得点
(貼り付 け位置 )の 班数分布表 で あ る。表 の列 には、
10点 (最も許容で きる )〜 1点
(最も許容で きない )の 得点 を示 し、行 には、
上 〜下 に平均値 の高 いカー ド項 目か ら順 に並べて示 している。
1 0 占
︹
9占い
8 点
7 点
6 占 ︵
5
︹ 占 4 点
3 点
2 点
1 占 ︹
平 均
エ コ ツ ァ ー
2年生1年生
8
6
1
1
91
9.0
現地 の人 々の 日常食生 生 年 年
4
0
H 9
3 1
18 8
動物 園 の展示 2年生 1年生
1 1
8 5
6
8
6
7
ペ ッ ト
2年生1年生
3 3
1 16.5 7.0
人工 的 に増や された野生生物 の利 用
2年生
1年生
1 4 2
漢方薬 2年生
1年生
4
10 7
2
5.6 4.4
グル メ食品 2年生
1年生
1
1 1
1
4.2
38
皮革・ 毛皮 2年生
1年生
1 1
り 4 00
実験動物
生 生 年 年
1 1
7 10
3.5
32
ス ポ ー ツハ ンテ ィ ン グ
2年生 1年生
1 1
1 1
1 1
1 1
19
2.0
個人 別の区切 りの線 位置
2年生 1年生 1
8 8
︲4
8
1 57
6.3
表‑1
学年 別 の カー ド項 目ごとの得点(貼
り付 け位置)の
班数分布表「 エ コッ ァー」 を例 に して、表 の中の数値 の説 明をす ると、最 も許容 した
(10点)班 が 2年 で
15班
、 1年 で
15班、 その次 に許容 した (9点 )班 が 2年 で 8班 、 1年 で 6班 、 3番 目に許容 した
(8点 )班 が 2年 で 4班 、 1年 で 4班 、 4番 目に許容 した (7点 )班 が 2年 で 2班 、 1年 で 4班 、 5番 目に許容 した (6点 )班 が 2年 で 1班 、 1年 で 1班 とい う結果 を示 している。右端 には、 2
年 の平均 が
9.1点、 1年 の平均が
9.0点であ ることを示 している。
学 習 に参加 した班数 は、 1年 ・ 2年 ともに
30班ずつで、表 の数値 を横 にたす と班数 に一致す る。
表 の数 を学年別 に縦 にたす と、
10点で は、 2年 で
35班、 1年 で33班 とな る。 これ は、 2つ まで同 じ位置 にす ることを許容 した ことによる同点 の影響で、 2年 で 5班 が、 1年 で 3班 が同点であ っ た ことを示 してお り、 いつ も
30班にな るとは限 っていない。
最下段 の個人別 の区切 りの線位置 は、個人 ごとに許容で きる限度 とした区切 り線位置 を用紙 に 入 れて もらって いるので、 この数 を表示 した。区切 り線 をカー ドの中間 に書 き入れた人 もあるが、
この項 目まで は許容 した もの として数処理 している。 この合計数 よ り授業活動 に参加 した人数 は、
1年 生 で は
113名、 2年 生 で は
94名で あ った ことを示 している。
カー ド項 目の配列 は全平均順位で並べているが、学年間で は順位の逆転 は 2年 の「皮革・毛皮」
と「実験動物」 の間だけである。上 に述べたよ うに、 1年 と 2年 で平均値 に違 いがあるもの と考 え1997年 の学習を計画 したが、表で見 る限 りほとん ど相違がな く、 3月 の資料 は 1年 が 1学 級 の みで あ った ことによる少 し偏 った結果 と考 え られ、学年間に相違があるよ うに思 われないとい う 結論 にな った。
表 ‑2は 、 同 じく男女別 で集計 した、 カー ド項 目ごとの得点
(貼り付 け位置 )の 班数分布表で
29
表
‑2
男女別のカー ド項 目ごとの得点(貼
り付け位置)の
班数分布表 1 0点
9 点
8 点
7 い 占
6 占 ︹
5 点
4 占 小
3 小 占
2 占 ︹
1 点
平 均
エ コ ツ ァ ー
子 子 男 女
8
6
l
1
9.1 9.0
現地 の人 々の 日常食子 子 男 女
