地域在住 齢者の 日腔 内健康状態 と 健康状態 との関連
松 岡 文子 ・山下 一也
概 要
本研究の 目的は,地域在住の65歳以上高齢者 を対象 に し,口腔内の健康状態がツb
身の健康状態 とどのように関連 しているのかを明 らかにす ることである。
調査の結果,日腔関連QOL尺度で あるGOHAI総合点は,残存歯数,モラールス
ケール総合点,SDS総合点 と相関が見 られ,残存歯数 はファンクシ ョナル リーチ, 開眼片足立ち時間,握力, 2分間足踏み,UP&GOテス ト,MMSE総合点,SDS総
合点 と相関が見 られた。 また,残存歯数 を2群に分けて分析 した結果,握力,開眼 片足立 ち時間,ファンクシ ョナル リーチ, 2分間足踏み,UP&GOテス ト,MMSE
総合点,SDS総合点において有意差 が見 られた。 これ らの ことか ら,残存歯数 は身
体機能 とくにバ ランス機能 と関連があることが明 らかになった。 また,認知機能に も影響 を与えることが示唆 された。
キーヮー ド:高 齢者,回隆内健康状態,残存歯数,GOHAI,心身健康状態
口腔 ケアは,誤囃性肺炎や糖尿病 などに代表
I。 は じ め に され るように,全身疾患 とも関連す ることが近 年報告 されているが,地域在住高齢者の口腔の
近年,我が国では高齢化が急速 に進み,国立 健康状態 と心身の健康状態 との関連 を報告 した 社会保障人口問題研究所の調べ によると2005年 文献 は少 ない。
には65歳以上人口が20.2%を しめ,2050年には 今回,65歳以上の地域在住高齢者 を対象 に回 39,6%に 達す ると推定 されている。 このような 腔 に関す るQOLや健 康状態 が,心身健康状態
高齢社会 において,高齢者の生活の質 (以下Q とどの ような関連 があるかを検討 したので報告
OLlを維持 。向上 し,身体的,精神 的 そ して す る。
社会的にも健康 な高齢者 を増 や してい くことが
重要である。 Ⅱ.研 究 目 的
1989年に当時の厚生省 (現厚生労働省)と 日
本函科医師会 により「満80歳になって も20本以 今回,島根県内の3地域 におけるアンケー ト 上の 自分の歯 を保つ ことで豊かな人生 を」 とい 調査 と口腔内水分量測定,残存歯数 などの回腔
うスローガンを掲げた「8020運動」が提唱 され, 内観察の結果か ら,日腔内に関す る満足度や残 現在では国民的な運動展開 となっている。 また 存歯数 などが,身体機能,主観的幸福感,抑う
2000年か ら導入 された介護保険法の見直 しによ つ状態,認知機能 など心身の健康状態 とどのよ り,2006年度か ら「予防重視型 システム」へ と うに関連 してい るのか を明 らかにす る。
切 り替 えがはか られ 「食事」 との関連 において
「回腔穣能の向上」 が もりこまれ,回腔への関 Ⅲ。研 究 方 法
心は確実に高 まっているといえる。
本研究は,本学平成18年度特別研究費の助成 を受 1・ 調査対象
けて実施 した。 出雲市A地区・邑智郡B地区・隠岐淋C地区 高
身
)い
在住者で,「物忘れと栄養,脂肪酸分析に関す る研究」および「離島における保健 。医療・地 域が一体 となった効果的介護予防」の研究に参 加 された65歳以上の方で,本研究に同意の得 ら れた方 を対象 とした。
2.調査 方法
上記 の研 究 に参加 され た方 に,本研 究 の依頼 書 に基 づ き研 究 計画 を説 明 し,同意 の得 られ た 方 に以下 の面 接型 聞 き取 リア ンケー ト調査 と残 存歯数調査,日腔水分量調査 を実施 した。
また,身体機 能評価 と して握 力,開眼片足立 ち時間,フ ァンクシ ョナル リーチ, 2分足踏 み, UP&GOテ ス トを,心理 。社 会 的機 能 評 価 と し てMini Mental State Examination(以 下MMSE),
