・ ・ ∴諒 : ∵ 、 一十昭念 仁∵' : . ・ ・ , ∴
会 計 理 論 に お け る資 本 概 念 を財 産 分 配 局 面 で利 用 す る合 理 性 の民 度
( 且 )
石 川 業
目 次
第
1
章 序 説第 1節 本稿 の 課題 と方針
1
課 題 の設 定2
検討の方針第
2
節 本稿 の結 論 ‑ 仮 説 と して の提 示第
2
章 ドイツ株 式 会 社会 計制度 にお け る資 本概 念 の生 成‑m ‑わ が 国 に お け る起 源 に尋 ね る(1) 第 1節 序
第
2
節 「会社資本」 と 「出資資本」‑ ‑ 1 8 3 9
年 ヴユルテ ンベル ク商法事案 第 3節 資本金 額 の定 款 へ の記載 と株式 へ の分 割‑‑ 一 一 1 8 4 3
年 プ ロ シア株 式 会 社法〜1 8 4 9
年 ドイツ普 通 l師 去草 塞2
資本 金額 の株 式 へ の分 割‑‑ 1 8 4 9
年 ドイツ 普通 商 法草 案第
4
節 貸借 対 照 表 に お け る分 配 可能 額 の 算 定 の 明文 化 と資 本 金額 の記 載 の 明文化‑
‑ ‑ ‑1 8 5 6
年 プ ロ シア株 式 会社 規 則〜1 8 7 0
年 改 正普通 ドイツ商法1
貸借 対 照 表 にお け る分 配 可能 額 の算 定 の 明 文化‑ ‑ 一 ‑ 18 5 6
年 プ ロ シア株 式 会 社 規 則〜1 8 6 1
年普 通 ドイツ商 法2
貸 借 対照 表 にお け る資本 金額 の記載 の 明文 化‑‑
1 8 7 0
年 改 正普通 ドイ ツ商法 第5
節 資 本 金 の 語へ の統 一 化第
6
節 結 び (以 仁,本 号)1
‑‑1‑
第 1章 序説
第 1節 本稿 の課題 と方針
本稿 の課題 は, わが国株式会社会計制度 にお け る資本概念 に関わ る歴 史 的検討 を通 じて, その伝統 的な特質 を明 らか にす ることで あ る。
ただ, これ は本稿 に とって主要 な課題 で あ る と同時 に, いわ ば 予備 的な 課題 で もある。 その先 にあ る, 本稿 に とって さ らに重要 な課題 は, わが 国 株式会社会計制度 に伝統 的な資 本概念 を比較 対象 な い し尺度 と しなか ら, 会 計理論 におけ る資本概念 の性質 (株主 へ の会社財産 の分 配局 面で, それ を維持 され るべ き金額 と して利用す る場 合 に,留意 すべ きで あ る と思 う性 質) を明 らか にす ることで あ る。
以下, 本節 で は, この よ うな課題 の設定 と, それ に付随す る検討 の方針 につ いて説 明す る。
1 課題 の設定
ここで い う, わが国株式会社会 計制度 に伝統 的な資本概念 と会計理 論 に お ける資本概念 との関係 は,一般 に
,
商法 。株式会社法 (学) の資本概念と会 計 (学)。会計基準 の資本概念 との関係 と して認識 され て きた論 点 で あ る とい って もよい!。 この 両者の関係 は, 本稿 で も明 らか に され て い く
1 それ に もかかわ らず,本稿 であえて 「株式 会社会計制度 にお ける質本概念
」
とい うよ うな表現 も用 いる理
注
目ま,次 の とお りであ る。r商法 8株式会社法 (学)の資本概念」 と r会計 (学)。会計基準の資本概念」
とい うよ うな表現 は,既存研究 もふ まえて, それぞれの違 いを想定 ない し予定 した表現 と してf削 、られ ることが少な くない と思 われ る (本稿 で も必 要 に応じ てそ う して い る)。 しか し, それ らの違 いは本来,常 に存在す るとは限 らない はずである。 た とえば,前 者が後者を取 り込 む とい うよ うなかた ちで,違 いは
2‑ 2
よ うに,概 して乗 離か ら接近 の歴 史で あ った七 とはいえ,伝統 的に存在 し てきた両 者の相違 は,現 在 もなお, 資本 制度 や 「払込 資本 と留保 利益 の区
別」 をめ ぐる議 論の背景 に残 って, その様相 を複雑 に していると思 われ る。
た とえ ば, 平成
1 3
年6
月 の商法改正以 降, 資 本金及 び資本準備 金減少 差益 (以 仁 減資差益等 と呼ぶ) が, い ったん は分配可能額 に含 まれ得 る よ うにな って い る:;。 この こ とにつ いて,商法 の 立場 にお いて は と くに問 題 が な い とみ られ て い るよ うで あ るがl, 会 計 の 立場 にお いて は今 も批 判 的な見解 が少 な くな い よ うで あ る5。 発端 か ら5
年以 上が過 ぎて も, 議 論消滅 し得 るはずであ る。 また, 前者が消滅 して後者 だ けが残 るとい うかた ちで, それ らの対比 自体 か成立 しな くな るとい うこと もあ り得 るで あろ う0
i株 式会社会 計制 度 にお け る資本概 念」 とい うよ うな表現 は, との いず れ の 場 合 で も使 え る包括 的な表現, つ ま り,「商法 の
‑・
」「会計の‑」 とい うよ うな 区別 に左右 され に くい中
立的 な表現 で あ る。 それ ら2
つの資本概念 の接近 も取 り扱 う本稿 に とって, これ は便 利であ る し, 蓄積 の多 い この研 究分野 に, で き るだ け予断 を もたず に客 観的 に取 り組 むために も, この表現 を用 い ることに した 。
ちなみ に, この脚 注 を付 した本文 で は, わが国株式会 社会 計制度 にお け る資 本概念 を商法 。株 式会社法 のそれ とIfi‑1じよ うな意 味
で
用 いてい るo それ は, 杏 節 2で述べ るとお り,わが国株式会社会計制度 の もとでの資本概念 に関わ るルー ルの うち,最 も基
礎的 な ものを商法 。株式会社法 が規定 して きた ことが念頭 に 裾かれて い るか らで あ る。2 た だ し, 安 藤 英義 「資本概念 の変化 ‑ 資本概念 をめ ぐる商法 と会 計 の離 合の歴史」『企業 会計』 第
5 8
巻第9
号( 2 0 0 6年9
月 ) も参照 されたい。3
その他 に,自己株式処分 差益 も分 配i