8 16
︲2 8
1 1
8
9
動物 園 の展示
子 子 男 女
8
5
65
7.0 ペ ッ ト
子 子 男 女
︲2 6
1
1人工 的 に増や された 野生生物 の利 用
子 子 男
女
1 1
1
54 58
漢方薬
子 子 男 女
7 10
4 4
グル メ食品
子 子 男 女
1 l
8
9
34
47
皮革・ 毛皮
子 子 男
女
1
1
6
10
3.6
3.4
実験動物子 子 男 女
1 1 3
3
4
7 10
4.0
2.8
ス ポ ー ツハ ンテ ィ ン グ
子 子 男
女
1
1 2
1
1 2
1.7 2.1
個 人別 の区切 りの線 位置
子 子 男
女
1
3432
9
13
2 1
1 1
5 6
あ る。班数 は同様 に男女
30班ずつで、表 の横 の合計 は班数 に一致す る。個人別 の区切 り線位置の 合計数 か ら、男子 は
102名、女子 は
105名の参加であ った ことを示 している。
表 ‑1同 様 に、 カー ド項 目の配列 は総平均順位で並 べているが、男女間で は「動物 園の展示」
と「 ペ ッ ト」 の男子 と、「 グルメ食品」 と「皮革・ 毛皮」 と「実験動物」 の男子 で、 明 らか に平 均順位 の逆転現象 にな ってい る。「 エ コツ ァー」 と「現地 の人 々の 日常食」 の女 子 の逆転 は、 誤 差 の範 囲程度 の扱 いで よい もの と思 われ る。
資料 が十分 で あ るとは言 いがたいが、 3月 時点 の仮定 か ら考 えて、 これ らは中学生 の一般 的 な 傾 向を表 して いる もの と思 われ る。
(2)各 カー ド項 目ごとの得点傾向 と生徒の意見
許容 で きる ものか ら許容で きない ものへ、 カー ド項 目ごとに平均順位 と特徴 を順次見 て い く。
6学 級 か ら得 た資料 の全平均 で は、第 1番 目が「 エ コツ ァー」、第 2番 が「現地 の人 々の 日常食」
で あ る。
10項目の中で、 これ らが 1番 あ るいは 2番 か ら外れることはなか った。
「 エ コツ ァー」 で は、学級平均・ 男子平均・ 女子平均 の 3つ とも 1番 であ る学級が 6学 級 中の 2学 級 あ り、 6学 級 で計
18個の平均中の
12個が 1番
(同点 を含 む )で あ り、男子では全学級 で 1 番 で あ った。 「 現地 の人 々の 日常食」 で は、 同様 に 3つ とも 1番 で ある学級 が 1学 級 あ り、
18個の平均 中で 9個 が 1番
(同点 を含 む )で あ った。
全体平均で は、第 3番 目が「動物園の展示」、第 4番 目が「 ペ ッ ト」 であ った。 「動物園の展示」
では、女子学級平均で 3番 にするものが多 く、「 ペ ット」では、男子学級平均で 3番 にす る もの が多か った。生徒の許容の区切 り線の全平均が
6.1であるので、 それに合格す るのはここまで と いうことになる。
5番 目が「人工的に増やされた野生生物の利用」、 6番 目が「漢方薬」であった。
全体平均では、 7番 目が「 グルメ食品」 、 8番 目が「皮革・毛皮」 、 9番 目が「実験動物」であっ た。男女別の傾向としては、「 グルメ食品」が女子で高 く、男子で低い評価を受 けている。「実験 動物」が男子で高 く、女子で低い評価を受 けている。 これ ら2つ は、 ちょうど逆の傾向が認め ら れる。特 に「実験動物」では、女子の学級平均が 2学 級で
10番となっている。
「 スポーツハ ンティング」 は、 6学 級全部で学級平均・ 男子平均が最下位で、女子平均では
2学級を除いて最下位であった。
生徒の書 いた意見・感想の中か ら、カー ド項 目ごとにその内容例を次に示す。
① エコツァー :野生のままの状態で、それを観察 しその代金を動物の保護などに当てるとこ ろに共感 した (2年 男子 )。 動物 とたわむれるということに理解 した
(同)。 自然保護が出来 るな らば、多少の利益を もらって もよいと思 う