Ztlng式抑 うつ尺度 (以下SDS),モ ラール スケー ル,改訂長 谷川 式簡 易知能評価 スケール (以下
HDSRlを使 用 した。 これ らは他 の研 究 に組 み 込 まれてい る調査 で あ り,重複調査 をす ること は対象者 の負担 を増 大 させ るため,同一 の もの
を使 用 した。
1)ア ンケ ー ト調査
Genera1 0ral Heal血 璃ssessment lndex(以 下 GOHAIJは 1990年 に米 国で 開発 され,報告 され
て以来,海外 で広 く使 用 されて い る口腔 関連Q
OL尺度 で あ る。 これ は心理 社会 面 の反 映 に優 れ,かつ対象集 団や状況 に応 じて補完項 目や他 の尺度 の併 用 が可能 (内藤,2004)と い う特徴 が ある。今 回 は その 日本語版 を使 用 した。12の 質 問項 目と5段階 の リッカー ト尺度 (ま った く
なかった‑5点,めったになかった‑4点,時々 あった‑3点,よ くあった‑2点,いつ もそ う だ った‑1点)によ る選択肢 で構成 され,得点
範 囲 は12〜60点 で あ り,得点 が高 いほ ど回腔 に 関 す る 満 足 度 が 高 い こ と を示 して い る 。
GOHAIの 使 用 に あた って はNPO健康 医療 評 価 研究機 構 に使 用登録 を行 った。
GOHAIの他 に,日腔 乾 燥 の 自覚 症 状 に対 す る問診 10項 目と歯磨 き習慣 に関す る内容 7項目 を実施 した。 日腔乾燥 の 自覚症状 に対 す る問診 票 につ いて は,作成者 で ある九州歯科 大学 の柿 木保 明教授 の 了承 を得 た。
2)残存 歯 数 ・口腔水分量測定
代 表研 究 者 に よ る残 存 歯数状況 を確 認 した。
ここで言 う残存歯数とは「取り外 しのできない
歯」 と し全部床義歯 と部分義歯 は除外 し,残痕 のみの場合 や クラウンや ブ リッジな どの補綴歯 数 も含 め カウ ン トした。
日腔水分量 は回腔水分計 を用 い頬粘膜 にて測 定 した。 この数値 ∽ は30以 上 が正 常,29.0〜
29.9は境 界,27.0〜28.9はやや水 分 不足,25.0〜
26.9水分不足,24.9以下 はか な りの 水 分 不足 と 評価 され る。 この数値 を回腔 乾燥 の客観 的指標
と した。
3.倫理 的配慮
調 査 協 力 に際 し,「 物忘 れ と栄 養,脂肪酸 分 析 に関す る研究」 で実施 してい る身体機 能評価 内容 を合 わせ て使用 させ ていた だ くことを説 明 した。 ア ンケー ト調査 を行 うに あた って は,同
意 を強要す ることのないように配慮 し,アンケー トの 自己提 出 を もって,同意 を得 た こ と した。
また,研究協 力 した後 に もデ ー タ等 の使 用 を拒 否 す る ことがで き,拒否 した ことに よる不利 益 はない ことを説 明 した。
4.分析方法
GOHAI総合 点 や残 存 歯 数 と身 体機 能 評 価 尺 度 の計測値,心理 。社会 的機 能評価 尺度 の総合 点 につ いてPearsonの 相 関係数 を用 い分析 した。
また,男女 による平 均値 の差 の検 定,残存歯 数 を少歯群 (0‑9本),多歯群 (10‑32本) の2群に分 けた時の各測定値 や総合 点 に差 が あ るか をみ るためにt検定 を,残存 歯 を2群に分
けた ときに′陛別 によ り差 が あるか をみ るため に χ2検定 を行 った。
統 計 処 理 に はSPSS ttrsion 13.OJ for Win‐
dowsを使 用 し,有意水準 は5%と した。
Ⅳ。結 果
本研究 に協力が得 られたのはA地区59名,B
