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商業用不動産投 資市場 の弱効 率性 の検 定*

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(1)

商業用不動産投 資市場 の弱効 率性 の検 定*

一・

要 約

本 論 文 で は,近 年 整 備 が 進 み つ つ あ る不 動 産 投 資 イ ンデ ック ス を利 用 して, 我 が 国 の 商 業 用 不 動 産 投 資 市 場 に お け る弱 効 率 性 の検 定 を行 い,バ ブ ル期 とそ の前 後 で の効 率 性 の変 化 を探 っ た 。 分 析 の対 象 地 域 は 東 京 都 心 部,大 阪,名 古 屋,札 幌,京 都,福 岡 の 商 業 用 不 動 産 投 資 市 場 で あ り,対 象 期 間 は 最 長 で 1975‑2001年 で あ る。 そ の 結 果,バ ブ ル 前 に お い て も商 業 用 不 動 産 投 資 市 場 は 効 率 的 で は な か った が,バ ブ ル期 は 効 率 性 が 著 し く低 くな っ た 。 しか しバ ブ ル 後 は東 京 都 心 部,大 阪,名 古 屋,京 都 の 各 都 市 にお い て は効 率 的 市 場 に な っ て い る 可 能 性 が あ る。一 方,札 幌 お よび 福 岡 は 非 効 率 の ま まで あ る こ とが 分 っ た 。

*本 論 文の 執筆,掲 載 にあ たっ て小樽 商科 大学 「商 学討 究編 集 委員会 」 に よる匿 名の 複数 の レフェ リーか ら大変 有益 なコ メ ン トを いた だ き,本 論 文 の改善 を図る こ とが で きた。 記 して深 謝す る次 第 であ る。 また本 論 文の 一部 は 『日本不 動 産学 会平 成14 年度 秋季 全 国 大会』 「経済 分析 」 の セ ッシ ョンで報 告 され た もの で あ る。討 論者 の 倉 橋透 室 長(国 土 交通 省),座 長の 申村 良平教 授(岡 山大 学),お よびセ ッ シ ョン参 加 者 の前 川俊 一教 授(明 海 大学),駒 井 正晶教 授(慶 応大 学),井 出多加 子教 授(成 践 大 学)の コ メ ン トに感謝 す る。 た だ し残 され た誤 謬等 は全 て著 者の 責任 で あ る。

最後 に本 論文 の執 筆 にお いて清 水有 紀子 氏 の援助 を受 けた こ とを記 して感 謝す る。

なお本 論 文 はi著者 の個 人 的立場 で執 筆 した もの であ り,結 果 は あ くまで も個人 の見 解 で あ る。

〔233〕

(2)

1.研 究 の 背 景 と 目 的

不 動 産 や そ の他 の 資 産 市 場 に お い て 投 資家 が 自 由 な 裁 定 取 引 を行 う場 合,投 資 家 は 「情 報 集 合 」 を 「効 率 的(efficient)」 に利 用 し て,様 々 な 資 産 市 場 間 の 裁 定 取 引 を通 じて 利 益 を得 よ う とす る だ ろ う。しか しそ うす る こ とに よ っ て, 資 産 価 格 に影 響 を及 ぼす 情 報 は直 ち に価 格 に 反 映 さ れ る か ら,自 由 な資 産 市 場 に お い て は 誰 し も超 過 的 収 益(ExcessiveReturns)を あ げ る こ とが で き な く な る は ず で あ る。 換 言 す る と投 資 家 が 「情 報 集 合 」 を利 用 して超 過 的 収 益 を 上 げ る こ とが 可 能 で あ れ ば,そ の 資 産 市 場 で は 「情 報 集 合 」 が 「効 率 的 」 に使 わ れ て い な い こ と に な る 。 以 上 の 考 え 方 はFama(1970)やJensen(1978)等

に よ っ て 発 展 し,一 般 に 「効 率 性 仮 説(Ef丘cientMarketHypothesis)」 と 呼 ば れ る もの で あ る 。 こ う した 「効 率 性 仮 説 」 の 検 定 に お い て,あ る 資 産 市 場 の 超 過 収 益(ま た は 資 産 価 格)を 説 明す る 「情 報 集 合 」 を過 去 の 当該 資 産 市 場 の 超 過 収 益(ま た は 資 産 価 格)に 限 定 す る 場 合 を 「弱 度 の 効 率 性 の 検 定(Test ofWeak‑FormE茄ciency)」,過 去 の 超 過 収 益(ま た は 資 産 価 格)お よ び そ れ 以 外 の 市 場 情 報 を含 む 場 合 を,「 準 強 度 の 効 率 性(TestofSemi‑Strong‑Form Efiiciency)」 と呼 ぶ 。1)

「効 率 性 仮 説 」 は 「現 在 価 値 関 係(PresentValueRelation)」2)と 共 に 「資 産 価 格 理 論(AssetPricingTheory)」 の前 提 条 件 で あ る。不 動 産 投 資 市 場 に 「効 率 性 仮 説 」 を仮 定 す る こ と に よ っ て,CAPM(CapitalAssetPricingModel)

やAPM(ArbitragePricingModel)な ど株 式 市 場 等 で は 有 効 に 機 能 して い る

「資 産 価 格 理 論 」 が 適 用 で き,よ り洗 練 され た 不 動 産 投 資 市 場 のAssetPric‑

ingModelが 期 待 で きる と共 に,現 在 価 値 関係 に よ る不 動 産 鑑 定 価 格 のvalua一

1)Fama(1970)に よ っ て 情 報 の 意 味 で の 効 率 性 の 検 定 は,情 報 集 合 の 定 義 に よ っ て 弱 度 の 効 率 性(Weak‑Form),準 強 度 の 効 率 性(Semi‑Strong‑Form),強 の 効 率 性(Strong‑Form)に 分 類 さ れ る。

2)現 在 価 値 関 係 と は,現 在 の 資 産 価 格 は,売 却 時 点 ま で の イ ン カ ム ゲ イ ンの 流 列 と 売 却 時 点 の キ ャ ピ タ ル ゲ イ ン を 割 引 率 で 現 在 価 値 に割 り戻 し た 額 に 等 しい とす る 関 係 性 で あ る 。

(3)

商業用不動産投資市場の弱効率性の検定 235

tionが 可 能 に な る。 ま た 不 動 産 税 制 等 の 政 策 分 析 に大 き な進 展 が 図 れ る よ う に な る の で あ る。3)

しか しそ の 有 用 性 故 に資 産 市 場 の 分 析 に お い て 「効 率 性 仮 説 」 を仮 定 す る に は 十 分 な 実 証 が 必 要 で あ る。 と りわ け 不 動 産投 資 市 場 は,「 高 い 取 引 コ ス ト」,

「'we報の 非 対 称 性 」4),「 地 域 性 」5)など 「効 率 性 仮 説 」 の 成 立 を 阻 害 す る要 因 が存 在 す る こ とが 指 摘 され て お り,慎 重 な検 証 が 要 求 され る 。