(同)。 見た後に、象牙を買 ってい く人 って多 い と思 う。実感がないとか という理由で (2年 女子 )。 なるべ く動物の自然を犯 さないよ うに気 をつ け な くてはな らないと思 う。そうしなければ、ただの金 もうけになり、本来の目的が分か らな くな ると思 う (1年 男子 )。
② 現地の人 々の日常食
:これはもうしょうがないし、現地の人々は決 してそれを無駄 にしな いだろう。それなりの掟 もあるだろうし、何よりも感謝の心を忘れていないか ら。弱肉強食 とい う自然の理 もあることだ し (2年 男子 )。 現地の人々の食べ物 は少な く、周 りには野生動物 しか いないので しかたがないと思 う
(同)。 何年 も前か ら動物を食べたりしているか ら、動物が いな くなったりした ら、現地の人々は死んで しまうか も知れないか ら、動物がいな くな らないように 動物を狩 ったりしていると思 う (1年 男子 )。
③ 動物園の展示 :絶滅寸前の動物を輸入するのと、動物を閉 じこめて しまうのはどうか と思 うが、 まだ夢を与えて くれる (2年 男子 )。 動物を見 るのに入場料がいる。 その費用 を餌代 に与 えるの も共感できる
(同)。 飼育・繁殖 させることが可能なのでよいと思 う
(同)。 学習や研究 に は少 しは必要だと思 うけど、絶滅寸前の野生動物 まで捕 って くるのは許せない。人間はもっと自 然のこと、野生生物のことを考えなければならないと思 う (2年 女子 )。 みんなに絶滅 の動物 を 覚えて もらった方がいいと思 った (1年 男子 )。 動物園はあった方がいいが、動物 たちが可哀想
と思 う (1年 女子 )。
④ ペ ッ ト:愛情を込めて育てれば、それなりに報いられるし、心の支えになることもあるだ ろう (2年 男子 )。 人のやす らぎを与えるものとして必要
(同)。 できてない人 もいるが、ちゃん と世話を してあげればよいと思 う
(同)。 どう扱われるかによって、許せ るか許せないかがかわ ると思 う (2年 女子 )。 可哀想だけど、殺 されたりせずに可愛がって もらえるところが、 す ごく ま しに思えた (1年 女子 )。 カー ドの中に入 っていたのでびっくり │?も しか した らペ ッ トって 悪いのかなと思 った
(同)。
⑤ 人工的に増やされた野生生物の利用 :「 何か人工で っ」ていうところはどうかと思 うが、
密輸などで野生動物を傷付けたりするよりず っといいと思 う (2年 男子 )。 人工保護 とい うよ う に思 い、人工的に育てるということは、密輸 もないので大丈夫 と思 った
(同)。 増 や したか らと いって、生物を自由に売 ったりしてよいということにはならないと思 う
(同)。 人工的にぶゝや し て絶滅を避 けることはいけないと思 う (1年 男子 )。 自分で もどうなのかむずか しくてわか らな い (1年 女子 )。
⑥ 漢方薬 :人 間の勝手なことだと思 う。他にも薬草 とかいろいろあるのに絶滅 しそうな動物
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を使 うこともないだろう (2年 男子 )。 他 の薬 や 自分 の気力で治せ るか ら、無 くて もよい と思 う。
そのために数 の少 ない動物 を殺すのはいけないけど、植物の場合 は許容できるところもある
(同)。
今 だ った ら化学薬品があ るのでつ くらな くていい と思 う (1年 男子 )。 病 気 は治 せ るが、 利益 の ために大量 にとるとい う危険があるので、分 けに くか った
(同)。 薬 だか ら少 し ぐらい し ょうが な い と思 う (1年 女子 )。
⑦ グルメ食品
:これなんか極 々一部 の人 々がぜ いた くで食べ るってい う感 じがす るか ら (2 年男子 )。 食べ ることは絶対 いけない と思 う。原住民 や食べ物 がない ときは許 容 で きるが、 そ の