地 区60名,C地区103名の計222名で男性 が42.8
%,女性 が57.2%で あった。対象者 の背景 を表 1に 示 す。平均年齢 は72.9± 5.5歳,GOHAI総
合 点 は平 均 が55,4± 4.8点,残存 歯 数 は12.5±
■.0本,日腔内水分量 は33.6±8.6%で あった。
国腔乾燥の自覚症状 に対す る質問の中で,口腔 乾燥が「ある」あるいは「時々」 と答えた人は 115人 (51.8%)であった。 しかし,国腔水分計に よる測定で30を きった人はわずか26人(11.7)で 松 岡 文子 ・山下 一也
あり,最低値 は27,7であった。
表1対象者 の基本的属性
男性 女性 全体
表3残存歯数の違いによる測定値の平均の比較
残存歯数 平均値 標準偏差 t値
GOHAI総合点 ◆9本 54 9 49 1384 ns
ll1 32本 558
p値 人 数 9514280/O1127(57.2041 222
平均年齢 平均値 標準偏差
72 9 73 0 72 9 0194 ns ファンクショナルリーチ l19本 267
1ひ32本 314
76 5037キ・夭 54 57
GOHAl総合点 平均値 55 2 55 5 55 4 0 556 ns
標準偏差 50 47 4.8
残存面数 平均値 147 110 12.5
標準偏差 107 ■1 ■0 口睦水分量 平均値
標準偏差
0 930 ns
ヤ: pく005 回腔 内 の 健 康 状 態 は特 にGOHAI総合 点 と残 存函数 に注 目 し,身体機 能や心理 。社会 的機 能 との相 関 関係 をみ た。 その結 果,GOHAI総合
点 は残存歯 数,モラール スケール総合点 と正 の 相 関 が,SDS総合 点 とは負の相 関 が見 られ た。
GOHAI総合 点 は身体機 能 の どの項 目 と も相 関 はみ られ なか った。残存歯数 は フ ァンクシ ョナ ル リーチ,関眼片足立 ち時間,握力, 2分間足
踏r/3,MMSE総合点 と正 の相 関 が,UP&GOテ
ス ト,SDS総合 点 とは負 の相 関 が見 られ た (表 2)。
表2口腔 内健康状態 と各測定値 との関連
口腔内の関連 相関係数 GOHAI総合点 残存歯数 0166
モラールスケー SDS総合点
ファンクショナル リーチ 0.342
開眼片足立ち時間 0.289
握力 (右) 0247
握力 (左) 0230
2分間足踏み 0227 UP&GOテス ト ‐0215 MM配総合点 0197
SDS総合点 ‐0191 残存歯 数 を0‑9本 と10‑32本の2群に分 け た と き,男女 間で は差 が あるか χ2検定 を行 っ たが,差は なか った。残存函数 を2群に分 けt
検 定 を行 っ た結 果,GOIIAI総合 点 との有 意 差 は見 られ なか ったが,フ ァンクシ ョナル リーチ (p=0.000),開眼片足立 ち時間 (p=0.000), 2分 間足踏 み Φ=0.001),右 手握力 (p=0.002),た 手 握力 (p=0.004), UP&GOテ ス ト (p=0.006),
MMSE総合 点 (p=0.012),SDS総 合点 Φ=0.02動 において有 意差 が見 られた。HDSR総合 点 Φ=
0.18のには差 がみ られなかった (表 3)。
開眼片足立ち時間 l19本 288 331 3784!話
ll1 32本 485 425
2分問足踏み l19本 1027 230 3220''
10‐32本 1118 177
握力 (右) ぉ
6 33
& っ 6 33
& 2 2 33
み
09本 246
10‐32本 281
73 3203'' 85
握力 (左) 0‐9本 230
10‐32本 261
70 2931'・
82 UP&GOテスト 併9本 77
1∈32本 70
24 2773'!