だ が 米 国 で も1980年 代 前 半 ま で は 不 動 産投 資 市 場 を対 象 と した 「効 率 性 仮 説 」 の 実 証 は少 な か っ た 。Rayburnetal.(1987)は そ の 理 由 と して,研 究 者 が 暗 黙 裡 に 「効 率 性 」 を前 提 と して きた こ と,ま た 実 証 分 析 しよ う に も不 動 産投 資 市 場 の デ ー タが 揃 っ て い なか っ た こ と を挙 げ て い る。 た だ し,米 国 で は80年 代 後 半 か ら90年 代 に か け 様 々 な実 証研 究 が 進 ん だ 。6)例 え ば,Linneman(1986), CaseandShiller(1989),MeeseandWallace(1994)な ど は 米 国 の 住 宅 市 場 を取 り上 げ,い ず れ も不 動 産 価 格 の 変 動 は 予 測 可 能 で,市 場 は 「非 効 率 」 で あ る との 結 論 を導 い て い る 。Gau(1985)は カナ ダ の バ ンク ー バ ー の 商 業 用 不 動 産 投 資 市 場 を 取 り上 げ,「 市 場 は 効 率 的 」 と の 結 論 を得 て い る。 ま たLocke

(1986)は,本 論 文 と 同様 に 「不 動 産 投 資 イ ン デ ッ ク ス」 を利 用 して 効 率 性 の 検 定 を行 っ て い る。

我 が 国 で も1990年 代 に 入 り不 動 産,土 地 市 場 に お い て 効 率 性 を検 定 した例 が

3)Gau(1987)に よ る 指 摘 。 同 様 の 指 摘 がCaseandShiller(1989),川 口(2001) 等 に示 さ れ て い る。

4)中 神(1995)は,不 動 産 の 「取 引 コ ス ト」 が か な り高 い こ とが 市 場 参 加 者 の 最 適 化 行 動 に 少 なか ら ぬ 影 響 が あ る こ と,ま た 不 動 産 に は株 式 の よ う な 中 央 市 場 が 存 在 せ ず,取 引 の 多 くが 相 対 取 引 で 取 引 情 報 の 開 示 が 限 定 さ れ て い る こ と や,市 参 加 者 間 で 情 報 収 集 能 力 に差 が あ る な ど 「情 報 の 非 対 称 性 」 が 存 在 す る こ と を指 摘 し,こ れ らが 効 率 性 」 を 損 ね る 可 能 性 を 指 摘 す る 。

5)Gau(1987)は,不 動 産 投 資 市 場 は 地 域 に よ っ て個 別 の 情 報 が 存 在 す る か ら,他 地 域 か ら の 参 入 者 は そ れ へ の ア ク セ ス に 追 加 的 費 用 が 生 じる な どの 参 入 が 難 し く

な る 可 能 性 を指 摘 し,「 地 域 性 」 が 効 率 性 を損 ね る 要 因 と な り う る とす る 。 6)本 文 中 で 挙 げ た 論 文 は,本 論 文 と 同様 に 超 過 収 益 率 に 注 目 し て 効 率 性 を 検 証 し た

も の で あ る。 そ の 他 に レ ン ト ・価 格 比 に 注 目 し た も の と し てHamiltonand Schwab(1985),MankiwandWeil(1989),CaseandShiller(1990)な ど が あ

る 。

(4)

出 て き たが,伊 藤 ・廣 野(1992),伊 藤(1993),西 村(1993),田 辺(1994), 中神(1995)な ど住 宅 市 場 や 土 地 市 場 を扱 った もの が 多 い 。 本 論 文 の 目的 で あ る 商 業 用 不 動 産,商 業 地 を扱 っ た例 は少 な い が,以 下 の も の が代 表 的 な先 行 研 究 と して 挙 げ られ る。

西 村(1991)で は(財)日 本 不 動 産 研 究 所 の 「全 国」,「六 大 都 市 」,「六 大都 市 以 外 」の 三 分 類 の1956‑89年 の市 街 地 価 格 指 数 を使 っ て 弱 効 率 性 の 検 定 を 行 っ

て い る 。結 果 と して は いず れ も 「非 効 率 的 」 との 結 論 で あ っ た 。7)西村(1995) で は土 地,建 物 の 賃 貸 料 に つ い て は 大 手 不 動 産 会 社 の 有価 証 券 報 告 書 か ら,資 産 価 格 に つ い て は 日税 不 動 産 鑑 定 士 会 の 「継 続 賃 料 調 べ 」 か らデ ー タ を採 取 し 六 大 都 市 商 業 地 に お け る土 地 建 物 一 体 の 収 益 率 を求 め,そ れ と コー ル レ ー トと の 差 を超 過 収 益 率 と し て,そ の 自 己 回 帰 モ デ ル で 「弱 効 率 性 」 の検 定 を行 っ て い る。結 果 は 「バ ブ ル前(1962‑83年)」 に つ い て は 「効 率 的 」,「バ ブ ル期(1984‑

92年)」 につ い て は 「非 効 率 的」 で あ っ た 。 中 神(1996)で は1980‑93年 の平 均 地 価 公 示 を用 い て 東 京 都 の 商 業 地 に お け る 効 率 性 を 検 定 し て い る 。 そ の 結 果

「弱 度 」 お よ び 「準 強 度 」 の い ず れ の効 率 性 の検 定 に お い て も 「非 効 率 的 」 と の 結 論 を得 て い る。

以 上 の先 行 研 究 の成 果 お よ び 指 摘 を踏 ま え本 論 文 の 目 的,意 義 を述 べ る。

第 一 に,我 が 国 の 商 業 用 不 動 産 投 資 市 場(CommercialPropertiesInvest‑

mentMarket)の 効 率 性 を検 証 した 分 析 は 少 な く,特 に商 業 用 不 動 産 投 資 市 場 を都 市 別 に取 り上 げ た 分 析 は存 在 しな い 。 しか し不 動 産 投 資 市 場 に特 有 の 「地 域 性 」 は情 報 の 効 率 性 を損 ね る 要 因 の ひ とつ で あ る か ら,不 動 産 投 資市 場 は個 別 に 分 析 さ れ る必 要 が あ る。 よっ て 本 論 文 で は,我 が 国 の 商 業 用 不 動 産投 資 市 場 の 集 合 概 念 で あ る 「全 国 」 に加 え て,東 京 都 心 部8),大 阪,名 古 屋,京 都, 札 幌,福 岡 とい っ た我 が 国 の代 表 的 な商 業 用 不 動 産投 資 市 場 を 個 別 に取 り上 げ

7)た だ し西村(1991)は 同 指数 が厳 密 には市場 の取 引価 格 に基 づ いた指 数 で はな く, 不 動産 鑑 定士 に よ る評 価価格 に基づ い た もので あ る として市場 の実 勢 を必 ず しも 正確 に反 映 して いな い可能性 を指摘 し,検 定 結果 に留 保 を付 けて い る。