胴 巨額 に含 まれ ることが論点 にな るか も しれないが, これ につ いては,別稿 で検 討 したい。4
た とえば, 弥永真生 『「賢本」 の会 計 ‑ 商法 と会計 基準 の概念 の相違』 中 央経済社, 平成1 5
年,4 8 ‑ 4 9
頁, および,秋坂 離別 「会社法 にお ける資 本の意 義」 ロコ倉計』 第1 6 9
巻第4
号( 2 0 0 6
年4
月),3 7 ‑ 3 8
貢参照。5 この批 判 には 当初, 減 資差益等 の金額 に もとづ く会社 財産 の分 配 が, 「利 益 の配当」 と呼 ばれ る手続 きによ って行われ ることにな っていた点 に対す る批廿 いいかえれ ば, いわ ゆ る払込 資 本 と位置 づ け られ る減 質差益等 が 形式 的 には
l )
L j
一t ・ ) )
は平 行 線 を た ど って い る よ うに さえ み え る。
と こ ろで, 減 資 差 益 等 の 上の よ うな取 扱 い は, い わ ゆ る資 本 制 度 の揺 ら ぎ を反 映 す る もの とみ る見 解 が あ る。。 これ は, い い か え れ ば , 商 法 ◎株 式 会 社 法 に お け る資 本 (資 本 金 及 び 資 本 準 備 金 ) 概 念 了の 揺 ら ぎ を 指 摘 し て い る とみ て もよ い と思 う'"。 他 方 で, 平 成
1 7
年 制 定 の 会 社 法 に合 わ せ て 平成1 8
年 に制 定 され た 会 社 計 算 規 則 の も とで は, 利 益 剰 余 金 を 資 本 金 及「利益」 と呼ばれ るよ うな状態 にな って いた点 に対す る批判 が含 まれて いた (た とえば,野 口晃弘
「
商法改正 と資本会計の再構築」
『合計』第1 6 2
巻第5
号( 2 0 02
年11月),1 5 ‑ 1 6
貢参照)0この批判 については,そ うい う表現を避 けるとい う対応で 卜分 であろう (午 成
1 4
年制定の商法施行規則 によ り,「利益 の配 当」が,減資差益等の金額 に も とづ くのか, あるいは, (利益準備金を除 く)利益剰余金の金額 に もとづ くの かが明示 され るようにな ったが, いずれ も 「利益の配 当」 と呼ばれ ることは変 わ らなか った)。 そ こへ,平成1 7
年制定 の会社法 によって上 の対応が とられた(
「剰余金の配当」 と呼ばれ るようにな った)。 ところが, 本文のような批判 は, 完全にはな くな っていないよ うに感 じられ る (日本 会計研究学会第6 5
回大会( 2 0 0 6
年9月)の統一論題報告 「新会社法 と会計基準」の会場 において も,私に はそのよ うに感 じられた)。 とい うことは, その批判 の核心 は, そ もそ も減資 差益等を分配可能額 に含めるべ きではない, という見解なのであろう●● 。 そ して その根拠 は,減資差益等を含む払込資本全体が維持 され るべ き金額である, と いう考え方 にあるのであろう。 この考え方 については,本章第2節で検討す る。6
安藤英義 「商法 における資本制度の揺 らぎと 「資本の部」 の表示」『倉計』第
1 6 2
巻第2
号( 2 0 02
年8
月),6 ‑ 7
頁参照。7 本稿では以下,r商法 ◎株式会社法の資本概念」 とい うよ うな表現 をF射 、る とき,それは具体的には資本金及び資本準備金を意味す ることと し, もう
1
つ の準備金すなわち利益準備金は, とくに断 らない限 り,それに含めない。8
「資本制度の揺 らぎ」 を指摘 されてきた安藤先生 も,「資本制度 (資本金及 び 資本準備金)
」 (前掲 「資本概念の変化」,2 2
貢) とい う表現 をf
射 、てお られ るOしたが って, 本文 のよ うないいかえ も許 していただ けるので はないか と思 う (なお, どうい う文脈 における当該表現 であるのか も問題 にな り得 るが, ここ では もちろん, 引用箇所の前後を確認 して,問題な しと判断 した うえで,最低 限必要な箇所の引用 にとどめている)。
‑4‑ ‑ ‑ 4
び資 本剰余金 に振 り替 え ることがで きな くな った ことにつ いて, 「払込 資 本 と留保利益 の区別」 (資本剰余金 と利益剰余金の区別) が厳格化 された,
とい うよ うな評価 がみ られ るシー。 これ によれ ば, 商法 ◎株式会社法 の もと で,資本 (払込資本)概念が厳格化 された ことにな るのであろ う。 一 見, 矛盾 してみえかねない揺 らぎ と厳格化が, 同時 に生 じてい るわ けである。
こうい った状 況 の背景 では, 私 見によれば 上述 の とお り, わが国株式会 社 会計制度 に伝統 的な資本概念 と会計理 論 における資本概念 との違 いが影 響を残 している。拠 って立つ概念が違 っているか らこそ,結論 も違 っている。
このよ うな見方 に立 って,表面的な結論の違 いの指摘 にとどま らず に, その違 いの原因に迫 るべ く,会計上 の認識および測定の次元 にまで立 ち返 っ た根本 的な検 討を行 うことが,本稿 の本質 的課題 である。 これ に取 り組 む ことによ って,少 な くと もこれ まで とは違 ったかた ちで,上 のよ うな減資 差益等 の取扱 いをめ ぐる
2
つの見解 を分析 し, また, わが国株式会社会計 制度 における資本概念 の揺 らぎ と厳格化 の共存 を説 明 してみたい と思 う。なお
,個
人商人,組合,持分会社 とい った,株式会社以外の企業形態 の 会計 (制度) における資本概念 は,会計理論 における資 本概念 と同 じか, あるいは,違 うことがあ り得 て も関連す る明文のルールが少 ない とい った 理 由でその ことが明種 にな りづ らい。 本稿 が と りわ けて株式会社会計制度 における資本概念 を検 討対象 に選ぶのは,会計理論 における資本概念 との 違 いが相対 的 に最 も明確 であ り, しか も,本節 冒頭 で述べたよ うに, その 重要 と思 われ る性質 を明 らか に して くれ るとい う理 由による。2