13 MMSE総合点 本
然 開
弼 2543'
SDS総合点 l19本 352
ll1 32本 326
75 2317・
77
HDS離合点 l19本 272
ll1 32本 277
31 23
1319 ns
★: pく005 ★キ: p<001 ■★・ : p(0001
V.考 察
1.口腔 内の健康状態 につ いて
GOHAI総合 点 は平 成 17年 度 版 の 国民 標 準値 に よ る と60‑69歳で52.6± 7.2点,70‑79歳で
50.8± 8,8点で あ り,今回 の 調 査 結 果 は55.4±
4.8点で あったので,回腔 に対 す 満 足 度 は高 い とい える。 また,残存面数 につ いて は厚生労働 省 が発表 してい る平成 17年度歯科 疾 患実態調査 結 果 報 告 で,70‑74歳で15.2本,75‑79歳で
10,7本 とな って お り,今回 の結 果 で あ る12.5±
11.0本は平 均的 と考 えて よい と思 われ る。残存 歯 数 は男女 で差 がみ られ た。上記報 告 書 には,
40歳 以上 において男女比較 をす ると,ほとん ど
の年齢階級 において男性 のほ うが,女性 よ りも 1人平 均現在函数 が多い とあ り,今回の結果 と 一致 して いた。
口腔乾燥 の 自覚症 状 につ いて は51.8%の人 が 多少 な りとも口腔乾燥 を自覚 してい る。柿木 は,
日腔乾燥 は年齢 が高 くな るに したが って多 くな り,各年代 における発生頻度 で65歳 以上 の高齢 者499人 の うち280人(56.10/OJが回腔 乾燥 感 を自覚 していた0市木,2002)と 述べており,同様の結 果 と言 える。しかし,実際に口腔水分計で測定 した結果は,必ず しも回腔乾燥状態は示 してい なかった。測定前に飲水を制限 したりはしてい
口
松岡 文子 ない ため,水分 をとった こ とによ る一 時的 な数 値 の回復 で あった可能性 は考 え られ る。高齢者 の口腔乾燥 の原 因の 多 くは,内服薬 の影響 が大 きい といわれて お り,今後 は回腔 乾燥 の 自覚症 状,国腔 水分量測定,内服 薬 な ど多角 的 に調査
を してい く必要 が あ ると考 え る。
GOHAI総合 点 と残 存 歯 数 に正 の相 関 が見 ら れ た ことか ら,残存歯数 が多 いほ ど口腔 に関す る満 足 度 は 高 い こ と が 明 ら か に な っ た 。
GOHAIは回腔 内の機 能面,心理社会面,疼痛 ・
不快の3領域 か ら構成 されてい る質 問紙 で ある。
その ため,残存歯数 が多い とい うことは単 に機 能的 に不 自由で ない とい うことだ けで な く,心
理社 会面 に与 え る影 響 が大 きい と考 え られ る。
2.口腔 内健康状態 と身体機 能 との 関連 につ い て
残存歯数 は フ ァンクシ ョナル リーチ,開眼片 足立 ち時間,握力, 2分間足 踏 み,UP&GOテ
ス トと相関があ り,残存歯数 を2群に分 けた と
きにフ ァンクシ ョナル リーチ,開眼片足 立 ち時 間,握力,UP&GOテ ス トで有意差 が見 られた。
その うち,フ ァンクシ ョナル リーチ は動 的身体 バ ランス を,開眼片足立 ち時 間 は静 的身体バ ラ ンスをみ るの に用 い られ る指標 で ある。バ ラン ス能力 と口腔 の関連 につ いて,咬合 の支持 の得
られ ない顎 口腔 系 の状 態 が平 衡機 能 を障害 し,
姿勢制御機 構 に何 らかの悪影 響 を及 ぼす ことが 推測 され (石上,1990),その ため 口腔 健康状 態 を良好 に保 ち,かつ咬合 が適合 してい ること が高齢者 の転倒 防止 につ なが る可能性 を示唆 し てい る (安藤 ,1999)。 今 回 は,咀疇 力 や咬合
つ いて は調査 していないため,残存 歯数 の多 さ
のみで転倒防止 につ なが るか ど うかは言 い切れ ない部分 が あるが,身体 のバ ランス能力 に残存 歯教 が関係 してい ることが明 らか になった。