うち絶滅 して しま うと思 う
(同)。 みんながみんな多量 にとって食べ るわけで はない と思 った し、
ほどほどにすれば楽 しめると思 った (1年 女子 )。 その人 は好 きで も、食 べ な い人 は何人 もい る し、食べな くて も生 きていけるので、許容で きない
(同)。
③ 皮革・ 毛皮 :極 寒 の土地 な どの方 々は しょうがないか も知 れん けど、金持 ちとかが買 うの を期待 して捕 るのは許せない (2年 男子 )。 一番許容 出来 ない。人間の欲望 の塊 と思 う。 毛 皮 の ために殺すの はいけないと思 う
(同)。 は じめはただの欲望か と思 っていたが、 ゴヒ国で は しか た ない と思 う
(同)。 意見 は大 き く 2つ に分 かれた と思 います。私 はどっちなのか よ く分 か りませ んで した (2年 女子 )。 動物 を使 うの は少 しだけにすべ きだ と思 います (1年 女子 )。
⑨ 実験動物
:まだ これ は漢方 やスポーツハ ンテ ィングと違 い、 もしこの実験で動物 に有効 な 薬 が出来 れば動物 のために も多少 はなる (2年 男子 )。 意見がかみ合わなか った。 僕 は新 た な結 果 を生 み出すか らいい と思 うが、動物 を使 うな ら人間 を使 え とい う意見 も出 た
(同)。 人 の た め に仕方がない思 う。で もや りす ぎはいけない (2年 女子 )。 医学 のため と言 って い るが、 自分 勝 手 な気 が して許 せ ない
(同)。 動物 の ことも人間の ことも考 えない と駄 目なので むず か しい問題
、 だ (1年 男子 )。 人間のためだ とはいえ、動物 を殺すのは良 くない と思 うか らである (1年 女子 )。
⑩ スポーツハ ンテ ィング :人 間の勝手で スポーツとして動物 を狩 るのはいかん と思 う (2年
男子 )。 人間が 自分勝手
(趣味 )や 金 もうけのためにや ることなので、動 物 か ら した らい けな い と思 う。遊 びで は許 されない
(同)。 駄 目だ とい うの は間違 っていると思 い ます。 それ だ った ら 釣 りな ど も駄 目とい うことになると思 ったか らです
(同)。 スポーツとい う名 ばか りの悪 い もの と思 う (1年 男子 )。 番外。人 は楽 しくて も動物 に しち ゃ大迷惑 (1年 女子 )。 自分 の趣 味 だ とい うだ けで た くさんの動物 を殺す残酷 な ものだ と思 います
(同)。
(3)生 徒 の意見・ 感想 の まとめ
生徒 の 自由な記述 の意見・ 感想 は、全員提 出を求 めたが、 1年 で全員、 2年 で は 8割 の提 出状 況 で あ った。次 の よ うに内容 を 4区 分 して、各学年男女 の代表 の例 を適 した箇所 にまとめた。 な お、生徒 の記述 にはいろいろ混 じりあ った内容が書かれてお り、複数項 目に入 るあるいは入 れな ければな らない もの も多 く、例 が一部重複・ 混乱 しているよ うに見 え るか も知 れない。読 みづ ら い部分 も一部 あるが、大 きな誤字・ 脱字以外 は訂正・ 加除せず、 そのままに している。
1)一 般 的な書 き方 を してい る もの
カー ド項 目には遮ゝれず、一般的・ 総合的なまとめを書 いている ものが、 1年 生 で
13%、2年 生 で 23%あ った。 この傾向 は学級 によってば らつ きが大 きく、偏 った形 にな っている。次 にその記 述例 を示 す。
人 間 は昔か ら動物 を私物化 して きた。動物 にとって人間の生活が支 え られている部分があ ると い うことを、人間 は忘れか けている。人間が生 きるためには仕方がないが、楽 しみのために私物 化す るの はど うか と思 う。人間 と動物 の関係 は、 これか らの 自分達 の課題 の一つであ る (1年 男 子 )。 野生動物 を大切 に して絶滅 させ た りす るのを止 めさせ よ うと思 うの な ら、 人 間 の欲 を な く