検 討の方針上の課題 に対 して本稿 は,商法 。株式会社法 における資本概念 について
9 た とえば,秋坂朝 則 「会 社 計算 規 則 にお け る剰余 金区分 の原 則」『企業 会計』
第 58巻第
6
号( 2 0 0
6年6月
)参照。5
ー 5‑
の検 討 を 中心 に行 って い く, とい う方 針 を採 る。 これ は次 の理由に よ る。
まず , わ が 国株 式 会 社 会 計 制 度 の も とで の 資 本 概 念 に 関 わ るル ー ル の う ち, 最 も基 礎 的 とい え る もの, つ ま り, 単 純 な金 銭 出資 や 現 物 出資 に 際 し て の 資 本 増 加 の 認 識 。測 定 , お よ び, 資 本 減 少 一 般 の認 識 ◎測 定 に 関 わ る ル ー ル は, 伝 統 的 に商 法 ◎株 式 会 社 法 が 規 定 して き た か ら, とい う理 由が あ る (平 成
1 7
年 改 正 前 商 法2 84
条 ノ2
,2 88
条 ノ2
,37 5
条 ,289
条 等 , な らび に, 平 成1 7
年 制 定 会 社 法445
条 ,447
条 ,448
条 等 参 照 )川。も っ と も, 「企 業 会 計 原 則 」 (昭 和
2 4
年7
月9
日, 経 済 安 定 本 部 企 業 会 計 制 度 対 策 調 査会 中 間報 告。 昭和57
年 4月20
日, 大 蔵 省 企 業 会 計 審 議 会 最 終 修 正) に は 当初 か ら, 一 般 に 「資 本 取 引 と損 益 取 引 の 区別 の 原 則」と 呼 ば れ る, 資 本 の 会 計 に 関 わ る原 則 (第 一 ◎一 般 原 則 ◎三 ) が 含 ま れ て い る。 そ して これ は歴 史 的 に, 商法 ◎株 式 会 社 法 (学 ) に お け る資 本 概 念 に 影 響 を与 え て き た とみ られ る11。1 0
と くに認識基準 についてであるが, 中村忠 『資本会計諭 〔増 訂版〕』 白桃書 房,昭和5 0
年,2 7
貢参照。なお, 本文の ことはわが国に特有の ことではない。 イギ リス, フランスおよ び ドイツにおける比較 的最近 の状況 については, た とえば,斉藤嘉紀 「イギ リ
「ドイツとフラ ンスにおける資本制度
」
『商事法務』 第1 6 0
1号( 2 0 0
1年7
月2 5
日)
,および, 五十嵐邦正 「ドイツ資本会計制度」
『商学集志 (日本大学商学研 究会)』第7 4
巻第1
号( 2 0 0 4
年6
月)参照。 また, アメ リカの状況 につ いて は, た とえば,伊藤邦雄 『会計制度の ダイナ ミズム』岩波書店,1 9 9 6
年,第1
部,伊藤靖 史 「アメ リカにおける資本制度 と債権者保護」
『商事法務』第1 6 01
号( 2 0 01
年7
月2 5軒)
, および,弥永,前掲書,1 7 6 ‑ 1 7 8
貢参照。 さらに, との各国における事情 を歴 史的 ◎総合的に検討す る文献 として,安藤英義 「会社 法の配当規制 と破産法 との関連
」
『産業経理』第4 2
巻第6
号( 1 9 8 2
年1 0
月) 参照。1 1
た とえば,安藤 英義 「商法 と会計基準」
『企業会計』 第5 4
巻第 1号( 2 0 0 2
年1
月),31 ‑ 3 2
頁参照。6
6
しか し, 同一 般 原 則 ◎三 や, これ に関連 す る とみ られ る原 則 等1‑'は, 当 時 の 資本 の部 にお け る区分 お よび (項 目) 分 類 の ル ー ルを示 す こ とは あ っ て も, 資本 の基礎 的 な増 減 に関す る具 体 的 な認識 ⑳測 定 の ル ール を示 して きた わ けで はな い。 もっ と も, た とえ ば資産 の評価 原 則 (第三 。貸 借 対照 表 原 則 弓 ̲TJ.)か ら,「企 業 会 計原則」で 考 え られ て い る会計 の全体 像 を読 み 取 って, あ り得 べ き資本 の認 識 ◎測 定 ル ー ル を推 定 す る こ とはで き るか も しれ な
い。
しか し, と くに資産 の評 価 原 則 は あ るが, 資本 につ いて は 同様 の原 則 が な い とい った ところをみれ ば, む しろ, そ こで は基本 的 に,商法 ◎ 株 式 会 社 法 の規 定 に もとづ いて認 識 ◎測 定 され る資本 (資 本金及 び資 本準 備 金) の存 在 が前 提 と され て きた, とい うのが正 確 な と ころで あ ろ う1・与。また, 企 業 会 計 審 議 会 の跡 を継い だ企 業 会 計 基 準委 員 会 に よ る 「企 業 会 計 基 準
」
等 につ いて も同様 の こ とが いえ る。 自己株 式 取 引, 事 業分 離, ス トック 。オ プ シ ョン取 引, 金 融 商 品取 引 は, 資本 の変 動 に関 わ り得 る取 引 で あ るが, 「自己株 式 及 び準 備 金 の額 の減 少 等 に関 す る会 計 基 準 」 (平 成 14年 2月 21Fl, 最 終 改正 平 成 18年 8月 11Ij 。 号数 は省 略。 以 下 同 じ),「事 業 分離等に関 す る会 計 基 準 」 (平 成 17年 12月 27日), 「ス トック 。オ
1 2
企業会 計審議会 (その前身 も含 む) による もの と して, た とえば, 昭利 3 8
年修 正 (いわゆ る包括主義 に移行 前) の第二 ◎損益計算書原則 。六, 昭和 29 年修正 の同七, 昭利 57年修 正の第 三 〇貸借対照表原則 〇四 (≡), 同 「企業会 計原則注解」 注2
および1 9
,「商法 と企業会計原則 との調 整 に関す る意見書」(昭和26年 9月 28
日
中間報告)第十一 。自己株式 および第十二 ・資本準備金, r税法 と企業会計原則 との調 整に関す る意 見書 (小委 員会報告)」 (昭和2 7
年6
月 1 6
日中間報告)総論 。第二 および各論 。第 二,「企業会計原則 と関係諸法令 との調整 に関す る連続意 見書」 (第‑か ら第三,昭和3 5
年 6月2 2