高齢者の握 力 は加齢 に伴 う体 力変 化 をみ るの に最 もよい指標 のひ とつ (田中,2006)である
とされてお り,残存 歯数 が多 いほ ど休力 があ り 活動 的 な高齢者 で あ ると考 え られ た。
3.口腔 内健康状態 と心理 ,社会 的機能 との関 連 につ いて
GOHAI総合 点 とモ ラール ス ケ ール 総 合 点 で 正の相 関が,SDS総合 点 とは負 の相 関 が見 られ た。日腔 内の満足度 が高 けれ ば,主観 的幸福感
・山下 一也
が高 く,抑うつ傾 向 が低 い ことを示 して い る。
回腔 の機 能 とは食物 を咀 疇 し,囃下 す る こと,
呼吸 をす るこ と,発語 。発声す ること,顔貌 を
保 つ こと等 が挙 げ られ る。木谷 らは高齢者 が残 存 歯 を保持 し,歯の審美性 を保つ ことで,自己
の イメー ジをよ り肯定 的 に捉 え,積極 的 に社会 と関 わ ることがで き,ひいて は閉 じこもり予防 にな る (木谷,2000)と い ってい る。 しか し,
清 田 らは単 に現在歯数 よ りも,適合 の よい義歯 を使用 して,よ く噛め る (あるいは噛めると思 っ て い る)と い うことの方 が,全身健康への影響
を考 え る上 で重 要 なの か も しれ ない (清田,
2002)と 述 べ て い る。残存歯数 によ り2群に分 けた ときにモ ラール スケ ール,SDS総合点 とは
有意差 がなか った ことか らも,残存歯数 のみ が
社会 的交流 を増 やす要 因ではない と思われ るが,
食事 によ り栄養状態 の維持 ,増進 を もた らす だ けで な く,楽 しく,おい しく食べ ることがで き れ ば他者 との交流 の場 とな り心理 的 に も社会 的
に もよい状態 が保 って い け ると思 われ る。
残存函数 によ り2群に分 けた ときに有意差 の 見 られ たの はMMSE総合 点 で あ っ た。MMSE
は簡 易知能評価 ス ケール で ある。今 回の調査 で は残存歯数 とHDSR総合 点 には関連 がみ られ な か った。MMSE,HDSRは共 に認知機 能 を評価 す るス ケール で あ り,合計点 の相 関係数 は0.94 と非常 に高 い (加藤,1991)こ とも明 らかになっ て い る。 しか しMMSEは記憶 に直 接 関係 す る 課題 は少 な く,言語理 解 や書字,構成 な どの課 題 が含 まれ て い るの に対 し,HDSRは記憶 に関 す る課題 が よ り多 く含 まれてい るとい う特徴 が あ る。村 山 らは,MMSEと HDSRを使 用 し,認
知症 の タイプに よって その得点結果 に差異 が あ るか を検 討 した結果,認知機 能障害 に差異 が あ る ことを示 唆 して い る¢↓山,2000。 今 回の調 査 で,残存 歯 数 とMMSE総合 点 に は相 関 が見 られ,HDSR総合 点 とは相 関 が見 られ なか った とい う結果 は,残存歯数 は記憶 に特化 した認知 で はな く,幅広 い認知 全般 に関わ る能 力 に関係 してい る とい うこ とか も しれ ない。長 谷川 は,
健常高齢者 とアル ツハ イマ ー群 の残存歯数 を比 較 して,アル ツハ イマ ー群 では有意 に少 ない こ と,またアル ツハ イマ ー群 ではi残存歯 の増加
に伴 い,発症 の リス クが軽減 した ことか ら,歯
牙喪失 がアル ツハ イマ ーの危険 因子 とな りうる 可能性 が ある (長谷川,2005)と述 べて い るこ
とか らも,残存歯数 は認知機 能 と関連 が あると い うことが示唆 された。
今 回の調査結果 か ら,日腔 内の健康状態 が身 体機 能 に も心理 ・社会 的機 能 に も影 響 が あ るこ とが明 らかにな った。 口腔 は あ くまで も体 の一 器官 で あ り単独 の健康 は あ りえず,また逆 に全