8)東 京都 心 部 とは千代 田,中 央,港,新 宿,渋 谷 の東京 都心5区 を指 す。

(5)

商業 用不 動産 投 資市場 の弱 効 率性 の検 定 237 る 。 商 業 用 不 動 産 と は具 体 的 に は商 業 用 不 動 産 投 資 の うち 高 い 割 合 を 占め る オ フ ィス ・ビ ル デ ィ ン グ で あ る 。9)

第 二 に,西 村(1993)が 指 摘 す る よ う に,市 場 参 加 者 の 予 想 を誤 らせ る よ う な 状 況,つ ま りバ ブ ル 的 状 況 も市 場 の 効 率 性 を損 ね る か ら,「 バ ブ ル 前 」,「バ ブ ル 期 」,「バ ブ ル 後 」 を分 け て 分 析 す る必 要 が あ る。 しか し上 述 した よ う に西 村(1995)や 中神(1996)で は お の お の 分 析 対 象 期 間が1992年,1993年 ま で と

「バ ブ ル 期 」 で 終 っ て い る。 よって本 論 文の分析 対象 期 間は最長 で1975‑2001 年 と 「バ ブ ル 前 」,「バ ブ ル 期 」,「バ ブ ル 後 」 の期 間 を含 み,こ の 間 に 「効 率 性 」 が 変 化 した の か ど うか を検 証 す る。

本 論 文 に お け る 分 析 手 法 はGau(1985)やCaseandShiller(1989)に 従 い 超 過 収 益 率 に注 目 し た 「弱 効 率 性 の 検 定 」 で あ る。 デ ー タ はLocke(1986)に 従 い 「不 動 産 投 資 イ ン デ ッ クス 」 を利 用 す る 。

以 上 の 分析 に よっ て 商 業 用 不 動 産 投 資 市 場 に お け る 「効 率 性 仮 説 」 が 検 証 さ れ る こ との 意 義 は 不 動 産 投 資 の 実 務 的 観 点 か ら も大 き い 。 何 故 な ら2001年 に J‑REIT市 場 が 創 設 され,ま た不 動 産 投 資 を 目的 とす る プ ラ イ ベ ー ト ・フ ァ ン ドも増 加 して い る 昨 今,こ れ らの 投 資 主 体 が 主 要 な投 資 対 象 と して 商 業 用 不 動 産 を購 入 し て い る 以 上,そ の 資 産 価 格 を説 明 す る 「資 産 価 格 理 論 」 の 前 提 条 件 で あ る 「効 率 性仮 説 」 の実 証 は不 可 欠 だ か らで あ る。10)

さ て以 下 で は,ま ず 「弱 効 率 性 の検 定 」 に つ い て 詳 述 した 後,分 析 デ ー タ と して 利 用 す る 「不 動 産 投 資 イ ンデ ッ クス 」 に つ い て 説 明 す る。 次 に この デ ー タ

9)み ず ほ ア セ ッ ト信 託 銀 行(2002)に よ る と商 業 用 不 動 産 売 買 の うち オ フ ィス ・ビ ル デ ィ ン グ の 売 買 は そ の 半 数 以 上 を 占 め る 。

10)J‑REITと は 不 動 産 を投 資 対 象 と した 投 資 信 託 商 品 の こ と で,2000年 に 成 立 した

「改 正 投 資 信 託 法 」 に よ っ て 生 ま れ,2001年9月 に は 東 京 証 券 取 引 所 に 二 つ の J‑REIT商 品 が 上 場 さ れ た 。 米 国 に お け る 類 似 の 商 品REIT(RealEstateIn‑

vestmentTrust)に ち な み,日 本 を 示 すJを 冠 し てJ‑REITと 呼 ば れ る。 プ ラ イベ ー ト ・フ ァ ン ドと は 「資 産 流 動 化 法 」 に 基 づ くSPC(SpecialPurposeCom‑

pany),不 動 産 特 定 共 同 事 業 法 に 基 づ く組 合,特 定 目 的 信 託 に よ る 不 動 産 信 託, ま た は 海 外 に 設 立 す るSPCを 利 用 し た 不 動 産 投 資 商 品 な どで,非 上 場 の も の を 言 う。 い ず れ も主 要 な投 資 対 象 と し て 商 業 用 不 動 産 を想 定 して お り,年 々 規 模 を 拡 大 して い る 。

(6)

を用 い て 「超 過 収 益 率 」 を計 測 した 後,各 都 市 の 商 業 用 不 動 産投 資 市 場 ご と に

「弱 効 率 性 の 検 定 」 を行 い,そ の 実 証 結 果 につ い て考 察 す る。

2.研 究 の 方 法 一 弱 効 率 性 の 検 定11)

商 業 用 不 動 産 に投 資 す る こ と に よ っ て 得 られ る超 過 収 益 率E1〜tを,商 業 用 不 動 産 の 収 益 率 鳥 と他 の 代 替 的 資 産 の収 益 率 θ,との 差 と して 定 義 す る。

ERt=Rt一 θt

商 業 用 不 動 産 投 資 市 場 が 情報 の 意 味 に お い て 「効 率 的 」 で あ れ ば,商 業 用 不 動 産 の 収 益 率 鳥 と他 の 代 替 的 資 産 の収 益 率 θ,は等 し くな るか ら,超 過 収 益 率 は ゼ ロ と な る は ず で あ る 。

た だ し実 際 に は,リ ス ク の あ る商 業 用 不 動 産 投 資 市 場 の 収 益 率 と,リ ス ク ブ リー も し くは低 リ ス ク で あ る安 全 資 産 の収 益 率 が 同 じ とい う こ と は あ りえ な い か ら,リ ス ク プ レ ミア ム を見 込 ん だ 期 待 超 過 収 益 率 が 一 定 で あ る とす る モ デ ル を考 え る。 つ ま りt時 点 に お け る 「情 報 集 合 」 を ¢t,E[*]を*の 期 待 値 とす る と,

E[ER,1φ,]=α

と す る。 こ こ で α は,不 動 産 の 投 資 収 益 率 が 代 替 資 産 の 収 益 率 を 上 回 る分, つ ま り リス ク プ レ ミ ア ム とな る。 ≠時 点 に お け る予 測 誤 差 γ,を,

γt=E∫ 〜t‑E[E∬ 〜,1φt]

と定 義 す る と,市 場 が 効 率 的 で あ れ ば,

E[γtlφt]=0

11)本 節 の 記 述 は伊 藤 ・廣 野(1992),中 村(1995)を 参 考 と し た 。

(7)

商 業 用 不 動 産 投 資 市 場 の 弱 効 率 性 の 検 定239

で あ り,か つ γ,は 系 列 相 関 を 持 た な い 。 「情 報 集 合 φ,」 に 過 去 の 超 過 収 益 率 の 流 列(ERt一 ヱ,ERt‑2,ERt‑3,…)が 含 ま れ る と す る と,