日中間報告) 意 見書 第一 の三 。4お よび 5, 意見書第 二の 三 。 (二)・1(6)お よび (7), 同3 および4,意 見書第 三の第‑ ◎四。3参照。1 3
企業結 合 の場合 に も資本 の変動 が あ り得 るが,
「企業結合 に係 る会計基準」(平成
1 5
年1 0
月31
日,企 業会計審議会 )につ いて も,本文 と同様の ことがい え る,J7
‑ 7‑ブ シ ョン等 に関す る会 計 基準 」 (平成
1 7 年 1 2
月2 7
日), 「金融 商 品 に関 す る会 計基準」 (平成1
1年 1月2 2
日, 企業 会計 審 議 会。 改正 平成1 8
年8
月1 1
日, 企業 会 計 基 準 委員 会) の いず れ も, (株 主 ) 資本 の主 要 項 目で あ る 資 本 金及 び資本 準 備 金 の認識 用 uJ定 ル ール を, 商 法 4株 式 会社法 に委 ね て い る と とれ る日。 また, 「貸借 対照 表の純 資産 の部 の表 示 に関す る会 計基準」(平 成
1 7
年1 2
月9
日) や, 「株 主 資 本 等 変 動 計 算 書 に 関 す る会 計 基 準 」 (平 成1 7
年1 2
月2 7
日) は, もっぱ ら表示 に関 わ る基 準 で あ って言 認識 ◎ 測 定 に は関 わ らな い。以 Lの こ とか ら, わが 国株 式 会 社 会 計 制度 にお け る資 本概 念 を明 らか に しよ うとす るな ら, 関連 す る商 法 ⑳株式 会 社法 規定 の検 討 を避 けて通 れ な い, とい うこ とにな るほ。
それ に して も, 会 計 の立 場 か らみ る と, 商法 ◎株 式 会 社法 の規 定 に もと づ く資本 概念 は, 自前の資本 概 念 に比 べ て理 解 しに くい もの で あ るか も し れ な い (次 の 第
2
節 参照 )。 そ の よ うに考 え て, 本 稿 で は, 商法 。株 式 会 社 法 の資 本概 念 を明 らか にす る作 業 に, よ り一 層慎 重 に取 り組
む こ とにする。
具体 的 に は, わが 国 が 多 くの特 徴 を受 け継 いだ ドイ ツ商法 ⑳株 式 会 社法 な い し株 式 会社 会 計 制 度 の歴 史 に遡 る こ とにす る。 そ こに, わ が 国株 式 会 社 会 計 制 度 に お け る 資 本 概 念 の 起 源 な い し 原 型 (現 在 で い う
Ge z e i c hne t e sKapi t aト
‑ 引受 済 資 本 金 , す な わ ち, 払 い込 まれ た 金 額1 4
それ らの 「企業会計基準」 に関連す る 「企業会計基準適用指針」 (本稿脚注1 3
の 「企業結合に係 る会計基準」に関連するもの も含む)や,「実務対応報告」について も,本文 と同様のことがいえる。
1 5
このような方針を採 ることについては,中利忠「
制度会計の視点」 『会 計 人コース』第
3 8
巻第1 3
号( 2 0 0 3
年1
1月), と くに5
貢, および,安 藤 英 義「商法会計論の戦後
2 0
年」
『簿記会計の研究」
]平 成1 3
年,第1 4
章,1 6 7
貢に よる岩田巌 「商法における計理健系」
『合計』復 r・r」第1
号 (昭和2 4
年2
月)の 読み方 も参考にさせていただいている。8 ど
以前 の,払込 みが引 き受 け られ た金額 ) をみ ることがで きるか らで あ る。
この資本概 念 は, わがI裏目こ採 り入れ られた後 も原 型を保 った まま, しか し周辺 の制度変更 の影響 を受 けて, 母国の ドイツにお け るの とはやや異な る位 置づ け,す なわ ち,会計理 論 にお ける資本概念 (と りわ け払込 資本概 念) に近 い位 置づ けを与 え られ るよ うにな って い く。 このよ うなか た ちで の接近 がかえ って, 会計理論 にお ける資本概念 につ いて, それを財産分配 局
面
で利用す る際 に留意すべ きで あ る と思 われ る性質 を浮 か び上が らせ ることにな るので あ る。
本稿 は,以 上の流 れ を追 うよ うな記述 の順序 で組 み立 て られて い く。 こ れ によ って, と くに
1
つ 仁の段落 の ことが, よ り明確 にな る と思 うか らで あ る。 最近 の ドイツ とわが国 とを比べ るだ け, あ るいは, わが国 における 歴 史を確認す るだ けで は, わが国株式会社会計制度 にお ける資本概念 の ほ うは会 計理 論 にお ける資本概念 にはるか に近づ いて きた分, 両国株式会社 会計制度 に伝統 的 に共通 して きた資本概念 の特質 に気 づ きに くいよ うに も 思 え る。 そ うな らないよ うにす るため には, ドイツ株式 会社会計制度 における資本概念 か らの歴史 を辿 るのが,確実 で あ る。
わが国株式会社 会計制度 にお ける伝統 的な資本 概 念 の特質 は, よ り適切 に起源 にまで遡 ることで明確 に され, それ によ って また, 資本概念 をめ ぐ る, よ り適 切な現状 の把握 と将 来の議論 のための基盤 が得 られ る。 その よ うな考 え 方に立 って, 本稿 はまず, ドイツ株式会社会計制度 にお ける資本 概念 が肘 或か ら確 立へ と向か う流 れ を跡 づ け,次 に, その源流が わが国 に 引 き継 がれて きた ことを明 らか にす る。 この よ うな歴 史的検 討 によ って, これ まで必 ず しも明確 に されて こなか った と思 われ る, わが国株式会社会 計制度 に伝統 的な資本概念 の特 質が明 らか にな るで あろ う。
そ して, その特質 を傍 らに,会計理論 にお ける資本概念 を眺めてみ よ う とい うわ けで ある。 しか し次章以下 で は,慎重 を期 した結 果で あ る と して も,
上
述 の歴 史的な検 討 (本節 冒頭 の表現 で いえば予備 的な課題) への取9
‑ 9‑
組み が 長 く続 く。 そ こで, この段 階 で (次 の 第
2