身の健康維持 に も健全 な口腔 は欠かせ ない (加 藤 ,2001)。 今 回 は口腔 内健 康 状態 と心 身健康 状態 との関連 をみて きたが,日腔保健 の状態 。 向上 と全 身のQOLまた は全 身 の健康 に関す るQ
OLを評価 した研 究 が少 ない (湯浅,2006)と
指 摘 が あ る よ うに,本研 究 は全 身 のQOL評価
には至 って いない。今後 は歯科 医療者 の協 力 も 求 め,高齢者 のみで はな く,歯牙喪失 をす る前 の青壮年期 も対象 に し,よ り詳細 な口腔 内健康 状 態 の把 握 と全 身 のQOLと の 関連 を検 討 して い く必要 が ある。
Ⅶ.結 塗醐
残存歯数 が多いほ ど回腔 に関す る満足度 は高 い ことが明 らか にな った。身体機能 の面 か ら見 ると身体のバ ランス能 力 に残 存歯数 が関係 して い ることが明 らか になった。心理 ・社会 的機 能 の面 か らは,回腔 に関す る満足 度 が高 けれ ば,
主観 的幸福感 は高 く,また抑 うつ度 は低 い。残 存面数 は,認知機 能 に影響 が あることが示 唆 さ れ た。
本論文 の内容 の一部 は,第65回 日本公衆衛生 学会(2006,富山),3h lnttrnational Co erence
AD/PD(2007,SЛzbu昭)において発表 した。
本研究の実施 に多大 な協 力 を項 いた,本研究
対象地域の保健師の皆様,医療法人仁寿会加藤 病院の皆様,本学の検診 メ ンバ ーの皆様 に深 く 感謝いた します。
引 用 文 献
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http://wwwi8020zttdan‐ orれ /pdf/iigyO/k04‑
kuu zensll1 1,pdf
Relttionship Between Ord Hedth and Generd Healh in the Elderly People
Ayako MttsuoKA and Kazuya ttЩ SHITA
Abstract
Tlle ai l of his sttdy was to investigate and measure the rel onship be柿/een oral health and general healh in he elderly people.
A total of 222 subieCtt Were examined,GOHAI was cOrrelattd witll number of re―
maining tee血,tottI Philadeと phia Geriattic Center A/1orЛ e Scale,Se卜Rating De―
pression Scale.
SubieCh Were d ided into two group according to he number of remaining
teedl, 0‐9 teetll and 10 俺etll and over。 「Γhere were signiicant correlations be‐
いⅣeen he number of remaining teetll and he grip power, he timed to stand on one foot(opened eyeo,he umed up and go ttst,Mini Mental Sttate Examina‐
tion.
Tllese resutts suttest hat elderly people 血 remaining teetll have good status of body balance and cognitive funcion,
Key Words and Phrases: elderly people,oral healtll,remaining ttetll,GOHAI, general healtll