さなければな らない と思 う。 それがで きないのな ら、 もう止 めよ うがない ことだ。絶対 にな くし
たいのな ら、 それは新 しい考 えを持 った人が多 く現れ るのを待つ しかないか も知 れない。人間が いるか ら野生動物が いな くな ってい くとい うのが、正 しい考 えか も知 れない。
(でも人 間 を殺 す ことはで きないけど、 そ こがむずか しい ところだ )早 くこんな ことで悩 まない平和 な世界 にな っ て ほ しい (1年 女子 )。 人間のためだけに していることが多 い。 けど自分 も人間だ とい うことで、
ち ょっとだ け変 な気持 ちにな った (2年 男子 )。 いろんな意見があ るんだな と思 った。 自分 を中 心 にす るか、動物 を中心 にす るかで、意見が全 く違 うし、人間が生 きてい くためには仕方がない とい う面 と、動物 を守 らなければな らないとい う面があると思 った。動物 は何 も言 わない
(しゃ べ って こない )け れ ど、結局 は人間 に返 って くると思 う。一人一人 の動物 に対す る気持 ちが出て 楽 しか った (2年 女子 )。
2)判 断 に迷 ったカー ド項 目に関す るもの
各 カー ド項 目の ことが一つ以上書 かれた ものは、 1年 で 8割 以上、 2年 で は 7割 以上 に達 して いる。 その中で カー ド項 目ごとの内容 につ いては、一部前 の項で例 を示 した。 ここで は、判断 に 迷 った とい う例 をあげ る。迷 った ことを書 いている もの は、 1年 で は
12%、2年 で は 6%で あ っ た。「動物園」 と「 ペ ッ ト」、「漢方薬」や「食品」 としての利用の取 り扱 い、 そ して意見 の一番 分 かれて い る「実験動物」 に対す る ものが多 い。本来 は用紙 の上 に、条件 と して書 き込 まれ るべ
きものが、 ここに上 が っている例 もある。
「 実験動物」 が一番判 断 に迷 いま した。実験 しなければ人 が困 る し、 した ら動物 に迷惑 がかか る。「現地 の人 の 日常食」 を許 した ら、 これ も許せ るけど、「漢方薬 の利用」 を許 さなか った ら、
これ も許 さない とい うことにな り迷 った。 けれども薬 のため とい うのが、許せないので許容で き ないに した (1年 男子 )。 スポーツハ ンテ ィングは男女 とも許容できないに入 っている。エコツァー も男女 とも許容で きるに入 っていた。 ペ ッ トや漢方薬 など私 も少 し迷 った ものは、 みんな と違 う ところが多 く、 いろんな人 の考 え方 の違 いが よ くわか った。男子 の方で私 とは正反対 の分 け方 も あ ったが、 それ はそれでよか ったと思 う (1年 女子 )。 許容 で きる・ で きな い に分 け るの は、 き わ どい ものが 2つ 03つ あ った。例 えばペ ッ ト。大 ネコなどまでで はで きるが、 ヘ ビやイグアナ 等 にな って くるとで きな くな って くる。他 の班 と比べ ると、 ペ ッ トや グルメのための動物、実験 動物 を許容 して い るところがあ る。 これ らの項 目は人 間の私欲 を満 たすための ものだ と思 う (2 年男子 )。 私 は他 の人 の意見 を見 て、少 し厳 しく境界線 を引 いて しま ったか と思 う。 人 間 の利益
だ けで動物 を殺すのはいけないと思 うが、漢方薬 など考 えれば必要 な もの もあると思 った。許容 で きるかで きないかを決 めるのは難 しい (2年 女子 )。
3)他 の人 の意見 に影響 を受 けているもの
他 の人 との意見 の交流 の中で、 自分 の考 え との妥協・ 整理・ 補強 を はか っているよ うに考 え ら れ る例 を示す。掲示 されたカー ド項 目とのか らみで書 いているものが多 いが、 もっと一般的な書 き方 に整理 された もの も見 られた。