節 で), 本稿 にお け る 1 つ の結論 をお お まか にで も示 して お くのか よい と思 う。 もち ろん, それ は まだ, いわ ば仮 説 あ るい は見通 しと して示 され るに過 ぎな いが, これ を念 頭 に置 きなが ら, そ の検 証 作 業 を次 章 以 I、で行 って い こ う とい うわ けで あ る。 そ うす る こ とで, ドイ ツお よびわが 国 の株 式会 社 会計
制度 に伝 統 的 な 資本概 念 の歴 史 的検 討 も, 素朴 な歴 史 の記 述 ‑ と片寄 り過 ぎず に, 会 計理 論 にお け る資本概 念 との比 較 を意 識 しな が ら行 いやす くな るはず で あ る。第
2
節 本稿 の結 論 ‑‑ 仮説 と して の提 示フ
ロー に も とづ く資 本概 念○ ● ● ● ● ○ ●
「資 本 とい う語 に は, 本来 的 に, そ れ を維 持 す る とい う期 待 が込 め られ
○ ● ○ ● ●■ ● ○ ● ● ● ● ●
て い る。 資本 と利益 の区別 とい う場 合, 資本維 持 の意 識 が そ の裏 にあ る こ
● ●●
●
とが 多 い
川 」
(上点 ‑ 石川)。会 計理 論 にお け る資 本概念 は, す で に生 じた現 金 の収 支 な い し財
産
の フロー に もとづ いて きた。 た とえ ば, LHl賢者 (株 式 会 社 で いえ ば株 主 ) に よ る払込 資本 な い し拠 出資本 は, す で に払 い込 まれ た (拠 出 され た) 金額 で あ る】丁。 た だ, この金額 に対 して は と くに, それ 自体 が もつ 素 朴 な会 計 上 の定義 に加 え て,侶賢者 へ の財産 分 配局面にお いて 企業 ◎会 社 に維 持 され るべ き金 額 , とい う意 義 が与 え られ て きた川。 も っ と
丁
寧 に い う と,出 資者か らの払込 み (拠 出) が あ った とき, その金額 が 資本 と して会 計処 理 さ
1 6
安藤,前掲 「資本概念の変化」,2 0
貢。1 7
ここではとくに,中村,前掲書,2 4 ‑ 2 7
貢,および,2 9
責参照O1 8
本稿では, とくに断 らない限 り,
「糸鋸寺されるべ き金額」 という表現を,刺 間損益計算におけるのではな く,出資者 (株主)への会社財産の分配局面にお けるそれ という意味で用いる。川 1 0
れ, その後 で, そ こに維持 され るべ き金額 と しての 「期待」,「意識」 が込 め られて きたわけである。
合意 にもとづ く資本概念
それ に対 して, わが国株式会社会計制度 における伝統 的な資本概念 は, ひ とこ とで いえば, 合意 に もとづ いて きた。
上
の表現 を用 いて い うと,「期待」 や 「意識」それ 自体 を表わ していたのである。
よ り具体 的 には, まず この資本額 は,経営者 (取締役)側 か ら充実 (鍋 逮) され るべ き金額 と して提示 された金額 につ いて
,l r J
j賢者 (株主)側 が 引き受 けた分,すなわ ち, 当事者 (経営者 と出資者)の間で充実 され るべ きであると合意が得 られた金額 と して,実 際の収支 ◎フローよ りも先 に成 立 していたlf)。 そ して, この資本額 は,現 金の払込 み ◎財産 の拠 fH̲'Iによ っ て充実 された後 には,維持 され るべ き金額 と して転用 されて きた。維持 され るべ き金額 と しての合理性
その よ うな転用 には, 一定 の合理性 があると思 う。 とい うのは, その基 礎 にある合意 によ って,財産分配 をめ ぐる当事者間の意見の対立が緩和 さ れ ると期待 で きるか らである。 もし との資本額 が,企業 に必要 な金額 と し て合意が得 られている ものであ るな ら, よ り一層の合酢性が認 め られ るで あろ う。
この よ うなわが国株式会社会計制度 に伝統 的な資本概念 をふ まえ ると, 会計理論 における資本概念 に維持 され るべ き金額 と しての意義 を与え るこ
とは,必ず しも当然 ではないよ うに思 えて くる。
1 9
拙 稿 「資本 金 及 び資 本準備 金 の捉 え方 と会 計処 理」『‑一橋 論 叢 』 第1 31
号 第5 号 ( 2 0 0 4
年5 月 ),同 「資 本 金 及 び資 本 準 備 金 の捉 え 方 と現 物 出資 に係 る会 計
処理」
『産業経理」
]第6 4
巻 第 3
号 ( 2 0 0 4
年1 0
月)を参照 されたい。
I l
‑ l l ‑‑‑‑実 は,経営者側 か ら充実 され るべ き金額 と して提示 され る もの よ り大 き な金額 が, 出資者側 か ら払 い込 まれ る こ とが あ った2‑)。 この場 合 も, その 充実 され るべ き金額 は,具体 F桝 こは資本金な い し資本準備金 と して計上 さ れて, その まま維持 され るべ き金額 に転用 されて いた。 しか し他 方で, そ れ を超 えて払 い込 まれた金額 は,経営者側 か ら充実 され るべ き金額 と して 提示 され た ものを超 え る金額 で あ る以 仁, これを企業 に維持 させ る合矧 拘 な理 由は 自明で はない 。 この見方 と結論 的 には整合す るよ うに, その超過 分 を資本金 ない し資本準備金 と して計上 せず に,分配可能額 に含 め ること を認 め る見解 もあ ったのであ る21。
ここで, 充実 され るべ き金額 は,実 際の払込 み よ りも前 に成 立す ること で, あたか も予算額 の よ うに,実 際 に払 い込 まれた金額 の多寡 を判断す る 尺度 にな って い る。 これ に気づ くことが,本稿 に とって, 払 い込 まれた金
●○
額 の全額 を維持 され るべ き金額 と して利用す る合圭甘性を考 え るための
1
つ の き っか けにな って い る。もちろん, 予算額 な い し尺度 で あれば, それ 自体 の合理性も問われ るは ずであ る。 ただ, それ を ひ とまず おいて考 えてみて も, そ もそ も, 出資 者 か ら払 い込 まれた金額 であ るとい うよ うな表面 的な事実 だ けで は, それが 企業 に とって必要 な金額 で あ る とか, あ るいは,維持 され るべ き金額 と し て合理 的であ るとい うことまで は,必ず しも断定 で きな い よ うに思 え る。