ERt=α+Σ&ER,一 ブ+ε,

ブ=1

(1)

(1)式の 自 己 回帰 モ デ ル に お い て パ ラ メ ー タ 角 の 推 定 値 が 全 て の ブに 対 して ゼ ロ に な る こ と,つ ま り自 己相 関 が ゼ ロ と な る こ とが,商 業 用 不 動 産 投 資 市 場 が

「弱 度 の 意 味 に お い て 効 率 的 」 で あ る こ と に な る。 な お,禽 はER,̲」 の係 数, α は 定 数 項,ε,は 誤 差 項 で あ る。

本 論 文 で 利 用 す る モ デ ル は1年 前 の超 過 収 益 率E罵 一1の み で 回帰 させ た も の と,2年 前 まで の超 過 収 益 率E1〜,‑1,ERt‑2で 回帰 させ た も の の 二 つ で あ る 。

ERt=cr+βiERt̲1+εt

ERt==cr+β1ERt̲1+β2ERt̲2+εt

(2) (3)

以 下,(2)式 を1期 モ デ ル,(3)式 を2期 モ デ ル と 呼 ぶ 。

3.デ ー タ ー 不 動 産 投 資 イ ン デ ッ ク ス に つ い て

商 業 用 不 動 産 に投 資 した 際 の収 益 率 を計 測 す る方 法 と して 「不 動 産 投 資 イ ン デ ッ ク ス」 を利 用 す る 。 「不 動 産 投 資 イ ン デ ッ ク ス 」 とは不 動 産 に投 資 した 際 に投 資 期 間 内(通 常1年 間)に 得 られ る収 益 率 を示 した もの で,投 資 家 が不 動 産 に投 資 す る た め の 判 断 基 準 を,ま た 投 資 結 果 を評 価 す る際 の評 価 基 準 を提 供 す る もの で あ る 。 具 体 的 に は投 資 した 不 動 産 か ら得 られ る イ ンカ ム ゲ イ ン収 益 率(イ ン カ ム ロス 収 益 率)と 不 動 産 の 価 格 変 動 か ら得 られ る キ ャ ピ タ ル ゲ イ ン 収 益 率(キ ャ ピ タ ル ロ ス 収 益 率)お よ び そ の合 計 で あ る 総 合 収 益 率 が,分 析 対 象 とな る不 動 産 投 資 市 場 別,投 資 対 象 不 動 産 の種 類 別 に 計 算 さ れ て 公 表 さ れ て

(8)

い る。12)t期 に お け る 総 合 収 益 率Rtは,醐 に お け る賃 貸 料 をREIZVTt,そ れ を得 る に 要 す る 費 用 をCOST,,13)t期 首 にお け る 不 動 産 価 格 をPt,t期 末 に お け る不 動 産 価 格 をPt+1と す る と,以 下 の よ うに 表 さ れ る 。

(総 合 収 益 率)=(イ ン カ ム ゲ イ ン 収 益 率)+(キ ャ ピ タ ル ゲ イ ン収 益 率) Rtニ[REIZVTt‑COSTt]/1)t+[1)t+1‑Pt]/Pt

本 論 文 で は 「MTB‑IKOMA不 動 産 投 資 イ ン デ ッ ク ス(以 下 「MTB‑

IKOMAイ ンデ ック ス 」 と言 う)」 を 利 用 す る 。14)

こ こ で 「MTB‑IKOMAイ ンデ ッ クス 」 の 問 題 点 を 指 摘 して お か ね ば な ら な い 。 そ れ は本 イ ンデ ッ クス は実 際 の 商 業 用 不 動 産(オ フ ィス ・ビル デ ィ ング) の取 引 デ ー タか ら直 接 的 に算 定 され た もの で は な く作 成 主 体 が 一 定 の 方 法 で 想 定 した 賃 貸 料 収 益 や 資 産価 格 に基 づ い て算 出 され た イ ンデ ック ス で あ る こ とで あ る 。 米 国 や 英 国 で は,各 々NCREIF(NationalCouncilofRealEstateln‑

vestmentFiduciaries)イ ンデ ッ クス やIPD(lnvestmentPropertyDatabank

Ltd.)イ ンデ ッ クス の よ う な 実 際 の不 動 産 の 賃 料 収 益 や 資 産 価 格 に基 づ い た イ ンデ ッ クス が 公 表 され て い る 。 例 え ばIPDイ ンデ ッ ク ス で は 英 国 の 機 関 投 資 家 が保 有 す る不 動 産 の90%を デ ー タ ソ ー ス と して,賃 料 収 益 に つ い て は そ の不 動 産 か ら得 られ る実 際 の 収 益 を,資 産 価 格 に つ い て は 内 部 お よ び外 部 の 鑑 定士 に よ る 時 価 評 価 価 格 を 基 に 収 益 率 を 算 定 し て い る 。15)一 方 今 回 利 用 し た

12)具 体 的 に は 地 域 別 と は,丸 の 内,日 本 橋 な ど比 較 的 狭 い 地 域 別,東 京,大 阪,札 幌 な ど都 市 別 に 計 算 さ れ て い る他,首 都 圏,近 畿 圏 や 全 国 とい う ま と ま っ た カ テ

ゴ リ ー も存 在 す る。 対 象 不 動 産 の 種 類 別 と は オ フ ィ ス ・ビ ル デ ィ ン グ,賃 貸 住 宅 が あ る 。た だ し 米 国 等 で は,倉 庫,商 業 施 設,物 流 拠 点,工 場 な ど の 分 類 も あ る 。 13)費 用 と し て は 管 理 費,修 繕 費 の 他 に,火 災 保 険 料 お よ び 不 動 産 の 保 有 に か か る 固

定 資 産 税,都 市 計 画 税 が 含 まれ る 。

14)MTB‑IKOMA不 動 産 投 資 イ ン デ ッ ク ス は(株)三 菱 信 託 銀 行 お よ び(株)生 デ ー タサ ー ビ ス シ ス テ ム が 開 発 し た我 が 国 に お け る 代 表 的 な 不 動 産 投 資 イ ンデ ッ ク ス で あ る 。 利 用 の ご承 諾 を い た だ い た 両 社 に 記 して 感 謝 す る 。 な お 算 定 方 法 等 は 両 社 のWeb‑Siteを 参 照 し た 。

15)不 動 産 は 欧 米 で も そ う 頻 繁 に 取 引 さ れ る もの で は な い か ら,資 産 価 格 に つ い て は 厳 密 な 意 味 で の 時 価 評 価,つ ま り取 引 価 格 を毎 年 の デ ー タ に 利 用 で き る わ け で は

(9)