僕 と して は、実験動物 が駄 目だ と思 って いたけれ ど、 みんなが医学 の貢献 につ なが るか らいい とい ったので、 のむ ことに した。 ただ し、絶滅 に瀕 している動物 を使 うのは、 もっての他 と思 っ た。 エコッ ァーは、友達 や先輩 の家 を見 に行 く時を考 えて もらいたい。大 きなオナ ラや ゴ ミを散 らか して相手が怒 るだろ う。 オナ ラ
(排気 ガス、 その他 )や ゴ ミ
(包装 の ビニ ール etc)を 捨 て た ら自然 は怒 るだろう。 ただ、 自然 は国で訴 え られないだけだ と思 う。 それを注意すれば とて も いい ことだ と思 う (1年 男子 )。 男子 はペ ッ トを受 け入 れ られ るが多 くて、 女 子 は受 け入 れ られ ない人が多か った。で もぼ くは受 け入れ られないと思 う。 ペ ッ トを閉 じこめているか ら。男子 は 動物 を殺 す・ 殺 さないで分 けていて、女子 は人 間が管理 す る・ 管 理 しな いで分 けて い る と思 う
(同)。 自分 で これ は受 け入れ られ る もの とか、 これ は受 け入 れ られない もの とかを決 め る時 に、
理 由が あ ったけれ ど、友達 の意見・ 理 由を聞いて、意見が変 わ って「 ああ、 そ うか」 と思 うこと
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が い っぱいあ りま した。 だか ら友達 の意見 を見 た り、教 えて もらった りして、勉強 にな った と思 います (1年 女子 )。 いろいろと意見が くい違 った。で も一致 した もの もあ った。 例 をあ げ る と 皮 な どのために捕獲 され るの は、 みんないやなよ うだ。野生生物 を捕獲す るのにいろいろな 目的 が あ り、 しか もその ほとん どが個人 の利益 のためだ とい うことで、 シ ョックを受 けた。捕 ること はで きて も、遮ゝやす ことはで きない人類 は、 自分 も人類で悲 しいことだけど、無能だと思 う
(同)。
僕 は漢方薬 や現地人 の食料 のための野生動物 を捕 まえ るのには賛成 で きる。 この意見 を許容 で き る班 がた くさんあ ってよか った。で もスポーツハ ンテ ィングはいい とい う班があ ったけど、絶対 これ はや ってはいけない と思 う。 そ うい う班 とはさ らに議論 を重ねていきたい (2年 男子 )。 班 のみんなよ り僕 の意見 は少 々人間中心 に考 えていると思 った。実験動物 を許容 したのは、人間の 実験 によ って動物 の ことにつ いて も発展 してい くことになる し、保護活動 もあ るので害 にな らな い程度 に実験す るとい うことを含 めての ことである。他 の人 は上 の ことにつ いて許容 しない人が 多 いが、 自分 は こう思 う
(同)。 私 は「 実験動物」 につ いては `
絶対 に許 せ な い │〃 と思 って い たけれ ど、確か にこれがないと実験が出来 ない │で もや っば り人間 と同 じよ うに生 きている動物 を利用す るのは許せない │1漢 方薬 につ いて は、他 の班 の人 と全然違 った。他 の班 は `
人 の向上 のためだか ら ″
とい う理 由。確かにそ うだけど。意見 の くいちがいとい うのはけっこうお もしろ い と思 う (2年 女子 )。 他 の班 で はグルメ食品 を許 して るけど、私 は許せ な い。 エ コッ ァー は許 してたけど、他 の人 の意見 を聞 いて、だんだん許せな くな って きた。「見 るだ けだ といいけ ど、