しか し,会 計の立場 において, 払 い込 まれ た金額 の仝覇 をその まま維持 さ れ るべ き金額 とす る合理性 が問われ ることは, あま りなか った と思 う。
2 0
この段 落 の論 述 につ いて は, 弥永, 前掲 書,5 8 ‑ 5 9
頁, お よび,拙
稿 「株式 会 社会 計 に お け る2
つ の資本 概 念 ‑ 資本 金概 念 と払込 資 本概 念 ‑」
『産 業経理』 第6 2
巻 第2
号( 2 0 0 2
年7
月) を参照 され たい 。21 前掲
拙
稿,1 2 0 ‑ 1 21
頁 (注 ( 2 5) )
参照。‑ 1 2‑ 1 2
会計理論 と充実 され るべ き金額 (資本充実の原則)
その原 因は,会計理論 (財務 会計理論) においては,払込 みがあ った時 点か ら会計が始 まる以 上二, 全体 と しての払 い込 まれた金額 をそのまま, い わば無批判 的に受 け入れ るのか 自然 にな ってい る, とい うことにあ るので はないか。 いいかえれば, 充実 され るべ き金額 は,払込 みに先立 って生ず る もので あ るため会計理 論的 に問題 にな らず1'2, 払 い込 まれた金額 を財産 分配局面 で維持 され るべ き金額 と して利用す るに して も, その合理性 はほ とん ど問わず に, それをそのまま維持 され るべ き金額 と して利用す るのが 自然 にな っている, とい うことなので はないか。
もっとも,仮 に充実 され るべ き金額 が会計理論 的 に認 識 されない と して も,払 い込 まれた金額 の多寡 の尺度 を会計 の外か ら得 ることで,
払
い込 まれた金額 をその まま維持 され るべ き金額 と して利用す るのが合理 的か どう かを問 うこともで きるはずである。 それ に もかかわ らず, 会計 の立場 にお いて払 い込 まれた金額全体 を維持 され るべ き金頻 とす る見方が根強 い とす れば, それ は, 会計 の外 の ことはあ くまで会計の外の ことであるためなの か, とにか く上の段落 の私 見を傍証す ることにな ると思 う。
2 2
その現 われで あろ うか,会 計学者 は, いわゆ る資本充実 の原則の取扱 いに悩 ま されて きたよ うで あ る。 具体 的 には, わが国株式会社会 計制度 におけ る伝統 的 な (平成1 7
年 の会社 法制定 前の) 資本概 念 が取 り上 げ られ る とき, 資本 充 実 の原則につ いてふれ られ る と して も, それ は資本維持 の原則 の意味 において ふれ られ る とい うことが 多 くみ られて きた (た とえば,黒洋酒 『禽計撃 (改 訂 増 補版)』千倉書房,昭和2 5
年,7 3 0
貢,武田隆 二 『最新 財務諸表論 (第1 0
.『財務会計 (第
5
版)』 中央経 済 札 平成1 7
年,3 9 4
頁,4 0 2
頁 (ただ し3 3 6
頁 も)参照)O しか し, 賢本充実 の原則 と資本維持 の原則 とで は,従 来か ら意味 。 役割 は異な る (ここで は と くに,竹 内昭夫著 や弥永真生
補訂 『株式会社法講義』 計制度研 究懇 談 会編 『商法 会計 に係 る諸 問題』 企業財 務制度研 究会,1 9 9 7
年,3 右41
頁 参照 )。ゝ1 3
その根 強 さは,前節でふれ た減資差益等 の扱 いをめ ぐって, と くに明確 に感 じられ るコ,li。 この こ とを確 認す るため に, 比較 の対象 と して,商法 。
株式 会社法 (学) の立場 にお ける減 資差益等 の見方 とその根拠 を先 にみて お こう。
商法 の立場 にお ける減資差益等 の見方 とその根拠
減資差益等 は周
知
の とお り,資本金及 び資 本準備 金の減少額 (の うちの一部
な い し全部 に相 当す る金額) であ る。 そ こで まず, 資本 金及 び資本準 備金,す なわ ち,商法。株式会社法 (ひいて は株式会社会 計制度) にお け る資本額 は, どの よ うに減少す るのか をみ る。 す るとその資本額 は,維持 され るべ き金額 と して利用 され るよ うにな った後 で, や は り当事 者 (経営 者, 出資者, さ らに債権者) 間 において, その利用 につ いての合意 が解 か れ た ときに実質 的 に減少す る, とみ るこ とがで きる (平成1
7年 改正 前商2 3
ただ, 減 資差 益等 を分 配 可能額 に含 め る こ とへ の批判 は, も しかす る と, そ の こ とを一 切否定 す る とい う趣 旨で はな くて, 利 猛剰 余金 (留 保利 益 ) の残 高 が あ る状 態 で, それ よ りも先 に減 賀差 益等 (払込 資 本) の金額 に もとづ く分 配 (配 当)等 を行 うべ きで はな い, とい う趣 旨で あ るの か も しれ ない (た とえ ば, 野 口晃 弘 「会 社法 計算 規定 と資本 会 計 にお け る諸 問題 」 日本 会 計研 究学 会課題 研究 委 員 会 (委 員長 須 任1‑ 辛 ) 『会計 制度 の 設 計 に関す る実 証研 究 最 終 報 告 書」 ] 2 0 0 6
年9
月, 第2 0
章,3 9 3 ‑ 3 9 4
真参照 )。 とはいえ, その よ うな趣 旨が 正確 に, 広 く共有 され て い る とすれ ば, 払込 資 本 よ りも留 保 利益 を先 に減 らす こ とを指 示 す る規定 (平成 1 3
年6
月 改正 前商法2 8 9
条2 項
の よ うな規定 ) を 復活 させ るべ き, あ るいは, 同様 の会 計基 準 を設定 す べ き, とい うよ うな具体 的 な」二眼 (これが読 み取 れ る と思 われ る文献 と して, た とえ は,中村忠 「会社 会計 の新 た な問題」
『税経 セ ミナー
』 第4 7
巻 第1
号( 2 0 0 2
年1
月 ),7
頁,早
び,野口, 前掲 論 文