商 業用 不動 産投 資市 場 の弱効 率性 の検 定 241

「MTB‑IKOMAイ ンデ ッ クス 」 は ,地 区 ごとに一 定の オ フィス ・ビルデ ィン グ を想 定 した 上 で,賃 貸 料 収 益 に つ い て は 成 約 賃 貸 料 デ ー タ を基 に 賃 料 関数 を 求 め て 算 定 し,資 産 価 格 につ い て は 土 地 を路 線 価 や 公 示 価 格 か ら,ま た 建 物 を 建 築 着 工 統 計 な どか ら独 自の 方 法 で 算 定 した う えで 収 益 率 を導 い て お り,い わ ば仮 想 収 益 率 で あ る。

不 動 産 投 資 イ ン デ ック ス に 関す る機 関投 資 家 等 へ の調 査 を見 て も,イ ンデ ッ ク ス の 作 成 に お い て実 際 の 成 約 賃 料 ・価 格 に 基 づ き作 成 す る こ との 重 要 性 が 指 摘 され て い る 。16)ま た 国 土 交 通 省 も同 趣 旨 の 不 動 産 投 資 イ ンデ ッ クス の 指 針 を 出 して い る。17)し か し現 状 で は 前 述 したNCREIFイ ンデ ック ス やIPDイ ン デ ック ス の よ う な実 際 の デ ー タ と十 分 なサ ンプ ル を擁 した不 動 産 投 資 イ ン デ ッ ク ス は 存 在 し な い 。 本 論 文 で は 以 上 の 問 題 点 を承 知 した 上 で,「 不 動 産 投 資 イ ン デ ッ クス 」 を利 用 す る 。

4。 各 不 動 産 投 資 市 場 に お け る超 過 収 益 率 の 計 測 と特 徴

まず 超 過 収 益 率 を定 義 す る 。 第2節 にお い て 商 業 用 不 動 産 に投 資 す る こ とに よ っ て 得 られ る 超 過 収 益 率E1〜,を 他 の代 替 的 資 産 に 投 資 す る こ と に よ っ て 得 ら れ る収 益 率 θ,との 差 と し て 定 義 し た が,本 論 文 で は西 村 ・佐 々木(1995)

な い 。IPDで は 内 部 の 鑑 定 士 に よ り毎 年 一 定 の 方 法 で 鑑 定 に よ る 資 産 の 時 価 評 価 を 行 っ て い る 。 更 に 評 価 の客 観 性 を 保 証 す る た め に4年 毎 に外 部 の鑑 定 士 に よ る 時 価 評 価 を 平 行 して 行 っ て い る 。NCREIFの 資 産 価 格 も 同 様 に 一 定 の 基 準 に よ る 時 価 評 価 を基 礎 と して い る 。 な お 両 不 動 産 投 資 イ ンデ ッ ク ス の 算 定 方 法 に つ い て は,各 々 のWeb‑Siteを 参 照 し た 。

16)国 土 交 通 省 土 地 ・水 資 源 局 土 地 情 報 課 の 行 っ た 「不 動 産 投 資 イ ンデ ッ クス に 関 す る意 識 調 査 」(平 成13年8月)に よ る と,不 動 産 投 資 イ ンデ ッ ク ス の 必 要 性 に つ い て の 質 問 で,「 必 要 で あ る 」,「ど ち らか と い え ば 必 要 で あ る」 と 回 答 し た 割 合 は98.0%で あ っ た 。 ま た 今 後 の 不 動 産 投 資 イ ンデ ッ ク ス の 作 成 ・提 供 にお い て 重 視 す べ き点 と して33.1%が 「実 際 の 成 約 賃 料 ・価 格 に基 づ き作 成 す る こ と」 と 回 答 して い る(複 数 回 答)。

17)国 土 交 通 省 お よ び(財)土 地 総 合 研 究 所 は 「不 動 産 投 資 イ ン デ ッ ク ス 整 備 検 討 会 」 を設 置 し(平 成13年7月),平 成14年12月 に ガ イ ドラ イ ン を公 表 した 。

(10)

に倣 い代 替 的 資 産 の 収 益 率 と し て コ ー ル 市 場 の市 場 金 利 で あ る コ ー ル レー トを 利 用 す る。18)よ っ て超 過 収 益 率E恥 は 商 業 用 不 動 産 の総 合 収 益2$Rtと コ ー ル レー ト θtの差 と して 定 義 さ れ る 。19)

ERt=Rt一 θt

(超 過 収 益 率)=(商 業 用 不 動 産 の 総 合 収 益 率)一(コ ー ル レ ー ト)

各 商 業 用 不 動 産投 資 市 場 別 の 超 過 収 益 率 を示 した のが(図 表1)で あ る。 こ れ を概 観 す る と以 下 の よ うな 特 徴 が見 受 け られ る。 な お本 章 中 で 「バ ブ ル 期 」 と は1980年 代 に お い て 不 動 産投 資 市 場 に お け る投 資 収 益 率 が10%近 傍 また は そ れ 以 上 に上 昇 した 時 点 か ら,1990年 代 に 入 り 一10%近 傍 ま た は そ れ以 下 に投 資 収 益 率 が 下 落 して い た期 間 を 指 す 。 具 体 的 に は東 京 都 心 部 に お い て は1983‑96 年,大 阪 に お い て は1985‑95年,名 古 屋 に お い て は1986‑95年,京 都 に お い て は 1986‑94年,札 幌 に お い て は1984‑96年,福 岡 にお い て は1985‑96年 お よ び 全 国 にお い て は1985‑96年 を 「バ ブ ル 期 」 と した 。お の お の そ れ 以 前 を 「バ ブ ル前 」, そ れ 以 降 を 「バ ブ ル 後 」 と呼 ぶ 。

「バ ブ ル 前 」 を見 る と,第2次 石 油 シ ョ ック(1978年12月)の 数 年 間 は 全 国 的 に超 過 収 益 率 の変 動 が 見 られ るが 変 動 幅 や 期 間 はバ ブ ル期 ほ ど で は な い 。「バ ブ ル 期 」 の超 過 収 益 率 の 高 騰 は 明 らか に 東 京 都 心 部 か ら始 ま り地 方 に 波 及 す る 形 を取 っ て い る。東 京 都 心 部 で は1983年 あ た りか ら上 昇 が 始 ま り,大 阪 で は1985

年,京 都 や 名 古 屋 で は1986年,札 幌 は 少 し早 く1984‑85年 か ら,福 岡 は1985‑86 年 か ら上 昇 幅 が 大 き くな っ て い る。 「バ ブ ル 期 後 半 」 は 超 過 収 益 率 が 大 幅 に低 下 し,特 に1990年 代 前 半 は年10%を 超 え る下 落 が起 こ っ た 。 「バ ブ ル 後 」(1990

18)西 村 ・佐 々木(1995)が 指 摘す る ように,1970年 代 か ら金利 を 同一系 列 で取 る こ とが で き,ま た利 子率 に人 為 的統 制 が 効 い てい た我 が 国 に お い て唯 一統 制 の な か った のが コー ル市場 の金 利 であ る コー ル レー トで あ る。