それを盗 んだ りす る」 とか、人 に言われたので、 それ は許せ るような許 されないような感 じであ る。 エコツ ァーとは実際 にや ってみた くな った。 や って もいいんですか。動物 の実験 をや って も いい って言 って る人が いるなんて思 って もみなか った。 けど、 グルメ食品 は食べなあかん とか、
そ うい う場合 はち ょっとだ った ら許せ るか も知れない。 これ と一緒で漢方薬 も、 どうして もそれ で しか病気が治せない と言 うんだ った ら許せ ると思 う。 とにか く、人 の意見 を見 ていろいろ考 え がつ いた。 スポーツハ ンテ ィングも、釣 りや った ら許せ るけど、他 の狩猟 とか は許せない。 どれ
もあだ にな る
(同)。
4)こ の活動 の楽 しさを書 いているもの
この活動 の良 さを素直 に書 いている例 をあげる。 これは主 に女子が書 いているもので、全体 で の割合 は数 %で あ った。
みん な一人一人 の意見が違 った ところがあ ってよか った。私 の意見 と他 の人 の意見 の違 った と ころを、私 はこう思 うか らとか、私 はこうだか らと言 って、その問題 につ いて話せて楽 しか った。
私達 が知 らなか った社会 での問題 を考 え るのはあま りないことだか ら、 こん な こともあ ったのか な ど思 う気持 ち も出た。「許せ る」「許せない」 とい う 2つ に分 けるのに、 どうも言 えないところ もあ った けど、友達 との意見交換で、 な るほどと思 った こともあ ったか らよか った (1年 女子 )。
みん なが どんな意見 を持 っているかが分か ってお もしろか ったです。一人一人違 った個人 の本音 が語 られたよ うで楽 しか ったです。で もや っぱ リビデオを見て思 うのは、 みんな同 じだ と思 いま す。 「 人 間 は自己中心 的な生物 だ」 と私 は思 います (2年 女子 )。
(4)WWF日 本委員会 の環境教材 につ いて
環境教育 にお いて は、環境倫理観 の形成 が大切 であ る。 そのよ うな観点 か らの取 り組み として、
管見す るところで は、 山本 0木 谷 (1996)の デ ィーベー トの取 り入 れ例、秋吉 (1993)の 道 徳 的 価値葛藤 に基づ く道徳指導事例 な どの報告 がある。
この WWFの 「 野生生物 の恵 み ?」 は、生徒達 の意見 を見 る限 り、上 の研究同様環境倫理観 の
育成 に有効 であ る。 また、人間が野生生物 の利用 をす ることに対 す る価値葛藤 を呼 び起 こ してお
り、 「許容 で きるか 。で きないか」 は、 デ ィレンマ・ デ ィスカ ッシ ョンの話 題 の要 素 にな り うる
もの と考 え られ る。 まだ取 りかか ったばか りであ り、今後 の詳細 な検討が必要 であろう。
また、
10月の研究会で 2人 の指導助言 の先生が、生徒 と一緒 に行 われた資料 を参考 にす ると、
生徒達 の配列傾 向 とは違 い、用紙 に条件記入 も行われている。 これを見 ると、高校生や成人 の一 般 的 な傾 向の資料 もほ しくな る。 この WWFの 環境教材 は、 日本 だ けでな くアジア地域 で も同時 に実践 されているよ うに も聞 くので、 それ らの資料 を得 ることによって、新 たなる展開が期待で きるか も知 れない。
WWFの 他 の課題、 た とえば No9の 「 アクシ ョンプ ラ ンづ くり」 も内容 を見 る限 り、「 野生 生物 の恵 み ?」 に類 した高度 の活動 のよ うであ り、実施す る価値が十分 ある内容 と考え られるが、
本校 で は残念 なが らまだ実践 がそ こまで進んで いかない。
まとめ
本校 も創立五十周年 を経過 し、 これを機会 に理科 における自然学習・ 環境学習の取 り組 みにつ いて振 り返 って、今後 の新 たな学習展開を考 える時期 をむかえている。 自然学習や環境学習 の取 り組 み は、平常 の授業 の活性化 に も大 きな影響 を与え、 また平常授業 による科学的な知識 の定着 か らの影響 も受 けなが ら進んでお り、今後「総合学習の時間」 を考 え る時の一つの核 になる もの であ る。