,3 9 3 ‑ 3 9 5
頁参照 ) が, 一 般 に, 本脚注冒頭の 文字通 りの 批 判以 Lに 目立 って いて もよい よ うに思 え る。 それ に, 払込 賢 本 よ りも留
保 利 益 を先 に減 らす とい う考え方 が あ る と して も, それ は どこまで 当然 の こ となの か,検 討の余地 はあ るよ うに思 われ るO これ につ いて は, 別稿 で検 討 した い.ー 1‑1
1 4
法
37 5
条,37 6
条,2 8 9
条等, な らび に, lFl威 1 7
制定会 社法4 4 7
条,4 4 8
条,4 4 9
条等参照)。ここで減資差益等 は,最初 に充実 され るべ き金額 と して生 じた ときか ら 一 貫 して合意 に もとづ きつつ,維持 され るべ き金額 か ら外 された金額 で あ るか ら, それが分配i【掴 巨額 に含 まれ ることに問題 はない (む しろ 自然) と 考 え られ るわ けで あろ う。
会計 の立場 にお ける減資差益等 の見方 とその根拠
他 方, それ に批判 的な会計 の 立場 において は,前述 の よ うに,払 い込 ま れた金額 を全体 と して受 け入れ, それをその まま維持 され るべ き金額 と し て利用す るか らこそ,払 い込 まれた金額 の一 部 に相 当す る減 資差益等 を維 持 され るべ き金願 か ら外す, とい う発想 が 出て きに くいので はないか。 た とえば,従 来か ら,維持 され るべ き金額 と しての度合 いが異 な る資本金額 と資本準備 金額 とい う区別 は,会計理 論 的な もので はな く, これ らはひ と まとま りの資本 (払込資本)であると説明 され る傾向があ った ことか らい っ て, 上の よ うな見方 もあなが ち的外 れ ではな い と思 う。
もっとも,払 い込 まれた 金額 をひ とま とま りの資本 と して計上 した後で, それを維持 され るべ き金額 とす る場合 で あ って も, その維持 の度合 いに強 弱 の差 を付 け る こ と もで き るはず で あ る。 平成
1 7
年制定 の会社法 にお け る資本概念 は決定 的 に,伝統 的なそれか ら離 れ,会計理 論 のそれ に近 づ い て,払 い込 まれた金額 あ るいは給 付 された金額 での測定 が行 われ ることに な った。 しか し, そ こで もなお,当事者
間の合意 に もとづ き,払 い込 まれ た金願 は資本金額 と資本準備 金額 とに分 けて計 ヒす ることがで きるのであ る( 4 4 5
条2項 3項)
。 それ は, 資本額 に当事者 間の合意 を関わ らせ て き た伝統 の名残 りを示 して い る。それで もなお, 会計の 立場 において減 資差益等 を分 配r胴 巨鶴 に含 め るこ と‑ の批 判が あ るとい うことは, それ だ け, 資本 を ひ とま とま りの もの と
I . 了 1 5
捉 え る感覚が根強い とい うこと, したが って先程 と同様, 仁の私見の傍証 にな ると思 われ る。
資本概念の揺 らぎと厳格化の共存
フローに もとづ く資本概念 と,合意 に もとづ く資本概念 との違 いに着 目 す る観点か らは さ らに, これ も前節 でふれた資本概念の揺 らぎと厳格化 の 共存 について,次の よ うな整理 が可能であ る。
ここ数年,揺 らいで きた資本概念 は,わが国株式会社会 計制度 に伝統 的 な資本概念,すなわ ち,合意 に もとづ く資本 (資本金及 び資本準備金)班 念 で あ る。 原 因 は, それ を支 えて きた 「期 待」, 「意図」, な い し, 合意 (具体 的 には, 資本 を維持 され るべ き金額 とす る株式会社法 の分配
規制
を 通 じた,債権者保護 につ いての 「期待」,「意 図」,合意) その ものが揺 ら いで きた ことにある2̀1。他方 で,厳格化 されてい る資本概念 は,会計理論 における資本概念,す なわち, フローに もとづ く資本 (払込資本)概念である。原 因は,合意 に もとづ く資本概念の揺 らぎにある。 これ に伴 って, フローに もとづ く資本 概念が, わが国株式会社会計制度 における資本概念 と しての座 を堅めつつ
ある, とい うことで ある。
以上のようにみ ると,一 見矛盾 してい るかのよ うな資本概念 の揺 らぎと 厳格化 は,矛盾 していない ことにな る。揺 らいで きた資本概念 と,厳格化
されて きた資本概念 とが異な るか らであ る∠・r'。
2 4
た とえ ば,郡谷大輔 ‑岩崎友彦 「p会社法 における債権者 保護 (上)。(F̀上」『商事法務』 第
1 7 4 6
号( 2 0 0 5
年1
1月5 日)
。第1 7 4 7
号( 2 0 0 5
年1 1
月1 5
ltl) 参照。2 5
なお,本文で もふれたよ うに,わが国株式会社会計制度 における資本概念 は, すでに,合意 に もとづ くものか らフローに もとづ くものへ と変化 しているO こ れ に伴 って, 合意 に もとづ く資本概念で あ った資本金及び資本準備金 は,完全ー ‑1 6 1 6
以上,本節で述べて きた こと, と くに, わが国株式会社会計制度 におけ る伝統 的資本概念 の特質 について は, まだ仮説 の域 を出ない。 とい うわ け で,前節 の最後で述べ たよ うな検証作業が, これか ら始 まるのである。
第 2章 ドイツ株式会社会計制度 にお ける資本概念 の生成 Mr わが国 にお ける起源 に尋 ね る(1)
第 1節 序
本
章
の 目的は, わが国株式会社会計制度 における資本概念 の直接 的な起 源である, ドイツ株式会社会計制度 における資本概念 の生成過程 を明 らか にす ることであ る。この よ うな研究 をみか けないのは,少 な くとも, その資本概念が初 めか ら明確 であ ったか らで はない。今 で こそ厳格 であるとい うイメー ジを もた れやす い と思 われ るその資本概念 は, 当初, む しろ不明確 で さえあ った。
原 因は,商法 ⑳株式会社法 における規定の用語法 によるところが大 きい。