19)厳 密 に は各 々の 資産 に課 され るで あ ろ う税 金 を考慮 す る必要 が あ る。 本論 文 では 不動 産保 有 に対 して課 税 され る 固定 資 産税 お よび都 市計 画税 につ い ては考 慮 され て いるが,不 動産 の売 買 にか か わる流 通税 お よび預 金の利 子 に対 す る課税 につ い て は考慮 してい ない。

(11)

商業 用不 動産 投 資市場 の弱 効率 性 の検 定 243 (図表1)超 過収 益率 の推 移

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年 代 後 半)に 入 りマ イ ナ ス 幅 は縮 小 しつ つ あ る よ う に見 え,2001年 に は東 京 都 心 部,名 古 屋,札 幌 で は 若 干 な が ら プ ラス に 転 じて きて い る。

5.「 弱効 率 性 の検 定 」 の 実 証 結 果

各 都 市 別 に(2)式,(3)式 をOLSで 推 定 し た 結 果 が(図 表2)で あ る 。20)

5‑‑1.全

「全 期 間(1975‑2001年)」 の 結 果 を 見 る と β の 値 は 高 く か つ 有 意 で 「全 国 」 で は 「効 率 性 」 は 満 た さ れ て い な い 。 「バ ブ ル 前(1975‑84年)」 で は β の 値 は

20)説 明変 数 に被 説 明変 数 の 過去 のデ ー タが含 まれ る場 合,OLSの 推 定 で は一 致性 が満 た され ない。 また不動 産投 資 イ ンデ ックス は1年 毎 のデ ー タであ るた め,長 期 の 分析 を行 っ た場合 は比 較 的高 い 自由度 を確保 してい るが,バ ブル前 中後 の 効 率性 の検 証 を行 うた め分析 対象 期 間 を分 割 した場 合 は必 ず し も十分 な 自由 度が確 保 され てい ない部 分 もあ る。 これ らの 改善 が今後 の課 題 であ る。

(12)

(上段:1期 モ デ ル,下 段:2期 モ デ ル) (上 行:係 数,下 行()内:t値,*は5%水 準 で 有 意)

β1 β2 α

R2

β1 β2 α

R2

全 期 間

1975‑2001

0,788

(6.789)*

0,247

(0.167)

0,648

全 期 間

1978‑2001

0,714

(4.785)*

一 〇.177

(‑0.098)

0,510

0,899

(5.889)*

一 〇.159 (‑1.118)

0,357

(0.242)

0,666

1,048 (5.427)*

一 〇.467

(‑2.420)*

一 〇.304

(‑0.185)

0,617

ル 前

1975‑1984

0,557 (2.700)*

1,413

(1.105)

0,477

ブ ル 前 1978‑1985

0,129 (0,314)

一1 .109

(‑0.775)

0,016

0,490

(2.173)*

一 〇.109

(‑0.830)

1,319

(1.008)

0,524

0,192 (0,468)

一 〇.394

(‑1.051)

一1 .822

(‑1.159)

0,194

ブ ル 期

1985‑1996

0,826

(4.631)*

一1 .254

(‑0.390)

0,682

ブ ル 期

1986‑1994

0,735 (2。748)*

一 〇.252

(‑0.050)

0,519

1,137 (3.678)*

一 〇.391

(‑1.219)

一 〇.596

(‑0.187)

0,727

1,105

(3.175)*

一 〇.552

(‑1.505)

1,071

(0.225)

0,651

ブ ル 後

1997‑2001

一 〇.241

(‑0.691)

一3 。822

(‑2.298)*

0,137

バ ブ ル 後 1995‑2001

0,248

(0.722)

一2 .342

(‑1.285)

0,094

一 〇.296 (‑0.495)

0,034 (0.131)

一3 .836

(‑1.889)

0,145

0,010

(0.016)

0,173 (0.528)

一2 .407

(‑1。220)

0,153

全 期 間

1975‑2001

0,791 (6。711)*

0,305

(0.170)

0,643

全 期 間

1975‑2001

0,842

(8.187)*

0,407

(0.258)

0,728

0,938

(5.913)*

一 〇.202

(‑1.360)

.0,484

(0.274)

0,669

0,984 (6.698)*

一 〇.183

(‑1.337)

0,601

(0.385)

0,747

ブ ル 前

1975‑1982

0,490

(2.532)*

1,072

(2.532)*

0,517

ル 前 1975‑1983

0,467

(2.345)*

0,369

(0.309)

0,440

0,417

(2.010)*

一 〇.110

(‑0。989)

1,223

(0.954)

0,596

0,359 (1.667)

一 〇.116

(‑1。161)

0,241

(0.206)

0,543

ブ ル 期

1983‑1996

0,822

(4.893)*

一 〇.662

(‑0.194)

0,666

ル 期

1984‑1996

0,891

(5.740)*

一 〇.755

(‑0.238)

0,750

1,159

(4.139)*

一 〇.426 (‑1.469)

一 〇.070 (‑0.021)'

0,721

1,347

(5.033)*

一 〇.559 (‑1.989)

0,396

(0.138)

0,821 バ ブ ル 後

1997‑2001

一 〇.292

(‑1.550)

一2 .436

(‑2.857)*

0,445

ル 後

1997‑2001

0,523

(0.859)

一1 .802

(‑0.268)

0,197

一 〇.292

(‑0.918)

一 〇.001

(‑0.004)

一2 .437

(‑2.278)*

0,445

0,508

(0.672)

0,101 (0.107)

一 〇.613

(‑0.044)

0,202

職理器

(13)

245商業用不動産投資市場の弱効率性の検定

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(14)

随 分 下 が る もの の0.5近 傍 で か つ 有 意 で あ り 「効 率 的 」 とは 判 断 で きな い 。 な お 以 下 で 単 に β と言 う 時 は β1の こ とを 指 す 。 「バ ブ ル 期(1985‑96年)」 で は β の 値 は 上 昇 し明 らか に 「効 率 性 」 は 低 下 して い る。 「バ ブ ル後(1997‑2001年)」

を見 る と βの 値 は0.3近 傍 ま で低 下 しか つt値 は 有 意 で は な くな る か ら,「 効 率 的 」 と判 断 して 良 い だ ろ う。

5‑2.三 大 都 市

ま ず 「東 京 都 心 部 」 に つ い て 見 て み よ う 。 「全 期 間(1975‑2001年)」 で は β の 値 も高 くか つt値 も有 意 で 効 率 性 は 満 た し て い な い 。「バ ブ ル 前(1975‑‑82年)」

を 見 る と β の 値 は0.5以 下 に 下 が る がt値 は 有 意 で あ り,「 効 率 的 」 と判 断 す る こ と は で き な い 。 「バ ブ ル 期(1983‑96年)」 で は β の 値 は 上 が り か つt値 も 有 意 で あ り 「効 率 性 」 は 棄 却 さ れ る 。 「バ ブ ル 後(1997‑2001年)」 と な る と β の 値 は0.3を 下 回 り,か つt値 は 有 意 で は な く な る の で 効 率 的 」 と 考 え て よ い