WWF日 本委員会 の教材 を利用 したの は、教材作成 はで きるだけ自分達で作 るのが理想 である が、忙 しい中学校現場 では利用で きる教材 はそのまま有効利用す るとい う立場 に立 って、 その利 用効果 につ いて考 えてみた。
中学生 の「 野生生物 の恵 み」 に対す る考 え方 と して、 ある学級 を とると平均 とは違 った偏 りの あ る結果 になることもあるが、 おおむね表 ‑1が 学年別 の
10カー ド項 目の選択順位 を、表 ‑2が
男女別 の
10カー ド項 目の選択順位を、示 しているもの と思 われる。
人間が野生動物 をどのよ うに利用すべ きか とい う限度問題 について、価値判断を下 さなければ な らない場面で は、従来 の自分 の考 え と他人の意見 との狭間で、個人 の レベルで大 いに内部矛盾 が生 じて考 えが揺れている。価値葛藤を喚起す るような内容 を この課題 は含んでお り、 そのよ う な視点か ら中学校 の生徒 にとって有効 な教材であると考えている。
この課題 では、 『 道徳 の授業 で提案 されている「 デ ィレンマ ●デ ィスカ ッシ ョン」 とい う、 価 値葛藤 を伴 うよ うな教材 を提示す ることによって、子 ども達 の間 に議論 を起 こさせ るよ うに仕組 み、 その議論 を通 して道徳的判断をす る力を育成す る』 とい う方法 とよ く似 た学習効果が生 み出 されて い るよ うに思 う。 そ うい う意味で、新 しい学習要素 を含んでお り、今後の検討課題である。
「生徒達 に環境倫理 に対す る確か な実践力 を身 に付 けさせ る」 とい う環境学習のね らいか ら見 ると、 この実践 はまだ問題提起 に過 ぎず、 ほんの入 り口に入 ったところである。子 ども達 の意見 表 明 まで を求 めた段階で、 その出 された意見 に対 して感想 を含 めた指導者 の意見表明だけは返 し ておいた。今後 どのよ うに切 り込 むのか、切 り込 めばよいのか、考 えているところであ る。
参考文献
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連絡先 :奈 良教育大学教育学部附属 中学校 〒 630‑8113 奈良市法蓮佐保 田町
(資
料 ) 1997年
10月28日の指導案
(本時案のみ )
主 題 野外生物 の恵 み
目 標 野外生物 の利用 に対 す る個人別 の許容 を示 し、他 の班 の許容度 を比較 しなが ら見 て、
個人及 び全体 の許容傾 向をつかむ と同時 に、互 いに意見 の交換 と集約 を行 う 指導過程
学 習 内 容主 発 間 主
し日一不
留意
点
野生生物 の恵 み
10
項 目を許容度 に応 じ て並べ る作業(個
人 の レベルで)
4人
グループの集約各 グループの意見 の 交換 と集約
個人別 の ま とめ
「野生生物 の恵 み」 の10枚 の カー ドと用紙 を取 りに来 な さい。
カー ドを読み、個人別 にそれを受 け入 れ られ る 度合 いに応 じて、順番 に並 べ な さい。
グループの集約を しなさい。
約束 :カ ー ドは、2列以上 に しない個人別 に許 容度 を表示す る もの とす る。
(個
人 の許 容 度 の 表示 はイニ シャルで表示す る)
グループ ごとの仕事が終われば、指定 の場所 に 用紙 を張 りな さい。
終 わ った班 か ら他 の班 の内容 を見 て意見交換 を しな さい。
(任
意 に個人 ごとで行 う)
個人 ごとに意見 を 自由 にまとめな さい。
4人 1組の班 を作 る。
・ 10枚 の カー ド 0カ ー ドを張 る用紙を配 付 す る。
過去 の参考事例 として表 示 す る。
場所 が狭 いので混乱 しな いよ う留意す る。
意見 を書 く用紙 を配付す る。