払込資本 といえば,すで に払 い込 まれた金額 の ことを意味す るのが,わ が国会計学 の常識で あ るとい って よか ろ う。 しか し, 「払込」 とい う語 が 付 されただけで は,すでに 「払」 い 「込」 まれたのか, あるいは, これか
に消滅す る可能性 もあ った と思 われ るが, しか し現在 もなお残 っている。 ただ し, それ は名称 だけであ って,実質 は, いわば合意あ りきの概念か ら, フロー あ りきの概念 (フローの̲̲日こ合意が置かれた概念)へ と変化 している。
したが って, フローに もとづ く資本概念 を, 財産分配局面 で維持 され るべ き 金額 と して利用す ることの合理性が,今後 もなお問われ ることになる。 それは しか も, 資本制度 の行 く末 には必 ず しも左右 されない論点であろ う。 とい うの は,資本制度 が廃止 された と して も,任意的な次元での分配規制 (財務制 限) における利用が考え られ るか らである。 その合理性 の程度 はいかな るものか。
これ について は,別稿 で検討 したい。
17 1 7一
ら 「払」 い丁込」まれ るのか, とい うこ とまで は, 表現 しきれ ない o
これ は穿 った見方 で あ るが, い いた い こ とは, 払込 資本 の意 味 を理 解 す るには, 表現 を表 面 的 にみ るだ けで な く, 会 計 上 の認 識 お よ び測 定 とい っ た具 体 的 な レベ ル で の概 念 的 な実 質 に まで踏 み込 む必 要 が あ ろ う, とい う こ とで あ る。 ドイ ツの初 期 株 式 会 社 会 計 制 度 にみ られ た語 の うち と くに, 本章 で た びた び登 場 す る 「出資 (資本
)」
の語 につ いて も, 表現 に と らわ れず に, その意 味 を探 る必 要 が あ る。その よ うな意 識 で以 下 に, ドイ ツ株 式会社 会計 制度 にお け る資本概 念 が, 誕 生 し, 成 長 してい く過 程 を 明 らか にす る。
第
2
節 「会社資本」 と 「出資資本」 ‑ 1 8 3 9
年 ヴユルテ ンベル ク商法草案充 実 され るべ き金 額 と して の会 社 資 本
ドイ ツで初 めて株式 会社 に関す る一般規 定 を もったの は, その‑ 王国 ヴユ ル テ ンベ ル クが
1 8 3 9
年 に公 表 した 商 法 草 案( Ent wurfe i ne sHande l s ‑ ge s e t z buc he sf t l rdasKOni gr e i c hWt l r t t e mbe rgni tMot i ve n)2 (
うで あ る。この草 案 は, 法 律 と して実 現 す る に は至 らな か った が 7, ドイ ツ株 式 会 社 会 計 制 度 に伝 統 的 な資本 概 念 に関 わ る次 の規 定 を有 して い た。
第
2 6 8
条 会 社 資 本 の 引受 け( De c kungde sGe s e l l s c haf t s c api t al s )
少 な くと も会 社 資 本( Ge s e l l s c haf t s c api t a
D の5
分 の1
が 発 起 人2 6
資 料 は ,Ent wur f e i ne s Hande l s ge s e t z buc he s f t l r das K6ni gr e i c h Wt i r t t e mbe r gm i tMo t i v e n,I.The i l ,Ent wur fde sHande l s ge s e t z buc he s
,St ut t gar t ,1 8 3 9
年。2 7
K.Bar t h,Di eEnt wi
ckl t l ngde sde ut s c he nBi l anz r e c ht s
,1,Bd. ,St ut t gar t
,1 9 5 3
年,6 7
貢 (松尾憲橘 。百 瀬 房徳共 訳 『貸借 対照 表法 の論 理』 森L
H書店,1 9 8 5
年,2 0 ‑ 2 1
貢)参照。‑ 1 8‑ 1 8
( e r s t eUnt e r ne hme r )
に よ って 引 き受 け られ て いな けれ ば, 株 式 会 社 設 立の政 府 認可は与 え られ ない 。‑‑‑ (第 2項省略)
第
2 6 9
条 会 社 資本 の払込 み( Ei nz ahl ungde sGe s e l l s c haf t s e api t al s )
少 な くと も会社 資本 の1 0
分 の1
が払 い込 まれ て いな けれ ば, 会社は営 業 を開始 で きな い。 ‑ ‑ (第 2文省略)
「会 社 資 本」 は,
上
の第2 6 8
条 第1
項 お よび第2 6 9
条 第1
文 に よ る と, (払 込 み の) 引受 け に よ って成 り立 つ 金額 で あ り, したが って, 後 に払 い 込 まれ る金種, す なわ ち, 充実 され るべ き金額 で あ る ことが わか る。もっ と も, 会社 と株 主 との 間 に払込 み の合 意 が あれ ば2H, 充実 され るべ き金額 が成立 す るの は当然 の こ とで あ る。 本 稿 に とって問題 なの は, その 金額 の会計 的 な取扱 いで あ る。 つ ま り, 充実 され るべ き金額 は存在 す るに
して も, それが 会計上認 識 され るか どうか, で あ る。
会計 上 の資本概 念
上で取 り 上げた規定 は, 会計処理 に硬結 す る もので はな く, したが って, 充実 され るべ き金額 を会 計 上認識 すべ き根拠 にはな って いない 。 この間題 に関わ るの は,次 の規定 で あ るゴ('。
第
2 61
条 配 当( Di vi de nde n)
一 定 の会 計 期 間 の後 に 出資 財産 を超 え て生 じた剰 余
( L T e be l l S C huf 3
28 その合意 が あ る こ とを前 提 とす る, 株 主 が会 社 に対 して 負 う払込義務 に関わ る規定