だ ろ う 。

次 に 大 阪 」 を 見 て み よ う 。 「全 期 間(1975‑2001年)」 で は β の 値 も 高 くか つt値 も有 意 で 「効 率 性 」 を 満 た レ て い な い 。 「バ ブ ル 前(1975‑84年)」 を 見 る と β の 値 は0.5を 下 回 り,1期 モ デ ル で はt値 も有 意 だ が2期 モ デ ル で は 有 意 で な く な る が,「 効 率 的 」 と判 断 す る に は 至 ら な い 。 「バ ブ ル 期(1985‑95年)」

で は β の 値 も 高 く か つ'値 も 有 意 と な り 「効 率 性 」 は 明 ら か に 棄 却 さ れ る 。 「バ ブ ル 後(1996‑2001年)」 を 見 る と1期 モ デ ル で は β の 値 は ほ ぼ0.1ま で 下 が り か つ'値 も 有 意 で は な く な る の で,「 効 率 的 」 と い っ て よ い 状 況 で あ る 。 た だ し2期 モ デ ル で はt値 は 有 意 で は な い も の の β の 値 は0.5以 上 と な り1期 モ デ ル の 結 果 と整 合 し な い 。

名 古 屋 を 見 る と,「 全 期 間(1975‑2001年)」 で は β の 値 も 高 くt値 も有 意 で

「効 率 性 」 を 満 た し て い な い 。 「バ ブ ル 前(1975‑85年)」 を 見 る と β の 値 は0 .5 を 下 回 る がt値 は 有 意 で あ り 「効 率 的 」 と ま で は 言 え な い 。 「バ ブ ル 期(1986‑95 年)」 は β の 値 も 高 く か つ'値 も 有 意 で,明 ら か に 「非 効 率 的 」 で あ る 。 「バ ブ ル 後(1996‑2001年)」 に な る と β 値 は 大 き く 下 が り,t値 も 有 意 で は な く な り

(15)

商業 用不動 産投 資市 場 の弱効 率性 の検 定 247

「効 率 的 」 と判 断 で き る。

5‑3.地 方 中 核 都 市

ま ず 「京 都 」 に つ い て 見 て み よ う 。 「全 期 間(1978‑2001年)」 で は β の 値 も 高 くt値 も 有 意 で 「効 率 性 」 を 満 た し て い な い 。 「バ ブ ル 前(1978‑85年)」 は β の 値 も低 くか つ'値 も有 意 で は な く 「効 率 的 」 と考 え て 差 し 支 え な い だ ろ う 。 し か し 「バ ブ ル 期(1986‑94年)」 を 見 る と β の 値 も高 くか つt値 も有 意 で は な く な り 「非 効 率 的 」 に 転 じ て い る 。 「バ ブ ル 後(1995‑2001年)」 は 再 度 β の 値 が 低 下 し,'値 も 有 意 で は な く な り 「効 率 的 」 市 場 に 戻 っ て い る 。

「札 幌 」 に つ い て は,「 全 期 間(1975‑2001年)」 で は β の 値 も 高 く,t値

有 意 で 「非 効 率 的 」 で あ っ た 。 「バ ブ ル 前(1975‑83年)」 で は1期 モ デ ル で は β の 値 が0.4を 超 えt値 も 有 意 で あ る が,2期 モ デ ル で は β の 値 は0.4を 割 り, '値 も 有 意 で な く な る な ど,今 回 の 分 析 結 果 だ け で は 判 断 が で き な い 。 「バ ブ ル 期(1984‑96年)」 は β の 値 も 高 くか つt値 も 有 意 で 明 ら か に 「非 効 率 」 で あ る 。 「バ ブ ル 後(1997‑2001年)」 もt値 は 有 意 で な く な る も の の β の 値 は0.5前 後 と 高 く 「効 率 的 」 と は 判 断 で き な い 。

最 後 に 福 岡 」 に つ い て だ が,「 全 期 間(1975‑2001年)」 で は β の 値 も0.5 を 超 え か つt値 も有 意 な の で 「効 率 的 」 と は 言 え な い 。 「バ ブ ル 前(1975‑84年)」

は β の 値 が0.4〜0.5と 比 較 的 高 く か つt値 も 有 意 で あ り 「効 率 的 」で は な い 。「バ ブ ル 期(1985‑96年)」 は β の 値 も 上 昇 し 「非 効 率 」で あ る 。「バ ブ ル 後(1997‑2001 年)」 は1期 モ デ ル で は β の 値 も0.6以 上 で か つt値 も有 意 で 「非 効 率 」 と言 え る が,一 方2期 モ デ ル で は β の 値 は0.4程 度 ま で 下 が り か つt値 は 有 意 で な く な り 「効 率 性 」 が 高 ま っ て お り,今 回 の 分 析 だ け か ら は 結 論 を 留 保 せ ざ る を得 な い 。

(16)

6.ま とめ と今 後 の 課 題

本 論 文 で は不 動 産投 資 イ ンデ ッ クス を利 用 した 商 業 用 不 動 産 投 資 市 場 の 弱 効 率 性 の検 定 を,東 京 都 心 部,大 阪,名 古 屋,京 都,札 幌,福 岡 の 各 都 市 お よ び 全 国 につ い て 行 っ た 。

そ の結 果,「 バ ブ ル 前 」 の 我 が 国 の不 動 産 投 資 市 場 は京 都 を除 い て 「効 率 的 」 で は な か っ た 。一一方,「 バ ブ ル期 」 にお い て は全 て の都 市 で 明 らか に 「効 率 性 」 が 低 下 し て い た。 「バ ブ ル後 」 に お い て は 東 京 都 心 部,大 阪,名 古 屋,京 都 お よ び全 国 に つ い て は 「効 率 的」 で あ っ た が,札 幌 お よび 福 岡 で は 「非 効 率 」 で あ った 。

以 上 の結 論 は 「バ ブ ル前 」 に つ い て は 「効 率 的 」,「バ ブ ル期 」 に お い て は 「非 効 率 的 」 と し た 西 村(1995)の 実 証 結 果 と異 な る。21)西 村(1995)は そ の 結 果 の 解 釈 と して,商 業 地 の 取 引 は 経 済 合 理 的 判 断 を す る企 業 に よ る も の が 多 い か ら基 本 的 に は市 場 は 「効 率 的」 で あ る可 能性 が 高 い と した 上 で,「 バ ブ ル 期 」 に は情 報 の不 完 全 性 と投 資 家 の疑 心 暗 鬼 が増 大 し商 業 地 の 地 価 は フ ァ ンダ メ ン タル ズ か ら離 れ 「効 率 性 」 も低 下 した が,そ う した特 異 な状 況 が な か っ た 「バ ブ ル 前 」 に お い て市 場 が 「効 率 的 」 で あ っ た とす る 。 以 上 の 西 村(1995)の 説 明 は,「 バ ブ ル 期 」 に 特 有 の 諸 要 因 が 市 場 の 「効 率 性 」 を 損 ね た の で あ っ て, そ れ らが 消 え る 「バ ブ ル 後 」 は 「バ ブ ル前 」 と 同様 な 「効 率 的市 場 」 に戻 る で あ ろ う こ と示 唆 し て い る 。

しか し今 回 の 分 析 で は,「 バ ブ ル期 」 に 「効 率 性 」 が 大 き く損 な わ れ て い た 点 は 西 村(1995)と 一 致 す る も の の,「 バ ブ ル 前 」 は 「バ ブ ル期 」 よ りは 「効 率 的 」 で あ る が,「 バ ブ ル 後 」 に 比 べ る と明 ら か に 「効 率 性 」 が 低 か っ た点 で 結 果 が 異 な っ て い る。 つ ま り 「バ ブ ル 前 」 は 「バ ブ ル後 」 と は基 本 的 に 「効 率 性 」 の 観 点 に お い て異 な っ た状 況 に あ っ た こ と を示 唆 して い る。

21)西 村(1995)に よ る バ ブ ル 前 と は1962‑83年,バ ブ ル 期 と は1984‑92年 で あ り本 論 文 で 定 義 す る バ ブ ル 前,バ ブ ル期 と期 間 が 異 な る こ と に は注 意 が 必 要 で あ る 。

(17)

商業用不動産投資市場の弱効率性の検定 249

実 際,「 バ ブ ル 前 」 と 「バ ブ ル 後 」 を比 べ て,我 が 国 の 商 業 用 不 動 産 投 資 市 場 の 構 造 が 「情 報 の 効 率 性 」 の 意 味 で 同 じ状 況 に あ っ た と考 え る こ と に は 無 理 が あ る の で は な い か 。 「バ ブ ル 前 」 は 商 業 用 不 動 産 の 売 買 は少 な く,企 業 は 基 本 的 に は本 社 ビ ル等 の 商 業 用 不 動 産 を所 有 し続 け て い た わ け で,マ ク ロ 的 に も ミ ク ロ 的 に も個 人 か ら不 動 産 会 社 や 生 命 保 険 会 社 等 の 機 関 投 資家 や 本 社 ビ ル を 保 有 し よ う と す る事 業 会 社 に 一 方 通 行 で売 却 され て い た と見 る の が 妥 当 で あ る 。22)売 り手 が 個 人 で 買 い 手 が 企 業 で あ る とす る とn情 報 の 非 対 称 性 」 は 大 き く,ま た 売 買 件 数 が 少 な い とす る と 「地 域 性 」 に よ る情 報 収 集 コス トは 上 が る で あ ろ う。 よ っ て これ らの要 因 が 「効 率 性 」 を損 ね,結 果 と して 「効 率 性 」 が 棄 却 され た こ とは 現 実 との 間 に 整 合 性 が あ る。

一 方,「 バ ブ ル後 」 は企 業 が 商 業 用 不 動 産 を売 買 す る市 場 へ と変 わ りつ つ あ る 。 不 良 債 権 処 理 の 原 資 と して,ま た はバ ラ ン ス シ ー トの 改 善 の た め に企 業 や 金 融 機 関 は保 有 不 動 産 を売 却 す る よ うに な っ た。 また 買 い手 と し て は,従 来 か らの 機 関投 資 家 に加 え て,外 資 系 投 資 銀 行 やJ‑REIT,プ ラ イベ ー ト ・フ ァ ン ドな ど新 た な不 動 産投 資 の プ ロ フ ェ ッシ ョナ ルが 登 場 して い る 。 こ の場 合 売 り 手 と買 い 手 の 情 報 量 の 差 は少 な い と言 え るだ ろ う。 そ の 他,不 動 産 投 資 に 対 し て プ ロ フ ェ ッ シ ョナ ル と して ア ドバ イ ス を行 う不 動 産 投 資 顧 問 会 社 が 現 れ た

り,本 論 文 で も使 用 した 不 動 産投 資 イ ンデ ッ ク ス が 公 表 さ れ る な ど,商 業 用 不 動 産 投 資市 場 の情 報 は か つ て な く容 易 に入 手 で きる よ う に変 わ りつ つ あ る 。 こ う した 市 場 構 造 の変 化 が 「市 場 の 効 率 性 」 を高 め る 方 向 に働 い て い る と考 え ら れ,本 論 文 にお け る 検 定 結 果 に 現 れ た と推 察 さ れ る 。

い ず れ に し ろ 「バ ブ ル後 」 に お い て は 「効 率 性 仮 説 」 が 仮 定 で き る状 況 と な っ た こ と で,「 資 産 価 格 理 論 」 の 適 用 が 可 能 に な り,投 資 主 体 は合 理 的 な ポ ー トフ ォ リオ を よ り組 み や す くな っ て い る は ず で あ る 。 こ の こ とが 益 々商 業 用 不 動 産 へ の投 資 を増 加 させ,更 に 市 場 の 「効 率 性 」 が 高 ま っ て い く こ とが 期 待 さ れ る。

22)『 土 地 白 書(平 成14年 度 版)』 の 第3章 を参 照 。

(18)

最 後 に今 後 の 課 題 と して,効 率 性 の 変 化 を もた ら した 市 場 の構 造 変 化 の要 因 を具 体 的 に検 証 す る こ と,検 定 結 果 の 頑 健 性 を保 証 す る た め に準 強 度 の 効 率 性 の 検 定 を行 う こ と,お よ び 十 分 な 自 由 度 を確 保 で き る デ ー タ を確 保 した 上 でバ

ブ ル後 の 効 率 性 を 再 度 検 定 す る こ とを 挙 げ本 論 文 を終 え る 。

ATestofWeak.FormEfHcieηcy ofCommercialPropertiesInvestmentMarketsofMajorCitiesinJapan

Nagai,Koichi.

Abstract

Thispapertestsweak‑formef丘ciencyofcommercialpropertiesinvestment

marketsinJapan,utilizing"realestateinvestmentindex"asthedataforthe

study,anddiscussesthechangesofthemarketef且ciencyfromPre‑Bubble,Bub‑

bletoPost‑Bubbleperiod.Theanalysiscoverscommercialpropertiesinvest‑

mentmarketsofmajorsixcitiesinJapan;Tokyo,Osaka,Nagoya,Kyoto,Sap‑

poro,Fukuoka,andtheperiodfrom1975to2001calendaryears.Theempiri‑

calanalysisconcludesthatcommercialpropertiCsinvestmentmarketswere

notweak‑fbrmefficientduringPre‑Bubb王eperiod,andbecamelessef且cientin

Bubble‑period,butduringPost‑BubbleperiodthemarketsofTokyo,Osaka,

NagoyaandKyotohavestartedtobeef且cient,incontrastthemarketsofSap‑

poroandFukuokastillhavebeeninefficient.

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